【嘘】嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん【だけど】
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0001名無しさん@ピンキー2009/09/27(日) 01:51:57ID:I0IcGI8l
無いから立てた。

これで落ちたら需要無しと諦める。

基本的にsage進行で

0002名無しさん@ピンキー2009/09/27(日) 02:00:00ID:I0IcGI8l
青春男の方もスレタイに入れときゃ良かった…

次が合ったらスレタイに入れてくれ

何が言いたいかと言うと流子さん可愛いよ流子さん
0005名無しさん@ピンキー2009/09/27(日) 03:00:18ID:I0IcGI8l
エロパロ総合で見つけた奴貼っとくわ

 バレンタインデー。僕はそれなりの人当たりの良さを維持し続けているので、女子の皆さまからそこそこ義理チョコを頂くことができた。
一日中背中に某マユの視線が突き刺さってきたけれど、全部無視。
 放課後。わりかし人生の勝ち組寄りとして帰宅しようとした僕は、校門で待ち伏せをした御園マユに拉致された。


「というわけで、僕はマユのマンションにいるのです、ちゃんちゃん」
「みーくん、誰に喋ってるの?」
「いや、独り言だよ」
 そう、と呟いて、マユはその冷たい腕を僕の首に回してくる。ソファに座っている僕に、マユが抱きついてきたのだ。
「みーくーん」
 マユは僕の胸に鼻を擦りつけてくる。僕は思春期真っ盛りの健全な男子高校生であるので、
マユの背中に腕を回し返そうか悩む。歯止めが利かなくなりそうなのでやめることにした。
「くんくん」
「何嗅いでるんですか、マユ様」
 すっくとマユが立ち上がり、某消臭剤を持ってきて何も言わず全身に吹きかけられた。文句を言う暇もない。
すっかりファブられた僕に満足したのか、マユはまたにこにこと僕の膝の上に収まってきた。
0006名無しさん@ピンキー2009/09/27(日) 03:02:10ID:I0IcGI8l
「……ときにみーくん、チョコ何個貰った?」
 目が胡乱だ。
「ハハハ、ゼロ個に決まってるだろう」
 思わず嘘をついてしまった。
「ホントに?」
 マユは訝しげに目を眇める。
「ホントにホントに」
「指切りげんまん?」
「げんまんげんまん」
「じゃあなんでこんなにチョコレートくさいの?」
「それはね、地球チョコレート化が進んでいるからだよ」
「それはびっくりだ! てっきりみーくんが義理チョコをいっぱい貰ったのかと思ったよ。ファブってゴメンナサイ」
 深々と頭を下げるマユ。僕の膝の上に座っているので思いっきり頭同士がぶつかる。
痛い。これが愛の痛みってやつか! 嘘だけど。
「いや、わかればいいのだよわかれば」
 どうやら信じてもらえたようだ。マユのさらさらとした長い髪に指を絡ませながら、僕は問う。
「――まーちゃんは、なんもくれないの」
 マユはぱっと僕の方を見る。きらきらした瞳だ。少し予想と反していて驚いたが、それを表に出すような僕ではない。
マユが指で数を示しながら、にこやかに言い放つ。
「まるいち! 市販のチョコレート。まるに! てづくりチョコレート。まるさん! ……プレゼントは、わ・た・し」
「まるいち!」
 僕は少しも迷わず即答した。
「………まるさん?」
 不満そうに、マユ。
「まるいち。」
「なんと!」
 一番マユの希望を尊重しない選択肢を選ぶのは僕の癖である。
 唇を尖らせて僕に文句を付けてきそうな雰囲気だったが、青少年なんたら法の説明をしたらわかってくれたようだった。
目、白黒してたけど。いそいそと部屋の隅からスーパーのビニール袋を発掘し、中の物を得意げに見せてくれる。
百円の板チョコだった。まるさんにすれば良かったか……いやしかし。
「みーくん、はい、あーん」
「あーん」
 食べさせてもらってしまった。当たり前だが美味い。製菓会社様の不断の努力が見てとれる。
0007名無しさん@ピンキー2009/09/27(日) 03:04:10ID:I0IcGI8l
「もう一口、口移しでゴー!」
「いやそれは、ちょっ」
 止める僕を意にも介さず、マユが板チョコを口に含んで唇を重ねてきた。
 生ぬるい舌がにゅるりと絡みついて、甘苦いのが口中に広がる。僕もクドいようだが健全な男子高校生なので、
しっかり流されてマユの舌を味わうことにした。
「ん……あ、……んっ」
 高めの掠れた吐息。構わず、歯列をなぞり上げ、口内を蹂躙する。ようやく口を離したとき、マユは肩で息をしていた。
目はとろりととろけて、もじもじと膝の頭同士を擦りつけている。
 手を差し入れるとすっと脚を広げてくれた。ホントにマユは、自分の欲求に素直だなあ。少し見習おう。
 辿り着いたそこは、下着の上からでもわかるくらいに湿っていた。布越しになぞってやると「ひゃん!」毒みたいに甘い声。
 下着をズラしてナカに指を挿れる。中指一本をかろうじて呑み込むそこは、既にぬるぬると濡れていた。
キスだけでコレとは、大変けしからん。
 第二関節よりもっと深く、ぬめりの助けを借りて入りこむ。
くっと関節を曲げてひっかくみたいに刺激してやると、猫のような声を上げる。
「……もー一本」
 人差し指も一緒に挿れる。親指でぐりぐりとクリトリスを刺激するのも忘れない。
「更にもう一本、とか言っちゃって」
 三本でぐちゅぐちゅとかき混ぜる。やらしい音が、やたらと響く。
 マユの白い頬が朱みがかり、甘い声を漏らしながら荒く息を付いている。衣服に殆ど乱れは無し。
全くもって僕の好みのシチュエーションだ。萌えツボ? みたいな?
 僕はマユの耳元に唇を寄せる。
「――――まーちゃん」
「ひゃ、あ、んあっ!」
 マユの嬌声がオクターブ高くなった。マユはいつもそうだ。いつも、名前をこうして呼ぶと反応が良くなってしまう。
「まーちゃん、まーちゃん、まーちゃん」
 指の抽挿を早める。
「あ、あ、あ……あ、ひ、あ、や、なんかく…くるよう、あんっ!」
「まーちゃん」
「や――――――――あ、あぁぁぁぁ!」
 マユの中がきゅーっと狭くなる。焦点の合わない瞳でぼんやりしているマユに僕は声をかけてあげた。
「いっちゃった?」
 こくりと頷く。僕と二人っきりの時のマユは常に子供っぽいが、この瞬間はよりその傾向がある。
マユは僕に抱きついて、肩に顎を乗せる。耳の近くで、期待に濡れる声がした。
「みーくん、……まるさん?」
 やっぱり己の欲求に素直すぎる。
 僕はマユの瞳をしっかり見つめて断言する。
「まるいち。」
 マユの表情が泣きそうに歪む。ちょっと可哀相かなあと思ったけど、
この顔はこの顔で僕の好きな顔だったので全然罪悪感は生まれない。熱のついた身体を持て余しているのか、
半涙目になりがながら文句を言われた。
「みーくんのばかー。ばーかばーか、ばーかばーかばーかばーか!!」
「甘んじて受けよう」
 マユがぽかすかと僕を殴る。本気ではなく、不平を表す可愛らしいそれだ。
 ――この甘ったるい雰囲気は、幸せだと呼べるのだろう。恋人同士の甘い時間。
ほほえましい? エピソード。ふと遠い目をした僕に何か思うところがあったのだろう、
「うれしい?」
 マユが問いかける。
「もちろん、うれしいよ」
 ……さて、そうは言ってみたけれど、ぼくはうれしいなんて気持ちちっともわからない。
今の状況に付随する感情と、食欲及び性欲の組み合わせに、一体なんの違いがあると言うのだろう。
マユだって何もわかってはいないくせに。ひどく面白くなる。なので重ねて言ってあげた。
「すっごくすっごく、うれしいよ」
 嘘だけど。
 不思議そうに首を傾げるマユが、おかしくておかしくてしかたがなかった。
0009名無しさん@ピンキー2009/09/29(火) 18:35:19ID:KKCsvxqt
…やはり需要無いか?

誰かいる?
0012名無しさん@ピンキー2009/09/30(水) 01:01:58ID:qmNqh4EX
需要はあるよ。
供給はしようと思ってもちょっと書くのが難しいな。
文体も行為も。
0014名無しさん@ピンキー2009/09/30(水) 23:27:55ID:N0ELoLLY
みーくん並に酷い骨折レベルの被害をこうむって脂汗流しながら虚勢を張る湯女とか見てみたい。
カイジに出てきた爪の隙間に針を刺す拷問具とか、それで赤く染まった湯女の指はきっとすごく綺麗だ。
0015名無しさん@ピンキー2009/09/30(水) 23:42:01ID:ml7hZCEq
ずっとにもうとにあにーちゃんって言われながら蹴られたい

そんでにもうとの気がすんだら蜜柑を剥いて食べさせる

食べ終わったらにもうとには歯を磨く習慣が無いから僕が磨いてあげる

もちろん素手で

お風呂も一緒に入るし寝る時も一緒

そうゆう優雅な生活を勤しみたい…
















……嘘だけど
0016名無しさん@ピンキー2009/10/01(木) 00:15:31ID:SiMAGgzi

……声が嫌いだった。

過去形だが別に今は好きな訳でもない。

でも認めてくれた「お前」 が認めてくれた

自分でも嫌いなこの声を

だからお前の事を肯定するせめてお前と同じ立場でいたいから

「おはよ、部長 」

唐突だった。

急に本人が登場するから軽くパニック

「こっこんちわこんちわこんちわ」

「…? 朝から元気だね」

平静を取り繕って手帳をめくる。 何とかして状況を打開できる言葉を探す…。
無い。自分のポキャブラリーの無さに辟易する。で、 妥協。

『そんな事』「は」『ない』

「まぁ挨拶だけで元気かどうかなんて決められたくも無いよね。」

相変わらず良く回る舌だと少し感心する。

『うぃ』












……エロに持ってけねぇorz

続かない
0019八巻読んで途中で\(^o^)/2009/10/05(月) 00:04:03ID:wM4+Q42t
「…この状況に当てはまる目的は、何が、あ…あると、思うッスか?」
「主に凸と凹が合致する様な事が世界的に多いんじゃないかな?」
目の前5cmの所でみるみる茹っていく…。茹ってるのは僕も同じか。不覚に自爆。
ただ、今の状況を簡単に説明すると

長瀬の部屋でinベッド。
下僕上彼女、
のしかかりである。

すげぇ。なんて分かりやすい今北産業。場所、キャラ、状況、この要所を押さえて伝える三行テクはあらすじも真っ青な技術だ。
一巻だけ立ち読みすればそれ以降をあらすじと挿絵だけで読破できるかも。
取り合えずラブコメ的ハプニングだったので、誤魔化してみる事にする。
「現実的に凸むふッ」
……………何故会話がむふッっと停止したのか。
原因と結果を突き詰めて見ると、口が、口に、塞がれて、しまっ………った…。

数分。長瀬の口が新鮮な空気をを求めるように離れる。
仰向けの僕の顔にかかったくすぐったい髪の感触が離れた後には、長瀬味のふやけた湿りと、重さだけが続けて残った。
「くだらない事しか言わない口はふさぐが一番ッス」
かなり無理したしたり笑顔で微笑んでいる。…塞ぐのを超越して奥深くに侵攻して来ましたが…って…。
「何をなさって、ございまッスっか?」
「熱いから脱いでるだけッス」
「僕の上でッスか?」
「ッス」
「……………………」
「と…透が自分で脱がしたいなら、上着だけにするッスよ…?」
そう言うと、水色の上着のブラウスの前四つのボタンを全てポチポチとあっと言う間にはずしてベットの下に脱ぎ捨てる。
黄色いキャミソールスタイルの服一枚とジーンズ生足という夏娘っぽい姿で、仰向けで寝てる僕に馬乗りになる。
長瀬の動きと2人分の体重にベッドがギシギシと唸る。僕は息を呑んで、しばらく長瀬から目を放せなかった。
そんな少しの沈黙の中、長瀬の赤い顔が少し泣きそうなくらいに歪んだ。
「透………、何か言って…」
「そっち方面の長瀬は経験豊富そうで驚い゛だ!」
0020名無しさん@ピンキー2009/10/05(月) 00:07:11ID:IOE8wqSQ
額をベチンとはたかれ、そのまま叩いた右手が僕の両目を覆い隠した。
これが俗に言う乙女心の照れ隠しというやつか、鬼心を呼び起してしまった呪文だったのか…。
前者なら安泰だが後者だとまさに鬼門。このまま帰れと言われる可能性がなきにしもあらず。
というか、多分言われる。
これを回避するには真実を言えば一発逆転満点なのだが、それはすなわち嘘を撤回すると言う意味で、嘘を撤回したら嘘で生きてる僕は僕と言えるのだろうか?
嘘は僕の生き様であり、生甲斐であり、人生である。しかも、今更撤回して「嘘だけど」と言っても火にガソリンを注ぐような物である事は明白の真実なのは明らかである。
さらに嘘を嘘で塗り固める手段は借金を借金で返済するような物で論外である。しかし長瀬も肝心な嘘だけ聞き逃すのもいかがなものか。
誰かが言ってたけど、嘘つきを嘘つきと見抜けない人は恋人を利用するのは難しいってばっちゃが言ってた。
嘘だけど。
 ……つーか、これ言うと大爆発になる事必死だからか?必死にここまで言い訳を考えてる僕は一体なんなのだろうか…。
たかが思ったことを素直に言えばいいだけじゃないか。恥ずかしがるから恥ずかしいのであって、堂々と言えばいいじゃない。堂々と。

「綺麗で見とれてた」

 ……………………………………………やばい。
キツかった。思った以上に、キツかった。身を抱えて悶えたいなんて初めてだ。
長瀬の表情は分からないが、顔の大爆発で右手はさぞかし熱く感じてるはずだ。いっそ殺せ…と願っていたらいきなり両手で頬をムニムニ伸ばされた。
赤い困り顔で目をそらしている。恥ずかしいセリフは満点のようだ。今なら禁止にしたい気持ちが分かる。
「………こういうことは、嫌ッスか?」
「ほふひふほほっへ?」こういうことって?
 さらに倍の力で倍伸びーる。あ…痛い…痛いです。
長瀬さん、嘘です、嘘だけどー……。と言ってみるが、原因と結果を突き詰めて見るとフガフガしか伝わってない。
ダンボールからガムテープをはがすみたいに、長瀬の手首を掴んで僕の頬から引きはがす。
引きはがされたダンボール(僕)は、表面だけ削りはがれる感じである。
0021名無しさん@ピンキー2009/10/05(月) 00:10:21ID:IOE8wqSQ
 僕の両手は長瀬の両手首をつかんだまま離さない。そうしていると少し怯えた目が僕を見つめる。
頬の熱さを余韻に長瀬と視線を交差させ、何を言うべきか考える。

 だから。
 結局。
 初めて告白された時から想ってた。
 今のこの瞬間も想ってる。
 きっとこの先も想う事を、口にする事にした。

「………ありがとう。長瀬」
「な…、何がッスか?」
「僕を好きになってくれて」
 あ、みるみる完熟、酸欠金魚。僕の胸に倒れ込むと、顔をうずめた。
本日二度目の口内侵攻かと戦略的に身構えちまったぜ。
「……答えになってないッスよ」
「嫌じゃないよ。長瀬が僕を選んでくれて、誘ってくれて、今まで生きてきた中でこんなにうれしいと感じたのは初めてだと思う。ただ…」
 ………怖い。
僕を好きと言ってくれるだけで、この気持を持つことができると教えてくれた君に、

過去を知られる事が。

僕を知られる事が。

知ったその後の事が。

「僕は…、長瀬にとって相応しいかな、って」
 顔をうずめていた長瀬がゆっくりと起き上がり、本日二度目の鼻と鼻がぶつかりそうなほどの接近が起る。うる目がジト目である。
「私をこんだけ……メ…メロメロにしておいて、その言い草はひどいッスね」
「………………メロメロですか」
「ぎゃー!言い直すな!馬鹿!」
 殴ろうとするが、手首をがっちり握っていて良かったです。ハイ。
「恥ずかしいセリフのバーゲンセールだな」
「心臓が持たないッス………」
 僕の上で荒い呼吸をする彼女の吐息が顔にかかる。
「キツイなら言わなくてもいいのに」
「透がゆーな。この嘘つきめ。
自分を後回しにしかしないヘタレ男子だから、自分からキスもしてこないし、ベタベタしてこない。
なら鈍感でも分かるように私からやるしかないと気づいたッスよ。
そうしてみれば直前まできて、相応しいかどうかなんてヘタレた事言ってるエセ男子だから、自分の気持ちを、がんばって、直接伝えなきゃ、分かってくれないじゃない。
自分…私が、長瀬××が好きになったのは、枝瀬透だって」
0022名無しさん@ピンキー2009/10/05(月) 00:13:56ID:IOE8wqSQ
 …………きっと、隠し通すなんて事はできないだろう。長瀬が僕を知った時どんな選択をするかは分からない。
しかし、どんな選択をしようと多分、彼女は傷つく。
目の前の僕の上に乗った泣きそうな彼女を見て、体温を感じて、想う。想ってる。
この時間を失いたくないと想ってる。ずっと続けたいと想ってしまっている。
………実に図々しく、卑怯で、嘘つきの身の丈を分かってない願いだ。
君を傷つけるのが怖いから、失うのが怖いから、だから、言えない。
ヘタレだから。
時間が経つほど、えぐれるのに。

長瀬の手首から手を放すと、その手をベットにつけそのまま長瀬を乗せたまま起き上がった。
僕の上に乗っていた長瀬は「ひゃ…!?」と声を上げて僕の膝でもたれる。
「っちょ!?透?うえぇぇ!?」
 ハグしてみた。うむ。温やわらかい。
アドバイス通り欲望のまま囁いてみる事にする。
「…長瀬」
「ひ…ひゃい?」

「大好き」
「……………」
 お互いの心音がヤバイ。このままお互いの血圧が測れそうなほどだ…。
 肩を掴んで長瀬の表情が見えるぐらに距離を置くと、長瀬の表情に少なからず驚いた。
0025名無しさん@ピンキー2009/10/05(月) 18:04:08ID:pV9o/CYx
八巻まだ読んでないわ

だがしかしGJ
0036名無しさん@ピンキー2009/10/13(火) 23:39:46ID:CNNRA5Nc
やっと「i」の最後の
あっはっは。結局みーんな、嘘だけど
の意味が分かった
0041名無しさん@ピンキー2009/10/19(月) 22:24:39ID:d7gigVfH
1巻だけ読んだけれど、なんともSSにしにくい小説だな。
0048名無しさん@ピンキー2009/10/29(木) 03:43:03ID:tPZgnODi
ちょwwwww

長 瀬 死 ん だ wwwx xw

阿波あばあはいばあばばばはあ

…俺の嫁が
0049名無しさん@ピンキー2009/10/30(金) 21:00:41ID:JowFSTT7
>>48
ご愁傷様
頼むからゆずゆずは最後まで生き残れよ

ところで新刊情報が出たけど、なんとなく最終巻みたいなタイトル・・・


0050名無しさん@ピンキー2009/10/31(土) 17:35:46ID:exTxsAqc
え?長瀬しぬの?7巻で読むのだるくなって切ったけど8巻よんでみようかなぁ
0052名無しさん@ピンキー2009/11/01(日) 00:40:44ID:Df2qK9v7
七巻のあとがきの1ヶ月後に出る本もよろしく〜

の本買った奴いる?

ググっても良く分からん
0054名無しさん@ピンキー2009/11/01(日) 23:52:44ID:0iQ61vrC
あとがきからすると作者は群像劇が好きらしいけど、俺は駄目だった
8巻は買ったけど、途中で投げ出した
思うに8巻は最後の1ページと、その前のページの最後の1行だけ立ち読みすればよかった
0055名無しさん@ピンキー2009/11/02(月) 03:05:33ID:os3PYC2Q
>>53
あーあの時期だっけ?
でもググったら違う文庫出て来たんだよぬ…
0060名無しさん@ピンキー2009/11/08(日) 19:19:36ID:rKElceYO
リュウシさんと前川さんと布団脱いだ後のエリオが好き。

とりあえずリュウシさんのがみたい
0061名無しさん@ピンキー2009/11/13(金) 16:36:05ID:oeSwrnmO
初めて簀巻きを見たところまでしか読んでないけど
とりあえず少しだけ書いてみた。


簀巻きから出ている脚は色素が薄く真っ白だった。
スカートが捲くりあがっているせいで、その付け根には薄い布地が覗いている。
女の子らしい純白の下着が眼に入り、ついつい触ってみたい欲望に駆られた。
目の前の簀巻きとはあまり関わりたくないことは確かなんだけど、
年頃の男子としては見逃してしまうにはおしいと感じてしまうのはどうしようもないことだろう。
眼を逸らそうと努力はするもののやっぱり眼がその布地と瑞々しい太ももにいってしまう。
女々さんは知らない振りをして通り過ぎたんだから俺に全部任せたんだと考えてしまおう。
だから好きにしてもいいわけだ。
しゃがみ込んで脚の付け根に指を這わせてみた。
簀巻きはビクッと反応し、脚をジタバタしていたが、無視して触り続ける。
何かを言っている気がする。
俺には「もふもふ」と可愛い声しか聞こえないことにして触り続けた。
相変わらず脚は動いている。
どういう反応を示すか気になって股の中心に指を移動させると今までよりも強い抵抗を示した。
まあ気にせずに触り続ける。
ぷにぷに柔らかい部分を触っている内にそこは濡れてきた。
しばらく続けていると身体全体で抵抗するようにジタバタと大きな動きを見せる。
そのジタバタが大きくなったと思ったら脚がピンと伸び切った。


誰か書いてくれんかな。
0063名無しさん@ピンキー2009/11/17(火) 21:37:49ID:PnIvle+4
電波読んでみたけどルビがうるさい感じで集中できない
みーまーはそんなに気にならないのにな
0064名無しさん@ピンキー2009/11/22(日) 23:28:34ID:dBmFapFz
保守
0068名無しさん@ピンキー2009/11/23(月) 22:56:13ID:eyFTrQpi
それなら電波でやってみてくれ
0075名無しさん@ピンキー2009/12/03(木) 22:42:47ID:rrQZAOY3
電波書いてるんだが、エロが難しすぎる。エロ無しでも大丈夫なのか?
0077名無しさん@ピンキー2009/12/06(日) 21:42:15ID:CqnO35Aj
とりあえずの燃料ってことで、エロくもグロくも可愛くもない感じだけど
監禁当時の児童虐待です
結構錯乱した文章にしたのもあってかなり読みづらいと判断したので
ひらがなだらけの表現は一部の台詞のみです




 何度目かの光に照らされたあの日。
 今度は何をされるんだろうとか、何をさせられるんだろうとか、ご飯はどれくらいある
のかとか、そんなことを考えたことを覚えている。

 お父さんが持っているものが何なのか、ぼくらはすぐには理解できなかった。けれど昨
日や一昨日より頬の歪みが強くなった笑みを見て、悪い意味だってことだけはすぐに分か
った。
 まずぼくが、入ってくるついでのように殴り倒されて、みーくんが蹴飛ばされた。
 そしてお父さんはマユちゃんの前に立って、汚い言葉を口にして、足を踏みつぶした。
 お父さんが手を動かすと、持っていた物が何か見えてきた。それはベルトのようなもの
で、今日はそれで叩くのかとこれからの痛みを予想した。マユちゃんは、下にからからと
落ちた他のものが何なのかを目でおうこともしないで、手元だけを見ていた。
 ぼくの側に転がって来たのは調味料で、今日のごはんはぼくの嫌いなものなのかなと、
甘いことを一瞬だけ考えて、考えるのと思うのを止めた。

 お父さんの手がマユちゃんの服を乱暴に剥いで、ベルトのようなものが胸とかお腹とか
を叩いて、ぼくが床に押しつけられて背中を叩かれて、ぼくが床と見つめあっているとき
にみーくんが叫んで、誰かの口の中に昨日までマユちゃんの指先についていた爪がささっ
て、誰かが指を折る役と折られる役に分けられて、誰かの声が響いて、誰かが大笑いして
唾を飛ばして嬉しそうに汚く醜く声をあげて、息が上がって、みーくんがマユちゃんをか
ばったような気がして。
 本題に入ることになった。
 お父さんはお気に入りの子の下着を奪い取って、抵抗されたときには顔を殴りつけた。
それ以外は自分も次に同じことをされるのかさせられるのか目を見開いて固まっていた。
 悲鳴を押し殺したような声が続いたり、止まったりしていて、お父さんは体を叩いたり
押したり触ったりしていた。素直に泣き叫ぶと飛ぶ拳に怯えて、お父さんのお気に入りの
子は食いしばった歯を時々カチカチ鳴らした。
 服を奪い取るのはこれがほぼ初めてで、これまでの普通の暴力から変わって、どんどん
またひどくなっていく予感がした。
 反応のどこかが気に入ったのか、お父さんは饒舌になった。子供と言えど女は女だなぁ
とか、なんとか言って、お気に入りの子を覗き込んでいた。そしてそのままその子の側を
離れて、次にぼくをのお腹を蹴って、もう一人の子を弾き飛ばして声が出なくなるまでベ
ルトのようなもので叩いた。
 三人ともぐったりしていてでも今日は時間が有り余っているようでゆっくりぐるぐると
興奮したように部屋の中を徘徊しながら、調味料を拾って、お気に入りの子の側に行った

 食べさせるのかなと思ったけど、その予想はすぐに裏切られて、それは下の方に持って
行かれた。
 その子はすぐに異変に気づいて大暴れして泣いて、やめてと叫んだ。お父さんは笑って
、じゃあそいつにしてもらえと言った。
0078名無しさん@ピンキー2009/12/06(日) 21:42:36ID:CqnO35Aj
 何を、なんて口に出来たか出来ないかわからない範囲の言葉にお父さんは気を良くして
マユちゃんの脚を開かせて、戻そうとすると蹴った。そしてぼくを引きずって持って来る
と、ぼくの頭を無理やり引き寄せてその間に埋めた。
 混乱して抵抗する二人を見下ろしながら、誰かが嫌なら自分がこれを使ってしてやるし
多分とても痛いといったようなことを言った。涙を目に浮かべて、おとうさんのお気に入
りの子はひたすら首を縦に振った。
 ぼくも嫌な予感と恐怖に、お父さんの方を向いて首を縦に振って、どうしたらいいかわ
からない頭を押さえつけられて、飛ぶ指示に従った。
 舌先が見たことも触ったこともないところに触れて、それだけじゃ駄目だと舌全体を押
しつけることになった誰かが汗と垢以外のにおいを嗅いで頭をぐらぐらさせて、誰かが爪
の無い人差し指と薬指のついた手を押さえつけられながら泣きわめいて、誰かがそれを見
て笑って、誰かが這うことも出来ずに居た。
 誰かの視界には何も映っていなかったけど、舌の上にしょっぱいが広がってそれを異変
に感じないよう考えるのを止めるのに徹しながら作業を続けていた。
 頭をリズムよく脚で揺られて、埋めた顔の眼と鼻の先に歯が当たると、甲高い悲鳴が聞
こえて、だから、誰かが腕を突っ張って、攣りそうなほど口を開いて、舌に力を入れてい
た。
 誰かの枯れた声がリズムと合ったタイミングで漏れるようになると、誰かはとても興奮
して、嬉しそうに唾を飛ばした。 
 ――子供でも――――女は――教育して――――悪い子――――長瀬――言うとおり―
―――
 絶え絶えの息が、初めて聞く名前じゃない人の名前に反応して、嘘、と呟いた。何だっ
たか思い出そうとこころを呼び戻さないようにただ爪を床に食い込ませて攣った舌を突っ
張ってささやかな抵抗だけに集中した。笑い声が部屋いっぱいに響いて、更に暴言混じり
で楽しさをアピールした。
 ――――――嘘じゃない――――公園――――給食――――宿題――良い子――――
 頭を揺らす脚が止まって目の前が小刻みに動くのが誰かに分かって、それに気づいた誰
かが身をよじって、また叩かれた。

 暗闇の中で目を覚ますと、マユちゃんが半分寝ながら泣いていた。
「みーくんは、わたしのこといじめないよね」
「うん、いじめない」
「うそつかない?」
「うん」
「うらぎらない?」
「うん。ぼくは、まーちゃんの味方だよ」
「……みーくん、みーくん。みーくん」
 そうして、ぼくが体を起こすより先に、マユちゃんは泣きつかれてまた眠った。ぼくは
ずるずると起き上がって、みーくんがそれに気づいた。
「ああ、ごはん、そこに、あいくんの分」
「あ、うん……」
 パンの欠片を口に押し込むと舌が攣って、痛くてしばらく動けなかった。みーくんはそ
んなぼくを少しは心配する気配を見せたけど、水がないから誰も何ともできなかった。
 マユちゃんが寝たからなのか、ぼくが起きたからなのか、みーくんが声も出さずに泣い
た。みーくんの、前歯で押された下唇が白くなって、すぐに滲んだ血で赤くなった。
0079名無しさん@ピンキー2009/12/06(日) 21:43:06ID:CqnO35Aj
「ほかの子もいっしょ?」
「とおるちゃんいっしょじゃ駄目?」
「ううん」
「もしかしてまーちゃん、とおるちゃん嫌いだったりする?」
「ううん、違うよ。みーくんと二人がいいなって、思っただけだよ」
「うん。じゃあ今日はとおるちゃんもいっしょで、いいよね」
「うん」
「それじゃ、そろそろいこっか」
「うん! ……えへへ、あのね…………」

『ともだちはみんな好き。でもみーくんが一番好き』
0082名無しさん@ピンキー2009/12/14(月) 20:27:49ID:YgGjc7IG
保守
0084名無しさん@ピンキー2009/12/16(水) 14:32:08ID:/fFkD5eg

                 ______
                /
             / ) /
            ./ / |  
           / /  \         
           / /     ̄|/ ̄ ̄ ̄ 
         ./ /・> <・>   , -つ             
         / /  Д )  ./__ノ      
        /    \ / /  
        .|    へ/ /      
        |    レ'  /、二つ      
        |     /.          . 
       /   /             
       /  /             
      /  /              
     / ノ               
   _/ /               
  ノ /                 
⊂ -'                    
                     .  
                       
0090名無しさん@ピンキー2009/12/19(土) 23:50:26ID:SVeP4Jyf
                ______
                /お前ね
             / ) /女口説いてる暇があったら
            ./ / |汗の塩を小手に吹き出させるぐらい竹刀振れや  
           / /  \         
           / /     ̄|/ ̄ ̄ ̄ 
         ./ /・> <・>   , -つ             
         / /  Д )  ./__ノ      
        /    \ / /  
        .|    へ/ /      
        |    レ'  /、二つ      
        |     /.          . 
       /   /             
       /  /             
      /  /              
     / ノ               
   _/ /               
  ノ /                 
⊂ -'                    
                     .  
                       
0091名無しさん@ピンキー2009/12/19(土) 23:53:23ID:c3UAaMw1
昼間の学校でのにわくんとの触れ合いを思い出して一人でオナニーを始めちゃうリューシさん
その頃、ご飯をご馳走になりにいった前川さん宅で
前川さんに押し倒され、汗ばんだ体を絡ませて半ば逆レイプ的にやられちゃう真。

あの身長差だと何かお姉さんが弟襲ってる図というか
「転校生は可愛いなぁ」
とか言いながらチュッチュしてるのが想像できる。
自分から始めたくせに終わったらぐったりな前川さんを抱き締めてあげたり
0092名無しさん@ピンキー2009/12/20(日) 18:58:09ID:TBDiKT/s
終わったら、と言うより途中で力尽きる気がしてならない。
0093名無しさん@ピンキー2009/12/22(火) 22:38:52ID:JLIIYnkN
91と92を纏めると、
前川さんが真を襲う→前川さん途中でぐったり→真の反撃→事後抱きしめる真
ってことで間違いないな。よし、書いてくる……嘘だけど
0094名無しさん@ピンキー2009/12/23(水) 09:10:37ID:IfekKlAw
リュウシさんが可愛いすぎる件について
0096名無しさん@ピンキー2009/12/24(木) 20:20:29ID:olXVXGI5
めりーくりすます


           /⌒ヽ
         /(   )ヽ
        /   ー‐'´  `、
      ∠_______i
      |_______|_
    / |::o::o::::::::o::::o::::0:::| \
   /  .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   |
   |    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   /
   \_________/
0097名無しさん@ピンキー2009/12/27(日) 14:20:07ID:he4mI5qE
保守
0101名無しさん@ピンキー2009/12/28(月) 16:45:27ID:fFDYjnoE
では、俺も保守・・・する価値があるのか?
さっさと誰か書けよ!
0102名無しさん@ピンキー2010/01/02(土) 22:15:28ID:97DDCI7S
上げ!
0106名無しさん@ピンキー2010/01/09(土) 19:07:40ID:8v1STH1j
あげ('A`;)
0107名無しさん@ピンキー2010/01/11(月) 00:32:31ID:xYcHSJqL
誰かシチュ希望というかネタ出ししてくれよ
そっからなら書けるかもしれねーし
0108名無しさん@ピンキー2010/01/11(月) 23:15:33ID:Ck1XqByt
我慢の限界が来て
あにーちゃんを押し倒して事に及ぼうとするにもうと。
でもみーくんの体は、つい最近つけられたと思しき
大量の引っかき傷と噛み傷、そしてキスマークで彩られていたのでした。
そんな体を見て一瞬硬直、まずいと思ったときにはもうすでに遅くて
みーくんは困ったような笑顔でにもうとを見つめちゃったり。

あにーちゃんを失望させちゃったことに動揺して
「――――――あ」
「?」
「あたしにも、同じこと、しろ!!」
とかテンパって言っちゃうにもうと。
0110名無しさん@ピンキー2010/01/14(木) 03:06:55ID:4zlbolG3
おお、2は見れなかったから助かった
ただちょっと気になったとこが
みーくんって長瀬の両親に会ってなかったっけ?
どこだったか忘れたけど長瀬の家に行った時家族総出で麦茶出されて
観察されたみたいな文章があった気がするんだけど
0111名無しさん@ピンキー2010/01/14(木) 13:12:13ID:DOWvMur1
ま じ で
このあとの展開が根本から駄目にってかパラレルってことでここはひとつ……

参考にしたいのでどこだかわかりますか?
手元に1・2巻がないのですがもしかしてそこかな
0114名無しさん@ピンキー2010/01/16(土) 21:02:29ID:Ltn7Rk3p
>>110
イメージアルバム付属の短編小説だと思う
5ページにそんな場面があった
0115名無しさん@ピンキー2010/01/16(土) 23:54:16ID:N2Q4qo0e
>>114
うわあマジすか、それは未チェックだった
センター終わったら買わなきゃあかんかな……

と、りあえずパラレルってことでここはひとつOTL
0116名無しさん@ピンキー2010/01/17(日) 00:24:03ID:8Bc81jPE
ここだな

>先週の土曜日に、長瀬の家へ招かれたときのことだ。
>妹の一樹も、長瀬母も、長瀬父も(やめてよ)一家総出で僕を接待兼観察して頂けるのはありがたいが、
>それぞれが思い思いにグラスに麦茶を注いで運んでくるのはどうかと思う。
0117名無しさん@ピンキー2010/01/17(日) 00:31:09ID:k+ONEiun
決めた買ってくる

あ、あと展開に希望というか案があれば取り入れるかもなのでなんなりと
枇杷島さんも捕まってさえいなけりゃなあ……
0119名無しさん@ピンキー2010/01/17(日) 12:24:36ID:Ntbyv82X
あー6巻から出番ないな、そういえば
6巻もみーくん絡みじゃないし
バレンタインチョコとか渡してたのが懐かしいわ
なぜかこーた君も渡してたよなw
0121名無しさん@ピンキー2010/01/18(月) 00:47:15ID:BsG84wor
おしゃーおわたぜー
ちまちま書き貯めてまたスレ立てると思うんでよろしく
0123名無しさん@ピンキー2010/01/18(月) 22:28:50ID:BsG84wor
イメージアルバム買ってきた。ブックレットというかなんというか
長瀬成分補充は嬉しいんだが中身がw

設定に関してはオリジナルってことで了承してください('Д`;)
0124名無しさん@ピンキー2010/01/22(金) 21:24:17ID:MTnTM8J/
保守代わりに


・・・あの、にもうとさん。折り入ってお話したいことが」
「うるさい黙れ変態蟻。」
この状況で変態扱いされる日がくると思ってなかったよ。
そんなわけでみなさんこんにちは、ラヴ!の和訳の人なんですがこんなところから失礼します。
「こんなところって言うな変態蟻。」
おぉ、自分のベッドをぞんざい(漢字ないよね)に扱われてにもうと様はご立腹なご様子。そして何故お前はこの文章読めるんだよ。
こんなところっていうのはベッドの上ってのもあるけど、重視しなくちゃいけないのは状況だったりする。
「・・・山にいた小さい狐みたいなのより不味い」
胸の先端部分を舐め終えたにもうと様が、身を起こし口元の涎を拳で拭った。
その仕草が自分の母親にとても似ているということを、この雑食娘は知っているのだろうか。
知らないだろうなぁ、そもそも生活環境的に鏡見る機会が極端に少なそうだし。
返り血を浴びた自分の姿を映してほくそ笑んでる姿なんかは、不思議と想像できるけど。
「一番美味いとこ、どこ?」
「自分の身体の美味な部位を知ってる生物なんかこの世にいないだろ・・・」
共食いするやつらなんかは知ってるのかもしれないけど、少なくとも自分自身ってのはいないと信じたい。
「変態な上に使えない」
「自分の兄貴の乳首舐めてる奴は変態じゃないのか?」
もきゅっ
ちょっと可愛い音がして、にもうとの小さな膝で僕の身体で一番柔らかいであろう部分が攻撃された。
そこはまーちゃんにだって触らせたことがないのに゛、普通に、痛い。
「味見だから仕方ない。結果、あにーちゃんはおいしくない」
「そうか・・・うん、じゃあもういいから降りろよ」
僕にはまーちゃんという最愛の恋人がいて、ナガなんとかさんとかいう肌が綺麗な元恋人もいてっていうか今は人と呼んでいいものだろうか。最後に人の目に触れた彼女は(関係という意味ではなく三人称の意味で)あまり人間とは呼べそうにない形でいらっしゃったけど。
そこは今はおいとくにしても、僕の腰の上に跨っていてもあまり重さは感じないっていうかほんとにこいつ軽いなぁ、主成分が蜜柑だからか?
大体まーちゃんの半分ぐらいな気がする。今のはまーちゃんが重いとかではなく、どっちも軽いという意味なのであしからず。勝手に通報しないように。
恋日先生や奈月さんも恐ろしく細いから、きっとあの人たちも軽いだろうな。でもあの二人とはこんな状況にならないことを祈っておこう。
先生はともかく奈月さんには首とか締められそうだし。
ああやって微笑を崩さないまま首締められたら、こんな僕でも天国に直行できる気がする。
0126名無しさん@ピンキー2010/01/23(土) 13:54:12ID:0OR8t68a
いやGJ
つづけたまえ
0128名無しさん@ピンキー2010/01/26(火) 01:24:22ID:prLUgmIT
長瀬 「ねーとーる」

×× 「?」

長瀬 「最近勉強ばっかりしててつまんないッス」

×× 「しょうがないだろ。本試験があるんだから」

長瀬 「そう言って書くって言ってたSSの続きも進んでないじゃないッスか」

×× 「いやそれは……うん、本格的に終わるまで断片的にしか書けなそうだもんなあ」

長瀬 「それしょうがないけど……ちゃんとお話、考えてるッスか?」

×× 「もちろん。別に本筋はできてるけど僕らのイチャイチャ描写を削るのに苦労してるなんてことはない……といいんだけど
     今はそれに割く時間もあんまり、ねぇ?」

長瀬 「でもでも少しは休憩しないと逆におバカになっちゃうッスよ」

×× 「今でも十分おバカですけどねー」

長瀬 「ひゃわっ」

×× 「こんな具合に。」

長瀬 「……むふふー。いいこいいこッス。そうそう、ちゃーんと構ってくれないと寂しくて死んじゃうッスからね」

×× 「あの長瀬さん……一緒に倒れて、ってこれ状況的にまずいと思うん」

長瀬 「透はヘタレだからー、安心こそすれど不安なことなどないのだー。ッス」

×× 「…………れろ」

長瀬 「         」

×× 「おお、血族のだれかさんを思い出す反応だなあ。……耳まで真っ赤だ」

長瀬 「っはあ……ずるいッス……もぉ、そういうのは言わなくていいの!」

×× 「長瀬」

長瀬 「なんスか?」

×× 「好きだよ」

長瀬 「……うん、私も大好き」

×× 「あったかいね」

長瀬 「そうッスね」
0130名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 01:44:29ID:I0Dg/v+C
保守代わりに自家発電



「うわぁ……長瀬の中、あったかいナリ……」
「何お馬鹿さんなこと言っているッスか、透もこんなに硬くなってるッスよ」
 こんな状況は中々珍しい。いつもなら純情な長瀬を少し意地悪く言い包
めるのが、働き蟻の役目のはずだ。
「仕方ないだろ、今は一番寒い季節だし」
「そうッスね、ほら、風邪引くといけないッスから、もっとこっち寄るッスよ」
 彼女の言葉に甘えて、長瀬を強く抱きしめる。微かなシャンプーの香りが
鼻腔を掠める。脳髄が僅かに痺れる様な感覚。
「ふふ……たまには素直な透を満喫させるッスー」
 失敬な。僕はいつでも概ね素直な性格ですよ。嘘だけど。
「さ、今日は大人しくもう寝るッスよ。明日も大変ッスからね」
「うん、おやすみ」
「おやすみッス」



「……明日もか、がくしゅうそうちとか早く開発されればいいのになあ……」
 長瀬は既に寝息を立てており、僕のつまらない独り言は行き場を失って
しまった。長瀬と一緒に過ごせるのは嬉しいが、学校の期末試験が目前
なのが気がかりだ。何でも商店街のくじ引きで特賞を当てたとかで、長瀬
ご両親が旅行で不在なことを良い事に、僕らバカップルはお泊り勉強会を
強行したのだった。特に僕はお勉強が致命的だからね。考古学が専門で
もないから長瀬ノートよりも本人と勉強会を開いた方が効率は良いだろう。
「……僕ががくしゅうそうち作るか、嘘だけど」
 きっとそんな機械が出来ても、実際に努力を続けた時の経験値に比べ
たら雀の涙なのだろう。日常の価値は非凡なのだから。
「……うー、2の7じょー、……じゅけんせーがんばるッスーzzzz」
 なにやら電波を受信した様子である。長瀬は寝言も真面目だな、どこの
誰を応援しているのか。まあ何にせよ応援されている人には頑張ってもら
いたいところだ。
0131名無しさん@ピンキー2010/01/31(日) 16:59:47ID:F+CcLn+H
GJ
書き手が増えると嬉しいね
0135名無しさん@ピンキー2010/02/03(水) 15:18:26ID:ldbNdcUB
花咲太郎でなにか書けないかなぁ
0139名無しさん@ピンキー2010/02/06(土) 00:49:15ID:VoVUlAFE
燃料がわりになればいいなと思い書いた。
電波女で何故か前川さん。エロなしです。

【コスプレ女と青春男】

「やあ転校生」
 昼休み。俺が一人で(リューシさんはバスケ部の友達と一緒)学食の親子丼を食べていると前川さんが話し掛けてきた。
「やあ前川さん」
「いきなりだけど転校生。明日の土曜日に予定はあるかい?」
「一日中ゴロゴロする予定がある」
 まあ、エリオやおばさんに邪魔される可能性があるというか確定的というかそんな感じだけど。
「つまり暇ってことだね。なら一緒に出かけないかい? デートしよう」
「……はい?」
 前川さんのいきなりビックリ発言に親子丼の肉を喉につまらせそうになりながらもなんとか飲み込んでそう聞き返した。
「それじゃ時間は……」
「ちょっと待って。まだ承諾した覚えはないんだけど?」
「さっきはいって言ったじゃないか」
 それは聞き返す意味でのはいなのです。日本語って難しいね!
「いや実は新しくお菓子屋ができたらしくてね。ちょっと偵察に行こうかと。ついでに新しい衣装の調達に」
 最近のお菓子屋はアルバイトにそんなことをさせるのか。全く、店長は何をしているのだろう。顔を見てみたいものだ。
「それでかよわい乙女である前川さんの護衛兼荷物持ちとして転校生を誘ってみた訳さ」
 むしろ荷物持ちメインな気がする。前川さんは中身はともかく外見はデカイので絡まれたりすることは無いと思う。
「誰がデカ女じゃゴラァァァアアアアアアア」
「口に出してないよね今!?」
 たまに地の文を読む人がいる。さすが都会だな〜



 そんなこんなで翌日。結局押し切られてデートという名の荷物持ちを承諾させられた。
 ちなみに昨日の放課後「それじゃ明日ね」と前川さんが言いに来た時その台詞を聞いたリュウシさんから某有名格闘ゲームに出てくる
サイコクラッシャーの使い手を瞬殺するキャラばりの殺意の波動を感じた。
「どうしたんだい? そんな冷や汗かいて」
 リュウシさんの殺意の波動を思い出して冷や汗をかいていたらいつの間にか前川さんが到着していた。
「別になんでもない。じゃあ行こうか?」
「そうだね。ああそうだ。デートでの定番の掛け合いを忘れていた。待ったかい?」
「数分ほど」
「そこは待ってないよでしょうが」
 前川さんが笑いながら言う。この人の笑顔はリューシさんと違って癒されるというより見惚れてしまうという感じだ。
「まあいいか」
 そう言って前川さんは歩きだした。そうだ、一応デートというなら言っておく言葉ぐらいあるだろう。
「前川さん。その服、似合ってるね。綺麗だよ」
 今日の前川さんは変な気ぐるみでもコスプレでもないお洒落な服だった。ファッションに詳しくはないけど雑誌のモデルと比べても見劣りしないのではないかと思う。
「……照れるじゃないか。不意打ちは卑怯だよ」
 少し頬を赤くしている前川さん。モデル体系ですねって言った時のリアクションと大分違うな。
 やっぱり女の子は誰であれ褒められると嬉しいんだろうな。
「いくよ!」
 再び歩きだした前川さん。今度はさっきより早足だった。
「前川さん。速いって」
 急いで追いかける。さて、荷物持ちを頑張ろうか。

休日女の子に遊びに誘われる +1
リューシさんから殺意の波動を感じた−3
女の子とデートっぽいことをした+3

青春ポイント+1
0140名無しさん@ピンキー2010/02/06(土) 00:51:24ID:VoVUlAFE
短いけど投下終了。需要ありそうならエロに挑戦しつつ続き書いてみようと思います。
0141名無しさん@ピンキー2010/02/06(土) 01:14:30ID:9NHXZX9t
GJ!違和感は感じないね
つづけたまへ
0144名無しさん@ピンキー2010/02/09(火) 20:09:17ID:YVxFHvB/
前より書き手がいるのは喜ばしいがエロと鬱が足りないな
よし書くか
0147名無しさん@ピンキー2010/02/10(水) 12:20:46ID:Lr2XaQCq
草案を携帯で書いたのでわかりづらいかもしれんなあ
先生×みーくんです。作中では先生の一人称は『アタシ』なのですが、地の文に使うとなんだか違和感があったので
『わたし』と使い分けています。
あとみーくん、というか××を指す呼び方も違和感あるかも?そこはスルッと……
では↓から

――――――――――――

あの、先生

「なに?」

ぼくと結婚してくれませんか

……あー、この子は何を言っているんだろうか。
急にうちに来たから慌てて部屋に通したら、いきなりそう切り出してきた。
アタシと?あははまっさかー。
しかし現在ここ、我が部屋にいるのは当然わたしとこの子だけだから……いやいや。
またいつもみたいに、ただ頭からこぼれ落ちる言葉をこね回してるだけでしょ。
そう考えながらも、わたしはとっさに何も言い返すことができなかった。

「…………」

…………

沈黙が流れる。え、なに?どういう流れなの?
「そ、そういう冗談は止めなさ」

本気ですって

混乱しながらもなんとか返したら即答されて更に焦る。
ちらりとあの子の眼を見れば、こちらを見つめる中に珍しく真剣な光が宿っていた。
ああ……頬と耳が熱い。赤くなってるのかしら。

「……アタシは」
さっきまで入っていたお風呂のせい、とは言えないわね。

好きです。先生。ぼくは先生と一緒になりたい。……だめ、ですか


「……いえ、アタシも、よ。アタシだって」
もう、止まれない。

ごめんね、奈月。



「っはぁっ……! はぁっ……!」
ベッドに倒れこみ、夢中でキスをする。惚けるほどに甘いキス。
脳が痺れるような恍惚の中、わずかな息継ぎを挟んで更に互いの唇をむさぼりあう。
舌を吸い、唾液を交換し、舌を吸われ。歯の裏から舌の下まですべてを感じる。
それだけでもう、体の火照りは最高潮にまで達してしまう。

うう…駄目だ、我慢できない。体の芯が熱くなり、疼くのを感じる。

……先生、情熱的ですね

「悪いか。アタシだって女なんだからね……いいでしょ」
0148名無しさん@ピンキー2010/02/12(金) 15:17:14ID:N7FilRTm
てす
0149名無しさん@ピンキー2010/02/12(金) 17:27:16ID:TtpMy/jm
超GJ! 続きプリーズ
0151名無しさん@ピンキー2010/02/15(月) 00:19:14ID:Pkocb0av
ho
0152名無しさん@ピンキー2010/02/15(月) 13:33:55ID:/uOwNqD6
「ね……手、貸して」
片手で仰向けのあの子の右手を取りながら、もう片方の手で自分のパジャマの下を足首までおろす。
彼を跨いで膝立ちになったわたしは、熱を持ち既に濡れそぼるそこに手を導く。

「ぅあっ!」
脳天まで貫く電流が走る。
と同時に彼の指が動き始めた。
「ふあっ!あんっ!んぅっ!んっ…くぅ、ああんっ!」
最初は優しく、徐々に激しく。縁をなぞって突起を撫でる。
指がゆっくりと挿し込まれ内壁を擦り、残った指が更に愛撫を行う。

先生……すごく、可愛いですよ

「しょうがないっ、じゃない……はぁっ。こんなのどこで覚えた、のっ」

パジャマの前を開けて、自分でも胸の先端を弄る。
固くなっているそれはわたしの指でぐにぐにと揉まれ、そのたびに電流が走る。

「はぁ……気持ち……いいよ……
腰、動いちゃうぅ」

それは嬉しいなぁ。もっと可愛いとこ、見せてください。

「っ……!? ああっ! やあっ! いっ……ひあっ!」

突然指の動きが激しくなった。ジュプジュプと音を立てて指が出し入れされ、敏感なところが刺激される。
ガクガクと腰が震えて立っていられなくなり、彼の上に倒れ込んだ。
0154名無しさん@ピンキー2010/02/17(水) 00:40:32ID:CKfcoMEH
残念ながらこれから1週間ほど忙しいので停滞
バレンタインネタとか受験ネタも書きたかった
一番書きたいのは長瀬ネタですが…


先生ネタは〆られるかも?
0156名無しさん@ピンキー2010/02/21(日) 19:45:26ID:N9poxUwY
朝起きて布団の中に全裸の女々さんがいたら正直言って自分が保てるかどうか自信がない
0157名無しさん@ピンキー2010/02/26(金) 01:16:15ID:VbvYUkkg
本スレで小さくなったあっきゅんとかいうネタが出たけど
恋日先生って小学生の頃のあっきゅんに性的な意味で何かしてるに違いないよね
0158名無しさん@ピンキー2010/03/03(水) 18:58:40ID:tcJKoRKH
……お、もしもし規制解けたか?
新刊のあっきゅん脳内のゆゆゆゆが可愛過ぎる。

死ぬまでに一回くらい、壁相手で良いからあのくらい脳内妄想全開にしてみたい。
体験とか無理だって分かってるからさ。脳内くらい××が欲しい。
0160名無しさん@ピンキー2010/03/10(水) 00:37:29ID:q30+nTDs
犯人とやり合って最終的にもう色々ダメになっちゃったあっきゅんの車椅子を押してあげるのに相応しいのは誰か
0161名無しさん@ピンキー2010/03/10(水) 17:06:29ID:n32iCBmM
長瀬以外いんのかコノヤロー
0164名無しさん@ピンキー2010/03/19(金) 01:02:22ID:M6mRAqMH
一週間どころじゃなかった件
浪人生デビューだからまったり構想を練るよ

ああ、ニー日先生のは書いちゃわないとなあ
0165 ◆iNaGasEfKM 2010/03/19(金) 02:10:56ID:/yymTd2H
                ''" ̄ヽ =@、
            ,〃´     ヾ  ゝ   ヽ
            ,/,, ..,,;;::´.,:;il|li;:, ..,:;il|li;:,.. 、 、ヽ
         ,:  ,i:. .i:i:ri:r/       ` ゙゙li;:,i;:,i;:,
         i: i:i: :i::i::/ /          ヾi::i::i:i,. 、ヽ
        i:i i:i:ri::i::r/ /            ヾi::i::i:,,..ヽ,、、
        i:i:r:i::i::i:/ゝ/─‐-、               i::i::i::i:.. ..ii:i:i;:
      fi:i|:i:i|:i:i:f i          ⌒`ヽ、 .i:i ゙i::i:i:i:..:i::i::i,.
        i::i::i::i::i:::l ,,z==ミ               i: :゙i::i::i::i::i::i::i:i
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       ヾ人 c ゙゙!、         '    ""  .ノ :i::ノ::i::i::i::ノ:i
           ゙弋                     ノヘi::i::i::i::i::i" <  おかえりッス
          i゙i゙iヽ   ヾ゙r゙ ̄ `  、    cシノ::ノ::ノ::ノ       ずっと待ってたッスよ
          i:ii:iヽ    ヽ、___ ノ    .,:ヽ;イノシ"
               ゙゙ 、           イシシシノ"
                i ヽ 、 ___ .....::i:i´シシ""
              i   :::::::  r
                 ヘ´i      n
                /  ヽ       ハ
  _,, --- ─ ''' `、  \  /  ト 、
 "           ヽ   /^`、   i    ヽ 、__
             ___, ゝ--v'- _, `-、_ノ        ``ヽ、
            ヽ´       ヽ_/   `ヽ               ``ヽ、
          ヽ    /i  i\       \
              \_/  i   i \     /
                /     i   i  \___/
            `ヽ___i   i__ノ
0168名無しさん@ピンキー2010/03/22(月) 03:29:35ID:uewf7jVa
   長瀬 「ラブプラス、ッスか?」

ノア  長瀬 「アマガミ、ッスか?」

   長瀬 「ドリームクラブ、ッスか?」
0169名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 16:40:16ID:o8xexsB3
せー大和ーオシャ
確かに養老をきちんと整理し蓄積を書くようにしたい
0170名無しさん@ピンキー2010/04/01(木) 01:24:11ID:nLHxfsQV
今日はエイプリルフールです。
みーくんでーです
嘘だけど
0172名無しさん@ピンキー2010/04/08(木) 02:29:10ID:m6UZV5YM
やっと9巻読んでゆずゆず登場!
えーこんなことまで…いいぞもっとやれって思ったのに…


欲求不満な僕のために誰か書いて下さい
0176名無しさん@ピンキー2010/04/28(水) 01:51:17ID:MOPaYl3U
前川さんは出産に耐えられるんだろうか
0177名無しさん@ピンキー2010/04/29(木) 16:25:12ID:0mETmbns
神聖かまってちゃんが劇曲で決定
主人公役も神聖かまってちゃんのヴォーカル
0180名無しさん@ピンキー2010/05/01(土) 21:41:34ID:s4w0KbhQ
「転校生」
「いや、その呼び方はもう賞味期限切れ。そもそももう学生じゃないし」
「イトコ」
「じゃあないよね。まぁ、それより近い間柄になったけど」
「……にわくん」

「……今日から君も『にわ』じゃん、『前川さん』」
0182ながせのさいご2010/05/10(月) 05:29:54ID:zy9UquSj
透は今も、まーちゃんといるのかな。そういえば、まーちゃんとどこかに行くって言ってたかもしれない。
少し、悔しいな。いつもあの子ばっかり、なんてことはもう思わないけど、透があの子に掛かりきりになってるのを見るのはやっぱり悲しくもあるし嫉妬もする。
今度は私がデートに誘ってみようかな。透はまたいつかみたいに変な顔をしてごまかそうとするだろうけど、一日くらいはいいじゃないか。
付き合ってるときだってちゃんとした所に連れて行ってもらってないんだから、一回くらいは遊園地とか映画とかカップルっぽいことをしてもいいじゃないか。今はもうカップルじゃないけど……。

そういえば、透のお見舞いに来てたおっぱいの大きい子は透のなんなんだろう。
透は同じクラスの子だって言ってたけど、あの子の方は顔を真っ赤にしてモジモジしていたり、私のことを気にしていたりと、透に好意を持っているようだった。
妹さんの甘え方も兄妹仲がよろしいですね、じゃすまないくらいだったし、着物を着た細い人と楽しそうに話してたり、なんだかすごくモヤモヤする。
まーちゃんとバカップルしてるくせに他の女の子と仲良くするなんて酷いと思う。まーちゃんにも悪いし女の子たちにも悪い。
浮気性の男はいつか皆から愛想尽かされちゃうんだぞって、透が帰ってきたら言おう。

それと、あの事件は、透のせいじゃないんだよ。最後にこれは言っておきたかったな。
最後だなんて縁起でもないけど、でも──。
変な所で律儀だから、あの事件を一番引きずってるのも、一番傷ついてるのも透なんだ。
だから、少しでも罪の意識を軽くしてあげたい。発端は私で、おじさんの引き金を引いたことは赦されない罪だから、私はそれを背負って一生を生きていく。
でも、透は背負わなくていいんだよ。もう、自分の為に生きていいんだよ。
そうは言っても、透は不器用だから、自分の為に生きることが難しいんだと思う。
だから、私の為に生きてよ。私と一緒に生きてよ。
女の子からプロポーズさせるなんて、やっぱり透は甲斐性がない。
痩せっぽちだし、好き嫌い激しいし、気が利かないし、笑わないし、泣かないし、いつもまーちゃんのことばっかり見てるし。
だけどそんな透が好き。傷つけられても、傷ついても、それでも離れられないくらい、透が好き。
透が帰ってきたら伝えたいな、この気持ち全部。
透……会いたいよ……。

いままで、ありがとう。

さよなら。
0183名無しさん@ピンキー2010/05/10(月) 08:40:20ID:QgJrr16b
エロエロが言いとか言ってたけど、
こんなのも良かった
長瀬…

GJ
0186名無しさん@ピンキー2010/05/28(金) 01:04:59ID:M95O7I85
保守
0188名無しさん@ピンキー2010/06/26(土) 00:20:11ID:59z1mfgB
保守
0189名無しさん@ピンキー2010/07/19(月) 18:43:59ID:0rPLfnEz
保守
0190名無しさん@ピンキー2010/07/23(金) 10:31:57ID:5b7K+7lb
恋日先生って頼まれたらみーくんの赤ちゃん産んじゃいそうだよな
0191名無しさん@ピンキー2010/07/26(月) 20:40:11ID:E1IDx26m
>>190
あるあるww
0192名無しさん@ピンキー2010/07/28(水) 10:19:33ID:C1LEILTg
おまえらリューシさんで抜きたいとか思わねーのか!
それともすでにいいオカズがあんのか!教えろ!
0195名無しさん@ピンキー2010/08/04(水) 15:07:17ID:FDfs3Zdc
職人きてくれー
0198名無しさん@ピンキー2010/08/05(木) 20:05:01ID:2Tg6sgjX
リューシさん(;´Д`)ハァハァ
0199名無しさん@ピンキー2010/08/05(木) 22:36:35ID:K0ZPO/ki
マコちゃんを女装させて押し倒す男装前川さん
「転校生はかわいいなぁ」
とか言いながら。
0202名無しさん@ピンキー2010/08/08(日) 23:06:47ID:AhZ/79Sv
ttp://news.dengeki.com/elem/000/000/289/289097/
ttp://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/moonphase/20100807/20100807124134.jpg
0206名無しさん@ピンキー2010/08/22(日) 02:37:20ID:foeLkSOw
「イトコ、抜けない」
いつものように布団を体に巻きつけたエリオ。人のベッドの上に乗ってなにしてるんですか。
早く、と妙に急かすエリオになんとなくムカついて、乱暴に引き剥がしてやった。そのままベッドへ倒して布団を適当にかける。どうだ参ったか。
ストレス発散に最適な、布団剥がし。一度経験したらあなたも癖に――はならないと思う。
「らんぼぉ」
「知るか」
そんな弓でヘリを落とすような知り合いは居ません。まっとうな人生をいきてますから。
邪魔だといいたげに掛かっている布団を退かそうとするもぞもぞ動いている謎の物体。うざったくて引き剥がした。
「……あ、か、かわいい?」
ベッドに横たわりながら、どこで覚えたのかよく分からない悩殺ポーズ?を取っている。どこでそんなの覚えたのかな、お嬢さん。しかも、なぜか水着。
ちょっと背伸びしたビキニ。恥ずかしいなら、着るな、やるな。そのほっぺたの赤みはなんですか。
「イトコが大事に隠してた本から抜粋」
ブイと人差し指と中指をたてて、ポーズ。いやいや、俺のコレクションをいつの間に発見したんだよ、隠し場所変えないといけないじゃないか。
あの脳内ピンク色の年増な叔母さまに見つかったら、俺の青春ポイントが……。いや、エリオでも十分よくないけど。
「とりあえず、お前はなんでそんな格好をしてるんだ」
「お母さんに買ってもらった、から?」
「ここで着る必要があるか?」
「イトコに見せてあげるといいって」
なるほど、女々さんの差し金か。しかし、年頃の娘になんてことをさせてるんだ。いいのか、それで。ちょっと間違ってる気がする。
にしてもコイツ肌白いなぁ。髪の色とも合うし、見てるとなんていうかちょっと――いかん、だめだ!何を考えようとしてるんだ!目の前に居るのはスマキン、人間じゃない!
「イトコ?」
首を傾げて覗き込んできた。なんだろこの距離、近い。10代女子の、エリオの匂い……。じゃなくて。
「いいから服を着なさい」
肩を掴んで引き離して、目をそらした。見るな、見るな、これはスマキンスマキン。
「イトコ、これ嫌い?」
嫌いとか、嫌いじゃないとかそういう問題じゃないと思う。ねーねーとか言いながら頬をつまむな、引っ張るな。俺の顔は、お前のおもちゃじゃないぞ。
「あー、あー、エリオさんや」
「なぁに、イトコ」
「だから服を着なさいと」
「イトコがちゃんと誉めてくれるまでヤダ」
0207名無しさん@ピンキー2010/08/22(日) 02:38:02ID:foeLkSOw
なにをいってるんだ、このガキャー。人が下手に出てれば調子に乗りおって!
ええいもう、こうなったら、布団でもなんでもかぶってやがれってんだ。
「そら、これでもかぶってろ!」
「ん〜、む〜」
バタバタと暴れるエリオを必死に抑える。いつも以上に暴れて、ちょっと難しい。
それでもなんとか抑えつけて疲れるのを待つ。体力なら負けはしないぞ、ひきこもり妖怪。
ようやく動きが無くなってひと息ついた。もぞもぞとまだ少し動いてるけれど、気にしない。
「ちゃんと服を着るなら出してやる」
む〜とか聞こえたような気がしたので離した。全く、こんなのと二人で何やってるんだろ。真夏のバカンス、一夏の恋……青春ポイント、足りないなぁ。
「イトコの意地悪……」
布団から這い出てきた第一声がそれですか。別に俺はなんもしてないって。
「あ、」
「ん、どうした?」
見るとエリオの肩ひもが外れてて、胸の部分がずれてて、えっとなんていうか、男子高校生には刺激が強すぎるピン――。
「ひゃあっ!」
と小さな悲鳴をあげて、エリオが背中をサっとこちらに向けた。いつもみたいなおっとりした動きじゃなく、なんか素早い。
えっと、今のはなんていうか俺のせいじゃないよな……?ていうか見てない。うん、そうだ。俺は何も見なかった。何も起きなかった!
「い、イトコ。見た?」
「み、見てない」
「うそ」
「見てないって」
頬をふくらませて、さくらんぼみたいに真っ赤にさせて……。
そんな顔で、こっちを見るな。泣きそうな顔をするな。俺のせいじゃない!不可抗力だ。
「見た……」
「だから、それは――」
「イトコの……えっち」
だああああ、俺のせいじゃないのに!こんなことばっかり。また、俺の青春ポイント減っていく気がする……。


うん。難しいな、これ
0208名無しさん@ピンキー2010/08/23(月) 01:44:23ID:yPBXkxdB
今回の青春ポイント

エリオの水着姿を見た       +4
エリオの[18禁]を見た       +5
エリオに秘蔵本を見つけられた .-4
0209名無しさん@ピンキー2010/08/26(木) 19:39:22ID:X2AE8mEL
>>208
GJ!
次はエロ有りで期待してます!
0212名無しさん@ピンキー2010/09/04(土) 12:33:51ID:iLdKRrr5
前川さんとセクロスさたら前川さん気絶すんじゃね?(貧血的な意味で)
0213名無しさん@ピンキー2010/09/04(土) 12:56:01ID:6x+atlKJ
素っ裸のまんま気絶した前川さんが目を覚ますと
自分の胸の中で寝息を立ててるまこっちゃんがいるわけだな
0214名無しさん@ピンキー2010/09/06(月) 02:23:43ID:81bkuMpt



『今日部活終ったら一緒に帰らない?』

 掲げた手帳に指差す方向には、7つの正の字とT1つがストックされていた。

「伏見と僕の家だと途中までになるけど……………大丈夫か?」

 自身の目の前に掲げた手帳のせいで表情は汲み取れないが、手帳の脇からのぞく顔色はりんごも真っ青な赤さだな。

 ちなみに今日の部活は休日出勤の清掃活動である。
 正確には美化委員の補佐、基、お手伝いである。
 涙が出るような献身的精神の美化委員部長のおかげでヒラ部員の怨嗟の声を残し、貴重な休日はおじゃんである。
 僕と伏見は軍手とゴミ袋、制服の装備で学校周辺に2人で繰り出していた。

『もちろん』「だだ!」

 しゃかしゃかとストックが手際よく消されていく。
 前々から思っていたがよくあれだけ大量の文言の位置を把握できてるな。

『それで』『お腹』『減ってる』「ばでな゛」

 …やはり駄目そうだ。

「あぁ…今日は家に誰もいないだろうから売店で何か買ってからお持ち帰りしようと思ってる」

『おごるから食べにいかない?』

 目当てのページを一回で口元で広げて僕に見せつけた。
 …今度は八つの正の字。
 気前がいいのか、おごり癖なのか、うちの経済状況を差し置いて伏見家はバブルで景気が上向いているのか。

「だけどこっちの手伝いまでしてもらったのに、さらにおごってもらうなんて図々しいだろ」

『大丈夫』『部活』「で…部費部費部費が」『出た』『ついで』『だから』「おごる」

 豚の横領宣言か伏見。
 僕は目の前の横領行為に走りそうな部長を更正させる事を決意した。嘘なんだけど。

「それじゃあ、お言葉に甘えてご一緒させてもらおうかな。部活動の一環にすれば大丈夫だろ」

 これが俗に言う口裏合わせか。この歳で自ら体験するとは思わなかった。

『一旦』『学校』「に゛」『戻ろう』

 …それにしても伏見の顔色バラメーターが限界を突破して危険水域まで達している。
 何をそんなにキョドってるのか。
 その存在意義を比較的発揮されていないゴミ袋を片手にカクカクと歩き始めた。

 ………手と足が一緒に出てる奴なんて初めて見た。
0215名無しさん@ピンキー2010/09/06(月) 02:26:34ID:81bkuMpt

 そんな訳でここ駅前の広場までやってきたのだ
 
 ちなみに役目を終えたゴミ袋を学校に戻しに行った後、何処で食物を摂取するのか全く考えてなかった僕の足取りは何処に向かえばいいのか分からず、校門を一歩出て停止してしまった。
 何処に目的地をセットするのか聞いたらここになった訳だ。
 チェーン店のそこそこ有名な豚カツ屋が新しく新装開店したらしい。

「さっきの豚はこれの伏線だとは気づかなかった」
「?」

 首をかしげてちぢこむ伏見を見てふと思ったが、伏見を動物にするとリスだな。とりあえず小動物系しか思いつかない。
 考えてみると女性と2人で食事に出かけるというのは某喫茶店以来である。
 伏見のオススメ店がうどん屋だったら軽くトラウマで喉を掻き毟ってる所だ。嘘だけど。…一部。

 目当ての店は駅から一分、小さい貸しテナントの一階にあった。
 和を基準とした店内は休日で比較的人は入っているが、田舎だけあって空いている席もある。
 禁煙の2人座席に案内してもらった。

 出された水を飲みながら正面に座る伏見をメニュー越しに見ると、かなりの末期症状に陥っている。
 目が合うと動揺するというより、瞬間一人イス跳ね飛び…と言う方が正しいのか…。
 ここまでくると何故か僕に罪悪感すら宿る。
 いやなら何故誘ったんだ部長。…あとメニュー逆さ。

 しばらくして店員が注文を取りにくると僕はメニュー最前列、当店オススメとデカデカ評している豚のヒレカツ定食。
 伏見は10%ボリューム増量の親子丼を、逆さの写真を指差しで店員に伝えた。
 意外に豪快だな。

 出された水を中の氷が溶けるぐらいの速度で飲みながら、目の前の挙動不審少女を観察するとイスから落ちた。
 ………僕が?いいえ彼女です。

 周りの人々の視線がこの座席に突き刺さると、同時に騒音が静む。
 今、目の前で起きた出来事にたっぷり呆然と呆けた。

 いつまでも帰還しない部長に慌てて、テーブルの下を覗き込むとそこには床にへばりついた団子虫がいた。

「………再起動までは?」

 もぞもぞと表情の見えない団子が動くと、開いた手帳とシャーペンを丸ごと僕に渡す。
 数字ページの30が○で囲ってある
 確認した瞬間にテーブルがズコンと揺れると、頭を抑えて伏見は店を走り出て行ってしまった…。
 30秒穴、30分本命、30時間単穴って所か…?

 頼りないシャーペンの消しゴムでゴシゴシ正の字を一本消していたら、怪訝顔な店員さんが注文品を届けに来た。

「あの…親子丼はまだ要ります?」

 とりあえず本命に賭けてみた。
0220名無しさん@ピンキー2010/09/10(金) 23:22:10ID:VH50Bh+4
ゆずゆずは豚じゃなくて牛
0221名無しさん@ピンキー2010/09/11(土) 00:35:02ID:ZZXBfH0e
豚鼻付けてと豚耳付けて
「ぶひ」
とか言ってるゆずゆずを想像したら豚でもいいやと思う
0222名無しさん@ピンキー2010/09/12(日) 23:23:06ID:MQ9KmVfI
「暑いわねぇマコ君」
「そう思うならくっ付かないで下さい。熱中症になったらどうするんですか」
「え? ねえ、チュウしよう?マコ君たら大胆ね!」
「言ってない!」

「……はふひ(暑い)」
「そう思うならふとんから出ろ。熱中症になるぞ」
「へえふうふほう?(ねえチュウしよう?)」
「親子だな〜」

「暑いね丹羽君!」
「そうだねリューシさん」
「リュウコやっちゅーに!こんな暑いと熱中症になりそうだね」
「熱中症ってゆっくり言ってみて」
「ねえ!チュウしよう!」
「ストレートに言われた」

「転校生。ねえチュウしよう」
「はい?」
「には気を付けないといけないね〜」
「前川さんは特にね」

熱中症ネタ。なんとなく書きたかった。
0224名無しさん@ピンキー2010/09/26(日) 14:18:41ID:QX8xDCx4
新参です。こんにちは
0225芥川賞作家・川上未映子は盗作犯!?2010/10/19(火) 15:14:37ID:ahEA3sxX
・小説『第七官界彷徨』の粗筋紹介部分をこの映画評から盗用した川上未映子の盗作コラム
(初出:「月刊Songs」2003年10月号)
http://www.mieko.jp/blog/2005/03/post.html

・ 映画『第七官界彷徨』の内容を、紹介した新聞記事
(初出:2001年5月13日付「日本海新聞」)
http://www.osaki-midori.gr.jp/_borders2/EIGA/3-EIGA/3-EIGA/HYORON.htm


十行程度の粗筋紹介箇所で、川上未映子が元の新聞記事から盗用したフレーズは、
「詩人を夢見る」「共同生活」「従兄弟たち」「感覚少女」
「コケを(実験)栽培したり、コミック・ オペラを作曲したり」
「論争」「「恋愛」に成功するのは(栽培された)コケだけ」
「人間は(すべて)片思い や失恋ばかり」
の8箇所。全く同一だ。しかも全て小説『第七官界彷徨』には無いフレーズだ。

そして両者ともに、原作小説からの引用は1つだけで、同じ所で、切り方も同じ。
「私はひとつ、人間の第七官にひびくやうな詩を書いてやりませう」だ。

そして、元記事はあくまで映画版「第七官界彷徨」で映画用に改変された粗筋の
紹介だから、原作小説とは異なる箇所が多い。「従兄弟たち」は原作では「二人の兄と一人の従兄弟」であり、
「コミック・ オペラを作曲」は 原作では「コミック・ オペラを歌う」だ。
川上は原作小説の紹介をしているのに、なぜ映画版のことを書いているのか。
もちろんこの映画紹介記事から盗用したからだ。

そして、記事からの引用符も無ければ、参照したという断り書きもない。

川上未映子は「わたしは、小説「第七官界彷徨」が手放しで大好きなのです」とコラムで述べているが、
これは明らかに嘘だ。読んでいれば、小説「第七官界彷徨」の紹介を映画評の新聞記事からの盗用で
埋め尽くすことなどありえない。非常に悪質な盗用だとしか言う他ない。
0229名無しさん@ピンキー2010/10/31(日) 08:30:51ID:rxq912ui
>>227
言い出しっぺの法則
0230名無しさん@ピンキー2010/11/01(月) 18:27:52ID:l4ZJaLYs
リューシさんで抜きたいのにエロ書き手さんがいない…
これはどうしたものか
0233芥川賞作家川上未映子の嘘2010/11/14(日) 11:10:09ID:qI1w7r1U
■川上未映子「おさきみどり、どう書くの?」 @ ウィキ(一連の盗用疑惑、騒動まとめ)
http://www16.atwiki.jp/osakimieko/

■現行スレッド
【おさきみどり】川上未映子43【どう書くの?】
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/book/1289656116/

・ 映画『第七官界彷徨』の内容を、紹介した新聞記事
(初出:2001年5月13日付「日本海新聞」)
http://www.osaki-midori.gr.jp/_borders2/EIGA/3-EIGA/3-EIGA/HYORON.htm

・小説『第七官界彷徨』の粗筋紹介部分をこの映画評から盗用した川上未映子の盗作コラム
(初出:「月刊Songs」2003年10月号)
http://www.mieko.jp/blog/2005/03/post.html

十行程度の粗筋紹介箇所で、川上未映子が元の新聞記事から盗用したフレーズは、「詩人を夢見る」「共同生活」「従兄弟たち」「感覚少女」
「コケを(実験)栽培したり、コミック・ オペラを作曲したり」「論争」「「恋愛」に成功するのは(栽培された)コケだけ」
「人間は(すべて)片思い や失恋ばかり」の8箇所。全く同一だ。しかも全て小説『第七官界彷徨』には無いフレーズだ。

そして両者ともに、原作小説からの引用は1つだけで、同じ所で、切り方も同じ。「私はひとつ、人間の第七官にひびくやうな詩を書いてやりませう」だ。

そして、元記事はあくまで映画版「第七官界彷徨」で映画用に改変された粗筋の紹介だから、原作小説とは異なる箇所が多い。「従兄弟たち」は原作では「二人の兄と一人の従兄弟」であり、「コミック・ オペラを作曲」は 原作では「コミック・ オペラを歌う」だ。
川上は原作小説の紹介をしているのに、なぜ映画版のことを書いているのか。
もちろんこの映画紹介記事から盗用したからだ。

そして、記事からの引用符も無ければ、参照したという断り書きもない。

川上未映子は「わたしは、小説「第七官界彷徨」が手放しで大好きなのです」とコラムで述べているが、これは明らかに嘘だ。
読んでいれば、小説「第七官界彷徨」の紹介を映画評の新聞記事からの盗用で埋め尽くすことなどありえない。非常に悪質な盗用だとしか言う他ない。
0235名無しさん@ピンキー2010/11/17(水) 10:32:49ID:1oLiDJay
エリオの初潮がまだだったら
0238名無しさん@ピンキー2010/12/13(月) 00:29:09ID:OUkUREaC
職人モトム
0239名無しさん@ピンキー2010/12/14(火) 18:13:58ID:qvAOM47l
嘘だけど
0240名無しさん@ピンキー2010/12/16(木) 02:35:36ID:UGUHWUux
みーまーの10巻っていつ発売?
0241名無しさん@ピンキー2010/12/16(木) 22:28:11ID:829BsK1+
3巻で妹が消えた後、怖くて続きが読めない・・・

妹死んでないよね・・・
0242名無しさん@ピンキー2010/12/18(土) 15:07:19ID:qdhFxgS+
前川たんハァハァ
0244名無しさん@ピンキー2010/12/18(土) 23:11:15ID:FYtLpnwX
たしかに、読んでからにして欲しい。
0245名無しさん@ピンキー2010/12/22(水) 20:22:15ID:JnB6UrsU
ほす
0246名無しさん@ピンキー2010/12/22(水) 22:05:14ID:3TNe7juz
保守
0247名無しさん@ピンキー2010/12/23(木) 19:20:30ID:lyU3x3me
h
0248名無しさん@ピンキー2010/12/23(木) 19:26:20ID:lyU3x3me
h
0249名無しさん@ピンキー2010/12/26(日) 15:40:50ID:KpfNHIV+
過疎スレじゃん
0250名無しさん@ピンキー2010/12/27(月) 01:02:08ID:dNM6J+bA
しょくにんさーーーーーーーーーーん!
0251名無しさん@ピンキー2010/12/28(火) 17:47:04ID:OVzaFM1j
ダレカキテー
0253名無しさん@ピンキー2011/01/03(月) 00:57:04ID:5mEPDNtC
あけましておめでとーございます。

朝起きたらまーちゃんの頭の上で、ふわふわした白い兎の耳らしき物が揺れていた。
「むふふ、みーくん起きたー」

妄想だけど。
0254名無しさん@ピンキー2011/01/03(月) 22:39:12ID:6eBmM1p7
テスト
0255名無しさん@ピンキー2011/01/04(火) 01:37:47ID:i3wI0mXY
みーまー10巻の犯人予想しようぜ
0256名無しさん@ピンキー2011/01/04(火) 11:55:50ID:/IxtvxT2
稲沢
0258名無しさん@ピンキー2011/01/05(水) 18:48:00ID:OGJDAy5p
あいの父親って先生だっけ?
0259名無しさん@ピンキー2011/01/07(金) 20:26:24ID:D+TO53vH
もう読んだぜ10巻
0260名無しさん@ピンキー2011/01/07(金) 22:06:48ID:SroGlKrN
犯人はみーくんだ。
0261名無しさん@ピンキー2011/01/08(土) 02:02:45ID:6ScSwysI
もうちょい続いてほしかったなあ
0262名無しさん@ピンキー2011/01/09(日) 15:39:33ID:qyXC3+8p
センターまで1週間切ったッスね
こんなことしてていいのかな…


みたいな事後
0263名無しさん@ピンキー2011/01/09(日) 17:23:32ID:6PiXKrlC
ED No4のある日の丹羽君の部屋

「前川さん」
「なんだい」
「今度は何のコスプレ?」
「見てわからないかい?うさぎだよ。」
「卯年だから?」
「卯年だから」
「じゃあさ前川さんウサギのきぐるみじゃなくてバニースーツっていうのはどうかな!」
「………」
「………」
「……みたいのかい?」
「ぜひ!」
「はぁ……真くんはつきあい初めてから変態になりすぎだよ……」
「師匠がいいからね」
「あのカップルとは一度きちんと話し合わないといけない気がするよ……」
「まあそんなことはおいといて、バニースーツ前たんに変身を要求する!」
「いやバニースーツなんか持ってないし!」
「俺がもってる!」
「なんで!」
「あのカップルからかりた!さあドレスチェンジ!」「え、いや本気かい」
「俺はいつだって本気ですよ!」
「まったく……しかたないなわかった、きがえるよ」
「いぃぃやっふーーーーー」
「で、そのバニースーツはどこにあるんだい」
「ベッドの下」
「これか……これ私には少し小さくないかい?」「前たんはわかってないなぁそれがいいんじゃないか!」
「君とあのカップルをこれ以上つきあわせると危険だね…。まあいいや
0264名無しさん@ピンキー2011/01/09(日) 17:45:36ID:6PiXKrlC
じゃあでていってくれるかい」
「え?なんで」
「なんでって…着替えるから…」
「俺なんて気にしなくていいよ、さあ早くドレスチェンジ!」
「いや気にするにきまってるじゃないか!」
「こないだ全部みせあったなかじゃないか、なにを今更!」
「う……いやそれとこれとは話が違うんじゃないかな…」
「違わないさ!」
「うう…」
ジーーー
(うう…どうしよう本気の目だ)
ジーーーー
(し…しかたない着替えるか)
ジーーーー
ヌギヌギ
ジーーー
(うう……変態になりすぎだよ…しかしこれどうやって着るんだろうか)
ジーーーー
(下はこうだとして……もしかしてこれブラジャーはずさないといけないんじゃないのか…)
ジーーーー
(み…見られてる)
0265名無しさん@ピンキー2011/01/09(日) 18:38:32ID:6PiXKrlC
終わり
0268名無しさん@ピンキー2011/01/10(月) 23:03:59ID:6lwixk1S
続きを早く
02692632011/01/11(火) 02:43:17ID:9eJOwqwL
いや即興でかいたんだけど前川さんのキャラが違う気がして終わりにした
0272名無しさん@ピンキー2011/01/12(水) 10:07:44ID:H60U+QmS
長瀬がいないなんて認めないぞ!
0273名無しさん@ピンキー2011/01/14(金) 00:48:22ID:RmqDSs8I
俺も赤池がいないなんて認めない
0275名無しさん@ピンキー2011/01/16(日) 03:00:34ID:Xg/YiuW3
入間は新刊いつ出すんだろうか?
0276名無しさん@ピンキー2011/01/25(火) 01:06:34ID:ebWfed3f
誰か書いてー
0278名無しさん@ピンキー2011/02/03(木) 08:02:33ID:swXgaauc
保守
0279名無しさん@ピンキー2011/02/06(日) 23:00:57ID:aZfrZdIc
保守
0280名無しさん@ピンキー2011/02/06(日) 23:05:10ID:aZfrZdIc
保守
0281名無しさん@ピンキー2011/02/08(火) 01:35:00ID:A6aPUqUl
ヤマナ3姉弟で誰が一番好き?
0284名無しさん@ピンキー2011/02/10(木) 17:16:39ID:5d1HCXzc
てゆうか弟ってでてきたっけ?
0285名無しさん@ピンキー2011/02/10(木) 19:36:34ID:67LZkaJa
エロパロで保守の文字を目にするのは
かなり久しぶりだ
新刊も出たことだし職人さんこないかなー
0286名無しさん@ピンキー2011/02/11(金) 22:42:16ID:tE1n7PQS
漫画のほうも買おうか悩んでんだけど
このスレの住人的にはどうなんよ?
0293名無しさん@ピンキー2011/02/13(日) 02:31:06ID:31flPd2V
いやまて、湯女はエロいぞ。
0295名無しさん@ピンキー2011/02/13(日) 18:12:08ID:JfPvnS1B
>>284
iのヤマナ(姉?)さんの病院での発言では
弟(の音)が原因で入院したってあった
ただ8&10のヤマナさん(妹)のとこには姉さんの記述のみで、弟には触れられてない
これであってる?

ヤマナ(姉)さん、妹のことを弟って言ってるのか?
って読んだときは思ったけど…(茜のように)

>>294
絶対に噛み千切って食うから…
想像したらヒュンとなっちゃう
0296名無しさん@ピンキー2011/02/13(日) 23:30:56ID:FmG/rr+n
>>295
今のところそれで合ってる


話し違うけど二人のみーくんは女子の好みは一緒でも
行為の好みが全く違いそうだよな

菅原はフェラ等、してもらうのが好きそうだし何か調子こいてイラマチオしそう
××はそういうのは遠慮気味というか恥じそうだし、マユの体にすごく気を使いそう

自分は主に後者が見たいわけなのだが書こうとすると照れが文に出てしまって駄目だ
02972962011/02/13(日) 23:34:20ID:FmG/rr+n
あ、ごめん間違えた
>>295
それで合ってない
弟は出てきてないけど触れられてはいる
0298名無しさん@ピンキー2011/02/14(月) 04:24:32ID:lVRsYrLv
>>294
にもうと『を』あにーちゃん『が』ペロペロ『させられる』SSではなくて?
0300名無しさん@ピンキー2011/02/17(木) 02:05:08ID:Qf+rNV0w
みーまーに出てた仙人って誰?
0304名無しさん@ピンキー2011/03/04(金) 23:46:38.14ID:zGDfk2NC
ぼくのにもうとがこんなにかわいいわけがない


























嘘だけど
0305名無しさん@ピンキー2011/03/05(土) 02:40:29.82ID:EFzsM18e
罪悪感を抱えたまま壊れたいつきと、
妹のためだけに生きたいけど、結局いつきも捨てられないこーたがメインの第二部はまだか?
0307名無しさん@ピンキー2011/03/13(日) 18:09:33.78ID:Y8M6jCVM
地震に怯えるゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ


にもたんは地震を察知して事前に逃げてそう
0309名無しさん@ピンキー2011/03/14(月) 23:36:31.80ID:ZxLj5Dok
みーくんとまーちゃんは絶対死ぬような場所にいても普通に生き残って平然としてるな
0310名無しさん@ピンキー2011/03/14(月) 23:52:06.30ID:At4ju0zA
ジェイコム奈月は普通に生き残って救助に回りそうだが
ニー日先生は微妙な気がする
0311名無しさん@ピンキー2011/03/16(水) 00:55:16.92ID:7W2ER9Sg
こんな時にだけ平常より書き込みが多いのが実にこのスレらしい
0318名無しさん@ピンキー2011/03/28(月) 20:21:11.22ID:NcO+64ii
エリオに責められるにわちが見たいです
0322名無しさん@ピンキー2011/04/05(火) 00:29:56.23ID:YxHZAuOY
犬の串焼きとか猫のショウガ焼きとかが酒のつまみにでそうだな
0328名無しさん@ピンキー2011/04/10(日) 00:10:20.38ID:SbKL52t0
入間総合スレが立ってそっちが活発になってくれるならそれでも……
0329名無しさん@ピンキー2011/04/11(月) 18:36:35.85ID:+iFWy59M
にもたん 裏山花見 with あにーちゃん

「そっちが先週のやつ」
「あっちが昨日のやつ」
「そこが働きありが○チガイとほってたとこ」
「あにーちゃんの場所、もう用意してあるから」

――だから、最後に食べさせて
0332名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 02:09:02.21ID:tGNqyUJl
 大変なものを見つけてしまった。

 わたしはシーツの上に広げられたそれに意識を奪われる。

 平日の昼下がり。イトコは学校に行ってて、まだあと二時間くらい帰ってこない。
 お母さんもイトコと一緒に家を出て仕事に行ってて、いつ帰ってくるかわからない。
 そして当のわたしは、珍しく田村商店の仕事の休みをもらって朝から家にいる。つまり我が家には今、わたししかいない。

 「……ごくり」
 唾を呑み込み、もう一度それを凝視する。ページをめくる。
 その本の誌面には、でかでかと写真が載っていた。それこそ、ページを埋め尽くす勢いで。
 本来のあり方としてはメインを張るべき活字の群れが、
 脇に押しやられ、あるいは写真の上で、
 被写体を邪魔しないように、申し訳程度に躍っているばかり。
0333名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 20:32:25.09ID:tGNqyUJl
 その写真というのは、いわゆる人物写真とゆーやつだ。ただその配色はすごく偏っている。肌色に。
 被写体はわたしより、たぶんいくつか年上の女の人だ。
 髪の毛を複雑な形に盛って(ちょっと憧れる)、お化粧の利いた目元をカメラに向けている。
 胸元にキラキラした首飾りをつけていて、その下のおっぱい(大きい)はほとんど布面積のない赤色の水着で、
 
 べつに覆われてはいなくて、ずらされて乳首が見えている。

 わたしの目線はさらに下降し、当然のように剥き出しの
 おへそを通り越してその下の脚の間はやっぱり当然の
 ように赤色の水着に覆われて
  いなくて、
  ずらされて、
   脚が開かれて、
     その、そこが、
0334名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 20:44:52.61ID:tGNqyUJl
 「ぉ、お母さ…」
 呼びかけて、お母さんが仕事に行っていることを思い出す。
 お母さんを呼んでどうするつもりなのだろうわたしは。もし呼んだとして、本当に来たら、
 なんかイトコがお母さんにすごくからかわれそうで
 わたしは別に困らないけどなんか共有した秘密を暴
 露したみたいで座りが悪いし、けど別にイトコと秘
 密を共有したわけでもないし、でもいまイトコの秘
 密を見てしまったわけだし、でもイトコがゴニョゴ
 ニョだし、そもそも何が問題なのか、問題と呼べる
 ことが起こっているのかすらわからないし、それを
 見極めるために、目の前の現実を今一度直視しよう
 と「う、うー」
 
 …女の人のすごい格好。ほっぺの血管が破裂しそうなので本を閉じた。
0335名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 20:47:16.98ID:tGNqyUJl
 今度は表紙の女の人がすごい格好をしている。

 たまらずひっくり返す。
 裏表紙はあぶないウェブサイトの広告だった。
 絵的な華やかさ(語弊あり)はなりを潜めたものの、今度はやらしい活字が大活躍。
 活字は活躍するから活字というのだ。う、嘘だけど、でいいのかな?

 ともかく目前の『アソコ』とか『イキまくり』とかいう文字列は見なかったことにして、やっと人心地つく。

 長々と思考が迷走したけど、つまるところこれはエッチな本だ。エロ本、春画、有害図書ともいう。
 ちなみにここはイトコの部屋で、この本はベッドと壁の隙間に挟まっていた。
 わたしのものでは断じてない。イトコのだ。
0336名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 20:51:27.80ID:tGNqyUJl
 イトコもオトコだなぁ、と何も知らない普段のわたしなら適当にそう思って、それ以上気に留めることはなかったろうけど、
 現物を前にするとなると話は別だ。
 空想、あるいは理想の中では容易に発声できたらっしゃーせーを、本当に言えるようになるのにあれほどの練習が必要だったように。
 実際に慣れない事態に直面すると、身体と頭の中がこわばって、うまく対処できなくなってしまう。
 だから逆に考えればこんな事態も、経験を積めば冷静に対処することができるようになるはずだ。
 今後は不断の努力をもってして経験を「つ、積まないし」
0337名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 20:55:03.32ID:tGNqyUJl
 ……またまた迷走。普段はチンチャクレーセーなわたしらしくもない。
 この慣れない状況のせいかも。ならば今後はこの経験を生かして……ってそれはもういい。
 それよりこの本だ。
 イトコも健全なダンシコーコーセー?ならこんな本の一冊や二冊持っていてもおかしくはないのだろう。
 だから大らかに受け入れてあげればいいのだ。ふふ、わたし、おねーさん。

 受け入れるためにはまずその対象を知らなければならない。
 だからまずはこの本の内容を知るために表紙を
 めくって「ぉ、お母さ…」
0338名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 21:00:06.88ID:tGNqyUJl
 …違った。お母さんは仕事でいないし、
 お母さんを呼んでどうするつもりなのだろうわたしは。
 なんかイトコが困りそうだし、わたしは別に困らないけどなんか共有した秘密を以下略。

 困った。どうにもうまくいかない。イトコの所有するこの本を見た途端に冷静さを失ってしまう。
 イトコもオトコだなぁ、と何も知らない普段のわたしなら適当にそう思って以下略なんだけど。うー。

0339名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 21:11:41.60ID:tGNqyUJl
 ……そうだ、普段のわたしを思い出せばいいかも。
 チンチャクレーセーなわたしのことだから、普段どおりに振る舞っていれば。これならうまくいくかも。

 「こんな本持ってるなんて、イトコもオトコだなぁ」さっそく実践。
 おねーさんぶって、普段は口に出さないだろう台詞もあえて付け足して、落ち着いて。
 本を手に取り、ページをめくって「オトコだなー」しみじみと。
 さらにパラパラめくって「こーゆーのす、好きなんてー」レーセーに。
 最後までめくって「い、イトコこーゆーの好きなんだ…」
0340名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 21:14:13.32ID:tGNqyUJl
 ……む、何かがおかしい気がする。
 けれどおおむね普段どおりのわたしを演じきれたはずだ、きっとそうだ。わたし、めいじょゆー。

 そうとなればあとはイトコの帰りを待つばかりだ。
 ベッドと壁の隙間に本を戻し、イトコが帰ってきたときにすまして出迎えよう。
 イトコはなにも気づかないで、そんなイトコを、わたしは暖かく見守ってあげよう。それで今日のわたしは満点だ。

 わたしは本を戻して、いそいそと自室に戻り、布団を体に巻きつける。


 今日は、なんだか布団の中が暑い日だ。
0341名無しさん@ピンキー2011/04/19(火) 21:25:54.46ID:tGNqyUJl
物ひつ転ほう完了
かなり細切れになってしまった、失礼

0345名無しさん@ピンキー2011/04/25(月) 16:52:05.48ID:XZyxL5gB
これは、そう。4月の何日かにあったかも知れない話だ。
嘘だけど。いや、嘘じゃないと困る。僕がと言うより、主にゆずゆずが。




まず、事の発端は構造さんが菜種さんに殺された事にある。
それにより、予想外の行動をしそうな人物はいなくなった訳だ。
菜種さんは食料が尽きるまでは動かないだろうし、まして順番的に僕らは最後だ。
湯女は僕と同じで脱出経路に気付いているから、殺害に及ぶ理由がない。
ああ、茜の行動は読めないか。もっとも湯女と行動を共にしているだろうから、その点は伏見と同じで心配はしていない。
さて、そうすると問題が生じる。そう、菜種さんの食料が尽きるのと僕らの体格が規定値以下に下がるのがどちらが速いのかということだ。
湯女達の方が速く逃げそうだし。主に一部分の大きさの差で。
生はともかくまーちゃんには執着のある僕としては、何としても間に合わせたい訳だ。
そうすると、エネルギーをどこかに破棄する必要に見まわれるのだ。そして、ランニングはおろか腕立てさえ出来ない僕が選べるエネルギーの破棄先なんて限られていた訳だ。
それを伏見に伝えたら茹で蛸みたいになった。ぬるぬるしてた。嘘だけど。そもそも触れられないし。
ベットの上で仰向けになった僕の一部を伏見が銜える。伏見ににもうと同じ趣味があったのかと驚愕する。もちろん、嘘だけど。
それと同時に伏見の性別が確認出来る部分に手がかかり、刺激を与える。誰の手か説明がいるなら、病院かニー日先生のお世話が必要だろう。
まあ、生理的な反応としてその分野に障害のない僕の息子は主張し始める。
順調に無駄なエネルギーを利用する準備が完了すると、伏見が口を離す。ふと、伏見の女の子の部分を見ると花粉症と紛う濡れ具合だった。二つの液体が大きく違うのは気にしない。
僕の上に伏見が乗ってくる。入院を勧められかねない軽さのはずだが、それなりに重く感じる。多分、僕の積載量の限界が低下しているのだ。これは嘘ではない。
0346名無しさん@ピンキー2011/04/25(月) 16:55:11.77ID:XZyxL5gB
初回こそ、余りの痛さに叫び声を上げかけた伏見がそのまま固まったり、その前段階の準備を恥ずかしがったりした。
それから、シーツに二人分のDNAのカクテルをぶちまけて恥ずかしさのあまり僕が卒倒したりと青い春らしい展開があった。あ、一つ嘘。
まあ、流石に何回もしていれば慣れてくるもので、相変わらず恥ずかしがるが伏見も一々止まったりしない。
叩き付けるような音が二人の結合部分から聞こえる。ついでに湿った音もだ。
こんな時でも伏見は声を出したくはないようで、服の端を咬みながら腰を上下させる。
決して速いとは言えないペースなのは栄養状態的に致し方ないだろう。
だけど、その拙い動きでもそこそこ快楽は得られる程度には僕に余裕があるらしい。
本来なら伏見を急かしつつ、数少ない脂肪の保管場所の天辺を摘む位はしたいが、腕がストライキを起こしているせいで不可能だ。
ちなみに前回、使える口をフル活用して嘘を交えつつ言葉攻めをしたら伏見が恥ずかしがってシャワールームに引っ込んでしまい、切ない思いをしたから今回は自重する。
というわけで口ではなく腰を動かそう。伏見のペースだと日が暮れるか朝日が登るかしそうだし。ところで今は何時なのだろうか。
伏見の口から短く息が漏れる。そこからはは早い。濁った短い声が漏れる。伏見が物を食べない口で加えている僕のモノに高い圧力を与えてくる。
ああ、登ったのか。短距離走の後みたいに息を切らす伏見の為に腰を動かす。
もう止めてと目で語ってくるけど、止めない。癖になったら困るから。
だから、これは緊急事態に置けるカロリーの不法投棄だ。
信じて欲しいなまーちゃん。
0347名無しさん@ピンキー2011/04/25(月) 17:02:26.01ID:XZyxL5gB
投下終わります。
今さらみーまー? という突っ込みはご容赦願います。
0349名無しさん@ピンキー2011/04/26(火) 00:21:36.44ID:9cqtqCti
GJ!
×× ×って一体なんだ?って一瞬思ってしまった
0350名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 12:43:25.58ID:bU2f/wz/
夜、目が覚めた。

布団をはねのけ、知らず上がっていた息を整えることも叶わず、しばらく錯乱状態に近い混乱の中にいた。
身を起こした拍子に布団がずり落ち、おなかから脚の先にかけてしか掛かっていない。脚の上の布団を、わたしの両手が掴んでいる。
かたく握りしめて、動かない。硬直して動かせない。
まるで別人の手のように強張る両手を、うつろな気分で見下ろすわたし。
汗がおでこを伝って、顔の真ん中をすべる。前髪が張り付いている。
煩わしさを感じて、袖で拭おうと身じろぎして(指先はまだ布団を離せない)、上半身全体が汗でべっとりと湿っていることに、ようやく気付いた。
不快感がこみ上げるけど、動き出すことは出来ない。何もかも億劫で、いっそのこと止まってしまいたい。

夢を見ていた。
それがなんの夢なのかは覚えていない。目覚めた瞬間に忘れてしまった。
ただ、とてつもない恐怖と喪失感の中を漂う夢だった
それはわたしの過去だろうか。
たぶん違う。
失われた半年間に何があったのかなんて、まったく覚えていないし、思い出す兆候さえない。
わたしにとっては地続きに一年前と繋がっているだけで、半年の空白を実感できないのだ。
だからこの恐怖は純粋な、いまのわたしの恐怖だ。
半年間にあったことが分からないことへの、不安と喪失感に満ちた感情。

布団を巻かないで寝た。久しぶりに、そんな気分だったのだ。
そして久しぶりに、打ちのめされていた。
不安から逃げるための口実や幻想は、今はない。
0351名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 12:45:54.25ID:bU2f/wz/
…しまった、前置きなしで上げてしまったorzスマヌスマヌ

気を取り直して続き↓
0352名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 12:51:07.00ID:bU2f/wz/
昨日わたしは、幻想を打ち砕かれた。
お節介にかまってくる、わたしのイトコに。
わたしとイトコは昨日、自転車で海に出かけた。
そして海に臨む断崖の上から、自転車ごと飛んだのだ。
そう、飛んだ。
…一瞬だけ。
そのすぐ後、わたしたちは重力の支配を免れず。
わたしは墜落して。
イトコは腕の骨を折った。
わたしの半年前をなぞるように。
わたしの幻想は、結局現実にはならなかった。
砂場の砂のように、手の平からこぼれていって。
必死で造りあげた砂のお城も、残しておくことは出来なくて。
イトコの怪我は自業自得だ。
頼んでもないのに、一緒に飛んでくれて。
自分が怪我をしてまで、勝手にすべてを台無しにしてくれた。
…自分が怪我をしてまで。
だから自業自得。イトコが悪い。

でも、イトコは言ってくれた。
地球の永住ビザを発行してくれると。
苦しいなら、愚痴ぐらい聞いてくれると。
本気かは知らない。たとえ本当でも、途中で嫌気がさすかもしれないし、またいつものように、いい加減に聞き流すかもしれない。
だけど、それでも向き合ってくれるのだ。
誰も向き合わないなかで、ただ一人。
意地悪でおせっかいなイトコを認めるのは癪だ。
でも今、わたしは恐怖に押しつぶされそうになって。
それでもつぶされずにいられる。
イトコがいたから、だからわたしは、

…やめた。これ以上考えるとなんだかむずむずする。

身じろぎすると、冷え始めたパジャマの湿り気がべたべたとまとわりついてくる。
さすがに億劫さよりも不快感がまさってきたので、ベッドから抜け出して衣装棚を目指した。
0353名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 12:53:55.05ID:bU2f/wz/
パンツまでぐっしょりだった。
上半身に続いて、下もパジャマごと脱ぎ去って裸になった。
ひんやりとした空気が腿の内側をなぞって、思わず身震い。脱いだばかりのパジャマで汗を拭う。
最近はイトコがいるので、何となく着替えるときも扉の方を気にしていたけど、今日はイトコがいないので、扉は開けたままだ。
それでも心もち急いで、下着を取り出して棚の二段目を閉じた。
身につけてから、続いてゆったりしたワンピースを引っ張り出して着る。

すごく喉が渇いた。
これだけ寝汗をかけば当たり前だ。部屋には当然蛇口がないし、台所に行かないと水はない。
仕方ないので移動。
階段を下りると、台所の方から明かりがもれていた。
…まだ起きているのかな。
行こうか引き返そうか、少し悩む。だけど渇きは限界に近い。喉の奥が張り付き始めている。
光に向かって歩いて、台所に到着。そしてふらつく。暗闇から電気のついた部屋に移動するときは、いつも立ちくらみに近い症状を起こすのだ。

台所のテーブルに、女の人がひとり座って、何やら書類とにらめっこしていた。
活字が黒々と躍って、数字がびっしり書かれている。わたしには何が書いてあるか見えない。和菓子屋のやつかな。それか、イトコの入院の。
女の人がこっちを見た。足音で気づいていたのか、驚きはしない。
わたしの顔色を見るや無言で立ち上がり、流し台へ。
数秒の水音のあと、水の入ったコップを手に戻ってくる。
コップをわたしの目の前に置いてくれて、再び書類とにらめっこ。
表情は優しくないけど、冷たくもない。哀しい無表情。

隣に座って、コップに口をつける。息継ぎをする間もなく半分くらいを流し込んだ。
人心地ついて隣を見る。
彼女は、変わらず書類を見続けている。たぶん読んではいない。平気な顔をしながら、ずっと俯いている。
0354名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 12:58:26.82ID:bU2f/wz/
見てると呼吸が苦しくなる。
平気なわけないのに、この人はまるで何も苦しくないかのように、平然としているのだ。わたしはこんなに苦しいのに。
懐かしい感情が、封じ込めていた感情が、再び動き出している。
この人の顔を見るのが、ひどく久しぶりな気がした。

布団で顔を隠す生活の中でも、何だかんだで顔を合わせてしまうことは多かった。そのたびに煩わしく思った。
だって、宇宙人に地球人の親がいてはいけないから。
この人も察してくれたのか、わたしにあまり関わらなかった。
だからわたしは、ずっとひとりだった。
この人も、ずっとひとりだったろう。
家の中は静まり返って、二人分の息遣いと冷蔵庫の唸り声以外に音はない。外の車の音も、妙に遠く聞こえる。
0355名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 13:01:20.30ID:bU2f/wz/
「わたしの秘密を明かしておこうと思うの」

静かに、わたしは口を開く。女の人がこちらを見た。
「わたしは、」
ゆっくりと、宣言する。
「宇宙人じゃない」
彼女の瞳が、揺れたのがわかった。
つくられた無表情が、徐々に崩れていく。
「ほんとは、地球人」
ああ、間違っていなかったんだな、と思う。
この人も、わたしと同じだった。
「宇宙を、さまよっていたの」
いや、たぶんわたしよりずっと、寂しかったのだ。
わたしみたいに、世間との関わりを閉ざすことは出来なくて。
「降りてこられなかったの」
それなのに、わたしは彼女を拒絶していた。
どんなにわたしを好きだったか、わかっていたはずなのに。
「怖かった、から」
なんて強い人なんだろう。
「でも、もう大丈夫」
こんな寂しさを、隠していられたなんて。
「怖いけど、大丈夫だから」
今までずっと、気づかないふりをしていた。
「戻ってきた、から」
この人は、わたしの大切な人。
「戻って、きたよ」
誰よりも大切な、わたしの、
「おかあ、さん」
0356名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 13:04:48.56ID:bU2f/wz/
限界だった。
視界が、急速に滲んでいく。焦点が合わない。
喉が言うことをきかない。言葉を継ごうとして、言葉にならない。
身体を折って、俯きかけたとき。
わたしは抱きとめられた。
お母さんの腕だった。
近くに座っててよかった。
こうして、すぐに抱きしめてくれるから。
でも、たとえ遠くでも、きっと駆けつけてくれただろう。
この人は、やっぱりお母さんだ。

「おかあ、さん、」
痛いほどに抱きしめられて。
「ごめんなさい、」
わたしも抱きしめる。
「ごめん、なさい、今まで、こんな、わたし、ごめ」
ふわりと、わたしの頭を、お母さんの手が引き寄せた。お母さんの胸に抱かれる形になる。
息が出来ない。お母さん大きいなあ、とどうでもいいことを思った。
お母さんが、首をゆっくり横に振っているのが、髪の毛の動きで感じられる。
何か言おうとした、のかな。でも、言葉は聞こえてこない。
お母さんはそんなことを、何回か繰り返した。言葉を紡ごうとして、何も言わない。
いろんなことを言おうとしたんだと思う。謝ろうとしたのかもしれないし、謝らないでと言いたかったのかもしれない。
でも、結局そうは言わなくて。
代わりにこう言った。

「お帰りなさい、エリオ」
穏やかな声で、はっきりと。
「帰ってきてくれて、ありがとう」

ちょっと声が震ええいた。
お母さんも、泣いていたのかもしれない。

だからもう、何も言わない。言わなくてもいい。
滲んだ視界に時折、水色と藍色の髪が混ざって映って、なんだか嬉しくなる。
それは子どもの頃から見慣れている景色だから。
半年を経ても、失われずに残っていたから。
また、やり直せるのだ。


こうして、わたしは地球に戻ってきた。
遥かな宇宙から、この街の、この家に。
0357名無しさん@ピンキー2011/05/04(水) 13:13:27.30ID:bU2f/wz/
転ほうをひゅう了ふる。

アニメ版アイキャントフライ記念ということで、よければドゾ
0363名無しさん@ピンキー2011/05/13(金) 04:12:41.95ID:BdOSwm6e
電波女スレ立てていいかな?
ここ見てない人はこのスレに作品が投下されてるとは思わないだろうし
0364名無しさん@ピンキー2011/05/13(金) 04:52:10.18ID:kmErnMrf
確かにこのスレタイじゃわからないかな
同じ作者って知らなきゃこのスレ開くこともないんだろうし
0365名無しさん@ピンキー2011/05/13(金) 06:29:33.59ID:ZspBYkdU
次スレのときに作者名にしたら?
まだまだ先は長そうだが
0366名無しさん@ピンキー2011/05/13(金) 22:37:04.06ID:d8yXPYCG
電波アニメが終わる前にこのスレが埋まるくらい誰か頑張れば問題ないな
0367名無しさん@ピンキー2011/05/14(土) 05:16:16.96ID:682YPTYw
よし、書き手さんたちが書けるように電波を送ろう
ピピピ ピピピ ピピピ
0372名無しさん@ピンキー2011/05/18(水) 00:39:27.44ID:cm8HWqdd
エリオが変だ。


うん、いつも通りダネ☆
以上、丹羽真でした。



…冗談はさておき、エリオが変だ。
学校から帰宅すると、エリオが二階から降りてきた。もちろんすてててといういつものSE付きで。
こいつは普段からわりと、帰宅する家族の出迎えをするが、最近は冷え込んできたせいか、
出迎えずにスマキンに徹している(あるいはスマキンで出迎える)ことが多い。割合は3対5といったところか。珍しいなー。
と、そんなことを思いながらただいまを言おうとした時、

「ふふ、おかえりイ、トコ」
エリオの方から先手を打ってきた。
変なところを区切った、電子音めいた音声が、俺の耳朶を打つ。

首を傾けて、宇宙色の髪がエリオの頬と右目にかかる。そしてぎこちなく笑みをつくり、目を細めて。目線の先は、もちろん俺だ。
「…………」
絶句。
玄関の引き戸を閉じかけたまま後ろ手が固まって、アンバランスな態勢に耐え切れずに、鞄が肩からずり落ちた。
0373名無しさん@ピンキー2011/05/18(水) 00:43:00.23ID:cm8HWqdd

これは、明らかにおかしい。
先の描写の仕方だと、いかにも可愛らしく挨拶したかのようにも受け取れるが、実物は惨憺たるものである。
どれくらい酷いかというと、期待に胸を躍らせて買った某四輪駆動おもちゃのサスペンションが、プラ製ボディの成型の一部だった時くらい。
漫画ではサスペンションちゃんと機能していたのに…していたのに!
……まあ、そんなものを信用する俺も俺だが。
税込六百三十円のおもちゃに、そう簡単にサスなどつけられるものか。どれだけ純朴だったんだ、あの頃の俺は。そして何歳だ。

ごほん。
それでエリオなんだが、あれは何だね。荒ぶる鷹のなんなのさ。
片膝を持ち上げて、もう一本の脚で立ち、両手はスカートの裾を両側からグワシと掴んで引っ張って横に伸ばしている。
首をねじる動作とその笑顔を見るに、おそらく会釈をしていることはわかる。
わかるのだが、意味だけわかってもどうしようもない。何だこれ、どこから突っ込んだらいいのか分からない。
取りあえず膝は持ち上げるんじゃなくて揃えて曲げるべきだと思う。あとそんなにスカートを力強く握らないように。
日常動作歪みすぎ。荒ぶる鷹の翼が腰回りに移動したようなポーズに脱力を禁じえない。
0374名無しさん@ピンキー2011/05/18(水) 00:44:32.95ID:cm8HWqdd
しかもパンツ見えとる。
さして長くもないスカートを翼を広げるがごとく引っ張っているのだから当然である。
ヘー、キョウノパンツハ水玉カー。
…って『今日の』ってなんだよ。言っておくが俺はエリオの下着をそうそう日常的にお目にかけているわけではない。
あるとしてもせいぜい週に一、二回……

ごほん。
にしても、普段から恥じらいの希薄な奴だとは思っていたが、これは全くどうしたことだろうね、二重の意味で恥ずかしい。
そしてどうでもいい。布団のパンツが布の延長ならば、鷹のパンツは羽毛の延長だ。欲情ナイナイ。だからもう隠しなさい。その……色々困るじゃないか。
などと考えながら絶句している俺の思いが通じたか、エリオは顔をついと逸らし、同時に荒ぶるポーズはしおしおと立ち消えていった。
逸らした顔の角度を維持したまま、目だけを俺へと向けてくる。心もち頬に朱がさしている気がするが、一応羞恥心はあるのか。

「た、ただいまはどうした、の」
唇を尖らせて、何やらご不満の様子。ただいまはさっき荒ぶるエリたん(ええいこそばゆい)に八つ裂きにされました。
「しっかりしないイトコは、しっかり者のエリおねーさんが許しません」
「あぁうん、ただいま」
謎の姉貴風を吹かそうとするエリオはさておき、惰性で挨拶を済ませる。
「む、イーカゲン」
ふくれっ面になるエリオ。
「お前、またなんか影響受けたのか?」
「ま、またって何?…受けてないし」
エリたんご立腹。そういや影響云々は直接言ってなかったっけどうだっけ。
まあいい、とにかく靴を脱ごう。帰宅時に玄関に留まるのは意外と疲れるのだ。
引き戸を閉め、鞄を担ぎ直す。

「全く、一体何を読んだらそんなことになるのかね」
0375名無しさん@ピンキー2011/05/18(水) 00:49:57.28ID:cm8HWqdd
びく、とエリオが跳ねた気がした。俺は脱いだ靴を靴箱にしまうために屈んでいたので、表情は窺い知れない。
「さて…女々さんはまた遅いんだろ?晩ご飯どうするかな」
「どーするかなー」
夕食には少し早いが、先に段取りを決めておくことにした。
エリオは俺の言葉を反復。両手を背中で組んだりなんかして、すっかりご機嫌だ。頬笑みが妙に俺に向けられているのは一体なんだろう。
「で、何がいい?」
取りあえずエリオに意見を求めることにした。
俺が見るとなぜか目を泳がせて、またすぐ向き直る。
「あ、えと…ピザ」
「またかよ…お前それ三日は続いてるだろ」
「し、シーフードピザだし」
「答えになってないぞ」
「昨日はテリヤキだったし」
「ああ、なるほどね。しかし飽きないのか?そんなにピザ続きで」
「じゃ、じゃあお好み焼き」
「取りあえず円盤型から離れようか」あと俺は飽きないかと訊いただけなんだが。少し罪悪感。
0376名無しさん@ピンキー2011/05/18(水) 00:58:24.33ID:cm8HWqdd
「じゃ、じゃあ、イトコの好きなのでいい。エリおねーさんはおねーさんだから、イトコの意思を尊重するぜー」
散々自分の好みを言いまくってから尊重されてもなー、とは思ったが、言わないでおいた。
姉ぶって得意げにふんぞり返るエリオを見るのもまんざらではない、ような気がしないでもない。
こいつ見た目だけはいいからなー。さっきのようなイレギュラーは置いといて、大抵のしぐさは絵になってしまう。少し分けろ。何をかは知らないが。

エリオを見てるとまたそっぽを向いて、すぐ戻る。
「…それじゃあ、外食が続くのもアレだし…作るか。何がいい?」
提案してみる。たまには俺がフライパンをとってもいいだろう。相変わらず、素材の味に頼らねばならない腕前だが。
「あ…えと、じゃあピザ」
「作れません。…適当に作るぞ、目玉焼きとかでいいな?」
エリオの方を見ると以下略。
「い、いい」
それにしても、妙に言葉をつっかえる頻度が上昇している気がする。最近はそんなでもなかったのになあ。
さっきからやたらとこっちを見ては、目が合ったら逸らすことを繰り返しているのも気になる。
ほんと一体何に影響されたんだ。従兄と目が合ったら石化するテレビ番組でも見たのかね。言ってて自分でもわけわからん。

「んじゃまあ、夜まで解散」
「ん」
階段を上って自室へ。背中にエリオのにへらしい、もとい温かい笑顔が注がれているのを気にしながら。

試しに振り向くと以下略。
……はぁ。
0381名無しさん@ピンキー2011/05/21(土) 23:22:25.69ID:cShOqUCt
今日、ひさしぶりにぼっちーズを読んで思った事
「カモカモ死ね!」
0382名無しさん@ピンキー2011/05/22(日) 02:43:43.54ID:f838CIlg
それはなんだ、リクエストか? エロの
余計死ねってなるぞ
0383名無しさん@ピンキー2011/05/22(日) 10:00:41.10ID:zrxdSKrt
いや別に、ただ単に俺がぼっちだから戸井先輩に心の底から共感しただけ
0385名無しさん@ピンキー2011/05/29(日) 01:45:20.38ID:1WjL8jWd
まえたんハァハァ
0388名無しさん@ピンキー2011/06/06(月) 01:39:08.73ID:1FcFeKCb
最初から「入間人間総合」にしなかったのが痛かったね
みーまーが一番有名ではあるけど、今の旬だと電波の方だし、
それ以外の作品もいっぱいあるから手広くしとくべきだったね
0395名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/18(土) 22:37:01.76ID:SfJsoema
リリリリ………

[―――は白線の内側に――]

駅のベルとアナウンスが電車が近づいていることを知らせてくる。
そんな意図はないんだろうが、まるで俺を追い立てるかのような音色。声音。
くそ、もうちょっと待ってくれたっていいだろ。

……俺は何を期待してるってんだ。違う。何があったところでどうなるってんだ。
俺は田舎に帰るの。親の仕事がひと段落したんだから。あったりまえだって。予定通りじゃねぇか。ちょい早まったけどよ。
どうなったって選択肢は増えない。所詮は高校3年生。自分ひとりで生活するなんて無理なんですよ。

「ううぅうー、にわ君〜。
ぜったいお手紙書くからねー。40円切手たくさん買っちゃうよー」
お気持ちは嬉しいのですが、40円でははがきも送れません。…などと、無粋なつっ込みはよそう。

「ありがと、リュウシさん。
俺も色々メールするよ」
「うううぅうぅー、リュウコやっちゅーにー」

こんなふうに、女の子がボロボロ涙を流して別れを惜しんでくれる。青春ポイントうなぎのぼりだ。やったぜ俺!
くそっ!

「ま、元気でやれよな」
「しっかり受験勉強やれよー」

同じく見送りに来てくれた同級生たちが、次々ありがちな別れの台詞を口にする。
いやいや、このありがちさもむしろ青春ポイント上昇要因だって。もう今日はゲージ振り切れそうだ。
この街に来て良かった!完!!

ま、唯一の低下要因は……

「…………………………」

前川さんが無表情で…本当に何の感情もあらわさず、何の言葉もくれないってことかな。
勘弁してください。青春男とは言え、ただのコドモなんです。俺ひとりじゃどうにもできないことが沢山なんですよ。

ガタンゴトン…と、電車が停止する。
[特急待ちのため、5分間停車いたします――]

5分間。俺がこの街に居られる最後の時間。

「真、父さん先に乗ってるな。
…女々、親父たちにはなるべく好意的に伝えてやる。だが、それ以上は何もしてやらんぞ」
「はいはい。わかったからさっさと引っ込んどいて。
私、今日は兄さんにかまってるどころじゃないの」
「………まぁいい、息子が友人と別れを惜しんでるときだ。今度にしてやる」

兄妹の間にわずかに緊張走る。
色々気になる事はある。イトコとはいえ、隠し子のエリオとは今後会いづらくなるだろう。
こういった面では厳格な父親の『好意的』がどの程度なのか、わかったものじゃない。
これからのエリオがどうなるのか、気にならないわけがない。
でも今、気なるのは……「イトコッ!!」…くそっ。いっそ来てくれなかったら良かったのに、と思えればどんなに楽か。
0396名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/18(土) 22:37:19.08ID:SfJsoema
「イトコッ!」

駅の階段を駆け上がってくる。見たことのない白いワンピースを着て、小さな包みを手にして。
だけど、いつも見てきた裸足のままで。
あーあー、靴、どうしたんだよ。親指の爪、割れてんじゃねえか。血が…こいつ肌が真っ白だから、余計に痛々しく見えるなぁ。
よく見れば他にも擦り傷が…頬にまで。髪もボサボサだし。何やってんだよ。
最後なんだから俺を安心させてくれよな。

「イトコッ!!」
「聞こえてるよ。
お前さぁ……」

最後まで俺を心配させやがって。つうか頬、だらだら血が出てんぞ。
最後だから言わせてもらうけど、お前見た目以外に取り得なんてほとんどねぇんだから、せめてそこだけは大事にしろよ。
最後だってのに、『イトコ』のままだし。俺は『マコト』だっての。
わかってんのか?

「お前さぁ……」

言葉が出ない。言うべき事は沢山あるのに、口は全然動いてくれない。
さっさと動けよ。あと5分も無いんだ。ただでさえ時間、全然足りないんだぞ。


「お前さ「イトコッ!」 さえぎられる。俺の意思が通るのを。

「私、すっごく可愛い!」ですね。反論の余地はありません。

「服も、髪を切るお金も、全部自分で稼いでる!たよれるびじねすうーまん!」どうせ前借というか借金だろ。余計に心配になるって。

「しかも今日はイトコのためにお弁当までつくってやった!」包みに泥ついてんぞ。こけたときに宙を舞ったんだろ。中身はどうなってるか。

わかってんのか?

「だから…だから!」

あぁもう、わかってんのか?本当にわかってんのか!?

0397名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/18(土) 22:37:39.56ID:SfJsoema
わかってるに決まってんだろ!!


俺がどうしたいのか!!エリオがどうして欲しいのか!!!
わかってんだよ!!でもどうしろってんだ!!どいつもこいつも期待に満ちた目しやがって!!特に前川さん!!あんた裏で何やってたんだよ

!!
そんなキラキラした目は初めてだ!!でも無理なの!!選択肢は増えないの!!青春ポイントじゃ高校も大学も行けない!!飯だって食えない

!!
男の子は直球勝負しかできないんだよ!!!

「だから!!」


―――なんて頭の固いアホなのだ、マコトよ――

だったらお前なんとかしてみろヤシロ!!いっつも思わせぶりな事ばっか言って結局なにもしなかったじゃねぇか!!
そうだ!!コドモの俺には無理なんだよ!!女々たん!!こんなときだけ大人の顔なんて卑怯だろ!!ちくしょう!!

最後なんだから何とかしてくれ宇宙人!!!!

「だから!!!」

無理なんだって!!コドモの俺にはそんな映画みたいなマネ、宇宙に行くより難しいんだよ!!



「私もう無理なんて言わない!!!なんだってやってみせる!!!なんにも怖くない!!!宇宙飛行士にだってなってみせる!!!

だから!!!」



それはコドモの夢なんだ!!現実があんだよ!!!



「ずっとイトコと一緒に居てあげる!!!」


0398名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/18(土) 22:39:52.38ID:SfJsoema
「無理だって」
「無理じゃない!!」
「遠くに行くんだぜ。女々さんともお別れだ」
「らくしょー!!」
「どうやって生活すんだよ。お前何にもできないだろ」
「何だってできる!!できるようになる!!
今日はお弁当作れた!!明日にはもっといろいろできるようになる!!らくしょー!!」
「はぁ……無茶苦茶言いやがって」
「でも決めたから!!絶対一緒に居てやるぞ!!」
「決めたのか?」
「決めたんだ!!」

そっか。
へいへい。
わかりましたよ。
やりゃいいんでしょ、やりゃあ。どいつもこいつも期待に満ちた目しやがって。
みなさんの予想通りですか。はいはい、良かったですね。
コドモの俺にできることなんて少ないですからね。期待を裏切るなんてできませんよ。
つうかここまでやられちゃ、俺もやるしかないっての。

「一緒にむぐっ」

くそっ、結局俺は単純ですよ。バカですよバカ。何にも考えちゃいない。コドモの俺に何ができるってんだ。


でもさ、エリオ。


お前と一緒なら、いつだって踏み出せる。気がする。現実には飛べなかった俺たちだけど。
だけど踏み出して進んで、辿り着いた結果に後悔したことなんて、一度もなかった。
だから決めたよ。地球人の藤和エリオと一緒に地面を這いずり回るって。

「ん〜〜〜〜…」

じたばたすんなよな。こっちはこの後の展開考えんので忙しいんだ。
どうしてくれようか?このままどいつもこいつもの期待に応えるだけじゃ青春男の…じゃねぇ、丹羽真の名がすたる。
度肝を抜く展開を――――


「ぷはっ!

エリオ!!」


さぁ聞けお前ら!!ついでに宇宙人!!飛ばしてやるぜ!!
0399名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/18(土) 22:41:16.41ID:SfJsoema




「ひ孫までつくんぞ!!!」




どうだよこの電波!どいつもこいつもびっくりだろ!絶対ついて来れない!!まるで宇宙人!!
だけど大丈夫!!
どんなに遠くに行っても絶対一緒のヤツがいるからな!!!




「おぅ!
よろしく地球人!」




<電波男と青春女>









簡単なんだよ、宇宙に行くのは。ウチュージンと仲良くすんのは。
今日、違う世界にだって踏み出せたんだから。絶対って決められたんだから。
マコトがそれを次に伝えてくれりゃ、アタシの任務は成功だ。
0403名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/19(日) 02:23:05.90ID:lZpO7L5r
原作みたいな、その場の勢いに流されているようで、ちゃんと自分で答えを出す真の感じがいいわ〜
アニメだけ見てても、「こいつらさっさと幸せになっちゃえよ!」みたいな感じがする側としてはありがてぇ
04054002011/06/20(月) 23:15:31.14ID:8y30G2V3
もうひとつ。
0406ぼくにはやることがおおい12011/06/20(月) 23:15:58.98ID:8y30G2V3
「うっぐぅ…っ!」

みぞおち、というところに当たったんだろう。
目の前が真っ白になり、おくれて息ができないことに、気付く。

…まいったなぁ……『痛い』だけなら慣れてるけど、息ができなくなったら本当に死んじゃうかもしれない。

「ぐっへぇ…がぁっつっっ!」

情けなく廊下に転がって、ゴロゴロ転がってるぼくの右肩に、ようしゃなく次の蹴りが飛んでくる。
…ほんとに情けないや。『痛い』だけなら全然大丈夫って言っていたくせに、痛くて声を上げてしまった。

「あなたたちっ!何やってるの!?」

先生のあせった声。
誰かが呼んだ…わけじゃないだろうな。
このくらい『いつもの事』だし、そもそもぼくらはとっくの昔に、みんなから『いないもの』として扱われてるんだ。

「あなたたち、また……っ!
いつもいつもいったいどういうつもりなの!?」

先生のあせった声。
怒ってはいない。この学校の先生は、ちゅうとはんぱにやる気がないから助かる。
せいぎかん、にあふれた先生がいたら、ぼくと妹はとっくの昔に『しせつ』とかそんなところに送られて、
バラバラになっていただろうから。

「ぼぅっとしてないで答えなさい!」

先生が大きな声で問いかける。でも、ぼくを蹴り付けていた相手は全く反応しない。
はぁはぁと荒い息をついて、まだゴロゴロ転がりまわっているぼくを、無言で眺め続けている。
その目には本当にぼくしか映っていない。

「にゅひひっ。
こーた君、今日も死ななかったね!」
「私の質問に答えなさい!長瀬さん!」

そうだね。
0407ぼくにはやることがおおい22011/06/20(月) 23:16:26.94ID:8y30G2V3




「こーた君や、かーえりましょ!」
「そ…だね、長瀬さん」
「んもー。一樹でいいって言ってるのにー」
「そ…だ……」

さすがに今日は殴られすぎたな。立ち上がるのもちょっとつらい。
机をささえに「あぶなーい」…倒れそうになったところを、長瀬さんに支えられる。

「あ…ごめ…ね、なが…さん」
「いーってことよー」

うぅん…そうじが終わってからもう結構たつのに、まだうまくしゃべれないや。
長瀬さんは顔を狙う事はないから、口とかアゴとかが痛いってことはないんだけど、
みぞおち(なんだと思う)を蹴られてからずっと、
息が詰まったみたいなのが続いてるんだよなぁ…今日のうちに治ってくれればいいんだけど。

「さー、かーえりましょ」
「うん……あんずを迎えに行ってからね」
「……………………はーい」

答えは長いちんもくの後。長瀬さんはずっと笑顔のままだけど、声からは『嫌だ』って気持ちがはっきり伝わってくる。
はぁ……。これも何とかしなきゃなぁ……。
0408ぼくにはやることがおおい32011/06/20(月) 23:17:23.72ID:8y30G2V3




「るんるんるーん」
右には元気よく鼻歌を口で歌ってる長瀬さんが歩いてる。

「…………」
左にはうつむいたまま無言であんずが歩いてる。

「……今日もいい天気だねぇ……」
そしていつもの通り、真ん中のぼくはどうでもいいことをしゃべってる。
うぅ…胃がキリキリする……。

半年前は、なんだかんだで結構仲が良かったのに……元に戻るのはむずかしいのかもしれないけど、
もうちょっと何とかならないかなぁ……。
特に長瀬さんは度々『あんずちゃんちょうだい』って、にゅひにゅひ笑いながら言っていたのに。半年前は。


半年前。


長瀬さんのお姉さんが死んじゃう前は。

半年前、長瀬さんのお姉さんが死んだ日に、長瀬さんは少し壊れてしまった。
長瀬さんは元々ひとりになる事が苦手な女の子だったけど、あの日からはそれにはくしゃがかかったみたいだ。
あれからずっと、ぼくにべったり。朝はぼくが迎えに行かないと家から出てこない。
そして今、ぼくらが向かっているのも長瀬さんの家。長瀬さんのお母さんが帰ってくるまでは一緒に居てあげないといけない。
0409ぼくにはやることがおおい42011/06/20(月) 23:17:51.03ID:8y30G2V3
「ねーねー、こーた君。
昨日おかーさんがでっかいクッキー買ってきたんだー。
家についたら二人で一緒に食べよーねー」
「ん…三人でね」

長瀬さんがなんでぼくを選んだのかは…多分『すらいどしき』ってやつだと思う。
順番どおりなら、お兄さんがぼくの場所に立ってるはずだったんだろうけど……半年前から長瀬さんは、
お兄さんを『いなかった事』にしてる。
多分、お姉さんを守ってくれなかったって思ってるんだ。
だから、似たような方向に居て、使いやすくて都合の良い事を言うぼくを選んだ。

…そして半年。
ひとりになる事を死んじゃうよりも怖がってる長瀬さんは、毎日ぼくを殴って殺そうとする。
ぼくが都合の良い事を言ったから。
ぼくは絶対死なないと言ったから。

だから毎日ぼくを殴って、本当に死なないのかどうかを確かめてる。

ぼくは毎日ボロボロになる。けど得する事の方が多いから、全然気にならない。
長瀬さんの家はゆうふくだ。ぼくがボロボロなのを気にして、でも長瀬さんが可愛いからとりあえずぼくをいけにえで置いてる。
でも気になるから、度々うちに物やお金を渡しに来る。
おかげでお父さんもお母さんもきげんがいいし、学校の先生たちの目が向くようになったから、たたいてくる事が少なくなった。

あんずが痛くなくて済む。こんなに嬉しい事はない。だから今日も全然痛くない。


「……………………はーい」

「…………」

だけど今日も胃がキリキリする。
0410ぼくにはやることがおおい52011/06/20(月) 23:19:05.62ID:8y30G2V3




「…じゃ、あんず。少し待っててね。
ジュースは全部飲んじゃっていいみたいだから」
「……………」

あんずがぼくにけいべつのまなざしを向けてくる。
……これだけは、どんなに繰り返しても慣れない。毎日痛い。殴られるより、ずっと。

「はやくいこー」
「はいはい。
…じゃ、おとなしくしててね」
「…………」

妹から逃げるようにして…逃げ出す。二階にある長瀬さんの部屋へ。


ばたん。


いつもの通り、部屋に入るとすぐに長瀬さんがドアを閉める。
長瀬さんの部屋。長瀬さんのお城。お父さんもお母さんも今は入れさせないらしい。
そこにぼくは入る……ほりょとして?どれいとして?

「ごめんねごめんねこーた君。
いっぱい痛かったよね。ごめんね許してね。お願いお願いお願い。
怒ってない?怒らないで。お願いお願いお願い」

部屋で二人だけになるとすぐに、長瀬さんがボロボロと涙を流しながら謝りだす。いつもの通りに。

「大丈夫だよ、長瀬さん。怒ってないよ」
「本当?」
「ほんとう」
「本当に?」
「ほんとうだから」

言いながら、ぼくは服を脱ぐ。シャツとズボン。くつ下。
パンツも。
裸になる。
もう半年。毎日続けてきたせいか、だんだん恥ずかしくなくなってきた。
きかいてきな作業、というのになってきてるのかもしれない。

「ああ…アザ、できてる…ごめんね、痛かったよね。
…れろっ……」

長瀬さんがぼくのアザをぺろぺろと舐めながら、ベッドに押し倒す。
やわらかい女の子の身体。そこからだけじゃなく、ベッドからも甘い女の子の香りがして、はさまれる。
……そうなってるんだと思う。
わき腹の一番痛いところに長瀬さんのひじが当たって、ぼくはそれどころじゃない。

「んちゅ…れるるっ……」

いっしんふらんに、子犬みたいにぼくの傷を舐める長瀬さん。全力で舌を押し付ける。痛い。
ただただ、痛い。
…情けないなぁ。長瀬さんは全力で殴ってきてるわけじゃないのに、ぼくはこんなにボロボロだ。
0411ぼくにはやることがおおい62011/06/20(月) 23:19:53.62ID:8y30G2V3
長瀬さんは男の子に人気がある。あった。……やっぱりまだあるのかな?
ふわふわした髪。子犬のような鼻や目。明るくて、くったくなく笑って。
だから毎日一緒のぼくは、仲が良いんだと勘違いされちゃったんだろう。身体の大きな男の子にはたかれた事があった。
…はたかれた、くらいだ。毎日殴られてるのに比べれば。

瞬間、長瀬さんはドーベルマンみたい(見たこと無いけど)な声を上げてその子に飛び掛り、
動かなくなるまで殴り、蹴り続けた。
そして動かなくなったその子の腕を、二本とも折ってしまった。


その後は色々あったけど、一応長瀬さんもぼくも、その男の子も学校に来ている。


「れる〜……」
「んぅ…」
今のはちょっとくすぐったかった。
だけどすぐまた『痛い』で染まってしまう。
同級生がたまに話してる『エッチ』。こういう事をするらしい、というのは知ってる。
でも、少なくともぼくの身体はその準備(しゃせい、だったかな?)ができていないんだろう。
たまにくすぐったいと感じる以外には、特に何もない。

「ねえ、長瀬さん」
「んぅ〜…」
舌を押し付けたまま、上目づかいで。

「もうちょっとあんずと仲良くしてね」
「………ぅ…」
0412ぼくにはやることがおおい72011/06/20(月) 23:20:21.62ID:8y30G2V3
長瀬さんはあんずを邪魔だと思い始めている。…もうとっくにそう思ってるのかも知れない。
あんずがいなければ、もっとぼくを自分のためだけに使えるって。

「長瀬さん、あんずを叩いたり蹴ったりしたらダメだよ」

いつもの通り、ぼくは口にする。
犬をつないでるクサリが、壊れていないか確かめるように。

「もしそんなことしたら、ぼくは長瀬さんを殺すよ」

ぼくよりずっと強い長瀬さん。だけどぼくがそうしたいと言えば、きっと何の抵抗もしない。
とっても悲しい事だけど。

「………」

だって今の長瀬さんは『生きてない』。だからそんなの全然怖くないんだろう。
だからぼくはもうひとつ、口にする。

「そのあとぼくも死ぬよ」
「あああああっ!ごめんね!違うよ!仲良くするよ!!ぜったい仲良くするよ!!」

長瀬さんはぼくが死んでしまうのが怖い。ぼくが死んで、自分がひとりになってしまうのを何より怖がってる。
自分が死んじゃうよりも。

「ぜったい仲良くするからね!
んちゅ…れるぅ…っ」

壊れてしまった長瀬さん。生きていない長瀬さん。
ぼくはまず、あんずを幸せにしてあげなきゃならないけど、長瀬さんも今のままじゃいけないと思ってる。
だからお兄さんにも相談してみようかとも考えたけど、お兄さんはあのきれいなお姉さんを直せるまでは手一杯だ。
という事はお兄さんは死ぬまで手一杯だから、やっぱりぼくはひとりでなんとかしなきゃいけない。

ぼくにはやることがおおい。

だけどとりあえず。

「よろしくね、長瀬さん」
「うん!」



<おわり>
0413名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/20(月) 23:22:04.56ID:8y30G2V3
これも一発書きです。
こんな第二部があったら面白いなぁ、とか考えた頃があったようななかったような。

ちょっと常駐してる板のSS執筆に詰まったので、息抜きに2本ほど書いてみました。
多分もう現れないので、あしからず。

そんでは。
0415 忍法帖【Lv=5,xxxP】 2011/06/21(火) 09:59:33.15ID:n1fh3vrh

現れないなんて言わないでいつでも息抜きに来てくれ
0418名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/22(水) 23:59:47.83ID:kqqGLl2g
ねぇ、空っぽだったら、わたしを入れてもいい?」





「えっと……それは、どういう意味……?」
耳に吹き込まれた言葉の意味がわからず聞き返してしまう
答えを待つ間も次第にトーエの爪がぼくの肌に食い込んでくる
たぶん痛いのだろうけど反応できない。熱で頭がぼうっとしているという事にしておく
「そのままの意味だよ。えせ君の心にわたしを入れて満たすの。
わたしの姿だけを見て。わたしの声だけを聞いて。わたしの匂いだけ嗅いで。……わたしだけを感じるの
ねえ、そうしようよ。それがいいよ。空っぽなままよりずっと素敵だよ」
トーエがぼくにのしかかる力を強めつつさっきの答えを耳の中に吐き出した息とともに注いでくる
掛けられた力に耐えきれず、ぼくは床に倒れ込み、トーエもそれに続きぼくの上に倒れ込んできた
それにともないトーエの瞳がぼくの耳から顔の前に移動してくる
……トーエの瞳は妹が動物を狩る時の目に似てギラギラしていた
床に背中を打った痛みで少し頭が冷静になったのでトーエの言葉について考えてみる
ぼくにあの子みたいになれということだろうか?
ぼくがまーちゃん役で、トーエがみーくん。いや、なるならぼくがみーくんが合う気がする。何故かはわからないけど
そして他の物には目を向けず、トーエだけに焦点を合わして、生きていく
それは、幸せ、何だろうか?幸せの背景が不こ「えせ君。黙ってばかりじゃわからないよ」
時間切れらしい。しょうがないのでとりあえず誤魔化しておこう。言葉遊びならぼくの得意分野だ
「浜名さんの方が大きいからぼくの中には「今はそういうはいらないの」
得意分野をあっさり切り捨てられてしまった。ショックで心が砕けそうである。嘘だけど。今、心がないって話をしてる最中だし
食い込みながら胸を左右に移動する爪が答えを催促してくる。しょうがないのでちょっとまともに答えてみる事にする
「浜名さんもうすぐ転校するんだろ?そしたらまたぼくはまた空っぽになっちゃうじゃん。意味ないよ」
今のあの子みたいになってしまう。頑張れば会えるぶん多少マシかもしれないが。
「わたしんちの子になればいいよ。そしたらずっとえせ君の心に私が居れるよ」
「……いや、無理だから」
そう簡単に家族を増やしたり減らしたりはできないだろう。いや、ぼくの家族は何度も変わってるけど
「えー!いいじゃん!一緒に引っ越ししようよ!ここにいたらずっと苛められちゃうよ?」
「いや、さっき明日からもう苛めないっていったばかりじゃん」
自分の発言には責任を持って欲しい。ぼくに言われたところでだれも実行しようとはしないだろうけど
「はあ、えせ君は屁理屈ばかり上手だね」
ほめられてしまった。やったぼくの中にも価値のあるものが!冗談だけど。そんなものがあったらもう少しましな人生送ってる
0419名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/23(木) 00:00:05.03ID:kqqGLl2g
互いに無言のまま時間が過ぎていく。帰る宣言したにもかかわらずトーエはぼくの上に乗っかったままだ
今はずれてるからいいけど、何かの拍子で正面に来ちゃうとぼくのせーしんえーせーじょーよくないので早く帰って欲しい所だ
さっきまでのどんよりとした雰囲気が薄れてきたからか、胸も少しずつ痛みだしてきたし
とはいえぼくの方から言い出すと逆に帰ってくれなさそうだし、どうしたものやら
「ねえ、えせ君」
思考を巡らせているとトーエが口を開いた。ようやく帰ってくれるのだろうか?
「エッチなこと、しようか」
…………………………………………………………………………………………………………えっと、何を言ってるんだろう、この子?
「……期待はしてないけどもう少しまともな「ちゅううー」んんんんんんんっ!!?」
なにっ!?くちっ!?どうなっ「れろり」っ!!??
「んっ……じゅる……ちゅるる……んんー」
舌?トーエの舌!?えっ?なんでっ?柔らかい、柔らかい?ぼく、……食べられてる?
「うぐっ……ごくっ……もぐもぐ……じゅるるるるる、ぷはぁ」
唾液の糸を引きながらトーエの唇がぼくから離れる。体はまだ乗っかったままだけど
「はっ、はっ、はっ、はっ」
トーエに聞きたい事で頭の中が一杯だったが、それより先に体が空気を求めて言葉にならない
「うーん、腕とはまた違った味。結構好きな味かも。舌ぷにぷにしておいしそうだし」
トーエは息切れが起きていないのか、真っ赤な舌で唇を舐めながら無邪気にぼくの味を評論している
ぼくの妹ですら、人は食べた事がないのに。この子はやっぱり理解できない。ぼくの経験不足だけが原因じゃない気がしてきた
落ち着いて来たので行動のどーきを聞いてみる事にする。ぼくが理解できるものだといいなー
「あの、今の、何?」
「何ってキスだよ、キス。ちゅうって言った方がいい?」
「いや、だから、何でキ「あっ、そう言えばえせ君って今のがファーストキス?」
トーエがぼくにも優しくさっきの行為の名前を教えてくれたよ!やったね!……期待はかなわないものと辞書に書いておかなきゃ
それにしても、何でさっきからこの子はぼくのセリフに言葉を被せてくるんだろう?苛めの一環?
言葉遊びはぼくの独壇場なのに、ネタつぶしするとはなんて酷い子だ!これは親御さんに文句を言いにいかないといけないな
……嘘だけど。ぼくが行っても門前払いされるだけだろうし。というかトーエの家知らない
と、いったことを考えてたら再びトーエの爪に催促され始めた
しょうがない、正直に答えよう。理由は……冷たい手のひらが離れるのが嫌だから、ってことで。繰り返しネタは3回までいいって聞いた
「実はぼくは昔からいろんな子と「うわー、やっぱりかー。一生貰われることがないはずだったえせ君のファーストキス貰っちゃったー
わたしって罪な女だなー。えせ君も嬉しいでしょ?よかったね、自慢していいよ。あっ、でも人に言うのはダメだよ?わたしが苛められちゃうから」
もうそのネタは3回以上繰り返してるんですけど。トーエの芸人としての未来は暗いな。誰も気にしないだろうけど
0420名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/23(木) 00:00:27.29ID:kqqGLl2g
「ん?どうしたの、えせ君?黙っちゃって。そんなにわたしとキスできたことが嬉しかった?」
トーエが素敵すぎる勘違いを引き連れながらぼくに問いかけてくる
この子とぼくの頭のつくりはだいぶ違うらしい。どっちが正常に近いかは、別として
「だから、何でぼくにキスなんてしたの?」
「さっき言ったじゃん。エッチなことするためだよ。あっ、わたしもファーストキスだったから。喜んでね、えせ君」
「……何でぼくとえっちなことなんてするんですか?」
「うわっ、ファーストキスの事無視しやがった。えせ君ひでー」
「答えて欲しいんだけど」
「うーん、なんとなく?引っ越す前の思い出作りとか?そんな感じ。抱き付いたんだから、ついでにやっちゃおう、みたいな」
「なんとなくでするような事じゃないと思うんだけど」
「えー、えせ君、はんざいしゃの子供だし、エッチな事とか好きなんじゃないの?相手の気持ち無視して無理やりー、とか」
「どっちかっていうと、浜名さんの方が好きそうだね、それ」
「そんなことないよー。わたし、花も恥じらう清純な乙女だし」
「清純な乙女は、いきなり人にキスしたりはしないと思うんだけど」
花も恥じらう、のとこは否定しなかった。まあ、事実だし。嘘だったらよ……くないな
「あーもー、えせ君はじれったいなあ。もう、勝手にやっちゃうからね。……んっ」
再び、口づけをされる。今度はいきなりじゃなかったから、混乱してないし、ちゃんと息も吸えてる
抵抗しないのは、動くと暑いからということで。これで3回目か。何か別の理由も考えとかないと
少しするとトーエの舌がまた侵入してきた。一緒によだれも流れ込んできたけど、口をふさがれてるから飲むしかなかった
「んっ……ちゅ……ぺろ……んくっ……」
トーエの舌はぼくの中でせわしなく動き回っている。歯ぐきや歯を舐めて見たり、ぼくの舌に絡ませて来たり
よだれもどんどん流れ込んでくる。飲むのには抵抗感そんなにないけど、ちょっと苦しくなってきたのでぼくも舌を伸ばしてトーエの口を塞いだ
「んっ」
少し体をビクッとさせたが、抵抗は少なかった。むしろ積極的に舌を絡ませるようになってきた
しばらくそうしていると、トーエがぼくの胸、特に乳首を弄り始めた
普通その役は男がやるものだと思うんだけど。……トーエだからという事で納得することにした
「っ!」
あぶない、声が出そうになった。だけどトーエの口に塞がれてたおかげで外には漏れなかった。ありがとう、トーエ。声が出る原因もトーエだけど
「んんー……ペロペロ……じゅるっ、ぷはぁ。……はぁ……はぁ」
最後に一方的なだえき交換を済ませてトーエの口が離れる。今度はさすがに長かったからか、トーエの息も上がっていた
0421名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/23(木) 00:00:46.41ID:kqqGLl2g
「はぁ……はぁ……ふぅ。何か不思議な感じだったね。あっ、心無いんだっけ」
「これが普通じゃないってことがわかるくらいには、あるよ」
嘘じゃない、といいな
「それにしてもえせ君、胸触られてた時、声あげそうになってたよね」
「幻聴か、幻覚じゃないの?」
ばれてた、隠せたと思ってたのに。とりあえず誤魔化してみる
「えせ君、やらしー。やっぱりはんざいしゃの子供なだけはあるね」
最初から答えを決めてるんなら人に聞くなよ、と心の中だけで呟く。人に優しくがモットーなんだ。まあ、嘘だけど
「浜名さんがいやらしい触り方するからだよ。ぼくより変態の素質あるんじゃないの?」
「えせ君には負けるよ。だって、男の子は胸なんか触られても、声なんて上げないでしょ、ふつー。あと、遠江ね」
言い返しても堂々巡りになる気がしたので反論をしないことにした
するとトーエの方もしゃべる事が無くなったのかぐてー、っと力を抜いて無言になった
……やることがないなら早く帰ってくれないかな。せめてぼくの上からどいてくれると嬉しい、暑いし、おも……くはないけど
無駄に時間が流れていく。何でこういう時は凄く時間が長く感じるんだろう。汗で髪がくっついて、鬱陶しい。ぼくのも、トーエのも
暇つぶしに数えていた羊が100匹を超えた辺りでトーエが口を開いた
「エッチなことって、他に何やるの?」
何も知らないでやろうとしてたのか。ぼくは知らない事はないが、できれば思い出したくない
「学校で教えてもらうんじゃないの?」
言外にぼくは知らないと嘘を含めてみる
「男の子から赤ちゃんの素が出て、女の子の中に入れると子供ができるって言われたけど、どうやって入れるか知らなーい
えせ君は知らないの?えせ君のお父さんに教えてもらったりとかしてるんだと思ってた」
勘がいいなあ。ここで中途半端な嘘つくと逆に厄介なことになりそうなので、ちょっとだけホントを言う事にする
「知ってるような気がないこともないような気がする」
「どっちだよ」
的確なつっこみ。しかし暑くてこれ以上言葉遊びが出来そうにないのでさっさと終わらせることにする
「一応、知ってるけど。女の子は痛いみたいだよ。特に最初は」
「えー、痛いの?しかも女の子だけってずるいよ、えせ君」
「ぼくに言われても」
神様辺りに言ってくれないと困る。いるんならもっと違うことお願いしたいけど
0422名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/23(木) 00:01:04.86ID:kqqGLl2g
「じゃあさ、じゃあさ、せーしっての見せてよ。男の子は痛くないんでしょ?」
さっきまでちょっと不機嫌そうだったトーエが元気になって催促してくる
「恥ずかしい事は専門外なんだけど」
「恥ずかしい事なの?ていうかどこから出るの?」
「………………ちんちん」
「へー、おしっこだけじゃないんだ!じゃあ、えせ君のおちんちん、ほんぽ−初こうかーい!」
言うな否やトーエはぼくのズボンをずり下げた。抵抗する時間ぐらい欲しかった
「おおー、これが男の子のおちんちんかあ。お父さん以外の初めて見るよ。えせ君のちっちゃいね」
地味に痛い精神的攻撃を繰り出してきた。ぼくの心でも若干痛むらしい
「子供なんてみんなこれくらいだよ」
特に根拠はないが取り繕ってみる。ぼくにも譲れないプライドってものがある。嘘だけど
「ふーん、まっ、いいや。で、おちんちんをどうすればせーしが出るの?」
無邪気なトーエは興味深々っと言った様子で、ぼくに羞恥ぷれーを強要してくる
「えっと……、手でさすったり、とか。あとは舐めたり、とか」
あの時の記憶を少しずつ探ってみる。あまり精神えーせー上よくないので早く終わって欲しい
「うえっ、おちんちん舐めさすんだ。えせ君はゲドーだね」
嫌悪感より好奇心が勝ってるのか言葉とは裏腹にぼくのちんちんにトーエは舌を伸ばした
「ペロ……ちろちろ……ぺろーん……おー、おっきくなってきた」
トーエは未知の物に心が惹かれるようで実に楽しそうにぼくのちんちんを弄っていた
「ちゅう……ぺろぺろ……じゅ……、えせ君、中々出てこないんだけど」
気持ちいいなと思い始めたところでトーエの口が離れてしまう。何とももどかしい気分だ
「口、含んでみて。たぶん……もうすぐ」
気持ち良さとじれったさで頭がボーっとして、うまく言葉が出てこない
それでもトーエは理解してくれたみたいだ。大きく開いてぼくのを口に入れる
「あっ……つっ!」
トーエの口の中はこの部屋なんかよりずっと熱くて、でも気持ちいい
「じゅっ……んん……ごくっ……んぐんぐ……」
ぼくが何も言わなくても、舌や頬を使ってぼくのちんちんを刺激してくれる。我慢なんてできそうにない
「はっ、あっ!ト、エ!もう出る、から。口、離し、て!」
さすがのぼくも、口に出すのはよくないって知ってる。だから離れるようトーエに言ったんだけど、逆に腰を掴む手に力を入れてきた
「トー、ッエ。どうし、て?汚い、から!……っ!もう、無理!!」
頭の中で何かが弾けた様な、奇妙な解放感に見舞われながら、トーエの口の中に精を解き放ってしまった

0423名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/23(木) 00:01:21.22ID:kqqGLl2g
「っんむ!……っ……んくっ……ごくっ……んんん〜、っはあ、はぁ。うえ〜、まじー」
トーエは口に出された精液を、どうにか飲み干そうとしていたようだがさすがに無理だったようだ
まじーっという言葉と共に開かれた口から、飲みきれなかった精液が流れ落ちた
真っ赤だった舌はぼくの精液で真っ白に染まって、すごく扇情的だった。思わず唾を飲んでしまう
そんなぼくの事は気にも留めず、トーエは床に落ちた精液を指ですくってねばねばと指先で弄っていた
「へ〜、これが赤ちゃんの素なんだ。すごいねばねばしてる。もうちょっと味がよければいいのにー」
初めて見る精液に興味が移った様だ。まだ頭がボーっとしているぼくと違い普段と変わらない空気を纏ってる
「それにしても、いっぱい出るんだね。勢いもすごいし。あっ、えせ君気持ち良かった?」
「う、うん」
「ずりー。やっぱりえせ君は卑怯だね」
トーエがケラケラと笑う。こんな事をするのが初めてとは思えないほど日常的だった
「それにしても面白かったね。これからもしてあげようか?」
「う、うん」
欲望に忠実になってみる。たまにはこんな選択もいい気がする
「おー、即答とは。えせ君やらしー」
ぼくの返事を聞くとトーエがまた妹のような目に変わる
そして少しずつぼくの体を這い上がってくる
「ねえ、えせ君」
ぼくの顔の前まで来ると再びトーエが口を開く。今度は真正面だったので鳥肌が立ったけど、何か言える空気じゃなかった
「こんなことえせ君にしてあげる人なんてえせ君にはもう一生現れないと思うんだ」
何か失礼なこと言われてるけど、同意できる内容だったのでとりあえず頷く
「でも、えせ君はして欲しいんだよね?」
再び、首を縦に
「でも安心していいよ。わたしがやってあげるから」
「えせ君がやりたいなら、もっとすごいことも」
「だから、ね?えせ君」
「だから」
「わたしの物になってよ」
「えせ君」
ぼくは口を開きそして
「――――――――――――――――――
0424名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/23(木) 00:01:44.21ID:kqqGLl2g
                   ――――――いや、僕、ロリコンじゃないから」
嘘じゃないよ
瞳を開き天井を見上げる。左手で汗にまみれた額を拭う
汗をかいたからか喉が無性に乾いている。毛布をどけ冷蔵庫に向かう
「それにしても、なんであんな夢を。……欲求不満?だとしても、もう少しましなのがあるだろ……」
歩いている途中に下腹部に違和感を感じる。何か異常に湿ってる
「うわっ」
パンツが白で染まっていた。ぶっちゃけ精液まみれだった
「夢精って……」
さっきの発言が嘘じゃなくなってしまう
とりあえず行先変更。脱衣所に向かう
洗濯機にパンツを突っ込み、ついでに汗を流すためシャワーを浴びる事にする
「あ〜、気持ちいい」
体内にこもった熱が外に逃げていく
下腹部のぬめりは念のため石鹸を使って落とすことにした
「それにしても、何故今頃トーエなんだ?」
自慢に聞こえるかもしれないが女性関係には今は困ってない。人が人なので一般的には困ってる扱いかもしれないけど
「それにしても懐かしいな」
小学4年生だったから約10ちょっとか。結構長いな。人生の半分近い
僕ですら身体だけは成長したんだし、トーエも成長してるだろう
同級生の中じゃ可愛い方だったし今頃モテてるんだろうか
気にいられた子が僕の時見たく、苛められてないか心配だな。まあ、嘘。見知らぬ他人の事まで心配できる余裕はない
まあ僕と違って心も成長できていれば大丈夫だろう
そこでふと、手紙の返事を書いてない事を思い出す。それが切っ掛けか?
シャワーを止め、軽く伸びをする。固まっていた筋肉がほぐれて気持ちいい
「んー、よし。今度会いに行ってみるか」
10年越しの返事を貰ってトーエがどんな反応するか想像しながら再びベッドに潜りこんだ
04284132011/07/13(水) 18:40:58.80ID:FXehsiu+
もう一本書いてみたいと思いつついつになるかわからないけど、
落ちると出す場がなくなるのであげ。
0431名無しさん@ピンキー2011/07/20(水) 13:23:35.60ID:FixqNaVW
エリオ:A
リュウシ:B
前川さん:B
40歳:D
ミッキー:C
ヤシロ:AA

こんなイメージ
0434名無しさん@ピンキー2011/07/22(金) 05:29:38.97ID:em333257
>>431
俺も概ねそんな感じだと思う
エリオも揉んでやったら女々みたいに大きくなるのかねぇ
0436名無しさん@ピンキー2011/07/25(月) 06:55:03.92ID:KrshImFT
Cで巨乳と言う人もいる
Aですらぺったんこじゃない
つまり…?
0439名無しさん@ピンキー2011/07/29(金) 23:09:05.33ID:e5mww1lJ
小ネタをば。

「わたし、イトコと作る!」
「……………………はい?」
「イトコじゃないとだめ」
「なぜに」
「お母さん留守だし」
「まあ、そうみたいだな」
「夜まで帰ってこないし」
「まあ、遅くなるらしい」
「だから、イトコと作る」
「うん、だいたいわかった」
「お母さんいないし」
「それはもういい。……本当に俺でいいのか? お世辞にも経験豊富とは言えないぞ?」
「わたしのほうが豊富だぜー」
「ほんとかよ……だいたい似たり寄ったりだと思うんだが」
「むー……わたしの経験、知ってるくせに」
「はいはい確かに俺よりは多いデスネ」
「ふふん、わたし、生みの親」
「その表現は違うとおもうぞ……じゃあ、経験の足りない俺には重荷なので、辞退させてもらっていいか?」
「だ、だめ」
「なんで」
「……わかってるくせに」
「最近物覚えが悪くてねー」
「むー、イトコのどえすー」
「言わなきゃ辞退スルヨー?」
「……イトコとじゃなきゃ、やだから」
「ぐはっ……」
「だからイトコと作る…」
「そ、そうか」
「イトコだけが頼り」ぴとっ
「ソ、ソウデスカ」
「イトコの腕、太い」
「……利き腕だからな」
「……利き腕で、なにする?」
「……そりゃまあ、イロイロなことを」
「わたしと、作る?」
「……ああ、ヒマだし」
「わたしの、作って」
「自分から作ると言っときながら……作るのは半分だけだぞ」
「うん、それでいい」
「じゃあ、まずはそれ脱げ」
「きゃー、だいたーん」
「棒読みで言われるとこたえるものがあるな……というかほんと脱げ。それ着てたらできんだろうが」
「……しぶしぶ」
「なんだそれ……まあいい。それじゃ、ペットボトルを洗うところから始めるとしますか」
「しますかー」

藤和家は今日も平和である。

〈了〉
0440名無しさん@ピンキー2011/08/02(火) 22:11:07.15ID:xAlg2wMZ
age
0441名無しさん@ピンキー2011/08/05(金) 09:25:34.32ID:7wsRead/
みーくんとまーちゃんの体が入れ替わるssってのを……書いてみたいかもしれない。
0442名無しさん@ピンキー2011/08/05(金) 17:53:47.71ID:7wsRead/
というかもう暇だから書くわ。暇なときに書くから一日じゃ無理だけど。
てかみーくんっぽく無くなるわww
0443名無しさん@ピンキー2011/08/05(金) 17:55:09.34ID:7wsRead/
「おにょーーーーーーー!!!!!!」
 朝、僕はマユの奇声で目が覚めた。マユが僕より早く起きるなんて珍しい。何かあったんだろうか。
「……まーちゃん? ――グフッ!」
 僕がマユに言葉を投げかけるのと同時に、腹の上に重量感。マユ、太った?
「みーくん、みーくん、みっくーん、みーくんくん、みーくーん、みーくーるー、大変なのです!」
 最後のは最早僕じゃない。僕は未来から来たわけじゃないんだよマユ。嘘じゃないよ。それにしても、今日のマユは声が変だな……風邪か?
 ともかく僕は朝に不足するマユ成分を視界からでも取り入れようと目を開く。

 僕がいた。

「……は?」
 枝瀬××がそこにいた。天野××がそこにいた。僕が二人? いやいや僕はこの世に一人だけだ。
となるとこれはドッペルゲンガーか。なんてこったい僕は三日後に死ぬ運命なんだね!
 大変だ、マユのドッペルゲンガーも連れてきて一緒に三日後に心中しなくちゃマユが怒っちまう!
「みーくん、鏡ー!」
 ドッペルゲンガー(僕)がニコニコしながら手鏡を僕の前に差し出す。おのれドッペルゲンガーめ、マユの手鏡を勝手に使うとは。
 僕は何気なくその手鏡に視線を降ろす。

 マユがいた。

「……は?」本日二度目の『は』。
 御園マユがそこにいた。マユマユがそこにいた。マーユー!
「ねっ! ほら、面白いでしょ!」
 ドッペryがニコーッと僕に笑いかける。……さっきも思ったんですが、僕の顔で笑顔は止めてください。
 ……えーっと? 朝起きたら目の前に僕がいた。僕が手鏡を覗いたらマユがいた。……いや、そんな漫画展開、あるわけない……
 そう、そんな……体が入れ替わっちゃったなんて非現実的なこと、あるわけな「まーちゃんとみーくんは入れ替わっちゃったのです!」くもないらしい。
 マユの言葉は信じなきゃ。それがみーくんってやつだ。……というわけで僕は今、マユになっている。マユは普段、自分の感情を素直に吐き出す。
「せーのっ」
 だから僕も、今は感情を吐き出そう。

「嘘だろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!?????????」

 『嘘だけど』で、あって欲しかった。
0445名無しさん@ピンキー2011/08/06(土) 13:55:49.13ID:lpbwVEWT
 アリかな?ww 適当だから読みづらいけどとりあえず書いてくよ。



「で……起きたら、君と御園が入れ替わっていたと……ダウト」
 先生に事実を否定された。
「だと良かったんですけどねー……」
 否定を否定した。
 途端に先生の目が丸くなり、口がポカンと開けっ放しになる。そんな顔も可愛いですよ言ったら顔を赤らめた。嘘だけど。
 先生は深く溜息をつき、口を開く。
「君の名前は?」「枝瀬が苗字で名前はラブの和訳です」
「好きな食べ物」「甘い物」
「私の名前は?」「ニー日せんせ……嘘ですから、その握り締めた右手を開いてください」
 そんなコントをしている場合では無いのだから。

 あの後、とりあえず僕ははしゃぐマユ(in僕)を落ち着かせて、朝の支度をした。
 学校は休もうとしていたのだが、マユが何を血迷ったのか、制服に着替えてしまった。しかもいつもマユが着る制服、つまり女物を……
 勿論、男の僕が女装をするという最悪のシチュエーションになってしまい、土下座しながらそれを止めさせた。
 そして怒るマユをなだめてから、元精神科の恋日先生の家へきたのだった、まる。

「あー……こりゃ本物だわ。いったいどうなってんのよ!?」
「僕が聞きたいですよ」
 しばし恋日先生と話した後、恋日先生が言うにはそのうち治るだろうとのことだった。とりあえず帰ろうと腰を上げたとき、思い出したように恋日先生が僕に言う。
「一応、今の君は御園なんだから……暗闇とかには気をつけなさい」
「……はい」
 心配してくれる恋日先生に、結婚しよう! と言いたくなった。嘘……だけど。
0447名無しさん@ピンキー2011/08/06(土) 15:04:51.06ID:lpbwVEWT
 とりあえず、恋日先生の家から家に帰ろうとする。しばし歩いて家の近くのスーパーに通りかかった。そして――
「げ」
 ちょうどスーパーから出てきた伏見柚々とバッタリ鉢合わせる。平日なのに学校は? と思ったが、そういえば今日は休みの日だということを思い出した。
 結構な日にちをマユとサボりに費やしているので、平日と休日の感覚が分からなくなってきている。
 にしても伏見か……別に嫌いな人間じゃないんだけど、こんなときに会いたくは無かったな。
「あ……」
 伏見がザラリとした声色で、僕の鼓膜を震わせる。パパッと自身のポケットなどを弄るが、ちょうど手帳を持っていなかったらしく、苦々しい顔をする。
「え、っと……こんにちは、御園さん」
 おどおどとした小動物の様子で言う。そんなおどおどしなくてもなーと思いつつ、返答を返す。
「こんにちは、伏見」
「……え?」
 伏見のきょとんとした顔に、何か間違ったか? と少し焦る。
「え? ……あ」
 ……そうか、僕は今、マユだった。
「あ、あー……ごめんなさい、わたし今ちょっと混乱しているの」
 お前の頭、大丈夫か? と言われそうな言葉を返して、慌ててその場から立ち去る。……うーむ。次会った時に何か言われるか?

「みーくんおーそーいー!」
「ごめんごめん。ちょっとマユのことを考えていたら、空想の中のマユの美貌に目を奪われてぼーっとしてたんだよ」嘘だけど。
 むー、と唸るマユの頭を撫でると、ニコリと顔が破顔一笑する。マユの顔なら可愛いが、僕の顔でニコニコされてもなあ。おっと寒気が。
「僕がいない間ちゃんとしてた?」
 マユはこくこくと頷いて、肯定する。よしよしとまた頭を撫でようとすると、マユが言った。
「みーくんはやっぱり泣き顔が一番だねー!」
 ……ちょっと待て、今何つった。僕がマユに尋ねる前に、マユが自分の携帯を持ってきて写真を見せる。
「#%&)=(’%$#”$(’)!!!??」
 シフトを押しながらの僕の奇声。マユが見せた写真には、僕の顔がたっぷりと写っていた。いや、顔だけならいいんだが……
「これがさっき撮ったテレ顔でー、こっちが笑顔ー! で、一番がこの泣き顔〜!」
 マユが自分で表情を作って撮ったらしい写真の数々。僕のテレ顔や笑顔や泣き顔がそこにはいっぱい写っていて、て、、てて、、てててててtっttっててってて
「お願い消してえぇ!!」
 僕らしくない叫び声。マユの声だから多少可愛さがあるが、僕の精神としてはそれどころじゃない。
「いーやっ! みーくんコレクションの宝庫でまーちゃんはwktkなのです!」
「何そのネット用語!?」
 こうして僕の黒歴史が刻まれた。
0448名無しさん@ピンキー2011/08/07(日) 23:53:07.59ID:eYbRDiVC
ええい!続きはまだか!
0449名無しさん@ピンキー2011/08/08(月) 13:45:10.17ID:nen03brh
 ペース遅すぎてごめん。あと正直エロが良く分からない。無しでもいけるかな?

「んでねっ! んでねっ、みーくん!」
 マユが突然ニパーッと笑顔を作って僕を見る。そして続けた。
「まーちゃん、学校行きたい!」
「……え? 何で?」
「んとねー、みーくんになったまーちゃんは、学校で皆にバレないように過ごせるかという実験がしたいのです! キラーン!」
 キラーンじゃねえよ。言いたかったけど言えるはずが無い。
「ちょっとそれは……「なにー! まーちゃんに逆らうのかー!」……」
 もう、どうでもいいや。

 その後は特に描写する必要すらない、淡々としたマユと僕の生活だった。
 ご飯を食べてゴロゴロして夜になってお風呂に入ってマユが寝て、僕も寝た。

 そして、夜に目が覚めた。

「……ん?」
 薄っすらと開いた目は、部屋をぼんやりと映している。むっくりと起き上がり、時計を確認しようと部屋を見回した。
「あ」
 口をついて出た言葉は間抜けな声。時間は夜中の二時ほど。そして――部屋は、電気を付け忘れた所為で真っ暗だった。
「ぁ、あ、あぁあ、あ、あ、―――――――――――――――――――――――!!!!!!」
 暗い部屋、黒、黒黒黒黒、地下室、お父さん、お母さん、
にもうと、兄、菅原、恋日先生、奈月さん、まーちゃん。
まーちゃんまーちゃんまーちゃんまーちゃんまーちゃんまーちゃんまーちゃんまーちゃんまーちゃんまーちゃん――
「―――――――――――――――――――――――!!!!!!!!」
 獣の咆哮。歯軋り、眩暈。――落ち着け、落ち着け僕。僕はまーちゃんじゃない。僕は僕だ。暗闇なんて怖くない。だから、大丈夫だから、
「ぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくはぼくは」
 声、言葉、動く、立つ、足、震え、よろめき、転倒、嘔吐、涙、汗、立つ、電気、電気、電気、紐、明かり……

「は、はっはー、−っは、は、、hhhは、はーー」
 酸素と二酸化炭素の入れ替え立ち代り循環。大丈夫、僕は大丈夫。
「は、は――――……」
 汗が流れ落ちるのを待ち、直ぐ近くに寝ているマユを見た。うん、ぐっすりと寝ている。僕のことなんか気づいてさえいない。
 台所に向かい、昼に先生から貰った薬を飲む。水と一緒に飲み込んで、落ち着いたら寝室に戻り僕の吐瀉物を片付ける。
「よし、寝るか」
 再度、夢の国へと旅立つことを決心した僕。マユの頬を少し撫でてみた。感触としては僕の肌だったが、精神的にはマユ成分を確保出来た。
「……おやすみ、まーちゃん」
 また明日。
0450名無しさん@ピンキー2011/08/09(火) 11:13:00.33ID:jedu9gJn
「はい、じゃあ名簿1番から順々に並んでねー」
 マユの名簿は何番だっけ? ……ああ、29番か、最後の方かよ。
 僕は辺りを見回しながら溜息をつく。左右を見回しても、僕の目に映るのは同じ。

「ねえ、体重どうだったー?」「もーヤバイ! 1キロ太った!」「うわマジ? 身長伸びるかなあ」「もう止まったっしょww」

 保健室に群がる下着姿の女子生徒達、それが今の僕が目にするものだ。今日は学校の身体検査の日だった。
 どうしてこんな日に学校に来てしまったんだろう。朝、学級で担任から身体検査のことを聞かされたとき、思わず硬直してしまった。
 マユは飛び上がって喜び(後に周りの視線が無いとき)、「みーくんの【ピー】が見れるのかー!」なんて叫んでいた。休め、マユ。
 別に下着姿の女子を見ても精神が高ぶったりはしない。マユので見慣れているからな。というわけで僕が制服を脱ぎ始めると、明らかに周りの女子の話の内容が変わる。
「……ねえ、御園さんの見て」「うわ、傷だらけ!」「何あれキモッ!」「足んとこヤバクね? あれナイフ?」「んなもん見せんじゃねーよ!」
 ヤンキーどもめ。マユの麗しき四肢を見て嫉妬しているんだな。嘘だけど。
「あ、えっと……御園さんどうぞ」
 保健室の先生が僕を呼ぶ。返事もせずに体重計に上がった。詳しくは言わないが、マユの体重は平均と比べるとかなり少ない。(3巻のマユのダイエット? 知るか
「……もう少し栄養取りなさい。はい次」
 苦い顔をする保健室の先生。用が済んだのなら早く教室に戻らなくては。制服に着替えていると、次のクラスが入ってきた。
「…………」
 伏見と長瀬がいた。(二人はクラス違う? 知らんよ
 先生に指示されて服を脱ぎだす彼女達。もじもじとちょっと恥らいを持つのはいいことだ。最近の若い子は恥じらいっちゅうもんがねー……
 長瀬は全体的にスラリとしている、健康的なスポーツウーマンってとこか。伏見もスラッとしているが、胸部の所は凄い。気づいていないのだろうが、女子達の嫉妬の目が注がれている。
 僕はというと、数人の女子達の憎悪の視線を受けながら保健室を出た。

「みーくんの【ピー】は【ピー】だったのです! まーちゃんおどろき! みぃんながみーくんの【ピー】が【ピー】って言ってた! 【ピピピピー!!】はみーくんなんだっ!」
 放課後のマユの歓喜の声です。僕はその日久しぶりに枕を重く濡らしました。
0451名無しさん@ピンキー2011/08/10(水) 01:36:05.84ID:n8MBrVRp
キテター!
ガチエロじゃなくてちょいエロでもいいじゃない。
0452名無しさん@ピンキー2011/08/10(水) 17:30:42.83ID:GSswxYBU
 ごめん、ちょいエロだったらこれが限界だorz
 エロにしたい誰かいたら、こっから続き書く? ヘイタッチ(´・ω・`)ノ <ヘーイ
0454名無しさん@ピンキー2011/08/10(水) 21:00:33.66ID:GSswxYBU
いいのかww じゃあ、オチもgdgdになりそうだけど頑張るよ。
時間あるときに書くね。ほんと、ペース遅すぎてごめん!
0456名無しさん@ピンキー2011/08/11(木) 16:40:45.40ID:r9h1KVO5
「みーくん、朝らよー」
「……うん」
 次の日も、僕は僕の顔をしたまーちゃんに起こされた。一体いつ元に戻るのだろうと考えても仕方が無い為、ぼやける頭で動き始める。
 朝の支度をして制服に着替えて学校に行く。
 いつも通りに授業を受け、先生も珍しく起きているマユ(in僕)に、ここ数日驚いて、でも僕が考えているのは授業じゃなくてマユと僕が戻る為の方法で。
「……図書室にでも行くかな」
 小声で呟いて、昼休みの過ごし方を決めた。

「というわけで、図書室へ行こうか」
「分かった」
 朝からずっと寝ていたマユを起こし、手を取って図書室に向かう。マユも周りに人がいる為外向きの顔をしながらついてくる。
 図書室はかなりの数の本があり、まあ人間の心と身体が入れ替わるなんてことを適当に書いている哲学の本もあるかもしれない。
 そして扉に手をかけ、遠慮なく開ける。伏見が本を読んでいた。
「……ぅぁ」
 小声でびっくりしながら、伏見が僕達を凝視する。そういえばしばらく部活に行っていなかったな。戻ったら謝らなくては。
 そう思っている間に、伏見がささっと手帳を取り出して僕達に向ける……いや、それは僕よりもマユの方を向いていた。
『枝瀬』『今日』『部活』『来る』「はてな」
 そして、それに対するマユの返答は、
「……誰ですか」
 ……やばい。伏見の目が驚愕に見開かれてる。態度の冷たさに悲しんでいるというより、その返答の内容に驚いている感じだ。
「え、っと、あ」伏見がおろおろとしているうちに、「みーくんじゃないのに、話しかけないでください」マユがズバッと言い切る。
 伏見はまたまた目を丸くして硬直。僕が何か声をかけようか迷っている隙に、マユは本棚の奥へ進もうとしていた。僕は軽く「気にするな、ゆずゆず」と言いながらマユの元へ歩み寄ろうとし、

「……枝瀬?」

 伏見は、『マユの姿をした僕に』向かって呟いた。
0457名無しさん@ピンキー2011/08/11(木) 17:21:35.51ID:r9h1KVO5
「わたしは御園マユですけ「違う!」ど……」
 即座に否定された。伏見はたたみかけるように喋る。手帳は使わない気なのか握り締めてぐしゃりと皺が出来ていた。
「お前がわたしを分からないはずない! 御園さんしかお前のことをみーくんって言わない! 私をゆずゆずって言うのはお前だけ!」
 ……うーん。伏見は鋭いなあ。将来は探偵になってこの世の悪を裁くべきだな嘘だけど。
 伏見はぐいっと僕に近づいて、口を開こうとする。そして、
「みーくん」
 苛付いた表情のマユが、僕に歩み寄ってきた。
 苦い顔をする伏見は眼中に無いかのようにマユは僕の腕を力強く握って言う。
「何をしてるの。こいつと何話してたの。みーくんはまーちゃんと一緒にいるの。絶対いるの」
 理不尽な理由を僕に押し付けたまま、マユは僕の腕をぐいぐい引っ張ってくる。伏見にちらりと目をやると、やっぱりな! といった顔で僕を見ていた。
 放課後、伏見にちゃんと話さなきゃな。

「みーくうぅぅん! とあーっ!」「ごはー」
 マユが僕に圧し掛かってくる。一応女子の体に男子が乗っかっている状態で重い。
「あのねあのねあのね!」「なんだいなんだいなんだい」
 まーちゃんは喜々とした笑顔のまま、僕の顔に一冊の絵本を叩きつける。
「遂にまーちゃんは元に戻る方法を発見したのです!」
 じんわりと痛む鼻を押さえて、絵本を見る。……なるほど、その絵本は僕らと同じような状況の男女が、キスによって戻るというものだった。
「つまり、まーちゃんたちもちゅーをするのです! ささ、ちゅー!」
 マユが僕に圧し掛かって動きを封じたまま、目を閉じて迫ってくる。……………………うん。

 僕のキス顔とかキモチワリイィィィ!!!!!!! 止めろ、止めろというか止めてくださいまーちゃん! 自分がキスを迫るってどんなだよ! こんなだよ!!
 自分の顔のキスってうわああぁ! 自分がキスを迫ってきてる状態への回避方は!? 想像して早めに回答を出してく「むちゅっ」れっ……

 ……ああ、もう、どうでもいいやぁ……
 そんなとき、本棚の方へ一人の男子生徒がやって来た。……! こいつは……!

「wawawa忘れ物〜、うおぁっ!?」
 オールバックの髪型に、大げさな驚き具合。僕達のキスシーンを見て硬直した数秒後。
「すまん……ごゆっくりいぃ!!」

 谷○、学校違う。というか帰れ。
0458名無しさん@ピンキー2011/08/13(土) 15:47:03.56ID:fB7JIJja
 放課後、マユが寝たままなのを確認した後、僕は真っ先にアマチュア無線部の部室へと向かう。
「ゆっずゆーず」
 扉は軽快に開き、中にいた伏見の肩を跳ねさせる。僕を見た後、一瞬怪訝そうな顔をして直ぐに納得したような顔になる。
『やあ』『こんにちは』
 伏見が座っている丸椅子の隣に、もう一つの丸椅子を持ってくる。そこに座り、伏見と顔を向かい合わせた。
『枝瀬』「御園さんは」「はてな」
「ああ、寝てるよ」
 会話をしつつ、伏見があまり僕の現状に驚いていないことが分かる。ま、どうでもいいけど。
 そして、次に伏見は衝撃の事実を僕に告げる。
『私』『元』「に」『戻る』『方法』『知ってる』
 ……珍しく、目を見開く。伏見の首がこくこくと上下に動く。
「……どんな?」
 伏見は一瞬迷ったような表情になってから、手帳を猛スピードで動かした。
『ショック』『方法』「で」『頭』「ごっつんこ」「神経」『性別』「むきゅ」
 最後のは僕が伏見の頬を摘んだために起こった声だ。大体分かったぞ、伏見の言いたいことは。頭突きをし合って僕とマユの頭を苺ジャムのようにすればいいということだな、嘘だけど。
「オーケー、分かった伏見。ありがとうございまする」
 言いながら頭を撫でてみる。伏見は部屋が暑いのか頬が赤い。
『問題』「ナッシング」「お、おけー?」
 伏見の言葉は、理解しづらいな。

「みーくん、まーちゃん眠い」
 帰宅途中の道で、マユがうとうととした目で僕を見る。といっても僕の顔だから可愛いとは感じない。
「最近は遅く起きれたのにね……よーし、早く帰っておねんねしよっかー」
「ムキー! まーちゃん子供じゃなーいー!」
 バタバタと足をばたつかせるマユは、どう見ても子供だ。
 僕は適当にマユをなだめて、歩みを速くした。
0460名無しさん@ピンキー2011/08/18(木) 16:44:43.33ID:kMsJFOxR
 その夜、僕は夢を見た。
 白い部屋に僕がいる。壁と地面と天井の区別が付かないほど真っ白な部屋の中、不意に一人の女の子が僕の前に現れた。
「まーちゃん?」
 その女の子、マユは小学生の頃の姿をしていた。僕自身の体を見てみると、同じように小さくなっている。某探偵アニメのような薬は飲んだ覚えが無い。
「みーくんだ! あのね、まーちゃんね、みーくんにお願いがあるの!」
 くるりと回って、スカートをひるがえらせたマユ。にこりと笑ったまま、僕に言った。
「まーちゃん、みーくんになりたい!」
「……もう、なってるでしょ?」現実では。
 マユは頬を膨らませて憤慨する。足でぴょんぴょん飛び跳ねて地面を揺らす、震度は2ぐらいか? 勿論嘘だ。
「じゃあどーすればいーのー!」
「さあ? ……取りあえず僕は一度元に戻りたいんだけどな」
 マユは嫌がるだろうか。なんて考えを持っていると、マユがぽんと手を叩く。
「おお、盲点だった!」
 ……マジ?
 マユは僕の手を掴み、ぐいっと引っ張る。途端に、僕の体は重力に喧嘩を売り出しながら宙に浮かぶ。あー、夢って素晴らしい。
「いつまでもみーくんのままだと、まーちゃんはしてもらえないことがあるのです!」
「え、どんな?」
 マユは、僕の手に頬を付けて、すりすりと撫でる。そして僕をチラッと見た。……ああ、成る程ね。
「じゃあ、まーちゃんは元に戻ってくれるの?」
「うん! そしてみーくんも戻って二人でラブラブランデブー!」
 マユが叫びながら、空を泳いで壁に突撃する。ガラガラと白い壁が崩れ落ち、空いた穴から真っ暗な空間が顔を出す。
 マユは躊躇せずにその空間に入っていく。
「……起きたら、戻れるのかな」
 僕も呟きながら、その空間に飛び込んだ。
0462名無しさん@ピンキー2011/08/20(土) 16:08:19.33ID:aqFWmNlr
「おにょーーーーーーー!!!!!!」
 朝、僕はマユの奇声で目が覚めた。……ああ、デジャブ。
「……まーちゃん? ――グフッ!」
 僕がマユに言葉を投げかけるのと同時に、腹の上に重量感。だけどその重量感は最近のものとは異なっていた。
「みーくん、みーくん、みっくーん、みーくんくん、みーくーん、みーくーるー、大変なのです!」
 初日と同じ台詞を叫ぶマユ。そしてぼーっとしている僕の頬を叩き、完全に目を覚まさせた。

 マユがいた。

「……おお」
 現状把握。理由もきっかけも何も無いはずだったけれど、どうやら僕とマユは元に戻ったらしい。
「まーちゃん、戻っちゃった! しょーしん!」
 ショボーンと自分で口に出した後、マユは破顔一笑して僕に笑顔を向ける。
「で、でで、でねみーくん!」
「なんだいまーちゃん」
 僕がマユに顔を向けると同時に、マユは僕に頭を向けて来た。
「…………」
 それは、夢で見たものと同じ光景で――多分、マユがして欲しいことも同じことだろうと、僕はマユの頭に手を乗せ、左右に動かした。つまりは頭を撫でた。
「……よしよし」
「へへー……みーくん、大好き!」
 おわー、まーちゃんが飛び掛ってきたぞー。
 マユは僕にのしかかったまま、僕の唇に自分の唇を合わせた。そして見とれるような可愛い笑顔で、僕に言う。そして僕もマユに答える。

「みーくん、×してる!」「僕も×してるよ、まーちゃん」
0463名無しさん@ピンキー2011/08/20(土) 16:09:03.16ID:aqFWmNlr
 とりあえず終了。グタグタ&エロ無しでごめんね。見てくれた人ありがとう。
0466名無しさん@ピンキー2011/08/29(月) 14:00:54.31ID:EAYcJxy7
湯女のが見たい!
あ、黄鶏くんと多摩湖さんも…
04714132011/09/01(木) 23:30:27.84ID:KQMPseql
>>399の前日談と>>412(と同時期)の一樹視点ならどっちが需要あり?


聞くだけ聞いて書かない可能性もゼロじゃないけど。
もっかい息抜きに何か書きたい気もする。
04774132011/09/03(土) 11:00:51.04ID:pzH/fTVT
まさかの一樹需要。電波女の方が書き易かったのに…(←じゃあ需要を聞くな)

ネタ自体は頭にあるので、一週間以内にざっと書いてみます。
0480名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 19:05:47.13ID:c7Zvab4F
ふだんあんまりこんな事は言わないんですが、あえて今日は言いましょう。


このロリコンどもめ!!
0481名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 19:05:59.96ID:c7Zvab4F
この町には『ころしや』がいる。間違いない。
もう半年、誰も殺されてない。だからみんな無かったことにしようとしてる。
『ころしや』はどっか行っちゃったんだって。

だけどあたしにはわかる。

『ころしや』はずっとすぐ近くにいる。ぜったいいる。

「こーたくん、かーえりーましょー」

出てこい、『ころしや』。はやく。

はやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやくはやく。

「……うん。先にゴミすてに行ってからね、長瀬さん」

このエサをあげるから。




0482名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 19:06:14.48ID:c7Zvab4F
「るんるんらら〜ん」

空いた両手をぶらぶらさせ鼻歌を歌いながらのんびり歩く。
ほら、あたしはこんなに油断してるぞ。早く来い。

「ああ…長瀬さん、そっちに行くと遠回りになっちゃうよ」
背中から聞こえてきた小鳥みたいな声に振り向くと、ゴミ袋を重そうに抱えたこーた君が教室2つ分くらい向こうでノロノロしてた。
いけない、離れすぎちゃったか。少し待ってよう。

「ららら〜。
むひゅひゅ、いや〜ん。あなたと2人っきりになりたいなって、おとめごごろなのに〜」
「あう……」
あたしの言葉にこーた君が真っ赤になってうつむく。
その横顔はとってもキレイで、女の子のあたしよりずっと女の子みたいだ。

ううん、顔だけじゃない。

「よいっしょ……」

真っ白な肌。細い手足。ゴミ袋を持つだけでふらふらしちゃう弱さ。
女の子よりもずっとずっと美味しそう。
だから人を沢山殴って手がゴツゴツのあたしからは、一瞬目をはなすはずだ。

「う〜ん、今日もこっちの校舎裏はだーれもいないわねぇ〜」
「うん。
この辺の教室は第二理科室とか物置みたいな教室ばっかりだし、焼却炉に行くにもすっごく遠回りだからね。
………だから明日も明後日も、誰もこないよ」
バカなこーた君。なんにもわかってない。
『ころしや』は来るんだ。あたしを狙って。
あたしにはわかる。『ころしや』は悪いやつを殺しに来る。ねーちゃんみたいに、悪い事をした人間を。

ねーちゃんは、まぁ悪いねーちゃんじゃなかった。
高校生だったのに小学生のあたしよりずっと弱くて、にぶくて、バカなねーちゃんだったけど、でもまぁ優しかった。
友達も結構いたみたいだ。とーるも連れて来てくれたし。
だけどねーちゃんは悪い事をしていた。何かはもうわからないけど、弱いねーちゃんは毎日毎日それを怖がってた。
だからねーちゃんは殺された。『ころしや』にグチャグチャにされて。

ねーちゃんよりももっともっと悪い事をしたあたしは、グチャグチャのゴリゴリのズタズタのドロドロにされちゃう。
そうに決まってる。
なんでみんなわからないの?いつだって狙われてるんだよ?なんでみんなそんなすぐに忘れてしまえるの?
『ころしや』を、誰かがいなくなる怖さを、ねーちゃんが殺された事を、自分がやった悪い事を。
0483名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 19:06:33.70ID:c7Zvab4F
「よっと……。うん、これで今日のゴミ捨て当番はおしまいだね」
「おつかれさまでしたー」

あたしはグチャグチャのゴリゴリのズタズタのドロドロになりたくない。
そのまきぞえで、おとーさんやおかーさんや、大好きなとーるにケガもされたくない。
だから決めた。『ころしや』を殺そうって。

「じゃーかえりましょ」

だから今日もあたしは、こーた君を横に置いてる。
おとーさんやおかーさんを離して。とーるから離れて。いっぱいガマンして。
作戦はこうだ。
キレイなこーた君に目をうばわれた『ころしや』に向かって、こーた君を突き飛ばす。
体勢をくずした『ころしや』をあたしが殺す。グチャグチャのゴリゴリのズタズタのドロドロになるまで殴り続ける。
そしたらあたしは助かる。きっとこーた君は死んじゃうだろうけど。

「うん……」

ふやふや笑うこーた君を見てると、ちょっと可哀相だなって思うけど、あたしが助かるためなんだからしょーがないよね。
どうせこーた君は幸せになれない子なんだから、あたしが生きてたほうがずっといいよね。
…もちろんあたしだって、こーた君に死んで欲しいわけじゃないよ。悪い事をしてるわけじゃないんだよ。
ちょっとでも死ににくくなるように、頑丈になるように、毎日殴ってあげてるじゃないか。
キレイな顔や手足に傷が残らないよう、せいいっぱい気をつけながら。
そうだ。毎日あたしは頑張ってる。こーた君もそこそこ頑張ってる。

「あんずを迎えに行ってからね」
「………………………」
嫌だ。

あの小さいのは全然頑張ってない。なんにもしてない。
なのに、こーた君から優しさを当たり前みたいにもらってる。もらえるのが当たり前だって、ありがとうも言わない。
あんなののために時間を使うのはムダだ。

「………それじゃ、行くね」
「あっ…、れっつごー!」
だまってるあたしを置いて、すたすたと歩き出したこーた君をあわてておいかけて、右に並ぶ。
ムダなのに。
なのに、今日もあれのところに歩いてく。
しょーがない。このときだけはこーた君はあたしの言うことを聞かない。
どんなに殴っても、蹴っても、立ち上がらなくなるくらいに痛くしても、ナメクジみたいにズルズルとあれの所へ行く。
あたしを1人にしちゃう。

なんで?
いっぱいお菓子もお金もあげてるのに。『あたし』だってあげてるのに。
なんであたしの事を1番にしてくれないの?
0484名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 19:10:56.72ID:c7Zvab4F
来週までにもうちょっとやる気が出たら弱エロパートも書くかもです。
私エロは門外なんで、書くのが疲れる=エロパートは『息抜き』にならない……。

ロジックが微妙に繋がってないのは、視点が壊れてるからです。
タイトルが無いのはダルくて考えるのが嫌になったからです。だめじゃん。
0485名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 19:14:28.82ID:c7Zvab4F
書きながら思ったけど、
こーたは『長瀬がとーるを忘れてるふりをしてる』と、気付いてる事にしといた方がよかったな。
全部わかった上で、横に居てあげてる的な。
0486名無しさん@ピンキー2011/09/05(月) 17:26:17.52ID:0VGX+QRE
それでもいいし、そうじゃなくても良いと思うぞ。
面白い。期待してる。
0488名無しさん@ピンキー2011/09/06(火) 02:39:53.43ID:16eKakPF
これでせめて一樹の心情が所有欲とか依存心だったら救いがあったのに。
こーたくんマジ頑張れ。続き期待。
04894852011/09/09(金) 22:38:42.78ID:mz3Mv9nx
すみません。ちょっと今週は書けなかった…。
0491名無しさん@ピンキー2011/09/16(金) 20:12:41.35ID:vHLnWN/v
そして誰もがいなくなった。

…………嘘、だよね?ww
0492名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 21:45:20.60ID:10CKRQAY
 )ノ
(__) <嘘だへど
(\_)
(__)
||

というわけで妄想ポイントが貯まったので、よければどうぞ↓
0493名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 21:49:20.05ID:10CKRQAY
少し忙しい日だった。
右腕を骨折して入院していたイトコが帰ってくる日だったから。

お母さんは、朝早くから何やらメモ用紙にせっせと書き物をしたり、
足りない画鋲を家中の壁という壁から調達してきたり、
冷蔵庫をきれいにしたりと忙しそうにしていた。

聞くと、今日帰宅するイトコの退院祝いの準備だという。
イトコの帰りが遅れた時は冷蔵庫の中から救出するよう頼まれた。どうやら冷蔵庫に入ってイトコを待つらしい。
身体を張って出迎えをするなんて、お母さんはすごいなー。
わたしもイトコのために何か準備をしようと思い立った。


私は、イトコのお見舞いに行かなかった。
行く気がなかったわけじゃない。何度も行かなきゃと思ってはいたけれど、
あの日のショックで頭がこんがらがっていて、しばらく整理がつかなくて、
飛び降りたときに、イトコが大怪我をしてしまっていたことも手伝って、
どんな顔をしてイトコに会えばいいのかわからなかったから。

お母さんがお見舞いに行くときに、なんとか勇気を振り絞ってついて行こうとしたけど、
傷だらけの心がひりひりと痛んで、外の空気に触れられなかった。
結局今日まで電話一本してなくて、このままだと後ろめたさで布団から出られなくなりそうなので、今日はしっかりイトコを出迎えたい。
0494名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 21:58:10.86ID:10CKRQAY

最初にするべきことは、すぐに浮かんだ。
イトコに会ったら、まずはちゃんと謝ろう。
イトコはわたしのために怪我をしたのだから。私も去年同じことをしたから、あの息の詰まるような骨折の痛みがよくわかる。
ちゃんとくっついたかな。

それと、お礼がしたい。
わたしにもう一度飛ぶ機会をくれたこと。
イトコが一緒に飛んでくれなかったら、私は今でも踏ん切りがつかず、宇宙人にも地球人にもなりきれなかったろうから。


それで、お礼に何をすればいいだろう。部屋に戻って、わたしは考える人になる。全裸にはならないけど。
順当に思いつくのはプレゼントをすることだけど、どんな贈り物をすればいいのかわからない。
会って日が浅いこともあって、イトコの趣味や欲しいものについての知識が乏しいし、それとなく訊いてみることも今からでは不可能だ。用意できるものにも限界がある。
すぐに用意できて、イトコのにーずに応えられるものは、と思いを巡らせて、

「あ、」
ひとつ思い当たる節があった。確か、飛び下りの日の前夜のこと。
お母さんとイトコがトランプか何かで盛り上がっていた時、わたしは人恋しくなって、イトコの部屋の前で聞き耳を立てていた。
そのあと部屋に戻って寝てるときに、イトコの何やら悲痛な叫び声に起こされたから、あの日のことはよく覚えている。まったく迷惑なイトコだ。
思い出したわたしは、さっそく衣装棚へ。
0495名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 22:03:17.14ID:10CKRQAY
開けたのは上から三段目、つまりは下着類の引き出し。

イトコはあのとき確かに言っていた。勝ったらギャルのパンティーくれ、と。
幸いパンツなら部屋にたくさんあるし、プレゼントはわたしのパンツで決まりだ。
せっかくだから、お気に入りのやつをあげることにする。この白地にリボンのがいいだろうか。そっちのブルーのやつもフリルが可愛いかも。
でもやっぱり水玉かな。お気に入りと別れるのは寂しいけど、そのぶん気持ちも伝わるから。


…あれ?
その水玉模様のパンツが見当たらない。洗濯中だっけか。

…まさか。
とっさに部屋の入り口に顔を向けて耳をそばだてる。お母さんが上がってこないのを確認して、おもむろにワンピースをぺろり。

「……」
やっぱり。
一番のお気に入りである水玉パンツには今、わたしの両脚がはまっていた。

…どうしよう。
これを脱いでプレゼントするべきか、ワンピースの裾を持ち上げながら、しばし迷う。
お母さんによるとイトコは匂いフェチだそうだから、わたしの匂いがついたのをプレゼントしても、失礼にはならないかもしれない。

匂いフェチかー。
裾をつかんだまま、自分の手の甲をすんすん。
正直この匂いがいいのか悪いのか、自分ではわからないけど、イトコにはイトコの事情があるのだろう。たでくうむしもすきずきっていうしなー。
プレゼント、これにしようかなー。
嗅ぐのかなー。
わたしの、




0496名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 22:08:08.20ID:10CKRQAY
「ひぅ…」

イトコが直接わたしのそこに鼻を寄せるさまを想像してしまい、慌ててワンピースを押さえて閉じた。
動悸が急に高まって、耳とほっぺに血が集まってぞわぞわする。

穿いたパンツをプレゼントするということはつまり。
パンツはその…そういう部位に密着しているわけで、
そこにあるのは皮膚だけじゃなくて色々あって、当
然そこの匂いがついてるわけで、わたしはこの
パンツを今朝から穿いているわけで、そんな
に時間は経ってなくて、でもさっき小さ
いほうに行ったりしたわけで、でもち
ゃんと拭き拭きしたわけで、だけ
どちょっと不安で、イトコの鼻
がわたしより高性能だった
らどうしよう。取りあえ
ず脱いで匂いを確かめてみ「エリたーんマコくん今からタクシーに乗るってー」「ひぎぃ」

お母さんの声。勢いでパンツを下ろしかけた格好のまま固まる。両手にワンピースの裾がぱさり。
首だけきりきりと部屋の入口に向けるけどお母さんはいなかった。声は一階からかな。

「わ、わかったー」
か細い声で応じる。最近のわたしは、大声が得意じゃない。
よろしくねー、というお母さんの声に再び応じてから、ほっとひと息。


危なかった。
冷静に考えると何が危ないのか微妙にわからないけど、とにかくひと息。次いでパンツ穿きなおし。
変な声が出てしまった。「ひぎぃ」だって。お母さんに聞こえなくてよかった、気がする。
この言葉からは何かイケナイ香りがするのだ。そういう電波を受信したのだ。
0497名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 22:15:35.89ID:10CKRQAY
こほん。

改めて依頼品を…じゃなかった、改めてわたしの股間を覆うプレゼント候補について考える。

穿いたパンツをプレゼントするということはつまり、わたしのそこやそれらの匂いを嗅がれてしまうということだ。
イトコがわたしの二の腕の匂いを嗅ぐ程度であれば気にすることもない(かな?)けど、さすがにそれとこれとは話が別だ。
その、小さいほうの匂いを嗅がれるのは、さすがに。

……それだったら、これといって匂いがしなければ問題ないのかな? ああでも、それじゃ匂いフェチのイトコのにーずに応えられないかも。ううむ。

とにかく、固まっていても仕方がない。イトコはもうしばらくで家に着いてしまうし、そろそろ決断しないといけない。
そう、これはおとしまえというやつである。これからもイトコと暮らすための。
覚悟を決めよう。
わたしはこのお気に入りのパンツを脱いで、イトコへのプレゼントとしよう。

思い切ってワンピースの中に両手を差し入れ、パンツに親指をかけ、そこで階下に耳をすませるのを忘れない。
お母さんが上がってこないのを確かめてから、ゆっくりと指に力を込める。けっして焦らず、パンツを下ろし始める。
0498名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 22:22:49.88ID:10CKRQAY
……ああ、またイトコの幻覚が、わたしのそこに鼻を寄せる。
まるで電柱に張りつく犬のように、真剣にわたしのその部分に鼻をうずめて、
目を閉じて、
本人は深呼吸のつもりらしい浅い息をついて。

………………。



……ちょっと可愛いかも。

そうしてじゃれついてくるイトコは普段の意地悪ばあさんな様子とは違っていて、本当に動物みたいで。
なんだか、母性本能を刺激するのだ。わたし、エリおかーさん。
犬より猫が好きだけど、たまには犬もいい。


「……ふふ、イトコ?」
架空のイトコの頭をそっと両手で挟み込む。
ワンピースの裾は顎で押さえて、わたしの腰は心なしかゆらゆらと楽しげに揺れている。

「もっと……もふもふする?」
腰のゆらめきに方向性が加わり、縦運動を始める。
わたしのそこは架空イトコの鼻に軽く押しつけられては離されて、
そのうちにイトコもわたしの動きに合わせはじめて、
なんだか不思議な感じ。
このままどこまでもいってしまいそうなとーすい感が、わたしの頭を痺れさせ「エリたーんお母さん冷蔵庫に入るからー」「みぎぃ」

またもお母さん。架空イトコを誤って握りつぶすわたし。
はずみでワンピースが落ちて、両手に被さる。

「わ、わかったー」
もう一度か細い声で応じる。最近のわたしは、大声が得意ではない。
よろちくねー、というお母さんの声に再び応じてから、
0499名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 22:27:18.89ID:10CKRQAY
一息つこうとして、うまくいかない。
動悸に押し上げられて肺が浅い息しかついてくれない。ほっぺに集まった血はもうにじみ出てきそうなほどに火照っている。頭痛い。

勢いに乗って開いてはいけない扉を開きかけていた。
少しずつ冷静さを取り戻していく頭にほんの十数秒前の自分が蘇ってくる。やめて蘇るのやめて。

もっともふもふする? だって。もふもふってどういうことだろう。
こう、わたしの股間に、イトコの、鼻が、こんな風に、

「ひゅぅぃ」
指で軽くなぞった瞬間、全身の毛が逆立ったので、慌てて引っ込めた。

そろそろ歯の根が合わない。いま鏡を覗いたら、記録的な赤色を見られると思う。
こんな顔イトコには見られたくない。布団すごく巻きたい。
勇気を振り絞ってもう一度ワンピースをめくりあげてみようとしたけど、今度こそ無理だった。お気に入りプレゼント作戦、失敗。


「……はぁ」
なんだかすごく疲れた。もうイトコは着いてしまうし、仕方がないので別のパンツにしよう。
衣装棚からリボンのパンツを取り出して握りしめてから、あらかじめ巻いて結んでおいた布団に、膝まですっぽりと収まる。

おもてで車のドアが閉まる音と走り去る音が響いた。多分イトコの乗ったタクシーだろう。いよいよだ。

布団の内側の闇が、吐息で急に熱せられるのを感じる。
わたしの顔が火照っているのは、暑い布団の中にいたせいだと、イトコは勘違いしてくれるかな。

〈おわり〉
0500名無しさん@ピンキー2011/09/24(土) 22:33:32.52ID:10CKRQAY
以上です。

書いているうちに、エリオの性格がだんだんわからなくなってきた…
0504名無しさん@ピンキー2011/09/26(月) 13:58:02.41ID:gy0w/2fo
GODJOB
このあとイトコに調教されちゃうんですねわかります
0511名無しさん@ピンキー2011/10/18(火) 12:14:11.25ID:yVwJbTIV
「みーくん」
「ん……なんだい? まーちゃん」

 わたしが呼ぶと、こっちに振り向いてくれるみーくん。
 優しくて、格好良くて、大好きで大好きで大好きで大好きで大好きで……わたしが世界で一番×している人。

「みーくんはー……わたしのこと、好きぃ?」
「勿論。見目麗しいまーちゃんのことを嫌いなみーくんなんてこの世に存在しないさ」

 そう言ってわたしの頭を撫でるみーくん。

「んふふー! みーくん、だーいすき!!」

 わたしはニコニコ笑いながらみーくんに抱きつく。そのままうりうりと頭を擦りつけ、みーくんからわたしの顔が見えないようにする。

「みっいっーくん。みーぃーくん。みーっくーん」
「好きだぜまーちゃーん」

 他愛も無い会話を続けるわたしたち。不意に思う。今、みーくんにこの事を言ったらどんな反応をするのかな、と。
 慌てる? 青ざめる? 叫ぶ? それとも泣いちゃうかな? みーくんの泣き顔は見てみたい気もする。……ああ、いや、違う。


 あなたは『みーくん』じゃなかったよね。


 「みーくん」気づいてる?「みーきゅーん」わたしは知ってるの「大大大だーい好きなのです!」あなたが『みーくん』じゃないって。

「僕もだぜ、まーちゃん」嘘つき。

 あなたはわたしのことが好きなんじゃない。『まーちゃん』が好きなんだ。『わたし』を見ないで『まーちゃん』だけしか見ていない。
 でも『みーくん』はわたしが殺した。優しくて格好良くて大好きで大好きで大好きで大好きで大好きで……わたしが世界で一番×していた人。
 ごめんね、『みーくん』。
 今の『私』はこっちの『みーくん』が、×くんが大好きなの。……ごめんね。ごめんね。ごめんね。

「みーくん……世界で一番、×してる」

 ごめんね。



 何となく書いてしまった。10巻後だと思ってる。……正直すまんかった。
0512名無しさん@ピンキー2011/10/19(水) 00:53:29.46ID:3QVqJZv5
いいよー、いいよー
GJ
治ったら治ったで大変だよなあ
0514名無しさん@ピンキー2011/10/20(木) 17:55:30.28ID:zwboGaBf
マユが回復したらみーくんは用済みだもんな。
もしこうなったらみーくんはどうなるんだろうか。
0515名無しさん@ピンキー2011/10/22(土) 22:02:01.80ID:SP4+zWN5
用済みになった×君はゆずゆずが責任を持って回収するよ
0517名無しさん@ピンキー2011/10/24(月) 17:05:06.16ID:+0rpDQK6
じゃあ上半身はゆずゆずが、下半身はせがせが(長瀬)が持って行くといいよ
0519名無しさん@ピンキー2011/10/31(月) 03:43:38.53ID:1Nt5BOII
十巻まで読んでおいて回復したらみーくんが用済みだと思ってるやつが居ることにびっくりだ
0520名無しさん@ピンキー2011/10/31(月) 09:32:39.59ID:/RuNO8nW
まだ一巻しか読んでないけど、
みーくん捨てて他の男とホテルから腕組んで出てくるシーンとかあれば寝取られ厨の俺大歓喜。

まぁ無いだろうが。
全巻買ってきたから続き読むし。
0524名無しさん@ピンキー2011/11/20(日) 20:19:55.84ID:FtJ9nROq
敢えてカイショーと主人公(『僕』の方)で挑戦してみようとしたら
どんなに状況的に追い込んでも漫才しかしてくれない…
0526名無しさん@ピンキー2011/11/21(月) 13:56:39.83ID:tOqS4b+q
リョナまではいかないんだけど
まーちゃんが痛がったり苦しんでるの想像するとえらい興奮してくる。
でもまーちゃんSSは甘々なのばかりなのでそういう需要はないみたいね。
05275242011/12/04(日) 05:46:06.23ID:PNSubOVY
「出来ない」って言うと出来るの法則で、頑張ってたら書けました
書けたのはここのおかげということで、投下させていただきます

組み合わせはカイショーと弟子です
糖度がやたら高いのでご注意を
0528弟子×カイショー(1/11)2011/12/04(日) 05:46:37.63ID:PNSubOVY
 甲斐抄子の部屋に行ったら、甲斐抄子が居た。当たり前だ。
 だけど僕は目が点になった自分をコミカルに想像してお茶を濁すほど衝撃を受けている。
甲斐抄子に至っては慌てることすら諦めてのんびり起き上がり、こっちを向いた。
 タオル地のゆるいワンピース(バスタオル巻く代わりに着るようなやつ。リラッ〇マ。というかこんなもん持ってたのか)
を着て、髪も乾かしてない甲斐抄子だ。
 その甲斐抄子が、口を開く。
「女の子の部屋に勝手に入るとはいい度胸ですね」
「はは、忘れ物取りに……。まだ風呂かなと思ってこっそり」
 睨みつけられる。
 僕はさっきまで甲斐抄子の部屋でうだうだしていた。甲斐抄子がそろそろ風呂に入ると言うので帰り、
自分の部屋についてから小説に関するメモの入ったノートを忘れたことに気づいて慌てて引き返してきたのだ。
「っていうかそういうのって風呂前に済ませて風呂でまとめてさっぱりするのが普通じゃないか?」
 それか風呂で済ますとか。
 わけのわからない現実に思わず変な指摘をすると、甲斐抄子は立ち上がり、べしんと僕のパーカーを叩く。って、
「う、わ、べとべとした手で触んな」
「黙りなさい。大体私はあなたみたいな人と違って普段からこういうことをするわけじゃないのでそんな計画性あった方がいやです」
 涙目にすらならずにまくし立てる。間違いなく甲斐抄子だ。
 なのに、見たことがないくらい血色がいいからだろうか。一応…………色気が…………あと可愛い。なにこれこわい。
「あーごめん。ちょっと驚いただけだから。ごめん」
 流石にひどい現場を押さえてしまったので、出来るだけ誠実に頭を下げた。
よく考えなくても、僕だって見られたらショックだ。
「許しません」
「……えー」
「お嫁に行けません」
「むしろ元から行けな……あたっ」
 頭を叩かれそのまま黙り込まれた。状況を上手く丸める術が思いつかない。
「誰にだって性欲くらいあるし間が悪いやつだってきっと世界中に居るよ。僕も運悪く母さんが……」最悪の台詞だ。
「……勘違いしないでください。そういうんじゃありません。今日はちょっと、寂しくなっただけですから」
 頭を上げると、じわじわショックが浸透してきたのか、あの甲斐抄子が涙目になっていた。
辛いもの食べたときとか以外で初めて見た。言ってる内容もあまり言い訳になっていない。
甲斐抄子なりのしどろもどろなのかもしれなかった。
 ム〇ゴロウさんして怒らせてごまかそうとして右手を頭に乗せる。
 何故か、手つきが優しくなってしまった。あれ?
「勝手に人の頭触らないでください。怒りますよ」
 あれ? ちょっと声が甘いだけで充分脅威になっている。
 これはまずいのではなかろうか。
0529弟子×カイショー(2/11)2011/12/04(日) 05:47:01.75ID:PNSubOVY
 気まずい方がまだマシな沈黙の中、甲斐抄子は頭を振って僕の手を振り払う。
「私の湯上がり姿にくらくらしているようですね」
 見事な棒読みで、どう考えてもネタ振りだった。湯上りとかじゃねえよってつっこみは野暮そうだ。
「……え…………あー………………くっそ」
 上手い返しが浮かばなかった。
「えっ、本当にくらくらしちゃってるんですか」
 甲斐抄子は目をまんまるくして純粋に疑問を投げ付けてくる。
「して……してるわけが………………すみませんでした」
 子供みたいな目に晒されて、ついに嘘がつけなかった。
 今度は平気そうにしている甲斐抄子とは対照的に僕が一方的に気まずい。
 甲斐抄子は口の中で何やらもごもご言っている。
「……ほんとに早漏だった……」
「ちょっと待ったー」
「え?」
「漏れてねーし。っつーかギリギリ起き上がってもねーし!」
 要らんことまで暴露していた。
「……ギリギリ」
「そこで顔を赤くするな生娘か」
「イエスですが何か文句でも童貞」
「っ……うっせぇやい、全部小説に捧げてきてそんな余裕なかったんだよ」
「あなたの場合は募っても相手が居ないんじゃないですか?」
「そうだよ居ないよ。大体きみは可愛いんだから比較対象にすんなよ」
「…………………あなたの口から、可愛いなどという言葉が、出て、くる、とは……」
 ミスった。どっちからしても破壊力が高かった。
「あのさ……そんな顔されると、過ちもいいんじゃないかって思えてくるから……」
 やめてくれ。
 最後の言葉だけ何故か呑み込んだ。それは、わざとだったんだろうか。
「…………奇遇、ですね……」
 おずおずと指と指を触れさせるようにして、その言葉は耳に入り込んでしまう。
 僕は放火された。
 指も瞼も耳たぶも発火している。気管支が既にちょっと気持ちいいのは、もう仕方がないことなんだろう。
 暖房のきいたこの部屋では、余計に喉が飢えてしまう。思いつく水源は目下にあった。
触れて、触って、こじ開けて、舐めとって、自分の涎ごと吸いこんで……
考えるまでもなく他人の唾液に食らいつく辺り、どうかしている。気づけば肩を抱いていた。
「い、たい」
「ごめん」
 言われてからやっと、強く吸いつきすぎてしまっていたことに気づく。それと眼鏡。
 片手で眼鏡を外して適当なところに置きながら、離れない体と裏腹に頭では
やっぱりやめようかという思考がちらついた。お互いインドア派が極まっているので既にかなり息が荒い。
 甲斐抄子がこちらを見上げて、目が合う。
「やさしくしてください」
「……はい」
 今度はそっと唇を合わせる。少し、照れた。
 途中から柔らかい動作の方が唾液が溜まっていくのだと気づいて、もう少し効率的になって、息継ぎをして、
そんなことを続けていると、舌も歯も内壁も唾液もどちらのだかわけがわからなくなっていく。
手のひらが触れているこわばり気味の背中は少しずつ弛緩している気がした。
0530弟子×カイショー(3/11)2011/12/04(日) 05:47:28.09ID:PNSubOVY
 途中で息が苦しくなって、どちらからともなく口を話す。腕は完全に回して抱きすくめていて、
一旦とはいえ離す気にもなれなかった。というか顔を見ていられないので抱きしめた。
 呼吸だけをする。ややあって、甲斐抄子が口を開いた。
「このまま、最後までします?」
「…………したい。ごめん」
「謝らないでください。私も同感ですから」
 甲斐抄子のおでこが僕の肩を好きになったようにじゃれる。長い髪がふわふわ乗っているのが、
見えなくてもわかった。シャンプーの匂いがする。
 それから、軽く胸を押される。甲斐抄子は僕の力が抜けたのを見計らって腕からすり抜けると、
引き出しから小さな何かを取り出した。小さめの……見えない。
「まさか役立つ日が来るとは思っていませんでした」
「え」
「友達がメーカーを間違えたからいらないと言って押しつけてきたんです」
 その前にそれ何、と聞こうとして自分の馬鹿さ加減に気づく。……師弟で背負うリスクなんて
監督された作品の設定ミスとかくらいで十分だっていうのに。
 言い訳をさせて貰えるならそれの出番がない人生すぎて『メーカー』という単語と繋がらなかったのだ。
あと眼鏡。そりゃあ、色々並べて売ってあるんだからさ、メーカーくらいあるさ。
「助かります」
「いえいえ」
 甲斐抄子は部屋の照明をそっと落として、小さな豆電球だけを残す。
 とことこ歩いてくる足音が妙に可愛らしくて、こちらからも歩み寄ってもう一度抱きしめた。
間抜けな足取りで布団の上まで移動する。歩くにも止まるにも躊躇わない。間取りをかなり把握しているなぁ、
と他人事のように思った。
 前傾姿勢にならなければ肩が遠くて、逆に言えばちょっと前傾姿勢になるだけで白い肩口がすぐそこだ。
特に思うところもなく口をつける。あと舐める。甲斐抄子の皮膚の味なんかとっくに知ってるはずだったのに、
不思議な感慨だ。本能全開だった。
 甲斐抄子の手は背中には回ってこないけど、僕の胸の前で布を掴む手のひらは、僕を受け入れている気がした。
 意を決して体を離して、貧相だ貧相だと評してきた胸をタオルの上から触る。ひよこでも撫でているような、
妙な気分だ。さっきみたいに痛いと言われてしまわないように最初から加減をする。
 それからタオル地のワンピースをはだけさせて直接触れてみた。
 僕の手が熱いのか、肌の表面は冷たく、柔らかい。乳首だけが手ごたえを感じさせているように錯覚すらする。
「冷たいな」
「そっちはあったかいです」
 甲斐抄子は会話で止まった僕の右手を両手で掴んで、胸に押しつける。どうやら心臓吐きそうなのは
僕だけじゃないようだった。
「……ほっとしますね」
 手のひらの熱がお気に召したようだ。
0531弟子×カイショー(4/11)2011/12/04(日) 05:47:49.88ID:PNSubOVY
 甲斐抄子は、暫く惚けたと思いきや今度は僕の服を脱がしにかかる。
「ずるいです。あなたも脱いでください」と言いながらパーカーを脱がせてきたのでTシャツも脱いで半裸になる。
ズボンも適当に脱ぎ散らかしておいた。あ、靴下脱げた。
 その辺りで攻守交替ということで、しゃがんで背中と膝の裏に手を回して座らせる。
「ひゃ」
「どっこいしょ」
「突然怖いじゃないですか。何か言ってくださいよ」
「じゃあ、触っていいっスか」
「え、あ、どうぞ」
 どんなテンションだ、と言いたげに睨めつけられた気がした。それは僕だって言いたい。
 軽く口を合わせて、頬を手で包む。小指で耳を触ってもう一度して、止まらなくなる前にターゲットを
首筋に鎖骨にと移す。
 胸の真ん中でちゅっと音を立てた辺りで、甲斐抄子の手が首に回された。
 僕も胴体に手を回して、背中をつーっとなぞった。甲高いような力が抜けたような声が降って
後頭部をぎゅっと掴まれて、反射的に怒らせてやいないかと思う。だけど、何もかも、やめる気にはならなかった。
ワンピースはもう了解も取らずに下げられるところまで下ろす。
 へその横に鼻先を押しつけるようにして口づけると、消え入りそうな声で「恥ずかしいです」と聞こえた。
 甲斐抄子が腰を持ち上げて僕がワンピースを完全に脱がせると、甲斐抄子は全裸になった。儚い装備だった。
礼儀としてこちらも全裸になると、今度は甲斐抄子から首に口つけてくる。肌に口が触れると吸いたくなるのは
同じらしく、淡い刺激がくっついてくる。いまいち加減がわからないようで、一瞬ぴりっと痛みが走った。
 加減の失敗に気づいのかすぐに口は離される。代わりに、もたれかかるように抱きつかれた。
 背中に回った手がもぞもぞと自分の居場所を探る。腕を伸ばしきる度胸がないらしいその仕草は
全然甲斐抄子らしくないのに、元から小動物っぽいからか、なんとなく甲斐抄子のような気がする。
「すみません。跡ついちゃったと思います」
「あー…………まあいいや」考えるのめんどくさい。
 僕の胸にくっつけたおでこを離した甲斐抄子は、尻を浮かせて僕にキスをした。苦手な酒をちびちび飲むような
弱々しいくっつき方と離れ方だ。
「そういえば、僕今日のが初めてだ」
「童貞なのはもう聞きましたよ」
「いや、えと、き……接吻的な何か」
「私だってあの無駄にダイ○ンなのがファーストですけど」
「ごめ……」
 また唇が触れる。今度はかなり口を塞ぐ意図を感じた。遠慮がちに唇の内側を舌でなぞられる。ぞわぞわした。
その舌を絡め取って軽く吸ったら、距離が邪魔になってくる。引き寄せて僕の膝(いつのまにか正座していた)に乗せた。
「あの……」
「ん、何」
 ド近眼の僕より焦点が合ってない甲斐抄子の頬を撫でる。さっきよりは温度があるだろうに、まだ僕の手よりは低い。
0532弟子×カイショー(5/11)2011/12/04(日) 05:48:15.02ID:PNSubOVY
「さっきから、私ばっかり気持ちいいような……」
 言外に負けた気がすると言っているような態度だ。気を遣っているわけじゃない辺りが甲斐抄子らしくて安心する。
「気のせい気のせい」
 僕だって、唇と舌の感覚はそう鈍くない。
 まだ湿っている髪を撫でて梳いて、広げた舌で胸の先を包んで、押しつけて、そのまま舐め上げる。
甘いのは匂いだけで、他と同じく汗の味がした。どこか懐かしいような気もしながら、綺麗すぎるイラストとは
程遠くにある茶色を口に含む。その味が舌に馴染む頃には、いつまでも口にしていられる気がした。
「赤ん坊、みたいですね」
 ふいに優しく頭を撫でられてしまう。ちょっと恥ずかしいような照れくさいような嬉しいような感じがした。
「なんかそれ、いつか言った覚えが……」
「仕返しです」
 不敵に笑っていても声が上擦っていた。思わず撫でた耳の後ろも、再びくすぐった背中も、
普段の好き嫌いや態度のとがり方と同じように、価値が反転された弱点だ。いつまでも触れていたくなる。
弱点が多いことが、美徳になる。
 内腿を通って、まだ触れてなかった核心に、そっと手をつける。左腕は背中に回して、ぽんぽん叩く。
 右手が粘膜の感触にたどり着いた。湿っているだとか濡れそぼっただとかもよく聞くけど、
蜜がどうこうって描写の方がしっくりくる。というより皮膚が融けているんじゃないかと思える。だんだん感触に
慣れて調子に乗る頃、親指がとっかかりに触れる。
「       」
 また力が抜けるような鋭い声が上がる。それは、背中をなぞったときよりも大きく響いた。思わず手をどける。
「……ひぁ、ぁ、あの、声っ……ご近所迷惑になるので、あの、そこ触るとき何か言ってくだひゃい……」
 いやでもそんな、両手で口を押さえて赤面に赤面を重ねたような顔をして泣きだしている甲斐抄子に哀願されても
余計に気分は昂じてしまうだけで、わざといじめたくなる。当の甲斐抄子はそれに気づかない。もうこうなったら
自分の精神力で抑え込むしかない。素数を使えば捗るのかい?
「あー、うん、わかったから……」
 泣かないで。とほざいても無理なんだろう。
「じゃあ、また触るよ」
 必死に首を縦に振るのが返事代わりだった。車のダッシュボードの上に置く置き物みたいな動きだ。
 僕は引き続いて指の平を滑らせている。甲斐抄子は何かに耐えるように、腕の中で身を強張らせたりよじらせたり
しながら悶えている。一度咳き込んだので休憩を入れるついでに膝から下ろし、飽きずにこねくり回す。
 話しかけて笑い返されるとまたそうしたくなるように、指の動きの影響が分かるともっと続けたくなる。
ピアノには決して覚えなかった感情だった。
0533弟子×カイショー(6/11)2011/12/04(日) 05:48:37.72ID:PNSubOVY
 そのうちに骨張った左手が僕の手を思い切り握るので何かと顔を上げると、甲斐抄子が右手で口を押さえて
眉根を寄せていた。
「……はぁ、ちょっと、きゅうけい」
「やだ」
「ふぇぇえっ」
 不満を訴えたかったのであろう鳴き声を妖精が沸いて出そうなくらいさっぱり無視して、甲斐抄子が悶え死ぬのでも
目指すように、反応が顕著なところばかりを狙い続ける。
 先程から熱いのを通り越して冷や水でも浴びせられたような感覚になる瞬間さえある。
心臓が体の何箇所についているのかわからない。
「も……ほんとにらめ……」
 甲斐抄子の言葉に、手を止める。『すき』と言ったら『すし』になりそうなくらい舌が回っていなくて、
抵抗も弱々しい。やりすぎたかなぁという気にもなった。
 手をどけたので、指全体がふやけてきていることに気づく。指で指を触ってみると妙な感触だ。そういえば、
爪を切って二日くらいだったか。
 甲斐抄子の呼吸がある程度整うのを待つ。
「指入れても平気?」
 頃合いを見て顔を覗き見て聞くと、甲斐抄子は渇いた唾を飲み込むような仕種のあと口を開く。
「はい、大丈夫、です。それに、タンポン使ったことあるんで、結構余裕かと……」
 きまじめな返事と総動員した知識を照合して、思うより大きく安堵する。
 僕はきっと、なんだかんだでこのひとを傷つけたくないんだと思う。
 そろそろと探るように人差し指を入れていく。僕より体表面温度が低い甲斐抄子だけど、あからさまに熱い。
ざらついていて、指くらいならそこまできつくはなかった。
 心臓が高速回転して、頭がくらくらする。口の中で息が詰まって鼻で吸うと、空間を漂う匂いもいつのまにか
変わっていて、気づいた僕を誘惑する。
「っ……ねえ」
 ハッとして目を合わせると、甲斐抄子が両手で僕の頬を包んで、鼻先に熱い唇を押しつけてきた。
とても愛しそうな仕種だと思うのは、自意識過剰すぎるだろうか。
「そろそろ、大丈夫だと思います」
 それで本当に大丈夫だろうかと思っているうちに、甲斐抄子は四角い包装をぴりぴり破く。
「もうちょっと時間かけた方がよくない?」
 僕の発言に、甲斐抄子は可笑しそうに目を細める。
「多少痛いのは、仕方がないことです」
 そう言われても痛いのはなるべく避けたかったけれど、唇一つで、何も言えなくされてしまった。
「私が、待ちきれないので」
 甲斐抄子は小さな声で、言い訳なのか本心なのかわからない言葉を発信する。
もうとっくから熱くて仕方がなかった体と顔が、仕切りなおしたように発火して、発疹でも出そうだった。
 銀の包装はそこらにほっぽられて、中身は僕の元に寄越された。蘇れ、保健体育の記憶っ。
 緊張しながらかぶせて、焦らないように丸まったゴムを広げる。なんだかんだ早くしたい。なんとか、上手く出来た。
0534弟子×カイショー(7/11)2011/12/04(日) 05:49:01.29ID:PNSubOVY
 視線を上げる。甲斐抄子の顔を盗み見るつもりが、ばっちり目が合った。僕が誤魔化しを探す前に、甲斐抄子が
ぼそぼそ喋る。
「真剣で可愛い、って言ったら、怒りますか?」
 どうでもいいけどあんまり僕の息子を見ないでくれ。それと顔と見比べるな。恥ずかしい。
「……うぅん、可愛いかぁ」
 それ以前に甲斐抄子から素直な称賛が飛び出ることに驚きなので、
「新鮮だな」
 そんなきみの方が可愛い、なんてクサい台詞は死んでも吐けないけどな。
「そうですか……」
 もごもご言ってすごすご引き下がって、甲斐抄子は決して、可愛いを言いなおしたりはしない。僕もそれ以上
言葉を続ける気にはならなくて、甲斐抄子の唇を軽く食べてから、そっと押し倒した。
 両の脚を軽く持ち上げて間に割って入る。恥ずかしそうにしながらも、甲斐抄子は顔を逸らさない。
さっきより距離が離れたせいで表情はよく見えないけど、多分目は泳いでいる。
だから僕は更に脚を持ち上げる格好にはなるけど顔を近づけて、やっぱり目が泳いでいる甲斐抄子の瞼をついばむ。しょっぱい。
「じゃあ、入れるな」
「はい」
 慎重に場所を定めて、片手で手で位置を合わせて、身を埋めていく。時折身じろぐ甲斐抄子の額の汗を撫ぜながら、
ゆっくりと。
「思ったよりは全然、痛くっ、ないですよっ」
 おい声裏返ってるぞ。
「……っ、自分が得をしない嘘を吐くなって」
 顔にかかった髪をどけて、耳を指で挟む。感触が固くて、性的なものとは別の意味で気持ちいい。時折涙を零す
甲斐抄子が痛み以外の理由で身じろぎするのも、居心地がよかった。
 そうこうしているうちに、こっちも若干痛くなるくらいに締め付けられながらも、なんとか入りきった。
「わあ……」
 想像もしなかったけど、こういうのって感動するものだったらしい。二人顔を見合わせて同じことを言っていた。
 それを合図にしたかのように、僕の口から、自分でも信じられない言葉が漏れだす。
普段なら絶対、思っても飲み込むのに。歯止めが利かない。
「……嬉しい」
「は?」
「あ、べ、別に、きみとずっとこうしたかったとか、そういうことじゃないんだけど……」
「は、はい」
「かなり嬉しい。叫びたい」
 きみが好きだと叫んでしまったらこの行為とはまた別で問題があるので、その衝動は黙秘するけど。
 甲斐抄子が何か言い出す前に口を塞いでしまう。何を言おうとしているのか聞きたくもあるけど、
それ以上にキスがしたかった。抱きしめた体もそうだけど、唇も舌もざらざらした天井も舌の下も小粒な下の前歯も
それより少し大きい上の前歯も他の歯も、全部が全部、触れたら嬉しい。
 ひとしきり堪能したあとマイナスだった顔の距離をプラスに戻しても、二人共息するのが精々で何も言えない。
0535弟子×カイショー(8/11)2011/12/04(日) 05:49:18.99ID:PNSubOVY
 あーもー動かなくていいや。満足した。だって僕と甲斐抄子は別の人間のはずなのに、僕の感覚が一番鋭敏な器官
丸ごと預けてるし、甲斐抄子は腕の中に収まっているんだぜ。すげえ。
 快感には、急かされている。それでもここがまだ絶頂じゃなくて、絶頂を迎えれば萎んでいくものだなんて
嘘だろ承太郎。それと、
「大丈夫?」
 やっぱり、甲斐抄子は動いてなくても苦しそうだった。体硬そうだし、運動不足も祟っているのかもしれない。
体制変えるべきか。
「大丈夫、です。それよりさっきの……」
「超嬉しい」
 具体的には、泣いてないけどこのまま笑い出して何度も叫びたいくらい。
 少女漫画の主人公みたいだと評する人も居そうなくらいストレートなテンションだ。あるいは水泳選手っぽいかも
しれない。
「…………先に感想言わないでくださいよ」
 甲斐抄子ぷいっと明後日の方を向く。
「しょうがないだろ。……きみは?」
「………………二番煎じは不本意ですが……あなたと、同じです」
 甲斐抄子は、まっすぐ僕を見て言った。
「嬉しいんです、不思議と」
「……そ……っか」
「……はい。それと、痛いっちゃ痛いんですが……」
 甲斐抄子は僕の頭を引き寄せて、耳元に口を寄せる。
「…………ちょっとは、気持ちいいですよ」
 小さな小さな声で耳打ちされて、耳にかかった生暖かい息が体の芯を震わす。
「よかった」
 真偽を疑うよりも先に思わず口に出る。甲斐抄子が照れたのが、体の反応でわかった。
「何かしてほしいことある?」
 囁き返すと、甲斐抄子は軽く笑う。
「起こしてください。……このまま、抱っこしてください」
 なるほど。意図はすぐにわかった。僕は甲斐抄子を抱き上げて、投げ出した脚の上に乗せる。
 僕は筋肉がない方だけど以外と持ちあがる辺り、甲斐抄子は結構軽いのかもしれない。……ちょっとふにふに
しているけど。
 所謂対面座位の状態になる。動作の後にいちいち一息つくところが若々しくない。ふいー。
 胸が鎖骨にぶつかったはずが、そのまま柔らかさと汗で貼りつく。二人共全体的には骨ばっているくせに、
ぺたりとした感触だ。
 甲斐抄子は僕の耳に頬を寄せて、しばらくしてから静かに声を零す。
「一人は、別に慣れてますし、大丈夫なはずなんです」
「……うん」
 相槌を打ってから、しどろもどろにしていた言い訳の続きだと気づく。
「でも、偶に無性に寂しくなることも、あります」
「うん」
「一人暮らしは、一人のお留守番とは、別の何かがある気がします」
 その想いは、多分一人暮らしをしている人が大抵持ったことがあるものだろう。僕も、無性に寂しくなることは
あった。バカが遊びに来ても、甲斐抄子が訪ねてきても。『家族』が居ないというのは、それだけで僕らの心に
何らかの現象を呼び込むのかもしれない。
0536弟子×カイショー(9/11)2011/12/04(日) 05:49:34.44ID:PNSubOVY
「風邪で熱が出たとき、とか、特に心細いですよね」
「きっと、そうだな」
 僕は今のところ大きく体調を崩したことはなかった。いや、崩したけど高熱やインフルエンザではなく、
慢性的な胃痛や疲れだったのだ。
「……今日も一晩中、居ますか?」
 まるで、『居てくれますか』とでも言っていそうな響きだった。殊勝すぎて戸惑いもするけど、今は
ふてぶてしい甲斐抄子に戻るまでずっと付き合っていたい気分だった。
 言葉を、選ぶ。
「帰るのめんどくさい」
 小さく噴き出した息が首にかかって、横隔膜の揺れも伝わった。
「生意気な弟子ですね」
 ゆるんだ空気で深めに呼吸をする。甲斐抄子が僅かに体を離した。下弦の唇に笑い返そうとしたけれど、
少しだけ弱気な眉のラインが判別出来て、口許の微笑が切ないものになる。何かをゆるそうとするとき、
人間はこんな笑い方をするんだろう。
「どしたん?」
「いえ。……終わったらお風呂は先に貸しますからね。弟子の休息は後回しです」
「…………それは……困ったな」
 何を恐れてゆるそうとしたのかが十分に分かって、言葉に詰まる。そうならないと否定することが出来ない。
何せ、経験もクソもないのだ。
「あのさ」
「はい」
「僕もさ、自分がどうなってるか、わからないから、賢者タイムは怖いよ」
「……賢者タイムって」
 あの甲斐抄子が慈悲深そうに見えた微笑みが大袈裟な笑い声に変わる。
「あんまり笑わないでくれ。ちょっとの刺激でいきそうで怖い」
「そんな怖い怖い言わないでください」
 僕の鼻先で小さな唇が音をつくる。今度はちょっと溜めが長くて、本当に愛しそうに思ってしまう。
 耳と耳を髪越しに愛撫させ合うようにほお擦りをして、甲斐抄子は僕を包む。
「普段あんなに意地悪なんですから、今更です」
「そ……か」
 息に混ざるように薄い言葉が、薄っぺらな自責を剥ぎ取る。
 こんなにゆるされる時間も痛みのなさも、久しぶりに思えた。気づけば僕は小説の中にだってもうゆるされる立場を
持てなくなっていて、痛みはいつだって蔓延していた。
「なんだか今は、全てにゆるされている気さえする」
「そうですか」
「うん。本当に、ありがとう」
 結局のところ傷を舐め合うような惨めな交わり方になってしまっているけれど、それでも。
「ありがとう」
 そして僕は服の襟ぐりが余程深くなければ見えない箇所に、こっそり跡をつけた。いつ消えてしまうのか、
未来の僕にもバレないように。なんだか引き潮の砂浜につけた足跡みたいだと思う。あの日満ち潮より先に帰ったから、
いつ消えたのかわからないんだよなぁ。
「ちくっとしました」
「だよなぁ」
 甲斐抄子は少し膨れて、僕は脱力して笑う。
0537弟子×カイショー(10/11)2011/12/04(日) 05:49:57.91ID:PNSubOVY
 そのまま何も言わずに抱き合ったままで子供が笑うときそうするように体を揺する。快感が高まるような
動きにはなっていない。どうでもいいけど二回戦があったら背もたれがほしいなぁ。
 なんだか、動かなくていいやなんて思ったことは忘れそうだった。欲が出るのかもしれない。
 僕がヘタれると、今度は甲斐抄子がゆっくり前後に動き出す。体がぎゅっとくっつくときが、最高に気持ちいい。
「激しい動きは、難しそうですね」
「そうだね」
「最初みたいに、戻しませんか?」
「えー」
「それは何の、えー、ですか」
「僕が夢中になっちゃったら、キッツいんじゃないかなーと」
 半分は建前だ。
「さっきから、気遣い過剰で、気持ち悪いです」
「悪かったな、普段がアレで。……それにさ」
「他に、何か?」
「……こうしてるより、早く終わりそう」
「…………なんでときめいちゃうんでしょうね、私」
 それは僕にもはっきり伝わってきていた。
 さっきから僕の中では、へその辺りがキュンとして飛んでっちゃってたあの歌詞にエロ疑惑がかかっている。
よばれてとびて……いや今出たら困るよ!
 それにしてもそもそも好き同士恋人同士でしてるわけじゃないんだからある程度割り切って貪り合えばいいのに、
さっきから口を開けば気遣い・弱音・睦言と、ライクア好き合ってるワードのオンパレードである。
 これがいいんだけど。
 甲斐抄子の申し出通り、今一度甲斐抄子を押し倒して、今度は脚は持ち上げずさっきより脚を開くような形で、
密着する。しすぎると、やっぱり、重そうだ。
 目が合うだけで、自然と笑えた。
 もう色々駄目くさかったので素数を数えながら、少し出たり思い切り入ったり出たり入ったりを繰り返した。
途中で数が飛んでわからなくなって、苦しそうな顔に興奮して罪悪感が沸いて更に興奮したり
一つ残らず秘密を打ち明けたくなったり、途中からもう無茶苦茶だった。
 どれくらい経ったか、僕は一つ終わって、動けなくなる。甲斐抄子は僕の前髪を撫でた。お疲れ様です、と唇が動く。
ああ、本当に疲れた。でもきみだって疲れてるんじゃないか? 甲斐抄子。
 ぐったりしている暇はない。気だるいけど、一番片づけなくてはいけないものを片づけないと。
 なんとか結び目を作ってティッシュでくるんで捨てるところまで済ます。電気眩しい。
 僕の手際の悪さを面白がりそうなはずの甲斐抄子はやっぱりぐったりしている。放っておこうかと考えた。
さっきまでほど積極的に触ろうとも、思えずに。
 けれど、なんとなく心細そうに見えた。眼鏡を掛けても、勘違いじゃないことが分かるだけだった。
 眼鏡を外す。
0538弟子×カイショー(11/11)2011/12/04(日) 05:50:25.03ID:PNSubOVY
「しょーこさん」
「……はい?」
「この通り目が悪いので風呂の勝手が全然わかりません。一緒に入りませんか」
 誘って、のたりと起き上がってきたところにキスをすると、甲斐抄子は鳩に豆鉄砲で撃たれたような顔をする。
僕が薄情じゃないのがそんなに意外かね。とからかおうとすると、先にそれに気づいたらしく
「ぐぬぬ」と歯噛みしてから咳払いする。
「ふふん、私の素晴らしいお風呂さばきについて来れますかね」
「キャーシショー」
 返事が棒読みでも上機嫌の甲斐抄子が風呂場に向かう途中に転んで、それを笑って蹴られて、
風呂で白熱(主にお湯のかけ合いなどの嫌がらせ合戦)しすぎてのぼせて、風呂上がりのアイスのチョコ味を奪い合って、
カップの蓋についたアイスはやっぱり僕の分まで舐められて……。
 その夜は甲斐抄子が僕にすり寄って眠りこけているのを見た直後に意識が途切れるまで、ずっと甲斐抄子と遊んでいた。







 後日バカに首の跡を指摘されて僕が赤っ恥かいた挙句甲斐抄子に思いっ切り笑われるのは別の話。
0539名無しさん@ピンキー2011/12/04(日) 05:52:42.71ID:PNSubOVY
以上で終わりです
もっと需要あるカップリングはあるんだろうけど後悔はしない
0540名無しさん@ピンキー2011/12/04(日) 22:00:34.10ID:/gcy46p0
ふぉぉぉぉぉぉ(雄叫び)



・・・糖分って致死量とかあるん・・・だ・・・

G・・・J・・・
05435272011/12/06(火) 01:56:57.84ID:eIrhrzJb
反応ありがとう
コレの甘さにプラスの評価をされるとは思っていなかったので正直驚いている
0548名無しさん@ピンキー2011/12/23(金) 09:14:23.36ID:al9RA7MU
居るけど誰も何も書かんからな
クレクレになりそうとか気にせずにもっと思いついたネタとか話していいと思うんだが
0549名無しさん@ピンキー2011/12/23(金) 10:10:51.42ID:PYuVIEeO
多摩湖さんと黄鶏くんとかエロイの書きやすそうな気がする
原作でも脱衣ポーカーとかキスババ抜きとかやってたしさー
0550名無しさん@ピンキー2011/12/24(土) 01:43:33.60ID:/HB/MJCm
原作がエロいと二次は書きづらいという法則が……

長瀬ととーるを書いてみたいけどどうやったらあの二人が
またセックルするような関係なるか想像できなくて書けねー
0551名無しさん@ピンキー2011/12/24(土) 01:59:33.84ID:oyoGz1LU
多摩湖さんと黄鶏くんはエロイからどうこうじゃなくて
斜め上にカッとびすぎて18禁的なエロは書けんだろう普通に考えて
0552名無しさん@ピンキー2011/12/24(土) 03:49:58.30ID:3lAhmhrh
ここで書く上での注意点とかある?
あったら誰か教えてくださいな
0553名無しさん@ピンキー2011/12/24(土) 04:58:29.77ID:3lAhmhrh

 皮が剥けた。
 というか剥かれた。
 もちろん、これはまゆまゆやがせがせが林檎の赤い衣を刃物で削ぎ落とした文章の抜粋。

 ……では、ない。
 ジェロニモこと上社さん家の奈月さんに強制連行され、辿り着いたのは檻のついた牢屋ではなく病院の治療室だった。
 廊下を奈月さんに手を引かれるまま進むと、彼女に保護された昔を想起して懐かしい思ひ出がぽろぽろと。……いや嘘だけどさ。

「お待たせしました。恋日」

 恋h……ニー日先生だって?

「おいこらわざわざ訂正してまで徒名で呼びたいか」

 恋日先生は不思議なことに、デスクではなく患者用のベッドに腰掛けていた。
 しかもずっと僕達、というか僕に背を向けたまま振り向かない。
0554名無しさん@ピンキー2011/12/24(土) 05:00:34.43ID:3lAhmhrh

「あっはっは、何を仰っているのか僕には分かりませんね。
 それにしてもどうしてここに? 先生はもうニー日先生じゃないですか。というか、なぜ僕を呼んだんですか?」

「質問は1つずつだって教わらなかった?」

「残念ながら波紋の伝承者は知り合いにいませんので。……って、いつまでそっぽを向いて」

 と、口に出したところでかちゃりと部屋の鍵が閉められた音が「えっ」したかと思えば途端に背中を強く押され、僕はベッドに倒れ込む。

「ちょっとなにを」してんですかとうつ伏せから仰向けに反転する。

「……してるんですか」

 状況確認。
 ベッドの上の、端にぼく。をまるで逃がさないように並んで奈月さんと恋日先生。

 奈月さんはいつもの通りスーツ姿で、いつも通りの微笑みを浮かべている。
 大局的に恋日先生はこれ以上ないくらい首から上を真っ赤にして、今にも零れ落ちそうなくらい瞳を潤ませている。
 そして久し振りというかお馴染みの白衣を羽織って。
0555名無しさん@ピンキー2011/12/24(土) 05:04:18.35ID:3lAhmhrh

「えっ、と……えっ」

 白衣を羽織ってというか、白衣しか羽織っていなかった。
 襟の間から女性のシンボルである豊かな胸の谷間が……おっと今はまーちゃんがどうこうという話じゃないぜ。いや、本当に、マヂじゃなくマジでな。

「それではみーさん、覚悟してくださいね?」

「か、かくごしろー……」

 余裕を含んだ奈月さんと上擦りのある恋日先生の声と共に、二人の手がゆっくりと伸びてくる。主に下半身へ。

 僕には抵抗する力がある筈もなく、あれよあれよというまにジーンズとトランクスを脱がされてしまうのであった。

 そして話は冒頭へと繋がる。
 つまり剥かれたのは林檎ではなく、なんと言いますかその男性のシンボルであったような気がするかもしれない僕の、アレだよ。……うわぁ死にたい。今すぐ飛び降りたい。
0556名無しさん@ピンキー2011/12/24(土) 05:06:18.42ID:3lAhmhrh
即興でここまで
あとは書きためてから残りを投下する予定

なんかあったら教えてくれ
0557名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 01:45:31.64ID:0Dfx2SB6
>>555

「ふふっ、みーさんったら意外と『ココ』は可愛らしいんですね」

 僕のそれを指でつっつき、その度に体を震わせる反応を楽しみながら、奈月さんの声音が嗜虐を含む。

「あら、嬉しそうじゃないですね。こんな美人二人を侍らせているのに」

「刑事の癖に、……っ、こんなこと、していいんですか……くっ」

 奈月さんの赤い口内に、僕のそれが這入り込む。
 熱く、滑る唾液が絡み、彼女の舌が執拗に蠢いては幾度となく触れては纏わりついてくる。
 ちゅぱちゅぱと卑猥な音が滴って、言いようもない快楽に腰が浮く。
 あっという間に、僕のモノはいきりに堅く隆起していた。

「みーさんのおちんちんはみーさんと違って素直で正直で、とても宜しいです」

 そう言って、啣えていた唇を離した奈月さんが昏い温かさが混じった息をうっとりとした面持ちで吐き出した。

「ほら、恋日」

 奈月さんが先生の背中を押す。
 先生は抱き付くように僕にもたれかかり体重を預ける。
 そして、似つかわしくない、まるで怯えた子犬のような震えた声で、耳元に囁いた。

「私を、その……キミの好きなようにして良いんだよ?」
0558名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 01:46:16.70ID:0Dfx2SB6

 ぷつりと、理性の糸が焼き切れた音がした。

「きゃあっ!?」

 耳に張り付いた初恋の女性の悲鳴は、それだけで肉欲の炎を燃え上がらせた。
 ベッドに押し倒し、覆い被さって、薄い一枚の白衣の上から先生の豊かな乳房を持ち上げるようにして両の手のひらを合わせる。

「はぁ、ん、……っ、んんっ……あっ、はぅ」

 揉みしだく。
 柔らかな肉に指が埋もれる度に先生の喉から艶やかな媚声が零れ、それが火に油を垂らすように興奮が増していく。

「ん、むぅ!?」

 その次に唇を塞いだ。
 貪るように何度も何度も啄んで、更には舌をねじ込んで先生の口内を拙く、荒々しく、蹂躙する。

 それでも先生は十分に感じてくれているようだ。端々に漏れる吐息と、応じて結ばれた舌がもっともっととねだっているように思えた。

 それが嬉しくて、とても嬉しくって、先生の背に片腕を回して、残った手を衣服の内へと這わし、直接乳房の感触を味わいながら行為は激しさを増していく。
0559名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 01:46:36.69ID:0Dfx2SB6

「みーさん。私を忘れちゃイヤですよ?」

 奈月さんの声に振り向くと、既に彼女はスーツを脱ぎ捨て下着姿を晒していた。

「ほら、お二方があまりにも情熱的だから私も“こんなに”なっちゃったじゃないですか」

 そう言っては、見せ付けるようにゆっくりと下着を下ろす。

 普段の奈月さんからは考えられない、発情していて、挑発的な雌の表情。
 秘部から垂れた粘液が、一本の糸となってショーツと繋がっていた。

「触ってみますか?」

 ごくりと、生唾を飲んだ。
 その反応に気を良くしたのか奈月さんはにっこりと淫靡な笑みを浮かべ、僕の手を掴み自身の秘所へと導いていく。

「っ、ぁ……ぅ」

 そこは驚くくらい水気を帯びていた。
 表面に指を滑らせると、動きに呼応して奈月さんが体をくねらせる。

 例えば玩具みたいに、秘裂をなぞるとぶるると体を振動させて、指を放すとスイッチを切ったように溜め息を吐いて脱力される。

 これで指を中へ入れたら、果たしてどうなってしまうのだろう?

「ぃっ、ああ!?」

 我慢できなかったので断りもせずいれてしまった。
0560名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 01:47:03.84ID:0Dfx2SB6

 埋め込んだ指を折り曲げると奈月さんは辛そうな表情を浮かべるけれど、その裏腹にしっかりと僕の手を掴んで押さえ、放さない。
 だから続けて良いんだろうなと僕は奈月さんの中を指の腹で撫でていく。

「ぅん……みーさ、あっ、んぅ……くっ、あ、あぅ、んんっ」

 そのリズムに合わせて奈月さんの体が跳ねて、嬌声が室内に木霊する。
 ぽたぽたと秘裂から粘り気のある液体が玉となって落ち、シーツを濡らしていった。

「ちょっと、……君。この期に及んで私を忘れるとはいい度きょきゃんっ!」

 僕の下にいる恋日先生が何か言っていたので乳首を摘んだら可愛い声で鳴いてくれましたまる。

「はぁ、ぁ……」

 どうやら弱点だったみたいだ。
 大きな膨らみの中心にある小さな膨らみを弾いたり押し込んだりすると、甘い声を響かせて蕩けた顔になる。

「恋日、我慢できなくなってしまったんですか?」

 先生の横に寝そべって、駄々を捏ねる子を優しく叱るように耳元で窘める奈月さん。

「ち、違う!そんなんじゃないって!!」

 恋日先生は羞恥に顔を赤らめて、首を横に振り回して否定する。
0561名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 01:48:23.89ID:0Dfx2SB6

「ふむっ、んんっ!?」

 そんな態度に業を煮やしたのか、突如僕を押し退けて奈月さんが恋日先生の唇を奪った。
 もがき足掻く恋日先生を見事に押さえ込みながら、先生の秘部を指でくちゅくちゅと音を立てて掻き混ぜ弄んでいる。

「ん、ンっ!ちょと奈月、んッ、ちゅ、んむっ、むぐっ、ン、んー―――っ」

 足の指先まで体を張り上げ、一際大きく痙攣して、くたりと先生がベッドに崩れた。

「ぷは、はぁ……な、つき……?」

 肩で息をしながら、戸惑いを隠せない表情を浮かべる恋日先生。

「みーさん、こちらは準備ができましたよ?」

 恋日先生の体を支え、彼女の脚を大きく開きながら奈月さんが言った。

「先生……いいんですか?」

 逸る心臓の鼓動がやけに煩いのに、何故か不思議と気にならない。
 僕の声に混じった期待を見透かされてしまったのだろうか。

 恋日先生は何も言わず、ただ一度だけ深く頷いた。
0562名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 02:14:20.10ID:0Dfx2SB6

 今、ベッドには生まれたままの姿で僕と、恋日先生と、奈月さんがいる。

 僕は何か酔ったような雰囲気でふらふらと先生に迫っていく。
 まるで光に魅せられた蛾になってしまった気分だ。

「ぁ……」

 熱くいきりたった僕のモノを恋日先生の秘部にあてがうと、先生が不安そうな声を漏らす。

 なんて言えば良いんだろうか。こんな時こそ、僕の口は上手く動いてくれない。

「ん……」

 だから僕は使えない口を先生の唇に重ねて、先生の中を貫いた。

「あっ、っっっんー……はぁっ」

 狭い膣内を掻き分けて、奥まで到達する。
 僕を先生が包み込んでいる。
 先生の中は温かくてぎゅうぎゅうと優しく吸い付いて、気持ち良いというより心地が良い。

「大丈夫ですか、先生」

 互いに顔が交差するように抱き合っているから、先生がどんな顔をしているか分からない。
 だけれど先生の頬を伝う涙が僕の頬に触れて、どうしようもなく不安になった。

「だ、ぃ…じょうぶだか、らっ。君の好きなよう、に、動きな……さいっ」

 その声はあからさまに弱々しく、どう考えても大丈夫そうには聞こえなかった。
 でも、先生の気遣いが確かに伝わったから、ゆっくりと、腰を動かし始める。
0563名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 02:44:10.34ID:0Dfx2SB6
 でも、先生の気遣いが確かに伝わったから、ゆっくりと、腰を動かし始める。

「あっ、ぅー……はぁっ、はぁ……ぅ、んぅ」

 引いて、止めて、突いて、止めて、引いて、止めて、突いて。
 溜まってくる熱に負けてペースを上げてしまいそうになるけれど、きっとまだ痛いだろうから、痛いのは嫌だから、僕も。だからぎりぎりの理性を保って、速度は一定に。

「ひぅ、ゃ、ああっ、んっ、ぁ、あー……あぅっ」

 すると先生の声が甘いものになってきた。
 だから速度を上げて腰を打ち付けると、先生の嬌声が際立って糖度が濃くなってくる。

 触れる場所によっても、愉悦の度合いが変わることに気が付いた。
 そこを削るように擦って突き崩すと、気が狂ってしまったかのように涎を垂らして乱れていく。

「先生っ、恋日、せん、せっ……もう出そうなんで、離し……っ」

 限界を告げると、先生は足まで絡みつけて深く強く僕を抱き締めた。

「いいからっ、いいからっ! キミのを出してっ!!」

「駄目ですって……っ」

 口では拒みつつも、より激しく腰を振ってしまう。

「ああっ、ふ、ぁー……私も、イくからっ! キミも一緒にっ、ぁぁ、―――ぁああっ!!」

 獣のように求め合って、貪り合って、愛液を散らしながら膣内を擦り上げ、とうとう最奥で射精した。
0564名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 02:58:12.58ID:0Dfx2SB6

「はぁ……はぁ」

 眼球の中で白光が弾ける。
 薄くなっていく意識を保とうと堪えていたら、恋日先生に抱き寄せられ重なるように倒れ込んだ。

 肌を伝わる柔らかな温もりと、鼻腔を通る先生の香りが眠気をより深く誘おうとする。
 それ抵抗できず、僕は先生の体に埋もれてまぶたを閉じる。

「全く二人とも手がかかるんですから……今度は私の番ですからね。みーさん♪」

 直前、奈月さんの声が聞こえたけれど余力さえ残ってなかったので僕はそのまま意識を手放した。

 はあ……どうやってまーちゃんに言い訳したものか。

 なんて、嘘だけど。
 というか全部僕の妄想だったんだけどね!
0565名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 03:00:52.74ID:0Dfx2SB6
以上

なんか途中からよく分からなくなった
奈月さんとも最後までする予定だったのにどうしてこうなった\(^O^)/

じゃあそういうことで
メリークリスマス
0566名無しさん@ピンキー2011/12/25(日) 07:10:17.36ID:un/Coacs

こんな妄想したあとに限って恋日先生に会っちゃって、そっけない対応しちゃうみーくん萌え
0573名無しさん@ピンキー2012/01/07(土) 19:04:32.69ID:lhOOBaAT
トーエ主役のスピンオフ楽しみ。
0575名無しさん@ピンキー2012/01/10(火) 02:30:54.94ID:Zvd5+IUI
だれかみーくんとゆずゆずのエロパロかいて
設定に贅沢をいうならまーちゃんは「僕」をみーくんと
認識していないって方向で
0577名無しさん@ピンキー2012/01/19(木) 22:56:07.04ID:iTi2lUx6
××とゆずゆずは需要が多いのはわかってるものの気が進まないんだよなぁ
SSは確か上の方に一個あったけど


単純にエロいことさせるんだったら六百六十円の雅明とソウが簡単そうだな
普段してることを描写するだけの簡単なお仕事です
0584名無しさん@ピンキー2012/04/02(月) 09:38:45.00ID:pa4jVR3d
 書いてみた。一日過ぎたけど許してくれ。

「わたし、みーくんのこと大嫌い」
 マユからその言葉を聞いたのは、春の陽気が漂い始める日にちだった。
 桜の蕾が膨らみ始めようかとするこの季節、入学式やら新学期やらで人々は馬鹿らしく気持ちを沸き立たせるそんな季節。僕らもいつも通りみーくんまーくんバカップルを演じるべきそんな時期に、いきなりマユのそのお言葉。
「えっと……嘘だけど?」
 口癖をこのように使用する機会があるとは思いもしなかった。嘘だけど。
 マユはニマニマ笑って、困惑する僕に答え合わせをする。
「うっふふふ〜。今日はエイプリルフールなのですよ! 嘘を言ってもいい日なのです!」
「……ああ、そういえば」
 そう言えば今日は4月1日だった。マユが今日のようなちょっとした行事を見逃すわけもない。こんな日を忘れるなんて……嘘つき失格ですな!
 僕が一人で納得していると、マユは僕の腕を甘噛みする。……訂正、甘を除こう。
「んでね、みーくんはまーちゃんになんて言うべきなのかなぁ?」
「大好きだよ」
「ちっがーう!!」足を蹴りあげ、顎にクリーンヒット。
「……大嫌いだよ」
 今度は頬を緩ませて笑った。
「僕はまーちゃんのこと、大嫌いだよ」
「にゅふふっ」
「嫌い嫌い、大嫌い。二度と顔も見たくないね。一生見たくない触りたくない大嫌いだ」
「……みーくんはわたしのこと嫌いなの?」どうしろと言うのだ。
 うるうると目に涙を溜め、上目遣いで僕を見上げる。
「嫌いじゃないよ」
「じゃあ嫌いってことじゃないかー!!」どうしろ省略。
 何なんだこの子は。どっちを言っても機嫌が悪くなる。だがマユの我儘も寛容に受け止めるのがみーくんだ。
 最終手段として、僕はマユの口を塞いだ。手で塞いだのではありません。マウスです。マウストューマウス。マウスチューマウス。
 マユは目を見開いていたが、僕が離れるとポケーっとした表情を変え、恍惚とした、蕩ける笑顔を見せる。
「わたし、みーくんのこと×してる!」
 耳鳴りを堪える。顔が険しくならないよう最大限の精神を集中させ、マユに言う。
「僕も、まーちゃんのこと×してるよ」
 嘘だけど。


 嘘つきの僕のエイプリルフール。嘘か真か、それは僕にも分からなかった。
0587名無しさん@ピンキー2012/04/20(金) 15:38:55.98ID:pfans1Wv
小ネタ

「これ、本当に入るんだろうか」
「ゆくゆくは赤ん坊が出てくるように出来てるんだ、大丈夫」
「…………………………俺の子か?」
「ば、そんな話はしとらん」
「す、すまんつい」
「…………」
「…………」
「……そういう話は、就職してからしよう」
「うぉ、お……おう」

瀬川と左門


上と関係ないがひとつ質問させてくれ
他で公開済みだがもしよかったらこちらにも投下したいSSがある
このスレ的にはどうだろうか?組み合わせが綾乃と裏袋で需要もあやしいんだが
05915872012/04/21(土) 00:35:12.49ID:jgJUnqUn
返答ありがとう
投下させていただく
0592綾乃×裏袋(1/17)2012/04/21(土) 00:35:51.23ID:jgJUnqUn
 寂れた神社に来てみると、裏袋が石膏になって固まったような温度のない目元を湛えて、賽銭箱のところに座っていた。
 あれから、半年くらい、か。秋だった季節は春になり、気温ももう暖かくなっている。
 僕は二、三歩の距離を置いたところまで歩み寄り、サングラスを外して、改めて裏袋と顔を合わせる。
「もしかして、僕に用事かい」
「なんでそう思うの」
 あらら。勘が外れてしまった。ならば居ない方がいいに決まっていた。僕は踵を返した。
「…………何?」
 数歩歩いたところで引っ張られて足を止めて振り向くと、裏袋が僕の腕を掴んでいた。健脚の裏袋は素早い。
「用事じゃないとは言ってない」
 まともに近くで顔を見ると、口の中に苦みが、おまけのように頬にもかすかに痛みが甦った。
「わかった」
 裏袋は目を逸らして、引き結んだ口をこじ開けるようにして言う。
「ニアの、話」
「わかった」
 覚悟は何度も重ねてきた。
 裏袋は居心地が悪そうに足元をぐらつかせた後、元居た場所に腰掛けた。僕もそれに倣う。
 裏袋はとても言いづらそうに、つぐんだ口をこじ開けては戻している。僕は黙って、言葉を待った。
「ね、ねえ、玻璃、綾乃……」
「なんだい、裏袋美住」
 普通に返事をした。でも、一応本名で呼ばれると危険に近づくので避けたいな。
 そんなことを思っているうちにも、僕の反応を受けて、裏袋の顔色がぱっと一段階改善する。
「なんでもない」
 裏袋の一言のせいで、僕と裏袋の会話はまるで蜜月の恋人のようなやり取りに仕上がった。
 気まずく思っているうちにもさっきのことを忘れてしまいそうだ。僕は手に持ったままだったサングラスを
掛け直して言う。
「裏袋、一応ヤガミカズヒコで通ってるし、そう呼んで貰いたいんだけど」
「いやよ」
 固辞された。

 玻璃綾乃は玻璃綾乃なの、と。



0593綾乃×裏袋(2/17)2012/04/21(土) 00:36:28.65ID:jgJUnqUn
 みんながヤガミカズヒコと呼ぶ男は、わたしが玻璃綾乃と呼んでもきちんと返事をした。それだけで、
少しずつ溺れる寸前まで浅くなっていた呼吸が、一気に深度を増した気分だ。
 今のわたしが会ったり話したりすることができる人物でニアが大学生になるほど生きていた歴史を知っているのは、
この男だけだ。
 わたしは、それに縋ってしまった。
 少しだけ敗北感を覚える。わたしはニアと玻璃綾乃が担った時間の選択を否定するのに。
それに、会話が増えればそれだけ秘密が漏れる危険も増える。でも、安心したのは紛れもない事実だった。
 ふと顔を見ると、玻璃綾乃はいつの間にか、サングラスを外していた。
「うん?」
 わたしの視線を受けて、微笑む。
「ああ、一応人相を隠した方がいいからあんまり外せないんだけど、ない方がやっぱりよく見えるね」
「……当たり前じゃない」
 呆れた後で、サングラスの外れたその顔つきに、これまでとこれからの年月を、少しだけ感じ取る。
こいつは、寂寞から離れられない人生を九年前から、これからも、過ごしているんだろう。
うっかりした。また嫌なものを見てしまった。
 やっぱり、縋るべきじゃない。
「……あ」
 何故か口がありがとうと言いたくなって、なんか違う、とひっこめた。
 黙っていても居心地が悪くないことが、何よりも居心地悪かった。



 裏袋の表情がまた少し固まってしまって、僕は頭を掻く。
 僕のせいかもしれない。かといって、解消のために僕の助けを要して納得する裏袋ではないだろう。
あちらから頼むこともなければ、こちらからの申し出だって蹴るはずだ。
「うち来る?」
 待て。ナンパしてどうする。
 こうした短絡的なのかなんなのかわからない言動には、偶に悩まされている。
人間、歳を取ると複雑な機微を丸投げしてとりあえずの型を使って喋ってしまうみたいだ。
「はぁッ?!」
 険のある大声が耳に刺さった。そりゃそうだ。
「ははは、冗談……」
「あ、待って。やっぱり行く」
 撤回の途中で裏袋が誘いに乗ってくる。
「どういう心境の変化で……?」
0594綾乃×裏袋(3/17)2012/04/21(土) 00:36:50.73ID:jgJUnqUn
 恐る恐る尋ねると、裏袋はやけに歯切れよく答える。
「わたしが助手をしてた時とどれくらい違うのか気になる」
「確かにそうだろうけど」
「それに、まだニアの話してないし」
 それを言われると弱い。
 あんまり若い女性を上げたくないなぁ、なんて馬鹿なことを思う。僕の伴侶は多分、
生涯あのときうどんを食べる約束をしたマチだけなのだ。そして彼女と同じマチである同じ今を生きるマチを
見守って生きていると。
 そんな決意はともかくとして、実際どんな思考の転換を経たんだろうか。
「いいじゃない別に、わたしとあんたの仲なんだから」
 ……………………あぁ。
 そしてどんな仲だとつっこむ前に裏袋が僕の袖を引いて歩きだしてしまう。確かにタイムトラベル仲間と
括ってしまえばそうなんだけど。
 ずんずん歩く裏袋の後ろを歩く。裏袋が歩けない世界のことはさほど知らないが、車いすの世話になっている姿よりも、
ずっとしっくりくる。
 既に袖から手を離した早足の裏袋の後ろを追いかける。これじゃあ誰の家に行くんだか。
 道に出る頃、歩きながらサングラスを掛けた。



 元研究所にも、何か手掛かりになるものがあるかもしれない。わたしはそこのところでの手段は選ばないことにした。
 ニアという反則技を使ってしまったけど。
 とはいえニアの話をしたい気持ちも事実だ。どれくらいのことを話せるだろうか。



 元研究所は、それはそれは引っ越しを勧められることが多い住み処だ。元々松平さんも住んではいなかったし。
多少改築したとはいえ家として粗末なことに変わりはなかった。
 そんなボロ屋に一室だけの洋間の真ん中に置かれた丸テーブルの上に、お茶を置く。
「どうぞ」
「……いただきます」
 先にテーブルの側のイスに座っている裏袋の左側、僕はイスより一段低い、ベッドに腰掛けた。
来客もないし僕しか居ないから、イスはひとつしかないのだ。
「いつ見てもボロっちい」
 裏袋が漏らす感想に思わず笑う。僕の家と化したこの小屋に来るのは初めてだったはずだ。カーテンの色も、
僕の好みだし。しかし使い主がどうあれ、この小屋がボロくなくなることは絶対にないだろう。
0595綾乃×裏袋(4/17)2012/04/21(土) 00:37:52.48ID:jgJUnqUn
「でも、あんまり散らかってないのね」
 心なしか寂しそうに、裏袋がぼやいた。
「うん」
 松平さんの私物はほとんど捨ててしまっていた。僕にはどうしようもないものばかりだったし。
 暫くは二人とも、お茶を啜るのに忙しくなり、沈黙が降りる。
 この日常の苦痛が滲む顔を、両親はどう見ているのだろう。前に裏袋の母親とばったり会ったときは確か
「二度目の思春期かしら」と笑っていたはずだ。今も呑気に構えているんだろうか。
 呑気に構えてそうだな。そもそも、いつも元気がないわけではない。なんだかんだ言って、
自転車に乗っているときの裏袋は元気で、嬉しそうだ。
「ねえ玻璃綾乃、ニア……大学生のニアにも、会った、よね?」
 裏袋がお茶を口元に寄せたまま、恐る恐るな調子で訪ねてきた。
「うん。僕にとっては九年も前だけど」
 裏袋がどれくらいのことを知り、どれくらいのことを考えているのかはわからない。
知りたいと言われたとき教えてやれるかも、正直わからなかった。
「……そっか。ニア優しそうな顔してたでしょ。ちょっと女の子っぽい」
「うん。線が女性的だなぁとは思ったかな」
 既に霞がかった記憶から印象を取り出した。
「あの、さ……」
「うん?」
 裏袋が露骨に目を逸らし、険しくさせる。
「声、は、流石に覚えてないよね?」
「…………」
 僕は近雄の声を思い出そうとする。あのときのあの台詞を、声の震えを覚えているはずだった。
だが今再生できるのは、裏袋に伝言を伝えたときの自分の声だけだった。
 視線がこちらに向いたので、ゆっくり深く頷く。
「そう。九年も前だもんね」
 写真も音声も残っていない近雄の見た目や声の記憶は、驚くほど早く色褪せていった。そこにはもう、
淡い雰囲気の残縡しか残らない。
「わたしにとってはつい、半年くらい前なのに……」
 そう呟いたきり、裏袋は黙ってうなだれてしまう。
 僕はただ、今までそうしてきたように見守ることしかできないのかもしれない。今度は近雄の墓で、
あまりよくない報告をすることになってしまいそうだった。
 僕は言葉に迷った挙げ句空の湯飲みをテーブルに置いて立ち上がり、裏袋の頭をそっと撫でた。
中身は違う裏袋だったけど、昔もこうしたことがあった。
 裏袋は、拒絶しなかった。


0596綾乃×裏袋(5/17)2012/04/21(土) 00:38:27.97ID:jgJUnqUn
 手掛かりもなく、思い出話も早々に地雷に当たって、わたしは潰れそうな気分になっていた。
 弱くなったわたしに触れる玻璃綾乃の手はたくましく、大きい。この歳になって頭なんか撫でられて、参ってしまう。
 不快ではない。
「玻璃綾乃……」
「何」
 絞り出した声への返事はあくまでも穏やかだ。
「ニアが好き」
 結局言うことのなかった、このままニアを許さなくてもきっと『このわたし』が言うことのない言葉が溢れた。
「うん」
 穏やかすぎる相槌に、思わず顔を上げる。玻璃綾乃は見守るように微笑んだままだ。
「わたしね、ニアが好きなの」
 顔を見たまま言うと、玻璃綾乃はふっと息を吐いて、そのままわたしの前髪をかきあげ、額にキスをした。



 何故かキスしてしまった。
 外人俳優が映画か何かで子供たちにするようなやつだ。
 裏袋は、ぼろぼろ泣き出してしまった。
「あ、ごめん……いや、深い意味はなくて……」
 おろおろ狼狽しながら言い訳をしても、裏袋は泣くばかりだ。もうちょっと女性と関わる機会を持っていれば
もっと何か適切な振る舞い方ができるのかもしれない。いや、そんな機会があっても
こんな場合どうしたらいいかはわからない気がする。
 裏袋は首を横に振る。
「ごめん」
 もっと振られた。意味を測りかねて、他の言葉を忘れてしまう。
「……ごめん」
 首を振られるのがわかっていて、同じ言葉しか繰り返せなかった。
「い……いやや……なっ…………あやまっ……で」
「ご、ごめん」
 途中でしゃくりあげすぎて何を言ってんだかさっぱりわからん。
 『嫌やな謝って』と言っているように聞こえた。なんか違う気がする。こんな関西弁(?)なんか話さないだろうし。
「ごめん裏袋、今の全然聞き取れなくて……」
 言葉の途中で僕は襟元を引かれる。裏袋は空いた右手を、次に最初襟元を掴んだ左手を、順に僕の首に回した。
呼吸が震えて、何か話そうとしているようにも思える。
0597綾乃×裏袋(6/17)2012/04/21(土) 00:38:56.82ID:jgJUnqUn
 僕はそれに従い、座っている裏袋の声を聞き取ろうと姿勢を低くする。しかし、僕の考えは外れていた。
 裏袋は、僕の右の眉下辺りにキスをした。
 まさか、さっきのは『嫌じゃないから謝らないで』なのか?



『嫌じゃない。謝らないで』
 二言だけなのに伝わらない。わたしは痺れを切らして、玻璃綾乃にキスを仕返した。
 これでも謝ってきたら今度こそ殴ろう。
 玻璃綾乃は目を丸くして『ごめん』をやめた。
「……いやじゃないから」
 やっとそれだけ話して息を調える。
「ほっとしちゃっただけ」
 それから、心境を端的に告げた。
 話して撫でられて緩んだ緊張の糸が、ほどける前に溶けてなくなってしまったのだ。
「はーぁ、あんたに甘えるなんて最悪」
 口にしてから、自分が甘えていることに気づく。玻璃綾乃は目を丸くして、次に年月の丸さが浮かぶ顔で微笑んだ。
「甘えるくらいしていいよ」
 許さないでほしかったのに。
 意地が張れなくなって、縋ってはいけないという思慮が霞んで、温めたバターみたいに溶ける。
 わたしは嫌うことを手放したあのとき、弱くなってしまったんだろうか。
 同じ種類の人間で似た齟齬を背負っている、この歳の離れてしまった同級生と体温を分け合いたくなってしまっている。
 わたしは首に回した腕をそのままに立ち上がり、ぎゅっと、玻璃綾乃に抱きついた。
 タイムトラベルのことはここに至るまでだけでも随分学び、考えてきたけれど……。恐らくこの男は
わたしと同じように、記憶しているものとは違う自分と混ざり、帰るはずの、大切な人との世界を失っている。
 そして、自分で選んで、自分を失っている。
 玻璃綾乃はわたしと、多分ニアとも似ていた。



 首に回っていた骨ばった手首が柔らかな腕に替わり、僕は裏袋に抱きしめられた。
 肩口に鼻をすりつける裏袋の小さな声がする。
「……似てる」
 反射的に、僕と近雄はあまり似ていないのではと思う。もしかしたら似てるのかもしれないけど、
それを言うなら状況的に……というところまで考えて、合点が行く。
0598綾乃×裏袋(7/17)2012/04/21(土) 00:39:34.22ID:jgJUnqUn
 僕と裏袋は少し似ている。
 そしてどういう思いなのかを理解するのと同時に、僕も自然と裏袋を抱きしめていた。背中が骨っぽくて腰が細い。
食が細っているのではないかとよぎるほどに華奢だ。とてもとても、ここ半年自転車に乗って速く走らせる
ところばかり目につく人間とは思えない。
 体温が染みつくのがわかる。じわりと汗が滲んだ気がした。
 シャンプーか整髪料の主張が目立つ髪の匂いには潮気が混ざっていて、それでも温度が近づくと
人の皮膚のものが主立っていった。ふわふわ曲線を描いて流れる髪の色はほぼ均一で、淡い。
 僕のすべては、マチだ。マチのためになら死ねるし、マチのためになら何年だって生きていける。どんなに長いときを、
罰と不安と共に過ごすとしても。
 なのに、時間の流れに心だけ取り残された裏袋が、僕と自分を重ねて触れ合いを求めることを受け入れてしまった。
これ以上どこへ行っても同じなのだろうというくらいまで。
 裏袋の腕が緩んで、僕たちは距離を取る。多分五秒くらいで、この後どうなるかが決まる。
 再び見た裏袋の顔は、あのかたさや温度の低さが嘘のように緊張を失っていた。一体いつからあんな風に
無理に肩肘張っていたんだろう。
 戻れなくなることを知りながらも、僕は睫毛についた涙を食む。その瞼は腫れぼったくて赤い目は熱を持っていた。
後で濡れタオルを当てよう。裏袋はそんなことを考えている僕の口の横に、やりかえすようにやわらかい唇を押し当てた。
ゆっくりとした背伸びが綺麗だった。
 指先とつま先を走る速度すら自覚させるような血の巡りが温度を上げる。自己嫌悪に近い感情で、胃の底が焼けた。
 これからきっとこの部屋で行われてしまうであろう行為を、一度だけ、本島でしてしまったことがあった。
気づけば八方塞がりにされていて、ついに断り切れなかったのだ。僕がどうあれ関係ないことがわかっていても、
あのときは暫くマチを視界に入れるのがつらくて仕方がなかった。
 なら何故繰り返すのかと問われたら、苦笑いしかできないだろう。あのときは本当にただ、体だけで引っ張られたのが
情けなかったのだ。今は、優しくしたい相手に優しくすることを、自分で選べたはずだ。
 互いの顔を首をとついばんでいく。細い顎、頬、耳、鼻。そのうち裏袋はついばむ隙を失ってされるばかりになった。
僕は耳の斜め下にある骨のでっぱりも首の動脈付近も食べてしまう。
「んあ……」
 初めて聞く甘ったるい声がして、左手が僕を拒もうと彷徨う。その手首を右手で掴んだ。シャツの二の腕の辺りを掴む
右手の意思を尊重した結果だ。
 そのままステップを踏むようにとはいかなくとも、エスコートだけはして、ベッドに並んで腰かけた。
「あ……あの、えっと……」
「何?」
 熱くて仕方がないので自分の着ているシャツのボタンを外しながら言葉に応じる。ベッド際のカーテンを
閉め忘れかけてひやっとした。
「だいじょうぶ、なの? その……ひ……」
 はっきり言えない自分が真に遺憾である、といった様子の裏袋には、どの大丈夫を言えばいいんだろう。
上着にしていたシャツを脱いで、最初に思いついたことを言う。
「ここに人は、滅多に来ないよ」


0599綾乃×裏袋(8/17)2012/04/21(土) 00:41:05.77ID:jgJUnqUn
 それも重要だけど。
 艶やかな唇から発せられる囁きの響きは柔らかい。余計な力が入らなくなってくる。
「……ん、そうじゃなくて」
 次の発言を迷う間にもいつの間にかそっと体を倒されていた。乱暴なら文句の一つも言って殴ってやれるのに、
玻璃綾乃はあくまで優しい。
 枕に頭が沈んだ拍子にピンと来た。玻璃綾乃の匂いはナッツ類のそれによく似ている。
わたしの鎖骨を鼻でノックするようにして口づけたとき近づいた髪も、そんな匂いがした。
「ちょっと……」
 抗議しようにも力が拒絶に働かない。熱に浮かされて逆にアクティブになっているときみたいに胸がちくちくする。
「あぁ……」
 玻璃綾乃は得心がいったようで、息すら混ざる程すぐ近くでそれを口にする。
「僕、不能なんだ」



 目を見開いた裏袋の唇が、うそ、と動く。
「指紋まで同じ人間が二人いるから、神様か何かが帳尻を合わせたのかも」
 付け加えると、今度は瞬きの量が極端に増えた。
 僕は事実しか話していない。タイムトラベルが身体にどんな影響を及ぼすかわからなかったため、一度本格的に
すべてを検査していたのだ。戸籍の問題で苦労したが、松平さんの妙なコネでなんとかなった。
「そう……っかぁ」
 顔を逸らした裏袋が少しずつ瞬きを減らす。その間にも手を奪取して、手のひらと指をついばむ。爪が桜貝と同じ色だ。
指先ごと口に入れるとぴくっと反応が返ってきた。
 ベッドの下に半ば流されたままだった脚を上に持ってきて、本格的に押し倒しの姿勢になる。裏袋も倣おうとするので、
さりげなく誘導して片脚だけ僕の膝を片方越えさせた。
 ベッドに斜めに横たわった裏袋は、まだ肌寒いというのにノースリーブのワンピースを着ている。
ただしその薄桃色に合った赤銅色の上着を羽織っているし、家に入る前はもう一枚着ていた。上着に手を掛けると、
裏袋も脱ごうとして半端に上体を起こす。照れながらもぞもぞ動く様がおかしくて、脱がせながら笑う。
拗ねられそうな気配は無視した。
 露出した肌は、元から出ていた部分より更に白い。日焼けしていない印象があったけど、それでも焼けてはいたのか。
 こうして見てみると、裏袋は顔が整っていて胸もふっくらしているし、今は見えないが脚も長い。
柔和そうな顔立ちと髪質が相まって、客観的に見て犬系の美女だ。
 マチは、猫、だろうな。多分。
0600綾乃×裏袋(9/17)2012/04/21(土) 00:42:22.22ID:jgJUnqUn
 やがて裏袋は脱いだ上着をイスに放り投げて、見事掛ける。僕は脱ぎ忘れていたTシャツを脱いで、上半身裸になった。
 裏袋は僕を改めて見て、顔ごと逸らす。ああ、ごめん。という言葉は吐き出さず、口の中だけで済ませた。
 丁度こちらを向いた耳を、髪をどけて唇でなぞる。甘噛みしたら軟骨の弾力が、脆いゴムのように感じられる。
裏袋の脚がびくっとしてもぞもぞ蠢いた。シーツの擦れる音がした。
 ワンピースの前のボタンを外す。それは臍の辺りまで続いていて、そこから先は布の切り替えがあり、
ふわふわと広がっている。
「少し、肌寒いな……」
 僕が漏らした呟きに、裏袋は何も考えてないような声で返す。
「うん」
 外で雨が降り出したのか、ぱらぱらと音がしだした。



 わたしは、右手の傷跡についてもなるべく反応せずにここまで来ていた。
マチを助けてニアを助けそこねたときの傷だという話は聞いている。
 今回初めて見た傷跡のことは、知らなかった。そして何も言えなくて思わず、顔を逸らしてしまったのだ。
ただ直観的にわかる。これもマチのための傷だ。
 雨が降っている。
 わたしはボタンを外し終えたばかりの玻璃綾乃を抱き寄せながら背中を浮かせて、鼻先にキスをする。
 ニアと玻璃綾乃を重ねたわけでもないのに、わたしとマチが重なって見えていた。自分の大切な、
自分のことを大切にしてくれる人が、勝手に選んで、勝手に傷を受けて、時に勝手に死んだりする。
マチは昔の恩人であることしか知らないだろう。知らないならそれはマチにとってないのと同じかもしれない。だけど……。
 わたしがマチなら、知らないことが更に、寂しくて、やるせなくて、何より許せない。
知らないけれど、矛盾を含んでも突っ切れるほど強く、思う。
 そのまま抱きついて滲んだ涙を隠して、肩に噛みついた。
「……っ、つ、痛い、痛い裏袋、痛い」
 かなり痛がってくれたので満足して噛むのをやめて、小さく罵倒する。
「ばか」
 少し声が震えてしまった気がする。噛んだところを舐めると、少しだけ鉄の味が滲んでいた。
 まだ少し舐めただけなのに、腕を解かれて引き離されてしまった。体勢を直した玻璃綾乃は、
前髪をくしゃくしゃにしてわたしを撫でた。


0601綾乃×裏袋(10/17)2012/04/21(土) 00:43:28.64ID:jgJUnqUn
 何がばかなのだろう、と思った。直前に噛みついたことも含めて、僕にはわかりそうもない。引きはがして
顔を見たら、頭を撫でたくなった。こういうときは頭よりも、体の方が相手のことを理解できるのかもしれない。
 それから、最初のキスと同じように額にキスをした。裏袋は少し後ずさって身を起こす。そして僕を軽く睨んだ。
「寝てたら脱げん」
 そりゃそーだ。不機嫌な顔で子供みたいな報告をするものだから、思わず吹き出す。そんな僕に裏袋はもう一言、
不機嫌な主張をする。
「謝らないから」
「はいはい」
「はいは一回」
「うん」
 緩いやり取りをしながらワンピースと肌着を脱がせる。裏袋は大人しく、されるがまま、従うままだった。
裏袋がワンピースをベッド脇にさりげなく落とす。ぱさりと音がした。
 背中に手を回したら、僕の肩が押される。
「あ、それはいい、いい、ブラくらい自分で外す」
「遠慮すんなよー」
 受動的でいることが恥ずかしくなってきたのであろう裏袋をからかって笑う。
「ちげぇよ」
 否定してから大人しくなった裏袋は腋の下を通る腕がくすぐったいらしく、しがみついてくすくす笑う。
淡い雨音に隠されたように忍び笑うと、秘密基地か何かに居るようだった。
 見えない背中を手で探る。背中の温度は僕の手のひらよりは低く、すべすべした触感の印象を強める。
腕の中の温度が優しい。
 ホックの構造すらうろ覚えだったにも関わらず、意外とさらっと外せた。僥倖だ。
 上半身からすべて取られた裏袋は代わりに長い髪をいじって、少しだけ前に持ってくる。
そんな少しで隠せるものでもないのに。
 裏袋は僕の頬に手をやって親指で唇に触れて、ぽつりと言う。
「あんたって唇だけは艶っぽいわよね」
 それ以外はどうなんだ、という部分については自覚があるので問いたださない。全体的にぼやーっとしているとは
よく評されているし、自分でもそう思う。
「そんな風に褒められるのは初めて……かも」
 返す言葉は、九年間の記憶容量をほぼマチにだけ注ぎ込んできたために曖昧になる。
「別に褒めてない」
 即座に入る否定のタイミングにどこか既視感を覚えた。
 今し方褒められてないばかりの唇で肩に触れて、思う。認めていいことかはわからないけど、裏袋は、
車いす生活の記憶がある裏袋は、ほんの少しだけ、脚が動かなかったマチと似ていた。
 顔を上げて、手のひらで胸に触れる。肌寒さもあってか先端はかたまっていた。そこを軽く指でなぞる。
控えめな反応は悪い方向のものではなかった。次に舌で舐め上げると背中が暴れる。面白い。
 片方の手に手を重ねる。裏袋のそれは、僕のものと比べるととても小さく思える。細い指が絡みついてきて、
握り返したら、少し緩んだ。


0602綾乃×裏袋(11/17)2012/04/21(土) 00:44:20.38ID:jgJUnqUn
 手を握り返されただけなのに、どうしてか力が抜けて、呼吸の荒さが増してしまう。ごつごつした指が
手の甲を押す感触と体温に、何より堪らないものを覚えて、やっとわたしは怖くなる。
脚を閉じようにも間に膝が置かれていて、そのことも一気にわたしの心身に作用する。足の指がそわそわする。
 そんなことなど素知らぬ顔で、玻璃綾乃はわたしの太腿の間に手を入れて、下着の上からそこに触れる。
「ひゃぁん」
 さっきまで偶に漏らしていた声より更に甘く、鋭い声がした。というか自分からこんな声が出るとは思わなかった。
なんだこれ。半分くらいは吃驚して出た声のはずなのに、質が完全にもうひとつの理由に持っていかれていた。
 思わずベッドについている方の腕をがしっと掴む。爪も立った。
「……やめる?」
 視線を合わせての問いに反射的に首を横に振る。半端なところで終わっても何か持て余して持ち越してしまいそうな気がした。
 玻璃綾乃はわかったと言って、わたしの前髪の生え際に口づけた。
 慎重な手つきもたくましさも声の低さも淡い目つきも、わたしの感覚の所有権を奪うようで、反発したいのに、
受け入れるどころか従ってしまう。どうしてわたしは肘などついているんだろう。
 どこまででも行けそうな感覚と力が抜けてへたり込むときの感覚が入り混じっている。
自転車で走りすぎているときの感覚に似ている。でも、自転車のときは飛ばす感覚は怖くないのに、今はそのざわざわが怖かった。



 一呼吸置いてから、再び湿り気を含んだ下着の上をなぞる。最初はくすぐる程度に、少しずつさするように。ゆっくりと。
 裏袋は声を発するまいとしているけれど、感じているのは一目瞭然だ。背中がぞわぞわした。
 頭の芯で水が零れそうになる。
 裏袋が自分の下唇を上唇で一度仕舞い込んで喉を鳴らす。次に見えたときには乾燥で白っぽくなっていた唇が
赤に染まっていた。
「……あ」
 漏れだす声の隙間から白い小さな下の歯が並ぶのが見えた。口内は潤沢で、赤い。
僕は立ち眩みのようなものを覚えて頭を振る。
「どしたの?」
「な、なんでもない」
 裏袋の顔を見ないように肩を抱き込んで横に倒れて、きつく抱きしめる。弾力のないベッドに右肩がぶつかって、
少しだけ痛い。横向きに寝そべった状態になった。
「ちょっと、痛い」
 言われて腕を緩める。
「ごめん、ちょっとふらっとしたから」
 微妙に嘘をつくと、裏袋はいたずらのいいアイディアを思いついたような目で見て
「ふぅん」
 とだけ返した。それから狭いベッドの上で転がされて、さっきと上下逆の状態にされてしまった。
そのまま形勢逆転とばかりに首筋を舐められる。不意打ちの熱い感触に腰が浮きかけた。
 裏袋は初めて楽しそうに笑う。
0603綾乃×裏袋(12/17)2012/04/21(土) 00:45:24.20ID:jgJUnqUn
 僕はなんだか負けん気を煽られた気分になって、裏袋の背中に手を回し体を起こす。
立場の再逆転に裏袋が対応しきれていないうちに胸を吸って舌で転がす。
「ひあっ」
 逃げようとする腰と肩を抱き寄せては舌を這わせる。溢れる嬌声に、脳みそから躊躇いが沢山零れて
夢中で気づけばもう押し倒していた。ちょっと逆転勝利の気分だ。
 そのまま下着をずらして局部を直接撫でる。焦ってしがみつく裏袋の爪が背中にちょっと刺さったことすら
燃料にしかならない。
 邪魔になってきた下着を手早く下ろしてそっと触れる。熱くてとろとろしたところが、指に撫でられる度に
滴り融けてしまうように感じる。同時に一帯の筋肉が動くのがわかる。蠢いて騒ぐ熱がお互いのものだという感覚に確信が加わり、
ブレーキが壊れかける。
「ぁああ……だめ、なんか、だめ……」
「……痛い?」
 暫くして発せられた言葉に、手を止めて様子をうかがう。激しくしすぎただろうか。
「痛いとかじゃなくて……こわい」
 意味を量りかねて首をかしげると、裏袋は至極恥ずかしそうに、顔を覆って続きを言う。
「気持ちいい、んだと思うけど、それがこわい」
「…………」
 ついにやけてしまう。自分でもその理由が、意地悪心なのか奉仕の精神なのかわからなかった。同時に、
それで怖いなんてこともあるのかと感心もする。
「……あぁ、もうっ、いいわよ、続けてっ!」
 裏袋は自棄で涙目になって、照れ隠しのように僕の腕を軽く引っ掻いた。
 僕はまた同じように愛撫して、口の横にキスをする。それから、身をよじる裏袋に一言断る。
「指入れるよ」
「えっ」
 返事は聞かずに人差し指を入れると、案外するりと入り込んでしまった。
 慎重に曲げたり、細かい出し入れをしてみる。
「平気?」
「結構、大丈夫」
 返事に安堵するより先に、裏袋は別の要素に言及する。
「……初めてじゃないのかも」
 一瞬意味を捉えかねる。ああ、なるほど。過去からの帰還で縫い合わさった今の自分の九年間を、裏袋も知らないのだ。
「もしそうだとしても、今は好都合なだけだ」
 僕は裏袋の額にこつんと額を合わせて笑いかける。
「……そうかも」
 額を離すと、裏袋の和らいだ表情が僕を見上げる。


0604綾乃×裏袋(13/17)2012/04/21(土) 00:47:04.57ID:jgJUnqUn
 恥ずかしながら、一瞬ものすごく今更な不安を抱きそうになった。そうだ、わたしは元の場所を失っただけではなく、
ここでの九年間も知らないのだった。わたしが何をして、何をしていなくても、わからないのだった。
 おでことおでこの貼りつく感触と笑顔だけで簡単に落ち着かされてしまった。九年間の差が大きいような気がしてならない。
なんだかくやしい。



「そろそろいいかな」
「いいんじゃないかな」
 指を引き抜いて提案したら、案外投げやりな答えだった。
「え」
 それしか言えなくなる。流石に反応に困った。
 すると裏袋は、軽く口を尖らせて真相を語る。
「わかんないのよ。……心の準備はできてる」
「そっか」
 ほっとして笑い、長い髪を濡れてない方の手で梳く。
 それから僕は自分のズボンと下着を一気に脱ぎ捨てる。ずっと押さえつけられていたのでかなりの開放感があった。
その間裏袋も下着を足から抜いて、やっとお互い全裸になった。
 脱ぎ捨てた服の所在など忘れて触れ合う。特に脚と脚が直接触れ合うのは初めてだ。足の指の先まで
綺麗に均整が取れている。じゃれあっていると子供以前に戻れたような気さえしてきた。
 少しして、恥ずかしがる裏袋を落ち着かせながら脚の間で膝をつく。
「じゃあ、行くよ」
「うん」
 推し量りながら入り込んでいく。温かく絡みつくような触覚に理性が絡め取られそうになる。
 裏袋が僕の頬を撫でて囁く。
「気持ちいいの?」
「とっても」
 正直な感想だ。気を抜くと果てるまでひたすら激しく突いてしまいたいとすら思える。
「……そう」
 素っ気なさを装おうとしても眼球の動きが微笑ましい。
「裏袋は? ……つらくない?」
「平気。自転車ばっか乗ってるから、かも……?」
「なるほど、アスリートだ」
 自分で言ってて何がアスリートなのかよくわからない。意味不明の感想を漏らしてしまった。
呼吸はしすぎなくらいしているのに、酸欠みたいな頭だ。部屋に体液のにおいが充満しているせいかもしれない。
「ちょっと姿勢変える」
 ある程度まで深く入れてから、背中を抱えて抱き起こす。
 裏袋は思い切り僕にもたれ掛かってきてしがみつく。僕はバランスを崩しそうになって、片手を後ろについた。
「…………っはぁ」
 裏袋はそのまま暫く動かない。僕も動かずジッとしていた。


0605綾乃×裏袋(14/17)2012/04/21(土) 00:48:20.71ID:jgJUnqUn
 二人分の呼吸の音だけが鼓膜を揺らしている。
 つらくないのは一応嘘ではないけど、恥ずかしくて堪らなかった。もたれたついでに暫く顔を見ないように
しがみついている。指を入れられたときよりかなり大きい異物感に、吐き気とは違う意味で何かを吐き出しそうだ。
 色々と、羞恥心が咎めることばかりだ。気づけば甘えるような声で発声練習みたいな意味のない音を連呼してるし、
てちゃてちゃと音もしていた。
 でも今は今で何も言わなくて何もしないだけなのに、『可愛い』と少し形が似た気持ちが増え続けてもやもやする。
骨と筋肉と皮と吐息と、感じるのはそれだけのものに、不快なはずの汗だ。それなのに。
 今触れ合ったままでいるだけで、汗が混ざり合っている。それどころかもっと直接的に交わって混ざり合ってもいる。
 ふと、どういうつもりでここに来たのかなんてことを思い出す。もう既に、
今回のことに最初を定義するとしたときの最初は、そこじゃなかった。
 ひとつ溜め息を吐いて、言葉を探した。
「……ねえ」
 その先は言えない。いい言い方が思いつかない。わたしは両腕を玻璃綾乃の首に回したまま体を離す。
その顔は凪いだ表情でわたしを見据えていた。玻璃綾乃は唇を軽く湿らせて、口を開いた。
「えぇと……そろそろいいかな」
 わたしが口に出そうとしなかった不完全な言葉だ。わたしはなんだかほっとして、黙って頷く。
 玻璃綾乃はわたしの腰を抱き寄せて、「んっしょっと」と口に出して後ろに倒す。やりやすい姿勢なんだろうかこれ。
そして最初はゆっくり小さく、段々と早く大きく動きだす。押しつけるようにぐりぐりやったり、まっすぐ突いたりする。
 漏れ続ける声は他人ごとのようにコントロールが効かないのに、確実に気管支を震わせてその感覚を伝える。快感を覚えるときも、激しくてついていけないときも。
「あぁっ! あむ……ぅ」
 口を押さえようと手を近づけたときにふいに思いきり動かれて、わたしは思わず自分の人差し指に咬みついた。
そのまま咬んだまま力を入れ続けてしまう。存外何かに噛みついてられるのは心地がよい。
これがわたしの癖なのかもしれなかった。調子に乗って顎の力を強めたら、犬歯が思いきり突きささって指が痛んだ。
 固定されて安心する方が強いからか、何なのか、痛みは気にならなかった。



「裏袋……っ」
 急ブレーキを無理矢理掛けたようになんとか止まる。今、すごく思いきり噛んだように見えた。
 裏袋はぷぇっと吐き出した指で額に貼りついた前髪を少しはがして、視線をこちらにだけ投げ寄越す。
指には一瞥もくれない。
「なに?」
 僕は裏袋の噛まれた方の手の首を掴む。
「……っつ」
「あ、ごめん」
 掴みすぎた。力を弛めて、それでも僕は人差し指を咎めたくて仕方がない。強く噛んでしまっていたことを
確信させる赤だ。
 咬み跡を舌で暫くなぞって、殆ど血の味がしないことに安堵する。それでも目で見ればやはり痛々しく、
咬んだ跡がはっきりついている。
0606綾乃×裏袋(15/17)2012/04/21(土) 00:49:04.57ID:jgJUnqUn
「裏袋、やめな」
「……放っといてよ」
 裏袋は不貞腐れて顔を逸らした。頬が上気しているためか、まるで照れているような風情だ。
僕は裏袋の頬と耳に手を掛けて、そのままこちらを向かせた。目と目が合う。
 焦点がはっきり合うのを待ってから、僕は告げた。
「……あまり、傷を作るようなことを、しないでくれ」
 こんな風にしておいてどの口が、と自嘲しながらも、止まらない。
「噛むなら僕にまた噛みついていい。引っ掻いてもいいし、蹴飛ばしたっていいから」
 このまま自分の指を一部でも咬みちぎってしまった場合、裏袋はどれだけの期間どれだけ苦労を強いられるのだろう。
 いや、苦労はそんなにしなくても、そもそも裏袋が怪我をするのも嫌いだ。
 僕は忘れられないのだ。裏袋の脚を選んだ近雄への共感めいたものと、強い負い目を。
 そして、純粋にそれだけではなかった。
「なんなら髪の毛掴んで束で引っこ抜いても許すよ」
 裏袋美住は間違っても僕の愛しい人ではない。それでも、願うことは少し、あった。
「だから……」
 僕は苦々しい顔になっていく彼女の瞼に唇を押しつけた。
「美住、お願いだ」



 名前を呼ばれて、自分の傷を度外視していることへの憤りから、感情の位置がズレる。目の前の彼は
泣きそうな顔をしていた。
「……わかったわよ」
 今回は負けてあげる。
「わかったから、綾乃」
 最終的にわたしは勝つ。ニアが勝手に死ぬのを許さない。間接的に、ついでに、
綾乃が色んなものを勝手に背負うことだって、許してやらない。
 この島の男はみんなこんなに馬鹿で勝手なんだろうか。呆れる以外ない。最悪。
 わたしは生まれる軽い衝動に任せて、ぼんやりした玻璃綾乃の頬と目元を撫でる。



 僕は色々と、過保護なのだろうか。
 撫でられて落ち着きを取り戻しながらそう思う。
「ごめん。ちょい取り乱した」
「今更かよ」
 短いやり取りの間も、手の体温は暖かい。
「けど実際爪立てたりしてもいいから」
「わかったって」
0607綾乃×裏袋(16/17)2012/04/21(土) 00:50:28.67ID:jgJUnqUn
 裏袋の腕が背中に回ったのを合図にしたように頷いて、また動き始める。時折悶える裏袋の反応を見ながら。
自然、擦りつけていくような動きが増える。
 僕は裏袋の頭を抱えるように腕を寄せて頬にキスをした。
 何度も撫でて、首筋に口づけて、背中に爪を立てられて、複雑なことは何もなかった。ただ、
繰り返しながら少しずつ変わっていくだけだった。
「あぁ、綾乃、綾乃ぉ、っぁ綾乃……」
 裏袋は何度も、何度も僕の名前を繰り返した。彼女の前でヤガミカズヒコは、偽名などすっ飛ばして
どこまでも玻璃綾乃のままのようだった。

 へとへとになるまで続けて、その後僕たちは眠ってしまった。日が暮れて暗くなった部屋で、裏袋はまだ眠っている。
眠っていると、本来の柔和な顔つきがよくわかる。
 雨はいつの間にか止んでいた。
 さて、ご両親への連絡はどうしよう。
 その前に、ロクに処置しなかったせいで案の定腫れてしまった瞼に濡れタオルをあてがう。
『この』僕を見据えて玻璃綾乃と呼ぶ裏袋の、強い瞳を覆う瞼だ。僕を玻璃綾乃だと認める人間は、
もうこの世界に松平さんと裏袋の二人しか居ない。
「…………ニア……」
 彼と話す夢でも見ているのだろうか。幸せそうな声色だ。
 僕は思い出したように一人ごちる。
「……悪いけど、手掛かりは見つからないよ」
 手紙ならあるけど、隠蔽する自信はある。
 僕は自分で飲むお茶を用意して、一人テーブルの側の椅子に座った。そして何を話すか考えてから、電話を掛ける。
「あ、もしもし裏袋さん? ヤガミです」



 タオルを外すと、月明かりがカーテン越しに微かに漏れていた。電話の声が聞こえる。
「…………はい、それで調べ疲れて眠ってしまって、いつ起きるのか……え? 泊まり? 僕はいいですけど……
流石に若い娘さんが…………はぁ、そうですか。わかりました。責任持って預からせていただきます。それじゃ。ええ」
 電話を切ってため息をついた玻璃綾乃がお茶を啜る。蛍光灯のとこの小さい電球くらいつければいいのに。
 寝ぼけているせいか、一人分しかないイスに座る一人の玻璃綾乃が、正しい姿に思えなかった。本当は正面に誰か……。
「おはよう」
 話し掛けられて、違和感が霧散する前にわたしは悟る。
 ああそうか、もう一人にはテーブルにつくための『イス』は邪魔になるだけなんだ。
わたしが知らない『時間』のマチは、記憶にあるかつてのわたしと同じものに座っていたのだ。
「こんばんは」
「裏袋の母さん、もう泊まらせてもらっていいかしらーって。了承しといた」
「マジで」
「いつ起きるかわかんなかったし……」
「……ぐぬぬ」
 あんなことした後なのにこのまま一晩中同じ部屋で過ごすとは……。
0608綾乃×裏袋(17/17)2012/04/21(土) 00:52:21.47ID:jgJUnqUn
「さて」
 玻璃綾乃は立ち上がって電気を点ける。
「とりあえずご飯ないから炊くよ」
 お腹……確かに空いたかもしれない。
 しかし、こいつ体痛くならないんだろうか。わたしは痛い。
「うぉ、腰が死ぬ……」
 疑問は直後に氷解した。なんだ痛いんじゃん。畑仕事で鍛えてる癖にとも思うけど。
 わたしは服を着て、ぼーっとする頭を少しずつ通常稼働に直していく。先にお風呂借りればよかった。
 玻璃綾乃は冷蔵庫を覗いてから、調理スペースからわたしに言う。
「今後もちょくちょく遊びに来ていいよ。松平さんの手掛かりは一切ないけど」
「………………なんで手掛かりないのにあんたの家なんか来るのよ」
「いいじゃないか別に、『僕とお前の仲』なんだから」
「死ね」
 わかっていたのか。確かに不自然だった自分を振り返って歯噛みする。自信満々過ぎて腹が立った。
「今日のご飯は?」
「んー、ちょくちょく野菜は貰ってきてるはずがどうしてこうなった」
「どうしてこうなったじゃなくて……」
「……のりたまならある」
 冷蔵庫空かよ。この男の食生活はどうなっているんだろう。
「今度はなんか持ってくるわ、流石に」
 ここで手掛かりを探すふりをした分だけ、玻璃綾乃は油断するだろう。
 それに、九年ずれた玻璃綾乃は、時間旅行が可能であることを、わたしに可視化して見せ続ける。
あのニアを覚えている、玻璃綾乃は。
 他にも理由はある。なら、ご飯を一緒に食べたって、食材を持ち込んだって、まあいいだろう。
「あ」
 忘れてたけど、
「余計な布団とかってあるの?」
「……あ」
 予想通りの反応に、わたしは仕方ないと笑う。
「じゃあ今日は一緒に寝ていい? 床は嫌だし、家主床で寝かせるのも嫌だし」
 玻璃綾乃もため息をついて、あーあと笑った。
「仕方ないな」
 束の間の笑いも捌けて、気まずくない沈黙がゆっくり降りる。わたしは小さな声で、つい出来心で、
口が言いたくなった言葉を伝えた。
 こちらこそと同じ言葉を続けられた気がしたのは、聞かなかったことにして胸に仕舞った。
0610名無しさん@ピンキー2012/04/21(土) 23:58:52.61ID:n8VMon2w
GJ!
凄い好きな雰囲気だ!
やっぱり二人とも覚悟はあっても寂しいんだろうなあ
背徳感とかエロスとか色んなものが混ざり合ってぞくそくしたw

噛み癖可愛いよね
0612名無しさん@ピンキー2012/06/01(金) 16:26:18.97ID:EwrUTcM2
保守
0613名無しさん@ピンキー2012/07/04(水) 15:16:22.70ID:U9FetINo
保守
0614名無しさん@ピンキー2012/07/21(土) 09:09:58.57ID:rNOc8qXA
HO
0615sage2012/08/14(火) 04:10:35.62ID:TIaKZdAx
保守
0616名無しさん@ピンキー2012/09/02(日) 01:32:53.65ID:x10oXOJJ
保守
小ネタでもいいから来ていただけないものかねえ
いや、むしろ誰かいる?
0618名無しさん@ピンキー2012/09/03(月) 00:24:48.12ID:RTOfAbyA
書きたいけど難しい上に時間がない
長瀬、セックルした次の日にお別れだからなあ
0619名無しさん@ピンキー2012/09/16(日) 22:12:58.77ID:VKL+VaSe
ほしゆ
0620名無しさん@ピンキー2012/10/07(日) 02:13:18.12ID:TickpQUR
保守
0626名無しさん@ピンキー2012/11/01(木) 06:46:22.69ID:fws7WOB0
花咲太郎は需要ないのか
0629名無しさん@ピンキー2012/11/22(木) 21:59:02.91ID:EY/yN/wT
>>625
モブがまーちゃんの秘密(呼べばみーくんになれる)を知って
みたいな薄い本が出ないかな
0631名無しさん@ピンキー2012/12/14(金) 23:49:36.21ID:FsodfTgF
誰でもみーくんになれるから
レズにマユが狙われて「なんでみーくんチンコ無いの?」みたいな展開も
0632名無しさん@ピンキー2012/12/15(土) 10:25:22.29ID:HeZJsObN
ムッキムッキの黒人がカタコトで言っても認識すんのかな
0633名無しさん@ピンキー2012/12/27(木) 21:18:52.81ID:T9w12iFt
まーちゃんがみーくん(偽)に輪姦されて
警察が保護しようとしたら邪魔しないでと暴れる、みたいな

長期間だと絵を取ってきたりしないといけないが
短期間ならばれずに肉便器にできそうだな
悪意と両想い設定、マユの苛烈な性格による報いを受けそうだが
0635名無しさん@ピンキー2013/01/15(火) 21:54:44.19ID:rTX4K1GL
>>633
最終的には血の海落ちだろうな
むしろ輪姦しようとしたらトラウマ再発で発狂かな

みーまーアニメ化でもしないかな
けど電波アニメ化してもあまり盛り上がらなかったな…
0636名無しさん@ピンキー2013/01/17(木) 00:06:17.19ID:rFvR6y1G
スレ名がみーまーだけで入間も電波も入ってないから電波じゃ来ないかも
前ラノベスレで迷った人が来てた気がするし
0638名無しさん@ピンキー2013/02/10(日) 00:12:19.37ID:AZP9u1gj
9巻1章「悪いひと」P33以降の主人公の「   」の空白のセリフは何ですか?
0639名無しさん@ピンキー2013/02/12(火) 08:43:54.80ID:ZHfmBmHc
最近、数える目的での「正」の字を女体に描かれてるのしか見ない
0647名無しさん@ピンキー2013/06/21(金) 01:47:11.54ID:mLjvS5qu
みーまーにセックス強要?
あの誘拐犯、そんなゆとり持ってくれるかなぁ…。
0658名無しさん@ピンキー2014/06/05(木) 11:05:48.56ID:EROdTvEF
ほっしゅっしゅ

いまいちエロパロなりなんなりできそうなキャラや流れがないんかね今
↑に挙がった瀬川と左門みたく前の小説のでもいいと思うんだがなぁ
0660名無しさん@ピンキー2014/10/29(水) 16:28:16.79ID:zANZIFvG
じゃあ自分は永藤×日野の書きやすそうな感じを推す
飲酒マジックで容易く一線越えそう
0662名無しさん@ピンキー2015/02/28(土) 22:53:24.45ID:GLhIVw0o
今書いてる喜助と桃が完成したら需要無視して投下しようと思う
ほぼマルチになるが転載禁止の風潮も気に入らないしここ初出にしないためにもぜひ許してくれ
もしあんま反対されるようならやめるけど退路を断つためにも書き込ませてもらっとく
0663名無しさん@ピンキー2015/03/10(火) 22:25:58.41ID:HCLeOn2A
桃の節句には全然間に合わなかったが桃と喜助のやつ投下します
エロというよりただの下ネタっぽいのと人間嫌いな割に比内が経験済みな辺りが注意必要かな
NGする場合は『7秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能』で
06647秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(1/11)2015/03/10(火) 22:27:53.03ID:HCLeOn2A
「りーん……りーん……」
 俺は控えめに、外の連中の鳴き真似をする。
 控えめなのは、起こしたら面倒だからだ。今目の前で服も着ないですぅすぅ寝入っている比内を。
 やっぱり俺軽いのかなぁと、鈴虫に飽き足らず自省の真似事までして今日の出来事を振り返る。
 ………………そんなに変な一日でもなかった。比内の挙動が相変わらず不審だったくらいだ。
 つまりあれも、特にとっかかりなく傾れ込んでしまえる程度のものだったということだ。

 だけど、風情に溢れ溢れて壁が薄いこのアパートでいともたやすく行われた行為は、
きっと誰かにとってえげつなかった。
06657秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(2/11)2015/03/10(火) 22:28:29.14ID:HCLeOn2A
 


 俺と比内は結局、付き合っているようなそうでもないような状態に落ち着きかけていた。
 だからというか、暑さがぶり返した今日、俺は大学から帰ってきた足で涼を求めて比内の部屋を訪れた。
 しかし誰も居ない。俺は比内というより冷房に会えないことに落胆して階下の自室へと向かった。
 そしたら扇風機を占拠した比内が居た。
 比内ときたらビーズクッションまで持ち込んでまるで自室のようにくつろいでいた。
着ている服もラフなTシャツにショートパンツと完全に部屋着だ。
 ここで比内の来訪を察知した木鳥まで居たらそれはきっと本編で、西園がちょっかい出してきても
それはきっと本編。板違いになってしまう。……自分でも何を言っているやら。
 それはともかく彼女は俺の家に勝手にストックしていたあずきバーを囓りながらふてぶてしく言ったのだ。
「冷房壊れたから扇風機借りてるわ」
 当然俺は涼しい顔しやがっているそいつに反抗するわけだ。いつも通りの応戦があり、
あずきバーを奪い合い、涼しくなってきた気温に逆らって汗を流すアホだった。
 争い疲れた比内は扇風機前のクッションでぐえーっと伸びていて、俺も少しでも涼を取ろうと
クッションに手をつき扇風機前に乗り出す。
 ふと見ると比内の顔にはまた邪悪な感じで髪が張り付いている。邪魔だったので払って、
喉元を見据えてくる視線を無視して眺める。目の大きさも表情も偏りがひどい。
 思うところがあったのか比内も少し上体を起こして俺の前髪を掴痛い痛い痛い……
「痛いわ!」
「痛くしたのよ。冴えない顔ね」
 ストレートに貶されて反骨心は芽生えるものの、綺麗だからと眺めていた俺にその顔を貶す嘘はつけない。
 そして、近いなぁと思ったときには唇が触れ合っていた。あずきバーのせいでかすかにべとつき、
冷えた唇はそれでも弾力があり、引力がある。
 とはいえ、こちらから攻め入るほどの覚悟もまだ満ちてないし向こうからされたわけでもない。
多分手が滑ったとか足が滑ったとかそんなもんだ。その証拠に今すごく手首攣りそう。
 そんな事故の接触は一秒に満ちないうちに、どちらからともなく離れていく。
 ただ、うっかり慌て忘れて故意のキスと同じ作法で短く距離を取ったせいで、それ以上離れられなくなった。
ああこれ続くなぁと他人事のように思う。
 前の彼女はキスマークをつけるくらいならキスの感触を口に刻む方が残ると言って笑っていた。
当時ぱっぱらぱーだった俺はそうして満身創痍になることを歓迎していたし、
一生お互いの傷を増やしていく予想図にロマンチシズムすら感じていた。死にたい。
 体が覚えていた首の角度で、唇の力の抜き方で、舌先の力の入れ方で比内の唇に浅く割り込みながら、
傷跡の深さを思い知る。
 そういえば、キスというのはこんな風にするもんだったか。
 この間手にしたときはまったく思い出せなかったというのに、急に出てくるものだ。
 だけど記憶に頼りきりの所作は続かない。やはり相手が違えば感触も顔形歯並び骨格舌の厚さも
動作も何もかも違う。何より比内の匂いがずっとしている。
 俺は比内の冷たい鼻先が火照った頬に当たるのが楽しくて、頬ずりしようと頑張るみたいに角度を変える。
触れ合った部分からぐだぐだに溶けて、それが唾液になっているような錯覚が心地良い。
絡ませた舌は、表面が摩擦を、裏面が弱さを司るように、痺れを爪先まで巡らせている。
 いくらヘタレ野郎でも犬猫と同じ。一度覚えた人肉の味わい方を忘れるのは難しい。
 顔を離せば比内の瞳は相変わらず痛いくらい射貫いて俺を試す。俺も逸らさず視線を注いで、
まるでバトル前の野良猫だ。見つめ合うというより、睨み合っている。
 さて、比内は飛びかかってくるか、逃げるか……どっちでもいいな。
 サンドバッグやめた俺になんぞもう興味なかったとしても、今更逃がす気にはなれなかった。
 取っ組み合って引っ張り合ってよく知っている。比内の肌は俺にとって、とても心地良いのだ。
 先手を打って利き手を頂戴してからもう一度、今度は潜る覚悟で口に口をつける。
舌から出血大サービスでもそれはそれで気持ちがいいんじゃないかと思えるから今の俺は頭おかしい。
 対して比内の抵抗は曖昧でやる気ないものだ。体のよじられ方はお役所仕事で、
口元に余計な力はなく、歯は甘噛みしかしてこない。
 調子に乗って抱きすくめても、口を吸われただけだった。
06667秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(2/11)2015/03/10(火) 22:30:33.25ID:HCLeOn2A
 


 俺と比内は結局、付き合っているようなそうでもないような状態に落ち着きかけていた。
 だからというか、暑さがぶり返した今日、俺は大学から帰ってきた足で涼を求めて比内の部屋を訪れた。
 しかし誰も居ない。俺は比内というより冷房に会えないことに落胆して階下の自室へと向かった。
 そしたら扇風機を占拠した比内が居た。
 比内ときたらビーズクッションまで持ち込んでまるで自室のようにくつろいでいた。
着ている服もラフなTシャツにショートパンツと完全に部屋着だ。
 ここで比内の来訪を察知した木鳥まで居たらそれはきっと本編で、西園がちょっかい出してきても
それはきっと本編。板違いになってしまう。……自分でも何を言っているやら。
 それはともかく彼女は俺の家に勝手にストックしていたあずきバーを囓りながらふてぶてしく言ったのだ。
「冷房壊れたから扇風機借りてるわ」
 当然俺は涼しい顔しやがっているそいつに反抗するわけだ。いつも通りの応戦があり、
あずきバーを奪い合い、涼しくなってきた気温に逆らって汗を流すアホだった。
 争い疲れた比内は扇風機前のクッションでぐえーっと伸びていて、俺も少しでも涼を取ろうと
クッションに手をつき扇風機前に乗り出す。
 ふと見ると比内の顔にはまた邪悪な感じで髪が張り付いている。邪魔だったので払って、
喉元を見据えてくる視線を無視して眺める。目の大きさも表情も偏りがひどい。
 思うところがあったのか比内も少し上体を起こして俺の前髪を掴痛い痛い痛い……
「痛いわ!」
「痛くしたのよ。冴えない顔ね」
 ストレートに貶されて反骨心は芽生えるものの、綺麗だからと眺めていた俺にその顔を貶す嘘はつけない。
 そして、近いなぁと思ったときには唇が触れ合っていた。あずきバーのせいでかすかにべとつき、
冷えた唇はそれでも弾力があり、引力がある。
 とはいえ、こちらから攻め入るほどの覚悟もまだ満ちてないし向こうからされたわけでもない。
多分手が滑ったとか足が滑ったとかそんなもんだ。その証拠に今すごく手首攣りそう。
 そんな事故の接触は一秒に満ちないうちに、どちらからともなく離れていく。
 ただ、うっかり慌て忘れて故意のキスと同じ作法で短く距離を取ったせいで、それ以上離れられなくなった。
ああこれ続くなぁと他人事のように思う。
 前の彼女はキスマークをつけるくらいならキスの感触を口に刻む方が残ると言って笑っていた。
当時ぱっぱらぱーだった俺はそうして満身創痍になることを歓迎していたし、
一生お互いの傷を増やしていく予想図にロマンチシズムすら感じていた。死にたい。
 体が覚えていた首の角度で、唇の力の抜き方で、舌先の力の入れ方で比内の唇に浅く割り込みながら、
傷跡の深さを思い知る。
 そういえば、キスというのはこんな風にするもんだったか。
 この間手にしたときはまったく思い出せなかったというのに、急に出てくるものだ。
 だけど記憶に頼りきりの所作は続かない。やはり相手が違えば感触も顔形歯並び骨格舌の厚さも
動作も何もかも違う。何より比内の匂いがずっとしている。
 俺は比内の冷たい鼻先が火照った頬に当たるのが楽しくて、頬ずりしようと頑張るみたいに角度を変える。
触れ合った部分からぐだぐだに溶けて、それが唾液になっているような錯覚が心地良い。
絡ませた舌は、表面が摩擦を、裏面が弱さを司るように、痺れを爪先まで巡らせている。
 いくらヘタレ野郎でも犬猫と同じ。一度覚えた人肉の味わい方を忘れるのは難しい。
 顔を離せば比内の瞳は相変わらず痛いくらい射貫いて俺を試す。俺も逸らさず視線を注いで、
まるでバトル前の野良猫だ。見つめ合うというより、睨み合っている。
 さて、比内は飛びかかってくるか、逃げるか……どっちでもいいな。
 サンドバッグやめた俺になんぞもう興味なかったとしても、今更逃がす気にはなれなかった。
 取っ組み合って引っ張り合ってよく知っている。比内の肌は俺にとって、とても心地良いのだ。
 先手を打って利き手を頂戴してからもう一度、今度は潜る覚悟で口に口をつける。
舌から出血大サービスでもそれはそれで気持ちがいいんじゃないかと思えるから今の俺は頭おかしい。
 対して比内の抵抗は曖昧でやる気ないものだ。体のよじられ方はお役所仕事で、
口元に余計な力はなく、歯は甘噛みしかしてこない。
 調子に乗って抱きすくめても、口を吸われただけだった。
06677秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(2/11)2015/03/10(火) 22:32:48.53ID:HCLeOn2A
 


 俺と比内は結局、付き合っているようなそうでもないような状態に落ち着きかけていた。
 だからというか、暑さがぶり返した今日、俺は大学から帰ってきた足で涼を求めて比内の部屋を訪れた。
 しかし誰も居ない。俺は比内というより冷房に会えないことに落胆して階下の自室へと向かった。
 そしたら扇風機を占拠した比内が居た。
 比内ときたらビーズクッションまで持ち込んでまるで自室のようにくつろいでいた。
着ている服もラフなTシャツにショートパンツと完全に部屋着だ。
 ここで比内の来訪を察知した木鳥まで居たらそれはきっと本編で、西園がちょっかい出してきても
それはきっと本編。板違いになってしまう。……自分でも何を言っているやら。
 それはともかく彼女は俺の家に勝手にストックしていたあずきバーを囓りながらふてぶてしく言ったのだ。
「冷房壊れたから扇風機借りてるわ」
 当然俺は涼しい顔しやがっているそいつに反抗するわけだ。いつも通りの応戦があり、
あずきバーを奪い合い、涼しくなってきた気温に逆らって汗を流すアホだった。
 争い疲れた比内は扇風機前のクッションでぐえーっと伸びていて、俺も少しでも涼を取ろうと
クッションに手をつき扇風機前に乗り出す。
 ふと見ると比内の顔にはまた邪悪な感じで髪が張り付いている。邪魔だったので払って、
喉元を見据えてくる視線を無視して眺める。目の大きさも表情も偏りがひどい。
 思うところがあったのか比内も少し上体を起こして俺の前髪を掴痛い痛い痛い……
「痛いわ!」
「痛くしたのよ。冴えない顔ね」
 ストレートに貶されて反骨心は芽生えるものの、綺麗だからと眺めていた俺にその顔を貶す嘘はつけない。
 そして、近いなぁと思ったときには唇が触れ合っていた。あずきバーのせいでかすかにべとつき、
冷えた唇はそれでも弾力があり、引力がある。
 とはいえ、こちらから攻め入るほどの覚悟もまだ満ちてないし向こうからされたわけでもない。
多分手が滑ったとか足が滑ったとかそんなもんだ。その証拠に今すごく手首攣りそう。
 そんな事故の接触は一秒に満ちないうちに、どちらからともなく離れていく。
 ただ、うっかり慌て忘れて故意のキスと同じ作法で短く距離を取ったせいで、それ以上離れられなくなった。
ああこれ続くなぁと他人事のように思う。
 前の彼女はキスマークをつけるくらいならキスの感触を口に刻む方が残ると言って笑っていた。
当時ぱっぱらぱーだった俺はそうして満身創痍になることを歓迎していたし、
一生お互いの傷を増やしていく予想図にロマンチシズムすら感じていた。死にたい。
 体が覚えていた首の角度で、唇の力の抜き方で、舌先の力の入れ方で比内の唇に浅く割り込みながら、
傷跡の深さを思い知る。
 そういえば、キスというのはこんな風にするもんだったか。
 この間手にしたときはまったく思い出せなかったというのに、急に出てくるものだ。
 だけど記憶に頼りきりの所作は続かない。やはり相手が違えば感触も顔形歯並び骨格舌の厚さも
動作も何もかも違う。何より比内の匂いがずっとしている。
 俺は比内の冷たい鼻先が火照った頬に当たるのが楽しくて、頬ずりしようと頑張るみたいに角度を変える。
触れ合った部分からぐだぐだに溶けて、それが唾液になっているような錯覚が心地良い。
絡ませた舌は、表面が摩擦を、裏面が弱さを司るように、痺れを爪先まで巡らせている。
 いくらヘタレ野郎でも犬猫と同じ。一度覚えた人肉の味わい方を忘れるのは難しい。
 顔を離せば比内の瞳は相変わらず痛いくらい射貫いて俺を試す。俺も逸らさず視線を注いで、
まるでバトル前の野良猫だ。見つめ合うというより、睨み合っている。
 さて、比内は飛びかかってくるか、逃げるか……どっちでもいいな。
 サンドバッグやめた俺になんぞもう興味なかったとしても、今更逃がす気にはなれなかった。
 取っ組み合って引っ張り合ってよく知っている。比内の肌は俺にとって、とても心地良いのだ。
 先手を打って利き手を頂戴してからもう一度、今度は潜る覚悟で口に口をつける。
舌から出血大サービスでもそれはそれで気持ちがいいんじゃないかと思えるから今の俺は頭おかしい。
06687秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(3/11)2015/03/10(火) 22:36:13.47ID:HCLeOn2A
 キスから浮上して、さっきよりは潤んだ瞳を覗き込む。
「私は別に嫌ではないけど?」
 ビーズクッションにふんぞり返って比内が嘲る。恐らく俺も、今は似たようなツラをしている。
「残念ながら俺もなんだよ」
 俺は彼女の手に口づけをしたあの日のように膝をついて、足首に手を添えて手の甲に口づける。
 さあどうぞ捕食してくれないか。
 乞うように脛を啄み、膝小僧に額で服従する。
「不気味ね喜助」
 罵倒されても特に気にはならない。名前を呼ばれた方が重要だ。
 俺はまだ許されている。
 比内桃は俺をまだ許している。
 それがいつまで続くかはともかく下手に支配するより征服されている現状に裏側まで満足させられて、
今の俺は負けを喜んでいる。
 それはそうとしても顔を上げる。かち合った視線では相変わらず敵対しながら腕を引いて、
俺は比内を床に引き倒す。王座から引き摺り降ろすようなイメージだ。思わず笑う。
 抵抗はされない。彼女は観察するような目を俺に向けながら流されるままに倒れ込んできて
床に手をつく。
 以前の俺が上に乗るのと下になって乗られるのどっちが好きだったかは忘れたが、今は
今相手にしている比内桃って奴とはどっちだって何度だってしたい気分だった。
 俺はそのまま比内の腰に手を回して、後ろ側からシャツをめくる。
少々上機嫌すぎることを自覚しながらも適正な気分を考える間なんか置かない。
指先で背骨を軽く撫で上げて、肩甲骨を渡る布地の中心、引っかかっているホックを外す。
 比内は嫌がる素振りも恥じらう気配も見せずに、俺の腰の横でついた膝の位置を気にしている。いっそ座ってくれてもいいのに比内は手を床についたままでいて、両腕の自由がきかない状態だ。
 俺はそんな比内のシャツとかブラとか片手で大きくめくり上げ、もう片方の手で強引に
抱きよせて、普段の質量を裏切って重力に従順な乳房に顔を埋める。比内の匂いが濃くなって、
思わず大きく息を吸い込む。
「ちょっと、この変態」
 そこで黙ってられなくなった比内のツッコミが入った。
 しかし知ったこっちゃないので俺は返事の代わりに肌を舐める。なめらかな感触を堪能しながら
口で這いずって、吸われるためにある器官まで辿り着く。
 汗の味も比内にしては若干甘めになった匂いも踏み越えて表面の柔らかさとしっくり感が
強く主張してくる。
 なんとか食べ尽くせないものかと模索するように手で寄せて口にしてみても、
予想通り柳に風といった具合に変形しかしない。とはいえここで空回る努力は愉悦でしかない。
 比内は時々ぴくりと反応する以外何もしない。声一つ上げない。それでも拒絶はしてこない。
歯を立てても強く吸っても現状を維持している。
 一通り味わってから、手のひらで比内の肩を押して起き上がらせる。どんな顔してるのか見たかったのだ。
 比内の頬は上気していて、瞳は完全に潤んでいて、でも眉間には不機嫌そうにしわが寄っている。
締まりのない顔をしているであろう俺とは真反対だ。
 今の俺と比内は、多少の息切れと、(恐らく)顔色だけ共通していた。
「すげーしわ寄ってるな」
 指摘して指で伸ばしながら、何故か穏やかな笑いがこみ上げてくる。
「そう」
 比内は当人のくせに意外そうにまばたきをして、仕方なさそうに言葉での評価を追加してくる。
「まあ、悪くないわ」
 言わなきゃわかんねーんだろごら、とでも言いたげな目をしている。確かにわかりにくい。
協力的とはいえマグロを捌くのは初めてだ。
 でもわからないわけじゃない。
「何をいつまでも笑っているのよ」
 比内は呆れて、折角伸ばした眉間にまた深いしわを刻んだかと思えばそのまま下がって
俺の太腿の上に腰を下ろす。めくれたままのシャツと留める物のないブラがゆらゆら揺れた。
 それから、比内は俺の腹筋を雑に撫で上げるようにシャツをめくった。
 なんとなくされるがままにしておくと頭が下がってきて前髪で伏せた睫毛が隠れ、
あーもしかしてと思ったときには乳首を舐められていた。いや、舐めるなんて生易しい表現で
いいのかどうか……最初から急ピッチで攻められて変な声が出る。
「ぅあっ、ちょ……お前っ」
 反射的に制止すると、顔を上げた比内がにたーっと勝ち誇る。どうでもいいけど前髪が張りついて不気味だ。
 反応に乏しいから油断していた。何がマグロだよ俺。
くっそ、ふざけんなと反撃を開始しようとしたとき、控えめなノック音が響いた。
06707秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(4/11)2015/03/10(火) 22:41:31.84ID:HCLeOn2A
「神さん……いますか?」
 木鳥の声だ。横っ面を殴られたような気分になる。小さく可愛らしい声だというのに
特大の鈍器のようだ。
 鍵を掛けていない部屋の前に訪れたのが常識ある女子中学生の木鳥でよかったのか悪かったのか。
大家だったら……ああいや誰も来ないのが一番だった。
 とにかく追い返さなければと俺が言葉を探してくるより先に比内が涼しい顔で声を掛ける。
「居るけど手が離せないわ」
 なんでお前が答えてるんだよ。
 ドアの向こうの空気がどうなっているのか知るのが、妙に怖い。
 今気づいたがさっきからずっと耳の後ろの血流がうるさかった。
「……な、なん、で、あなたが……じ、じんさんは……っ」
 つんのめりながらも立ち向かうように木鳥は言葉を発し、発しながらドアを開けようとする。
 お行儀が悪いぞ木鳥、じゃなかった、ドアノブが半回転するくらいの音を立てたとき、
俺はやっと焦って声を上げる。
「待て待て木鳥、開けるな! 今ちょっと開けられると困る!」
 ドアは、数ミリの隙間になんの影も差さずに閉じる。
「……す、すみません。わたし、その……つい……」
 緊張の糸が緩み、俺はなるべく優しい声を掛けようとする。
 が、比内に阻まれた。
 ドアを向いていた顔を両手で掴まれ向き直らされ、唇を奪われる。
そのせいでぴたりと重ねられた口は言語を奪われ、舌には吸い込まれ嬲られる痺れが与えられる。
その上細い指先が耳をくすぐってきて上手く振り払えない。耳鳴りまでしてきた。
「あの……」
 申し訳なさそうな木鳥の声で、なんとか我に返る。
 俺は癖のように一度だけ吸い返してから比内を退かせて木鳥に言う。
「また説明するから。その、明日とかにっ」
 するとドア越しに苦笑するような声が返ってくる。
「……はい。じゃあ」
 離れていく足音にほっとしたのも束の間、比内がぽつりとこぼす。
「泣かせたわね」
 いつも通りのその横顔からは、感情を読み取ることはできない。
 嘘ではない、気がする。同時に、今から追いかけても何も言えないことも理解して、
俺は木鳥に向いた意識を手放す。悩むなら多分、明日以降だ。
「女子中学生泣かせて結構なご身分ね」
「……お前が言うな」
 比内の右目がすっと細くなる。俺は一度ため息と共に脱力して、すぐ立て直して
自分のシャツを脱いでおくことにした。
 そういう雰囲気じゃなくなってはい解散、というのも御免だったのだ。
 半分起き上がった俺がシャツを部屋の端に投げると、それを見ていた比内がぺとぺとと
俺の体に触れてくる。体の芯で浮き沈みしているぞくぞく感が増殖するような心地だ。
「いい体してるわね」
 比内は感心したように評価してきた。
 言われっぱなしも悔しいので俺も比内のシャツ(とブラ)を半ば無理矢理脱がせて一言
言わせていただく。
「筋肉ねえな」
 そしてそのまま背中側に倒れると、さっきまで顔があった辺りを張り手が通り過ぎていく
ところだった。おっかねえ。
 比内は、思った通り脱がせてみても綺麗だった。これからもっと見れるんだろうと思うと正直心が躍る。
「筋肉以外にコメントするとしたら……月並みだけど、綺麗だな」
 伝えるというより納得するように口に出す。
 すると比内はふんと鼻を鳴らしてふてぶてしく唇を尖らせた。
「当たり前でしょう。あなたと違って顔も心もその他も綺麗なのよ」
 ここ……ろ……?
 というのはともかく、比内はポエムを面と向かって褒めたときと同じ顔をしている。
 その顔、照れたときの癖なのか? と聞いたら多分今度は喉を潰されるだろう。
 だから俺は黙って、空振った手を奪って口元まで寄せ、しつこいくらいにキスをする。
 舌で触れてもその手はちょっと跳ねるだけで退いたり叩いたりはしてこない。
こっちから引っ張り込んだことを忘れさせるほど、静かに差し出されていた。
06717秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(5/11)2015/03/10(火) 22:44:05.72ID:HCLeOn2A
 俺は比内のわかりづらい変化を読むよりなんとなくで潮時を決めて手を離し、
今度は下半身に手を伸ばした。
 無遠慮に手を突っ込んで、蒸れ気味の毛を掻き分けてぬかるんだ湿地帯(比喩表現)をこねまわす。
受け入れ体制は万全(比喩表現)であり、指を押し進めれば容易く飲み込まれていく。
あとパンツがひどいことになっている。
 力加減さえできていれば多少乱暴なくらいの方がいいだろう。多少狭く感じつつも
指で中の方を突いていく。がっつり締めてくる恥骨辺りを過ぎた少し自由が利く空間で指を曲げて、
腹の側を押すように抜き差しすると、段々抜く動きを妨害されるように締めつけが強くなる。
 耳に届く呼吸はどちらのものも荒々しく、動物的だ。というか汗、汗目に入った痛てぇ。
 俺は名残惜しむような体の反応をぶっちぎって指を抜いて、無意識に肘をついていた方の手で目をこする。
「……汗すごいわね」
 久しく自分から動いてないにも関わらず息切れがひどい比内にそう評される。
 扇風機の風はちゃんと届いているというのに、あまり涼しくならない。
昨日少し涼しかったからと窓を閉め切ったままにしたからだろうか。開いてたら開いてたで色々困るが。
「これからもっと悪化するぜ」
 俺は最早言葉選びもめんどくさくなってきていて、妙な言い回しをそのまま口に出す。
 それから比内を上に乗せたままずりずりと移動して、棚の隙間を探る。記憶通り
落としてそのままだったコンドームが埃を被って出てくる。結構前のだけど、
まあぶつかったり陽に当たったりしてないし大丈夫だろ。
 ただし、
「あー……二個かぁ」
 数が微妙すぎた。一個だったら逆に諦めがついたような気もする。実際は違うんだろうけど。
 何を思っているのかわからないが比内も同じ隙間を漁る。
てっきり「そんなにするの?」とか言われるかと思った。
「……それだけみたいね」
「だな」
 無駄な悪あがきはそこで打ち切って、もぎって片方開けズボンとかいい加減にずらして装着する。
我ながら手際の良さに感心した。
 比内の方も履いてた物両方を片足から抜く。その仕種からなんとなく経験を感じた。
ちゃんと布団の中とかでやると何故かパンツとか見つからなくなるんだよな。
 合図も特に要らないほど静かに、比内は俺の上に腰を落としていく。
 ちょっとおっかなびっくりなところを見るに、比内も少なくとも最近は
こういうことをしていないらしい。俺は俺でラテックス越しのキツめの圧に新鮮味を感じていた。
ご無沙汰すぎてちょっと保たないかもしれない。
 つい、比内が腰を下ろしきる前に突き上げてしまう。
「ちょっ……」
 驚いて制そうとする腕を引いて今一度突き上げると、比内も観念したようで流れに乗ってくる。
 粘っこい水音と共に入りきっては僅かに抜けてまた繰り返す。
その動きを主に生み出す比内は俺の胸に手をついてまるで踊っているかのようだった。
 比内のそこは、本人が腰を引くときに限って手放すことを拒絶するように締めつけを増してくる。
逆にこっちから急に強く突き上げるときは、とろけた肉が弛緩して降ってくるように抱き込んでくる。
 比内は声こそ上げないものの、表情は何かを堪えるような切なげなものに変わっていた。
 脳から背骨の方向に向けてどばどば浴びせられる快感に従っていると、
やはりちょっと早めに限界が見えてくる。
「……すまん、もうイきそう……」
 情けなくも宣言すると、比内はこくこくと頷いて返事する。
「……ん、わかっ……た」
 喉をひっかくような喋り声に、咄嗟に比内の骨盤辺りを掴んで深くまで打ちつけ、
勝手な動きで数回打ち込む。自分でも完全にはコントロールがきかなかった。
 すぐに快楽の風船がぱちんと弾けたように一気に訪れ、今回一番深い位置で留まる。
 お互い息も荒く、暫くは肩だけ上下させていた。
 二度目三度目にはちょっと間がほしい。
 それは比内も同じ……いや、彼女の方が俺よりへばっているようで、
一旦離れようとして尻を浮かせかけても戻ってきてしまっていた。
 半端に動くと外れてしまいそうで怖いので俺が比内を持ち上げて退かし、ちゃっちゃとゴムを
ティッシュにくるんでしまう。
 それはそうと比内の状態は見ていて意地悪心が働く。持ち上げるために触れただけで
ぴくりと僅かに反応していた。
06727秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(5/11)2015/03/10(火) 22:54:29.89ID:HCLeOn2A
 俺は比内のわかりづらい変化を読むよりなんとなくで潮時を決めて手を離し、
今度は下半身に手を伸ばした。
 無遠慮に手を突っ込んで、蒸れ気味の毛を掻き分けてぬかるんだ湿地帯(比喩表現)をこねまわす。
受け入れ体制は万全(比喩表現)であり、指を押し進めれば容易く飲み込まれていく。
あとパンツがひどいことになっている。
 力加減さえできていれば多少乱暴なくらいの方がいいだろう。多少狭く感じつつも
指で中の方を突いていく。がっつり締めてくる恥骨辺りを過ぎた少し自由が利く空間で指を曲げて、
腹の側を押すように抜き差しすると、段々抜く動きを妨害されるように締めつけが強くなる。
 耳に届く呼吸はどちらのものも荒々しく、動物的だ。というか汗、汗目に入った痛てぇ。
 俺は名残惜しむような体の反応をぶっちぎって指を抜いて、無意識に肘をついていた方の手で目をこする。
「……汗すごいわね」
 久しく自分から動いてないにも関わらず息切れがひどい比内にそう評される。
 扇風機の風はちゃんと届いているというのに、あまり涼しくならない。
昨日少し涼しかったからと窓を閉め切ったままにしたからだろうか。開いてたら開いてたで色々困るが。
「これからもっと悪化するぜ」
 俺は最早言葉選びもめんどくさくなってきていて、妙な言い回しをそのまま口に出す。
 それから比内を上に乗せたままずりずりと移動して、棚の隙間を探る。記憶通り
落としてそのままだったコンドームが埃を被って出てくる。結構前のだけど、
まあぶつかったり陽に当たったりしてないし大丈夫だろ。
 ただし、
「あー……二個かぁ」
 数が微妙すぎた。一個だったら逆に諦めがついたような気もする。実際は違うんだろうけど。
 何を思っているのかわからないが比内も同じ隙間を漁る。
てっきり「そんなにするの?」とか言われるかと思った。
「……それだけみたいね」
「だな」
 無駄な悪あがきはそこで打ち切って、もぎって片方開けズボンとかいい加減にずらして装着する。
我ながら手際の良さに感心した。
 比内の方も履いてた物両方を片足から抜く。その仕種からなんとなく経験を感じた。
ちゃんと布団の中とかでやると何故かパンツとか見つからなくなるんだよな。
 合図も特に要らないほど静かに、比内は俺の上に腰を落としていく。
 ちょっとおっかなびっくりなところを見るに、比内も少なくとも最近は
こういうことをしていないらしい。俺は俺でラテックス越しのキツめの圧に新鮮味を感じていた。
ご無沙汰すぎてちょっと保たないかもしれない。
 つい、比内が腰を下ろしきる前に突き上げてしまう。
「ちょっ……」
 驚いて制そうとする腕を引いて今一度突き上げると、比内も観念したようで流れに乗ってくる。
 粘っこい水音と共に入りきっては僅かに抜けてまた繰り返す。
その動きを主に生み出す比内は俺の胸に手をついてまるで踊っているかのようだった。
 比内のそこは、本人が腰を引くときに限って手放すことを拒絶するように締めつけを増してくる。
逆にこっちから急に強く突き上げるときは、とろけた肉が弛緩して降ってくるように抱き込んでくる。
 比内は声こそ上げないものの、表情は何かを堪えるような切なげなものに変わっていた。
 脳から背骨の方向に向けてどばどば浴びせられる快感に従っていると、
やはりちょっと早めに限界が見えてくる。
「……すまん、もうイきそう……」
 情けなくも宣言すると、比内はこくこくと頷いて返事する。
「……ん、わかっ……た」
 喉をひっかくような喋り声に、咄嗟に比内の骨盤辺りを掴んで深くまで打ちつけ、
勝手な動きで数回打ち込む。自分でも完全にはコントロールがきかなかった。
 すぐに快楽の風船がぱちんと弾けたように一気に訪れ、今回一番深い位置で留まる。
 お互い息も荒く、暫くは肩だけ上下させていた。
 二度目三度目にはちょっと間がほしい。
 それは比内も同じ……いや、彼女の方が俺よりへばっているようで、
一旦離れようとして尻を浮かせかけても戻ってきてしまっていた。
 半端に動くと外れてしまいそうで怖いので俺が比内を持ち上げて退かし、ちゃっちゃとゴムを
ティッシュにくるんでしまう。
 それはそうと比内の状態は見ていて意地悪心が働く。持ち上げるために触れただけで
ぴくりと僅かに反応していた。
06737秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(6/11)2015/03/10(火) 23:50:07.72ID:HCLeOn2A
 だから俺は座り込んでいるそいつ胸を、さっきまで俺と噛みあっていた箇所を強めに愛撫する。
「あんっ、やめ……」
「る気はない」
 やっと小さく上がった甘い声に続く言葉を勝手に引き継いで攻めながら、お互い閉じる気のない唇も合わせることで塞ぐ。まったく聞けないのも嫌だがあまり声を出されると困るのだ、
この壁うっすいアパートは。
 声なんか聞こえなくとも揺れやきしみで充分察しがついてしまうものでもあるが、
気まずさ度合いが大分違う。
 弱いところがわかってきた頃、比内のそこが激しく波打って胸板をがんがん叩かれる。
俺は仕方がないので愛撫もキスも一度止めた。
「も、もうだめ。イったからっ。休ませて」
 弱々しく吐かれた言葉に従い、ちょっと警戒しつつ距離を取る。
 しかし地獄突きに見舞われない。流石にやりすぎたかもしれない。
 などと呑気に心配していたら鎖骨下の隙間に苛烈な一撃が入った。う、わあ案外痛い。
 俺が痛みに身悶えするうちに比内はするりと服を着て、人んちの冷蔵庫を勝手に開けて
あずきバーを出す。
「暑い死ぬ」
 比内は言葉通り、暑くて死にそうになっている奴の見た目だ。
「俺にもくれ」
 俺も暑くて死にそうなのでズボンだけでも履きながら頭を垂れる(暑さにうなだれただけだが)。
「嫌」
 やはりというか即答されるので、俺はそのまま床のひんやりした辺りに倒れ伏した。
比内が遮り切らなかった扇風機の風が気持ちいい。
 かと思いきや、ふいに風が遮られる。抗議しようにもめんどくさい。
「ほら」
「うぎゃっ」
 強い刺激に目をやれば、未開封のあずきバーが頬に当てられていた。
どうやら比内が近づいてきたせいで風が遮られていたらしい。
「おう、サンキュ」
 素直に受け取って並んで同じアイスを齧る。
「ということでからあげクンを奢るのよ」
 すごくスルーしたい発言もついてきた。仕方がないので俺も大人の返事をする。
「そうだな、Lチキセールやってたもんな」
「アイス返しなさい」
 折角俺が折れても無駄だったようで結局あずきバーをくわえたまま頬をつねり合う羽目になる。
食ってるのがホームランバーだったら溶け落ちていた。さすがあずきバーさん、固いぜ。
 結局すぐお互いの汗が嫌になって黄金チキンを買わされることに落ち着き、
溶ける前に残りを食べ尽くす。
 俺はちょっと考えてから、アイスの棒を何故かへし折っている比内に提案する。
「……あー、どうする。とりあえず先コンビニ行く?」


 それぞれ着替えて訪れたのは目の前にあるロ○ソンだ。
 飲み物と比内がついでに買ったポテチを適当に見繕ってカゴに入れ、他に買うものがないことと
知り合いの気配がないことを確認してから日用品とかが置いてあるコーナーに行く。
 そして0.02ミリにちょっと心魅かれつつ値段に腰が引けて結局一番安いのをカゴの底に突っ込んだ。
 ふと百均なんかでたまに見かける蛍光コンドームって買ったことがないなぁと思い出す。
一度ネタとして買ってみようとして当時の彼女の猛反対に遭ったのだ。
その帰りに寄った薬局では結局彼女が選んだリ○ックマのを買った。
そんなとこでまでゆるキャラを選ぶことに、当時は呆れもしなかった。
 前の客がカードを作っているせいで待たされる間、俺と比内の間には特に会話がなかった。
そのせいか、やたらと有線が耳につく。
 俺は、ラジオパーソナリティが、さっきまで流れていたラブソングの歌手と話している内容を
聞いていた。その会話に耳を澄ませていた。
06747秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(7/11)2015/03/11(水) 00:24:28.01ID:1H889FGa
 


 二本も買わされた黄金チキンが灰色の骨になって、少し傾いた陽がほんのりと明るさを減らす。
鍵の閉まった部屋でぼんやりと、密室の無駄遣いをしている。
 結局このままだらだら同じ空間に居てそのまま解散するのもいいんじゃないかと思えてきた頃、
ふいに比内が口を開いた。
「するときの感覚って味に例えるとすっぱいに近いしょっぱいよね。
あれを気持ちいいと解釈するなんて、人間も変な生き物だわ」
 クッションにうつ伏せでぶすっとしながら何を突然。
 素面で話す内容かどうかはともかく、特に他に話すこともない。俺も乗っかる。
「味で例えるなら甘さだろ。喉に詰まる類の甘ったるさ」
「え? 甘さにしては鋭利じゃない?」
「いやもっとまろみがあるキツさじゃないか?」
 そこまで会話が続いた辺りで比内がクッションから滑り落ちながら鋭く俺を見る。
「あなたが鈍いだけじゃなくて?」
 ひでえ。
「あんたこそ」
 視線が絡む。何の思惑も感じさせない単純な眼光のに、それでも蠱惑を感じる。
 誘ってるのか、どうなのか。
 まるで犬だが、目が合っただけでその気に戻る単純さを嫌う理由が今はなかった。
 俺は噛みつく代わりに比内に口づけて、食べ進めるように刺激を舐め取る。
痛みすら欲しがるように邁進して、ざらつきに与えられる快感での窒息を渇望する。
 いがっとした甘みが気管支をつついてそのまま逃げ場を失った。
「やっぱり甘くね?」
 名残惜しさも感じつつ本題のために口を離すと、今度は比内の方から
魂まで吸われそうなキスが返ってくる。俺の肩に乗せられた両手には境界を感じられず、
シャツに吸われた汗をのりにして癒着したようにすら思える。
 吸いつかれるのに従って大人しく舌を出せば、ずりずりと奥から先へ解放されていく。
唇でもって舌をなぞられた。
「キスだけで言えばね」
 比内は余剰な唾液を舐めて、負けず嫌いに賛同してくる。
 なら試そうじゃないか、なんてことはどちらも言わないまま俺は比内を押し倒して首筋を齧る。
そしてそのまま舌を固く押し付け舐め上げ耳を舐りながらシャツに手を入れて胸を揉む。
 囁く言葉は特に持っていないので無言で、ブラの上から手を差し入れて今度は直接揉みしだいた。
手のひらに固くなった乳首が当たる。そこを重点的にこすると一度だけ「んっ」と声が上がった。
 そのままシャツとブラを上下に分けて胸を露出させ、片手で触りながら見下ろす。
限定的に外気に曝された状態というのは全部剥くよりエロい。
 比内も黙ってされてはいずに俺のシャツに手を突っ込んで弄ってくる。妙に上手いというか、
こっちが弱いのか、さっき味に例えていたような感覚がピリピリ来る。
俺も負けじと刺激を与えて、比内の息が詰まる音に悦を見出す。
 まさに『乳繰り合い』の様相を見せるが、内実相手を先にダウンさせようと必死なだけだった。
 負けられない戦いが、ここにはある。
 とはいえいつものくだらない争いと同じく段々飽きてきて、俺は倒れこむように
激しく比内に口づけて、ステージを進める。
「どっこいしょ」
 さっきはそのままにしてしまったが、敷き布団なしはちと厳しいだろう。
いい加減に足で広げて、比内を上に乗せる。膝裏に手を回して気づいたけど膝が赤かった。
文句くらい言えばいいのに。
 環境が整ったところで汗ばんでいてもわかるくらいすべすべした腹を撫で下ろすように手を掛け、
下の着衣を一気に脱がせる。過不足なく浮かされた腰の高さにはやはり、いい意味での慣れが見える。
布切れなどあっても邪魔なので今度は全部脱がせてついでに脱いで部屋の隅に転がした。
 それから比内の脚を片方抱えて内股に口づける。ついでに強く吸っておく。
汗の味のち肌の味なのはどこの皮膚も同じだ。
「痛っ」
 意図と今後に気づいたのか比内は恨めしげな顔をする。……実はちょっと後が怖い。
 でも今は今だ。扇風機に煽られる比内の前髪をどかして、
俺はあの日世話になった彼女の腹にもキスをする。
 そのまま下り落ちて邪魔な毛を手で押さえ、局部を舐めた。
06757秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(8/11)2015/03/11(水) 00:25:21.85ID:1H889FGa
「っ!」
 嫌がっているようなそうでもないような身のよじり方をされて、俺は迷わず都合よく、
そうでもない方に全チップを賭けた。
 蒸されたにおいや粘膜と粘液のどろっとした触感は普段の感覚で言えばノーセンキューなのだが、
今は癖になってしまえと思える。感じさせることで負け越しを避ける気持ちもある。
 核になってるところを吸ってぐりぐりいじめて溢れ出す液を下唇で感じる。
ひくつくポイントはじらして引けてく腰は引き留めながら、結局主従は逆転しないし
本当は勝つ気もないことには気づいていた。
 俺は感触の類似から唇がほしくなって顔を上げた。
 酩酊した目と視線が合ってにやりと笑っても、こっちから近づいていく首根っこは捕まえられて
逆らえない。比内の細指が髪の隙間を往くだけで安らぎが脳を緩めていく。
 今更逃げようがないのはやはりこちらの方で、
舌の長さも歯並びも、これしか有り得ないとさえ思えている。
舌先でじゃれ合うときの繊細さも、これしか知らない気になっている。
 名残惜しくもキスは一旦やめにして、その辺に置いておいたゴムの封を破る。
 比内の脚をまた抱え込んで、不可欠の距離を道具任せにして繋がった。
 さっきしたとき感じたちょっとキツい感じがない代わりにさっきしたときより
ずっと激しく絡みつかれて、じっくり楽しもうとかそういう気概が一気になくなる。後でいいや。
「もう最高」
 思わず呟いて、細い肩を背をかき抱く。
二人揃ってシェイカーに閉じこめられたような勢いで熱量をぶつける。
 比内は相変わらず喘ぎ声は上げないし姿勢からして顔も見えない。わかるのは
俺の背中にしがみついてついてくることと、時折首筋に熱い唇を這わせてくることだけだ。
 もう何をどう感じているかもどうでもよかった。食虫植物の中で溶けるとしたら
これくらい全部うっちゃった気分なのだろう。
「……イきそう」
 情けない声にならないように食いしばって告げる。
 こくこく必死に頷く感覚が首もとをくすぐって返事は短く返ってきた。
「んっ」
 それと同時くらいに積み上げていた快感がピークで墜ちる。
 本日二回目だというのに早かった。実は自分は早漏だったのではないかと思えてくる。
または浮かれすぎているのか。
 束の間怠い体で比内に倒れ込んで、その肌も、汗を冷やす扇風機の風も等しく心地よく感じる。
でもいつまでもそのままではいられないので俺は起き上がってゴムの処理まで済ませて座り込んだ。
 荒い息を飲み込んで一度噎せた比内が風による涼を取っている間に俺は自分のコップに
水道水を汲んで飲み干す。生ぬるい。
 そういえば飲み物買ったんだったと思い出して、冷えたペットボトルを二人分取り出した。
俺も多分そうなんだろうが、比内はごくごく美味そうに飲み干し、ぷはぁと息を吐く。
そして続けるように言う。
「もう甘辛いとかでいいんじゃないかしら」
 何の話だ? と思って、すぐ思い直す。直前まで話してた、快感を味に例えるあれだ。
「確かに。珍しく意見が合うな。頭大丈夫になったとか?」
 言いながら身を引くと引いた先に地獄突きがやってきた。
「ぅぐっ」
 俺は当然悶絶する。ああでもあんまり威力ないな流石に。
 服を着るのもめんどくさがったままぼんやりと、締め切ったカーテンの向こう、
燃え残りの夕べに目を凝らす。
 横を見れば、うつ伏せに寝そべった比内が指先を残り陽に透かしながら
ぽつりぽつりと口ずさみ始めた。
「軽率に零れ落ちる毎日、今もいつかも、穴あきsand glass、いつだって残りかs…………」
「ん?」
 中断されたかと思ったら睨み上げられる。途中で俺の存在を思い出したらしい。
「聞かせてくれないのか?」
 身構えながらも素直に問う。どんな当て字が含まれるのかも気になるところだし。
 すると比内は地団駄で床をぶち抜きそうな形相(ご想像にお任せします)で手を出してくる。
「紙! ペン!」
 一瞬意味がわからなかったがすぐに察した。マジか。
俺は立ち上がるとき若干よろめきながらも、最近買っておいたメモ帳とペンを持ってきて渡す。
06767秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(9/11)2015/03/11(水) 00:33:39.46ID:1H889FGa
 比内はそれを俺の手から毟り取ると、がっすがっすと荒く書きつけて、
紙を乱暴に小さく折り畳んだ。
「私が帰ってから見なさい」
「おう」
 唇を尖らせてぶっきらぼうに渡してくれた比内を無駄にからかうこともないだろう。
俺は素直に受け取って、ポエムとメモ帳とペンをテーブルの上に乗せておく。
 本人から直接見せてもらえるようにはなっていたが、こうして彼女がその場で書いたものを
貰い受けるのは初めてだった。俺からしたら、少なからず感激してしまうような出来事だ。
 ただし今のやりとりの間、両者全裸である。
 比内の場合……まあХорошо(ハラショー)と本場の発音で言ってしまって間違いないだけ
なのだが、俺の場合立ち歩くと脚の間にあるものが揺れるからな。間抜けすぎる。
 ともかく、俺は言うべきことを言っておく。
「その……ありがとな……」
 顔も見れずに、珍しく比内相手に照れて、目の周りを熱くする。
 なんだかいたたまれなかった。
 そっと窺うと、比内は……なんというか、無の表情だった。
無表情という言葉に覚える不機嫌な印象すらない。心まで透けてしまいそうなほど無色透明な顔だ。
「…………別に」
 そう、ふんと鼻を鳴らして顔を逸らしたとき、やっと彼女はいつもの顔になった。
 きっと今のような隙間の先に、俺が知らない比内があるんだろう。
 これからの俺たちはどうなっていくんだろうか。また解像度を上げすぎて失敗するんだろうか。
このままなんとなくで、どちらかが引っ越して途切れるんだろうか。
 どうあれ、きっとどこかで離れていく。
 俺はそっぽ向いたままの比内の背中にキスをする。
「ひゃっ」
 比内は存外可愛い驚き方をして体を起こした。
 その背中は肩甲骨の動きが白い皮膚を彩って、その脆さを確かめたい気持ちにさせてくる。
 俺は比内が完全にこちらを向く前に抱きしめる。顔を見られたくないのか、
彼女は俺に背中を向けて座りなおした。
 暑い。身を寄せるごとに感じる暑さを不快感として覚えるのに、何故熱を求めてしまうのか。
 俺は比内のうなじに、また背中に何度も確かめるようなキスをする。
それから丁度触りやすい体勢なのでここぞとばかりに胸を揉む。少し冷たく感じるほどに
じっとり汗ばんで、手のひらが吸いつくようだ。
 抵抗も便乗もしない比内の耳の後ろを舐め上げて、肩口を甘噛みする。もうちょっと噛む。
いっそがぶっと、
「見えるとこに跡つけたら殺す」
 見透かされていた。
 俺は言われもしないのにホールドアップして、こちらを向いた比内に苦笑いしてみせる。
 彼女はしばらく疑わしそうな目で俺を見ていたが、やがて溜息をつくと頭を下げる。
片手で髪を耳に掛けながらその唇が近づいていくのは俺の股間だ。
 俺はというと仕種がツボって思わずその様子を凝視してしまった。
 まだ再戦には少し早いのか元気になりきっていない俺の息子が、口にされる。
 比内は唇で先を少し吸って舐め取って、顔を上げずに俺に言う。
「してあげるから、それで満足しなさい」
 かと思えば熱い口内に含まれて舌の熱烈歓迎を受け、根元の方などは細い指に刺激され、
頭が芯からくらくらする。
 広げられた舌から上あごのごりっとした表面まで上手く密着してきていて、
ちょっと吸いながら上下するのもいい塩梅で、下手したらフェラだけでイかされそうだ。
 吐きだされてもすぐ根元から唇で挟んだまま登られ先を舐め押されて、
中々比内からの責めが止まない。
 流石に制止しようとしたとき、比内はやっと頭を上げた。
さっきまで足りなかった元気が有り余りすぎて困るくらい(比喩表現)にはなっていた。
06777秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(10/112015/03/11(水) 00:38:07.52ID:1H889FGa
 ざっとこんなもんでしょうといった態度の比内を俺はたまらず捕まえて、ギリギリの冷静さで
用意だけは先にしておいたゴムをつけ、確かめもしないで攻め込む。
あまり濡れてなかったらそりゃ無理に入れるわけにもいかなかっただろうが、
彼女の体の方にも特に不都合はなかったようだった。
 貫くように押し進み、比内をの肩を抱いて押し下げる。
「っん……!」
 奥の方に行ったとき、比内は小さく声を上げて俺の体にしがみついた。
 ちょっとだけ気が収まって腕を緩めると、比内は俺の胸を押して距離を取らせ、訝しげな顔をする。
「そんなによかったの?」
 頬を上気させ、如何にも『弱そう』な顔をして睨まれたって、俺はその攻撃性を受け取り切れない。
「ああ、とっても」
 口の端を上げて答えると、俺は比内の背に腕を回してそのまま起き上がる。
座って向かい合うと俺から動きにくいし苦手だったような気さえするが、だからこそ、
早く終わらせてしまわないためには丁度いいといえる。
「あんま言いたかないけど、あんたはきっといい女なんだろう」
 俺にとって、最高に。
 石ころを抱き込んで治ってしまった皮膚をかっさばける鋭利なナイフは、比内桃だけなのだから。
 胡坐の上に乗せた比内は僅か上から俺を見下ろして、一度だけ喉を鳴らす。
いつもは逆に喉を見据えられ放題なので新鮮だ。でも、俺が猫背をやめたらきっとまだ
俺の方が高いだろう。
 今更ながら、こんなに小さかったんだなと思い知った。いや、俺が無駄にでかすぎるんだろうが。
 唇を一度吸って、俺は比内の腰を支えながら体を揺するように動きだす。というより少々持ち上げる
ような形で動かす方がメインかもしれない。失念しそうになるが今は昔の俺よりずっと腕力があるのだった。
「あっ。……っ、ん」
 掠れた小さな声を出して、比内が俺の背にしがみつく。中の方も絡まるように締めつけてきて、
肌の触れる感触も深く、広く。心地いい。
 思ったよりも気持ち良くて困る。
 想いばかりは貪欲でも、体の方は弾数が限られているのだ。四回戦は流石に無謀だと
自分でもよくわかっていた。だから本当ならここでペースを落とすべきなんだが、
「……っ……っぁ」
 あれだけ声や顔に出にくかった比内が微かとはいえ声を上げ続けるほど感じているとなると、
途中で一旦止めるという気にもなれない。
 せめて今どんな顔しているかは見ておきたくなって、俺は比内の頭に手を回して、
後ろ側から髪と耳を誘う。
 それだけでもなんとか意思は通じたようで、比内は俺の手に引かれるように体を離した。
ピントが合わない至近距離で目線を合わせようとすると、今度はそれも通じたようで
丁度いい距離が出来上がる。
 普段のちぐはぐさや硬さを払拭された彼女の表情は、完全にとろけていた。
 俺は目じりに浮いた涙を親指で拭って、下から覗き込むように口づけをする。
いちいち体が振れている状態なので、唇を合わせようとするだけで自然と深くキスすることになって、
苦しいくらいの幸福感が脳から与えられてしまう。
 こりゃあ世の中で依存症なんてものも生まれるなぁと納得した。
感覚と感情で意識が混濁して、泣くほどじゃないのに涙が出そうだと誤認している。
 苦しすぎて口をつけていられなくなって離れると、比内はへたるように俺にくっついて耳元で囁く。
「……っ、きすけ……もーっ、私……」
 夢中すぎて逆に意識から外れていたが、気づけばお互い必死にすりつけあっていた。
比内のそこも奥の方から迫るものの方が大きくなっているかと思えば入口側だけが
強く締め上げてくるようにもなる。若干痛いくらいだ。
 ラテックス素材が間に挟まっていることが、どうにももどかしく思える。
直接ならもっと、溶かされあうような錯覚ができそうなのに。
「……ん……わかった」
 俺もまた限界が近いことを悟りながら答えてもう一度奥まで貫くと、また一段と比内が乱れた。
 俺は彼女が好きにしやすいように体を支えて、その動きと快楽を感じることに集中する。
「……んっ」
 やがて小さく堪えた声と共に比内は今日二度目の絶頂を迎えた。
 それ以上声を出さないようにか彼女は唇を俺の肩に押しつけ、細い指は俺の後ろ頭を掴んで
髪を乱していて、脚は少し震えている。
 同時に、比内のそこはたがが外れたような伸縮を何度も起こす。
「くっ……」
 その激しさに呑まれるように俺も果てた。
06787秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能(11/112015/03/11(水) 00:59:15.87ID:1H889FGa
 そしてくたくたになって色々と面倒になって布団に包まって今に至る。
 ぼんやりしていると、ドアの開閉音と遠ざかっていく足音が聞こえてきた。音からして西園だ。
今日はずっと家に居たのだろう。
 ということは、今日のことにも気づいているだろう。
比内にとっては好都合でしかなかっただろうが。
 上手くすれば明日問いただされるし、下手すれば明日以降何も起きないまま気まずくなる。
どうなっても向きあっていかなければいけなくなった。木鳥のことも含めて。時間は戻らない。
 鈴虫の声も、そろそろ今年は終わりなのだろう。
これから秋が深まって、冬が来てと季節が移り変わっていく。
しつこく熱を振りまく夏の死体も、すぐに覆われていくのだ。
 ふいに、コンビニで流れていた有線を不完全に思い出した。
細部を忘れたはずの会話が適当に補完されて頭を巡る。
ロック気取り歌手とパーソナリティの半笑いの声が聞こえてくるようだ。
「別れた後で“I miss you”が言えない恋はクソだね」
「クソだねって……そこまで言っちゃっていいの?」
「いやまあ正確に言えばモノつくる奴からしたら負けっていうか……だってぶっちゃけ
スッキリ別れたら歌にならねーもん」
「ええー、それはそれで歌に出来そうな気もするけど」
「まあそうなんだけどどっちの方が強力かっつったら自明じゃん? 
それに惜しめない別れはちょっとサミシーねオレは。恋に限らず」
「なるほどねー。引き摺った方が勝ちと」
「そうそう。まあそうは言ってもきちんと引き摺って自分のモノにできた別れ方が
逆に後々スッキリ整理できるしね」
「んー、わからんでもないけどどっちだよ」
「あはは、サーセン」
「サーセンて。さて、皆さんの終わった恋はどうでしたか? お便りの宛て先は……」
 完全に賛成できる意見ではなかったが、思うところはあった。
 俺は元彼女と過ごした日々を思い返し、また、今年の夏のことを思い返す。
前半は霞んで、刺さったままのトゲさえはっきりとは見えなかった。
 今後の俺はどうだろう。今年の夏が、ここで過ごした時間すべてが完全に過去になったとき、
また見失う形で何かを放り出してしまうのだろうか。

 I miss youを繰り返すだけの手抜きくさいサビを思い出す。
 そして、比内との間にあるものが恋だ愛だと呼べるものかはともかくとして、思う。
 出来れば今度の終わりは、一晩くらいは眠れずに明かしたい。
 叶いますようにと、俺はそっと瞼を下ろした。


Someday Oneday, Mourning


おしまい
06797秒以上見つめながら会話できる人とは心理的にセックス可能2015/03/11(水) 01:01:43.39ID:1H889FGa
ごめんほんと重複投稿(とあと改行ミス)ごめんなさい
>>666>>667>>672は透明あぼ〜んして読んでください
気をつけてても誤字脱字設定ミス起こりがちだし大丈夫かなと思ってたらこんな大ポカまでするとは・・・
無駄に容量食ってすまんかった


文ではないので若干板違いになるがおまけ
ttp://www1.axfc.net/u/3428041.jpg
0680名無しさん@ピンキー2015/05/13(水) 03:13:30.15ID:TXgrt8mH
ということで入間の間の更新に関連してシラサギのエロを所望する
真上で投下して大失敗しているので言い出しっぺの法則は無効とする
0681名無しさん@ピンキー2016/04/04(月) 04:37:24.54ID:CLkQWfdv
上手く書けるかわからないけど、僕の小規模な奇跡でSS書こうと思うんだけど
ここでもいい?
スレ存続のためにも何かしらここでやりたい
0684名無しさん@ピンキー2016/06/20(月) 23:39:14.56ID:KAZmP1zt
思春期真っただ中に同い年くらいの主人公たちの話としてハマってた身としては
なんか友達の娘でエロいこと考えるようでやりづらさハンパじゃないわ
0686名無しさん@ピンキー2016/08/09(火) 01:26:35.48ID:lf/uIWC7
みーくんって段々名前呼ばれた時のダメージでかくなってるよね
まーちゃんっていうトラウマの原因に近い存在が近くにいるから過敏になってるとかそういうこと?
0690名無しさん@ピンキー2024/04/25(木) 18:04:37.59ID:3yucprqM
>>1
>>1
笑ってはいけないもそうやけどガキ使の本編も
ダウタウの松ちゃん浜ちゃんも60歳の還暦を過ぎたから
松ちゃんの性加害問題関係なしに視聴率も低いし
元々遠からず終了の予定やったやろ
あと同じ日テレ系列の読売制作のDXデラックスも
シンプルに視聴率が低いから元々遠からず終了の予定だった
ガキ使とDXと笑ってはいけないの枠の後継番組は全部
千鳥がMCの番組にすればいいと思う
あとフジのジャンクSPORTSは
MCを千鳥ノブにすればいいと思う
ノブは前からスポーツ番組のMCをやりたいと
言うてたし
0691名無しさん@ピンキー2024/04/25(木) 18:05:19.84ID:3yucprqM
>>1
>>1
幽霊の正体見たり枯れ尾花
枯れススキ
ダウタウ
ダウタウ松本
ダウタウ浜田
0692名無しさん@ピンキー2024/04/25(木) 18:21:57.85ID:3yucprqM
>>1
>>1
テレ東視聴率最下位脱出
やっぱりチャンネル番号変更の影響が
じりじりとボディブローのように積み重ねって
ここに結実した感があるよな
個人的にはNHKを含む在京キー局のチャンネル番号は
シンプルに開局日順に

地上波
1ch NHK総合
2ch NHKEテレ
3ch 日本テレビ
4ch TBSテレビ
5ch テレビ朝日
6ch フジテレビ
7ch テレビ東京
8ch 東京MXテレビ
9ch テレビ神奈川/テレビ埼玉/千葉テレビ

BS波(BS2K/BS4K/BS8K共通)
1ch BSNHKメインch
2ch BSNHKサブch
3ch BS日テレ
4ch BSTBS
5ch BS朝日
6ch BSフジ
7ch BSテレ東

こうするべきというか
本来これしかないと思うこれ一択
今からでも遅くないからこう再変更すべき
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