ある程度、出勤を繰り返すと、私の指名客がある程度、固定されるようになってきた。
 キリヤさんに抱かれる機会が増えたり、愛理さんやビアンだって噂の女優までやってきたりした。私は不思議と女性の指名がお店では一番多かった。
 そういう状況だと陰口も言われる。「どうやって取り入った」とか「キリヤさんのお気に入りだからって……」というような話が。
 いじめが起こらないのが奇跡みたいだった。優の風当たりも心配したけど、そんなことはないと安心させてくれた。
 冬になり、クリスマスが終わるまでは私も特別出勤でショーに出た勢いのまま、男の人に抱かれたりするといった割とハードなスケジュールを過ごした。
 さすがに優も休みのときはセックスなんてする気になれなくて、私たちの年末のコミュニケーションは同衾して抱き合って眠るくらいしかできなかった。
 優と由香子さんに静さんの四人で年越しを迎えて、初詣にも出かけた。静さんお手製のお節とお雑煮はさすがだった。お正月、平和だけど食い気に走るのが悩みどころ。
 そして、一年が経過する。私は二十歳になった。
 春に長い休学から復帰した優と二年生という形で一緒にキャンパスを歩く。私たちのことを知っている人はいるけど、知らない人も多い。
 奇異の目では見られない。普通に友達同士で歩いているとしか思われない。実際は恋人なんだけど。
 由香子さんは優を私に任せて先に卒業。ライター活動を本格化させている。最近はラジオの放送作家やエッチなエッセイみたいな文章までこなしている。
 静さんが忙しすぎ、と少し怒っていた。冗談気味に大っきなマンション借りて四人で暮らさない? とまで言ってきた。