■さくらの雲*スカアレットの恋■+1 SG H2
やってくれたなァ冬茜トム…いやマジでやってくれたなァ冬茜トム……天才か?
練りに練られたシナリオ、読み手を引き込む筋運び、伏線回収の妙等、読み物として非常に完成度の高い作品でした。
過去のメイン・企画担当作品2作で上がり切ったハードルすら悠々と超えてくるとは流石に出来すぎでは?
今作も完全にやられました。先にも書きましたが、筋運びがホントに上手いライターさんだと思います。

作中伏線を夢中で追っていた訳ですが、その時点ですでに術中でした。
やけに伏線が多かったなとはっきり自覚したのは読後で、プレイ中は本当に怪しむべき根本から目をそらされていたんだなと。で、目先の伏線に踊らされていたら死角からズドンですよ。
過去作だと見えている伏線をミスリードさせられていた事に対する衝撃でしたが、今作は見えていたはずの伏線から目をそらされていた事に対する衝撃が大きかったです。
上記は最終章の話ですが、そこに至るまでのギミックや展開も一線を画しており、特にメリッサ√ラストは演出も相まって鳥肌が立ちっぱなしでした。
何よりこの展開すら後の布石という点がこの作品の作りこみの凄さだと思います。
キャラクターの活かし方も良かったです。√毎で違う一面・役割を持ったキャラが多く、意義が感じられました。
特に某キャラからは、人間の危うさというか、普段は善良でもちょっとした綻びから容易く崩れてしまうんだな的な業のようなものを感じました。
こちらは本筋からはやや外れますが印象に残っています。

改めて冬茜トムさんという世紀のライターに賛辞と感謝を。
真実が明かされた瞬間のハッとさせられる感覚は中々得難く、そんな感覚を毎回提供してくれる事にひたすら頭が下がります。