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クラスメイトと打ち解けられず、気づいたらはぐれ、迷って、たどり着いた舘。
古く、朽ちかけたそこは不気味ながらも、心霊スポット特集などで取り沙汰される廃墟に通ずる雰囲気……あるいはそのもの、と思わせる。
カシャカシャとスマホで撮影するそこには、窓の奥などは肉眼で見るよりもずっと昏く写り、余計に不気味さを増して見える。
そして……突然のにわか雨に追われ、柚子は館に足を踏み入れた。

鍵はかけられていない。僅かに開けたままの扉からは頼りない光と、雨粒が地面を叩く音が入ってくる。
僅かな採光窓の光から、そこが玄関なのはわかるが、暗くて
挨拶に返事はなく、ただ、人形が佇んでいる。

段になった玄関で、靴を脱ぎ、柚子は館に上がる。

柚子は廊下を進む。暗くて先の見通しは悪いが、進むほどに、様子も見える。
玄関からL字に廊下があるようで、少し行った先に曲がり角。
角の手前には部屋が左右一つずつあるようだ。
曲がった先は、直接ドアからの光は入らず、真っ暗だ。


【大変お待たせいたしました】