「何するの!?ぼくが自分でしている所を見せるだけ、あなたはそれをスケッチするだけっ
て言ったでしょう!?」
 突然の接近と抱擁に驚き、青年は男の腕を振りほどこうともがいた。男は薄笑いを浮かべ、
尚も抗う相手をベッドの上で無理やり抱き寄せ、既に男娼自らが露にしていた下半身に手
を伸ばし、まさぐった。
 「堅いこと言うなよ。金なら後で余計に払うから」
 「嫌だ、嫌だ、触るんなら、嫌!」
 「アドルフ、言うことを聞け!おまえは俺に金で買われたんだ」
 「何だ、お金なんか!」
 有無を言わさぬ平手にバシッと一発頬を張られて、青年の華奢な体はベッドに倒れこん
だ。意識が朦朧としている間に、男に容易く組み敷かれ、カッターシャツの釦を全部外さ
れて、殆ど丸裸にされた。
 以前の恋人で同棲もしていた音大生のグストル以外には誰にも触れさせたことも、口づ
けさせたこともない肌を、見知らぬ男の手と唇が遠慮会釈もなく這いずり回った。片方の
乳首を弄くり回され、もう片方の乳首に吸いつかれた。男の舌がねっとりと乳首に絡む。
 男はファスナーを下げ、彼の家系の宗派に従って、生後すぐ、神に捧げる為に包皮の一
部を切り取られた陰茎を引き出すと、これを青年の太腿に擦りつけた。
 「嫌だ・・・・やめて・・・・」
 おぞましさに鳥肌を立て、羞恥に頬を赤らめながら、青年は喰い縛った歯の間から哀願
の呻きを洩らした。
 「何かまととぶってるんだ、ふしだらなお嬢さん?こんな所にいて、男の前でセンズリ
掻いて金取って、自分だけは違う、きれいでいられると思ってたのか?」
 青年の髪を掻き上げ、感じやすい耳や首筋を舐めながら、男が淫靡に笑った。