まるで被害者ぶったような言い方にあたしはそう反論した。
痺れた体に絡みつく触手がギリ、ときつくなる。
そんな彼の手に、何もなかった空間からレンズのついた小さな物体が現れた。
動けないあたしに向けられたそれは、どう見てもカメラ。
「っ……」
どういう仕組みか、何にも繋がっていないそれは確かにあたしの姿を映像としてどこかへ送り出しているようで。
もしこんなあたしをみんなが観てしまったら。
心配させてしまうだろうか、それとも怯えさせてしまうだろうか。
そう思うと、おどけた口調で口上を述べる彼に何も言えなくなってしまう。
彼が次に口にしたのは明らかな脅迫。
あたしの言動一つで子ども達が危険に晒される――電撃で焼かれた体が芯から冷えていくようだった。
そんなあたしの表情がおもしろいのだろう、悪魔はいっそうほくそ笑んだ。
「――あたしを痛めつけたいなら好きにしなよ。街の子たちには手出すんじゃねえ」