(席に座っても尚、痛い物を見る視線が深く突き刺さる。なにせ着ているのは男性用のコートだ。女性専用の店なのに何故といった視線)
(周囲から聞こえてくるひそひそ声。それらがナオの心を深く抉る。助けるべき人間に後ろめたい視線を浴びせられているのだから)
(しかし堪えないといけない。心を鬼にしつつ、メニュー表を睨んでいると不意に料理が運ばれてきて)

くっ…そんな訳あるかい……!なにがかなしゅうてそんな趣味せなあかんねん…
それになんやねん料理って…そんなん頼んでへんで!引き取ってもらおか?
…あんたの怪しい体液入りなんて解ってて食べるわけないやろ!
(クレームをつけて戻そうとすると、余計に周囲の人間に怪しい視線を浴びせられる。中からは)

「ちょっと!そこの貴方!ここは女性専門店なのよ。居る事から貴方が女性とは解りますが、少ししずかにしてくださいません事?」

あうっ…す、すいません……うううっ…
(文句を言われ、渋々と座り込んでしまう。それをみた店主はニヤニヤしつつ、此方が料理に手をつける様を見ていて)
…くううっ…大丈夫や…少し位なら…くぅ…今は耐えるんや…チャンスはくる……
(これ以上怪しませない様に、差し出された料理を口にしてしまう。お世辞にも美味としか言いようがなく。気づけば一口、また一口を食べ進めていって)

【チート位が丁度いいですよ。】