思った綾音だったが、入ったところで完全に固まった。
そこには白衣の四、五人が待っていたのだ。主治医の先生はもちろん、他も男性ばかりで、しかも若い。
(お、お、男の人ばっかり……っ)
さきほどまでは、異性といっても年下の子供ばかりだった。それが今度は大人の男たちと相対している。
普通でも怖気づくような状況だというのに、今の綾音は、全裸なのだ。実の父にだって着替えすら
見られたくない年頃の娘が、初対面の男たちの前で素っ裸で立たされているのである。
ここで綾音は彼らに全身をあれこれ調べられるに違いなかった。
(い、いや……)
体を隠し、後ずさりしかけた綾音を、後ろからナースが捕まえる。
「はい、イヤイヤしなーい。少しくらい恥ずかしくても、我慢しなきゃいけませんよゥ」
どんないい子でも嫌がるのが当たり前だろう。それを、ナースは有無をいわさず、体を隠せないよう、
綾音の手を下ろしてしまう。
男たちの目線が、綾音の体を上下する。
綾音の胸は低い円錐状に少しだけふくらんでいる。まだ十分な丸みがない、成長途上の乳房だ。
第二次性徴は始まっているのだが、乳首や乳輪は多少はっきりしてきたもののまだ小さく、薄いピンク色のままだった。
綾音はせめてもの抵抗で、足は揃えて立っている。そのため大陰唇はピタリと閉じて、丸みを
帯びた逆三角形を作っているが、隠しきれず、恥丘と幼さの残る亀裂をお披露目している状態だ。
(は、恥ずかしい――!! あああ、全部、見られてる……!!)
全身の視診として、綾音は頭のてっぺんから足の先まで、しっかりとチェックされていく。
なんといっても、通りがかりの子供と違って、彼らは最初からその気で、じっくり見てくる。至近距離から
納得のいくまで観察されるのだ。
綾音は顔から火が出る思いだった。極度の緊張で、嫌な汗がじわじわ出てきた。
綾音の診察は聴診器から触診へと進んだ。綾音はされるがままだった。男の人に素肌を触られるたび、
妙にぞくぞくした。
極めつきは、初めての検診台である。
それは年代を思わせる無骨なもので、背もたれを上げたベッドと椅子の合いの子のような形をしていた。
普通の椅子との大きな違いは、背が高いことと、足掛けがあることだ。ただし足掛けは、座面よりもさらに高く、
左右に離れて設置してある。
綾音はそれを初め、変な肘掛けだと思った。肘掛けをちょっと前に出したくらいの位置にあるからだ。
「…………!!」
それが足を乗せるためのものだと悟った綾音は、血の気が引いた。
台に乗るだけで、両足は否応なしに大股開きになり、女の恥ずかしい場所が完全にあらわになる作りなのだ。
しかも座面が机ほどの高さにあるから、股間は本当に男の目の前に来てしまう。
さらに足掛けにはベルトが付いていて、乗ったが最後、アソコを無防備にさらけ出した姿で身動きが
とれなくなるのである。