(夕方だというのに気温は下がらず、沈む夕日が照らす街は暑さで歪んで見える)
(その街の一角、ある公園。藍が黄昏市場からの帰りによく立ち寄る場所だ)
(木製のベンチが置かれ植林された常緑樹が生い茂るそこは、一休みするにはちょうどいい)

「うーん……やっぱり木陰で飲むジュースは最高だねぇ!」

(黄昏市場では様々なものが売られているが、今回藍が買ったのは歯車とばね仕掛けのからくり人形)
(といってもそんなに大きいものではなく、手のひらサイズの小さなものだ)
(例によってこの人形にも呪いじみたものがかかっており、その内容は『人間であるべし』)

(名前を与えれば名付け親が死ぬまで子のようにふるまうというものだが)
(さて、どう名付けたものか。ベンチに座った藍は精巧な造りの木箱から慎重に取り出し、手に取って眺めていた)

【短くなるとは思いますが、よろしくお願いします!】