今まで数えきれぬほど、三郎太は親久の帯を解いてきた。
しかし、今日ほど手が震えたことはない。
決して触れてはならぬものとしてだけ存在してきた裸身が、彼の思うままにしてよいものとして差し出された。
どうしたら良いのか分からぬまま、彼は自分も夜着を脱ぎ、素裸になって親久と抱き合った。
親久の肌は白く、肌理が細かく滑らかだった。
形の良い乳房はほどよい弾力を持ちながらも三郎太の手の中で自在に形を変えた。
男を知らぬ親久は、三郎太の手がそこかしこに伸びるたびに小さく息を呑み、身体をぴくりとさせた。
そのさまがあまりにも愛しく、三郎太は乳房の尖りに舌を這わせ甘噛みしながら吸った。
とうとう親久の唇から「ああ」という声が漏れた。
それが歓びからくるものだと三郎太の本能は直感した。
指を叢に忍び入れようとすると、女の両脚は驚いて一度は閉じたが、易々と男の指の侵入を許した。
小さな唇がそこにはあった。
ぴったりと閉じていたそれは、優しくさすられているうちにいきなり開き、初めてのとろりとした蜜を流し始めた。
「親久様……」
三郎太がだしぬけに言った。
「私は女を知りませぬ故、これから先どのように致したらよいのかあまり詳しくありませぬ。
どうか、女の隠し所の景色を拝見つかまつりたく」
「あ……いや……」
親久は恥ずかしさで身を捩ったが、抵抗はしなかった。
三郎太は親久の両膝の下に手を差し入れてぐっと女の身体を折りたたんだ。
処女の部分がこれ以上ないというほど剥き出しになり、月の光が無遠慮にそれを照らした。
指で開くと花芽があった。
しばらく三郎太は女の仕組みをいろいろと探っていたが、ついにそこに口をつけた。
「あっ、それは……ひっ、ひぃぃっ!」
小さく親久は叫び、身体を揺すった。
しかし、それを押さえ込みながら三郎太はこころゆくまで処女の部分をしゃぶった。
舌が這い回る感触の淫らさに親久は混乱し、泣きじゃくりながら三郎太の愛撫を求めて恥ずかしい姿勢のままでいた。
ここまで確かめればもう迷うことはない。
三郎太は己の硬くなったものをあてがうと、無言で腰を落とした。
最初の一二回、上手く入らなかったが、すぐに進むべき道を見つけて腰を進めた。
男を知らぬ狭隘な道が開かれてゆく。
それは震えながらもうねり、締め付け、初めての男を歓びをもって迎えた。
最も奥まで入ると、しばらく三郎太はじっとしていた。
親久が痛みをこらえているであろうと思ったからである。
しかしそのうち箍がはじけとび、三郎太は腰を打ち付け、秘肉を肉棒でこねるようにかき混ぜた。
白液を注ぎ込むとき、まぶたの裏にいくつもの星が点滅し、意識は天上にまで登り詰めた。

天正十年三月。
武田勝頼は天目山の戦いで妻子と共に自害した。
勝頼を見捨てた家臣も多い中、秋山親久は最後まで勝頼を守り、殉じた。
その亡骸は三郎太によって塩山の禅寺に葬られたが、その後彼を見た者はいない。

おわり