織田信奈の野望はエロパロ
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「こ、小早川さん。ど、どうしてここに?」
良晴は間近で会い見える事は二度とないと思っていた小早川隆景が、今自分の目の前にいる事に動揺を隠せなかった。
賢い彼女の事だ。
単身でむざむざ敵地に赴くことは決してない。その様な愚策は“明知の将”と名高い彼女を半年間傍で見てきた良晴なら、隆景の考えることなど手に取るように理解できた。
だからこそ、こんな無謀な行為を強行した隆景に驚きが隠せない。
そんな良晴の心中を察してか、隆景は気まずそうに視線を逸らすも、何やら言いたいことがあるようで、モジモジと身を捩りながら良晴の方へとチラチラと見上げる。
「よ、良晴。その・・・・・・、お前に尋ねたいことが―――――――」
「シッ!! 静かに!!」
と、何事か尋ねようと口を開いた隆景の口元を、顔色を変えた良晴がいきなり手のひらで押さえつけた。あまりにも強い力に隆景は苦しそうにもがく。
すると、隆景の口元を抑えたと同時に、大通りを数人の尾張兵が険しい表情で行き急ぐ様が窺えた。
彼らは言葉も荒く町人に何かを問い質しているようだが、良晴たちがいる場所からはその内容までは分からなかった。
しかし、どんな内容かは聞かなくても理解できた。
恐らくは、小早川隆景の行方を追っているのであろう。どこからその情報が漏れたのかは分からないが、今の良晴に出来る事は一刻も早くこの場から立ち去ることだ。
良晴は隆景の耳元に唇を寄せて、
(・・・・・・小早川さん、いきなり手荒な真似してゴメン。でも、今の状況は分かるよな? 今、尾張兵が小早川さんの行方を追っていて、このままじゃあ小早川さんの身の危険があるから、ひとまずここから逃げるけどいいか?)
と、尋ねると隆景はコクリと首を引いて見せた。
そのことを確認した良晴は上手く路地裏を利用しながら、隆景の手を引いてこの場から立ち去ったのであった。
「ふぅ・・・・・・、ここまでくれば大丈夫だろ」
と、額に浮かんだ汗を拭いながら、ホッと一息つく良晴。
今、良晴たちがいる所は町外れに広がる森の奥で見つけた洞穴の中であり、ここならば容易には発見されないであろう。この森を越えれば尾張領から出られる手はずだ。
薄暗い洞窟内で良晴と隆景は身を寄せ合いながら暖を取る。真冬とまではいかない気候だが、日も落ちかけ日の光も入らない洞窟内は冷え冷えとしており、こうでもしないと凍えてしまうからだ。
体が冷えてしまうと危険な状態に陥る為、良晴たちは恥じらいなど捨てて抱き合うようにして身を寄せていたのだが・・・・・・。
しかし、やっぱり美少女である隆景とくっついていることに我慢の限界がきたのか、良晴は外の様子を窺うことを口実に、ごく自然な形で隆景から一旦距離を置く。
しばらく外の様子を窺っていた良晴であったが、周囲に人の気配がないのを確認すると、再び洞窟の中へと戻る。 「小早川さん、外見てきたけど大丈夫そうだよ。もう少し辺りが暗くなってからここから出ようか。俺も立場上、一日留守にしたらまずいしさ。今出たら―――――、あれ? 小早川さん、どうしたんだ?」
良晴は隆景の纏う雰囲気がいつもと違うことに気づき、慌てて彼女の傍へと駆け寄る。近くで見ると隆景は物寂しそうな表情を浮かべて俯きがちに顔を伏せていた。
そんな隆景に良晴は胸がズキッと痛むのを感じ、気づいたら隆景の傍へと歩み寄り、その小さな肩へと手を置いていた。
折角これ以上意識しない様に距離を置いたのに、この行為は自分の首を絞めるだけなのに、良晴は大好きな女の子の悲しい顔をこれ以上見る事の方がもっと辛いことに思えた。
甲冑を脱いだ隆景の体は、とても頼りなげに良晴の目に移り、彼女の事を“毛利の姫武将・小早川隆景”ではなく、“年頃の女の子の小早川さん”として良晴の瞳に映る。
思わず隆景の肩に置く手に力が籠り、その力の強さに綺麗に整った眉を微かに潜めた隆景が発した言葉は、
「……良晴、こうしていると、あの時の事を思い出すな」
「あの時?」
痛い、などの苦痛を現すものではなく、どこか懐かしむようなものであった。その表情はどこか達観していたが、それ以上に悲しみや切なさ、悔しさに満ちていた。
「あぁ、私と良晴が別れた時、織田との海戦で我が軍は敗れ、良晴。お前を失った日の事だ。私は生まれて初めて戦に敗れて、改めて戦の恐ろしさを味わった。所詮、私は“井の中の蛙”ということに気づかされたのだ」
「……小早川さん」
「しかし、それと同時に私は敵である織田信奈に気づかされた。“夢は自分の手でつかみ取るという事”を。だから、私は己に誓った」
ここで初めて隆景は伏せていた顔を上げて、真っ直ぐ逸らさずに良晴の顔へと視線を向ける。隆景の大粒で若干つり上がった瞳は決意の色に染められており、その色は揺らぐことなく瞳の内側で激しく燃え上がっている。
その瞳に魅せられた良晴は息をするのも忘れて、隆景の一挙一動を見逃すまいと神経を集中させる。
隆景は「すぅ」と息を吸うと、二、三度ほど呼吸を整えて、
「―――――私は、一度失った良晴を、再びこの手に取り戻すために、命を賭して戦うことに決めた」
一気にそう言い放った隆景は、流れるような動作で良晴の唇に己の唇を重ねた。
一気にそう言い放った隆景は、流れるような動作で良晴の唇に己の唇を重ねた。
チュッと渇いた水音が洞窟内に響き、良晴は一瞬自分が何をされたか理解できていなかった。
しばらく経つと、ようやく事の状況が理解できたが、頭の中は未だに混乱状態にあった。
(えっ? 俺、今どういう状況なんだ? まさか、あの小早川さんとき、キスしているのか? そんな馬鹿なことが。だって、あの初心で奥手な小早川さんなんだぞ。自分から男にキスするわけが……)
しかし、これは現実だ。
半年間共に過ごしていた時は自分から男にキスする様な性格ではなかった隆景。
なのに、今自分にキスしているのは、紛れもない隆景だ。
良晴が織田家に戻ってからどういう心境に至ったかは分からないが、この変わりようには流石の良晴ですら戸惑いを抱くほどだ。
だが、良晴が知る隆景と今自分にキスをしている隆景と全く変わらない部分もある。
(あぁ、やっぱり小早川さんは、俺の良く知っている小早川さんなんだな)
良晴にキスしている隆景はその行動は大胆極まりないが、その表情は昔の初心な隆景のままであった。端正な顔を羞恥に染めて、小さな体を心細げにフルフルと震わせて。
良晴は隆景が自分の知る隆景と分かり、次第に混乱から抜け出すのを感じ、羞恥に震える彼女を落ち着かせようとそのサラサラとした髪の毛が踊る頭に手を置き、生え際に沿って髪を乱さない様に優しく撫でさする。 しばらくそうしていると、隆景も落ち着いて来たのか、体の震えも止まりはじめ、荒々しく上下していた肩の力も緩やかになりだす。
両者の間に漂っていた気まずい雰囲気も次第に柔らかいものに変わり、恥ずかしさから抜け出しつつある隆景は、おずおずとだが良晴の胸の上に置いた手を彼の背中に回し、まるで幼子が母親に抱き付くようにしてギューッと力を込めて抱き締めた。
時間にして数十秒だったか、息苦しくなった隆景は良晴の唇に重ねていた唇を一旦離すと、乱れに乱れた呼吸を整えようと浅い呼吸と深い呼吸を繰り返す。
キス慣れしてない人間は長い時間はキスできない。その理由は呼吸の仕方が分からないからだ。
勿論、さっき行ったキスがファースト・キスだった隆景も例にもれず、息苦しくなって泣く泣く良晴とのキスを中断したというわけだ。
愛する良晴とのキスで死ねるのなら、それはそれで本望であるが、自分にはまだ成し遂げなければならないことがある。
それまでは、まだ死ぬことは許されない。
でも……。
(接吻だけで、こんなに幸せで気持ちいいのなら、これ以上の事をするとどうなるのだろうか。本当に幸せすぎて心の臓が止まるかもしれない)
先ほどまで良晴の唇に重なっていた唇へと指先を這わせ、心地よい快楽を押さない体と心で味わい尽くす。
それはとても甘くて、だけどとても苦しいものだった。
味わえば味わうほど、もっともっと欲しくなって、己の制止の声など届くはずもなくて。まるで別人に体を支配されたかのように、隆景の体は貪欲に良晴を求めてしまう。 人が変わったかのように良晴に迫る隆景に、良晴は彼女の体を優しく押しとどめる。
「こ、小早川さん。これ以上は駄目だ。後戻りできなくなっちまう」
「……良晴は、私と接吻するのが嫌なのか?」
「えっ!? そんなことないよ!! 小早川さんを嫌うなんてありえないって」
「なら、何故……」
「それは、小早川さんを傷つけたくないからだ。勢いでやっても、あとで後悔するのは小早川さんの方だからさ、絶対。小早川さんは女の子なんだし。こういうのは男の俺と違って、はるかに女の子の方が傷つきやすいし」
そう。かつて記憶を失っていたころの初恋の相手を(今も慕っている)、傷つけたくなかったのもあるし、自分には信奈がいる。
こんな中途半端な気持ちで隆景を抱くことは出来ない。今ならまだ引き戻せる。
「だからさ、小早川さ―――――「嫌だ」えっ?」
しかし、隆景の口から飛び出した言葉は、良晴の想像の斜め上を行くものであった。
「……嫌だ。私は、後悔などしない。折角、良晴と再び会い見えたのに、もうこうして間近で良晴を感じる事が出来ないかもしれないのに、このまま別れるのは嫌」
「小早川さん……」
「良晴。あの時交わした約束を覚えているか?」
「……あぁ、覚えているよ」
そう、織田との海戦時。まだ記憶喪失の最中であった俺は毛利の武将として、隆景の傍にいると誓った。
今でもその約束を一言一句覚えており、これからも忘れる事はないと良晴は密かに胸の内で誓っていた。
「……忘れられるはず、ないじゃないか。俺にとって小早川さんはとても大切な女の子だからさ」
「そうか……、私も良晴のことが一番大切なおのこだ。もちろん、兄者よりも良晴の事が……」
そこまで口にすると隆景は再び意を決したのか、良晴へと顔を近づけてくる。
どうやら実力行使に出た様子。
このまま避けた方がいいのか、それともジッと身動きせずに、このまま隆景のキスを受け入れるのか。
そんなの、決まっているじゃないか。
だから、次は―――――――。
「……良晴。ぅ、んぶ!!」
俺から、キスをする番だろう?
俺は小早川さんの手を取って、自分から唇を重ねたのであった。 今回はここまでです。次回からエロシーンに移る予定です。
長い事時間が空いてしまい申し訳ありませんでした。 隆景ちゃんが素晴らしすぎて軍神から脳内ピンクになった人が薄れるよな チッ。活気無さ過ぎやろw
あとで特大のクッソエロSS書いたるからチンコ出して待っとけやw 十兵衛ちゃんマダー?(・∀・)っ/凵⌒☆チンチン 〜島津家久、良晴をおもちかえりするの巻〜
「良晴さぁ……おいはもう辛抱たまらんたいっ」
光源氏の名所巡りとあわよくば良縁を……と単身で上京した、島津姉妹の末っ子で最強の戦バカ、島津家久は、
良晴を押し倒しながらそう言った。
明智光秀に略奪愛という恋の仕方を教わり、既に織田信奈という恋人のいる良晴を、
帰り際に袋詰にして薩摩まで拉致した。
そして袋詰にされて顔だけ出してる良晴に驚いている姉達に家久は、
「さっととてのきたど!」と話し、横から良晴にSAT?土手の木?と言われ、
「『将来の夫を連れてきた!』って言ったのっ!」と答えてそそくさと自室まで引きずっていった。 武将
戦バカは適切でなくて教養面が疎いだけで(光秀とも交流があるけど学がないからと茶会を断ったとか)
4兄弟の中で最も適切な時期に豊臣と単独講和している(後に病死) 考えるに割と史実を上手にパロってるから九州は本当に消化試合で終わりそう
つか、本能寺は? 秀吉が九州征伐してるときに本能寺の変が起こったはずだから、
もうじきのはず。
>>785サンクス。 主人公の元ネタが島津家に仕えた相良家であることからして、
島津家の誰かとフラグを造るのは確実
案外、この世界に肥後相良家は存在せず、主人公と島津の子が肥後相良家になる? 確か良晴の元ネタの相良家と島津家はガチで仲が悪く20年近くも激しい戦いを続けていた
もっとも島津に降伏した後は改善され家久が安産祈願の為に相良氏領の寺に参拝したり
相良氏の家老の嫁に家久の娘を迎える計画が立てられるなどかなり仲良しになっていた。 この頃の相良家の当主は相良義陽(よしひ/よしはる!)という人で島津家とは17年も戦を続けていた
結局島津義久の大軍の前に降伏して家の存続は認められたけど同じ年に島津家の命令で親友の甲斐親直と戦って戦死した
義陽の戦死の知らせを聞いた甲斐も島津義弘も嘆き悲しんだらしい…実は義陽は自決するためにわざと討ち取られたという説もある
ちなみに義陽が戦死したのは信長が本能寺で光秀に討たれる前年の事です。 初投稿です。まだエロくないです。
いきなり14巻のネタバレがあります。
続きますがまだ書いてないので時間が空くと思います。 これは、日向にて島津軍と大友軍の和睦が成ったその少し後の話である。
島津、大友両軍が次の戦に向けて準備を急いでいる頃、相良良晴は官兵衛に呼ばれて城の一室に来ていた。
既に陽は西の彼方に落ち、ぼんやりとした灯台と月の光が照らす部屋の奥に、彼を呼んだ人物が座っていた。
南蛮の意匠を凝らしたやや大きいベッドにぺたんと座る少女は、あちらを向いたりこちらを向いたりしながら、
「半兵衛に…、いや…、やっぱり、でも…、でも…」
などととりとめもなく小声でつぶやいており、見るからに挙動不審であった。
快活で自信満々な普段の様子と異なる官兵衛を、良晴は不思議に思いながら、
「お〜い官兵衛、どうしたんだよこんなところに呼び出して、忙しいんじゃないのか?」
と、良晴が入って来たことにも気づいていない自慢の大軍師に問いかけた。
声をかけられてようやく良晴が来たことに気がついた官兵衛は、少し慌てて、ベッドに腰掛けるような形で足を下ろした。
「う、相良良晴、き、来てしまったか、とりあえず、もっと近くまできてくれないか?」
と呼ばれた良晴は官兵衛に近づいていき、
(これ何処に座ればいいんだ?まぁ無難にベッドの脇でいいか…。)
と少し逡巡して、官兵衛を見上げるような形で畳に胡坐をかいた。
「来てしまったか、は無いだろうそっちから呼んどいて、それにしてもそのベッドはどうしたんだ?」
「ち、ちょっと新しい物好きな職人が献上してきて、シメオンが使ってるんだが…、良晴…そこは…。」
どうしたんだ?と訝しみながら官兵衛を見ると、顔を赤らめながら足をぎゅっと閉じ、太ももまでしかない短いスカートを手で押さえていた。
いくら朴念仁の良晴と言えど流石に何を言いたいか分かったようで、申し訳なさそうに苦笑いをすると、
「あぁ、ごめんごめん、いくら官兵衛相手でも、ちょっとデリカシーが足りなかったな。」
じゃ、隣失礼…と言いながら良晴もベッドに腰掛けると、官兵衛は少しほっとした顔になっていた。
「全く、きみというやつは隙あらばせくはらを働くな!シメオンが離れたらいったいどれ程の犠牲が出るのか想像もつかないぞ!」
「現代社会でもセクハラの線引は非常に難しいものでして…。そ、それよりも、本題に移ろうぜ!何か用があったんだろ?」
良晴の言葉で自分が呼び出したことを思い出したのかまたもや挙動不審になる官兵衛だったが、隣に座る良晴がその小さな手を、握った。
「官兵衛、何か言いたいことがあるんなら何でも言ってくれ、俺はお前を信じるって決めたんだ、何を言われても、それが揺らぐことは無いぜ。」
その言葉を聞いた官兵衛は、はっとした顔で良晴を見、一瞬明後日の方向を向いて、もう一度良晴の顔を見た。
よく日に焼けた肌をさらに赤く染め、潤んだ瞳を今にも溢れさせそうにしながら、それでも真っ直ぐに自分を見るその顔を見て、
良晴の胸が、ドクン、と大きく高鳴った。そして、
「良晴、姫路でシメオンをかばってくれて、幽閉されたシメオンを救ってくれて、半兵衛を助けてくれて、シメオンを最後まで信じてくれて、ありがとう。」
(胸が半端じゃないくらいドキドキして…これって、この気持ちは、俺が、まさか…。)
「シメオンは、相良良晴のことが、好きだ。」
と、堂々と宣言した。 「か、官兵衛、お前どうして…。」
官兵衛の告白を受けて、搾り出したような良晴の声とは逆に、
「ふふふ、言っただろう?良晴は何度もシメオンを助けてくれた、好きになるのも当然だ!」
と、実に上機嫌で、まるで難問が解けたかのように晴れやかな声で、官兵衛は言った。
対して良晴も、自分がこの少女に告白されたのだと理解したが、
(官兵衛は命を助けられて、衝動的になっているだけに違いない、べ、別に残念だなんて思ってないからな!)
などと、現実逃避のような心境で、断る言葉を考えていた。
「い、いや、助けたのは俺だけの力じゃないし、俺はあくまで自分の…。」
やりたいようにやっただけで…と繋げようとしたが、それを官兵衛が遮った。
「それでも、良晴がいなければ、シメオンは自分の運命を乗り越えられなかった。
書写山で足を失い、半兵衛という親友を失い、自分の未来も失っていた。
それを覆してくれた良晴が、シメオンは大好きだ。南蛮風に言えば、あ、愛してる…だな。」
かああっと頬を赤らめながら好意を伝えてくる官兵衛に、良晴は自分の心臓がさらに高鳴るのを感じながらも、
本州で危機に在る恋人のことを考えて、視線を床に落とし、良晴は答えた。
「すまん…、俺は信奈のことを…愛しているんだ、だからお前の気持ちには…。」
と官兵衛の顔を見ると、しかし官兵衛は先程と全く変わらない様子で、
「ふん、相良良晴がそう答える事くらい、シメオンが予想出来てないわけが無いだろう!
大丈夫だ、このシメオンには策がある!必ずや織田信奈を説得してみせる!だから安心しろ。」
と良晴に笑いかけた。その顔は、無邪気な子供の顔ではなく、悪巧みをする軍師の顔でもなく、
(まるで年頃の乙女のような…って、何を考えてるんだ俺は!)
「そ、その策ってのは、どんな策なんだよ、言っておくが、信奈の奴は嫉妬深くて、浮気なんて以ての外だぜ?」
官兵衛はその言葉を聞くと、何故か上機嫌そうにベッドから降りると、良晴の前に立った。
「っ!シム、織田信奈は南蛮にかぶれてあんな事を言っているが、生まれも育ちもれっきとした武家だ、
側室上等愛人上等の武家の常識を、完全に捨てきれるとは思えないからな!交渉の余地はあるはずだ。」
それに…、と言いながら良晴の顔を見て微笑むと、
「好きな男の頼み事なら何でもしてあげたくなるものなんだ、全くこんな理不尽なことがあるなんて、想像もしてなかった。」
半兵衛の気持ちが分かるなぁ、と、小声でつぶやいた。
一方、官兵衛から好意をぶつけられまくった良晴は、
(やべぇ!こんなに官兵衛って可愛かったのか!顔が熱くなってくるのが分かる!)
と、しどろもどろになりながら、残る理性と倫理を振り絞った。
(い、いや、俺は信奈を愛しているんだ、こんな二股みたいな真似、やっちゃダメだ!)
「か、官兵衛、それでも、これは信奈への裏切りになっちまう、だから、お前とは付き合えないんだ。」
今度こそ断ったな、と安堵のような後悔のような微妙な顔をする良晴だが、
「むふー!何を言っているんだ?シメオンは既に、織田信奈さえ説得できるなら、
良晴はシメオンの気持ちに答えてくれると、確信している!」
「な、何を言ってるんだよ官兵衛、俺の気持ちはさっきから…。」
「相良良晴、きみは本当に駆け引きが苦手だな、さっきから考えが全て顔に出ているぞ!
それに、策がある、と聞いてその策を期待した時点で、何とか出来るならそうしたいと言ったようなものだ!」
(そんな、俺の気持ちがばれて、って俺はやっぱり官兵衛のことが!?)
それでもなお、口に出すのを躊躇っている良晴の膝の上に、向かい合うような形で官兵衛が座った。
そして、良晴の体にしがみつくと、
「良晴、シメオンのことは、嫌いか?シメオンでは、ダメなのか?シメオンとは、一緒になれないのか?」
と、不安そうな、泣き出しそうな声で、つぶやいた。
(俺は、大馬鹿野郎だな、こんなに俺を好いてくれた女の子を振ることばっかり考えて、藤吉郎のおっさんに怒られちまう。)
良晴は、しがみつく官兵衛の頭を優しくなでながら、もう片手を肩に回し、抱いた。
「ごめんな官兵衛、俺、官兵衛の気持ちを考えて無かったな、凄く勇気が要る事だったのに、お前にばっかり言わせちまった。」
官兵衛は、しがみつく力を少し緩めて、次の言葉を待っているように見えた。
「俺は、生意気なことを言うくせに寂しがりやで、よく人をからかうくせに友達思いで、いつでも自信満々なくせにどこか放っておけない、
そんな、お前のことが、好きだ。」
と、官兵衛に、告白した。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています