エリーナはニケルがマリーに恋心を抱いている事は薄々感づいていた。
母親同士の交流は勿論今までもあった。
ニケルが幼い頃はお互いの家を行き来し遊んだ事もある。
息子が成長するにつれニケルのマリーに対する態度が変わって来ていたのをエリーナは気付いていた。
ニケルがマリーに話しかける時、頬を染め顔を反らすようになっていたのだ。
それは異性を意識する時の典型的な行動である事を自らの経験で知っていた。
(やっぱり、ニケルはマリーさんの事を・・・)エリーナは自分の感が当たっていたことを心の中で確信した。
「選ばれると良いわね。」エリーナは一言だけエールを送った。
母親として息子の願いが叶うよう願わずにはいられなかった。
大切な息子の大人への一歩。
待ち受ける結果はどうであれ息子の思いを遂げさせてやりたいと思うのが親心である。