みぅ……みぅ……
(小雨の降り出した中、仔猫が所在なさげに辺りを見回している。
ふと向こうの方に建物を見つけ、雨宿りさせてもらおうと思いちょこちょことそちらに走り寄る。
猫の前足でかりかりと扉を引っ掻いてみても反応はないようだ。
仔猫の姿が一瞬揺らぎ、魔力が満ちる。次の瞬間には人間の少女の姿に変わっていた、その手で建物の戸に手をかける。
鍵はかかっていないらしい。
ごめんくださーい、雨宿りさせてくださいな
(言いながら返事を待たずするりと入り込む。酷くなってきた雨が建物に入り込まないよう、内から戸を閉める。
ぷるぷると身体を震わせ、ポケットからハンカチを出して髪や顔を拭く)
誰もいないのかな?
しばらく休ませてもらって、魔力回復しよ。……くしゅん!
うぅ、暖まるものがあるといいんだけど。
(雨で身体が冷えてしまい、小さなくしゃみをする。)