先輩はオペレーターのメイドさんからマウスを
借りると、赤アイコンの付いた行をダブルクリックしました。
すると、画面が切り替わり、女性の下半身の断面図が現れました。
保健体育の教科書で見たことがあります。
膣を中心に前に尿道、後ろに直腸があり、
膣にのっかるように膀胱が平たく潰れています。
その周りを、まるでバイオリンのような柔らかな曲線で
囲われています。これが皮膚の線なのでしょう。
恥骨や尾てい骨まで見てとれます。
そして、腰の周りには、うっすらと何か穿いている様子まで
わかります。
まるでミルクレープの様に、薄いのが幾重にも重なっているのが、
恐らくオシメの布でしょう。

「これって…身体の断面図ですよね…?」
しかし、私の知ってる断面図からすると、お尻のまわりに、
なんか異物みたいのがへばりついています。
それを指差し、
「こ、これって…もしかして…!?」

「そう、睦姫ちゃんは察しがいいわね。
 誰だかはわからないけど、このお尻の外側の異物は、
 オムツの中に漏らしてしまった便ね。
 オムツとお尻の間で潰されて、こんな形になっちゃったのね。
 実は私たちの穿いているこのオムツカバー、
 この内部にはCTスキャナーみたいな機能が組み込まれていて、
 人体の断面図を常に計測して、無線でリアルタイムで情報を送っているの。
 とはいっても、核磁気共鳴では装置が大き過ぎるし、
 X線は被爆量問題もあるから、結局、超音波を利用して、
 断面図から三次元画像まで合成可能になったの。
 でも、装置の薄型化と、ジェルを介しての密着構造が使えなかったので、
 開発には苦労したみたい。
 バッテリーは防爆袋に入った超薄型のリチウムイオンポリマー電池で、
 洗って干している間にワイヤレス充電させるの。
 勿論、オムツカバーの内部に仕込んである分、内部は完全防水に
 なっているわ。
 オムツカバーの内側には、温度センサ、湿度センサ、それに
 臭気(しゅうき)センサまで組み込まれていて、
 オムツの中が快適かどうか、常にチェックしているの。
 もしお漏らししたら、温度センサと湿度センサですぐにわかるし、
 臭気センサでウンチとオシッコの区別もばっちりよ。
 湿度センサがあるから、オナラでウンチお漏らしと
 誤認識することもないわ。しかも、オナラでもあまりにも臭い場合は、
 ウンチ間近のオナラとか、そういう事まで判別がつくわね。」

専門用語が一気に一杯出てきて、私には何が何だか
ちんぷんかんぷんです。
私の頭でもわかったことは、24時間、私のオシモが
常に監視され続けている、という事だけです。
私の人知れず出していた臭いオナラまでも監視され続けていたのです。