(こちらを振り返った女と目が合うと、少しの間、ときが止まって見つめ合ったまま)
面接?どうも最近様子がおかしかったから変だと思ってたんだ。
いつもは定時で帰りたいなんて絶対に言わないのに、今日に限ってそんなことを言うから、あとを尾けてきたが…。
(紗友の言葉を聞いて、ただ驚きながらも、紗友の開き直ったような顔にもっと驚き)
確かに副業は解禁されたが、限度というものはあるだろ?
君はこれでも世間に名を知られている企業の副社長秘書だぞ?
君のスキャンダルは私にも関係してくると、分かっていないはずよいよな?
今、面接と言ったか?だったら、まだ働いているわけでないなら話を聞こう。
面接ならまだ後日でも大丈夫だろ?
(強引に腕を引っ張って、とりあえずビルから出ると、ちょうど目の前にあるラブホテルにそのまま連れ込んで)
もし、君が風俗で働きたいのならそれでもいい。
しかし、私も自分のことがあるから黙ってはいられない。
君にはどこか小さな営業所に行ってもらうか辞めてもらうかしかないな。
(適当に取った部屋の中に入ると、それまで力いっぱい掴んでいた紗友の手を離し、ようやく気分も少し落ち着いてきて)
とりあえず詳しい話を聞こうじゃないか?
君だって本当はあんな所で働きたくはないんだろ?
(ベッドに腰をかけると、ネクタイを緩めながら紗友の顔を見上げる)