【獣人】亜人の少年少女の絡み12【獣化】
0001名無しさん@ピンキー2013/06/29(土) 02:38:54.10ID:4L4KOfRA
このスレッドは、
   『"獣人"や"亜人"の雄と雌が絡み合う小説』
                    が主のスレッドです。

・ママーリand常時sage推奨。とりあえず獣のごとくのほほんと、Hはハゲシク。
・荒らし・煽り・板違い・基地外は完全スルーしましょう。
・特殊なシチュ(やおい・百合など)の場合は注意書きをつけて投下。好みじゃない場合はスルー。
・書きながら投下しない。
 (連載は可。キリのいいところまで纏めて。
  「ブラウザで1レスずつ直書き」や「反応を見つつ文節を小出し」等が駄目という意味)
メモ帳などに書き溜めてから投下しましょう。
・『投下します』『投下終ります』『続きます』など、宣言をしましょう。
・すぐに投下できる見通しがないのに「○○は有りですか?」と聞くのは禁止です。
・作品投下以外のコテ雑談、誘いうけ・馴れ合いは嫌われます。

・過去作品はエロパロ保管庫へ。
http://sslibrary.gozaru.jp/

+前スレ+
【獣人】亜人の少年少女の絡み11【獣化】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1344329266/
0002名無しさん@ピンキー2013/06/29(土) 02:40:40.86ID:4L4KOfRA
+過去スレ+
【獣人】亜人の少年と亜人の少女の絡み【人外】
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1061197075/
【獣人】亜人の少年少女の絡み2【獣化】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1098261474/
【獣人】亜人の少年少女の絡み3【獣化】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118598070/
【獣人】亜人の少年少女の絡み4【獣化】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152198523/
【獣人】亜人の少年少女の絡み5【獣化】
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167835685/
【獣人】亜人の少年少女の絡み6【獣化】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1197755665/
【獣人】亜人の少年少女の絡み7【獣化】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1207906401/
【獣人】亜人の少年少女の絡み8【獣化】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1225275835/l50
【獣人】亜人の少年少女の絡み9【獣化】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250959076
【獣人】亜人の少年少女の絡み9【獣化】(実際には10)
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1293283774/

+関連スレ+
【異形化】人外への変身スレ第六話【蟲化】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1334558943/
[獣化]人間が人外に変身しちゃうスレ25[異形]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1364051796/
0004名無しさん@ピンキー2013/07/02(火) NY:AN:NY.ANID:4/3BrViL
ほしゅ
0005名無しさん@ピンキー2013/07/14(日) NY:AN:NY.ANID:oM2NX2Vk
あげ
0006名無しさん@ピンキー2013/07/17(水) NY:AN:NY.ANID:2CZzQowa
あげ
0011名無しさん@ピンキー2013/08/09(金) NY:AN:NY.ANID:ZZ3cahQV
今年は新美南吉の生誕100周年だというのに、
「ごんぎつね獣人化SS」はまだ投下されないのか・・・
秋を過ぎたら俺が書いてしまうぞ。
0012名無しさん@ピンキー2013/08/17(土) NY:AN:NY.ANID:855peFDm
ほしゅ
0013名無しさん@ピンキー2013/08/17(土) NY:AN:NY.ANID:855peFDm
悪い。sage忘れた。
というか、過疎化進行しすぎだろw
盛り上がっていたあの頃が懐かしいな…
0014名無しさん@ピンキー2013/08/26(月) NY:AN:NY.ANID:0q8Xm4m4
規制が一時的に解けてるようなので、ご報告。
以前、ここに投下した「冬毛の鼬」の続き、というか、
完全に書き直した作品をpixivに上げてます。
こっちに転記するのもアレなので、興味のある方は、
pixivの小説検索で同タイトルを探してみてください。
作品の雰囲気は以前のほのぼのしたものと違って
かなりシリアスなお話になってます。

このまま規制解除されたままだといいんですけどねえ。
pixivだと滅多にコメント付かないので、楽しんでもらえてるのか
分からないので…。
0015名無しさん@ピンキー2013/08/26(月) NY:AN:NY.ANID:MfBaZD3p
>>14
告知感謝します! これは嬉しい!
それにしても、規制に巻き込まれている人多そうですね。
実は私も最近たびたび書き込めなくなります。過疎化はそれが原因では・・・?
0016名無しさん@ピンキー2013/08/26(月) NY:AN:NY.ANID:0Hvx0RzY
>>15
規制組は多そうですね。
うちは引っ越した先のプロバイダが半永久規制食らってるようで。
今は●流出騒動の煽りで一時的に解除されてるようです。
0021名無しさん@ピンキー2013/09/15(日) 00:43:11.42ID:HBy2mpOp
>>14
遅れましたが感想を、いつもお世話になっております今回も有意義に読ませてもらいました、どうもありがとうございます。
いくつかの章で区切られているのでここでの規制さえなければちゃんとした連載となっていたでしょうに残念です。
少し意見をいいますと、ドン底の絶望からハッピーエンドに結ぶ作風が好みのようですが。
後遺症が残ってハッピーというのは何か違うような気がします、ハッピーエンドなだけにその後子どもができるのか怖くなってしまう……。
おそらくそれがこだわりかと思いますが、ときには主人公を安らかに死なせてバッドエンドでもいいんじゃないでしょうか?

ジャンルが超特殊性癖なR18なので名前が出てしまうpixivではコメントしづらいのだと思います、
現に私がそうですし。
0022名無しさん@ピンキー2013/09/25(水) 18:38:31.69ID:ffE+13A5
去年の今頃、半端な駄文を投稿して、それ以来何も出来ずにいる状態。
いや、その、「人間が超人を作り出して、その超人と人間とでヘイトが生じてる世界観」でね。

で、それとは別に
「中世日本的なムラ社会に似た管理社会、結界に覆われてる隠れ里と、そこを襲う“魔物”
そんな中で少年少女達が、結界を抜け出して管理社会では禁じられてる逢瀬を遂げるも、そこから悲劇が始まって
獣人=魔物になってしまった少女と、少年も魔物から里を守る防人に配属で
で、遺物から魔物って何?という謎は解けるが、狂った構造からの悲劇自体は結局止まる見込みはない。」
っていうシナリオを計画して、途中まで書いた。
実は両方の世界観がリンクしてて前の話の未来の話がこれ、というオチにする予定だったのが…

その、上の説明文を読んで気付いた人もいるかもしれませんが、
深夜アニメ(と原作小説)で、世界観やキーワードやギミックがそっくりで
万倍面白いのを見せ付けられて、全力で筆を投げ捨てた次第。
所詮ネット投稿人間ではガチ才能の人には太刀打ちも出来ない事を思い知ったよ…
0023名無しさん@ピンキー2013/09/25(水) 19:35:34.16ID:JUh8yisU
掲示板用のSSは削りまくるとイイヨ
いっそ100行以内収めてみようか

エロパロなんだから前置きや世界観、設定は徹底的に削れ
2〜3行くらいにしちゃっえ
AVだって前置き長いと早送りするだろ
エッチの導入に必要な部分だけ残して全部削ろう
0024名無しさん@ピンキー2013/10/01(火) 02:49:09.70ID:MscFSMkj
確かに巧みな世界観も好きだが、
最低限、亜人が濃厚に絡んでるシーンは見たいというのはあるかなw
自分が一番描きたいシーンだけ書いてみるとちょうどいいSSになっていると思う。
0025名無しさん@ピンキー2013/11/21(木) 11:32:59.97ID:9ECl57jL
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1384874201/l50
[獣化]人間が人外に変身しちゃうスレ27[異形]
0026名無しさん@ピンキー2013/11/21(木) 11:36:10.56ID:9ECl57jL
【異形化】人外への変身スレ第七話【蟲化】は立ってないようだな。
0027名無しさん@ピンキー2013/12/10(火) 21:08:03.53ID:6WvhvmsD
もう誰もいないのか…?
このスレの荒廃具合…寂しいな。
0031ごんぎつね†だーくねす(1/9)2013/12/22(日) 21:14:15.74ID:SYEXJhis
注)獣人化+悪堕ちごんぎつねパロ。原作レイプ、強制変身、洗脳、おもらし注意


◇◇◇ごんぎつね†だーくねす◆◆◆


「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、兵十(ひょうじゅう)の問いにうなずいた。
 火縄銃(ひなわじゅう)がばたりと地面に落ちた。その筒口から青い煙が細く出ているのを、
ごんはじっと見つめているようだった。

「いいですね? 物語をあるべき結末へ。それが私の出す唯一の条件です」
 その声と共に、物語は再び始まりへと向ってまきもどる。

       一

 むかし、徳川様が世をお治めになっておられた頃に、とあるお城から少し離れた山の中に、
【ごん狐】という狐がいました。ごんは、一人ぼっちの若い狐で、イササギのいっぱいしげっ
た森の中に、穴をほって住んでいました。そして夜でも昼でも、あたりの村へでてきては、
いたずらばかりしました。
 それは或秋のことでした。二、三日雨がふりつづいたので、ごんは、外へ出たいのをがまん
して穴の中で小さくなっています。
 雨があがると、ごんは、ほっとして穴から出て、おもむろに後ろ足で立ち上がり、ぐぐっと
背伸びをしました。
 空はからっと晴れていて、どこか遠くから鐘の音が鳴りひびいていました。
 ごんがふしぎな力に目覚めたのは、まさに雨が降り出す前日のことでした。
 その日の朝、ごんが何か気がかりな夢から目を覚ますと、自分が寝床の中で人間と狐の中間
の姿に変わっていることに気付きました。完全な人間に化けることも、完全な狐の姿に戻るこ
ともできませんでしたが、特に不自由には感じません。後ろ足だけで歩くのも、前足……もと
い【手】で物を持つことも、少しすれば慣れそうだと思えました。
 五本の指で物が掴めることは、ごんにとってはじゅうぶん楽しい体験でした。ごんは、尻尾
がわさわさと大きく振れるのを抑えることができません。
「きっと神さまだ。おれがずっと一人ぼっちなのをあわれに思って、神様がふしぎな姿に変え
てくれたんだ」
ごんは嬉しくなって、人間の形となった長い両足をぎゅっと腕で抱き寄せました。
 雨が降り出す少し前のこと、ごんは自分の中に芽生えたふしぎな力にも気が付きます。
 ごんが強く念じるだけで、けたたましく鳴いていた百舌鳥(モズ)は、すぐに鳴くのをやめ、
とろんとした目つきで近づいてきて、ごんに頭を下げるのです。
ごんが半ば無意識で百舌鳥の頭にイササギの葉を乗せ『ネズミの油揚げになれ』と念じてみま
すと、百舌鳥はみるみるうちに膨らんで、からっと揚げたての、丸々太ったネズミの油揚げに
なってしまいました。ごんは、こうしてお腹いっぱいになりまして、雨の中で外に出なくても
過ごしていられたのでした。
 ごんが外へ出たくてたまらなかったのは、はやくこのふしぎな力でいたずらをしてみたくて、
わくわくしていたからなのです。
 ごんは、村の小川の堤(つつみ)まで出てきました。まだ雨のしずくが光るススキの葉をも
ぎとると、それを手に握りしめてぐるぐると振り回しながら、ぬかるみみちを歩いていきます。
 ふと見ると、川の中に人がいて、何かやっています。「兵十だろうな」と、ごんは思いました。
ごんは、見つからないように、そうっと草の深いところへ歩きよろうとしましたが、後ろ足で
歩くのに慣れていなかったためか、思いきり転んでしまいました。ふさふさの毛皮はあっさり
泥水でびしょびしょです。ごんは試しに『乾け』『水よ飛んで行け』と強く念じてみましたが、
効果はありません。ごんのふしぎな能力は、どうやら生き物にしか効き目がないようです。
 起きあがってみると、川の中の兵十と目が合いました。
「人……いや、狐……?」と首をかしげる兵十に、ごんは『黙って何も見なかったことにせよ』
と強く念じたのでした。
 兵十は、しばしぼんやりと空中を見つめていましたが、やがてはりきり網で魚をとる作業に
戻りました。何食わぬ顔で草の深いところへ隠れたごんは、軽い疲労感に襲われました。ふらり
と草の中に倒れこみそうになりつつも、ぐっと堪え、兵十の様子をじっとのぞいてみることに
しました。
0032ごんぎつね†だーくねす(2/9)2013/12/22(日) 21:15:35.45ID:SYEXJhis
 しばらくすると、兵十は、はりきり網の一ばんうしろの、袋のようになったところを、水の
中からもちあげました。その中には、草の葉や、くさった木ぎれなどが、ごちゃごちゃはいっ
ていましたが、でもところどころ、白いものがきらきら光っています。それは、ふというなぎ
の腹や、大きなきすの腹でした。兵十は、びくの中へ、そのうなぎやきすを、ごみと一しょに
ぶちこみました。
 兵十はそれから、びくをもって川から上り、それを土手においといて、何をさがしにか、川
上の方へかけていきます。
 兵十の姿が見えなくなると、ごんは、草の中からとび出して、びくにかけよりました。ちょい
と、えっちないたずらを思いついてしまったのです。ごんはびくの中の魚をつかみ出しては、
はりきり網のかかっているところより下手の川の中を目がけて、ぽんぽんなげこみました。どの
魚も、「とぼん」と音を立てながら、にごった水の中へもぐりこみます。
 一ばんしまいに、太いうなぎをつかみにかかりましたが、何しろぬるぬるとすべりぬけるの
で、五本指の手でもなかなかつかめません。うなぎに『じっとしていろ』と念じかけつつびく
から取り出すと、びくの中に残った名前も知らぬ草の葉をつまみ、うなぎの頭に乗せて『年頃
の人間の女になれ』と強く念じました。太いうなぎはみるみるうちに艶やかな若い人間の女に
なりました。もちろん裸です。『そのままじっとしてろ。兵十が戻ってきたら、まず服を脱が
せろ』と念じると、うなぎは、キュッと答えて、びくを抱きながらぼんやりと待つのでした。
何やら凄まじい疲労がごんにのしかかっていましたが、何食わぬ顔で草の深いところへ隠れ、
そこからじっと事の成り行きを見ていました。
それはそれは面白いものが見られました。服を脱がされた兵十が慌てたところで、ごんは、た
だの女では面白くないだろうと考えなおしたのです。『おれと同じように、表面だけうなぎに
戻れ』とうなぎに念じました。すると、美女の形はそのままに、女の肌がみるみるぬめりを帯
びはじめ、両手には水掻きまで出てくるのです。兵十はうなぎ女をふりすててにげようとしま
したが、何しろ肌がぬるぬるとすべるものですから、うまくうなぎ女から逃れられません。
うなぎは、ごんの念ずるままに、兵十を押し倒し、その固く熱いモノをぬるぬるの口にくわえ
こむと、ぬぷぬぷのどろどろにしてしまったのです。兵十が立てないほどにくたくたになるの
を堪能してから、ごんは『もういい戻れ』とうなぎ女に念じました。兵十のモノで貫かれてい
たうなぎは、元の身体では耐えきれなかったと見え、あっさり裂けてしまいました。ごんにと
っては非常に愉快な光景でしたが、なぜか急に酷いめまいにおそわれて、草の中から転がりで
てしまいました。
「狐のしわざか! よくもうなぎを!」と、真っ赤になってどなりたてる兵十を横目に、ごん
はよろよろと倒れそうになるのを堪えて、一しょうけんめいににげました。今までに体験した
ことのない感情が込み上げてきて、ごんは「くくっ、くくっ」と声を出していました。これが
笑うということなのだと、ごんにはまだわかっていませんでした。
 ほら穴の近くの、はんの木の下でふりかえって見ましたが、兵十は追っかけては来ません。
 なんだかんだ言って、兵十も喜んでいたにちがいないと、ごんは思いました。
0033ごんぎつね†だーくねす(3/9)2013/12/22(日) 21:16:27.60ID:SYEXJhis
 
       二

 十日ほどたって、ごんが、弥助というお百姓の家で飼われている犬のお尻に、いちじくの実
を突っ込んで遊んでいますと、木のかげで、弥助の家内が、おはぐろをつけているのを見かけ
ました。鍛冶屋の新兵衛の家の軒下で猫のつがいの雄を丸々と太ったネズミに変えて遠くから
様子を見るという試みをしていたときにも、新兵衛の家内も何やら髪をすいている様子がうか
がえました。ごんは、「ふふん、村に何かあるんだな」と、思いました。そしてすぐ、これは
いたずらの頃合いかもしれないと考えます。
「何だろう、秋祭かな。祭なら、美味しいものがたくさん出るはずだ。念じれば、人間は何で
も自由にさせてくれるからな。 珍しいものをたくさん食べて、それから次は……」
 この十日ほどで、ごんはすっかりふしぎな力を使いこなせるようになっていました。
 今では、ごんが二本足で歩くのを見かけても、村人は全く気にとめません。
『おれを見ても驚くな』と念じてまわったからです。
 ふしぎな力を連続して使うと、非常に疲れてしまうことも同時にわかりました。どうすれば
自分がなるべく疲れることなく、面白い光景が見られるだろうか、その微妙なさじ加減を探る
ことも、ごんにとっては大変面白く、いたずらはどんどん悪質になっていました。
 いつだったか、神さまをうらめしいと思い、いっそ神さまがいなくなればいいとまで考えた
ごんでしたが、それがいつのことだったかは、どうしても思い出せません。
 いま、ごんにとって、神さまは、ふしぎな力をめぐんでくれた優しい存在なのです。
 次は、手ごろな人間を狐に変えてつがいになるのも悪くないかもしれない、などと考えなが
ら歩いておりますと、いつの間にか、兵十の家の前へ来ました。その小さな、こわれかけた家
の中には、大勢の人があつまっていました。よそいきの着物を着て、腰に手拭をさげたりした
女たちが、表のかまどで火をたいています。大きな鍋の中では、何かぐずぐず煮えています。
「ああ、葬式だ」と、ごんは冷や水をかけられた気分になりました。
「兵十の家のだれが死んだんだろう」
 お昼がすぎると、ごんは、墓地へ行って、六地蔵さんの隣に並び立ち、捕まえた蛙を変えた
笠を被って、七地蔵を気取っておりました。いいお天気で、遠く向うには、お城の屋根瓦が光
っています。どこか遠くで、カーン、と、鐘が鳴り響きました。
 やがて、白い着物を着た葬列がやって来るのが見えはじめたので、ごんはのびあがりました。
兵十が、白いかみしもをつけて、位牌をささげています。
「ははん、死んだのは兵十のおっ母だ」
 ごんはそう思いながら、頭をひっこめました。
 その晩、ごんは、穴の中で考えました。
「兵十のおっ母は、床で、うなぎが食べたいと言ったんだ。それで兵十がはりきり網をもち出
した。ところが、おれがいたずらで、うなぎをあんな風にしてしまった。いくら兵十でも、
おっ母にあんなうなぎを食べさせはしないだろう。そのままおっ母は、死んじゃったにちがい
ない。ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。ちょッ、
あんないたずらしなけりゃよかった」
0034ごんぎつね†だーくねす(4/9)2013/12/22(日) 21:17:19.13ID:SYEXJhis
 
       三

 兵十は今まで、おっ母と二人きりで、貧しいくらしをしていたもので、おっ母が死んでしま
っては、もう一人ぼっちでした。
 井戸で麦を洗う兵十の顔は、げっそりとしています。
いつもは、赤いさつま芋みたいな元気のいい顔が、葬式以来ずっとしおれたままです。
「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」
 こちらの物置の後から見ていたごんは、そう思いました。
 ごんが兵十の家をそっと離れてとぼとぼと道を歩いていきますと、どこかで、いわしを売る
声がします。
「いわしのやすうりだアい。いきのいいいわしだアい」
 ごんは、その、いせいのいい声のする方へ走っていきました。と、弥助のおかみさんが、裏戸口から、
「いわしをおくれ。」と言いました。いわし売は、いわしのかごをつんだ車を、道ばたにおい
て、ぴかぴか光るいわしを両手でつかんで、弥助の家の中へもってはいりました。ごんはその
すきまに、かごの中から、五、六ぴきのいわしをつかみ出して、もと来た方へかけだしました。
そして、兵十の家の裏口から、家の中へいわしを投げこむと、穴へ向ってかけもどりました。
 ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしてやったぞと思いました。
 つぎの日には、ごんは山で見つけた栗鼠(りす)を大きな栗に変え、それをごろごろかかえ
て、兵十の家へいきました。裏口からのぞいて見ますと、兵十は、昼飯をたべかけて、茶椀を
もったまま、ぼんやりと考えこんでいました。へんなことには兵十の頬ぺたに、かすり傷がつ
いています。どうしたんだろうと、ごんが思っていますと、兵十がひとりごとをいいました。
「一たいだれが、いわしなんかをおれの家へほうりこんでいったんだろう。おかげでおれは、
盗人と思われて、いわし屋のやつに、ひどい目にあわされた」
 ごんは、いわし売のやつ、よくもやりやがったなと思いました。ごんは栗を放りだすと、
いわし売の臭いを辿って村の外へ向ってかけだしました。兵十を元気付けてやろうとした気持
ちを踏みにじられたと感じたのです。ごんの怒りは止まりませんでした。
 いわし売はほどなく見つかりました。隣の村はずれで休んでいる所でした。
『うなぎを譲れ。あるだけよこせ』振り返ったいわし売が悲鳴をあげる間もなく、ごんはそう
念じていました。しかし、いわし売は答えません。
『なぜ黙っている。答えろ』とごんは念じます。
「すみません。うなぎはないのです。いわしなら少し残っていますが」いわし売が気の抜けた
ような声で答えます。ごんは音もなく高く跳び上がると、いわしのかごに草の葉をぶちまけ、
『全部うなぎになれ』と念じました。
どうと風が吹いてきて、ごんのふさふさの毛皮が風になびきます。しかし、風が止むまで待っ
てみても、いわしは一ぴきもうなぎになりません。
 ごんは、これはしまったと思いました。ごんのふしぎな力は、どうやら生き物にしか効き目
がなく、死んだ物には効果がないようです。既に死んでいるいわしに生き還れ、と念じても、
それは叶いませんでした。
0035ごんぎつね†だーくねす(5/9)2013/12/22(日) 21:18:57.69ID:SYEXJhis
「すみません。うなぎはないのです」もう一度、いわし売は繰り返します。
『そうか。うなぎがないのなら、お前がうなぎになれ』ごんは、いわし売の頭にすすきの葉を
乗せ念じました。すぐに脂の乗った美味しそうなうなぎに変えてしまうつもりでしたが、その
瞬間、ごんの身に、これまで力を使った時とは比べものにならないほどの疲労が押し寄せました。
いわし売の身体が小さく、細く縮んでいくにつて、ごんの命の灯も縮んでいくような気がしま
した。ついにいわし売の姿が完全にうなぎに変わった時、ごんはほとんど立っていられないほ
どに疲れていました。震える手でいわし売のかごにうなぎを放り込むと、ごんはかごを背負っ
てふらふらと兵十の家まで戻り、裏口に置いておきました。今日もまた、遠くの山に鐘の音が
響いていました。
 ごんは、かごの中でまだくねくねとしているうなぎをちらとみおろして、神さまにでもなっ
た心地でいました。それから、そんな自分が急に恥ずかしくなって、はうようにして穴へかえ
りました。
 ごんは、それから翌朝まで起きあがれませんでした。そして、人間を他の動物に変えるよう
なことは、二度とするまいと思いました。どうやら人間のような大きな生き物の形を全く別の
物に変える時には、大きな負担がかかるようだと推測しました。思い返してみると、うなぎを
人間に変えて元に戻した時の強い疲労ととてもよく似ていたからです。
 つぎの日には、ごんは山で栗鼠(りす)をどっさり栗に変えて、それをかかえて、兵十の家
へいきました。裏口からのぞいて見ますと、兵十は、昼飯をたべかけて、茶椀をもったまま、
ぼんやりと考えこんでいました。へんなことには裏口のかごには手がつけられていないようで
した。どうしたんだろうと、ごんが思っていますと、兵十がひとりごとをいいました。
「いわし売のやつ、どうしてかごをおれの家の裏へ置いて消えてしまったんだろう。不気味で
仕方がない。村の連中に相談しても逆に怪しまれるだろうし、もしやおれがあれ以来魚を嫌い
になっていると知って、誰かが嫌がらせをしているのか」と、ぶつぶつ言っています。ごんは、
これはしまったと思いました。かわいそうに兵十は、うなぎ娘に無理やり絞りつくされた時に、
心の傷まで負っていたのか。
 ごんはこうおもいながら、そっと物置の方へまわってその入口に、栗を置きますと、裏口の
かごの中で静かになっていた元・いわし売を、見下ろしました。『戻っていいぞ』と念じまし
たが、それは叶いませんでした。ごんのふしぎな力は、生きている物にしか効き目がないのですから。
 ごんはがっかりして穴にかえりました。胸の内には言いようもない感情が渦巻いていたのです。
それは後悔と、無力感をないまぜにしたような、とても辛いものでした。
 遠くから響く鐘の音までも、ごんを責めているように思えました。
 つぎの日も、そのつぎの日もごんは、栗を兵十の家へもって来てやりました。栗と言っても、
栗鼠を変えたものではなく、きちんと山で拾い集めたものです。そのつぎの日には、栗ばかり
でなく、まつたけも二、三ぼんもっていきました。
 もうふしぎな力には頼らないようにしよう。ごんはそう誓ったのでした。自分の心に、
あるいはどこかで見ているかもしれない神さまに。
0036ごんぎつね†だーくねす(6/9)2013/12/22(日) 21:19:39.74ID:SYEXJhis
 
       四

 月のいい晩に、ごんは、あそびに出かけます。お城の下を通ってすこしいくと、細い往来の
向うから、だれかが来るようでした。話声がきこえます。
「チンチロリン、チンチロリン」とやかましい松虫を黙らせようかと思いましたが、ごんは
あとちょっとのところでふしぎな力を使うのを思いとどまりました。
 ごんは、道の片側にかくれて、じっと耳を澄まします。話声はだんだん近くなりました。
それは、兵十と弥助、それに加助というお百姓でした。
「そうそう、なあ加助」と、弥助がいいました。名前が似ていてややこしい二人です。
「ああん?」
「うちの犬が、最近妙に尻を突き出してくるようになったんだ。放っておくと、尻をこすりつ
けてくるんだよ」
「ははあ、ふしぎなこともあるもんだ。お前に発情しているんじゃあないのかい」
「チンチロリン、チンチロリン」
「そうそう、おれも、このごろ、とてもふしぎなことがあるんだ」と、兵十がいいました。
「何が?」
「おっ母が死んでから少しして、だれだか知らんが、おれに栗やまつたけなんかを、まいにち
まいにちおいていってくれるんだよ」
「チンチロリン、チンチロリン」
「ふうん、だれが?」
「それがわからんのだよ。おれの知らんうちに、おいていくんだ」
「チンチロリン、チンチロリン」
 ごんは、近くの松虫を素早く握りつぶしました。それから、三人を追いかけました。
「ほんとかい?」
「ほんとだとも。うそと思うなら、あした見に来いよ。その栗を見せてやろう」
「へえ、へんなこともあるもんだなア」
 それなり、三人はだまって歩いていきました。
 加助がひょいと、後を見ました。ごんはびくっとして、両手を胸の前に引き寄せるようにして、
たちどまりました。加助は、ごんには気がつかないで、そのままさっさとあるきました。そして、
とあるお百姓の家まで来ると、三人はそこへはいっていったのです。ポンポンポンポンと木魚
の音がしています。少し大きな鐘の音もきこえました。窓の障子にあかりがさしていて、大き
な坊主頭がうつって動いていました。ごんは、
「おねんぶつがあるんだな」と思いながら井戸のそばにしゃがんでいました。しばらくすると、
また五人ほど、人がつれだって吉兵衛の家へはいっていきました。お経を読む声がきこえて来ました。

       五

 ごんは、おねんぶつがすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。兵十と加助と弥助は、
また一しょにかえっていきます。ごんは、話の続きがきけるかもしれないと思って、ついてい
きました。兵十の影法師をふみふみいきました。
 案の定、お城の前まで来たとき、加助が言い出しました。
「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神さまのしわざだぞ」
「えっ?」と、兵十はびっくりして、加助の顔を見ました。
「おれは、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、神さまだ、神さま
が、お前がたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、いろんなものをめぐんで下さる
んだよ」加助は真剣な顔で語ります。
「そうかなあ」弥助は苦笑いして言いました。
「そうだとも。だから、まいにち神さまにお礼を言うがいいよ」
「うん」と兵十が答えました。
0037ごんぎつね†だーくねす(7/9)2013/12/22(日) 21:20:31.02ID:SYEXJhis
 ごんは、へえ、こいつはつまらないなと思いました。おれが、栗や松たけを持っていってや
るのに、そのおれにはお礼をいわないで、神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わな
いなあ。まったくふざけたことをふきこんでくれたもんだ。
「本当に神さまがいるんなら、うちの家内を若返らせてくれないかねぇ」弥助が笑いながら言
っているのを遠くにききながら、ごんは自分の中で抑えていた何かが音を立てて切れるのを感
じていました。
 そうか、なんてことはない、おれは神さまだったんだ。ごんは、そうすればふしぎな力にも
納得がいくと思いはじめました。
「くくっ、くくっ」ごんは笑いました。とてもすがすがしい気持ちがしました。
 ああ、この世界は、おれが自由にしていいんだ。おれは神さまなんだから。
 ごんはその日のうちに加助の家に向って、ふしぎな力で仰向けに寝かしつけた加助のおかみ
さんを裸にすると、新兵衛の家の裏にいた雌猫を腹の上に乗せ、額にすすきの葉を乗せてから、
『腹の上の猫と混ざれ』と念じました。雌猫は、おかみさんと溶け込むように沈んでいき、そ
れと同時におかみさんの腹を中心として、猫と同じ柄の毛皮が広がり始めました。胸の膨らみ
は小さくなり、代わりに膨らみから腹にかけて、並ぶように沢山の乳首が生えてきます。尻か
らは尾が伸び、両手足には肉球がつくられます。顔の輪郭も完全に猫になった頃、おかみさん
が目覚めます。
 まだ若い加助のおかみさんは、自分の身体の変化に慌てふためき、床に水たまりをつくって
しまいました。
 びしょびしょになった足の毛をぼろぼろの着物で拭いてやりながら、ごんは『加助が立てな
くなるまで絞り取れ』と念じます。
 おかみさんはけんめいに人間の言葉を思いだそうとしますが、猫と混ざってしまったためか、
うまくしゃべれないようです。『言葉はいらない。猫らしくにゃあと鳴け。まずはそのざらざ
らの舌で、優しく舐めてやれ』と最後に長々と念じ、ふりむくこともなく加助の家をあとにしました。
ごんはいわし売の失敗から学んでいました。人間の形を変えることは大きな負担になる、しかし、
形そのものは大きく変えず、別の動物とくっつけてしまうことは楽にできるのではないかと考
えたのです。そしてその仮設は、いましがたの試みで正しいとわかりました。
 たいして疲れていないごんは続けざまに弥助の家に向って、既に寝ているおかみさんの額に
いちじくの葉を乗せると『おれくらいの歳になれ』と念じました。
 みるみるうちにおかみさんは若返り、幼い女の子になってしまいましたので、ごんはしまった
と思い、慌てて『年ごろの若い美女になれ』と念じてしまいました。おかみさんの姿は元とは
かけ離れた美女になってしまった上、一度赤ん坊に戻ったために全ての記憶が無くなっていま
したが、ごんはさすがに疲れておりましたので、弥助に心の中で謝って、そのままふらふらと
穴にもどってしまいました。
0038ごんぎつね†だーくねす(8/9)2013/12/22(日) 21:21:57.24ID:SYEXJhis
 
       六

 そのあくる日、ごんは、兵十の家へ出かけました。兵十は物置で縄をなっていました。
 兵十が、ふと顔をあげますと、狐と人の混ざったような姿のものが家の中へはいったではあり
ませんか。こないだうなぎをつかって化かしやがったあの狐めが、またいたずらをしに来たな。
「ようし」
 兵十は立ちあがって、納屋(なや)にかけてある火縄銃をとって、火薬をつめました。
 そして足音をしのばせてちかよって、今戸口を出ようとする人影を、ドンと、うちました。
狐人は、ばたりとたおれました。兵十はかけよって来ました。家の中を見ると、土間(どま)に
栗が、かためておいてあるのが目につきました。
「おや」と兵十は、びっくりして足元に目を落しました。
「狐、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」
 ごんは、うなずきませんでした。黙って兵十の後ろから、兵十が狐人を見下ろして火縄銃をば
たりととり落すのを見ておりました。『元に戻れ』と念じますと、狐人はしだいに元の正体へと
分離していきました。まだかろうじて生きているようです。
「新兵衛! それに、弥助の家の犬、なのか?」兵十がつぶやきました。
新兵衛は意識を失う直前に、兵十に逃げろなどと言ったようですが、もう何もかもが遅く、手遅
れでした。
『昨日の夜、加助が言った通りさ。全ては神さまの仕業だよ』
兵十の背後から、ごんは抱きつきました。自分の胸のふくらみを兵十に押し当てるようにして、
自分のにおいを兵十にこすりつけます。それから、兵十のにおいを胸いっぱいに吸い込みました。
『怖がらなくていい。怯えなくていい』ごんは、そう念じながら、その大きなふさふさの尻尾を
兵十の着物の中にすべりこませます。そして兵十の熱くなったモノをさわさわとこすりながら、
ごんは兵十をゆっくりと物置の中へと導くのでした。
『おれだよ。お前らがごんと呼んでいた狐だよ。お前がたった一人になったのをあわれに思って、
いろんなものをめぐんでやった神さまは、おれだ』
ごんの涙が頬の毛をつたい、兵十の大きな背中を濡らします。
「ごん、全部お前がやったのか。いわし屋のかごも、何もかも全部」
兵十は怒りに震え、ごんを振りほどくと、殴りつけました。加助がどこかへ消えてしまったのも、
弥助の家内が消えてしまったのも、ごんの仕業だと何となく勘付いたのかもしれません。
 ごんは悲しげな顔をしてしばしうつむいていましたが、ついに
『辛いことは全て忘れ、ただ私を愛し、敬え』と兵十に念じました。兵十は一瞬、抗うような素
振りを見せましたが、しだいにその目はうつろになりました。
 ごんは、兵十にも自分と同じような姿になってほしいと思っておりました。ですから、兵十の
服を脱がせると、死にかけだった弥助の家の犬に『傷よ塞がれ。狐になれ』と念じたのち、ぐっ
たりと横たわる兵十の上に乗せるのでした。
 空はからっと晴れていて、どこか遠くから鐘の音が鳴りひびいていました。
 しばしのち、物置から甘い声が聞こえはじめる頃に、新兵衛の命の灯が静かに消えたのでした。
0039ごんぎつね†だーくねす(9/9)2013/12/22(日) 21:22:32.18ID:SYEXJhis
 
       七

 何もない。ただ真っ白な闇だけが広がっていた。
 おれは……。
 いや、【アタシ】は、……どうしてこんなことになってしまったんだ?
 【アタシ】は、狐の毛皮をまとった自分の手のひらをじっと見つめた。
「そろそろ、私のことを、思い出してくれましたか?」物語の神を名乗るその存在は、青い煙の
ような姿で【アタシ】を見下ろしていた。その言葉に導かれるように、【アタシ】は無意識に自
分の記憶を手繰り寄せていく。

――中山さん。あなたにチャンスをあげましょう。元の世界に戻れる、チャンスです。

――これから、あなたにとって「一番思い入れの深い物語」の主人公にして差し上げます。

――あなたは主人公として、「物語をあるべき正しい結末」に導いてください。

――タイムリミットは、108つの鐘の音が終わるまで。それまでなら何度でもやり直すことが
できます。これはそういうゲームなのです。

そう言ったあとで、【アタシ】は『あるべき結末』とやらを見せつけられたのだ。ごんが撃たれ
て終わる、あの光景を。まるで現実のようなリアルな映像で。

――いいですね? 物語をあるべき結末へ。それが私の出す唯一の条件です。

 何度も何度も挑戦したが、その度に記憶を消された【アタシ】は、欲望のままに『あるべき結末』
とは程遠いものへ到達してしまうのだ。力を使って思い通りにしてしまう。いや、それが本当に
【アタシ】が思った通りなのか、単に力に酔っていただけなのか、という所は微妙なのだが。と
もかく、【アタシ】は今回も忘れてしまっていたようだ。いや、忘れさせられていたようだ。こ
れが最後の挑戦だったというのに。
「もうすぐ108つの鐘も終わります。そうすればあなたは元の世界への未練を絶たれ、晴れて
この世界の主人公となります。命尽きることもなく、物語が人の心から消えさるまで、永遠に
【ごん】として生きていくのです」
そういえば、物語の中で、やけに頻度良く鐘の音が聞こえていたっけ。
「何をしてもいいのです。何もしなくてもいいのです。そうしてこの魂の牢獄で、私に楽しみを
供給し続けてくれることが、あなたの運命になるのです。逆らうことはできません。逆らう必要
もありません。あなたは再び私のことなど忘れ、物語の世界に戻っていくのですから……」
 なあ、てめえの本当の正体は、神さまじゃあないんだろう? そう言いかけた【アタシ】は、
しかし、言葉が出ないことに気付いた。そういえば、ごん狐は人間の言葉をしゃべれないんだったな。
 闇の向こうから、最後の鐘が鳴り響き、【アタシ】の記憶は再びかすれて消えていく。きっと、
もう二度と記憶が戻ることは無いのだろう。

 【ごん】は、ぐったりなったまま、うれしくなりました。
0040ごんぎつね†だーくねす(あとがきと言い訳と私の死体)2013/12/22(日) 21:32:58.05ID:SYEXJhis
〜あとがき〜
 はい。わたしにはこれが限界です。今年最後の執筆作品にするつもりでしたが、蓋を開け
てみれば原作を参考にした(といいつつ引用のレベルを超えてコピペしまくるという)盗作に近
いものとなりました。著作権が切れてて良かったぜ……。
 それにしても、わずか18歳の新美南吉少年が書いた原稿。それが添削され、『ごんぎつね』
として今なお読み継がれているとは驚きに値すると私は思います。私は18歳の時はもちろんの
こと、今となってもなお、『ごんぎつね』のようなレベルの作品を書けた試しがありませんからね。
 このエロパロディは、そんな自分への戒めとして、あるいは新美南吉先生へのリスペクトを込
めて、あるいは、今年(2013年)は生誕100周年だったけど『ごんぎつね』映画化することもな
く大々的に騒がれることもなかったことに対しての悲しみをエロエネルギーに昇華して、自分好
みに本編をエロス方面に改変していたらできあがっていた混沌です。
 原作のままの文章もかなり多く残っており、とてもではありませんが恥ずかしくて自分の作品
だなどと言って公開はできませんので、匿名でこちらに投下させていただきます。
 天国の新美南吉先生に土下座しても許してもらえないレベルの行為ではありますが、出版する
わけではないし、住民のほとんどいない一掲示板に貼りつける程度のオナニーなら、きっと二三
ぱつ火縄銃で足を撃たれる程度で許してもらえるかもしれません。冗談です。本当にごめんなさい。
二度としません。(記憶喪失にならなければ)
 ただの悪ふざけに最後まで付き合わせてしまった、貴重な読者である貴方には、最大限の感謝を。
ありがとうございました。せっかくなので、何かもっとこうしたほうが良かったとか、もっと
追加シーン書けやとか、もふもふぺろぺろとか、ご意見いただけたら嬉しいです。
青空文庫から丸々引用させていただいた文章も多分にありましたので、最後にアドレスを貼って
おきます。原作『ごんぎつね』と比較すると新しい発見があったりなかったり。これを機に他の
新美南吉作品にも触れてみてはいかがでしょう?(これを機にするやつがあるか)
ttp://www.aozora.gr.jp/index_pages/person121.html#sakuhin_list_1
本当にありがとうございました(深深と)

参考書籍:『「ごんぎつね」をめぐる謎』(府川 源一郎・著)
0043名無しさん@ピンキー2013/12/24(火) 00:06:27.80ID:nNzDMlBM
>>42
こちらこそ感想ありがとう。
少し早めのクリスマスプレゼントってことで。
あんまり絡みシーン書けなくてすまないね。
0045虎娘VS馬息子(前編)  ◆V/vWNPC6do 2014/01/05(日) 01:39:03.22ID:EZz5VUsF
※軽いリョナ注意

≪虎娘と馬息子≫

虎娘は、とにかく腹が減っていた。
こんな衰弱した状態で、この炎天下を歩き回るのは自殺行為だ。
そう考えた虎娘は、手ごろな草むらの中に丸くなり、じっと日暮れを待っていた。
水浴びだけは欠かさない虎娘の毛並みは、旅立つ前と変わらぬ綺麗さを保っている。
オレンジの地色に黒い縞。首元からお腹にかけてはオレンジの代わりに雲のような白だ。

母元を旅立ってから、もう三日が過ぎていた。
その間に口にしたものと言えば、川の水と、わずかな干し肉のみ。
虎娘は限界を感じていた。もう二本足で立ち上がるのも辛く感じられるほどである。
しかし、当然ながら母元に戻ることはできない。
母元を離れるということは、すなわち『戻れば母に殺される覚悟をする』ということだ。
それが、獣の世界における絶対の掟であった。
母を悲しませることだけはすまい。虎娘はそう思っていた。

母譲りの見事な模様、亡き父譲りのすらりと長い尻尾。
兄弟姉妹の誰よりも美しいと言われて育ってきた。
しかし、そんな虎娘には、大きく欠けているものがあった。
それは、狩りに必要な判断力と、気丈さである。
兄弟姉妹の誰よりも気弱で、喧嘩にも勝ったことがなかった。
もちろん、一虎(ひとり)立ちの前に、母からは狩りのコツを何度も叩き込まれていた。
されど、ついに虎娘は自力で獲物をとらえることは叶わなかった。
そして旅立ちの朝を迎えてしまったのだ。

虎娘が、その馬を視界に捉えたのは、日が暮れてまもなくであった。
見るからに非力で、母元を離れてすぐであることがわかる。
運の良いことに、馬は、虎娘の隠れる草むらの風上を通り過ぎていこうとしていた。
虎娘のにおいには全く気付いていないようだ。
虎娘は逸る気持ちを押さえて、獲物が近づくのを待った。
じっと獲物を観察する。
二本足で歩く馬は、焦げ茶色の毛皮を纏った男の子であった。
虎娘と同じく、両手には五本の指があるのが見える。
しかし、二本の足先には指がなく、馬の蹄となっていた。
体格は虎娘よりもずっと小さい。身長も虎娘の胸くらいしかないようだった。
風に漂う体臭は、馬少年が健康そのものだということを虎娘に伝えてくれる。
音もなく、虎娘は唇をなめた。後から後からヨダレが湧いてきて、止まらない。
虎娘の隠れる草むらに馬少年が最接近した瞬間、ついに虎娘は飛び出した。
両手両足のばねを使い、一瞬で最速に到達した虎娘の身体が、呆気にとられた表情の馬少年に迫る。
次の瞬間、虎娘の鋭い牙が馬少年の首筋に沈み込み、吹き出した鮮血が毛皮を赤く染め上げる……はずだった。
0046虎娘VS馬息子(中編)  ◆V/vWNPC6do 2014/01/05(日) 01:42:43.21ID:EZz5VUsF
瞬間、世界が反転した。
虎娘は全身に走る思わぬ衝撃に、情けない悲鳴をあげてしまう。
どういうわけか、虎娘の身体は、馬少年に飛びかかった勢いそのままに地面へと叩き伏せられていたのである。
「ふぅ。危ない危ない」
それが、馬少年の声だと気付くまで、少し時間がかかった。
「お姉さん、相手が悪かったね」
虎娘は、その意味を分かりかねた。身体が平衡感覚を失い、起きあがることもままならない。
「僕は昔から身体が小さいのが悩みの種だったんだ。だから、身体の大きい肉食獣と戦える
ような技術を、独学で編み出した。どう? 驚いた?」
虎娘は呻くような声しか返せなかった。
「僕と良く似て身体が小さかった母さんは、僕が幼い頃にいなくなっちゃった。
父さんは、頑なに帰りを待っているみたいだったけど、僕は母さんがまだ生きているとは思ってないよ。
だってこんな危ない世の中だもん。きっと、とっくに誰かのお腹の中に入っちゃっているさ」
ゆっくりと近づいてくる馬少年の声に、ふいに怒りの感情が混じりだす。
「そうだよねぇ? お姉さん?」
虎娘は答えられなかった。馬少年の口調に、純粋な恐怖を覚えた。
「もしかしたら、その誰かは、お姉さんの家族かもしれない……ね!」
馬少年が叫んだ。虎娘は、急に胃袋を襲った圧迫感に、目を見開く。視界には、虎娘の腹の上に立つ馬少年の姿。
「ねぇ、何か答えてよ」
馬少年がその場で勢いよくしゃがむ。
声にならない声が、虎娘の喉の奥からもれた。
「アハハハ! ねぇ、どう? 苦しい? 重いかな?」
馬少年が笑う。胃液がこみあげてきて、口の中に嫌な酸味が広がる。
虎娘の視界が、涙でぼやけた。
「このままだと、お姉さん死んじゃうかも」
「そう……ね!」
虎娘は、かろうじて動くようになった右手を振るう。
馬少年の長く突き出した顔面を狙う一撃だ。
完全に不意を突けた。虎娘は、形勢逆転を確信する。
「おっ!」
だが、その攻撃は馬少年に届くことはなかった。
軽く上体を仰け反らせることで必殺の爪を避けた馬少年は、その顔に不敵な笑みを浮かべる。
「へぇ……まだやる気なんだ」
直後に虎娘を待ちうけていたのは、右肩への激痛だった。続いて、左肩。
「グャァッ!! ゥアッ!!」
馬少年の足が、虎娘の肩を踏み抜いていた。悔しいが、格が違いすぎる。その事が今更になって感じられた。
「これでしばらく腕はあがらないでしょ」
馬少年は安心した様子で、虎娘の胸の上に腰を下ろすと、凄絶な笑みを浮かべた。
「ねぇ、お姉さん。そろそろ降参しない? 今なら見逃してあげるよ」
虎娘は黙って涙した。
虎の誇りとして、こんなことを提案されて頷くことはできない。
それを馬少年も分かっていて言っているのだ。
「この世界は弱肉強食の原理が支配しているんだ。いくらお姉さんが虎だからって、
弱ければ生きていくことはできない。それくらい分かるよね? ねぇ?」
虎娘は、自身の首元に手がかけられるのを感じた。
「お姉さんの綺麗さに免じて、せめて少しでも苦しまないように殺してあげる」
上乗りになった馬少年が、首を絞めてきている。こんなこと普通では考えられない。
馬は虎を見たら逃げるものだと教わってきたのだ。虎を殺そうとする馬がいるなど、虎娘には信じられなかった。
ふいに込み上げてくる恐怖。そして、生への執着心。虎娘は震えた。
涙が次から次へとこぼしつつ、虎娘は締まりゆく喉の奥から、かすかな声を絞り出す。
それは、他ならぬ命乞いの言葉であった。

虎娘の名誉のために、その言葉をここで語ることは控えたいと思う。
ただし、その後の顛末に関しては、求むる者が現れれば語らせていただきたい。
それでは皆の衆、今日の夜会はここまでとする。各自、寄り道をせず家へと帰られよ。
【アンコールがなければ、これで完】
0047虎娘VS馬息子 後書き  ◆V/vWNPC6do 2014/01/05(日) 01:50:57.63ID:EZz5VUsF
以上で投下終わります。某所でヒントをいただき、勢いだけで書きあげた初のリョナ物です。(新年早々に何やってんだ)
思いつきで書き始めたら止まらなくなったので、こちらに投棄させていただきました。
肝心のHなシーンに突入する前に力尽きたので、テキトーにまとめてみました。
続きはいつになるやらですが、虎娘のお腹がいっぱい(性的な意味で)になるようなENDを目指したいとです。
0048名無しさん@ピンキー2014/01/12(日) 07:24:09.52ID:TMhxd8Vx
ここかなと思ったので質問

ログホラのにゃん太とセララみたいなの意外と萌えると気付いた
ちょっと前はDOG DAYSとかも好きだったかも
他にもケモっぽいキャラが出るおすすめ作品ってある?
0049名無しさん@ピンキー2014/01/14(火) 00:43:35.23ID:VH+q03Is
ソラトロボとぼのぼのは良いものだ、エロ成分かなり少ないがな
0050maledict ◆k/fFCPdV8. 2014/01/25(土) 02:31:14.60ID:PCL7dvSX
異形化・人外への変身スレに時々来ていました者です。
同スレがなくなったようなので、寂しくなって書き込んでみます。

>>47様、>>45-46、Hなシーン入りの続編、期待します!
人間型で、会話が成り立つ同士の文字通りの弱肉強食、
という世界観はえぐいです。
もっと上の方の諸作品、まだ読めておらず、すみません。



……ついでに新作の宣伝も。
獣人化、鬼化の話で、獣人同士の絡みもちょっと出ます。
ttp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3331238
参加早々の厚かましい行い、ご容赦下さい。
0051 ◆V/vWNPC6do 2014/01/26(日) 17:58:57.49ID:v5vbLO7l
異形化スレ、無くなっちゃっいましたね。私も常連だったのでさみしいです。
それにしても、まさかこちらでmaledictさんからアンコールいただけるとは……!
光栄です。内容がまとまったら投稿しようと思います。ありがとうございましたー。
0052maledict ◆k/fFCPdV8. 2014/01/30(木) 09:28:35.06ID:Ocr+e6Wi
>>14様、
拝読しました。あちらに感想書きました。
考えてみれば、こちらの方が感想もたくさん書けましたね。

>>40様、>>30-39
はじめは小さないたずらが、
また、後には誠実な善行のはずの行為が、
混沌と破局をもたらしていく、という展開で、圧巻でした。
うなぎ娘はエロエロでしたし、猫女房のくだりは、
善意でやってるはずが、泥縄式に取り返しのつかないことに
なっていく流れが、読みながらヒリヒリできました。
あるいは怒る人もいるかもしれませんが、
自分は原作への深いオマージュを感じました。
七は、これはこれでとてもダークで時節に合った締めですが、
自分なら同じく世界をひっくり返すにしても、
世界の中で世界そのものを崩壊させるだろうなと思えて、
これは書き手の志向の問題かと思います。
(あるいは、原作者、原作ファンへの弁明、自己反省、
といった位置付けでしょうか。)

長々とすみません。それでは。
0053名無しさん@ピンキー2014/02/10(月) 19:03:08.14ID:oyBB1EdZ
豚化するSSは色々あるけど、豚獣人目線のSSって需要あるかな?
0057『ポークビッツ』 豚×馬 @2014/02/10(月) 21:29:57.76ID:oyBB1EdZ
よく他人は私のことを醜いと言う。
それが全く根拠の無い罵倒という事は分かっているのだが、どうにも自分が豚の獣人であると、それが中々堪えるものだ。
新聞やニュースなどの三面記事を広げてみてもいつもそうだ。
強姦事件の犯人は大体の確率で同種族であり、お陰で都会の獣人は私のような豚を蔑んだ目で見る。
それがまた同種族にネガティブなイメージを広げさせ、心を悪くした者がまたそんな罪に走るということを連中はわかっていない。
だから、私は常に田舎に引き篭って、狭い畑を弄りながらなんとか生計を立てているのだ。

若い獣人というのは大体が夢を抱いて、都会に出ていくが、私はそんな事もあり、生まれてからこの方、村を出て暮らそうなどと考えたことがない。
つまり、怖いと言うことである。
都会に出て他人から罵倒されたり、蔑まれるのが非常に私は怖いのだ。
田舎とてそういうことが全く無いと言う訳ではないが、見知った仲の獣人ばかりで流石に皆、分をわきまえている。

そんな風に臆病でいつもビクビクしているから、私には一生、異性との触れ合いなど出来ないと思っていた。
だが、世の中分からないもので、数年前に私は結婚することができた。
しかも、相手は同種族の豚ではなく、馬であった。
出会いは本当に偶然なもので、私の住んでいる村から少し離れた街の喫茶店だった。
彼女はその喫茶店のウェイトレスで、何度もその喫茶店に立ち寄っていた私の事が気になっていたそうだった。
初めて彼女に話しかけられたときは酷く狼狽したが、それを何度も繰り返していくうちに仲良くなり、そして現在に至る。


「おかえりなさぁい♪」
「・・ただいま。」

そう私が畑仕事を終えて家に帰ってくると、玄関にて優しく出迎えてくれる妻にはいつも嬉しく感じる。
妻がいると言うことはとても嬉しいのだが、その反面、妻に出迎えられると毎度少し悲しくなることもある。
まず、身長差だ。
喫茶店でよく話していた際は私が座っていることもあり、さほど身長など気にしなかったのだが、結婚して同じ位置に立ってみると、それがよく分かる。
彼女の体は私より2倍近く高く、そして大柄なのである。
茶色い彼女の肉体と、豊満な胸に男は皆鼻の下を伸ばすのだが、逆に私はそれを見て萎縮してしまう。
彼女の肩まで伸ばした鮮やかな金髪に他の男は皆すれ違うたびに振り向いたそうだが、私は身長差で髪を見ることが中々できない。
そして、特筆すべきは彼女の肉体美だ。
豊満な胸としなやかな肉体は浪漫であると、私の友人はよく語るが、夫である私の筋肉は平均的なもので、妻の方が遥かに私より筋肉がある。
私が妻に優っている体の部位は精々腹回りだけだろう。
0058『ポークビッツ』 豚×馬 A2014/02/10(月) 21:32:01.81ID:oyBB1EdZ
 「夕食出来てますよ。」
 「ありがとう。」

 そう妻の優しい声を掛けられると、幾ら畑仕事で疲れていても私の表情は朗らかになるのだが、心の内はそこまで朗らかとは言えない。

 「今日もお疲れ様です。」

 食卓にて向かい合って、食事をとるとき妻はいつもニコニコとしているが、私は中々それに応えることが出来ない。
 以前、馬獣人の妻を持ったことで友人にはよく羨ましいと言われたが、当時の私にはどうにも友人の言葉の意味が解せなかった。
 確かに彼女の性格はとても良くて、外見も非常に美しい。
 だが、果たしてそんな女性の夫として自分は相応しいのかと思うと、いつも萎縮してしまうのだ。
 
 「・・・なんだか元気が無いですね?」
 「・・そんなことはないよ。」
 「そうですか?なんだかいつも以上に暗いですよ?」
 「そうかな。」

 私は少し心配そうに自分の顔を覗き込む妻に、少し微笑んで見せた。
 そうすると彼女は安心したような顔になって、食事を口に運び始めた。

 彼女の心配は勿論的中している。
 何も体格差や身長差の違いがありすぎることには、もういい加減慣れているのだが、結婚してから数年経つが、未だに気を病むことがある。

 「・・・ねぇ。あなた?」
 「なんだい?」
 「・・・ご飯食べて、お風呂入った後でいいですから・・・その・・。」

 しばらくして急に妻が、少し顔を赤らめて私を見た。
 
 「なに?」
 「・・しません・・か?」

 結婚して数年経つと言うのに、彼女は何故かその行為を求める言葉に恥じらいがある。
 本来なら喜んで受け入れるのが夫なのであろうが、私には妻の恥じらいを込めた可愛らしい声が、どこか死刑宣告と似たような響きがあると思った。

 「うん。いいよ。」
 
 だが、例え死刑宣告であったとしても受け入れるのが夫の努めだろうと、私は妻に悟られないように食事を口に運びながら答えた。
 普通なら素っ気ない返事だと思われるが、妻の場合は私の言葉だけで十分らしく、より一層顔を赤らめた。


 そして、結局、興奮した妻の手によって、私は食事中であったのにも関わらず、担がれてベッドへ連行された。
 衣服は寝室へ行く前に妻に剥ぎ取られた。
 
 「・・・きて・・///」

 そう妻はベッドに私を優しく投げてから、そう呟いた。
 これは逆ではないかと私は思ったが、興奮した妻にそんな言葉は無駄だろう。

 「・・あっ・・・」

 私の上から覆いかぶさる妻の豊満な胸に、私は手を伸ばした。
 彼女の体は硬い筋肉に覆われていて、胸も若干の硬さがあるが、それだけ揉みがいのある感触だった。

 「うぁ・・//」

 普段、穏やかな妻の口から、甘い声が漏れて、私の愚息を刺激する。
 だが、この行為に私の愚息が使われることは一度としてない。
0059『ポークビッツ』 豚×馬 B2014/02/10(月) 21:37:15.15ID:oyBB1EdZ
「気持ちいい?」
「えぇ・・とっても・・。」

私が優しい声で妻に問うと、彼女は嬌声じみた声で答える。
私を見つめる妻の大きな瞳は、快楽からの涙で濡れていた。
そんな妻を見て、興奮しない夫などきっといないだろう。
私は妻の胸を揉みながら、その下にあるよく鍛えられた腹筋を撫でた。

「きゃふっ?!」

腹筋を撫でると彼女はビクっと体を震わせる。
胸はそこそこ耐性があるのだが、どうにも妻は腹筋が弱い。
それを知っている私は、胸を揉むのを程々にして、腹筋を撫でることに集中した。

「あぁっ・・・あヒ・・・。」

私より大きい妻の体が、小刻みに揺れているのが分かる。
私の体の横に突き出された体を支えるための腕が、地震で揺れる柱のように揺れて、今にも彼女の体は倒壊してきそうであった。
 
「あなたぁ・・・私・・そろそろ・・・。」
「なんだい?もう欲しいのかい?」
「はい・・・欲しいです・・。」

そんな甘い声を出しながら、妻は私を求めてきた。
少し前戯が短すぎる気もするが、妻が求めているなら仕方がないと、私は覆いかぶさっている彼女の体から、這いずり出て、妻の後ろへ回り込んだ。
その際に妻はベッドにうつ伏せとなり、私に大きなお尻を向けた。

「痛かったら言ってね?」
「えぇ、大丈夫ですからぁ・・早くぅ・・//」
0060『ポークビッツ』 豚×馬 C2014/02/10(月) 21:38:51.52ID:oyBB1EdZ
妻は私に早く入れて欲しいとお尻を振る。
官能的に揺れるそれを見れば、男なら誰しも入れたいだろう。
己の愚息を。
だが、私がいれるのは愚息ではない。
『腕』だ。
これが一番の私の悩みでもある。
悲しいことに私の愚息はポークビッツと言っても過言ではないほど、小さいのだ。
幼い頃からそれを気にしていた私は、異性と交わることなど成人するまで全く考えたことがなかった。
初めてそういうことを考えるようになったのは、成人後に友人に連れられて街へアダルト映画を見に行った時だった。
こうして、妻と行為に耽っていると、その時の映画の内容がよく思い出される。
ありきたりと言えばありきたりだが、その映画は童話の赤ずきんのパロディであり、赤ずきん役は兎の少女で、狼は勿論、二枚目の狼獣人であった。
性的な意味での赤ずきんを狼が食べるシーンに私は、とても興奮した。
私を連れてきた友人もそこそこ興奮していたが、彼の楽しみは映画後半の狼が狩人である熊獣人に、性的な意味で懲らしめられる方だった。
とにかくその映画を見て、私はいつかその様な場面に浸りたいものだと思ったが、現実は非常なもので、私が妻へ突っ込むのは、あの狼のような勇ましい愚息ではなく、常に畑仕事で
鍛えた腕なのである。

「じゃあ・・・入れるね。」
「はい///」

ゆっくりと腕を入れながら私は、腕で妻を感じていた。
こういう事を極めれば、腕を突っ込むだけで私も逝けるようになるのだろうか。

 「あっ//・・あぁ・・・//」
そんな私のどうでもいい考えを余所に、妻は巨体を震わしながら私の腕を感じているようだった。
 

まぁ妻も感じて喜んでいるのだし、私だけ我慢すればそれでいいのだろうと、私は腕で何度も逝ってしまい既に失神してベッドに横になっている妻を見ながら、残りの食事をとろうと

思い、寝室を出た。
 そして、一人で食卓につくと、テーブルの新聞の横にある新聞が目に付いた。
 いや、正確には新聞広告に目がついたと言ったほうがいい。
 『男性用強壮剤!!入荷!!』と大きく書かれた薬局の広告だ。
 
 「・・・効くのかな。」

 私は自分しかいない食卓で呟いた。
0065名無しさん@ピンキー2014/03/24(月) 05:53:16.22ID:t3ka5zXF
たまにはあげてみるか
0066名無しさん@ピンキー2014/04/08(火) 22:55:20.79ID:9GJD6YFN
あいかわらず過疎ってるなぁ……
ここまで誰もいないと「ふっ、いよいよ俺の出番のようだな」的なノリで
SS投下してくれる猛者が現れても良いような気がするんだ。
0068名無しさん@ピンキー2014/04/26(土) 23:14:32.00ID:1B4e8FM2
[獣化]人間が人外に変身しちゃうスレ28[異形]
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1398518716/
新しくなった! それに引き換えこちらの過疎具合はヤバいぜ・・・
だれか、この静寂を打ち破らんとする猛者はおらぬか・・・
儂も最近は描くのに夢中でSSを書く時間が無くてのう・・・
0069名無しさん@ピンキー2014/04/29(火) 09:40:21.27ID:TKDWtqHs
獣化・異形化「だけ」に焦点を絞った(=絡みは二の次)、
かつ描写がグロめの作品、ならいくつか構想もあるけど、スレ的に投下しにくくなっちゃったから……。
できたらピクシブに投稿してここで一行だけ宣伝誘導でもするよ
0070名無しさん@ピンキー2014/04/29(火) 22:10:45.11ID:8DGlZNIL
2ヶ月前にポークビッツを書いたものですが、続きができたので投稿致します。
0071ポークビッツ2 @2014/04/29(火) 22:11:42.61ID:8DGlZNIL
あの広告を見た翌日、私は畑仕事の帰りに近所の薬局に来ていた。
正直その広告の薬が、どの程度の効能があるかはとても怪しい物であったが、藁をも掴む感覚でその薬を買おうと思っていた。
「...ん?なんだ。珍しいな」
さほど広くない店にはいると、早速カウンター越しに椅子に腰掛けていた狐が私を見た。
彼とは古い馴染みだが、私がこの店を訪れることは滅多に無かった。
「健康が唯一の取り柄のお前が、一体どういう風の吹き回しだ?」
「よせやい。いいから薬を売れよ」
嘲るように私を見る狐に、私は例の広告の品はあるかと、できる限り平静を装いながら尋ねた。
「...これ、あるか?」
「あぁあるけど・・・なんだよ。夫婦の営みに何か問題が?」
「...まぁな」
そう狐に聞かれて、私が少し頷くと、彼は腹を抱えて笑いだした。
彼が店員でなければ、すぐにでも殴っているところだが、今は我慢するしかない。
それに彼の言うことが、間違いと言うわけでもない。
正直なところ普段なら、薬に頼ろうなどとは露にも思わないが、昨晩の件を思い出すと、少しは己の愚息がマシにならないものかと期待したかった。
「しかし...お前も大変だよなぁ...でかい女房を持つとよ?」
「うるせぇ」
「やっぱり、相手を選ぶんなら、同種か同じ大きさの種族が良いんだ。式の時、俺が忠告してやっただろ?」
「うるせぇって言ってんだろ...」
私の文句を全く気にせず、彼は適当なおしゃべりを続けている。
確か彼も妻帯者で、相手は狸獣人だったはずだ。
本来なら種族間でいがみ合うようなカップルなのだが、皮肉屋で陰気なところで馬があったらしい。
「しっかし、お前も健気だよなぁ...」
「...」
「まぁそこまで力には成れないとは思うがよ。せいぜい頑張れよ」
「...ありがとよ」
薬を包みながら、狐は私に慰めるような言葉を口にする。
皮肉屋ではあるが、悪い奴ではない。
そして、私は薬局を後にした。
例の薬を上着のポケットに押し込んで、帰路に就いた。
0072ポークビッツ2 A2014/04/29(火) 22:12:20.73ID:8DGlZNIL
「おかえりなさい。...今日は少し遅かったですね」
「あぁ、ちょっと用事があってね」
出迎えてくれた妻に少し詫びて、勧められて夕食を取る。
しかし、薬を買ったのは良いが、一体いつ服用すればいいのか、全く思いつかない。
行為の前に服用すればいいと狐に言われたが、今まで私の方から妻に求めた事がないため、自分から言い出すのは躊躇した。
「...そういえば用事ってなんですか?」
「え?」
「いえ・・言いたくないなら良いんですけど、薬局の方にあなたがいるのを見たって聞いたもんですから...」
「誰から?」
「えぇ、狸さんです」
それを聞いてすぐに、私の脳内に噂好きの先ほどの狐の妻である狸が思いついた。
田舎だとすぐに、誰か何をしたか知れ渡ってしまう。
彼女は陰気であるくせに、何故か世話好きな隣人である。
「うん...まぁ薬を買いにね」
「どこか具合が悪いんですか?」
「そういうわけじゃないんだけれど...」
「・・・」
心配そうに妻が私の顔を見ている。
そんな顔をされると、打ち明けたいような気分になるが、さすがにいかがわしい薬を買ったのだとは言えないもので、二人の夕食はとても気まずいものになってしまった。
そうなると、気まずくて彼女もいつもの調子で私をベッドへ誘えないようだった。
これには自分も参ってしまった。
いっそのこと正直に打ち明けようかと思ったが、自分の愚息を逞しくさせるためだとは恥ずかしくて、口が裂けても言えない。
「・・・あの」
「...うん?」
「妻の私でも話せない...事なんでしょうか?」
そこまで悲しそうに言われたら、もう隠しようがなかった。
私はとても恥ずかしいことだが、思い切って妻に今までの悩み打ち明けることにした。
それを聞いて妻が傷ついたら、どうしたものかと私は常に不安だったが、妻は私の悩みを聞き終えると、悲しい表情から一転して、明るいものになった。
「・・・そんなことですか?」
「男にとっては大事な問題だよ」
「あぁ・・・すいません...だけど」
「だけど?」
私は打ち明けている際、始終俯いていたが、妻の言葉に顔を上げた。
「何かもっと深刻なものかと思って心配しましたよ。確かに...その、あなたの物では大きさが違いますけど...肝心なのはそこじゃないでしょう?」
「...」
「何もその事で私たち、一緒になったわけじゃないでしょ?」
「まぁ...そうだけど」
暗い顔の私を慰めるように、妻の表情は明るかった。
「私、昔に付き合ってた同種族の人は...そういうことばかり意識してるばかりなので...その苦手だったんですよね」
「...」
「変な話ですよね。馬なのに...」
明るかった彼女の表情が徐々に暗くなっていた。
「昔から...そういう人に迫られるのが怖くて...そういうときって、それこそ家畜のようにぞんざいにされるから...」
瞳にうっすらとした涙が浮かんでいるのがわかった。
私はそんな妻に、何を言ってあげればいいか思いつかない。
「だから...あなたがいつも大切にしてくれるから、嬉しくて...」
だが、言葉じゃなくとも慰めることはできる。
私はそっと涙が伝う彼女の頬を、精一杯背伸びして、優しく撫でた。
「...ごめんなさい。つい...」
「いいよ...大丈夫」
0073ポークビッツ2 B2014/04/29(火) 22:13:20.41ID:8DGlZNIL
私はそのあと始終妻を慰めていた。
慰めるといっても頭を撫でてやる程度で、このようなことでは夫失格であると思うが、妻はそれだけでも満足そうであった。
だが、事はそれだけで済まず、ある程度時間をかけて泣き止ませると、妻は何故だか潤んだ瞳で私を見つめた。
「ねぇ...あなた...」
「なんだい?」
「...抱いて」
何故そうなるのだろうか。
いや、雰囲気的にはそうかもしれないが、やはり気が高ぶってしまったのだろうか。
結局、私は昨日と同じように雰囲気に流されるままに、涙目の妻に担がれて寝室へ運ばれてしまった。
先ほどの涙は一体なんであったのか。
「あなた...」
だが、そんなことなど今はどうでもいい。
とにかく涙目でベッドの上にて、私を押し倒した妻が魅力的に見えることだけが大事だ。
薬などもう必要無かった。
私のことをそのままで受け入れてくれる妻だと再確認したことで、今までの己の中にあった鬱積は消え去った。
勿論妻を満足させるほどの大きさではないが、今晩ばかりはこれで我慢してもらうことにしよう。
「んく...」
首根っこに抱きつく姿勢で私は妻と口づけをして、暖かい口内で刺激を求め合い、その際に潤んだ妻の瞳を見るたび、下衆ではあるが私は興奮をより一層強く覚えた。
「...ひゃ...」
そして、口から舌を抜くと、私は妻と見つめ合った。
先ほど買ってきた薬はもういらないだろう。
狐にはどことなく悪いことをしたような気がするが、そんな些細な罪悪感は妻の暖かい抱擁の前にキレイさっぱり消えてしまった。

 
0074ポークビッツ2 2014/04/29(火) 22:14:42.06ID:8DGlZNIL
お目汚し失礼致しました。
今回もエロができずに申し訳ございません、今後はもっと精進していきます...
0075名無しさん@ピンキー2014/05/01(木) 14:19:18.98ID:YbK8xlOM
「リア獣め! 末永く爆発しろ!」
そう叫びたくなるくらいに、甘く温かな短編でした。
ごちそうさまです。ありがとう。久しぶりに良い物が読めました。
0077名無しさん@ピンキー2014/05/12(月) 22:38:06.35ID:g+a56zsU
ttp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3790396  「死亡探偵フジミの即死」
前スレでお世話になっていた者です。こんな感じの獣化小説書いてみました。獣同士のいちゃいちゃも少々。グロ注意です!
0078我輩は狐である(1/2)2014/05/23(金) 02:00:41.13ID:mVEKjjso
 我輩は狐である。名乗るほどの者ではない。
 大いなる山の麓の森の奥の、ほの暗い穴の中で育ったことを覚えている。
 やがて尻尾が三本に成った頃、我輩は森で一匹の狸と出会った。
 後に我輩の相棒を名乗ることとなる、幼い雄の狸である。

   ▽ ▽ ▽

「イナリは僕を何だと思っているんだ?」
軽く溜め息をついて、仔狸は大げさな素振りで言った。
「人形遊びが大好きな、礼儀知らずの変態狸であろう」
「ひ、ひでぇ……」
訊かれたことに正直に答えてやったというのに、何故か睨まれてしまった。
「我輩ですら、お主の操る人形を本物と見分けることはできない――」
狐の目すら欺くのだから、人間には決して見破られないであろう。
「――誇って良いことだと我輩は思うのだよ」
仔狸は少しだけ驚いた様子で、顔をあげた。
「ひょっとして、今……、僕の術を褒めてくれたのか?」
「我輩は感じたことを口にしたまで。どう捉えるかはお主の自由なのだよ」
何も間違ってはいない。しかし、改めて褒めたと言うことは、どうも気恥ずかしかった。
 思い返せば、我輩はいつも偉そうに叱ってばかりだった。
 いくら厳しく接しても、仔狸はついてきた。
 けれど、内心では褒められたいと思っていたのであろう。
 必死に背伸びして、頑張っていたのかもしれない。
 嬉しさをどう表現したらいいものか、うろうろしている仔狸の首元をつまんで、我輩は立ち上がる。仔狸の両足は地面から離れ、なすすべなくぶらりと垂れ下がる。
「と、とつぜん何をする! おろせー!」
当然ながら、暴れ始める仔狸。しかし、こうでもしなければ、まともに聞きはしないだろう。
「そろそろ我輩が教えることも無くなったからな。お主は今日で『卒業』なのだよ」
「え?」
0079我輩は狐である(2/2)2014/05/23(金) 02:01:56.59ID:mVEKjjso
   ▽ ▽ ▽

「嫌だ! 僕は、ずっとイナリと一緒にいるんだっ!」
地面に足をつけてやると、仔狸は人間に近い形に化けて、そう言った。
「我儘はやめるのだよ。巣立ちは生き物の定めであろう」
「僕は……僕は……」
「我輩が、何のために人間に化ける方法を教えたと思う?」
「そんなの知らないよ!」
「お主が、どんな場所でも自由に生きていけるようにするため、なのだよ」
「……」
「お主の未来は明るい。こんな薄汚い狐と共に一生を終えるような逸材ではないのだよ」
「……そんなこと……ない……」
「見ての通り、我輩は変身術が苦手であろう? 我輩と離れないということは、この森から出られないということだ」
そんなことを強いるわけにはいかない。視界を下ろせば、かろうじて二足歩行ではあるものの、
腕も足も、胸や腹も、全身を真っ白な毛皮で覆われた自分の姿がある。
 この程度の変身で、森の外に出れば、すぐに人間ではないことがバレてしまうであろう。
「それでもいい! 僕はイナリのことが好きなんだ!」
「……えっ?」
我輩は、自分の両足がズブリと地面に沈みこむのを感じた。
「これからもずっと……僕がイナリを守るんだ!」
仔狸が我輩の腰に両腕を回して、ぎゅっと力を込める。
ずんずんと両足が地中へと潜っていく。すぐに仔狸の幻術だと分かった。
「こ、こら! 何をするのだよ!」
幻術だと分かっていても、抜け出すのは容易ではない。
「いい加減にしないかっ! うわっと」
「……僕、良いことを思いついたよ……」
急に仔狸が力を抜いて背後に回り込んだので、我輩は体勢を崩し、地面に両腕をついてしまう。
 ちょうど、軽く足を開いて立っていたこともあり、我輩は秘所を後方に見せつけるような形に……。
「お、おい。まさか、お主……きゃうっ!」
下腹部に走る激痛に、我輩は思わず悲鳴をあげてしまったのだよ。仔狸が、我輩の割れ目に指を突き刺したのだった。
「僕がイナリと『つがい』になれば、もう離れなくて済むもんね」
「よせ! お主は狸で、我輩はキツ……ねぇぇぁぁっ!」
この痛みさえ幻覚だったなら、どれだけ良かったことか。
 身体の内側に、固くて熱い異物が押し入ってくる感覚。
「わぁ……! これで、イナリは僕のもの、だよね!」
仔狸のモノが小さかったため、一番奥までは届いていない。
 けれど、我輩の心にあった大切な何かは、既に破けてしまっていた。
 それを敢えて名状するならば――自制。
「後悔、しても、もう遅いのだよ……」
我輩はゆっくりと舌なめずりをして、それから、自由な両手に力を込めて体勢を立て直す。
「ひゃっ!」
唐突な動きに、仔狸の幻術が緩んだ。
 我輩は両足を即座に引き抜き、仔狸を押し倒すと、仔狸の顔に逆乗りになる。
 それから、変身を解き、狐の姿となって、仔狸の股間に喰らいつこうと――。
「ひゃぶっ! ゆるし、ゆるひてぇぇ! ぎゅむっ」
泣き喚く口は、我輩の秘所で塞いでやった。
「噛み切ってやろうかとも思ったが、気が変わったのだよ……」
我輩は、口内の牙で傷つけないように気をつけつつ、舌を伸ばして仔狸の粗末なそれに巻きつける。
「こんな小さいなりして、一丁前に硬くさせおって……」

ぴちゅっ……ちゅぬっ……

仔狸のそれを愛おしそうに舐めていた時の我輩は、正気ではなかったと反省する。
 それでも、我輩は今でも忘れられない。
 我輩の初めてを強引に奪った若き日の相棒が、精一杯の礼儀を込めた台詞を。
「せきにん……必ず、とりますから……ずっと、僕と一緒にいてください……」
罰として、それから一カ月間、仔狸とは口をきいてやらなかったのだよ。

                               【完】
0080名無しさん@ピンキー2014/05/23(金) 02:06:13.01ID:mVEKjjso
と言うことで、簡単にショタ狸×狐先生(逆転もあるよ)的なものを書きました。
「死亡探偵フジミの即死」の宣伝だけして去るというのも寂しいなと思ったので、
ちょっとケモエロにもチャレンジしてみた次第です。初めてケモエロ書いたのですが、どうでしょうね?
0083名無しさん@ピンキー2014/05/24(土) 18:34:34.70ID:GHTyLWTe
>>81
あ、ヤバい。雌狐だって明記するの忘れてた…!
この部分だけ読んだら♂×♂と読まれてしまう可能性もあるな…(笑)
く、くさってないよ! ┌(┌ ^o^)┐
0084名無しさん@ピンキー2014/05/24(土) 20:39:39.80ID:GHTyLWTe
そういえばスレタイは「亜人の少年少女の絡み」なのに、
これでは「亜人の少年熟女の絡み」だということに今気付きました。
ロリ熟女だったということで、どうかお許しください。
0085名無しさん@ピンキー2014/05/25(日) 12:16:01.28ID:M7zjxhZe
ここの住人はそんな細かいこと気にしないと思うな
0086名無しさん@ピンキー2014/05/25(日) 16:58:11.60ID:Du40ULeO
そもそも住人がどのくらい残っているのか時々不安になる
0092名無しさん@ピンキー2014/06/20(金) 19:34:15.37ID:vugGCy4D
それにしても、豚化や豚人って割と需要あるけど猿化や猿人は無いのかな?
よければ、誰か猿の小説書いてくれないかな
0093猿の小説2014/06/21(土) 00:25:06.11ID:aJIEPwjg
「ウキー!」
キキィ……!?
「ウキキ?」
「キャウ、キャウ!」
「ウキャ……」
キャッキャッ、ウキャキャゥ! ワキャーッ!
0094maledict ◆k/fFCPdV8. 2014/06/21(土) 23:35:58.11ID:mOcltMfq
>>92様、
昔、こんな連作(二つ)を書いたことがありましたので宣伝

ttp://book.geocities.jp/maledictarum/sakuhin/abominables1.html
ttp://book.geocities.jp/maledictarum/sakuhin/abominables2.html
http://book.geocities.jp/maledictarum/sakuhin/abominables3.html

ttp://book.geocities.jp/maledictarum/sakuhin/sarugami.html
ttp://book.geocities.jp/maledictarum/sakuhin/sarugami-makuai.html
ttp://book.geocities.jp/maledictarum/sakuhin/sarugami-shippei.html
0095932014/06/23(月) 00:20:51.28ID:bApk2Ycb
>>94
92ではないですが、ありがたく読ませていただきます!
0097922014/06/28(土) 08:42:01.72ID:9YeNkgDC
>>96
ありがとうございます。
楽しく読ませて頂きました。
レスを投稿する


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