クリステルは洗濯をしようとして、自分のパンティがなくなっているのに気づいた。
昨夜脱いでブラウスにくるみ、カゴに入れておいたブルーのパンティがない。
(いやだわ……また、お義父さまね……)

嫌悪感と困惑に、クリステルは眉をひそめた。これで五回目である。
はじめは誰の仕業かわからなかったが、ふとしたことで義父の純一郎が洗濯籠からクリステルのパンティを取り出し、顔をうずめている姿を目撃してしまった。
夫の進次郎にそのことを話しても、
「まさか、あの親父に限って……もう色気のある年じゃないよ。なにかの間違いじゃないのか」
と、まともにとりあってはくれなかった。
義父の純一郎は、厚生大臣から総理大臣へと政局畑ひと筋に生きてきた厳格な政治家だった。
(お義父さまは、少しボケたと思えばいいんだわ)
クリステルはそう自分を納得させた。

浴槽からでて、洗い場で身体を洗い清めようとした時、脱衣場のほうで音がした。
「ああッ」
おもわず、驚愕の叫びがほとばしりでた。裸になった純一郎が、浴室のなかへ入ってきたのである。
「お義父さまッ……」
「クリステルさんの背中でも流してやろうと思ってな」
純一郎は前を隠そうともせず、クリステルに近づいてきた。

「ああ、こんなことをなさるなんて……いくらお義父さまでもあんまりですッ……ほどいてください」
クリステルは一糸まとわぬ裸身を縛られた屈辱と羞恥に、身を揉みながら言った。
純一郎はまだ、「クリステルクリステル」とおんなじことを何度も繰り返して話している。
「ヒヒヒ、脚を開くんじゃ、クリステル。股の奥に魔物がひそんでおるかもしれんからのう」
「そ、そんなッ……いや、いやですッ」