張りのあるふくらみがあらわになり、男たちのボルテージが上がっていく。
 ふうらみにあてられる懐中電灯の光を遮ろうともせず、雪姫は最後の一枚に手を掛け、

「……っ」

 下ろそうとした手が動かない。
 もうどうでも良い、さっさと済ませてしまおう……そのつもりのはずなのに、手がどうしても動かない。
 またもったいぶるのか、脱げ脱げ、と男たちが囃し立てる声が聞こえる。

 なぜ……なんで自分はこんなことをしているんだろう。
 動かない手を動かそうとしながら、何故か雪姫はそんなことを考える。
 何故か少し気になる男の子に言われたことをきっかけに、後輩たちを伴って久しぶりに実家に帰ってきた。
 ちょっとエッチなイベントがありながらも楽しい時間を過ごしていた。本当は……本当は今頃、みんなと仲良く楽しく花火をやってるはずだった……。

「あはは……」

 男たちに言われるままに顔を笑った形にしながら、しかし雪姫の瞳からはぽろぽろと涙が零れ落ちる。
 そう。
 それはもう、自分とは遠い世界の話。二度と手に入らない時間だから。
 年下の後輩をからかってみたり、ちょっとエッチな出来事に怒ってみたり、自分でもわからない気持ちに胸をときめかせてみたり……
 それはもう、自分には手に入らないもの。

 男たちのため息のような声を聞きながら、雪姫は最後の一枚を脱ぎ捨てる。
 さすがに羞恥に隠さずにはいられず、薄い草むらにスポットライトのように当てられようとする懐中電灯の光を右手で遮る。

「おい、隠すんじゃねえ。つか、早くビラビラを広げてくれよ」
「……で、出来ません」

 静かな声で雪姫が答える。
 もう抵抗は諦めていたが、さすがにこれ以上は無理だった。

「ヌードモデルでも……そんなところは……見せないはず、です……」
「んだと……え、パコさん?」
「もう我慢できねぇ、雪姫っつったけか、さっさとパコろうぜ」

 近づいてくる男に、雪姫は身を固くしたまま立ち尽くす。男はそんな雪姫の顔をつかむと、無理やり引き寄せ唇を奪う。

「んっ……んむっ!?」

 何度奪われても、例え抵抗を諦めていてもおぞましい嫌悪感は薄れるものではない。
 舌を入れてくるのを今度は受け入れたものの、舌を絡め取ろうとする動きからは逃げ出してしまう。
 だが、雪姫が呻き声を上げたのはそれだけではなかった。