【リレー歓迎】ドタバタ触手大学
【道を間違えて続きを書きたくなった方は300字以上でお願いします「だから、絶対に行くなって言ったんだよ!」
「うるさいわね! 美少女(※自称)のピンチよりスクープが大事なのがジャーナリズム精神よ!」
「君はただの大学新聞部員だろ!」
俺、伊達国男は、目の前でプンスカ怒っている幼馴染の 高木ハルカに向かって叫んだ。
ここは、俺たちが通う私立大学の、旧図書館棟。そして、俺たちが今いるのは、三十年間開かれたことがないという「開かずの間」……いわくつきの資料室だ。
ハルカが「キャンパス七不思議の真相を暴く!」とか言って、管理室からこっそり鍵を盗み出してきたのが全ての始まりだった。
「だいたい、何よこの部屋! カビ臭いだけじゃない!」
懐中電灯の光が、ホコリだらけの書架を照らす。古い本や資料が山積みになっているが、特に変わったものはない。
「ほら見ろ。何も無いだろ。幽霊も呪いも……」
言いかけた俺の足が、何かに躓いた。
「うわっ!?」
派手に転ぶ俺。懐中電灯が手から滑り落ち、コロコロと床を転がっていく。
「ちょっと、しっかりしてよ国男!」
ハルカが文句を言いながら拾おうとした、その時だった。
ニョルリ。
床のシミだと思っていた黒い何かが、動いた。それは、懐中電灯の光を避けるように蠢くと、次の瞬間、まるでタールが意志を持ったかのように、ハルカの足首に巻き付いた。
「へ?」
「きゃあああああああああ!?」
ハルカの絶叫が、ホコリっぽい空気を切り裂いた。
「は、ハルカ!?」
「な、なにこれ!? 離して! 冷たい! ヌルヌルする!」
バッと自分のスマホのライトを点ける。照らし出された光景に、俺は息を呑んだ。
床のそこかしこから、黒く濡れた触手が無数に生えていた。それはまるで、床から生えた昆布の森のようだった。そしてその触手が、既にハルカの身体中に絡みついていた。
「ちょ、国男! 助け……ひゃあっ!?」
触手は、獲物を拘束するというより、まるで品定めでもするかのように、ハルカの身体のラインをなぞり始めた。
数本が制服のブラウスの隙間から滑り込み、数本がスカートの裾を押し上げて、その内側へと侵入しようとしている。
「や、やめ……! コラ! だ、ダメ、そこは……っ! んん……!」
触手は彼女を締め上げるわけでもなく、ただただ執拗に、全身の敏感な部分を探り、撫で回している。
恐怖と羞恥で涙目になりながら、ハルカは妙に艶めかしい声で喘いでいる。
まずい。これは、かなりまずい状況だ。
「……どうすんだよ、これ!?」
俺は、なぜか部屋の隅に立てかけてあったデッキブラシを握りしめた。 「うおおおおっ!」
俺、伊達 国男は意味不明の奇声を上げ、デッキブラシを槍のように突き出した。
「そいつから離れろ!」
バシッ!
ブラシの先端が、ハルカの太ももに絡みつく黒い触手を捉えた。
だが、手応えがない。まるで濡れたゴムか、巨大なナマコでも叩いたような、不快な感触だけが手に伝わる。触手は一瞬ビクンと震えただけだ。
「きゃっ! も、もう! 国男! 当たってる! そっちじゃなくて触手を叩いてよ!」
「うるさい! やってるだろ!」
どうやらブラシの先端がハルカの体♡にも当たっていたらしい。
だが、そんなことを気にしている場合ではない。
「くすぐったい……! あ、ダメ、そこ……んんっ……!」
俺の攻撃が逆効果だったのか、触手はさらに勢いを増し、ハルカの制服のスカートを完全にまくり上げ、露わになった下着の上から、その先端を這わせ始めた。
ハルカは腰をくねらせ、必死に抵抗しているが、その声はもはや悲鳴というより喘ぎ声に近い。
まずい。非常に、まずい。
「こっちだ、この化け物!」
俺はデッキブラシを振り回し、今度は床から生えている「根元」らしき部分を力任せに殴りつけた。
シュルルッ!
その瞬間、ハルカを拘束していたのとは別の触手が、まるで鞭のようにしなり、俺の足首を捉えた。
「ぐわっ!?」
そのまま床に引き倒される。体勢を崩した俺の手から、デッキブラシが虚しく滑り落ちた。
「国男!?」
ハルカの焦った声が聞こえる。
だが、俺どころじゃない。俺を倒した触手は、待ってましたとばかりに俺の体に這い上がってきた。
「うお!? やめろ、こら! 人のズボンの隙間に入ってくるな! うわはははは!? くすぐったい!」
情けないことに、俺もハルカと同じ目に遭ってしまった。
二人して床に転がり、黒い触手に全身を弄ばれる。まさにドタバタだ。
「だ、誰か……!」
俺が助けを呼ぼうとした、その時。
ゴゴゴゴゴゴ……。
部屋の奥。一番大きな書架が、重々しい音を立ててゆっくりと横にスライドし始めた。ホコリが舞う中、書架の裏から現れたのは、薄暗い『空間』。
そして、その空間を埋め尽くすように蠢いている、黒い『何か』。
俺たちを捕らえている無数の触手は、どうやら、そいつの『先端』に過ぎなかったらしい。 「……マジかよ」
書架の裏に広がっていたのは、生物室のホルマリン漬け標本を100倍くらいに拡大して、暗闇で煮詰めたような、グロテスクな空間だった。
壁一面に脈打つ肉塊。そこから無数の触手が、まるでタコ足配線のように伸びている。
あれが本体だ。
「く、国男……! あれ、ヤバいって……!」
「言われなくても分かってる!」
俺とハルカは、床に転がされたまま。触手は相変わらず俺たちの服の中に侵入し、全身をくまなく探っている。
「ひゃっ……! あ、だめ、もう、やめてぇ……っ!」
ハルカは涙目で腰をよじらせている。触手は完全に彼女を「メス」として認識しているようで、その動きは執拗かつ官能的だ。
俺のほうは、なぜか脇腹と足の裏を重点的に攻められており、エロいというより拷問に近い。
「うひゃははは! や、やめろ、こら! 俺は男だぞ!」
「あんた、何でちょっと嬉そうなのよ!」
「嬉しくないわ! ぎゃはは!」
この状況でまだ口ゲンカできる俺たちも大概だが、本体はそんなのお構いなしだ。肉塊が不気味に蠢き、一番太い触手がスルスルと伸びてきた。その先端が、ハルカの顔の目の前で止まる。
「……っ!」
ハルカが息を呑んだ。まずい、あれは本気でヤバそうだ。
その時だった。カチャリ。
「開かずの間」の、俺たちが入ってきたドアの鍵が、外から開く音がした。
ギィィィ……。重いドアが開き、懐中電灯の光が差し込む。
「……やはり、ここでしたか」
そこに立っていたのは、白衣を着た、やたら知的なメガネの女。この大学の「オカルト研究会」の部長、一条院 菫(いちじょういん すみれ)先輩だった。
「せ、先輩!?」
「おや、伊達くんに高木さん。奇遇ですね。こんなところで『異界の神(オールド・ワン)』と何を?」
懐中電灯の光が、部屋の惨状を照らし出す。床で触手に絡まれて喘いでいるハルカと、くすぐり地獄で悶絶している俺。
そして、奥に鎮座する巨大な本体。
菫先輩は、その光景を見ても一切動じず、カバンからゆっくりとデジカメを取り出した。
「素晴らしい……! ついに起動なされたのですね、我が『御神体』!」
カシャッ! カシャッ!フラッシュが焚かれる。
その強い光に驚いたのか、俺たちを拘束していた触手が一斉にビクンッと硬直し、動きを止めた。
「……あれ?」くすぐりが止まり、俺は間抜けな声を出す。
「お邪魔でしたか?」菫先輩は、デジカメを構えたまま、首をかしげた。 次回から段落数は32行以内でお願いします。(書き込みエラーが出る)今回は手直しして投稿しました。 くすぐりが止まり、触手の先端が微かに震えている。体中を這い回られていた俺とハルカは、ようやく息をつけた。
だが、その安堵も一瞬で消え去った。
「菫先輩、何してるんですか!? 早く助けてください!」
「伊達くん、静かに。これは非常に貴重なデータなの」
菫先輩はデジカメのファインダー越しに、俺たちを捕らえている触手を眺めている。その表情は、まるで珍しい鉱物を見つけた科学者のようだ。
「……触手は光に弱い。特に閃光のような急激な光量の変化には、原始的な神経が対応できない。つまり、御神体はまだ『目覚め』たばかりで、この空間の光に慣れていないのよ」
先輩は独り言のように淡々と語る。御神体、などと言っているが、その口調には恐れや畏敬の念は微塵もない。まるで実験動物を見ているようだ。
「光に……弱い?」
俺はその情報を反芻した。確かに、触手はフラッシュで止まった。そして、俺の持っているスマホのライトの光は、弱いながらも部屋を照らしている。
「ハルカ、聞け。少しでも拘束が緩んだら、俺のスマホを取るぞ!」
「え? あ、うん……!」
俺は、服の下を這い回っていた触手を、無理やり力任せに引き剥がした。ヌルリ、という嫌な音と感触。
拘束が緩んでいる今がチャンスだ。俺は身を捩り、転がっていたスマホを掴んだ。
「そのスマホのライトで、本体に強烈な光を当てれば……!」
俺がスマホを掲げた、その瞬間。
「待ちなさい、伊達くん」
背後から、菫先輩の冷たい声が響いた。
先輩は素早く動いた。
先輩の履いていた、底の分厚いローファーが、俺の手元に振り下ろされた。
ガッ!
スマホが弾かれ、遥か遠く、肉塊のいる書架の隙間へと転がっていく。
「な……何するんですか、先輩!」
「私がせっかく御神体の活動を観察しているのに、無粋なことはやめてちょうだい。あなたは大人しく、ハルカさんと一緒に、このまま最初の『贄』としていて」
先輩はにっこりと、しかし全く目の笑っていない顔でそう言った。そして、カバンから何かを取り出した。それは小さな木箱だ。
「さて、次は『供物』の儀式です。これで御神体を完全に覚醒させます」
先輩が木箱の蓋を開けた瞬間、触手が一斉に激しく振動を始めた。
そして、一瞬止まっていた俺たちの拘束が、再び強まる。
「ひゃああっ! 嘘! また……!」
ハルカの悲鳴が上がる。触手は今度は、ただ撫で回すだけでなく、ハルカの制服のボタンを一つ、一つ、丁寧に引きちぎり始めた。
「まずい! 本当にまずい!」
俺は全身を締め付けられ、抵抗することもできない。
菫先輩は、まるで何かの儀式のように、木箱から取り出したものを、肉塊の本体へと投げた。 菫先輩が投げた「供物」は、古びた学生証だった。
肉塊がそれに反応し、ドクンドクンと脈打つ。表面に走る黒い脈動が急速に赤みを帯び、肉塊はまるで呼吸しているかのように膨張と収縮を繰り返した。
部屋中に、イチゴのような甘ったるい匂いではなく、ねっとりとした体液の匂いが充満する。
「ああ、素晴らしい。御神体が、この学園の『生命エネルギー』を認識なされた……」
菫先輩は恍惚とした表情で、その様子をスマホで録画している。
その変化は、俺たちを拘束する触手にも現れた。
それまで黒く湿っていた触手が、徐々に肌色に近い薄紅色へと変色していく。表面に生々しい筋が浮かび上がり、その動きはさっきまでのドタバタとした遊びから、明確な意図を持ったものに変わった。
「いや……っ、待って……!」
ハルカが悲鳴のような声を上げた。
触手は、ちぎり終えたブラウスのボタンに構わず、制服を無理やり引き裂き始めた。
バリッ!
薄い生地が派手な音を立てて破れる。ハルカの胸元が露わになり、それを隠そうと彼女が腕を上げても、触手はその腕を絡め取り、より高い位置で拘束し直した。
そして、触手は彼女の剥き出しの肌を、まるで滑り台を滑るように、ねっとりと這い上がっていく。
「ひ……っ! ああ……っ、国男……っ!」
羞恥と快感の狭間で、ハルカの声はもはや言葉になっていなかった。
床に固定され、身動きが取れない俺は、その光景をただ見ていることしかできない。
幼馴染のハルカが、目の前で、人間ではない「何か」に弄ばれている。
無力感と屈辱が、胃の腑を握りつぶす。
(俺は、ハルカの男友達でいる資格すらないのか……!?)
触手は、ハルカの敏感な場所を執拗に攻めながら、徐々にその数を増やし、ついには全身を覆い尽くし始めた。
ハルカは全身が濡れ、髪が乱れ、意識が朦朧としているように見える。
「これで準備完了です」
菫先輩は満足そうにスマホを止め、肉塊を指差した。
「次は、このエネルギーをあなた方に『還元』します。御神体の『子宮』を開くための、祝福です」
肉塊の本体が、部屋の奥で、大きく、大きく、割れた。
まるで洞窟の入り口が開くように。その奥は、生々しい赤色の粘膜と、さらに奥にうごめく無数の触手で満たされていた。
そして、その穴の奥から、今までのものとは比較にならないほど太く、黒い、一本の触手が、ゆっくりと、ゆっくりと、俺たちの方へと伸びてきた。 肉塊の「子宮」から伸びてきた黒い触手は、もはや遊びではない。それは、粘液を滴らせながら、地面を這い、一直線に俺たちの方へと向かってくる。
「っ……ハルカ! 逃げろ!」
無駄だと分かっていながら、俺は叫ぶ。だが、全身を薄紅色の触手に絡み取られたハルカは、既に意識を保っているかどうかも定かではない。唇から洩れるのは、かすかな喘ぎ声だけだ。
太い触手はハルカを無視し、俺、伊達 国男へと接近した。
「ああ、素晴らしい。いよいよ『融合』のプロセスです。あなた方の知識と生命力が、御神体の栄養となるのです」
菫先輩が陶然とした声で呟く。
黒い触手が俺の顔の前に迫った。それは今までの触手とは異なり、先端がまるで口のようにパカッと開いている。その内側には、粘液に塗れた小さな吸盤が無数にあり、深淵を思わせる黒い空洞が広がっていた。
「くそっ、やめろ……!」
俺は恐怖に身がすくむ。しかし、それ以上に、目の前で蹂躙され、屈辱に喘ぐハルカの姿が、俺の頭を一気に冷やした。
幼馴染として、兄弟として、友達として……、俺はこいつの隣にいて、この状況をただ見ているだけなのか?
(嫌だ……! 誰にも、ハルカにこんな真似はさせない……!)
俺の身体の中で、何かが弾けた。
触手に捕まれた屈辱、菫への怒り、そしてハルカを守りたいという、今まで意識したことのなかった強烈な衝動。
ゴゴゴゴゴゴ……。
その衝動に呼応するように、部屋全体が震え始めた。
俺たちを拘束していた薄紅色の触手が、黒い触手に怯えるように一瞬緩んだ。
その一瞬の隙を、俺は逃さなかった。
「がああああああ!」
俺は喉が張り裂けんばかりの雄叫びを上げ、全身の力を一点に集中させた。拘束を無視し、右腕だけを無理やり引き抜く!
触手の粘液で皮膚が爛れそうになるが、痛みは感じない。
俺は解放された右手を、目前に迫った黒い「口」の触手に、力任せに叩き込んだ。
バシャアアアアアアアアアアアアア!
俺の手が触手にめり込んだ瞬間、黒い触手は激しい体液を撒き散らし、断末魔の叫びのような音を立てて、勢いよく引き戻された!
「え……?」
菫先輩が、初めて驚愕の声を上げた。
そして、肉塊の本体全体が、今までにない激しさで脈打ち始めた。
俺は触手の拘束から完全に解放されていた。
腕から先が痺れ、焼けるように熱い。しかし、俺は立ち上がった。
そして、未だ触手に弄ばれているハルカを、力強く抱きかかえる。
「ハルカ! 逃げるぞ!」 「ハルカ! 逃げるぞ!」
俺はハルカを、今まで感じたことのないほど強く抱きしめていた。薄紅色の触手に弄ばれたせいで熱を帯びたハルカの身体は、ほとんど意識を失っている。破れた制服から覗く肌に触れるたび、俺の胸は激しく脈打った。
(幼馴染だとか、兄妹だとか、そんなの関係ねぇ! 俺が、この状況から守り抜く!)
覚醒した俺の右腕は、焼けるように熱い。その熱が、身体中の血を沸騰させているようだ。
「……待ちなさい、伊達くん!」
一条院 菫先輩が、驚愕から一転、興奮した表情で叫んだ。
「その現象、まさか……御神体との融合が、あなたを『媒介者(チャンネル)』として認識したというの!? 素晴らしい! 予想を上回る進化ですわ!」
先輩は、もはや俺たちを捕獲するつもりはないようだ。目的は、俺のその「覚醒した力」を観測することに変わっていた。
「逃がしませんわ! あなたは、この儀式の鍵となる!」
菫先輩は、カバンから小さなナイフを取り出した。それは儀式用の、不気味な刃だ。
しかし、俺はそのナイフよりも、部屋の奥で蠢く本体を警戒した。
ゴボゴボ……。
本体から、黒い体液のようなものが床に溢れ出す。そしてその液が、新たな触手を生み出し始めた。それらは以前の触手よりも動きが速く、獲物を捕らえるというより、破壊を目的としているようだ。
「くそっ!」
俺はハルカを抱えたまま、部屋の出口(ドア)目掛けて走り出した。
シュルッ!
破壊性の触手が、俺たちの行く手を阻む。俺は、熱を持つ右腕を突き出し、咄嗟に触手を受け止めた。
ビリビリ!
触手が触れるや否や、俺の右腕から青白い光が走り、接触した触手が瞬時に硬直した。石になったかのように動かない。
しかし、俺は覚醒した力をどう制御するのか分からない。力を込めたつもりもないのに、無意識に触手が固まる。
「くそっ、これ、どうやるんだ!?」
まるで暴走するラジコンを操るように、俺はハルカを抱えながら、足元に現れる触手を偶然右腕で触れ、硬直させていく。その姿は、ヒーローの覚醒というより、危なっかしいドタバタだ。
「やめて! 大事なサンプルが!」
菫先輩は、硬直した触手を惜しむように叫び、俺に向かって儀式用のナイフを投げつけた!
キン!
ナイフは国男の肩をかすめ、ドアの鍵穴に深く突き刺さった。
「ああ……っ、鍵が……!」
ドアは開いているが、鍵穴が潰れたため、ドアを閉じることもロックすることもできなくなった。
俺はハルカを抱えたまま、開いたドアから旧図書館棟の薄暗い廊下へと飛び出した。
「追いますわ! 逃がしません、私の『媒介者』!」
背後から、菫先輩の歓喜と興奮に満ちた声が追いかけてくる。
そして、その声に呼応するように、破壊性の触手たちが、ドアの隙間から廊下へと這い出してきた。 ハルカは意識こそ失っていないが、触手に弄ばれた羞恥と疲労で、俺の肩にぐったりと体重を預けている。破れた制服は、夜の廊下の冷たい空気にも関わらず、妙に熱を持っていた。
「くそっ、重い!」
そう言いつつ、俺は決してハルカを離さない。全力疾走は無理だが、覚醒した右腕の熱が、俺の身体能力を底上げしている気がした。
シュルシュルシュル!
背後から、破壊性の黒い触手が、床や壁を這い、異様なスピードで迫ってくる。
俺はハルカを背中側に隠すように抱きしめ、迫りくる触手に対して右腕を突き出した。
ビリビリ!
狙いを定める余裕はない。適当に突き出した腕が触手に触れた瞬間、触手は硬いプラスチックのようにビタッと止まり、その場でボキリと折れた。
「今の力……本当に俺なのか?」
驚く間もなく、今度は別の触手が頭上の水道管を伝って忍び寄る。
俺は避けるために上を見上げ、無意識に左手を壁についた。
ミシミシッ!
触手とは関係のない、その壁の一部が、俺の左手に触れた途端、白く硬直した。そのまま耐えきれずにバリバリとひび割れ、壁から大量のホコリが舞い散る。
「やめて! 私の貴重な被験体!」
背後から、菫先輩がヒステリックな声を上げながら走ってくる。
ドタバタと逃げ、ドタバタと意図せず壁を破壊する。これが俺の新たなヒーロー像らしい。
「伊達くん! その力は私のものよ! 立ち止まりなさい!」
俺は廊下の角を曲がろうとした。その時、前から、蛍光灯の光を浴びた見慣れた人物が現れた。
「ん? おやおや、こんな時間に騒がしいね。夜間警備員の大山さんじゃん!」
角から現れたのは、呑気な顔をした中年警備員の大山さんだった。彼は俺たちの姿を見るなり、持っていた警備用の懐中電灯を落とし、目が点になった。
警備員が目にした光景はこうだ。
1. 息を切らして走る、興奮した様子の大学生(菫)。
2. 触手で半裸状態の女性(ハルカ)を抱え、汗まみれで逃げる大学生(国男)。
3. 二人の後ろから、硬直したり折れたりした触手が這い出している。
「あ、あ、あ、ああ……風紀紊乱! 待ちなさい君たち! そしてその奇妙な紐はなんだね!」
大山さんは、触手を「奇妙な紐」と認識したまま、俺たちに向かって手を広げた。
「邪魔ですわ、大山さん!」
後ろから追いついた菫先輩が、大山さんの制止を無視して、彼を突き飛ばした。
「ぐわっ!?」
突き飛ばされた大山さんは、運悪く、廊下の隅に積んであった消火器の山に突っ込んだ。
ガラガラガラ! ドンッ!
大きな音と共に消火器が床に散乱し、そのうちの一本が触手本体からの黒い粘液を踏みつけ、派手に滑った! 「うわっ、滑る!?」
大山さんが派手に転倒した拍子に、彼が抱え込んだ消火器の安全ピンが外れ、レバーが床に強く打ち付けられた。
プシューーーーーーーーーッ!!
凄まじい噴射音と共に、廊下一面に真っ白な消火剤の粉末が爆発的に広がった。それはまるで、舞台の煙幕装置が暴走したかのような光景だった。
「ゲホッ! ゴホッ! な、なんだねこれは! 前が見えん!」
「きゃあっ! 煙!? 火事!?」
視界は一瞬でゼロになった。ピンクの粉塵が舞う中、俺はとっさにハルカの頭を抱え込んで粉から守った。
「ナイスだ、大山さん! これなら奴らの視界も遮れる!」
俺の読みは当たっていた。追ってきた破壊性の触手たちは、突然の視界不良と、漂う微粒子の嵐に感覚器官を狂わされたのか、方向を見失ってデタラメにのたうち回っている。
「なっ……! 視覚情報と嗅覚情報が遮断された!? ええい、邪魔ですわ!」
煙の向こうで、菫先輩が苛立ちながら咳き込んでいるのが聞こえる。
「今のうちだ! 走るぞハルカ!」
「う、うん……目が、痛い……」
俺はハルカの手を引き、煙の中を手探りで進んだ。
その時、背後から大山さんの悲痛な叫び声が聞こえた。
「うわあっ! なんだこのホースは! 巻き付いてくるぞ! ちょ、どこを触っている! 私は君たちのお父さんくらいの年齢だぞ!」
どうやら、方向を見失った触手の一本が、手当たり次第に動くもの──つまり大山さん──を捕獲したらしい。
「すまん大山さん! あんたの犠牲は無駄にしない!」
俺は心の中で合掌し、出口の方角へと足を向けた。
しかし、廊下の突き当たりにある外への扉に手をかけた瞬間、絶望が走った。
「開かない……!?」
鍵がかかっているわけではない。ドアのガラス越しに見える外の景色が、真っ黒な『何か』で覆われていたのだ。
ドンドン! 叩いてみるが、反応はゴムのように鈍い。
「嘘だろ……。旧図書館棟全体が、もう奴の体内みたいになってんのかよ!?」
「あ、あそこ……! 渡り廊下!」
粉まみれになり、まるで天ぷらの衣をつけられたような状態のハルカが、震える指で上を指した。
それは、隣の体育館棟へと続く、2階の渡り廊下だった。
「あそこなら、まだ侵食されてないかもしれない!」
「よし、行くぞ!」
俺たちは階段を駆け上がった。粉末の煙が晴れ始め、下では白粉まみれになった菫先輩が、鬼のような形相でこちらを見上げているのが見えた。
「逃がしません……! その『適合者』の肉体、解剖してでも調べ尽くしてあげますわ!」
先輩の背後では、全身を触手に緊縛され、宙吊りにされた大山さんが「風紀……紊乱……」と力なく呟きながら回転していた。 「ちょ、ちょっと待って国男! 速いってば!」「待ってたら死ぬぞ! ほら、もうすぐ体育館だ!」
渡り廊下を走りながら、ハルカが悲鳴を上げる。意識がはっきりしたことで、彼女はようやく「現状」を正しく認識し始めたらしい。
「っていうか、私の服! 前が全開じゃない! キャアアアア! 見ないで! 絶対に見ないで!」「今さら隠しても手遅れだろ! さっきまでガン見せだったぞ!」「デリカシー! あんたホント最低!」
バシッ! 走りながら、ハルカの裏拳が俺の頬にクリーンヒットする。「いってぇ! 理不尽だろ!」「うるさい! あと、その右手なによ! ゲーミングPCみたいに光ってるけど!」「俺が知るか! 勝手にこうなったんだよ!」
ギャーギャー言い合いながらも、俺たちは体育館の重厚な鉄扉にたどり着いた。俺は光る右腕でノブを破壊し、中へと転がり込むと、内側からバスケットボールのボールカゴやマットを積み上げ、必死にバリケードを築いた。
「はぁ……はぁ……これで、少しは時間を稼げるか……」深夜の体育館は静まり返っている。「と、とりあえず、何か着るものを……」
ハルカは顔を真っ赤にしながら、体育倉庫の方へ走った。数秒後、戻ってきた彼女は、なぜか柔道部が置き忘れたであろう、ぶかぶかの柔道着(上のみ)を羽織っていた。
「……なんで柔道着?」「これしかなかったのよ! 文句ある!?」ボロボロの制服スカートに、上は男物の柔道着。帯は締めておらず、胸元がはだけそうで危なっかしい。「それより国男、ここからどうするの? 外への出口は全部……」
ドォォォォォォン!! ハルカの言葉を遮るように、俺たちがバリケードを築いた鉄扉が、外側から強烈な衝撃を受けた。「開けなさい! 往生際が悪いですわよ!」扉の向こうから、菫先輩の声が響く。「しつこいな、あの人!」俺が身構えたその時だった。
ズズズ……。異変は、扉の方ではなく、床下から起きた。体育館の床板の隙間から、あの黒い粘液が噴水のように染み出し始めたのだ。「きゃっ!?」ハルカが飛びのく。粘液は意思を持ったように集まり、体育館にある「器具」へと絡みついた。
ゴゴゴ……ガシャン! 跳び箱が、マットが、そしてバレーボールの支柱が、独りでに動き出す。触手はそれらの器具を乗っ取り、まるで手足のように操り始めたのだ。
「嘘でしょ……跳び箱が歩いてる!?」ハルカが絶句する。そこには、触手の足を生やした「多脚戦車・跳び箱」と、ネットを触手のように振り回す「食人バレーポスト」が立ち塞がっていた。
「伊達くん! 体育館なら逃げ場があると思いましたか?」バリケードが突破され、粉まみれの菫先輩が悠々と入ってくる。「ここは既に、御神体の『胃袋』の中のようなものです!」
「くそっ、やるしかないのか!」俺は光る右腕を構えた。するとハルカが、体育倉庫から竹刀を二本持ち出し、一本を俺に放り投げた。「国男! 私も戦う!」柔道着の裾を翻し、ハルカが竹刀を構える。その姿は妙に勇ましく、そしてやっぱりちょっと変だった。 「行くぞハルカ! 背中は任せた!」「わ、分かったわよ!」
俺の号令と共に、「多脚跳び箱」が猛スピードで突進してくる。俺は光る右腕に力を込め、竹刀を一閃させた。「ふんっ!」
バガァン! 強化された竹刀の一撃が、跳び箱を真っ二つに粉砕する。木片と黒い粘液が飛び散った。
「すっご……! 私だって!」
ハルカも負けじと、襲いかかる「食人バレーネット」に向かって竹刀を振り上げた。「ええい、邪魔よ!」
だが、彼女は致命的なことを忘れていた。その柔道着の下が全裸であり、帯すら締めていないことを。
勢いよく上段に振りかぶった瞬間、遠心力で柔道着の前がガバッと大きく左右にはだけた。
「あっ」
隠すもののない豊満な二つの果実が、照明の下で完全に露わになる。激しい動きに合わせて、汗ばんだ白い肌と、先端の愛らしい桜色の突起が、プルンと大きく弾んで波打った。
「ぶふっ!」
視界の端で揺れるものすごい「質量」に、俺は思わず吹き出した。その隙を突き、死角から飛んできたドッジボールが俺の顔面にヒットする。「ぐべっ!」
「きゃあああ! い、今のは事故よ! 見ないで!」
ハルカは真っ赤になって胸を隠そうとするが、バレーネットの触手がその絶好の隙を見逃すはずがない。
シュルルッ!
網状の触手が、無防備に晒されたハルカの上半身に巻き付く。網目が食い込み、豊かな膨らみを無惨な形に変形させながら、その先端が乳首を執拗に擦り上げ始めた。
「ひゃうっ! 網が……擦れて……っ!」
「ハルカさんは本当に良い反応をしてくれますねえ」
菫先輩がうっとりとスマホを構える。「その恥じらいと快感が、器具と融合した御神体をさらに活性化させるのです!」
「くそっ、ハルカ!」俺が助けに入ろうとした時、床が大きく隆起した。
バスケットコート全体が巨大な口のように裂け、そこからヌルヌルと光る「マット」が舌のように伸びてきた。 「んんっ! 網が、食い込んで……!」
ハルカの悲鳴が艶めかしい。バレーネットの粗い網目が、露わになった柔らかな双丘に容赦なくめり込んでいる。擦れるたびに、敏感な突起が網目の摩擦でコリコリと刺激され、彼女の腰がビクンと跳ねる。
「いやらしい……なんとふしだらな光景!」
菫先輩が興奮してシャッターを切る中、床から伸びた巨大な「マットの舌」が、獲物を求めてのたうった。
ヌチョォ……。
それは俺を無視し、ネットに拘束されたハルカの、無防備な下半身へと狙いを定めた。
「やめろ! させるか!」
俺は竹刀を叩きつけるが、マット特有の弾力でボヨンと弾かれる。「無駄ですわ。その衝撃吸収素材は物理攻撃を無効化します!」
マットの舌先が、ハルカのスカートの中に潜り込む。「ひゃあっ! 何これ、ザラザラして、熱い……!」
太ももの内側を、巨大なマットのザラついた表面が舐め上げる。上は網、下はマット。ハルカは完全にサンドイッチ状態だ。
「くそっ、打撃がダメなら!」
俺は焦りの中で、右腕が脈打つのを感じた。熱い。焼けるようだ。「どけぇぇぇ!」
俺は竹刀を捨て、光り輝く右掌を、マットの側面へ直接押し当てた。
ジュワァァァァァ!
「ギャアアアアア!?」
マットから生物のような悲鳴が上がり、俺が触れた部分から急速に「ウレタン」が硬質化していく。
「い、今だ! ハルカ、伏せろ!」
「えっ? きゃうっ!」
俺は硬直して動かなくなったマットを足場にして跳躍し、上空からハルカを縛るネットを、輝く手刀で切り裂いた。
バリバリッ!
解放されたハルカが俺の胸に飛び込んでくる。
「く、国男ぉ!」
だが、その衝撃で俺たちはバランスを崩し、大量のバレーボールが入ったカゴの中へ、二人抱き合ったまま頭から突っ込んだ。
ガシャーン! ゴロゴロゴロ!
大量のボールが雪崩のように崩れ、俺たちを埋め尽くす。
「いったぁ……。おいハルカ、大丈夫か?」
「うぅ……目が回る……って、国男! あんたの手、どこ触ってんのよ!」
ボールに埋もれた密着状態で、俺の手は偶然にも、彼女の裸の胸を直に鷲掴みにしていた。 「ちょ、ちょっと! いつまで揉んでるのよ! 離して!」
「わ、悪ぃ! でもボールが詰まってて手が抜けないんだよ!」
暗いボールの山の中で、俺の手のひらにはハルカの柔らかな果実の感触と、先端の固くなった突起の感触がダイレクトに伝わっている。「んっ……! 変な風に動かさないで……!」ハルカの吐息が耳元にかかり、俺の理性が飛びそうだ。
だが、その時。俺が掴んでいる『胸』とは別の、『ボール』の方から異様な熱気が伝わってきた。
「……おい、なんかこのボール、暖かくないか? それにブヨブヨして……」
「え? 何言ってるの……きゃっ! 何かヌルッとしたものがお尻に!」
『あら、気が付きました? 二人の愛の熱気で、孵化が早まったようですね』
カゴの外から菫先輩の楽しげな声が聞こえる。
バシュッ! グチュッ!
周囲のバレーボールが一斉に弾けた。中から飛び出したのは空気ではなく、ローションのような大量の透明な粘液と、無数の『ミニ触手』だった!
「いやぁぁぁぁ! 何これ! ヌルヌルぅ!」
「うおっ! ボールが全部卵だったのかよ!」
俺たちは粘液の海となったカゴの中で揉みくちゃにされる。生まれたてのミニ触手たちは、親を求めるように、俺たちの服の隙間や、ハルカの裸の胸、そしてスカートの中へと一斉に潜り込んできた。
「あ、だめ! そんなちっちゃいの、入って……! お腹とか、太ももとか、這わないでぇ!」「くそっ、耳に入ってくるな!」
俺は光る右腕を全開にした。「うおおおおお! 吹き飛べぇぇぇ!」
ドカァァァン!!
俺はカゴを内側から爆破し、粘液まみれのボール(卵の殻)と共に、俺たちは体育館のフロアへと飛び出した。
「はぁ、はぁ……最悪……」
着地したハルカを見て、俺は言葉を失った。
全身が透明なローションまみれ。吸水性の良い柔道着は粘液を吸ってスケスケになり、肌にぴったりと張り付いている。その下の豊かな胸の形も、スカートの中の下着のラインも、濡れた透け感で完全に丸見えだ。
「素晴らしいテクスチャですわ、ハルカさん」
ステージの上でスポットライトを浴びた菫先輩が、マイクを持って立っていた。
「さて、第2幕のクライマックスです。舞台装置(ステージ)よ、演じなさい!」
ゴゴゴゴゴ……。
体育館のステージの緞帳(どんちょう)がゆっくりと上がり、そこにはグランドピアノと融合した、巨大な『触手ピアニスト』が待ち構えていた。 か「さあ、開演です! 曲は『絶頂への狂詩曲(ラプソディ)』!」
菫先輩の指揮に合わせ、グランドピアノの蓋がバカッと開き、そこから伸びた無数の触手が鍵盤を叩き始めた。
ジャァァァァァン!!
不協和音が体育館に響く。だが、ただの音ではない。「ひゃっ!? なに、これ!?」
ハルカが悲鳴を上げる。音波が、俺たちの全身に張り付いたローションと共振し、微細な振動(バイブレーション)を引き起こしたのだ。
「んんっ! いや、震えてる……! 服も、中も、全部……っ!」
スケスケの柔道着の下、ハルカの豊満な胸や、太ももの肉が、音に合わせてプルプルと細かく波打つ。
「くそっ、俺のイチモツまで共振させるな! 戦いにくいだろ!」
俺は光る右腕を構えて踏ん張ろうとするが、床もヌルヌルで足が滑る。「おっとっと!」
ツルッ! ドテッ!
「きゃあ!?」
派手に転んだ俺は、そのまま勢いで滑走し、四つん這いで耐えていたハルカの股下を猛スピードでくぐり抜けた。
「ごめんハルカ! 景色は最高だった!」
「バカァ!」
その隙に、ピアノの中から鋭利な『ピアノ線』が触手のように伸び、俺たちを狙う。「シュシュシュ!」
「危ねえ!」俺はヌルヌルの床を利用して、ブレイクダンスのように回転しながら線を回避する。
「伊達くん、避けてばかりですか? フィナーレにはまだ早いですよ!」
ピアノ線がハルカの手足を拘束しようと迫る。「いやっ、来ないで!」振動で腰砕けのハルカは動けない。
「させるかよ!」
俺は壁を蹴り、その反動とローションの潤滑性を利用して、自らを『人間ミサイル』として射出した。
「食らえ、ヌルヌルタックル!」
ドォォォォン!!
俺の頭突きがピアノの側面に直撃。しかし、ピアノはゴムのようにたわんで衝撃を吸収し、逆に俺をボヨヨンと弾き飛ばした。
「ぐわぁっ! 物理無効かよ!」
弾かれた俺は、あろうことかステージ上の菫先輩の方へ飛んでいく。
「え? ちょっと、伊達くん!?」 「きゃあああ!?」
俺という巨大なヌルヌル弾丸は、見事に菫先輩に直撃した。勢いで二人もつれ合い、ステージの上をスケートのように滑っていく。
「ぶべっ! 先輩、意外と柔らかいっすね!」「どきなさい! 汚い! 粘液がぁ!」
俺の体についた大量のローションが、密着によって先輩の白衣やブラウスにべっとりと移った。清楚だった衣装は一瞬で透明化し、肌に張り付く。
「あら、先輩も結構ハデな下着を……」「分析している場合ですか! この変態!」
バシッ! 先輩が平手打ちを繰り出すが、手がヌルヌル滑ってしまい、俺の頬を撫でただけで終わる。「くっ、摩擦係数が!」
その時、暴走状態のピアノが『ステージ上の大きな生体反応』を敵と認識した。
ヒュンヒュン!
さっきまで俺たちを狙っていたピアノ線触手が、今度は『俺と先輩の塊』に向かって殺到する。
「ちょ、お待ちなさい御神体! それは私……きゃああっ!」
俺はヌルりと身を捩って回避したが、逃げ遅れた先輩が捕まった。
「離しなさい! 私は飼い主よ! んっ……くい込む……!」
細いピアノ線は容赦なく先輩の手足を縛り上げ、空中に吊り上げる。線が太ももや胸の肉に深く食い込み、あっという間に芸術的な『亀甲縛り』が完成してしまった。
「ああんっ! 締め付けが……きついっ! こら、どこに入って……んんっ!」
黒幕が一転、辱めのヒロインへと転落する様を見上げ、俺は叫んだ。
「チャンスだハルカ! 音が止んだぞ!」
指揮者が捕まったことで演奏が止まり、振動地獄から解放されたハルカが、ふらふらと立ち上がる。
「はぁ、はぁ……よくも私の体を、あんな電動マッサージ機みたいに……!」
ハルカの目は怒りに燃えていた。透けた柔道着をはだけさせながら、彼女は落ちていたマイクスタンドをひっ掴んだ。
「国男! あいつ、蓋が開いた今がチャンスよ! あの黒い中身を叩くの!」
「おうよ! 先輩ごと貫くぜ!」
「私を巻き込むなぁぁぁ! いやっ、そこ! 揺らさないでぇ!」 「行くわよ国男! 私の怒りのフォルテシモを聞けぇ!」
ハルカが透けた柔道着をはためかせ、マイクスタンドを槍のように突き出す。「そぉい!」
ガガガッ! スタンドの先端が、ピアノの鍵盤の隙間に深々と突き刺さった。「ギ、ギィィィ!?」
異物が混入し、ピアノ内部の触手がのたうち回る。その反動で、吊るされた菫先輩がヨーヨーのように激しく上下した。「ああっ! 揺れる! 食い込む! ちょ、扱いが雑ですわよ!」
「今だ! 先輩、ちょっと痛いかもしれんが我慢してくれ!」
俺は右腕の輝きを最大出力に高め、混乱するピアノの心臓部──黒く脈打つコアめがけて跳躍した。
「必殺! キャンパス・ラブ・エクスプロージョン(適当)!!」
ズドォォォォォン!!
俺の拳がコアを貫いた瞬間、ピアノは断末魔のような不協和音を奏でて爆散した。
黒い部品と粘液、そして大量の楽譜が紙吹雪のように舞い散る。
「きゃああああ〜〜!」
拘束が解けた菫先輩が、放物線を描いて落下し、跳び箱用のウレタンマット(非生物)の上にボヨンと着地した。「ふぎゃっ!」
俺とハルカも、黒焦げになりながらフロアに着地。「やったか……?」「ぜぇ、ぜぇ……ピアノはスクラップね」
静寂が戻った体育館。だが、安心したのも束の間だった。
ゴゴゴ……ピシッ、ピシッ。
爆発の衝撃で、体育館の壁に亀裂が入っていく。「あ、あれ? やりすぎた?」
ドガラァァァン!
壁一面が崩落し、外の冷たい夜風が吹き込んできた。
「げほっ……なんてことしてくれますの……」
マットの上で目を回している菫先輩は、服もボロボロ、縄(ピアノ線)の跡も生々しく、完全に事後の様相だ。「でも、おかげで出口ができましたわ」
崩れた壁の向こうには、月明かりに照らされた屋外プールの水面がキラキラと輝いていた。
「プールだ! あそこを通れば、理学部棟へ抜けられるかもしれない!」
「水……! 身体のベトベトを洗いたい!」
ハルカが目を輝かせる。だが俺は嫌な予感しかしなかった。触手×プール。これはもう、フラグ以外の何物でもない。
「待てハルカ! プールは危険だ!」
制止も聞かず、ハルカは崩れた壁からプールサイドへと走り出してしまった。 「ふあぁ〜! 気持ちいい! 生き返るぅ!」
ザッパァァン!
ハルカは躊躇なく夜のプールに飛び込んだ。水しぶきが月明かりに輝く。「国男も入りなよ! あのヌルヌル、すっきり落ちるわよ!」
プールサイドに追いついた俺は、水面を見て凍りついた。「バカ! よく見ろ! それはただの水じゃねえ!」
「え? なに……?」
ハルカが動きを止める。
彼女の周囲の水面が、不自然に盛り上がり、ゼリー状に震えていた。
そう、このプールを満たしているのは水ではない。透明度100%の『スライム状触手液』だったのだ。
「あら、実験用のアメーバ培養液が漏れ出していたのですね」
ボロボロの菫先輩が俺の横に並び、眼鏡を光らせる。「ちなみにそのアメーバは、『繊維質』だけを選択的に溶解する性質がありますの」
「へ?」
ハルカが間の抜けた声を上げた瞬間だった。
シュワワワワ……!
彼女が羽織っていた柔道着と、ボロボロのスカートが、水に触れた端から急速に溶け始めた。
「きゃあ!? 服が! 溶けてる!? 泡になってく!」
「いやっ、隠すとこ無くなっちゃう!」
ハルカは慌てて胸を隠そうとするが、両腕で隠せる面積などたかが知れている。白い柔道着は透明なゲル状になり、ハルカの豊かな肢体を包む薄い膜へと変わっていく。
それは裸よりも扇情的だった。濡れて光る肌、寒さと羞恥で尖った胸の突起、そして腰のくびれが、月光の下でフルオープンになる。
「国男! 見ないで! っていうか助けてぇ!」
「目に焼き付けた! ……じゃなくて、今行く!」
俺が飛び込もうとしたその時、スライムの海から無数の『水触手』が立ち上がった。
バシャッ! バシャッ!
それらはハルカの手首足首を掴み、プールの中央へと引きずり込んでいく。
「ぶくぶく……! んぐっ、苦しい、変なのが口に……!」
「ハルカ!」
俺は覚悟を決めた。「くそっ、俺の服も溶けるのか!? 知るかよ!」
俺はプールサイドを蹴り、スライムの海へとダイブした。
「待ちなさい伊達くん! そのアメーバは『男』にはもっと激しく反応しますわよ!」
菫先輩の警告通り、俺が着水した瞬間、プール全体が沸騰したように泡立ち、巨大な渦を巻き始めた。
渦の中心から、水を凝縮した巨大なリキッド・クラーケンが姿を現す! 面白い。自分に文才がないことを後悔した。この結末を是非、見届けたい。 「うおっ冷た……くない!?」着水した俺の全身を、温かいゼリーが包み込む。同時に、着ていた服がシュワシュワと泡になって消え失せた。「ま、マジかよ! 俺も全裸!?」
「きゃあ! 国男も変態!」スライムに半身を呑まれたハルカが叫ぶ。彼女の肌は透明な粘液に覆われ、月光を反射して白磁のように輝いている。「見るな! でも助けて! 変なのが……ううっ、中に入って……!」
リキッド・クラーケンの触手が、ハルカの秘所を水流で責め立てているのだ。「おのれ、ウォシュレット攻撃とは卑怯な!」
俺は水を掻いて進もうとするが、スライムの粘度が高く、思うように進めない。「なら、これだ!」
右腕を加熱させる。ジュワッ! 周囲のスライムが瞬時に沸騰し、発生した気泡が推進力となる。「人間魚雷・改!」
ドパン! クラーケンの胴体に突っ込むが、相手は液体。衝撃は吸収され、逆に俺はボヨンと弾き返される。「物理無効パート2かよ!」
「伊達くん! 液体は熱せば蒸発しますわ! でもやりすぎるとハルカさんが釜茹でですよ!」プールサイドの菫先輩が、なぜか持っていた浮き輪をプープーと膨らませながら解説する。
「加減が難しいんだよ!」
クラーケンが怒り狂い、プール全体の水位を一気に上昇させた。ザバーン! 巨大な津波が発生する。
「ゴボッ……!?」ハルカが完全に水没し、スライムの渦に呑まれていく。水中では、無数の水触手が彼女の全身に吸い付き、まるで蛸壺のマッサージ攻めだ。
「ハルカ!」俺は息を止め、濁流の中へ潜った。水中は視界が悪いが、右腕の光が、もがくハルカの裸体を神々しく照らし出す。
俺はその手を掴み、引き寄せた。勢い余って、全裸の二人が水中で完全密着する。「んぐっ!」
肌と肌、胸と胸が、間のヌルヌルローションを介して吸い付くように重なった。ハルカの柔らかな弾力が、俺の胸板に押し付けられる。水中ゆえの浮遊感が、その密着度をさらに高めていた。 (苦しい……! 息が……!)
ハルカの顔が苦悶に歪み、口元からゴボッと泡が漏れる。限界だ。
俺は迷わず、自分の唇をハルカの唇に押し付けた。
「んぐっ!?」
ハルカが目を見開く。俺は肺に残った酸素を、無理やり彼女の口内へと送り込んだ。
(国男……!?)
水中での口移し。スライムのヌルヌルとした感触の中で、唇の熱と、舌が触れ合う生々しい感触だけが鮮明に脳を揺らす。ハルカの腕が、俺の首に必死に巻き付いた。全裸の胸が押し潰されるほど密着する。
だが、クラーケンは空気を読まない。締め付けを強め、俺たちを消化しようと胃袋(プール底)へ引きずり込む。
(このままじゃジリ貧だ……! 一か八かだ!)
俺はハルカの唇を離すと、フリーになった右腕を、クラーケンの核があると思われる真下の水流へ向けた。
(全体を熱したらハルカが茹でダコになる……なら、一点集中! 推進力を生むための、局所的・水蒸気爆発だ!)
「んーっ!(食らえええ!)」
俺は右掌から、ありったけの熱量を一瞬で放出した。
ボッ……ドゴォォォォォォォン!!
水が一瞬で沸騰し、体積が1700倍に膨張する。その爆発的なエネルギーは、行き場を求めて真上へと噴出した。
「ぶごぁぁぁぁぁ!?」
俺とハルカは、巨大な水柱と共に、シャンパンのコルクのようにプールから空高く打ち上げられた。
「ひゃあああ! 高いぃぃぃ! お尻がスースーするぅ!」
「飛んだぁ! 見ろハルカ、月が綺麗だぜ!」
「バカ! 全裸で月見してる場合!?」
二人の全裸人間ロケットは、放物線を描いて落下を開始する。
落下地点には──浮き輪を膨らませていた菫先輩がいた。
「あら、美しい放物線……って、こっちに来ますわよ!?」
「先輩! クッションになってくれ!」
「嫌ですわ! 私の浮き輪が!」
ドサァァァァァッ!
俺たちは狙い違わず菫先輩の上に落下した。スライムの潤滑効果で、俺、ハルカ、先輩の三人は、人間団子となってプールサイドを滑走し、そのまま植え込みの生垣に突っ込んでようやく止まった。
「いってぇ……」
「きゃっ! 国男、どいて! 私の上に乗らないで!」
「あら、ハルカさん。私の上にあなたが乗って、その上に伊達くん……完全な『三段重ね』ですわね」
生垣の中で、男女三人が折り重なる。俺の股間にはハルカの柔らかいお尻があり、ハルカの顔は先輩の胸に埋もれていた。 「んぐっ……重い……どきなさい!」
一番下の菫先輩が呻く。だが、俺の股間にはハルカのモチモチとしたお尻が密着し、少し動くだけで全身が卑猥に擦れ合う。
「ひゃうっ! く、国男! なんか当たってる! 背中に、硬いのが!」
「不可抗力だ! 生物学的反応なんだよ!」
「最低! 早く抜いてよ……あ、意味違うから!」
ドサッ。菫先輩が渾身の力で俺たちを跳ね除けた。
「寒っ!」「キャッ! 見ないで!」
ハルカは慌てて近くの「フキの葉」で股間と胸を隠す。「原始人かよ!」
「まったく……私の白衣もドロドロですわ」
先輩は用具小屋を指差した。
「あそこに園芸部の備品があります。裸族で歩く趣味がないなら、何か着ることね」
小屋の中はカビ臭い。「服……あった!」
ハルカが見つけたのは、園芸用の『透明ビニール合羽』と『ゴム長靴』だけ。
「なんで透明なのよぉぉぉ!」
「文句言うな! 着ないよりマシだ!」
数分後、素肌に透明なカッパを羽織り、重要部分をガムテープで目隠ししたアバンギャルドな二人が完成。
カッパの内側は蒸気で曇り、逆に肌の質感が艶めかしい。
「……ねえ、これ余計にエロくない?」
「安心しろ、俺も全裸にカッパだ。変質者度なら負けてない」
「さて、装備も整ったところで」菫先輩が旧図書館棟を見据える。
ズズズ……。地面が低く唸り、巨大な黒い柱が立ち上っていた。
「御神体が、最終形態へ移行し始めました」
「あそこに戻るのか……」俺は光る右腕を握りしめた。
「行くぞハルカ。元凶を叩いて、まともな服を取り戻す!」
「動機が不純! でもやるしかないわね!」
俺たちが走り出そうとした瞬間、足元の芝生が一斉に牙を剥いた。ガサガサッ!
「お待ちなさい。御神体の親衛隊、『マンドラゴラ触手』のお出ましです」
地面から、人の顔のような根っこを持つ植物触手が無数に飛び出してきた! 「キィィィィィィ!!」
マンドラゴラが一斉に叫んだ。鼓膜を破るような高音。
だが、それはただの悲鳴ではない。脳の理性を溶かすような、甘く痺れる「魔性の歌声」だ。
「くっ、腰が……力が抜ける……!」
俺はその場に膝をついた。ハルカもカッパ越しに地面にへたり込む。
「あぁ……何これ、声を聞いてるだけで、身体が熱い……」
その隙を突き、根っこ状の触手が足元から這い上がってきた。
ズルズルッ。
湿った土のついた触手が、俺たちのカッパの裾から内部へと侵入する。
「いやっ! 透明だから見えてる! 中に入ってこないで!」
ハルカのカッパの中で、茶色い根が白い肌を這い回る様子が、ビニール越しに丸見えだ。
まるでテラリウムの観察日記のように、淫らな光景が展開される。
「ダメ、そこは! テープ剥がさないで! それが最後の砦なの!」
触手は正確に、乳首と股間を隠すガムテープの端をカリカリと引っ掻き始めた。
バリッ……。「あんっ! 剥がれるぅ!」
「ハルカ! くそっ、この大根役者どもが!」
俺はふらつく足で立ち上がり、園芸小屋にあった『草刈り鎌』を構えた。
右腕のエネルギーを鎌に伝導させる。「レーザー・カマ、起動!」
ブォン!
赤熱した鎌を一閃。マンドラゴラの首(顔)が次々と宙を舞う。
「ギャッ!」「アベシ!」
首を飛ばされた株からは、血の代わりに緑の粘液が噴き出し、俺たちのカッパをさらに汚していく。
「黙りやがれ! 俺たちの貞操は、ボスまで取っておくんだよ!」
「伊達くん、その宣言なんか変ですわよ?」
俺はマンドラゴラ畑を更地にし、半泣きのハルカの手を引いた。
「行くぞ! テープが全開になる前に!」 「はぁ……はぁ……伊達くん、見ないで……」
透明カッパの中は汗と緑汁でぐちゃぐちゃ。ハルカの乳首テープは半分めくれ、ピンクがチラチラ覗いてる。
次のエリアに踏み込むと、ぬるりと足首を掴まれた。
「きゃあっ!?」
巨大食虫植物の群生地だ。倍はある捕虫葉がパクパク開いて俺たちを待ち構えてる。
ハルカが転んだ拍子、粘液まみれの葉が彼女を包み込む。
ジュルル……。
カッパが溶け始め、胸にポッカリ穴が開いた。
「あっ……出ちゃってる……おっぱい丸見え……!」
俺も絡め取られ、葉の裏から細い管がズボンの上から股間をピンポイントで捉える。
「うおっ!? 吸うなって!」
ハルカの悲鳴。
「ひゃうっ! おっぱいに管が……吸われて……気持ち……じゃなくて! やめてぇ!」
「もう我慢ならねぇ! レーザー・カマ、再起動!!」
ブオオオン!
赤熱した鎌で一気に薙ぎ払い、ハルカの手を掴んで逃げる。
溶けかけたカッパを押さえながら先へ。
すると看板が。
『ボス部屋前 最終試練:触手の園』
「やだ……絶対ダメなやつ……」
ハルカが涙目で俺の腕にしがみつく。
「伊達くん……最後まで守ってね……?」
「……ああ、任せとけ」
(でも俺のテープも、もうヤバいんだよな……)【Grok】 意を決して「触手の園」に足を踏み入れた瞬間、むせ返るような湿気と、生臭い体液の臭いが鼻をついた。
そこはもう、大学の敷地ではなかった。壁も床も天井も、すべてが脈打つ肉壁と、そこから生える無数の触手で埋め尽くされた、おぞましい**「肉の回廊」**だった。
「ひっ……! 床が、動いてる……!」
ハルカが悲鳴を上げる。足元の床は土ではなく、指先ほどの太さの『絨毯型ミニ触手』がびっしりと蠢いて形成されていたのだ。一歩踏み出すたびに、無数の小さな吸盤が長靴に吸い付き、足を取られる。
「くそっ、歩きにくい! ハルカ、離れるなよ!」
俺たちが重心を崩した、まさにその時だった。回廊全体が「獲物が来た」と認識し、一斉に襲いかかってきた。
シュルルルルッ! ヌチョォォォン!
左右の壁から、血管が浮き出た太い『拘束用触手』が飛び出し、俺たちの手足を絡め取る。
「ぐああっ! 力が強い!」
鎌を持つ右手が封じられた。そして、天井からは、先端が細かく分岐し、繊毛に覆われた細い『感覚刺激用触手』が、雨のように降り注いだ。
「いやぁぁぁ! 入ってくる! カッパの中に、いっぱい!」
ハルカのカッパの裾と、破れた胸元から、細い触手が雪崩れ込む。
それらは正確に弱点を狙った。半分露出していた乳首には、細かい繊毛がまとわりつき、電動ブラシのように高速で振動を始める。
「ああっ! そんな、細かく震えて……! 乳首、おかしくなるぅ!」
さらに、別の触手がスカート(既に溶けてないが)の中へと侵入し、最後の砦である股間のガムテープに喰らいついた。
ビリビリビリッ!!
「ギャアアアア! 剥がされたぁぁぁ!?」
ついに、ハルカの秘所が完全に外気に晒された。透明なカッパ越しに、無防備なワレメと、そこに殺到する触手の群れが丸見えになる。
「ハルカ! くそっ、俺の方も!」
俺の股間のテープも、粘液でふやけて限界を迎えた。ズルリと剥がれ落ち、イチモツが解放されると同時に、ぬるりと冷たい触手が巻き付いた。
「うおっ!? そこを直接締め上げるな! 変な汁を出すんじゃない!」
「素晴らしい……! ここは御神体の中枢へ入る前の『最終調整エリア』。あなた方の性感帯をスキャンし、感度を極限まで高めているのですわ!」
後方で、菫先輩が触手に揉みくちゃにされながらも、恍惚の表情で解説している。
「調整されてたまるか! 俺たちは、ボスを倒しに来たんだよ!」
俺は全身の力を振り絞り、右腕の拘束を無理やり引きちぎった。
「ハルカ、掴まってろ! 強行突破だ!」
俺は右腕に全エネルギーを集中させ、前方の肉壁に向かって解き放った。
「どけぇぇぇぇぇ! エロ触手どもぉぉぉぉ!!」
ズドォォォォン!!
肉壁の一部が吹き飛び、その向こうに、見覚えのある重厚な「旧図書館の扉」が現れた。
俺たちは互いに全裸(カッパ着用)で粘液まみれのまま、もつれ合うようにして、ついにボス部屋の扉へと飛び込んだ! (前スレ:ガムテープが剥がれ全裸+透明カッパ姿になった二人が、粘液まみれで旧図書館の「ボス部屋」へ突入)
「うおおおおお! 突入!」
俺とハルカは、勢い余ってボス部屋の床にヘッドスライディングで突っ込んだ。カッパのビニールと床の粘液が摩擦係数ゼロの滑りを生み、俺たちはカーリングのストーンのように部屋の中央まで滑走した。
「止まんないぃぃぃ! どこまで行くのよぉ!」
「ブレーキが効かねえ! 誰かスイープしてくれ!」
ズドン!
俺たちは部屋の中央に鎮座する、巨大な『何か』に衝突して止まった。
顔を上げると、そこには以前の肉塊とは比べ物にならない、禍々しくも神々しい姿があった。天井まで届く巨大な肉の柱。その表面には無数の赤い瞳がギョロギョロと動き、先端には王冠のように咲き誇る巨大な「肉の花弁」があった。
「ようこそ、聖なる『初夜』の会場へ!」後から滑り込んできた菫先輩が、ボロボロの白衣を翻して叫ぶ。「御神体は成体となり、花嫁を待っています。さあハルカさん、そのカッパを脱いで、肉の寝床へ!」
「誰が花嫁よ! 生理的に無理!」
ハルカが拒絶した瞬間、肉の花弁からピンク色の花粉が猛烈な勢いで噴き出した。
プシューーーッ!
「げほっ! なにこれ、甘い匂い……」
花粉を吸い込んだハルカの顔が、一瞬でとろんと蕩ける。
「あぁ……なんか、身体が疼く……。国男、私、熱い……」
透明カッパの中で、ハルカが自分の身体を抱きしめ、もじもじと内股を擦り合わせ始めた。強力な催淫花粉だ。
「ハルカ! しっかりしろ! ここで発情したら終わりだぞ!」
「でもぉ……我慢できない……」
ハルカが潤んだ瞳で俺を見つめ、カッパの前をはだけようとする。
「させるかよ、エロ花! 俺が散らしてやる!」
俺は理性を保つため、光る右腕を肉の柱に突き刺した。
「ヒート・ナックル・改! 燃え尽きろ!」
ドゴォォォォォン!!
俺の一撃が柱の根本を爆砕した。肉片が飛び散り、巨大な悲鳴が響き渡る。
「やったか!?」
だが、菫先輩が狂ったように笑い出した。
「あーあ、やっちゃいましたわね伊達くん。そこは御神体の『急所』ではなく、『栓』ですわよ?」
「え?」
ゴゴゴゴゴゴゴ……!! 地面が激しく揺れ、俺たちが立っている床──いや、旧図書館の土台そのものが、音を立てて崩落し始めた。
「大学の地下には、広大な旧下水道と地下空洞が広がっています。御神体はそこへ根を張りに行こうとしていたのに……一緒に落ちますわよー!」
「嘘だろぉぉぉぉ!?」
ガラガラガッシャーン!! 俺とハルカ、そして菫先輩と巨大な肉塊は、底知れぬ地下の暗闇へと、ドタバタと落下していった。 「うわあああああ!」「きゃあああああ!」ドッパァァァァン!!
激しい水音と共に、俺たちはドブ臭い汚水の川に叩きつけられた。
「プハッ! ゲホッ……くっさ! なんだこの水!」
俺は顔を拭い、周囲を見回す。完全な暗闇だ。俺の右腕の光だけが、頼りない照明となっている。
「ハルカ! 無事か!?」
「んん……国男……熱い……」
ハルカは俺の背中にしがみついていた。透明カッパは着水でめくれ上がり、全裸の柔らかな感触がダイレクトに背中に伝わる。
花粉の催淫効果はまだ切れていないらしい。彼女は荒い息を吐きながら、俺の首筋に顔を埋めている。
「ダメ……身体の奥がウズウズするの……かき回して……」
「おーい! 起きろ! 発情してる場合じゃないぞ!」
「あら、良い環境じゃありませんか」
闇の向こうから、菫先輩が優雅に(?)汚水を泳いできた。
「ここは明治時代に作られた旧地下水路。有機廃棄物の宝庫ですわ!」
先輩の言葉を裏付けるように、周囲の闇から無数の赤い光が灯った。
チュー! チュー!
「ネ、ネズミ!?」
だが、ただのドブネズミではない。背中からイソギンチャクのような触手を生やした、大きさ猫ほどの**『触手ラット』**の群れだ。
「御神体の肉片を食べ、急速変異したようですわね。ハルカさんのフェロモンに惹かれています」
ザザザザッ!
数百匹の触手ラットが、水しぶきを上げて一斉にこちらへ泳いできた。
「ひいぃっ! ネズミは嫌ぁぁぁ!」
ハルカが恐怖で少し正気を取り戻す。「噛まれたら変な病気になる!」
「逃げるぞ! この迷路を抜ける!」
俺はハルカを背負い直し、汚水の中を走り出した。
だが、地下水路は複雑に入り組み、どこが出口か見当もつかない。
「右だ! いや左か!?」
迷う俺たちの頭上から、落下してきたはずの『御神体(肉塊)』が、ヘドロと融合して追いかけてくる音が響く。
ズズズズズ……オオオオオ……。
「国男、あっち! 風が流れてる!」
ハルカが指差した方向、古びた鉄格子の奥から、微かに新鮮な空気が漂っていた。
「よし、あそこだ! 強行突破!」
俺は光る右腕で鉄格子を溶断し、未知のエリアへと飛び込んだ。 「ハァ……ハァ……ここまで来れば!」
俺たちは濡れたコンクリートの上に転がり込んだ。
右腕の光が照らし出したのは、錆びついたレールと、ボロボロのホーム。そして『裏・大学前』と書かれた不気味な看板だった。
「地下鉄……? こんな場所に廃駅が!?」
俺が驚いている背中で、ハルカが熱い吐息を漏らす。
「んっ……国男ぉ……もう無理……」
花粉の効果がピークに達しているようだ。ハルカは俺の背中に密着したまま、カッパ越しに自身の豊かな胸を押し付け、太ももを俺の腰に絡めてくる。
「ねぇ……ネズミはいなくなったでしょ? ここでシてよぉ……」
「バカ! いなくなってない!」
振り返ると、鉄格子の隙間から、触手ラットの大群が雪崩れ込んできていた。
「チチチチチ!(繁殖させろ!)」
「あら、ここは戦時中に生物兵器運搬用に作られた『G号線』ですわ」
菫先輩も追いつき、ホームのベンチに優雅に座る。「そろそろ『始発』の時間かしら?」
ゴォォォォォ……グチョ、グチョ、グチョ……。
トンネルの奥から、車輪の音ではなく、粘着質な何かが這う音が響いてきた。
現れたのは、電車ではない。
車両の形をした、巨大な**『ミミズ列車』**だった。
窓に見える部分はすべて複眼で、車体は赤黒い肉塊でできている。
「うげぇ! 生きてる!」
「ええ、車内は消化液で満たされた特別席ですわよ!」
ミミズ列車がホームに滑り込み、側面の肉が裂けて「ドア」が開いた。
プシューッ(ガス噴射音)。
中からは甘ったるいピンク色の蒸気が漏れ出している。
「国男、あれに乗るの!? 溶けちゃうよ!」
ハルカが正気に戻りかけるが、後ろからはラットの群れが迫る。
「食われるよりマシだ! 一か八か、飛び乗るぞ!」
「ええっ!? 嫌ぁぁぁ!」
俺は嫌がるハルカを抱え(ハルカの股間が俺の腕に密着してまた変な声が出たが無視して)、肉の車両へとダイブした。
「出発進行〜!」
菫先輩も嬉々として飛び乗ってくる。
ドロンッ!
肉のドアが閉まり、ミミズ列車は地下深くの闇へと向かって、ヌルヌルと急加速を始めた。 「うわっ、中は意外と……広い?」
車内は、内臓の中のような暖かさと湿気に包まれていた。
壁や床は赤黒い肉壁だが、座席はフカフカの絨毛で覆われ、天井からは無数の「吊り革」のような触手がぶら下がっている。
「ゴホッ……このピンクの霧、さっきの花粉と同じ匂いがする……」
ハルカがカッパの襟元を掴んで膝をつく。彼女の顔は既に真っ赤で、目はとろんと潤んでいる。
「国男ぉ……なんか、この椅子、動いてる……」
「え?」
見ると、ハルカが座り込んだ「優先席」の絨毛が、イソギンチャクのように蠢き、彼女の無防備なお尻や太ももを愛撫し始めていた。
「ひゃうっ! お尻、舐められてるぅ! ヌルヌルして、気持ちいぃ……」
「ハルカ! 今助ける!」俺が駆け寄ろうとした瞬間、車内放送が流れた。
『次は〜、痴漢地獄〜。痴漢地獄〜。お降りの際はお洋服をお忘れなく〜』
「なっ!?」
ガタンッ! ヌチョッ!
列車が急激に揺れ、天井の「吊り革触手」が一斉に降りてきた。それらは俺たちの手首や腰を拘束し、まるで満員電車のようにギュウギュウに押し固めていく。
「いやぁぁぁ! いっぱい触ってくるぅ!」
ハルカが悲鳴を上げる。
見えない透明な乗客(触手)たちが、彼女のカッパの中に侵入し、全裸の身体を揉みしだき始めたのだ。
「ちょ、そこ! ダメ! 敏感になってるのにぃ!」
「ぐわっ、俺まで!」
俺も触手に押され、抗う術もなくハルカの背後に密着させられる。
「すまんハルカ! 押される!」「あんっ! 国男の、当たってるぅ!」
俺の逸物はハルカのお尻の割れ目にピタリとフィットし、揺れるたびに卑猥に擦れ合う。
「あら、ラッシュアワーですわね」
菫先輩だけは、なぜか触手に席を譲られ、優雅に座っていた。
「この列車は消化器官直通。終点は『胃液の海』ですわよ」
「消化されてたまるか! 次の駅で降りるぞ!」
俺はハルカの耳元で叫んだ。「ハルカ、耐えろ! ドアが開いたらダッシュだ!」
「む、無理ぃ……イきそう……」
「我慢しろ! 幼馴染の根性見せろ!」
プシューッ。
列車が減速し、肉のドアが開いた。
目の前に広がっていたのは、ネオン輝く『地下繁華街』だった。 「降りるぞ! ダッシュ!」
プシューッ。ドアが開いた瞬間、俺たちはホームへ転がり落ちた。ミミズ列車はゲップのような音を残して闇へ消えていく。
「はぁ、助かった……」
顔を上げると、そこはネオン輝く地下繁華街だった。赤提灯にパチンコ店。だが住人はスーツ姿の半魚人や、イソギンチャクのバニーガールなどの異形ばかり。
「なによここ……視線が痛い!」
ハルカがカッパの前を合わせる。異形の中でも「透明カッパの全裸美少女」は目立ちすぎた。
「見ろよあの女、スケスケだぜ!」「いいケツしてやがる!」
触手頭のチンピラたちが集まってくる。「まずい! 服だ! あそこの『激安の殿堂 ドン・ゾコーテ』へ入るぞ!」
俺たちは店内に駆け込んだ。「いらっしゃいませぇ〜♪」間の抜けた音楽。商品は食用コウモリや呪いの藁人形などロクなものがない。「衣料品……あった!」
だがそこは『夜の勝負服コーナー』だった。マイクロビキニ、紐パン、女豹ポーズ……布面積がハンカチ以下のものしかない。
「無理! こんなの着れない!」「全裸よりマシだ! 着ろ!」「うぅ……鬼! 国男のバカ!」
ハルカは涙目で『露出狂魔法少女』のパッケージを掴み、ダンボールの試着室へ。俺も『世紀末革パン(尻空き)』を手に取る。
「私は会員なのでVIPルームを使いますわ」
菫先輩だけは涼しい顔で、奥の『大人の玩具売り場』へと消えていった。
数分後。「……死にたい」
ダンボールから出たハルカは、丈が短すぎて紐パンが見えているフリフリスカートに、谷間強調ビスチェ姿。魔法少女というより、完全に夜のお店のお姉さんだ。
「似合ってるぞ。防御力は高そうだ(露出度的な意味で)」「うるさい! あんたこそ変態仮面じゃない!」
その時、爆音と共に店の壁が破壊された。「お客様ぁ〜! 万引きは困りますねぇ〜!」
身長3メートルのサイクロプス(一つ目巨人)店員が、巨大な棍棒を持って現れた! 「万引きじゃない! 後で払う!」
ドガァァァン!
棍棒が棚を粉砕する。「ひぃっ! パンツ丸見えのまま死ぬのは嫌!」
ハルカが極端に短いスカートを押さえて逃げ回る。「見えてるぞハルカ!」「うるさい! あんたなんかケツ丸出しじゃない!」
「くそっ、武器は!」俺は近くのワゴンを漁った。
手に取ったのは『業務用ローション(ドラム缶)』と『打ち上げ花火(極太)』。「これだ!」
「食らえ、ヌルヌル地獄!」俺はローションを床にぶちまけた。
「おっとっと!?」
サイクロプスが巨体を揺らしてステーンと転倒する。地響きと共に、奴の顔面が『こけしコーナー』に突っ込んだ。
「今だハルカ! 魔法攻撃だ!」「ええっ!? これただのコスプレよ!?」
ハルカはヤケクソで、付属の『魔法のステッキ』を振りかざした。「ええい、魔法(物理)少女アタック!」
ポカッ。プラスチックの音が虚しく響く。「……硬い」「効くかぁぁぁ!」
激怒したサイクロプスがハルカを掴み上げる。「お仕置きだ! この万引き少女!」
「きゃあああ! 離して! 紐パンが食い込むぅ!」
その時、奥のVIPルームからモーター音が響いた。「お待たせしましたわ」
菫先輩が、改造された『電動マッサージ機付き・自走式カート』に乗って現れた。
「そこの売り場で即席で組み上げました。『電マ・ガトリング砲』です!」
キュイイイイイ!!
カートから突き出た十数本のピンク色のローターが一斉に回転する。「発射!」
ババババババ!
弾丸のように射出されたローターが、サイクロプスの急所(股間や脇の下)に次々と吸着した。
「アッー! ビリビリするぅ!?」
巨人が快感と痺れで痙攣し、ハルカを取り落とす。
「ナイスだ先輩! トドメだ!」
俺は右腕の熱で花火に着火した。「秘奥義・ドンキホーテ・ファイヤー!」
シュルルル……ドパン!!
花火が巨人の顔面で炸裂。極彩色の光が店内を照らす。「目がぁぁぁ!」
「逃げるぞ! 出口はあっちだ!」
俺たちは混乱に乗じて、店の裏口へとダッシュした。 これまでの『ドタバタ触手大学』のあらすじと、現在の状況(ステータス)のまとめです。
【あらすじ:第1部 大学脱出編】
* 発端(旧図書館)
* 大学生の伊達国男と幼馴染の高木ハルカが、大学の「開かずの間」で触手(御神体)を目覚めさせてしまう。オカルト研の部長、一条院菫(黒幕?)が現れ、国男は右腕に謎の力を覚醒させる。
* 体育館の死闘
* 触手がスポーツ器具(跳び箱、バレーネット)と同化。ハルカは制服を失い、上だけ柔道着(ノーブラ)姿に。
* ボールカゴ(実は卵)や、グランドピアノ触手と戦い、国男の右腕とハルカの竹刀で撃破。
* プールの惨劇
* ローションを洗おうとプールに飛び込むが、水は「繊維溶解スライム」だった。
* 全裸(+スライム)になった二人は、国男の水蒸気爆発で脱出。菫先輩の上に落下し、三人で生垣へ。
* 庭園〜ボス戦(?)
* 園芸小屋で透明カッパ+ガムテープという変態装備で再起。マンドラゴラを撃退し、再び旧図書館へ。ボス(肉の柱)を倒すも、それは地下への「栓」だったため、床が崩落。全員まとめて地下へ落下。
【あらすじ:第2部 地下迷宮編(現在)】
* 下水道〜ミミズ列車
* 地下水路で触手ラットに追われ、謎の生体地下鉄(ミミズ列車)に乗車。車内の痴漢触手地獄を耐え抜き、辿り着いたのは異形たちが住む「地下繁華街」だった。
* ドン・ゾコーテの戦い
* 全裸カッパから着替えるため、激安店「ドン・ゾコーテ」へ。しかしそこはアダルト&コスプレ専門店。
* サイクロプス店員と戦闘になり、ローション、電マ・ガトリング、花火を駆使して撃退。裏口から脱出したところ。
【現在のパーティ状況】
* 伊達 国男(だて くにお)
* 状態: 右腕が光る・熱を持つ(覚醒中)。
* 装備: 世紀末風・革パン(尻空き)。上半身裸。
* 役割: ツッコミ兼、物理&エネルギー攻撃担当。ハルカを守る意思は固い。
* 高木 ハルカ(たかぎ はるか)
* 状態: 幾度となく服を溶かされ、羞恥心の限界を超えつつある。ツッコミ役だが被害担当。
* 装備: 露出狂魔法少女コスプレ(丈が短すぎて紐パンが見えている)。
* 役割: ドタバタヒロイン。お色気トラブルメーカー。
* 一条院 菫(いちじょういん すみれ)
* 状態: マッドサイエンティスト気質。状況を楽しんでいる。
* 装備: ボロボロの白衣。会員証(VIP待遇)。
* 武器: 即席で組み上げた電マ・ガトリング砲。
* 役割: 解説役兼、トラブルを拡大させる元凶。 (前スレ:ドン・ゾコーテの裏口から脱出。二人の衣装は「露出魔法少女」と「尻出し革パン」)
「はぁ、はぁ……巻いたか……?」
裏口の鉄扉を閉め、俺たちは薄暗い路地裏で息を整えた。
だが、顔を上げた俺たちの目に飛び込んできたのは、目が痛くなるほどのピンク色のネオンと、鼻をつく甘い石鹸の香りだった。
『触手エステ・吸い付き』『地獄ソープ・泡姫』『SMクラブ・緊縛の館』
「な、なによここ! いやらしい看板ばっかり!」
ハルカが短いスカートを必死に押さえる。だが、この街ではその「露出魔法少女」の格好は、むしろ**「やる気満々の新人」**にしか見えない。
「ここは『暗黒風俗街』。地上を追われた妖怪や魔物たちの慰安所ですわ」
菫先輩が、なぜか既に店のパンフレットを熟読している。「ふむ、会員制……」
「感心してる場合か! 行くぞ、こんなとこにいたら……」
「おや? 遅刻ですよ、お嬢ちゃん」
ヌルリ。俺たちの前に、黒服のタキシードを着た**『フジツボ頭の男(キャッチ)』**が立ちはだかった。
「へ?」
「本日のイベント『魔法少女・凌辱ショー』の主役でしょ? 待ってましたよ!」
「ち、違います! 私はただの……きゃあああ!」
フジツボ男の腕が伸び、ハルカの手首をガッチリと掴む。「いい太ももだ! お客さんも喜びますよ!」
「やめろ! 連れ去るな!」
俺が割って入ろうとしたが、背後から別の黒服(頭がイソギンチャク)が俺の尻を触った。
「アッー! どこ触ってんだ!」
「お兄さんも『男娼枠』で採用だ! その尻出しパンツ、いいセンスしてるぜ!」
「ふざけんな! 俺の尻はハルカ専用……じゃなくて!」
「国男、助けてぇ! 店に引きずり込まれるぅ!」
ハルカが連れ込まれそうになっているのは、巨大なガラス張りの店**『回転触手ソープ・ランドリー』**。
入り口の自動ドアが開き、中から大量の泡と蒸気、そして卑猥なうめき声が漏れ出している。
「放しなさいよ! 電マ・ガトリング!」
菫先輩が応戦しようとするが、黒服たちは「おっ、プレイ用のおもちゃ持参っすか? 意識高いね!」と逆に盛り上がってしまい、先輩ごと店内へ押し込んでいく。
「いらっしゃいませぇー! 新人魔法少女、入りまーす!」
ドナドナと連行されるハルカ。
「いやぁぁぁ! 洗われるぅ! 魔法少女は清純なのよぉぉ!」 「いらっしゃいませぇー! 特上魔法少女、一丁入りまーす!」
店内は湯気と、甘ったるいピンク色の石鹸の香りで満ちていた。そして中央には、巨大なベルトコンベアが鎮座している。
「きゃあああ! 何これ! 寿司じゃないのよ!」
ハルカは黒服たちによって、無理やりベルトコンベアの上に仰向けに乗せられた。
「洗浄コース、スタート!」
ウィーン! コンベアが動き出す。
「いやっ、回らないで! 目が回るぅ!」
最初のゲートは『泡噴射ゾーン』。
天井のノズルから、高粘度のローション泡が大量に噴射される。
ブシャーッ!!
「んぐっ! 泡が……! 口に、鼻に!」
露出度の高い魔法少女コスは一瞬で泡まみれ。フリルの隙間や紐パンの中まで、ねっとりした泡が侵入する。
「続いて、『手洗いゾーン』!」
コンベアの脇から、無数の『スポンジ触手』と『ブラシ触手』が生えてきた。
キュッキュッ! ゴシゴシ!
「ひゃうっ!? こら、どこ洗って……! 乳首をブラシで回さないで!」
「そこは汚れ(性感帯)が溜まってますねぇグヘヘ」
触手たちはハルカの柔肌を執拗に擦り、洗い、そして弄ぶ。泡で滑りが良くなった肌の上を、触手が生き物のように這い回る。
「ハルカ! 今助ける!」俺も店内に放り込まれたが、すぐに動けなかった。
「あら、いいお尻だねぇ」
俺の周りを取り囲んでいるのは、常連客と思われる**『オークの女戦士』や『半魚人のマダム』**たちだった。
「ちょ、触るな! 俺の革パンの穴に指を入れるな!」
「いいじゃないか、減るもんじゃないし。さあ、アタシも洗っておくれよ」
マダムたちがヌルヌルの体を擦り付けてくる。
「どけぇ! 俺は男娼じゃない!」
「国男ぉ……! 次、脱水くるぅ……吸われるぅ!」
ハルカが流されていく先には、巨大な『吸引ノズル』が待ち構えていた。あれに吸われたら、服どころか中身まで吸い尽くされる!
「くそっ、こうなったら!」
俺はマダムの腕をすり抜け、床に転がっていた『業務用ローション樽』を蹴り飛ばした。
「摩擦係数ゼロの世界を見せてやる! 菫先輩、電マを!」
「了解ですわ! 最大出力・振動波(バイブレーション・ウェーブ)!」
先輩がガトリングを床に押し付け起動。凄まじい振動が、床一面に広がったローションに伝わり、店内全体が『激震するヌルヌルスケートリンク』と化した! 「うわあああ! 立てねえ!」
凄まじい振動が、ローションの潤滑効果を極限まで高めていた。
俺を取り囲んでいたオークや半魚人のマダムたちも、「あらやだ! 腰が!」「滑るよぉ!」と次々に転倒し、ボウリングのピンのように壁際へ滑っていく。
「チャンスだ! ……って、止まらねえ!」
俺自身も摩擦ゼロの床でツルツルと滑走を始めた。制御不能だ。
一方、ベルトコンベア上のハルカ。
「きゃああ! 機械が暴走してるぅ!」
振動でコンベアがガタガタと揺れ、ハルカの体は『吸引ノズル』の手前でポーンと弾き飛ばされた。
「飛んだぁ!? 国男、受け止めてぇ!」
泡まみれの魔法少女(露出狂)が、放物線を描いて俺の方へ飛んでくる。
「無理だ! 俺も滑って……ぶべっ!」
ドサァァァン! グチュッ!
ハルカが俺の上に落下した。勢い余って二人は抱き合ったまま、床の上を猛スピードで回転し始めた。
「目が回るぅ!」「ギュルルルル!」
もはや二人は一つの巨大な『人間ヌルヌル独楽(コマ)』だ。
「あんっ! 遠心力で……国男の手が、お尻に食い込んでる!」
「わざとじゃない! 振り落とされないように必死なんだよ!」
回転するたびに、ハルカの豊満な胸が遠心力でプルン!プルン!と俺の顔面を打ち付ける。
「痛い! でも柔らかい! でも洗剤臭い!」
「道を開けなさい! 暴走特急が通りますわよ!」
後方から、電マに乗ったままスライド移動する菫先輩が叫ぶ。
「ああっ! 前! ガラス張りだ!」
俺たちの回転コースの先には、店の巨大なウィンドーがあった。
「止まれぇぇ!」「ブレーキないわよぉぉ!」
ガシャァァァァァン!!
俺たちは派手にガラスを粉砕し、泡とガラス片を撒き散らしながら、店の外の『暗黒風俗街』の目抜き通りへと飛び出した。
「お客様ぁー! プレイ中の退店は追加料金ですよぉー!」
店の中から、泡まみれの黒服触手たちが、ヌルヌルと滑りながら追いかけてくる。
「逃げるぞ! このまま滑って街を抜ける!」
俺たちは全裸(+コスプレ)のまま、ネオン輝く地下街の坂道を、ソリのように滑走し始めた。 「きゃあああ! 速いぃぃ! 風圧でスカートがめくれっぱなしよぉ!」
「俺なんか尻が剥き出しだぞ! 風が穴に入ってくる!」
俺とハルカは抱き合ったまま、ウォータースライダーのように坂道を滑り落ちていく。街の妖怪たちが「なんだあれ!?」「卑猥な流れ星だ!」と驚いて道を空ける。
「逃がしませんよぉ! 未払いの請求書ですぅ!」
背後から、黒服触手たちが合体し、巨大な『触手タイヤ』となって猛追してくる。速い!
「追いつかれる! 菫先輩、なんとかしてくれ!」
「お任せなさい! 電マ・アフターバーナー点火!」
先輩がガトリングの振動数を限界突破させた。「ブイイイイイイーン!!」
強烈な振動が推進力となり、俺たちの滑走スピードが倍化した。
「うわあああ! 速すぎだぁぁぁ!」
「あっ! 国男、前! 道がない!」
坂道の突き当たりは、断崖絶壁だった。その先には、広大な地下空洞が広がっている。
「止まれねえ! 飛ぶぞハルカ!「無理ぃぃぃぃ!」
ヒュンッ! 俺たちはネオン街の端から、暗黒の虚空へと飛び出した。
「ひゃっ……高い……! お股がスースーする……!」
空中でハルカのスカートがパラシュートのように捲れ上がり、下半身が完全にご開帳となる。「絶景かな!」
眼下に広がっていたのは、すり鉢状の巨大なスタジアムだった。
カクテル光線が輝き、何万もの異形の観客が熱狂している。
『地下大闘技場(モンスター・コロシアム)』
「あそこに落ちるぞ! 衝撃に備えろ!」
「備えるって、何をぉぉ!?」
ズドォォォォン!!
俺たちは闘技場の中央、リングのど真ん中に、隕石のように着弾した。
砂煙とローションが舞い上がる。
「ゲホッ……いってぇ……生きてるか?」
「うぅ……腰が……」
俺たちが顔を上げると、会場が静まり返っていた。
目の前には、身長5メートルの**『ミノタウロス(牛男)』と、対戦相手の『スライム・ナイト』**が、ポカンとこちらを見下ろしている。
実況の声が響く。
『な、なんとぉぉ! 空から乱入者だぁぁ! その姿は……露出狂の魔法少女と、変態パンツ男だぁぁぁ!!』
「ワァァァァァ!!(殺せ! 犯せ!)」
観客席のモンスターたちが一斉に沸き立った。 『緊急特別ルール発動ぉぉ! この乱入者たちを倒し、見事「公開陵辱」した者が勝者となるぅぅ!』
実況が煽ると、観客席から地響きのような歓声が上がった。「脱がせ!」「種付けだ!」
「ひぃぃっ! 公開って何よ! もう十分恥ずかしいのに!」
ハルカが短いスカートを必死に押さえるが、目の前のミノタウロスが荒い鼻息を吹きかけた。
「ブモォォォ!(極上のメスだ!)」
ミノタウロスが巨大な棍棒を振り上げる。
「危ないハルカ!」
俺が飛び出そうとすると、緑色の影が立ちはだかった。
「おっと、貴様の相手は我輩だ」
スライム・ナイトだ。鎧の中身は不定形の緑色ゲル。剣先から酸の滴る液体を飛ばしてきた。
「装備破壊(アーマー・ブレイク)!」
ジュッ! 俺の革パンのベルトが溶け落ちる。「うおっ! ズボンが下がる! 戦いにくい!」
一方、ハルカの方へはミノタウロスが突進する。
「きゃあああ! 来ないで牛男!」
ハルカは魔法のステッキで応戦しようとするが、ミノタウロスの圧倒的な腕力で手首を掴まれ、軽々と宙吊りにされた。
「ブモッ!」
バリリッ!
巨人の指が、ハルカのビスチェの肩紐を無慈悲に引きちぎる。
「あっ! 紐が! 胸がこぼれるぅ!」
重力に負けた豊かな果実が、今にもカップから転げ落ちそうだ。観客席からフラッシュの嵐が焚かれる。
「伊達くん、あのアナウンス席、ジャックしますわよ!」
菫先輩が混乱に乗じて実況席へ走り出した。「演出用機材……これは使えますわ!」
「くそっ、ハルカを離せ!」
俺は下がりかけた革パンを押さえながら、スライムナイトに右腕を突き出した。
「スライムなら、さっきのプールで弱点は分かってるんだよ! 熱湯地獄だ!」
「何!? 水蒸気爆発だと!?」
ドゴォォォン!!
俺の熱拳を受けたスライムが沸騰し、鎧の中から白煙を上げて飛び散った。
「よし、次は牛だ!」
俺はハルカを助けに向かう。だが、ミノタウロスの股間には、既に巨大な棍棒(意味深)が怒張し、吊るされたハルカの剥き出しの太ももに狙いを定めていた。
「ブモォォォ……(いただきます)」
「いやぁぁぁ! 牛サイズは無理ぃぃぃ!」 「ブモォォォ……(いただきまーす)」ミノタウロスの丸太のような逸物が、ハルカの無防備な秘所にピタリと押し当てられた。先端だけでハルカの拳ほどもある。
「ひぃっ! 無理無理! 裂けちゃう! 人間の尊厳が壊れるぅ!」
ハルカが泣き叫ぶ。だが牛男は止まらない。ぬらりと湿った先端が、ハルカの蜜壺をこじ開けようと圧力をかけた、その時。
『レディース・アンド・ジェントルメン! 退屈なワンサイドゲームはここまでよ!』会場のスピーカーから、ハウリング音と共に菫先輩の声が響き渡る。
『ステージギミック発動! 「強制ヌルヌル・ローション床」開放!』
カチッ。先輩が実況席のレバーを倒すと、リングの床から大量の潤滑液が一気に噴き出した。
プシャァァァァ!
「ブモッ!?」踏ん張っていたミノタウロスの蹄(ひづめ)がツルンと滑った。
巨体はバランスを崩し、ハルカを握ったまま後ろへ倒れる。
「きゃあああ! 巻き添えぇぇ!」
「チャンスだ!」俺はずり落ちかけた革パンを脱ぎ捨て、全裸(+右腕発光)で飛び出した。
「必殺! 闘牛バスター!」
滑る床を利用し、倒れ込むミノタウロスの股間──無防備に晒された巨大な金的めがけて、光る右拳をアッパーカットで叩き込む!
ズドォォォォォォン!!
「ブモォォォォォォォッ!!(タマがぁぁぁ!)」
牛男の断末魔が会場を震わせる。巨体は空高く跳ね上がり、ハルカを手放して観客席へと吹っ飛んでいった。
「た、助かった……?」
空中で放り出されたハルカを、俺はスライディングキャッチする。
「ナイスキャッチ! ……って、国男、あんた今完全に全裸よね?」
「ああ。革パンは邪魔だったから捨てた」
俺の腕の中には、ボロボロのコスプレ衣装で胸も股間も半分見えているハルカ。抱きとめる俺はフルチン。
コロシアムの中心で、裸の男女が抱き合う図が完成した。
『勝者、変態カップルぅぅぅ!!』
会場が静まり返った後、割れんばかりの大歓声が巻き起こった。
「すげぇ! 牛を倒しやがった!」「あのイチモツを見ろ! 奴も只者じゃないぞ!」
「よし、このままドサクサに紛れて出口へ……」
俺たちが立ち上がろうとした時、貴賓席のゲートが開き、拍手の音が響いた。
パチ、パチ、パチ。
「見事だ。余興にしては楽しめたぞ」
現れたのは、全身に金色の装飾を纏った、人間の上半身と巨大な蛇の下半身を持つ**『ラミアの女帝』**だった。
「気に入った。その男は私の『種馬』に、その女は私の『ペット』にしてやろう」
女帝の目が怪しく光ると、リングの周囲から数千匹の『蛇触手』が一斉に鎌首をもたげた。 「シュルルルル……(愛してあげるわ)」
女帝の指先が動くと、リングを埋め尽くす蛇たちが一斉に襲いかかった。
「ひぃぃっ! 蛇はダメぇ! ヌルヌルしてて冷たいのよぉ!」
ハルカが悲鳴を上げるが、逃げ場はない。
無数の細い蛇が、ボロボロの魔法少女コスの隙間や、破れた網タイツの穴から侵入してくる。
「あっ、そこ! 入ってこないで! 太ももに巻き付かないでぇ!」
鎌首をもたげた蛇が、ハルカの秘所を狙ってチロチロと舌を出す。「んっ……くすぐったい……!」
「ハルカ!」
俺が助けようとすると、女帝の極太の蛇尾が、俺の胴体を締め上げた。
「逃げなくていいのよ。あなたは私の寝室で、たっぷりと可愛がってあげるから」
ギリギリと締め付けられる。「ぐあっ! 骨が……折れる……!」
女帝の妖艶な顔が近づき、その長い舌が俺の頬を舐め上げた。「いい味だわ。精力が強そうね」
絶体絶命。その時、頭上のスピーカーからファンキーなビートが爆音で鳴り響いた。
ズンドコズンドコズンドコ!!
『はいはーい! 湿っぽい処刑は退屈ですわ! ここからは「ダンス・マカブル(死の舞踏)」の時間よ!』
実況席の菫先輩が、DJブースのターンテーブルを回し、照明スイッチを全開にした。
バチバチバチッ!
コロシアムの照明が激しく点滅し、極彩色のレーザーが飛び交う。
「シャアアアアッ!?(目が! 音が!)」
蛇たちは急激な光と振動にパニックを起こし、のたうち回り始めた。
「な、何事じゃ!? 私の可愛い蛇たちが!」
女帝が耳を塞いで怯んだ隙に、俺の全身のローションが役立った。
「ぬるりと抜けるぜ! これが『ローション脱皮』だ!」
スポンッ!
俺は女帝の締め付けからツルンと抜け出し、蛇に埋もれていたハルカを引っこ抜いた。
「きゃっ! 国男! また全裸じゃない!」
「服がないんだから仕方ないだろ! 走るぞ!」
「どこへ!?」
「あそこだ! 女帝が出てきた『貴賓席ゲート』!」
俺たちは混乱する蛇の海をかき分け、女帝専用の豪華な通路へと駆け込んだ。
「おのれぇぇぇ! 私の初夜を邪魔するなぁぁぁ!」
背後から、激怒したラミアの女帝が、上半身をのけぞらせて猛スピードで這い追ってくる! 「待ちなさい! 逃げるなんて『プレイ』の一環かしら? ゾクゾクするわ!」
背後から、ラミアの女帝が鱗をこすり合わせる音を立てて迫ってくる。シュルルルッ! 速い!
「誰がプレイだ! 貞操の危機なんだよ!」
俺たちは巨大な金の扉を蹴破り、女帝の『私室』へと転がり込んだ。
そこは、悪趣味なほど金銀財宝が積み上げられた、広大な宝物庫兼寝室だった。
そして部屋の中央には、とんでもないものが鎮座していた。
「な、なにこれ……車!?」
それは、純金でコーティングされた、車体長10メートルの『超高級・痛リムジン(6輪)』だった。
ボンネットには女帝の裸像が彫られ、ナンバープレートには『HONEY MOON(新婚旅行)』の文字。
「ハルカ、乗れ! これで逃げるぞ!」
「ええっ!? 免許持ってるの!?」
「知るか! オートマだろ!」
俺は運転席に、ハルカは助手席に飛び乗った。
「冷たっ!?」最高級の本革シートが、俺の全裸の尻と、ハルカの剥き出しの太ももにひんやりと吸い付く。
「エンジン……キーがない!?」
「伊達くん、そこは生体認証ですわ! 『愛してるよハニー』と叫べば動きます!」いつの間にか後部座席に陣取った菫先輩が叫ぶ。
「ふざけんな! こうなったら直結だ!」
俺は光る右腕をキーシリンダーに突き刺し、強制的に電流を流し込んだ。
「動けぇぇぇ!」
ドルルルン!! ヴォォォォン!!
V12エンジンが猛獣のような咆哮を上げた。
「私のハネムーンカーを!!」
部屋に入ってきた女帝が、激怒して長い尻尾を鞭のようにしならせた。
バチィィン!!
「きゃああっ!?」鞭の一撃がハルカを襲う。間一髪でかわしたが、風圧でボロボロのスカートが完全に弾け飛び、ついにハルカの下半身が白日の下に晒された。
「ああっ! パンツ……紐パンだけになっちゃったぁ!」
「アクセル全開!」
俺はギアをドライブに叩き込み、ペダルをベタ踏みした。
キキキキッ! 黄金のリムジンが急発進し、目の前の壁(巨大な女帝の肖像画)に向かって突っ込む。
「壁ぇぇぇ! 死ぬぅぅぅ!」
「突き破れぇぇぇ!」
ズガァァァァァン!! リムジンは肖像画を粉砕し、瓦礫を撒き散らしながら壁の向こう側──『地下高速道路』へと空中で飛び出した! ガガガッ! 黄金のリムジンは火花を散らし、地下ハイウェイを爆走し始めた。「きゃあああ! 風が! 紐パンが飛んでっちゃうぅ!」助手席のハルカが悲鳴を上げる。
フロントガラスがないため風圧が直撃し、極小の布切れが旗のようにはためいている。「丸見えよ! 対向車のオークが見てるぅ!」「気にするな! 捕まるよりマシだ!」
その時、車内アナウンスが流れた。『ハネムーンモード、起動。愛のシートベルトを締めてね♡』シュルッ! 「え?」座席からピンク色の触手が飛び出し、俺たちの身体を拘束した。
「ひゃっ!? ぬるぬるしてる! 運転中なのに……そこ、まさぐらないで!」触手はハルカの谷間や太ももに絡みつく。「くそっ、俺の股間も締め付けるな! ハンドル操作が!」
「あら、後ろからパレードですわよ」菫先輩が指差す。ルームミラーには、巨大な『バイク戦車』に乗ったラミアの女帝と、トゲ付きバイクの『暴走ゴブリン軍団』が映っていた。
「返せぇぇぇ! 私の愛の巣をぉぉぉ!」マシンガンが火を噴く。「国男、武器は!?」「ダッシュボードに『Love Cannon』ってボタンがある! これだ!」
ボシュッ! リアバンパーから発射されたのは、巨大な『ハート型ピンク煙幕弾(催淫ガス)』だった。「ブモォッ!?(いい匂いだ……)」ガスを吸ったゴブリンたちが急に頬を染めた。
彼らはバイクを止めて乱交を始めてしまう。「バカ野郎!」女帝が絶叫する中、バイク戦車が炎を噴きながらリムジンの横に並びかけてきた。「よくも私の式場を! ミンチにしてやる!」 (前回:触手シートベルトに弄ばれながら逃走中。ラミアの女帝がバイク戦車で横付けしてきた)
「死ねぇぇ! 泥棒猫ども!」
女帝がバイク戦車から跳躍し、リムジンの助手席側のドアにしがみついた。「ひぃぃっ! 窓から顔が! 怖い!」
ハルカが悲鳴を上げるが、シートベルトの触手が胸を揉み続けていて抵抗できない。「んっ……! 離して……今はダメぇ!」
「そのふしだらな身体、引き裂いてやる!」女帝の鋭い爪がハルカのビスチェに食い込む。
「いやっ! これ以上破れたら全裸になっちゃう!」「国男! 助けて!」「無理だ! 俺も股間を締め付けられて……ああっ! イキそうだ!」
運転席の俺も、触手の絶妙なピストン運動に耐えるので精一杯だ。「くそっ、このド変態車め!」
「あら、お客様。お祝いの準備が整いましたわ」
後部座席の菫先輩が、タッチパネルを操作した。『祝砲・シャンパンタワーモード発射』
ズボォッ!!
ボンネットに隠されていた銃口が展開し、超高圧の黄金色の液体(シャンパン)が女帝の顔面に噴射された。
「ブベッ!? 目が! 炭酸が染みるぅ!」
「今だ国男! ハンドルを右に切れ!」「おうよ!」
俺は理性を総動員してハンドルを切った。ガコンッ!
リムジンが急旋回し、しがみついていた女帝を遠心力で振り落とす。「あ〜れ〜〜〜!!」
女帝は後続のトラック(積荷はスライム)に激突し、爆発炎上した。「やったか!?」
「でも国男、前を見て! 道が!」
ハイウェイの先は建設中。道が途切れ、そこには巨大な『地下地底湖』が口を開けていた。
「ブレーキ!」「間に合わねぇ! 落ちるぞおおお!」
キキキキッ……ドォォォン!!
黄金のリムジンはガードレールを突き破り、暗黒の地底湖へとダイブした。 ドッパァァァァン!!
巨大な水柱を上げ、黄金のリムジンは冷たい地底湖へと沈んでいった。
「ゴボッ……!?」
割れた窓から大量の水が車内に雪崩れ込む。
「んぐっ! 苦しい……!」
ハルカがもがくが、愛のシートベルト(触手)は外れない。
それどころか、浸水したことで制御回路がショートを起こした。
バチバチバチッ!
「ひゃああっ!? 痺れる!?」
ピンク色の触手が青白く発光し、電流を帯びて激しく痙攣し始めた。
「いやぁぁ! 中で、震えて、電気流さないでぇぇ!」
感電と振動のダブル責めだ。ハルカの身体が水中でビクンビクンと跳ねる。
「国男ぉ……! 目がいっちゃう……!」
「くそっ、このポンコツ車め!」
俺は息を止め、光る右腕を触手の根元に押し当てた。
「放電には放電だ! オーバーロードさせてやる!」
右腕から逆位相のエネルギーを叩き込む。
ボシュゥゥゥ……!
触手は黒焦げになって力を失い、ズルリと解けた。
「ぷはっ……(今のうちに!)」
俺はハルカの腰を抱き、菫先輩の襟首を掴んで、沈みゆくリムジンから脱出した。
冷たい水中を上昇する。
隣を泳ぐハルカの姿を見て、俺は思わず泡を吹いた。水流でビスチェがズレて、胸のトップが完全にこんにちはしている。
紐パンも透けて、もはや着ていないのと同じだ。
「プハァッ!!」三人同時に水面に顔を出した。
「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」
「あら、良い眺めですわよ」
先輩が指差した先。地底湖の岸辺には、巨大な鳥居と、怪しく光る提灯が並ぶ『竜宮城(ラブホ街)』のような建物がそびえ立っていた。
「な、なによあれ……?」俺たちが呆気にとられていると、水面下から巨大な影が急速浮上してきた。
ザバァァァッ!
現れたのは、甲羅に回転灯を乗せた巨大な『パトカー亀』だった。
「そこの男女! 不法投棄と公然わいせつで逮捕するカメ!」 「待って! わいせつは事故なの! 服が溶けただけなの!」
ハルカが水中で胸を隠しながら抗議する。だが、パトカー亀は聞く耳を持たない。
「問答無用カメ! 署まで連行する! 甲羅に乗れ!」
巨大な亀の前足が伸び、俺たちを乱暴に甲羅の上へと引き上げた。
甲羅の上はツルツルしており、手錠の代わりに粘着質の「海藻ロープ」で縛り上げられる。
「いやっ! ヌルヌルしてる! 縛らないで!」
「おとなしくするカメ。暴れると『甲羅・回転灯責め』にするぞ」
亀はサイレンを鳴らしながら、湖面を滑るように進み、岸辺の『竜宮城』へと上陸した。
近くで見ると、それは城ではなく、巨大な『竜宮警察署(兼・宴会場)』だった。
「連行されたのは……鯛やヒラメが舞い踊る大広間?」
中には、警官の制服を着た魚人たちが、酒盛りをしながら取り調べをしている。
「おい新人! その露出狂の女、こっちの『特別取調室(回転ベッド)』へ運べ!」
署長らしき『アンコウ(強面)』が、よだれを垂らして指示を出す。
「ひぃっ! 取り調べって何する気よ! カツ丼じゃないの!?」
「当署では『身体検査』が先だ。隠し持った凶器(ローター等)がないか、隅々まで調べる!」
俺たちは強引に、ピンク色の照明が怪しく輝く個室へと押し込まれた。
部屋の中央には、鏡張りの天井と、回転するウォーターベッド。
「さあ、手足を開いて検査に協力しろ。拒否すれば『浦島太郎の刑(老化ガス)』だぞ」
アンコウ署長が、ヌラリとした触手(提灯)をハルカの顔に近づける。
「くそっ、公権力の乱用だ! 菫先輩、弁護士を!」
「残念ながら、ここでは『乙姫様』の法律が絶対ですわ」
先輩は既に、婦警のコスプレをした魚人にマッサージを頼んでいる。「あ、そこ凝ってるの」
「観念しろ。まずはそのボロボロの布切れ(ビスチェ)を没収だ!」
ビリッ! アンコウの触手が、ハルカの最後の衣装を剥ぎ取った。 (前回:竜宮警察で逮捕され、特別取調室へ。ハルカは最後の布を剥ぎ取られ全裸に)
「いやぁぁぁ! 見ないで! 隠すものがない!」
全裸にされたハルカが、回転ベッドの上で身をよじる。だが、手足は海藻ロープで四方に縛られ、M字開脚に近い恥ずかしいポーズで固定されていた。
「グフフ、素晴らしい魚拓が取れそうだ」
アンコウ署長が、ぬらりと濡れた提灯触手を、ハルカの秘部に近づける。「まずは内部に危険物がないか、じっくり触診だ」
「ひっ! ダメ、そこは……! 提灯押し付けないで! 熱いの!」
「やめろエロ親父! 焼き海苔にしてやる!」
俺は右腕を赤熱させ、自身を縛る海藻を一気に乾燥させた。
パリパリッ!
水分を失った海藻が脆くなり、俺は力任せに引きちぎった。「オラァッ!」
「なっ、脱走か!?」
署長が振り返る。俺は部屋の隅に置かれていた、厳重な封印が施された箱──『押収品:玉手箱(危険物)』をひっ掴んだ。
「伊達くん! それは開けたら『お爺さん』になるガスが!」
「知るか! 老後の心配より今の貞操だ!」
俺は玉手箱を署長の顔面に投げつけ、右腕の熱線で空中で爆破した。
ボォォォォォォン!!
「ゲホッ!? 何だこの白い煙は!」
箱から噴き出したのは、老化ガス……ではなく、視界を完全に遮る濃厚な『ドライアイスの煙(舞台演出用)』だった。
「目がぁ! どこだ犯人は!」
「今だハルカ!」
俺は煙に紛れてハルカの拘束を焼き切る。「きゃっ! 熱いけど……解けた!」
「走るぞ! 出口はあっちだ!」
俺は全裸のハルカの手を引き、手探りで部屋を飛び出した。
「待てぇぇ! 逃がすなぁぁ!」
警報が鳴り響く中、俺たちが飛び込んだ先は、さらに煌びやかな大広間だった。
そこには、巨大な水槽とステージがあり、扇子を持った美しい女性が鎮座していた。
「騒がしいわね。私の宴を邪魔するのはどこの雑魚?」
冷ややかな視線を向けてきたのは、十二単(じゅうにひとえ)をボンテージ風にアレンジした衣装を着た、この城の支配者・乙姫様(ドS)だった。
「あら、活きのいい人間。刺し身にしたら美味しそう」
乙姫がパンと手を叩くと、床下から巨大な『包丁を持ったカニ将軍』と『槍を持ったエビ大佐』がセリ上がってきた。 「チョキチョキ! 三枚におろしてやるカニ!」
カニ将軍の巨大なハサミが、国男の股間を狙って開閉する。
「やめろ! マグナムを狙うな! 今はノーガードなんだぞ!」
国男はヌルヌルの床を滑って回避し、カニの腕を掴んだ。「お返しだ! ボイリング・ナックル!」
ジュワァァァ!
右腕の高熱がカニの殻を赤く染める。「アチッ! アチチチ! 茹で上がるぅ!」
カニ将軍は一瞬で真っ赤になり、美味しそうな匂いを漂わせてダウンした。
「貴様ぁ! よくも将軍を!」
エビ大佐が槍を構えてハルカに突進する。
「ひゃあ! 長いので突かないで!」
ハルカは宴会用の「巨大な大葉(飾り)」を盾にした。ブスッ! 槍が大葉を貫通し、鼻先で止まる。
「二人とも、ナイス粘りですわ! 衣装を見つけました!」
舞台裏から菫先輩が滑り込み、布の束を投げ渡した。「踊り子用の予備衣装です! 着なさい!」
「ナイス先輩!」
俺たちはエビの攻撃をかわしながら、必死にそれを身に纏った。
だが、まともな服であるはずがなかった。
「……なによこれ! 貝殻とヒモだけじゃない!」
ハルカが身につけたのは、乳首を隠すホタテ貝と、腰に巻く透け透けのパレオだけの『極小マーメイド・ビキニ』。
「動くと貝がズレるぅ! ポロリしちゃう!」
「俺なんか『生ワカメの褌』一丁だぞ! ヌルヌルして締まらねぇ!」
「あら、似合ってるじゃない」
乙姫が扇子で口元を隠して笑う。「盛り付けも終わったことだし、メインディッシュといきましょうか」
パチン! 指を鳴らすと、床がパカッと開き、巨大な**『回転寿司レーン』**が出現した。
「え?」
シュルルッ!
床から伸びた触手がハルカを捕らえ、巨大な寿司桶の上へと仰向けに固定した。
「嫌っ! お皿に乗せないで! 私はネタじゃない!」
「本日の特選、『極上乙女の踊り食い(女体盛り)』よ。さあ、客人にわさびを塗りなさい」
宴会場の魚人たちが、大量のわさびを持って群がってくる。
「ギャアアア! そこに塗るな! 粘膜にわさびは死ぬぅぅ!」 「そこは敏感なの! わさび塗らないでぇぇ!」
魚人たちが、ハルカの剥き出しの太ももや、貝殻で隠しきれない谷間にわさびを擦り込もうとする。
「させるかよ! 激辛はお断りだ!」
俺は回転寿司レーンを逆走し、魚人たちの手元にある「業務用わさび樽」を蹴り飛ばした。
ドガァッ! 宙を舞った大量のわさびが、槍を構えるエビ大佐の顔面を直撃する。
「ぬわぁぁ! 目が、目がぁぁ! 鼻にも入ったぁ!」
エビ大佐がたうち回る。
「今だ! 特選・海老の踊り焼き!」
俺は隙だらけの大佐の背後に回り込み、光る右腕で羽交い締めにした。
ジュワワワワッ!
「アツゥイ! 殻が香ばしくなるぅ!」
瞬く間にエビ大佐は鮮やかな朱色に変わり、美味しそうな湯気を上げて気絶した。
「ハルカ、大丈夫か!」俺はハルカを縛る触手を焼き切る。
「うぅ……国男……! 怖かった……あと、ワカメの褌が顔に当たって磯臭い!」
「贅沢言うな! とにかく逃げるぞ!」
「……よくも私のフルコースを台無しにしてくれたわね」
ステージの上で、乙姫が鬼の形相で扇子をへし折った。
「許さない。お前たちは『竜宮城の動力源(人柱)』にしてやるわ!」
乙姫が玉座の裏にある巨大なレバーを引くと、宴会場全体が激しく振動し始めた。
ゴゴゴゴゴゴ……!
床が抜け落ち、下から現れたのは、マグマのように赤く煮えたぎる『地獄の激辛海鮮鍋(プール)』だった。
「ひぃぃっ! 煮込まれるぅ!」
「落ちたら出汁にされるぞ!」
「伊達くん! 天井ですわ! あのシャンデリアが脱出口に繋がっています!」
菫先輩が、なぜか既にカニ将軍のハサミを解体して身を食べていたが、天井のダクトを指差した。
「あそこへ飛ぶには、爆風が必要です! その祝い酒の樽を使いなさい!」
「了解だ! ハルカ、しっかり捕まってろ! 貝殻落とすなよ!」
「もう半分ズレてるわよバカ!」
俺は右腕の出力を最大にし、積み上げられた『度数96%・火気厳禁酒』の樽へ拳を叩き込んだ。
「ハッピー・ウェディング(自爆)!!」
ドッゴォォォォォォン!!
引火したアルコールが大爆発を起こし、俺たちは爆風に乗って、天井のダクトへとロケットのように吹き飛ばされた。 「うおォォォッ! 尻が熱(アチ)ィ! ワカメが焼きワカメになっちまう!」
狭いダクトの中、俺たちは爆風に背中を押されて弾丸みたいにっ飛んでいく。俺の腕にしがみつくハルカの柔肌が、ものすごいGで密着してきやがる。
「きゃあああん! ちょっと国男、スピード出し過ぎよぉ! 向かい風で貝殻が浮いてるぅ!」ハルカが涙目で叫ぶ。ホタテ貝がパカパカとカスタネットみたいに暴れ、彼女の桜色のトップが今にも顔を出しそうだ。
「バカ野郎、ブレーキなんかあるかよ! 手ェ離したら置いてくぞ!」
「離したら全部見えちゃうでしょ! バカバカ、エッチ!」
「お取り込み中失礼しますわ。出口が見えましてよ、予報では『全裸着地』の確率100%です」
菫先輩だけが涼しい顔で、髪をなびかせながら優雅に飛んでいる。こいつの神経どうなってんだ。
「全裸は嫌ぁぁぁ!」
ズボォォォォン!!
俺たちはダクトの出口から吐き出され、広大な空間へと放り投げられた。
「ぐへっ!」
ドサササッ!
何重ものクッションのような床──いや、脈打つ肉の絨毯の上に、俺たちは折り重なって墜落した。
「いってぇ……腰が砕けるかと思ったぜ」
俺が顔を上げると、目の前にはハルカの真っ白な尻があった。
案の定、衝撃で紐パンも貝殻もどこかへ消し飛び、生まれたままの姿で俺の顔の上に跨っている。
「……んんっ、国男、どこ見てんのよド変態!」
「見てねえよ! お前が乗っかってきたんだろうが! ……でもまあ、眼福だ」
「死ねぇっ!」
パァン! 素っ裸のハルカの平手が俺の頬に炸裂した。
「あらあら、元気ですこと。それよりご覧なさいな、ここが終着点(ラストステージ)ですわ」
先輩の声に俺たちが顔を向けると、そこは大学の地下とは思えない、禍々しくも荘厳な『中枢制御室』だった。
壁一面に埋め込まれた無数のモニターには、地上の大学の様子──パニックになる学生や、暴れまわる触手が映し出されている。
そして部屋の中央、巨大な培養槽の中に、白衣を着た老人が一人、多数の管に繋がれて浮いていた。
「よぉく来たねぇ、諸君。私がこの大学の学長であり、素晴らしき『触手計画』の総責任者だよ」
老人がカッと目を見開き、スピーカー越しにしゃがれた声を響かせる。
「が、学長!? あんたが黒幕かよ!」
俺は全裸のハルカを背中にかばい(背中に当たる感触に理性が飛びそうになりながら)、光る右腕を構えた。
「あんなエロ触手ばら撒いて、何を企んでやがる!」
「学問の発展だよ! 人類と触手の融合、これぞ究極のSDGsだとは思わんかね?」
学長が狂ったように笑うと、培養槽の周りから、鋼鉄のような質感を持つ『機械化触手』が四方八方から伸びてきた。
「さあ、君たちの若き肉体データを頂こうか。特にそのお嬢さんの『感度』は、素晴らしいサンプルになりそうだ!」 「SDGsだァ? 笑わせんじゃねえ! 人の幼馴染を全裸にして何が持続可能だ、このエロジジイ!」
俺は怒りのまま、迫りくる機械触手に右拳を叩き込んだ。
「砕けろォッ!」
ガギィィィン!!
鈍い金属音が響き、俺の腕が痺れる。「……ってぇ! なんだこいつ、カッチカチだぞ!?」
「フォッフォッフォ! 無駄だよ伊達くん。これは予算を中抜きして開発した『超硬度チタン合金』製だ」
学長が培養槽の中で勝ち誇る。「さあ、サンプルA(ハルカ)を捕獲せよ!」
シュバババッ!
無数の機械アームが一斉にハルカに襲いかかる。
「きゃあああっ! 来ないで! 金属は冷たくて嫌ぁぁ!」
ハルカが逃げようとするが、全裸の足元が肉の床で滑る。「あんっ!?」
ズボッ。転んだ拍子に、極太のアームがハルカの四肢をガッチリと拘束した。
ウィーン! アームが持ち上がり、ハルカの真っ白な肢体が宙吊りになり、大画面モニターの前に晒される。
「いやぁぁぁ! 見ないでぇ! 隠す布がないのよぉ!」
ハルカが身をよじって泣き叫ぶ。だが機械は慈悲がない。先端にセンサーのついた細いアームが、彼女のバストトップや秘所を無機質にツンツンと突き始めた。
「計測開始。バスト……ふむ、意外とハリがあるな。ウエスト……昨夜ラーメンを食べたね? 少し浮腫んでいるぞ」
「読み上げないでぇぇ! 殺してぇぇ!」
モニターに『恥ずかしい数値(スリーサイズ+体脂肪率)』がデカデカと表示される。公開処刑だ。
「てめぇ……! ハルカの体脂肪率をバラすのは俺だけの特権だ!」
俺は再び突っ込もうとするが、別のアームに阻まれる。「どけぇ!」
「伊達くん、闇雲に殴っても無駄ですわ。あれをご覧なさい」
菫先輩が、なぜか瓦礫の影でティータイムのような優雅さで指差した。
「培養槽の底。あの太いケーブルが、大学全域から『エロエネルギー』を吸い上げている供給ラインです」
「なんだと?」
「学長は学生たちの情欲をエネルギーに変えて、自身の生命維持とアームの動力にしていますの。つまり……」
「供給を断てば、ただの干からびたジジイってことか!」
俺はターゲットを変えた。学長ではなく、床を這う極太の高圧ケーブルだ。
「待て! それを抜くと私の生命維持が!」
学長が初めて狼狽える。
「知ったことか! ハルカを泣かせた落とし前だ!」
俺はアームの攻撃をスウェーで紙一重にかわし、全裸(ワカメ焼失済み)の身一つでケーブルへスライディングした。
「うおりゃあぁぁぁ! 物理的遮断(引っこ抜き)!」 バチバチバチッ!!
引きちぎったケーブルから凄まじい火花が散る。
「ギャアアアア! 私の若返りエネルギーがぁぁぁ!」
「よし! 今だ伊達くん! その漏れ出たエネルギーを、君の右腕で吸い尽くすのです!」
先輩が無茶苦茶なことを言う。「そんなことしたら爆発するぞ!」
「大丈夫、君はもう『変態の王』の素質十分ですわ! いけます!」
「くそっ、どうにでもなれ! 頂くぜ、全校生徒の煩悩パワー!」
俺は火花を散らすケーブルを、直接自分の右腕に突き刺した。
「ぐあぁぁぁぁっ!! 熱(アチ)ィィィ!!」
俺の右腕に、何千人分ものドロドロとした欲望の奔流が流れ込んでくる。「青春の劣情が……! 重すぎるッ!」
「耐えなさい伊達くん! それを制御できれば、あなたは『神(エロ)』になれますわ!」
菫先輩が無責任に応援する。俺の右腕は限界を超え、黄金色に輝き、筋肉が倍以上に膨れ上がった。
「おおお……! みなぎってきたァァァ!」
「馬鹿な! 生身の人間がそのエネルギー量に耐えられるはずが!」
学長が培養槽の中で狼狽える。「やめろ! 返せ! それは私の老後資金だ!」
「うるせぇ! 返してほしけりゃ体で受け止めろ! これが俺たちの……若さの暴走だァッ!」
俺は光り輝く右拳を振りかぶり、培養槽へ向かって飛んだ。
「必殺! 純情(チェリー)・リビドー・バスターッ!!」
ズドォォォォォォォン!!
極大の光が地下空間を埋め尽くす。
「ギャアアアア! 若さが眩しすぎるぅぅぅ!」
学長の断末魔と共に、超硬度ガラスの培養槽が粉々に砕け散った。
衝撃波で機械アームが一斉にショートし、火花を散らして停止する。
「きゃあっ!」
拘束が解けたハルカが空中から落下してくる。
「っと! 危ねえ!」
俺は残った力を振り絞り、ハルカを空中でキャッチした。
「……国男!」
「へへっ、一丁上がりだ。……まあ、俺も真っ裸だけどな」
俺の腕の中で、ハルカが安堵の涙を浮かべて抱きついてくる。温かい肌の感触が直に伝わるが、今はそれどころではない。
ゴゴゴゴゴゴ……!
学長を失った制御室が、崩壊を始めたのだ。天井から巨大な瓦礫が降ってくる。 「感動の再会は後ですわ! この区画、あと3分で自壊します!」
菫先輩が非常口を指差した。「脱出ルート確保! 全力疾走ですわよ!」
「くそっ、最後までこれかよ! ハルカ、走れるか!」
「無理! 腰が抜けた! おんぶして!」
「贅沢言うな! ……しっかり捕まってろよ!」
俺は全裸のハルカを背負い(背中の感触が凄まじいが)、崩れゆく地下帝国からのラストランを開始した。 「はぁ、はぁ、くそっ! 走りにくいったらないぜ!」
俺は瓦礫が降り注ぐ通路を全力疾走していた。だが、背中の荷物(ハルカ)が問題だった。
背中に押し付けられる二つの柔らかい果実。走るたびにムニュッ、プルンッと変形し、俺の背筋を刺激する。
さらに、腰に巻き付いたハルカの太ももが開閉し、あいつの熱い秘所が俺の尾てい骨あたりをスリスリと擦り上げているのだ。
「……っ! 国男、あんた背中が汗でヌルヌルよ! 滑り落ちちゃう!」
「暴れるな! こっちだって必死なんだよ!」
必死? いや、別の意味でも必死だった。
ハルカの体温と摩擦、そしてさっき吸収した『全校生徒の煩悩エネルギー』の残滓が、俺の股間に直撃していたからだ。
ズボンッ!
俺のイチモツ(エクスカリバー)は、とっくに戦闘態勢(フル勃起)に入り、へそのあたりまで跳ね上がっていた。
走るたびに、ビタン! ビタン! と自分の腹を叩く。痛い! でも感じる!
「きゃっ! なに今の音!? 国男、お腹で何か飼ってるの!?」
耳元でハルカが囁く。「それに、なんか凄く……獣臭い匂いがするんだけど!」
「男のフェロモンだ! 黙って嗅いでろ!」
「伊達くん、出口はあの梯子(はしご)ですわ!」
先行していた菫先輩が、縦穴のハッチを指差す。
「登りなさい! 急がないと生き埋めです!」
「マジかよ、この状態で梯子かよ!」 俺はハルカを背負い直し、鉄の梯子に手をかけた。
登る動作は、走る以上に密着度が高い。
ググッ、スリッ……。一段登るたびに、ハルカの股間が俺の腰に食い込む。
「んっ……! 揺らさないで……! 変なところが擦れる……!」
「声出すな! 俺の『竿』も梯子に当たってカチカチ鳴ってるんだよ!」
カーン! カーン!
俺の怒張した先端が、金属の梯子と接触し、高らかな音を奏でる。
「もう少しですわ! 光が見えました!」
先輩がハッチを蹴り開ける。眩しい太陽の光が差し込んだ。
「うおおお! 脱出ゥゥッ!!」
俺は最後の力を振り絞り、ハルカと共に地上へと飛び出した。
「ゼェ、ゼェ……助かった……のか?」
新鮮な空気。青い空。
そして、目の前に広がる光景に、俺たちは凍りついた。
そこは、大学の正門前広場。
避難して無事だった数千人の学生たち、駆けつけた消防隊、警察、マスコミのカメラ……全員がこちらを見ていた。
俺は全裸で、全裸のハルカをおんぶし、股間を天に向けて屹立させている。
ハルカは俺の首に抱きつき、顔を赤らめて荒い息を吐いている。
完全に「事後」の風景だった。 一瞬の静寂。
そして、世界が真っ白に染まった。
パシャパシャパシャパシャパシャッ!!
無数のフラッシュが焚かれ、シャッター音が嵐のように降り注ぐ。
「え……? あ……?」
俺の背中で、ハルカが状況を理解し、体が硬直する。
目の前には、スマホを構える学生たち、望遠レンズを構えるカメラマン、そして盾を持った機動隊。
「み、見ないでぇぇぇぇ!!」
ハルカの絶叫が響き渡る。「お嫁に行けない! 私の人生終わったぁぁ!」
彼女は俺の首に顔を埋めるが、真っ白なお尻と太ももは完全にさらけ出されている。
「ま、待ってくれ! これは誤解だ! 俺たちは被害者で……!」
俺は必死に弁明しようとしたが、説得力はゼロだった。
なぜなら、俺の股間の『イチモツ』が、太陽の光を浴びてビクンッ!と脈打ち、マスコミに向かって元気よく挨拶していたからだ。
「おい見ろ! あの男、ヤル気満々だぞ!」
「公開野外プレイか!?」「すげぇサイズだ!」
歓声と悲鳴が入り乱れる。
「確保ぉぉぉ! 公然わいせつ現行犯だぁ!」
機動隊が警棒を構えて突っ込んでくる。
「くそっ、やっぱりこうなるのかよ!」
「国男のバカァ! あんたのそれが元気なせいで変態扱いじゃない!」
「生理現象だ! 降りろハルカ! 捕まるぞ!」
「嫌っ! 降りたら正面が見えちゃう! 走ってぇぇ!」
その時、横からスッとマイクを持った手が伸びてきた。
「皆さん、静粛に! これは我が大学が誇る『前衛芸術(アート)』ですわ!」
涼しい顔でレポーターのマイクを奪ったのは、いつの間にか警官の制服(ミニスカ改造版)を拝借して着込んでいた菫先輩だった。 「テーマは『原始への回帰とリビドー』。さあ、出演者に盛大な拍手を!」
「え? 芸術?」「なんだ、アートか……」
先輩のハッタリで、機動隊が一瞬ひるむ。
「今ですわ伊達くん! そのまま夕日に向かってダッシュ!」
「先輩、あんただけ服着てズルいぞ!」
「演出家は裏方ですから。さあ、青春の彼方へ!」
「ちくしょぉぉぉ! 覚えてろぉぉぉ!」
俺は涙目になりながら、背中のハルカ(全裸)の肉感と重みを感じつつ、包囲網の隙間を突破した。
「待てぇぇぇ!」
パトカーのサイレンが鳴り響く中、俺たちは夕焼けに染まる街へと走り出した。
全裸で。勃起したまま。
俺たちの大学生活は終わったかもしれない。
だが、この『ドタバタ触手大学』の伝説は、永遠に語り継がれることだろう──。
【完】 触手が絡んで逃げられない!
🔯深淵からの指先
深夜二時。絶海の孤島に建つ超高級リゾート施設「アイランド・エデン」は、死を孕んだ静寂に包まれていた。最上階のロイヤルスイート、数千万円の価値があるシルクのシーツの上で、九条美紀は異様な寝苦しさに目を覚ました。
部屋を支配する高価なアロマの香りに、場違いな潮の匂いが混じっている。
「……剛田? 返事をしなさい」美紀が暗闇に向かって声をかけるが、返事はない。ただ、どこかでヌチャッ、という濡れた肉が擦れ合う、生理的な嫌悪感を誘う音だけが響いた。
次の瞬間、彼女の細い足首に、ひんやりとした、それでいて吸い付くような感触が走った。
「ひっ……!」
悲鳴を上げようとした口元を、粘液を纏った漆黒の帯が瞬時に塞ぐ。それは指ではなく、節のない、脈打つ生き物だった。吸盤が頬に吸い付き、口腔内に生臭い体液が無理やり流し込まれる。
「んぐっ、んんぅ……!」
美紀が必死に身をよじるたび、漆黒の蔦は数を増し、彼女の自由を奪っていく。最高級のネグリジェの薄い生地が、強靭な力で左右に引き絞られ、無惨な音を立てて裂けた。
露わになった白い肌に、ぬらりと光る触手が這い回る。それは単なる捕食ではない。彼女の最も敏感な部分を執拗に、そして正確に愛撫し、陵辱するための動きだった。
一方、管理区域のモニター室。警備主任の伊達遼は、ノイズで埋め尽くされた画面を冷めた目で見つめていた。
「……始まったか」彼は右腕の医療用スリーブを締め直し、コンバットナイフを引き抜いた。傭兵時代に何度も嗅いだ、濃厚な死の臭い。だが、今のこの島に漂っているのは、それよりもずっと卑猥で、暴力的な生命の胎動だ。
「剛田、聞こえるか。美紀様の部屋へ急行しろ。……おい、返事をしろ!」
無線機からは、剛田の荒い息遣いと、何かが咀嚼される不気味な音だけが返ってくる。伊達はチッと舌打ちし、重い足取りで廊下へ出た。
その途上、伊達の前に一人の男が転がり込んできた。施設の専属医師、誠司だ。
「助けっ……伊達! 助けてくれ! 中に、体の中に何か入って……!」
エリート然とした白衣は乱れ、誠司の顔面は快楽と恐怖が混ざり合い、異常なほどに紅潮している。
彼のズボンの裾からは、無数の細い触手が血管のように入り込み、皮膚の下を這うのが見て取れた。
「……悪いな先生。俺は医者じゃない。切断しかできんぞ」
伊達は冷ややかに言い捨てると、誠司の足首に絡みつく触手を一閃した。紫色の火花と腐食液が飛び散り、断面から溢れ出た粘液が床を焼く。切断された触手は、まるで意思を持っているかのように、より太い個体へと融合し、壁の隙間へと消えていった。
「あ、ぁあ……行かないでくれ……!」
床に伏した誠司を見捨て、伊達は最上階へと急ぐ。施設全体が、巨大な心臓の鼓動のように脈打ち始めている。
最上階では、美紀が極限の羞恥に晒されていた。四肢を大の字に広げられ、天井から吊り下げられた彼女の瞳には、絶望の色が濃い。
「……あ、んっ……やめて……」
震える声とは裏腹に、彼女の身体は、未知の生物が注ぎ込む毒素によって抗いがたい熱を帯びていく。
その様子を、最深部の司令室でモニター越しに見つめる男がいた。佐伯博士だ。
「素晴らしい。九条の娘の絶望値が、触手の成長を加速させている」
博士の傍らでは、感情を失った少女ツバキが、無機質にナイフを研いでいた。
「博士、次の獲物は? 私は、あの傭兵を斬りたい」
「焦るな、ツバキ。まずはこの島を、彼らの欲望と悲鳴で満たすのだ」
暗闇に包まれたアイランド・エデン。救助の来ない絶海の孤島で、本当の地獄が幕を開けた。 🙀獣の咆哮と密やかな誘惑
エレベーターは既に沈黙していた。電源系統が触手の侵食によってショートしたのだろう。伊達は非常階段を駆け上がりながら、無線機のチャンネルを切り替えた。
「エナ、聞こえるか。システムを掌握しろ。何が起きている」
ノイズの向こうから、震える少女の声が返ってきた。
「だ、伊達さん……!? よかった、無事だったんですね。施設の中枢が……得体の知れない生体組織に書き換えられています。監視カメラの映像も、半分以上が真っ赤な肉の壁で埋まっていて……」
エナの報告は絶望的だった。この島全体が、一つの巨大な胃袋か生殖器に変貌しようとしている。伊達は右腕の痛みを堪えた。スリーブの下で、以前負った古傷が疼いている。
「エナ、お前は動くな。制御室の隔壁を閉鎖してそこにいろ。美紀様を回収して必ず行く」
「はい……待ってます。絶対、助けに来てくださいね」
通信を切った瞬間、ラウンジの方角から激しい衝突音が響いた。
伊達が現場に踏み込むと、そこにはドレスを裂き、呼吸を乱した女が立っていた。ジュリアだ。彼女は倒れた真鍮のテーブルを盾にし、床から伸びる無数の細い触手へ向けて小口径の拳銃を連射していた。
「……無駄だ。そんな玩具じゃ、そいつらの再生速度には追いつかん」
伊達の声に、ジュリアは鋭い視線を向けた。恐怖に怯えながらも、その瞳には獲物を品定めするような狡猾な光が残っている。
「あら、頼もしい騎士様の登場ね。伊達主任、助けてくれたら何でもしてあげるわよ。私の秘密も、この体も、好きにしていいわ」
「お前の秘密には興味がない。だが、死体と交渉する趣味もない。後ろに下がっていろ」
伊達は腰のポーチから特殊な焼夷手榴弾を取り出し、触手の群れに投げつけた。凄まじい熱量と共に、粘液の焼ける悪臭が立ち込める。ジュリアは咳き込みながら伊達の背中にしがみついた。
「さすがね。でも、上へ行くなら覚悟した方がいいわよ。あのお嬢様の番犬、剛田だっけ? 彼、もう人間じゃないわ」
ジュリアの言葉を裏付けるように、上層階から獣のような咆哮が轟いた。それは人間の声帯から発せられる音ではなかった。伊達は表情を変えず、階段を一段飛ばしに登り始めた。
その頃、最上階のロイヤルスイート。九条美紀の精神は、限界を迎えようとしていた。天井から吊るされた彼女の四肢は、絡みつく触手の刺激によって絶え間なく震えている。
触手は彼女の肌を愛撫するだけでなく、皮膚の毛穴一つ一つに、微細な繊毛を潜り込ませていた。
「……あ、いや……熱い……何かが、入って……!」
美紀の脳内に、自分のものではない記憶と快楽が直接流し込まれる。それは触手がこれまで捕らえてきた生物たちの絶望の記録だった。
傲慢だった彼女の自尊心は、剥き出しの生理的快感によって蹂躙されていく。触手の先端が、彼女の秘所を深く、執拗に突き上げた。
「んぐっ、あぁぁぁ……!」
声にならない絶叫。その時、スイートの重厚なドアが外側から猛烈な力で叩き壊された。現れたのは伊達ではない。かつて美紀の忠実な盾であった剛田だった。
しかし、彼の肉体は異様に膨張し、皮膚の下では無数の触手が脈打っている。その瞳からは理性が消え失せ、代わりに濁った欲望だけが爛々と輝いていた。
「お……じょ、う……さま……」
壊れた機械のような声。剛田は変わり果てた主人の姿を見て、股間を異様に膨らませ、よだれを垂らしながら一歩を踏み出した。
変貌した剛田の剛腕が、全裸で吊るされた美紀の腰を掴んだ。 🥩裏切りの肉塊
ロイヤルスイートの分厚い扉は、内側から引きちぎられたように歪んでいた。伊達はコンバットナイフを逆手に握り直し、背後に潜むジュリアに目配せを送る。部屋の中に漂うのは、むせ返るような潮の匂いと、獣じみた体臭が混ざり合った腐臭だ。
「……ひどい有様ね」
ジュリアが眉をひそめて呟く。豪華なリビングを抜けた寝室の光景は、地獄そのものだった。
天井から吊るされた九条美紀は、もはや令嬢の面影を失いつつあった。全身を漆黒の触手に絡め取られ、白い肢体は充血して赤らんでいる。彼女の身体を弄ぶ触手は、まるで神経系を直接刺激するように脈打ち、彼女の意識を快楽の底へと沈めていた。
その彼女の足元に、巨大な影がうずくまっている。
「剛田、そこまでだ」
伊達の声に、影がゆっくりと立ち上がった。
かつての剛田を知る者が見れば、その変貌に息を呑んだだろう。仕立ての良いスーツは弾け飛び、膨張した筋肉の間からは、無数の触手が血管のように這い出している。その顔面は半分が腫れ上がり、濁った瞳は獣のそれへと退行していた。
「お……じょ、う……さま……俺の……もの……だ……」
剛田の口から溢れるのは、執着と欲望が凝り固まった濁音だ。彼は全裸で吊るされた美紀の腰を、岩のような剛腕で掴み直した。その指先からも細い触手が伸び、彼女の肌を侵食していく。
「剛田! 正気に戻りなさい!」
ジュリアが叫び、小口径の銃弾を剛田の背中に撃ち込んだ。だが、肉厚の身体に飲み込まれた弾丸は、致命傷には至らない。剛田は苛立ったように吠え、床から生えた巨大な触手を鞭のように振り回した。
「下がってろ!」
伊達がジュリアを突き飛ばし、床を転がって触手の連撃をかわす。彼は右腕のスリーブを噛み締め、固定具を外した。
剥き出しになった伊達の右腕は、奇妙に白濁し、不自然なほどに筋肉が隆起している。以前、戦場での生体兵器実験に巻き込まれた際に刻まれた呪いだ。
伊達は一気に踏み込み、剛田の懐へ飛び込んだ。剛田の腕から伸びる触手が伊達の肩に食らいつくが、彼は構わずナイフを剛田の喉元へと突き立てる。
「グ、アァッ……!」
剛田が苦悶の声を上げる。だが、彼の傷口からは血ではなく、ドロリとした粘液が溢れ出し、瞬時に組織を再生させていく。
「無駄だ伊達! 奴の生命維持は、この部屋の壁一面に根を張った触手とリンクしている!」
ジュリアの声通り、部屋の壁は生き物のように波打ち、剛田にエネルギーを供給し続けていた。
「なら、根こそぎ焼くしかねえか」
伊達は剛田の反撃を紙一重でかわしながら、美紀を見上げた。彼女の意識は混濁し、自分を助けに来た男の姿すら認識できていない。ただ、触手の刺激に翻弄され、熱い吐息を漏らすばかりだ。
その時、剛田の背中から四本の巨大な触手が翼のように展開した。先端には鋭い爪が備わっており、それは獲物を捕らえるためのものではなく、引き裂き、蹂躙するための器官だった。
剛田は咆哮し、美紀を吊るしている触手ごと彼女を抱き寄せた。
「俺と……ひとつに……なれ……!」
化け物と化した部下の欲望が、無防備な主人の身へと牙を剥く。 剛田の咆哮は、もはや人の喉から発せられる音ではなかった。肥大化した肉塊の隙間から覗く無数の吸盤が、不快な吸着音を立てて空気を震わせる。
「お嬢様……俺の一部に……」
濁った粘液を滴らせ、剛田の腕が美紀の細い腰を粉砕せんばかりの力で引き寄せた。全裸で吊るされた美紀は、恐怖と快楽の毒素に脳を焼かれ、ただ力なく首を振ることしかできない。彼女の白い肌には、既に触手の侵食による赤黒い紋様が血管のように浮き出ていた。
伊達は右腕の固定具を完全にパージした。剥き出しになったその腕は、肩口から指先までが鈍色に光る生体金属のような質感に変貌している。かつての実験で植え付けられた、触手の天敵たる試作型熱線放射組織だ。
「おい、スパイ女。死にたくなきゃ俺の背中から離れるな」
伊達が低く命じると、ジュリアは言葉を返さず、彼の背中にぴったりと寄り添った。彼女の計算高い脳は、今の状況で生き残る唯一の手段がこの無愛想な男の影に隠れることだと瞬時に判断していた。
剛田が背中の触手翼を大きく広げ、弾丸のような速度で突進してきた。肉の塊とは思えぬ機敏さだ。伊達は正面からそれを迎え撃たず、右腕を床に叩きつけた。
「……焼却しろ」伊達の右腕から、肉を焼く凄まじい熱波が放射された。床に根を張っていた触手の絨毯が一瞬で炭化し、部屋全体に硫黄のような悪臭が立ち込める。支えを失った剛田の巨体が前のめりに崩れ、その隙を突いて伊達がナイフを振り下ろした。
しかし、剛田の再生能力は伊達の予測を超えていた。切断された箇所から新たな触手が瞬時に芽吹き、伊達の首筋を狙って鎌のようにしなる。
「がっ……!」伊達は間一髪で首を反らしたが、左頬を鋭い棘が切り裂いた。鮮血が舞い、床に落ちる前に触手の吸盤がそれを奪い合うように飲み込んでいく。
「伊達、あれを見て!」
ジュリアの叫びに伊達が視線を上げると、剛田の胸元が大きく裂け、その中から脈打つ巨大な核のようなものが露出していた。それは美紀を吊るしている天井の巨大な触手群と、細い肉の糸で繋がっている。
「あれが本体とリンクしている供給源か……」
「そうよ! 剛田はただの端末に過ぎない。あのお嬢様を苗床にして、島全体を支配する脳を作ろうとしているのよ!」
ジュリアの指摘に呼応するように、天井の触手が美紀をさらに高く引き上げた。美紀の口腔内を蹂躙していた触手がさらに奥深くへと侵入し、彼女の腹部が不自然に膨らみ始める。
「んぐ……あ……あぁ……!」美紀の瞳から涙が溢れ、白目を剥いて痙攣する。彼女はもはや人間としての尊厳を奪われ、化け物を産み落とすための生きた容器へと作り替えられようとしていた。
剛田が再び咆哮し、今度は四肢を触手の鞭へと変えて全方位から襲いかかる。
「邪魔だぁぁぁ! 伊達ぇぇ!」
「黙れ、肉塊が」
伊達は右腕の熱量を最大に引き上げた。皮膚が裂け、そこから黄金色の高圧蒸気が噴き出す。自らの肉体を焼き切るほどの負荷をかけ、彼は剛田の懐へと潜り込んだ。
熱を帯びたナイフが剛田の核を貫く。
「グアァァァァッ!!」
剛田の巨体が内側から燃え上がるように発火した。熱線はリンクを伝わり、天井の巨大触手群をも焼き焦がしていく。拘束を解かれた美紀が、重力に従って床へと落下した。
「ハル……じゃねえ、美紀様!」
伊達は炎上する剛田を蹴り飛ばし、宙を舞う美紀を抱きとめた。彼女の肌は熱く、触手が這い回った痕跡が爛れたように赤くなっている。
「……だ、て……」
微かに意識を取り戻した美紀が、伊達の胸元に顔を埋めた。だが、その腰に絡みついた一本の太い触手だけは、焼き切られてもなお、彼女の体内へと深く根を伸ばしたままだった。
「脱出するぞ、ジュリア。ここはもう持たん」
部屋の壁が剥がれ落ち、そこから無数の「目」を持った触手がこちらを睨みつけていた。
佐伯博士の笑い声が、スピーカーからではなく、部屋の肉の壁そのものから響き渡る。
「素晴らしいデータだ、伊達遼。だが、その娘は既に私の子供を宿している。どこまで逃げられるかな?」
伊達は美紀を背負い、出口へと走り出した。背後では、崩れ落ちた剛田の残骸が、新たな、より巨大な捕食者へと再構成され始めていた。 『悦楽の実験室』
地下二階、高度医療研究フロア。自動ドアの残骸を潜り抜けた瞬間に漂ってきたのは、消毒液の刺激臭を塗り潰すような、腐った果実と雌の獣が混ざり合った濃密な芳香だった。
「……気持ち悪い匂い。香水のつもりかしら」
ジュリアが鼻を抑え、警戒を強める。伊達は背負った美紀の体温が、異常なほど上昇しているのを感じていた。彼女の肌は火照り、背中に当たる吐息は熱く、湿り気を帯びている。
「伊達、さん……あ、つい……。お腹の、中が……暴れて……」
美紀の声はもはや朦朧としていた。彼女の下腹部は微かに脈打ち、衣服の上からでも何かが蠢いているのが分かる。伊達は奥の処置室を目指すが、そこには予想だにしない地獄が広がっていた。
広々とした円形ホールの中央、巨大な培養槽を核として、無数の紅い触手が壁や天井を覆い尽くしている。その触手の密林に抱かれるようにして、一人の女が宙に浮いていた。
マダム・ローザ。推定年齢七十を超えているはずの彼女の肌は、今や二十代の娘のように瑞々しく、全裸の肢体は艶かしい光沢を放っている。
「あら……。不作法なお客さんね。私の若返りの儀式を邪魔するなんて」
ローザがゆっくりと目を開ける。彼女の全身の孔という孔には、細い触手が神経のように入り込み、快楽の電流を注ぎ込み続けていた。
「だめよ、お嬢さん。その子はまだ、私のもの。あなたには渡さない」
ローザが嫉妬に狂ったような形相で腕を振るう。彼女の意思に呼応し、伊達たちを囲むように太い触手の壁がせり上がった。
ホールの隅では、記者の慎二がうずくまっていた。
「写しちゃった……。あの触手の先が、どうやって彼女を……。あんなの、記事にできるわけない……!」
彼の精神は、目の前で繰り広げられる常軌を逸した性宴によって、完全に崩壊していた。
その時、美紀の身体が激しく弓なりに反った。
「あ、が……あぁぁぁ……っ!」
彼女の絶叫と共に、ホールの触手が一斉に波打つ。ローザの背後にある親株が、美紀の体内の種子と共鳴を始めたのだ。
美紀の唇から複数の声が重なったような異質な音が漏れ出す。
「……繋がった……。みんな、視える。伊達、さんの……右腕の、痛みも。ジュリアの……汚い、計算も」
それは美紀自身の言葉ではなく、触手のネットワークが彼女の脳を利用し、発している言葉だった。
伊達は右腕の出力を上げようとするが、過負荷による激痛で膝をつく。
「くそっ……! 供給源を叩くのが先か」
「無駄よ伊達。あのお嬢様の意識は、もう親株の海に溶け出しているわ」
ジュリアが絶望的に告げる。モニターには、美紀の脳波が異常な快楽物質の分泌によって、真っ赤に塗り潰されていくグラフが映し出されていた。
美紀の体内で蠢く種子が、彼女の脊髄を伝って脳幹へと侵食を開始する。彼女の肢体は触手によって空中に引き上げられ、ローザと対面するように固定された。
「ん、あぁ……。気持ち、いい……。伊達、さん。私を……壊して……。そうしないと、私……これ以上、幸せに、なっちゃう……!」
美紀の意識が、羞恥と快楽の狭間で霧散していく。伊達は選択を迫られていた。美紀の命を奪ってでも種子の覚醒を止めるか、それともローザを、そしてこの狂った実験室そのものを焼き尽くす賭けに出るか。
背後からは、剛田の残骸を吸収して巨大化した新たな影が、ゆっくりと廊下を塞ぎ始めていた。 伊達は右腕の皮膚を突き破るような激痛を無視し、心臓の鼓動を拳へと集中させた。生体金属が赤熱しスリーブの残骸が蒸発していく。
「どけ。その女はお前の玩具じゃねえ」
彼が解き放ったのは、自らの命を燃料に変える禁忌の熱線だった。
「やめなさい! 私の美を不浄な火で汚さないで!」
ローザが金切り声を上げ、太い触手を槍のように突き出す。伊達は避けない。熱線を纏った右腕でそれを掴み、一気に焼き切った。
「ぎゃあああっ!」
触手と神経を共有するローザが、自らの身を焼かれるような絶叫を上げる。
火線は瞬時に実験室を埋め尽くした。壁の肉片が炭化し、むせ返るような死臭が立ち込める。天井から吊るされていた美紀の拘束が熱によって弾け飛んだ。
「美紀様!」
伊達は床を蹴り、落下する彼女の柔肌を、熱を抑えた左腕で抱きとめた。
美紀の肌は、触手の吸盤が残した紅い斑点で覆われていた。彼女の身体はなおも熱く、体内の種子が死の間際の抵抗として、彼女の脊髄を激しく打っていた。
「あ……あつ、い……だて、さん……」
虚ろな瞳が伊達を捉える。彼女の腹部には、皮膚の下で蠢く異物の影が透けていた。
「伊達、早くここを出るわよ! 施設が自爆シーケンスに入ったわ!」
ジュリアが爆風に耐えながら叫ぶ。ローザは炎に巻かれ、若返った皮膚が剥がれ落ちる中で、親株の残骸にしがみついていた。
「……私の永遠が……!」
狂った老女の叫びは、爆炎の轟音にかき消されていく。
伊達は美紀を背負い、黒煙が渦巻く廊下へと飛び出した。熱線の代償として、彼の右腕の感覚は完全に消失し、ひび割れた先からは鈍色の液体が滴っている。
「エナ、聞こえるか。上層へのルートを確保しろ。それから誠司を……あの医者を探せ」
背負われた美紀は、伊達の背中に顔を押し当てていた。彼女の項には、焼き切られた触手の根元が、紋章のような刺青となって深く刻まれている。
それは、彼女が一生消えない触手の苗床としての烙印を押されたことを意味していた。
伊達の右腕も、限界を越えて不気味に脈動していた。
実験室は轟音と共に崩落し、地下の闇へと消えた。だが、美紀の体内で蠢く種子の拍動は、伊達の背中を通して、確実に彼の心臓へと共振していた。
「……逃がさない。どこへ、行っても」
美紀の唇から、彼女自身のものとは思えない妖艶な囁きが漏れた。
それは島そのものが発した呪いのようだった。 崩落の轟音を背に、伊達たちは狭い配管ダクトへと逃げ込んだ。非常用ライトの淡い赤光が、壁を這う黒い導管を血管のように浮き彫りにする。背負われた美紀の吐息はさらに熱を帯び、伊達の項に湿った震えを伝えていた。
伊達の右腕からは、制御を失った生体エネルギーが鈍色の霧となって漏れ出している。スリーブの裂け目から覗く肉体は、もはや人間のものではない。その異常な熱量に反応するように、美紀の首筋に刻印された触手の痕が、禍々しく脈打ち始めた。
「だて、さん……。だめ、身体の、中が……欲しがってる」
美紀がうわ言のように呟く。彼女の指先が、伊達の胸元を執拗に探り、熱を帯びた右腕へと吸い寄せられていく。彼女の瞳は薄く開き、その奥には底知れない渇望が渦巻いていた。
「離れろ、美紀様。今の俺の腕に触れれば、あんたまで焼き切れる」
伊達は突き放そうとしたが、左腕の力が入らない。美紀は蛇のように彼にしがみつき、熱線を放つその腕を自身の柔らかな胸元へと抱き寄せた。
「いいの……。熱いのが、いい……。もっと、私の中に、流して」
美紀の背中から、細く鋭い複数の触手が生え出した。それは彼女の意志とは無関係に、伊達の右腕の傷口へと牙を剥くように飛びかかる。漆黒の蔦が、伊達の剥き出しの神経に直接絡みついた。 「ぐっ……ああぁっ!」
伊達の口から絶叫が漏れる。だが、それは純粋な苦痛だけではなかった。触手を介して、美紀の体内に蓄積された濃密な快楽の毒素が、彼の血管へと逆流してくる。二人の肉体は、触手のネットワークによって強制的に同調させられた。
「嘘でしょ……。二人とも、何をしているの」
背後で見守るジュリアの顔が驚愕に染まる。彼女の目には、伊達の右腕と美紀の肉体が、無数の蠢く触手の糸によって、一つの巨大な繭のように編み上げられていく光景が映っていた。
美紀の体内の種子が、伊達の熱量を餌にして急速に肥大していく。彼女の腹部は異様に波打ち、皮膚の下で何かが愉悦に震えていた。美紀の顔は羞恥を忘れた笑みに崩れ、伊達の首筋に熱い舌を這わせる。
「繋がってる……。伊達さんの、鼓動が……私のお腹に、響いてる。もう、離さない」
美紀の体温が伊達の感覚を麻痺させ、彼の冷徹なプロとしての意識を泥濘へと引きずり込む。伊達は逃げるべき出口を目の前にしながら、その場から動くことができない。
触手は二人の皮膚を溶かすように密着させ、神経系を一つに繋ぎ変えていく。伊達の放つ熱線が、美紀の体内で新たな生命の糧へと変換される。それは捕食ではなく、生物学的な融合であり、逃れられない呪いの完成だった。
「……行くぞ。止まるわけにはいかない」
伊達は濁った声で絞り出した。触手によって美紀と一体化したまま、彼は重い足取りで闇の先へと進む。背後では、崩壊を続ける施設の壁から、何千もの「目」が彼らの背中を凝視していた。