「おう☆だいじょぶ?ケガしてねーな?よしよし♪」

うし、なんとか間に合ったっぽい。
目を丸くしている男の子にニカッと笑いかけてあげた。

「……犬ッコロはおとなしくおすわりでもしてろってーの☆」

飛び掛かってくる猛犬数頭。
どー見てもフツーのワンコではない。たぶんいつもの悪モンの仕業なのはすぐに分かった。
ただ操っている奴の気配とかは感じられない。恐らくテキトーにいじくられて放置されてるんだろう。

「……かわいそーだから手加減しといてやるか」

あたしの背に怯えたように縋る男の子を守るようにして、犬の腹部や首に素早く一撃を叩き込む。
動物の本能がそれだけで危険を察知したのか、彼らは怯み一頭また一頭と文字通り尻尾を巻いて逃げていく。
そうして辺りには静寂が戻ったのだった。


「ふぅ……間に合って良かったな♪てゆーかこんな場所ひとりでうろつくなよあぶねーぞ☆」
男の子のほうへ振り向く。小学生くらいのかわいらしいチビっ子である。
「んー?おねーさんこう見えても安くないぞ☆……なんてウソウソ♪ほら」
安心したのか、あたしの手を小さな手が握る。

「んで、キミんちどのへん?この際だからオウチまで送ってってやんよ☆」
こんなことがあってから一人で帰るのは心細いだろう。
何よりほっとけなくて、あたしは彼に尋ねた。