【朝ドラ】花子とアンでエロパロ
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まだ公式カップル出てないから早いかなと思いましたが
恋模様は色々出てきつつあるので立ててみました。
個人的には朝市や兄やんに頑張ってほしい所ですが
今のとこ、はなと蓮子様が一番カップルっぽいのが悩みどころですw 蓮子様と嘉納伝助にひそかに期待。
伝助を単純なヒールで処理したらもったいないと思う。
離縁したDV池沼前夫は、ありゃ洒落にならんが。 蓮子×兄やん
おとう×おかあ
変態仮面様×花子
とか期待 白鳥かをる子様とブラックバーン校長を素材にする猛者はいませんか? 編集長×富山先生は生々し過ぎてアレだな…
醍醐ちゃんは相手がいないから素材にはならなさそうだ 醍醐×花子でしょ
下級生にもモテモテだし百合素質あるよ ・兄やん×蓮子で一本。
・エロは全くありません。
・訛りは適当です。
それでも許せるという方はおつきあいください。
本物のお姫様というものを吉太郎は初めて見た。
勿論それは祖父や母、末の妹にとっても同じだったのだろうけれど、
むしろ吉太郎にとっては「初めて見た『女性』」だった。
いや、当然家族にも近所にも女子は居る。そんなことくらいは分かっている。
けれど吉太郎の知る「女」というのは例えば男よりも体が小さいとか力が弱いとかそういう事であり、
男たる吉太郎は女達よりも良く働き守り支えねばならぬという事なのだと思っていた。
子供に対する大人の考え方ようなものだったのだ。
だから美しく色が白く柔らかな物腰でとても良い香りがする人が妹の後ろから現れた時、
まさに物語上の天女のような、己とは全く異なるものが存在すると初めて知ったのである。
自分は男という生き物でありこの世には全く違う女という生き物が居るのだ、と。
天女のようなお姫様は、あらゆる意味で吉太郎たちの想像を超えていた。
美しいだとか気品が溢れているということはもとより、
愚にもつかぬほうとうを嬉しそうに食べてくれたり、地主を凛とした態度で追い返したり、
その時の「皆で枕を並べるのを楽しみにしていた」がまさかの本気だったりした。
さらには
「いやいやお嬢様を床に寝させるわけにはいかねえずら、お布団で寝てくれし」
という皆の懇願にも耳を貸さず、
「だって家族って川の字で寝るものなんでしょう?一人でお布団なんて嫌。わたくしも入れてくださいな。
それとも家族じゃない人間が皆さまに混ざるのはご迷惑かしら?」
と小首を傾げ、家族一同を動揺させた挙句に
「あら、ももちゃんはお母様とはなちゃんに挟まれて眠りたいのね?素敵。
だったら、わたくしもはなちゃんの隣が良いわ」
と勝手に寝る順番を決めていた。
誰もその意見に逆らえなかった時点で吉太郎の寝位置には選択肢が二つしか残されていない。
が母の隣で寝ればお客人のお嬢様を家の隅で寝させることになってしまう。
かといってお嬢様の隣に一応は男である自分が寝ていいものなのか。
身の置き所に著しく迷い右往左往していた吉太郎は、
「何やってんだ吉太郎、お嬢様を端にする気じゃねえずらな?隙間風が当たってお風邪ひかれたらどうするだべ」
と母に叱責されることになった。
……とまあそのような事情で。
葉山伯爵家御令嬢・葉山蓮子様が吉太郎の隣、一尺の距離で寝息を立てている。 タイトルつけ忘れました、すみませんw
(―――眠れねえずら)
当然のことながら全く眠れない。
左側に居る蓮子に精一杯の気を遣い背を向けて寝ているのだけれど、背後が気になって仕方がない。
吉太郎は「明星」を抱きしめた。
先ほど蓮子から貰った本は床に置くのは躊躇われ、かといって我が家に綺麗に仕舞えるような場所がある訳もなく、
結局置き場所が決まらぬまま今だ左腕の中である。
(本ってのはこんなに長い間持ったままでも痛まねえだか)
ふと吉太郎は不安になる。何しろ初めて手にした「自分だけの本」である。
丁寧にとは思うものの実際どのように扱うべきなのかよく解からない。
せめて例え眠っても身体の下にならぬようにしようと体勢を動かしていると、背中に何かがぶつかった。
「―――っ?」
それはどうやらこちら側に寝返りをうったらしい蓮子だった。
なにげなく振り返って、あまりの距離の近さに声を出しそうになってしまった吉太郎は慌てて口を右手で塞ぐ。
下手に皆を起こして、家族に怪しまれるのも蓮子にやましいことを考えるような男だと思われるのも嫌だ。
(ど……どうするだけ)
口を塞いだまま吉太郎は逡巡する。
おそらく、また蓮子から距離を取るのが一番いいのだろう。いや、吉太郎の精神衛生上は絶対に蓮子から離れるべきである。
しかし。
『隙間風が当たってお風邪ひかれたらどうするだべ』
母の言葉が頭を過ぎる。
ここのところの夜の隙間風は冷える。家族は慣れているのでもはやこの程度では何ともないけれど、蓮子は大丈夫だろうか。
このまま吉太郎が壁となって風を遮るべきなのではないのか。そもそも、お嬢様というのはどのくらいお体が弱いのだろうか。
ぐるぐると考えるがまったく正しそうな答えが出てこない。
元来あまり働くのが得意とは言えない吉太郎の脳みそは、今や破裂寸前である。
いっそ、もうこのまま朝まで眠ってしまおうか。
思考が麻痺したのか、「何も考えず何もなかったことにしてとりあえずやり過ごす」という結論が頭を過ぎる。
それが正しいのかもしれない。どうせたった一晩のことだ。余計な事を考えてもしかたがない。
朝になれば蓮子は天上の世界へ帰ってゆくのだ。
そう。
蓮子と吉太郎は住む世界自体が違うのだから。
伯爵令嬢と小作人の子倅など、二度と逢う機会はないのだろうから。
―――吉太郎は急に切なくなった。
胸が苦しい。
もう逢うことはないと一度考えてしまえばそれは揺るぎなき真実のように思われる。
こうして蓮子と親しく過ごすことなど、きっともう二度と有り得ない。
ならば。
せめてあとちょっとだけ。
(蓮子さんのお顔を見ても―――)
ふと浮かんだその誘惑に、逆らうのは無理そうだった。 吉太郎はそうっと蓮子の側に向きなおった。
左側を下にする形になってしまったけれど、努力の甲斐あり今のところ左腕の中の本は無事である。
蓮子はとても安らかな顔をして眠っていた。
それはいかにも吉太郎の内面になどお構いなしで、胸がますます苦しくなる。
その顔近くに置いてある両手に、吉太郎は右手を近づけてみた。もう少しで触れそうだ。
あと、たった三寸で触れるというのに。
……吉太郎と蓮子を隔てるその三寸は、あまりに遠い。
おそらく永遠に埋まらぬであろうその距離を、それでも少しくらい縮めたくて吉太郎は指を近づけてみた。
もう少し。
もうちょっと。
あと、ほんの少しだけ。
―――まさに触れようかというその瞬間、急に両手で右手を握られ吉太郎は危うく大声を出しそうになった。
(い、一体、)
何が起きたというのだ。何故このようなことになっている。
よく解からぬまま吉太郎の心の臓はばくばくと音を立てる。頭にも血が上りぐらぐらとする。
蓮子に気が付かれてしまいからかわれたのかと思ったが相変わらず夢の中のようだ。
「これからもおともだちでいてね、はなちゃん」
蓮子が急に呟いたので吉太郎はまた緊張したけれど、その内容に少し胸をなでおろした。
きっと蓮子は妹と友情を誓い合う夢でも見ているのだろう。
なんということもない、答えを知ってみれば簡単である。
残る問題はあと一つ。
蓮子が今大事そうに両手で握りしめているのは。
(はなの手じゃねえずら……)
吉太郎のひっそりとした抗議は蓮子には届いてくれそうもなかった。
蓮子の手はしっとりとなめらかで柔らかだった。
野良作業など全く縁のない、お嬢様の手。
手を握られてもますます露わになる二人の距離に、吉太郎は暗澹たる気分になった。
葉山蓮子様は遠いお方なのだ、本当に。
どうやっても届かぬお人なのだ、小作人風情には。
それがこの世と道理というものだ。
吉太郎の気持ちはねじくれた。
ねじくれたまま、吉太郎は考える。
いっそ届かぬものならば。
いっそ埋まらぬ距離ならば。
(なら……)
どうせ何が起きてもこの世の道理は変わりはなしない。
例えば―――吉太郎が蓮子に接吻のひとつもしてみても。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています