「制服を着崩すのはどうかと思うのだが」

トーキョーにて共同生活を送るクラスメイトたちを見ながら、サンダースは毎朝の挨拶のようになっている文言を呟く。
厳格なアカデミーから解放された生徒たちは、多少なり気が緩んでいるのか。
グリモワールを利用した勉強が終われば、各々制服を着崩したりして、束の間の自由を満喫しているように見えた。

「もう、そんなこといいじゃない?」
「メディア嬢、君はもう少し恥じらいを持て。露出が過ぎるし、それに当たっている」
「当ててるのよ♪」

クラスメイトの輪から相変わらず一線を引いているサンダースの背中に抱き着くのは、医療課の生徒であるメディアである。
向こうでは外してはいけなかったキャップを外せることがあって、彼女は美しい桃色の髪をボリューミーなポニーテールにし、またルキア等にも劣らぬ扇情的な肉体を、惜しげも無く見せつけている。

「第一、君はクラスメイトの輪の中にあるべきだろう」
「ふふ、鈍感さんにアプローチしないといけないからねぇ♪」
「鈍感さん?」

ともすれば尻も股ぐらも見えかねないほどのミニスカートを履いているメディアを見て、サンダースは不敵に笑う。

「昨夜あれ程嬲られたのに、我慢出来ぬだけだろう?」
「違うわ、あれだけ嬲られたから、もうアナタだけの女になっちゃったの♪」
「計画犯か!?」
「責任はとってねっ♪」

一瞬見せる、妖艶極まる微笑。
まるでサンダースは自分のものだとマーキングするかのように、背中に抱き着き、首筋にキスを幾度も捧げる美少女に、サンダースは小さく息をついた。

「我輩とメディア嬢は散策に向かう」
「それじゃ、行ってくるわねー♪」

未知の土地の散策、探索は、専ら荒事慣れしているサンダースの役割だし、サンダースの傍らにいる少女は医療知識に明るい。
二人なら大丈夫だとクラスメイト達が信頼しているのを尻目に、二人は愛を育むために歩んで行くのだった。