辛いことばかりでしたが、先輩方に助けてもらっているので、不甲斐無さで泣くに泣けません。
泣くにしても、人目に付かない場所を忍んで泣いていました。

それでも何とかしがみついていたある日。私は、会社の御手洗いの個室で呆けていました。
時間は夜。とりあえず帰っていいと言われましたが、早く退社しないと終電に間に合わなくなる、という状況でした。
しかし、頭でそうと分かっていても、気力が尽き果てて動けないのです。

そうして、便座に座ったままじっとしていると、何人か先輩の社員が入ってきました。
その先輩方は私が、もう帰ったと思っていたのでしょう。私のことについて喋っていました。
『あの子はいつまでもつのか』だとか『仕事ができないと言っても、男どもの当て馬枠だから、潰れられたら困る』だとか。

先輩方も帰り際だったらしく、長話はせず、そそくさと帰っていきました。心に刺さりましたね。
自覚が、あったことです。仕事がきつくて長続きしそうにない、というのも、
あわよくばいい男を捕まえて寿退社してしまおうか、なんて思惑も。