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寿命こそ、ですよ、文明が出来る前の人間は30年そこらで死ぬ動物だったのですよ、今は平然と100年生きるではないですか!?
(ナオの綺麗ごとを――人類の有様を嘲笑いながら、)
(剣と打ち合うのを避け、少し突いては花嫁の合間に引く、優位ながらも埒のあかない戦況は)
(今、欠けていた決定打が、届けられる)
(邪魔の入った一瞬、彼女に指輪を渡しはしてあった。段取りは狂いはし、手ずから指輪を嵌めてやることはできなかったが――)
(毒花に蝕まれ、感覚が狂い、今にも気を失いそうなナオを前に、悪魔は両腕を開いて、告げる)

さあ、新郎新婦の初めての共同作業です!
(花嫁の手が添えられる代わり、剣圧によってブーケの花弁が舞い上がって、ナオの鼻や口へ届く毒を濃くする)
(毒に侵され立ち直れないでいたナオに振るわれたナイフは、武器の短剣を強く打ち、取り落とさせる)
(続いて、さながらケーキを切るように、ナオのアーマーの要所を断ち切り、武装を切り分けて)
(輝くアーマーを外し、裸にさせていく)

そして、順番が前後してしまいましたが――ブーケトスを受け取った者は次に結婚ができるといいます。おめでとうございます!
(勝ち誇るように告げる悪魔。悪魔の元へ向け、花道を通って、今しがたブーケを投げた花嫁が歩いてくる)
(寄り添った花嫁と悪魔が、互いの手を取って――遅れて出てきた神父が、こほんと咳払いの後告げる)

『では、誓いのキスを……』
(ナオの眼前で、悪魔と花嫁は唇を重ね――そして、ナオを蝕む毒が、意識を保てないまでに回ってしまう)

【一度、ここで気を失っていただきたく思います。誓いのキスを前にして――敗北を噛みしめてください】