真っ当な戦記もの。不思議要素は鬼人だの刻印だの程度でかなり少ない。
挿絵はアリスソフト併記の「おにぎりくん」 モノクロ相性が抜群によく、キャラデザもきっちり。ついでに敵将もばっちりデザインしている。
さて展開は、ツンデレもとい誤解した姫様との戦記もの。
王位の簒奪を疑われ逆恨みされるも、その誤解を釈明しないまま進むのがポイント。姫様の生存意欲を沸き立てたかった、とのこと。
戦場部分もしっかりしており、奇策奇襲から、反撃返しに予想外の怪物など劣勢になる部分も。
少々血生臭いが読み物としてそこそこの出来はしている。
Hとしては勝利後にアイリスを求めるパターンでほとんど。
以前はそれなりに惹かれ合う仲だったこともあり、感じ具合は「嫌ってるのになぜか感じちゃう!」。
孕ませ台詞があるので「俺の子を孕め!」などがピンとくるなら一考。
さて難点。ここで上原先生の過去作を紹介してみよう。
「異類婚姻譚(亜人嫁イチャツキ)」「催眠恋。 (催眠ハーレム)」「優等生 綾香のウラオモテ(ビッチ主人公)」
「おいでよ! 水龍敬ランド(説明不要)」「嫌な顔されながら〜(睨まれドM)」「エロエロセーラー戦士(変身ヒロイン陵辱)」
…もう少し掘ると戦記ものが出てくる。とはいえ、この流れから純愛戦記ものが出てくるのにものすごい違和感がある。
アイリスは当初恨み骨髄にレグルスを拒否しているが、いざHとなるとアンアン喘いでいて如何にもチョロイン。
元奴隷の一兵士が、何の後ろ盾もなく王様になっていることには何の説明もない。
キーアイテムの指輪が出てくるのに、それらもなくあっさり王位に就いている。宣言したらなれるくらい軽い地位なのだろうか。
戦記部分も力を入れてはいるが、それがエロかったり面白かったかというと…いやこれ以上はやめておこう。
総じると戦記ものとしては上々で挿絵も良しの良作。
だが過去作が多いジャンルなので、設定のいい加減さとパンチの無さと姫様のチョロさがどうにも気になった。