メディアは憤怒した。
鈍感極まる愛しき人が、よりによって女と同衾していたのだ。
それがアロエやミューのような幼子ならまぁ納得もしよう。
アロエやミューに、リエルとルキアまでいたとなっては赦せるものではない。
そもそもメディア自身、サンダースと同衾など二十もしていないのだ。羨ましい。

「いい加減に機嫌を直してはもらえないだろうか?」
「ダメですー。恋人を蔑ろにした鈍感サンへのバツですから」
「あ、じゃあサンダースさんは今日は空いてるんですね!良かったぁ、お買い物に付き合って貰えますか?」

つーんと頬を膨らませるメディアを尻目に、緑髪の美少女――リエルが、サンダースの腕を取る。
メディアのものとは比べるほどのものでもないが、しかし立派と呼べるそれを露骨に押し付けているのがはっきりと分かった。

(レオン君やタイガ君なら即堕ち、次のコマで襲われちゃいますよ…?)
「リエル嬢……しかしだな…」
「私なら同衾ぐらいで怒ったりしないですよ?サンダースさんを信頼してますからね」

朗らかな笑みをメディアに見せつけるリエル、困惑するサンダース、リエルを明確なライバルと認識するメディア。
俗に言う修羅場というものが形成されつつあった。
ぎゅむ、とリエルと逆側の腕を取るメディアに、困惑するサンダースが目をやる。
普段から開け気味の胸が明確に露出されており、幾度もサンダースを果てさせた果実が、彼は自分のものだと主張していた。

「サンダースさんは、私の恋人ですよ?」
「分かってますよ?でもちょっとしたことですぐに拗ねちゃう恋人は、サンダースさんには荷が重いですよね?」
「そうやって、色んな人に粉をかけてきたんですか?」

轟々と吹き荒れる嵐の最中に立ち竦むような錯覚を感じながら、サンダースはぽつりと呟いた。

「すまない。取り敢えず服を着させてもらえないだろうか?」

はたして、越中一丁の姿の男の声は、聞き入れられず。
メディアに押し倒されたサンダースは、二人が如何にラブラブかをリエルに見せつけようとした恋人に、襲われるのだった。