静香も信長を愛した。思春期、胸の著しい発育によって得意だった陸上を断念せざるを得なくなった静香であるが、信長と出会い信長を愛し信長と逢瀬を重ね信長の夢を支えることを自分の生きがいとする。
しかし、運命はそれを許さない。もし、静香がこのまま信長とともに戦国時代に居続けたら、歴史は改変されてしまい、静香も現代に生まれていなかったことになる。
信長は静香の口から自分の運命を知ってしまう。だが、信長はそれを受け入れる。「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」。運命を、歴史をこの手で強引に変えることはできないし許されない。
だから、信長は静香を愛したが「妻」としては退ける。何せ、信長は老いさらばえていく己の姿を静香には見せなくもないのだから。静香は信長の「突き放す態度」に絶叫する。
しかし、今までずっと受け身の人生を送ってきた静香に対し、静香の学友は前に向かって歩むべきだと助言する。この助言により、静香は決断する。
そして運命の本能寺の変。静香は静香で追手から逃れて名古屋から滋賀県を経て京都へ逃亡し1582年6月2日の本能寺にタイムスリップする。
そこで信長との最後の逢瀬。そこで、確かに静香の記憶、そして死にゆく信長の記憶に、二人が愛した証が刻まれる。
本能寺が焼け落ちて現代に戻り、静香は学校に戻るが、学校を出た先には、あの愛知県有数の超進学校の生徒会長である青年が待っていた。
彼曰く、「十八年も待っていた」と。それはまさしく、静香が愛した証が現代に現れた瞬間でもあった。それは、信長によって予言されていたのだ。