「あぁっ…!私を助けに来てくれる方がいらっしゃるなんて…!」
ロルドの姿を見て「ここから出られるのだ」と信じきって疑わないローラ姫だった。
「私をお城まで連れて帰ってくださいますのね?」
ロルドは頷き、ローラ姫をその両腕に抱きかかえた。
「まあロルド様、うれしゅうございます。ぽっ…」
「…では姫様、行きましょうか」とだけ言い、ロルドは歩き出した。
だが、彼の足はそのまま洞窟の出口の方へは向かわなかった。
幽閉室の真ん中に置いてある、姫が使っていたベッドの方へと歩いていく。
しかし姫はそんなことは気にも留めないで、安堵しきった表情で抱かれたままであった。
ここから解放されるという嬉しさに囚われて、他のことなど考える余裕は無いのであろう。
―復讐はこれからだ。ローラ姫を横目で見て、ロルドは密かにほくそ笑んだ。