(そのまま壁と巨体に挟まれ一巻の終わりと思われたが)
(甲羅の大きさが災いして前進を阻まれているようだった)
…はんッ、バカガメが!
その図体のデカさが命取りだ!喰らいなっ!!
(身動き取れなくなった魔獣の顔に深く刻み込まれた傷痕)
(その一点を槍で突き刺そうと大きく飛び込んだ)
――っ!?

(魔獣の目の前に飛び込んだ瞬間、魔獣の口が大きく開かれ)
(その奥から目も眩むような閃光が放たれた)
(避けるにも防ぐにももう間に合わなかった)
ぐ・・あぁぁ―――ッ!!
(極太の光の束がまともに直撃し、体を焼く)
(強大な魔力の奔流は魔法少女の小さな体を背後の体に無慈悲に撃ちつける)
がはぁぁッ…!? う・・・あッ・・・

(大の字に壁に叩きつけられ、その衝撃で壁はひび割れ崩壊する)
(けほっ、と喀血しながら支えを失った体が崩れ落ちる)
(その身体は地面に落ちることなく、空中で音もなくかき消えてしまった)

―――…ん・・・ここは・・・?・・あ、ぐぅぅっ・・・!
(目を覚ますと暗い空間にいた。どうやら岩肌が剥き出しの洞窟のようだ)
(倒れていた状態から上半身だけ起こすと痛みが走りお腹の辺りを抑えて呻く)
・・・そうか、あたしヘマしちまったのか・・・けどまだ生きてんのはどういうこった
(胸のソウルジェムは砕かれておらず、魔力もまだ残っているようだ。魔法少女服はあちこちが破れ肌が見えている)

ん・・・な、なんだこいつ!?
(不気味な鳴き声に顔を上げるとそこには先ほどの魔獣)
(いや、あの全てを圧し潰すような巨体ではなく幾分か小さい)
(こちらを品定めするかのようにゆっくりと近づいてくる)
この・・・野郎っ、こっち来んな・・・!
(手元にあった槍を支えにして傷ついた体をなんとか起こそうとする)