感想
ちょきんぎょ。三作目はボーイミーツガールの逃亡劇。今までで一番物語要素は詰められているが…
挿絵は固定コンビの「47AgDragon」三作目にしてようやく仕事には慣れた、と思いきや…後述。

展開は、戦後の混乱に絶望した元兵士が、偶然助けた少女との逃亡劇。
物語としてとにかく逃げ延びるだけで、革命も、奴隷解放も、社会変化はなーんも起こせていない。
たかが一兵士に出来ることはあまりにも小さいということなのか。

Hとしてはイチャエロ重視。愛撫から挿入ばかりで、フェラがある程度。
マニアックプレイはほとんどなく、せいぜい睡眠姦程度。

さて難点。多いぞー。
まず全体的な雰囲気が暗い。戦後の混乱と非道の世の中が舞台。
その中で主人公は何をするでもなく、一人の少女と逃避行をするだけ。
吊り橋効果と無力さのリアリティがあるとは言えるが、他作は革命だの戦記だのやってる隣で、規模が小さく爽快感に乏しい。
動機についても勢いの道連れとしか言いようがなく、恋愛面でも一目惚れというか白馬の王子というか。

次に、H無しパートが多い。特に中盤に出てくる二人はHに絡みすらせず、その後ストーリーにも絡まない。何のために出したんだ?
肝心要の理想郷も暗いオチであり、そのあとでイチャコラされても全く希望が見えてこない。
ネーミングも女悪魔のアスモデウス、角付き魔族を拾った(拾われた方)ラティ○、と元ネタ丸わかり。
トドメに、今回「も」挿絵に苦言を呈しておく。エロ度はさておいても、表情が「笑顔かそうじゃないか」程度しかない。
特に挿絵9のシチュは、数人の悪漢との死闘の後で、絶望的な現実を前に強がりにも似た決意をするシチュエーションなのに、
今から冒険に出るかのような爽やか〜な笑顔。「いいえ、ゼロから!」とでも言いたいのか。

総じると、ボーイミーツガール逃亡劇としてはまずまず。
だが雰囲気が暗く、状況は変わらず、逃げ切ったもののめでたしめでたし、とも思えない。
悲観的な現状を描ききったと評価は出来ても、他の爽快感のある作品との比較をされると辛いところだろう。