0001名無しさん@ピンキー2009/08/26(水) 22:01:04ID:QTxOiqL9
0081名無しさん@そうだ選挙に行こう2010/07/10(土) 17:50:51ID:cnsIMa+t
保守あげ
0083名無しさん@ピンキー2010/11/22(月) 01:47:31ID:+gf3cHUw
保守
今度いつか出るゲームはキャルのルートが楽しみ
早く発売してくれー
0086名無しさん@ピンキー2011/04/04(月) 13:10:58.46ID:MPhyujGF
まだあったとは
0087名無しさん@ピンキー2011/04/16(土) 04:01:29.93ID:MxKrBU//
キャルage!
0089名無しさん@ピンキー2011/10/01(土) 14:37:01.66ID:7LcT2dEo
キャル愛してる
0091名無しさん@ピンキー2012/01/07(土) 01:37:50.22ID:DUglb5FM
キャル保守
0093名無しさん@ピンキー2012/02/07(火) 19:17:12.55ID:M3txeMXq
大人キャル保守
0096名無しさん@ピンキー2012/02/17(金) 15:59:41.54ID:1SJS5S9a
ワイズメル保守
0098名無しさん@ピンキー2012/05/23(水) 22:15:31.72ID:x9JDxIwu
低脳声優アンチキモ過ぎ
0101名無しさん@ピンキー2012/10/30(火) 22:00:31.43ID:M6Cxf651
数字姉妹こそ至高
ちょっと悲しい話だが漫画版を下地にしたので考えた物はある
キャルが玲二庇ったときに「生きて」と言い残して息を引き取る
ツァーレンシュベスタインのメンバーで物陰に隠れて「どうしたらいいのですか!?」と取り乱していた漫画版では黒髪で前髪ぱっつんなポニテといった風貌のゼクスと玲二が対峙
漫画版ではなんか情けない感じだったゼクスは玲二を前にして戦意喪失
ゼクスのみ意識を刈り取るに留めて命だけは見逃す
エレンはその間にサイス・マスターと相打ち、玲二が駆け付けたときには瀕死の状態でやっぱり「生きて」と伝えて息を引き取る
一人残った玲二は二人が残した遺言「生きて」を護る為に気を失っているゼクスを抱き上げて戦場を去る
組織から逃れながら空虚を紛らわせるためにゼクスを抱く
ゼクスも負けた以上組織に戻れないと玲二に付いていくしかない&逆らったら殺されるかも知れないと大人しく抱かれる
そこから始まる二人の日々みたいなの
0109名無しさん@ピンキー2014/06/14(土) 02:42:16.91ID:64HlTofm
Phantomの世界観にも合ってるし普通に読んでみたいな
漫画版設定
吾妻玲二×ゼクス
玲二とゼクス
“玲二のこと憎めないよ――”
二年ぶりとなる再開を果たしたキャルは……彼女は涙を流しながらそういっていた。
“私の事… 重かった?”
聞きたいことがあるという彼女の言葉。
自分がマフィアの金を持ち逃げしたから、あなたへと迷惑を掛けたから、あなたは私を置き去りにしていったのではないか?
向けられる疑念の言葉に断じて違うと伝えたかった。
あの日、俺は全力でキャルの待つアパートに向かっていたと。
お前を連れてどこまでも逃げてやると決意していたのだと。
しかし…。
それは、最早永劫に伝えることのできなくなってしまった後悔の言葉。
“レイジ…生きて……”
サイス・マスターによって呼び出された篠倉学園。そこで行われた奴の配下ツァーレンシュヴェスタンとの戦い。
自身やエレンと同じ様にサイスの手によって洗脳され、自分を失ってしまったこのファントム達との戦闘で、俺を庇ったキャルはその言葉を。
その言葉だけを残して――。
死んだ。
だが、皮肉なことに、キャルが遺したその言葉こそが、サイスの追催眠により銃の引き金を引けなくなっていた俺を蘇らせる。
ただ守られるばかりで彼女達の命を盾にして逃げ続けていた俺を、ファントムとしての非情なる俺へと――。
「知ってるんだぜ? アンタはマスターの追催眠ですっかり腑抜けにな――」
パァァンッ―――!
乾いた音が鳴り響く。
顔を近づけてきたノインという女が血しぶきを上げて倒れる。
今、再びファントムとなった俺の手により、その美しい顔に銃弾の穴を穿たれて。
「なんで!? こんなの聞いてな…!」
ノインの死に驚愕の声を上げたのは、彼女と共に俺を抹殺するために現れた三つ編みの女フェンフ。
「恨みたければ恨むが良い… これ以上俺自身の不甲斐なさで何かを失う苦しみを背負うくらいなら――」
幾らでも恨め。そしてその恨みを受けるこの俺は幾らでも殺してやる。
覚悟を決め非情な暗殺者へと戻った自分には、最早この冷たい引き金を引くことになんら躊躇いを感じることはないのだから。
“パァンッ!”
驚愕の声を上げつつ暗器であるナイフを構えたフェンフ。その眉間を、ただ何も言わずに撃ち抜き仕留める。
「……」
ぽっかりと空いた額の穴。
銃弾が貫通したことを示す様に後頭部から大量の血液と脳漿を飛び散らせながら彼女はその場に崩れ落ち、死んだ。
相手が女である事。彼女達もまた自分達と同じく洗脳されただけの暗殺者である事。
それを理解していながらも、ノインとフェンフ、襲い来た二人を俺は殺した。
そんな俺は、最早銃を持てない唯の吾妻玲二ではなくなってしまったのだろう。
今の俺は、相手が誰であれ、敵対する者にはすべからく死を与えるだけの、冷徹なる暗殺者。
それでいい。それでいいんだ。
大切な者を喪う悲しみを味わうくらいなら。
守るために、奪う道を、俺は選ぶ。
もう二度と、後悔という名の選択をしないためにも……。
「こんなの… こんなの予定と違うッ!!」
直ぐ近くの物陰から殺した二人とは別の女の声が聞こえた。
「私… どう動いたら…ッ!」
混乱し狼狽するその声は、たったいま永遠に喪ってしまった、大切な……いや、大切であった少女の物でも、もう一人の守るべき少女の物でもない。
ならば誰の物なのか? 答えなどただ一つだ。
銃を構え、その物陰の壁を撃つ。
「キャッ!!」
上がった悲鳴は一つ。
隠れているのは一人。
「お姉さま指示してください!! お姉さまが指示しないと私……!」
誰かに助けを求めて叫ぶ物陰に潜む女。
「おねぇさまぁ!!!」
その様子は一種の恐慌状態に陥っている。
「無駄だ」
間合いを詰め銃を構えて飛び出した先では、栗色の長い髪をポニーテールにしている女が目に涙を浮かべながら身体を震わせていた。
「ひッ…!」
女の服装は胸元が大きく開いた菱形ネックのデザインに、腰部まで深くスリットの入った身体のラインがよく表れている扇情的なもの。
同時に暗殺者向きとでも言うべき動きやすさを重視しているのであろう白いドレス。
疑うべくもない。サイス配下のファントム――ツァーレンシュヴェスタンのメンバーだった。
「い…いや…ッ!」
女はサイスの催眠を受けているというのに恐怖を感じている。
「いやぁッ……助けッ……、ころさ…ないで…ッ!」
想定外の事態における死の恐怖までは取り去ることが出来ていないのか、命乞いを始めた彼女は。
壁に背を押し付けたまま首を左右に振り、瞳に恐怖の色を滲ませながらただ涙を浮かべて殺さないでと壊れた人形のように繰り返している。
「……」
「いやッ……、いやぁ……ッ、おねぇさま助けてっ、おねえさまぁぁぁ!!」
俺はもう、殺しを躊躇わない。
目の前で命乞いを始めた恐怖に震える女であろうと、この銃の引き金を引きその命を奪うことに何ら良心の呵責など感じない。
何かを奪われるだけの現実が目の前に広がっている以上、この冷たい現実を受け入れ、ただ奪われないように奪う――それだけだ。
たとえ奪おうとしている者が俺やエレンやキャルと同じ境遇の女達であったとしても。
だが……だが俺は――。
「ころさ――」
右手に構えた銃の引き金を引くことはなかった。
引くのではなく、握り締める。
そして握り締めたその拳を振り抜き、女の腹部を強打。
「かはッ――?!」
命を奪うのではなく、ただ意識を刈り取るだけに留めた。
地面に崩れ落ちた女は目を閉じピクリともしなかったが命に別状はないだろう。
「……」
これ以上、失う苦しみを背負うくらいなら、いくらでも殺す。
女であろうと子どもであろうと老人であろうと関係無く、立ち塞がる全ての敵を。
しかし。
戦意を失った相手までを殺す必要は無い……。
立ち塞がり向かってくる者だけを殺せばいい。
人の心や運命。そしてなによりも己の目的の為だけに無為に命を奪い弄ぶサイスのような、下劣な男に成り下がるつもりもまた、ないのだから。
***
ノインとフェンフを殺し、戦意を喪失したポニーテールの女ゼクスの意識を刈り取った後、向かった先は銃声響き渡る礼拝堂。
エレンが戦っているであろうその場所へ、もう失うのは嫌だと唯ひたすらに掛け、辿り着いた。
そう、辿り着いたのだ。
しかし、其処に立っている人間は誰一人いない。
時既に遅く、総てはもう――終わっていたのだ。
礼拝堂で俺を迎えたのは、ただ倒れ伏すだけで動かない三つの人影だけであった。
倒れ伏す三つの人影は、皆己が自身の鮮血によってその身を真っ赤に染めている。
一人はシャンデリアに押し潰された状態で額を撃ち抜かれ絶命しているフィーアという名のツァーレンシュヴェスタン司令塔であった女。
憎しみの感情を浮かべながら見開かれたままとなっているその瞳はもう、二度と何かを映すことはない。
二人目は通路に倒れ血の海を作っている男――
「サイス……マスター……」
この戦いの元凶にして、俺達の総てを弄んだこの男も、フィーア同様に額を撃ち抜かれて事切れている。
エレンとキャルを操り。
キャルが死ぬ原因を作り。
幾多の運命と心を己が欲望のままに弄び続けた男の、実に。
実に呆気ない最後だった。
そして――
そして、それを作り出したであろう三人目……。
「エレ、ン、」
エレンは、俺のもう一人の大切な人は、礼拝堂の十字架の前に、一人倒れ伏していた。
篠倉学園の制服を、制服の胸元を、真っ赤に染めながら。
「エレンッッ!!」
掛け寄り抱き起こしたその華奢な身体には、もう、余り熱が残っていない。
冷えていく体温。
消えかかる灯火。
瞬時に理解できた。
最早……最早手遅れなのだと。
「れ、い……じ……」
小さな、小さな、掠れた声。
呟かれたのは俺の名。
「エレンッ……しっかり、しっかりしろッ…!」
呼び掛けに対し微かな微笑みを浮かべた彼女は、唯そっと手を伸ばして俺の頬に触れた。
冷たい手だ。温もりの喪われていく、鉄の引き金よりも尚冷たい手だった。
「死ぬなッ…、死ぬなエレンッ……!」
絞り出すような彼女の震える声からは余り時間が残されていない事が窺えた。
嫌でも、認めたくなくても、目を逸らしたくても、信じたくない現実でも。
これが、これこそが、彼女に訪れた救いのない現実なのだ。
エレンの死。
確実なるその未来が、もう目の前までやってきているという。
「死なないでくれ…ッッ!」
それでも俺は死ぬなと叫ぶ。
例えこれが意味を成さない行為であると分かっていても、こぼれ落ち失われ行く彼女の命をこの冷たい世界に留めていたいが為に。
「ごめん、なさい…、あなたを…、苦しめ…て、」
「なんで……、どうして謝るんだ……ッ!」
謝らなくていい……ッ、もっと苦しめてくれていいッ……!
だから…ッ、だから俺の傍に……、ただ俺の傍に居てくれ――ッ
何度も何度も引き留めた。
手の届かない世界に行かないでくれと。
俺を一人にしないでくれと。
だが、それは無理だと拒否されてしまった。
自分の事は……自分が一番分かっていると言って。
「エレ……ンッ」
エレンもまた暗殺者。自らの状態など言われずとも理解していた。
理解しているからこそ、ただ事実だけを伝えてくるのだろう。
俺に嘘を吐かないために。叶わぬ希望を持たせないために。
俺の聞きたくない、彼女という人間に訪れる死の運命を……。
「お願いが……あるの……」
最後の力を振り絞るように身体を動かし、俺の耳元に口を寄せてきたエレンは呟いた。
もう動くことは不可能だというのにも拘わらず、消え行く命の炎を、一際激しく燃え上がらせて。
“生きて……”
耳から入り、脳へと至るその言葉は、ただ俺に生きていて欲しいというエレンの願い。
たった今聞いたばかりの、キャルが遺していった物と寸分違わぬ、その言葉。
何も求めず、何も与えず、ただ生きろという……優しくも残酷なる。
「エレン……?」
ふっと彼女の身体から力が抜ける。震えていた微かな声も……もう、聞こえない。
閉じられた目。
穏やかな表情。
静かに眠るその様子は、身体を揺さぶれば直ぐにでも起き上がりそうな程に安らかで。
「エレ……ン………」
だから。
だから俺は――。
“おやすみ……エレン”
安らかな眠りに付いたエレンに、たった一言だけを呟き、その場を、後にすること以外……できなかった。
嘆き悲しみ、涙を流すことも。
彼女を想い叫ぶこともなく。
エレンとキャルが遺した。
“生きて”
優しくも残酷なその言葉を反芻しながら──。
***
エレンが永遠の眠りに就いた礼拝堂を後にし、一人戦いの部隊となった篠倉学園をさまよい歩く。
エレンとキャル。二人を救うことが出来なかった俺の心に空いた穴には氷のように冷たい隙間風が吹き抜け、身体の奥底まで凍らせてしまうかの様な錯覚を覚えさせていた。
だが、彼女達が遺してくれた最後の願いまでは凍らず、俺の中で燃え盛っている。
「俺は――生きる」
生きなければならない。
この場を生き延び、これより先もずっと、ずっと生き続けなければならない。
大切な者達が遺していったこの願いだけは、護り通さなければならないのだ。
罰……、そう、これはある意味俺に課された罰なのだろう。
守りたかった者を喪い、この生きる意味を喪失してしまった世界でただ一人、孤独に生きていかなければならないのだから。
失われた命は二度と戻らない、それは残酷なる世界の法則。
生が始まりから終わりへ向う物ならば死は終わりから始まりへと向う物。
たとえ彼女達の後を追い、この命を絶ったところで、もう二度とは会えないだろう。
人生は、命とは、一方通行で進み行くただ一度きりの物なのだから。
もし輪廻転生のような物があるとしても、この広い世界で新たに生まれ変わった二人はもう、俺の知るエレンとキャルではないのだから。
終わりなのだ。
彼女達との日々は、彼女達と過ごした時間は、もう今のこの時すでに過去のものと成ってしまったのだ。
自身が非力であった為に、自分が弱かったが為に。
「それでも俺は――」
脚は自然と其処へ向かう。
インフェルノの手から逃れて生き続けるという、その第一歩を踏み出す為に。
辿り着いたその場所には女が一人倒れていた。
栗色の長い髪をポニーテールに纏めている女。
サイスの洗脳を受けて命じられるままに戦い死んでいったツァーレンシュヴェスタンの唯一人の生き残り――ゼクス。
混乱の果て、戦う気力を喪失していたが故に唯一命を奪わなかった女。
「……」
俺は未だ気を失い倒れたままであった彼女を抱き上げる。殺すのではなく、このまま連れて行く為に。
この女を放置しておく事は出来ないからだ。自分の足跡や、今の自分が再び戦えるようになっていること等をインフェルノに知られないためにも。
抵抗しないのならば殺す理由は無いと命を奪うような事はしなかったが、
生きてという二人の願いを守る意味でも、このままこの女を組織に帰らせる事で発生するリスクは回避しておかなければならない。
だからこそこの女を組織に帰らせないよう逃亡の道連れとなって貰う。
死んでいった二人の願いを守る為にも。
「生き抜かなければならない」
ゼクスを抱き上げ一人静かに門を越えた俺は振り返らずに歩いた。
もう戻る事はない二人との、永遠の別れを惜しみ流れる一筋の涙。
それを最後の手向けとして。
***
学園での戦い。
サイス・マスターと、奴が率いていたツァーレンシュヴェスタンとの死闘。
そして、守るべき大切な者達の喪失。
あの一夜にして一生分とも言える濃密な夜からもう一月が経つ。
全てが、一夜の夢のようにも感じる。
今の自分はただ逃れようとして囚われる結果と成ってしまった悪夢の中にいて、ほんの小さな切っ掛けさえあれば二人の居る優しい現実へと回帰できるような、そんな錯覚を覚えさせるのだ。
しかし、眼前で脅える女の存在が、俺を本当の現実へと引き戻す。腰部までの深いスリットが入った戦闘向きとも言えるだろう動きやすい白いドレスを着た女の存在。
彼女が此処に居るということその物が、逃避気味に想像した優しい現実が夢まぼろしの非現実であり、今この瞬間こそが真実の世界である事を否応なしに証明していた。
「静かなものだな」
「……」
此方の問い掛けに対し眼前の女は何も答えない。
「本当に静かだ……君もそう思うだろうゼクス」
「っ…!」
俺が生き抜くために必要であるが故に逃亡の道連れとしたこの女――ツァーレンシュヴェスタン唯一の生き残りゼクスは、こちらの動きに時折“びくり”と体を震わせるだけだ。
意識を取り戻したときより変わらずの態度。何も喋らず、ただ此方の動きを見ては脅えた瞳を向けてくる。
サイスの洗脳が解けていようがいまいが、ゼクスの心へ擦り込まれた“俺”という顕現した死の恐怖が、彼女を縛っているのだろう。
だが、それならそれで、下手に抵抗されるよりもずっといい。
無論、念のための措置として彼女の使用していた銃は取り上げてある。
抵抗心を喪っているとしても、そこはツァーレンシュヴェスタン。
つまり俺と同じくファントムの一人である彼女が暗殺者の中の暗殺者である事には違いないのだから。
そんな彼女との逃亡も早一月、当初は、そして本当ならば、エレンと向うはずだった此処――北海道は小樽の安宿に俺達は身を潜めていた。
普通の生活ではなく身を潜めている……それは何から?
決まっている、インフェルノの追っ手からだ。
しかし現状は物の見事に肩すかしを食らっている。
「まるで追ってくる気配すらない」
自身が生きていると知っているからには当然追っ手を差し向けてくる物だとばかり思っていたが、未だその様子を見せないのだ。
危険な空気、肌で感じられる筈のそれを、この一月の間で一度でも感じた事があったかというと……ない、という結果へ行き当たる。
ではなぜ追っ手を差し向けてこないのか?
その要因として考えられるのは二つ。
(一つはあの場になかった俺以外のもう一人の死体)
つまり自分以外にゼクスも生きている、サイスの直属の部下だったゼクスが俺を追っていると判断し静観している。
(或いは二つ目……此方が本命か)
二つ目の事由、それは篠原学園での銃撃戦事件その物が、インフェルノの動きを封じる役割を果たしている可能性。
(日本という平和な国において外国人。それもマフィアの幹部とその部下および関係者が大勢殺されるといった大事件が広く知れ渡ってしまった為か?)
これは無論、『世間』にではない。裏側の社会に対し絶大な抑止力を持った、日本の誇る治安組織『公安』にだ。
インフェルノと梧桐組、両組織による合同の隠蔽工作により死体も全て運び出されて痕跡という痕跡は消された物の、あれだけの人死にを出し建築物の破壊まで行ってしまった以上、事件の全てを隠しおおせる訳がない。
ツァーレンシュヴェスタン・アハトの自爆によって出された被害はガス爆発を装っていたが、おそらく公安には梧桐組乃至インフェルノが関与した抗争か殺し合いであると見抜かれているだろう。
当然の事としてそれはこれ以上の下手な動きが両組織の打撃に繋がるという事を意味する。
「双方共に動くに動けないのかも知れないな」
まして合衆国とは違い、この国では裏社会の組織犯罪は特に目立つ。
インフェルノも、インフェルノと友好関係にある梧桐組も、あの事件を機にこれ以上公安の目が厳しくなる事で結果ビジネスに支障が出たりする事を良しとはしない筈だ。
“サイス・マスターの個人的な暴走”
これで双方の面子を保たせる策を講じるだろう。サイス一人に全ての責任を押し付けて。
「それならばそれで此方としても好都合だ。選択肢と時間に多少の余裕が生まれるからな」
そして俺自身はガス爆発事故を起こした学園の管理態勢に不満を持った両親によって妹、吾妻エレン共々転校させられるという形を取り逃亡先より書簡にて退学届けを提出していた。
エレンの死体もまたインフェルノの隠蔽工作によって発見されていない為、ショックを受けた妹エレンは一足先に両親の元へ帰ったという体を装いながら……。
俺もインフェルノや梧桐組と同様、事件に関わった証拠や痕跡は残していない。これでも元ファントム・ツヴァイ。それくらいの事ならばできる。
梧桐組とインフェルノが行ったであろう苦し紛れの工作も結果として此方を利する形に作用したのだ。
奴等があの学園自体を調査する手段も採っていない事から、インフェルノ側としては自らが事件より遠ざかる事で沈静化を目指しているのかも知れない。
「いずれにしても、ある程度静かになった時を見計らって落ち着ける場所を見つけないと」
俺とゼクスがいま居る安宿、場末のビジネスホテルだが、逃亡生活を始めて以降廃ビルに泊まったり簡易宿泊所に泊まったり。
日本各地を転々としながら一所に留まることなく移動している為、疲労も溜まってきている。
無論、留まる事で生じるリスクの回避を計っての措置だが、いずれどこかに落ち着く場所を確保したいと考えていた。
小樽にも長居するつもりはない。念には念を入れて最低でもあと数回は拠点を移しながら、最終的な長期滞在の場所を探す必要があるだろう。
そう。あくまでも長期滞在の場であって永住の場ではない。
何故ならそこもまた情勢次第で引き払い、逃亡生活へと逆戻りしなければならないのだから。
(先々を考えれば考えるほどに憂鬱になってくる)
ふと、そこで一度思考を停止させた俺は、ベッドに腰掛けたまま不安と怯えの視線を此方へと送り続けているゼクスに目を移す。
本当ならあの学園で死んでいたはずの女、俺がこの手で殺していたはずだった女。
無抵抗であったが故に命だけは奪わずにおいた、俺と同じファントムの女。
「皮肉な物だ。助けを求める君を切り捨てたフィーアが死に、切り捨てられた君が生き延びる」
そこには自分が手加減をしたという要素もあったが、結果的に彼女は孤立無援となったからこそ恐怖に負けて抵抗心を失った事で命を失わずに済んだのだから。
下手に抵抗されていればためらいなく殺していたろうからな。
「わ……、私のことを……どうするつもり……」
俺の視線に耐えきれなくなったのか彼女の側から話し掛けてくる。
思えばこうしてゼクスの事をじっと見据えたのは始めてだった。
逃亡を共にする相手に気を配らなかった証拠であり、自分の今までの余裕の無さが伺い知れるというものだ。
エレンとキャルを喪った混乱、インフェルノに追われる緊張感、転々と移動する日々。諸々が重なり合えばそれは精神も磨り減ることだろう。
特にこのぽっかりと空いたような気がする心の空洞が生きる事以外の考えを抱かせないほど俺の精神を追い詰めているのかもしれない。
(いや……それは、この女も同じか)
信頼していた上司フィーアに見捨てられた絶望、俺という死神に命を奪われないかという恐怖。
これらの負の感情に苛まれる一月を送っていたであろう彼女もまた気が気ではなかったはずだ。
震える声は恐怖と不安の表れだろう。今までは無事生かされていたが、これから先はどうなるか分からないという。
仲間も上司も死に絶え、ただ一人恐怖の対象に連れ回されているのだから。
「……そういえば、君の声を聴いたのは命乞いをされたとき以来だな」
椅子から立ち上がった俺は、そんな彼女の方へと歩みを進めた。
漸く自らの意思で発したその高くおとなしそうな声音に誘引されるように、一歩また一歩とベッドに腰掛け震える彼女の傍へ。
「え……?」
そして、眼前まで来ると震えるゼクスを見下ろしながら、その両肩を掴みグッと力を掛けてベッドへと押し倒した。
「キャッ――!」
シーツの上に手を投げ出し倒れた女。
彼女が着る白いドレス、そのロングドレスのスカートの腰部両側に入った深いスリットからは、大きく開かれた脚が覗き、
菱形に大きく開いた胸元では、豊かな二つの果実が男の欲望を掻き立てるかの如く実りを付けている。
「さっきの質問の答えだが、別にどうもしない」
両手で押さえていたゼクスの肩から右手だけを外して彼女の頭へと添え、ポニーテールにまとめられた栗色の長い髪を掴み、彼女の左肩から身体の前へ手繰り寄せる。
「君が抵抗さえしなければ」
「っ……、」
手繰り寄せたポニーテールを優しく撫でてあげながら、ここしばらく続く心の渇きに俺は思いを馳せた。
あの学園での戦いからずっと、満たされない渇きに身体を支配されていた。
以前、一度だけ経験した事があるその心の状態は、キャルが死んだと思い込んでいたあの頃と同じ物だ。
喪失感……というやつだろう。再び、そして永遠に喪ってしまった事に起因する。
時が来れば自然と和らぎ行く渇きはしかし、今ではもう癒せない事を知っていた。
(いいや、それもまた現実の直視を忌避する今の心が出した勝手な結論、そして逃げなんだろうな)
人生という物には時に予想だにしない事が起きることがある。キャルを喪った俺が、喪失感に苛まれる中でエレンという支えを得た時のように。
不確定という未来において其処を考慮する余地が僅かなりともあるのならば、少なくとも“今はまだ”くらいには考えられるかも知れない。
ならば我慢すればいい。唯ひたすら我慢して、俺を生かそうとした彼女達の願いの通り生き続ければそれで。
そうしていつの日か、喪失感が和らぐ時が訪れるのを待てば……そう思っていた。
だが、事はどうやら思い通りに行かないようだ。
心の渇き……それは身体の渇きにも繋がっているようで、和らげられない渇きを少しでも満たせる方法を無意識の内に探させていたのだ。
そうして心の空洞とは別の、組織に追われる毎日のなかでふと生じた精神的余裕が今まで黙して語らずであったゼクスに話し掛けられた事で一つの解決策を提示してきた。
男は、時に女を抱くことで心を癒す。
他の動物の雄とは異なる人間の男にとって、女と肌を重ねるというのは生殖行為や愛情表現以外の要素も当然あるわけだ。
であるのならば、この女を抱く事で少しはこの心の渇きを癒せるのではないだろうか?
俺自身が深く考えてもいなかった及びも付かないその行為を、この身体は求めているのか?
自分の身体を動かすのはあくまでも俺自身の意思。
だが、心に従い身を任せようとしているのもまた俺自身の意思だった。
「俺は抵抗しない君を殺したりはしない」
押し倒したゼクスのポニーテールを撫で続けながら、俺は依然不安と脅えに揺らぐ彼女の瞳を見つめて言った。
「あの時、君の命を見逃したようにな……。そこは安心して良い」
「ほん、とうに……?」
まだ信じられないのか念を押しての質問を投げ掛けてくる彼女。
「私の、命を……」
俺は髪への愛撫をより優しい物へと変え安心させてあげるべく言葉を紡いでいく。
「約束する。それに君を殺すつもりならあの学園での戦いの時に殺していた。違うか?」
しかし此方の思惑とは裏腹に事実を指摘するだけの言葉を受けた彼女の身体には一層の緊張が走る。
「……っ、ノインと…フェンフの様に……?」
思い出しているのだろう。仲間の死を。
俺に殺された仲間の女達の最後を。
「そういうことだ。ゼクス、俺が君を殺さなかったのはあくまでも君が戦意を喪失していたからに過ぎない。
戦う気力を喪った者を殺す意味など無いからだ。君を連れてきた理由については今更説明しなくとも分かるだろう?」
「……私の口から、ツヴァイの生存と……、ツヴァイが戦えるようになった事を、組織に知られないため……」
しっかりと目を逸らさずに此方を見据えたままで慎重に言葉を選び答えようとするゼクスに、俺は一つ肯定の意を持つ頷きを返した。
「ただし、それは今も、そしてこれからも変わらないという事を覚えていて貰おうか」
「っ……!」
「この先、もしも君が抵抗するような事があったときは、俺は容赦なく君の額を撃ち抜いて殺す。君の仲間や、君の上司だったフィーアという女と同じ様に」
「お、お姉さまと、同じ様に……」
「フィーアという女を殺したのは厳密にはエレン……アインだったが、君は君の仲間の内二人を俺が殺した瞬間を間近に見ていた筈だ。君も彼女達のようにはなりたくないだろう」
「っ――!? いっ、いやッ!!」
俺の言葉を聞いて弾かれたように身体を起こそうとしたゼクスを、俺は彼女の肩を押さえている左手で押し止めて脅える彼女の瑞々しい唇を強引に奪った。
「んうう――ッ!?」
瞳を見開くゼクス。浮かぶのは驚愕の色。
まさか俺に口付けをされるとは思いも寄らない事だったのだろう。
かく言う俺も、彼女に口付ける事がこうして訪れるなんて、想像したこともなかったが。
だが、こうして強引に重ね合わせた彼女の唇は、困惑と驚愕に支配された彼女の硬直した身体とは違ってとても柔らかく甘い物だった。
「んッ…、くちゅ……はふっ……っ、っ……んむぅ……っ」
重ねたままの唇をこじ開けて彼女の口内へ舌を進入させる。
当然俺から逃げようとする彼女の舌を、俺は優しく絡め取ってあげた。
「んっ…、んちゅ…っ」
脅える必要は無い。抵抗さえしなければ別に痛い思いをさせたりするつもりなんてない。
それを教えようと、舌の裏側や甘い唾液に濡れた表面を丁寧に愛撫し唇を啄みつつ、混乱する彼女の口内へ自らの唾液を送り出して飲み下させた。
そうして唇を軽く味わいつつも深い口付けを送った後、俺はゆっくりと顔を離してあげた。
「んっ……、は…ぁ……っ」
透明の糸が伸びる。伸びて俺とゼクスの唇を間接的に繋いでいる。
言葉を発しようと口を開くとその糸は音もなく切れた。
だが、俺の、そして彼女の唇には、まだ混ざり合った粘液が表面を覆っている。
「そんなに、怖がらなくて良い」
彼女の頬は上気し、ほんのりと紅色に染まっていた。
まるで発熱したように息遣いも荒く、キスをされた事への驚きが見て取れる。
同時に硬直していた身体も徐々に弛緩していくのが分かった。
0126名無しさん@ピンキー2015/12/08(火) 12:36:57.24ID:flnkB7Nx
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親愛や恋慕といった類の特別な感情こそ無い口付けながら、それでも久方ぶりとなる異性とのキスが、冷めた心へ一滴の雫を落とすが如き微かな波紋を広げていく。
男である以上、本能的に女を求めてしまうのは当然である。感情に引き摺られることの無い肉体の方はより顕著にゼクスを求めていた。
感情を介しない生物的な本能。理性で押し止めるにはあまりに多くを喪いすぎたがらんどうな心が、一部の遠慮もなく女への劣情のみを掻き立ててくる。
「はぁっ……、はぁっ……、」
口付けを受けさせたことで荒くなった呼吸。鬼灯のように赤らんだ頬。
力の抜けた身体に、依然恐怖を残したままながらも潤むその女の瞳と視線が合わさる。
(口付け一つでも、一口の水くらいにはなる……か)
眼前の女が示す雌の反応が、どうやらこの渇きに渇き、飢えに飢えた肉体を、僅かばかりでも潤しているようだ。
必要以上に本能が訴えかけてくる女への渇望は、今や砂漠と化した自分の心が、彷徨う先で見つけたオアシスの水を飲もうとしている表れなのかも知れない。
心が抱く感情が人間を人間らしくさせているのならば、感情を抱かない心は本能で動く獣その物。
感情を抜いた獣の心が肉体と共に生存本能を刺激しているのだ。
ならば、このままこの女の豊満なる肉体に己を挿れ、一つになり、思いのままに求めればいい。
渇いた喉を潤すように、生きる為にゼクスという水を飲み続ければ。
「さっきも言ったが――」
左の肩から胸の膨らみへと流れるゼクスのポニーテール。
先程彼女の背中より手繰り寄せていたその長い髪の毛の束を掴み、優しく撫でながら。
俺は静かに言い聞かせつつ、髪をこの手に絡めて口付ける。
「逃げようとしたり……、抵抗しようとしたりさえしなければ……、」
艶のある滑らかなその髪束へと口を付けたまま、栗色の毛髪の表面で静かに舌を這わせながら紡ぐ言葉は、警告とも安堵させようとするものとも、双方どちらにでも解釈できるもの。
「君のことを殺したりしないし――」
舌に触れ絡まり付着する髪は当然のこと無味。しかしながら鼻の最奥までもを擽る甘く香しいその芳香は、味覚と異なる部分で脳に刺激を与え、味ではなく舌触りを以て美味なものであると捉えさせる。
これもまた男が女に感じる獣としての本能なのだろう。
「傷付けるつもりもない」
「っ……」
髪の束に鼻を埋めて大きく息を吸い込み、甘い香りで鼻腔内を満たしながら。
手に捉えていた彼女の髪を解放した。
「だから」
手より離れたポニーテールの髪束は彼女の肩から胸元へと垂れ下がる形で流れる。
流れたその艶やかな髪に人差し指と中指を添え、そっとなぞり下ろしていく。
「できることならば大人しくしていてほしい」
大人しくしていろ――それはなにもいまこの時だけの姿勢を問う意味での言葉にあらず。
これより先、ずっと道連れになってもらわなければならない事に対する意味も含めての話だ。
「仮にも此処まで同道させてきた君のことを、今更俺に殺させるような行動だけはしないでくれると助かる」
「…っ、」
必要とあらば躊躇わないが、それでもゼクスのことを積極的に殺したいわけではない。
一ヶ月、たった一月の間だが、共に行動していれば多少の情も沸くものだ。
全く知らない他人よりは、険悪であっても毎日顔を付き合わせている他人の方が未だしも人間関係としては上になる。
それが敵であったとしても。
彼女の左肩より、大胆に開いたドレスの胸元へ指をなぞらせながら、胸へ垂れて掛かるポニーテールを手の甲でそっと横へやり、白いドレスの胸元。大きく開くその胸部に手の平を載せた。
「あっ――!」
身体の線が良く見えるドレスの胸元を盛り上げている果実は、かなり大きく張りがあり、力を加えると沈み込む指にその柔らかさと肌の温もりを伝えてきた。
「あ……ツヴァ、イ……っ、」
名を呼ぶゼクスの甘い声に誘われ、俺は服の上から触れている彼女の胸の膨らみへと沈み込ませた指に緩急付けた動作を加えつつ優しく揉みし抱いた。
「うっ…あっ!」
「痛いか?」
「っ、っっ……」
無言でふるふると振るう首の動きは否を示すもの。
「そうか」
ならばいい。自分自身の空虚と渇きを少しでも癒そうと動く本能のままに身を任せてはいたが、彼女に対し不必要な苦痛を与えよう等とする意図はない。
尤も、好意を抱かぬばかりか恐怖の対象である男に身体を触られる彼女にとっては、充分以上の苦痛に思えるだろう行為には違いないだろうが。
「んっ――」
そんなゼクスの意思を無視した独善的で独りよがりな思考を浮かべながら静かに彼女へと顔を寄せた俺は、再度その瑞々しい唇を奪った。
「ん…っ、んむぅっ…っ」
一度目と同じ様に舌を差し入れて唇を啄みながら、ゼクスの口を深く丁寧に味わう。
「ちゅっ……あむっ、んんっ……んっっ」
然れど一度目の口付けとは異なり、塞いだ彼女の唇からはキス以上のくぐもった声が漏れていた。
それは彼女の胸を揉む俺の手を感じ取ってのもの。
胸を揉まれる女の感覚など、男の俺には知る由もない事ながら、心地良さを感じていることは確かなのだろう。
塞がった唇、口内で絡め取り味わう彼女の舌から、俺の舌より逃れようとする意志が急速に失われていく。
そのまま彼女の胸を優しく揉みし抱きながらもそっと唇を離してみる。
「ん……」
先刻とは異なり脅えからの物だけではない潤みを持ち始めたゼクスの瞳を見つめ、紅く染まる頬を撫でてあげながら一言の注意を投げ掛けた。
「嫌なら抵抗してもいいんだ。たとえ今この時に俺を拒絶した処でこれが敵対意思ではない以上、俺も君の命を奪ったりしないからな」
好意を持たない男に身体を触られることを女は本能的に拒絶する。
ましてや俺という男は本来ならば敵であり、恐怖の対象とする相手。輪を掛けて忌避感を抱くだろう。
それを以て敵対行為と見なすほどに俺も自分勝手で我が儘な男ではない。
ただし、この身体と心の渇きが彼女の拒絶を是とするほど大人しい物ではない事もよく分かっていたが故に、俺も彼女を逃がすつもりはないが。
そう、口では彼女の抵抗を赦しながらも、こうして――
「んあっ――!」
彼女の白い首筋に顔を埋め唇を落としてしまう事からも分かるように、本能に任せるままの俺を、俺の心が是としてしまっている。
何をしているのだろうかと思えどもこの身体は止まらない。
「んっ、やっ…はあっ!」
空虚を埋めるため。生きる事を望むため。感情を除いた身体と心が、ゼクスという水を欲しているがために。