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ヴィクトリアたちがマッサージの快感に呑まれていく数時間。クレハは保養所の奥の部屋、浴場へ入っていた。
脱衣所で服を脱ぎ入ると、そこは露天の温泉だった。丁度日が沈みかける頃で東洋風の引き戸を引くと、橙色の夕日が構えていた。
竹薮が影になって、いくつも並ぶ竹の黒い柱が水面にも映って、とても綺麗だ。

あたりには、ひとっこひとりいない。

侍「ほう、中々いい露天風呂だ。故郷を思い出す………。

クレハが身体を洗い始める。

侍「この石鹸も良い香りがする。なんの花であろうか?さぞ良い薬草を使っていることだろう。

桶の中の石鹸で身体を洗う。
しかしクレハが知らないことは、その石鹸には媚薬効果のある薬草を使われていることだ。インギリ花と呼ばれるそれは、香りを嗅いだだけでも効果があるという。
そんな石鹸を、クレハは今、全身に塗っているのだ。

侍「はぁはぁ……いや、暑くなって来たな。しかし、汗をかくことはいいことだ、臭いも取れてきたことだし、よい気分だ。

顔を紅潮させながら、満足そうに身体を擦る。

侍「ふぅ……しかし、最近は戦闘ばかりで疲れた………。このあたりは繁殖力の高い魔物が住み着いておるからのう、斬っても斬ってもまだ出てくる。

屈強な武士も、風呂場で一人になれば愚痴を溢す。