この道はいつか来た道
昨日も来た道
一昨日も来た道
出待ち3日め
テレワークの名の元に毎日出社しない人と偶然出会うには苦労します
でも、でも出会えさえしたらそれでいい。それでいいけど
「ああ、もう。こんな湿度高いとはねてこまる」
せっかくブローして自分なりにカワイクしてきたのに右へ左とはねはじめた髪に今日もだめかなとため息をついたその時
B
「ねー先生
今日先生んち行っていい?
今日うちの親旅行でいないんだー」
突然こいつ何言い出すんだ?という顔でまだ言葉を返せないでいる先生に畳み掛けるように
「あ、いないんだから別に先生がうちに来てもいいんだよー?」
にっこり笑いかけて
「先生何か食べたいものある?あ、逆に食べれないものとかある?作れるものそんなにないけど先生のためなら舞衣がんばっちゃうから」
生物室の清掃を勝手に手伝いながらまるで既成事実のように話すけど内心はもちろんドキドキびくびくである
C
「ねー。貞昌くん。来週の土曜日空いてる?」
久しぶりにうちに遊びにきた貞昌さんを酔っ払ったお父さんの代わりに玄関まで見送りながらまるでついでのように誘ってみる
「空いてるなら、舞衣とデートしよ」
(驚いた顔で振り返る貞昌さんの耳元に寄せて、リビングにいるお母さんに聞こえないように密やかに誘ってみる)