歩の髪の毛を仕込んだ藁人形を軽く抱き寄せると、にやり、と思わせぶりに微笑むミサ。その妖しい表情に、歩は背筋がぞくりと凍り付くのを感じた。

「い、言っておくけど、そんな虚仮脅しで屈すると思ったら大間違いですからね!」

恐らくは、口八丁で自分を怖気づかせることで勝負を中止させ、予算の交渉を有利に運ぼうとでも目論んでいるのだろう。
そのような見え透いた手に乗ってたまるものか。

「ふふふ……それじゃあ、虚仮脅しかどうか、実際に効果を体験してもらうことにしましょうか?
といっても、あまり痛い目に遭わせたりするのも可哀相だし……君みたいな思春期の男の子には、こういう呪いの方が効果的かな?

『白瀬君は昼休みまでの間に、気になる女の子の下着をばっちり目撃してしまうよ』。

じゃあ私はそろそろ朝のHRの準備に行くから、お昼休みにでも結果を報告に来てね♪」

唖然としている歩を尻目に、ミサは自分の鞄を拾い上げると、足早に部室を後にした。