今巻では三十路と熟女の中では若手なヒロインが起業しようと奮闘する模様が描かれ、
勝気で少々きつめな彼女が、元彼からの自立という意味でも独り立ちしようとする。
その手伝いを主人公は半ば強制的にさせられるのだが、物件探しや元彼の介入で上手く行かず、
八方塞になった彼女は凝り固まり、シェアハウスの住人や主人公にあたってしまう。
その時の彼女の心理描写が巧みで、嫌われそうなキャラクター描写でありながら、共感できるように仕立て上げており、
到底エロマンガのヒロインとは思えないような言動をするものの、魅力的に見えるように描かれている。
なんとか問題を解決し、少し成長した彼女とそれを支えてくれていた主人公とのベッドシーンは、
これまでの強気だった彼女の態度が、緊張の糸が切れたかのように弱々しくなり、
乱暴に組み敷かれ涙と嗚咽を漏らしながらマゾっ気を発揮し、されるがままいい様に裸体を突かれ、ベッドに埋め込まれる。
面白いのがエロシーンではしっかり裸体が描かれているのだが、印象に残るのは彼女たちが身に着けている服や装飾品で、
女性の美しさを象徴しているのは本作ではむしろ後者なのである。
かように女性意識の視点と男性の下半身視点とが行ったり来たりする作風で、
著者が男性であることも不思議な、他に類を見ない作品に仕上がっている。