…それは……理解できます…
だけど今のは…っ

(トレーナーのもっともらしい言葉には言い返す余地がないように思える)
(それでも女性のお尻を触るなんて事、美琴には考えられなかった)
(何か良い返したかったが言葉が出て来ない)

……艶、艶って……私にそんなもの、出せると思う……?

(ぎゅ、と拳を握って静かに吐き捨てる)
(アイドルになる事以外には見向きもせず10年間レッスンや活動に明け暮れた)
(年頃の女子が当然に経験するような青春や色恋など無縁のままここまで来た)
(そんな自分に本物の色っぽさなんて表現できるはずが無い)

……後の時間は一人で自主レッスンにします、明日からも
今日はありがとうございました

(気を落ち着かせようと離れた場所に置いたペットボトルの水を取りに行こうとする)