先輩との話1

先輩は人気者だ。

整った顔立ち。男みたいな短髪。快活な性格。
その3つから考えればただのボーイッシュな女の子だろう。ただ、先輩には改めて女性だと説明する必要もないほど立派な2つの膨らみを胸に宿していた。
加えてバレー部で鍛えたしなやかな筋肉質の身体を持ち、抜群のプロポーションを備えている。

先輩は人気者だ。

ただそれは「付き合いたい人」として名前が挙がるワケじゃなく、「ヤりたい女」としての人気だ。
ウチの学校の男子生徒は皆んな同じ事を考えているのではないかと思うほど。
女子達から隠れて好きなAV女優の話をしている時、最終的には何故か「先輩が良い」という結論になった事がある。しかも何度もだ。
先輩が通りがかるだけで、皆んなの意識が先輩に向くのが分かる。それは僕も例外じゃなく、運良く先輩と目なんか合ってしまったら、その日1日を夢見心地で過ごせる程だった。
でも勿論先輩と本当にヤレると考えている訳じゃない。それは皆んなも同じだ。男子達の妄想を刺激する存在として、先輩は君臨していた。実際に触れてみようと挑戦するのは、単なる身の程知らずか、彼女に釣り合うような超絶リア充、スクールカースト上位の者たちだけだろう。
ただ、世の中思わぬ事が起きるものだ。自分の思ってもいない形で。