デート〜恋とはどんなものかしら〜でエロパロ [転載禁止]©bbspink.com
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0001名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 00:14:49.76ID:B5rNhGh9
需要ありそうなので立てました。
0002名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 00:18:49.56ID:dx5ZTXwR
感謝申し上げます!
感謝申し上げます!
0003名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 00:20:41.17ID:B5rNhGh9
りんご齧りあうシーンがどエロで萌えた
いい歳したDTとSJのはじめてとか萌えざるをえないわー
自分も書くので誰か書きにきて欲しいです
0004名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 00:24:53.97ID:dx5ZTXwR
ごちスレでも楽しんだけど、この二人にこんなにも萌えるとは思わなかったなw
自分もなにか書きたいわ。
0006名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 00:38:10.41ID:NwPmp5De
私も感謝申し上げます!
努力して、巧さん・藪下さんの萌えるSSと言うものを投下する所存です!
0007名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 03:51:49.89ID:3v1CWzZS
>>1
感謝申し上げます!

〜初夜〜
巧「あれ?入らない?おかしいなぁ?」
依子「勃起は十分していますよね?それなら」
依子が起き上がり、騎乗位で即挿入
巧「え?35年間大事にしていたDTあっさり喪失…」
依子「鷲尾さんにきちんと性交渉を教えて頂きましたから。…あれ?抜けそうですが?」
巧「そりゃ萎えるよ。てっきり君もSJかと思ってたから。聞きたくなかった。」
依子「??」

職人さん、ロマンティックなものをお願いします!
0008名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 05:18:15.81ID:9/jhmP4C
高等遊民に!!!俺はなる!!!!
0009名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 06:49:29.23ID:OsYec4tg
依子と巧がまだDTとSJのままか気になる。
まだだといいなあ。
0010名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 10:33:05.94ID:TnGoKpqC
こんなスレが!待ってましたw
素敵な作品期待してます
それにしてもロスでツラい…
0011名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 12:37:35.09ID:B5rNhGh9
エロパロ板に投下したことがないもので、一度に書き込みが出来る行数などの確認をとっているところです。
エロなしになりそうですが、のちに投下させていただく所存です。

>>7
初夜は上手くいかなそうですよね!依子がSJ喪失してたら巧は嫉妬に駆られそう!
0012名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 13:04:45.61ID:IdgWJvSa
>>1さんありがとうございます!
この二人可愛くて大好きです

依子が買ってた勝負下着の詳細がどんなものか気になるw
見せたときの巧のリアクションからして、ちょっとやそっとのセクシー下着じゃなさそうだ
軽く乳首ぐらいは見えてるんじゃないかとw

依子は雑誌の情報や他人の意見とかを鵜呑みにしちゃうとこがあるから、
案外簡単に性の調教されちゃいそう

巧が「この格好で興奮しない男はいません!」って言えば、
案外従順に裸エプロンとかもやってくれそう

「本来エプロンとは料理を作る際に衛生的に作業しやすいよう身に付けるものであり素肌に纏うものではありませんが、男性がそれで興奮するというのでしたら、理解には苦しみますが素肌に纏うのもやむなしとします。」
「それでは私は着替えてまいりますので、谷口さんは蝮ドリンクを飲んでお待ちください」
みたいな
0013名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 14:01:01.53ID:QNO9L2vc
いちおつです

初めて書いてはみたものの…
エロ重視かパロ重視かで訳分からなくなってきた…
エロ短いほうが二人っぽい気もするし削るか足すか、結構むずかしいんだね
0014勃起力検定12015/03/26(木) 14:22:27.29ID:QNO9L2vc
「ささっこちらにお座りください」
「…はい…」
「それでは、第一回勃起力検定を始めます。よろしくお願いいたします!」
「…よろしくおねがいします」

ズンドンドコドン ドンドドン♪ズンドンドコドン ドンドドン♪チャチャ〜ラッ チャチャチャッチャッチャ〜ラッチャ チャッチャチャ〜ラッ♪

「ではどうぞ、始めてください」
「……やっぱり無理だよ!!」
「どうしてですか!?」
「だってこんなムードもへったくれもない…」
「これは性交渉とは違うんですよ?ムードなんて必要ないでしょう」
「そういう問題じゃないよ!大体…そんなに真正面からジーっと見られてちゃ勃つもんも勃たないよっ!!」
「あ、そういうことですか、では後ろを向きますので……さっ、どうぞ?」
「どうぞって……」

「…………」
「…………」

「5分経過しました、もういいですか?」
「えっ!?いや、あの…っちょ」
「…全然勃起してないじゃないですか」
「見るなよー!!」
「見ないでどうするんですか!その為の検定ですよ!これは…勃起不全かもしれませんね、これでは結婚は難しいです」
「君って女は本当にデリカシーがないな…ちゃんと勃つよ!!」
「勃ってないじゃないですか!ちゃんと証明してください、どうすれば勃つんですか!」
「どう…って」
「私に協力できることがあれば仰ってください、あ、脱ぎましょうか?」
「!いーよ脱がなくて!!」
「そうですか、ではどうすれば」
「……………手」
「…手?」
0015勃起力検定22015/03/26(木) 14:23:53.63ID:QNO9L2vc
「−−っ!!?何するんですかっ!」
「協力、してくれるって」
「ご、ご自分の手で十分でしょう!」
「…君の手のほうが、興奮するかと」
「…そんなものですか?」
「…そんなものです」
「………や、やっぱり離してくださいっ」
「…もう無理だよ」
「ぁ、でも……」
「勃起、させたがってたのは、君だろ?」
「それは…そうですけど…こんな…」
「このまま…あわせてくれるだけで、いいから…」
「ゃ、だって……………あ、少し、大きく…?」
「いちいちいわなくていいからっ」
「すみませ…………っ!?ちょっと、勝手に動かさないでください…!」
「俺の意思で動かしてるんじゃないよっ…っ…ちょっと、黙っ…」
「ぇ、はい……」
「ぅ…ヤバ…なんだコレっ…ッ」
「えっ……キャッ!!」

「〜〜〜な、な、なにするんですか〜〜〜!!!」
「ご、ごめん、わざとじゃ…」
「当たり前です!!目にせ、精液なんか入って、炎症でも起したらどうするんですかああ!!!」
「す、すぐ洗えば大丈夫じゃないかな、そ、それより僕の勃起力…」
「そんなこと今はどーーーーっでもいいです!!!顔洗ってきます!!!」
「あの、いつもはこんなに早いわけじゃ…」
「聞いてません!!!」

ズンドンドコドン ドンドドン♪ズンドンドコドン ドンドドン♪チャチャ〜ラッ チャチャチャッチャッチャ〜ラッチャ チャッチャチャ〜ラッ♪
0016名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 14:25:40.88ID:QNO9L2vc
以上でございます。駄文失礼いたしました。
こんな場所を与えていただき、感謝申し上げます。
0017名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 15:04:09.69ID:6/WbsJHs
>>16
投下感謝申し上げます!
出先なんだけど吹いてしまったww
2人の可愛いやり取りが目に浮かぶよ〜!
0018名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 20:02:36.55ID:GJU4/sNy
階段から落ちリンゴを食べた
確変後の巧なら依子を急襲できるかも

「待って下さい。今勝負下着を着けてきますから」
「いりませんよ、そのままでいい」
「では、まむしドリ」
「いいですって」
「私は入念な準備をしないとだめだとあなたも知っているでしょう!」
「だからですよ!君が準備をするとできることもできないんですから」
「こういうことにはきちんとした手順がっ、ああっ、ちょっと、だ、だめですっ」
「…あの時もこんな感じだったら」
「えっ?」
「君は本当、がんばり過ぎなんだよ」
「谷口さ…」


DTには無理か
0019名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 20:06:43.19ID:pd3LFeNN
>>16
乙!
面白かったよ。

この二人の場合、取っ掛かりは依子からでも
事が始まれば巧の方が主導権を握るんだろうな〜と妄想。
0021名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 21:11:00.42ID:cLqwwrUU
共にGJGJ!です!
巧依子がしゃべってるみたいで面白かったです!
依子はいざとなると怖じ気付くと思うし、
巧はいざとなると積極的になると思うし、
意外と嫉妬深そうだw
0022名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 21:41:46.99ID:nxo5UyT6
あの最終回後だと巧にはもうかなり余裕がある気がする
縁側シーンの依子が何言っても穏やかな顔で見守ってる感じが萌えた
あの後押し倒して…みたいな話は書いて頂けないですかねw
それこそ>>21さんな二人
0023名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 21:51:19.48ID:cLqwwrUU
あの縁側で大人のキスくらいは済ませて欲しいよなw
鷲尾プロポーズの時の巧のなんとも言えない表情に激しく萌えるわw
あのときの巧の頭の中を覗いてみたいわ。
0024名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 21:59:15.20ID:ibHuRxwD
このスレに感謝申し上げます!

>>23
わかる、あの表情いい
依子が指輪しようとするシーンの時も後ろでちょっと目を伏せたりして絶妙な表情しててニヤニヤした
そのあと指腫れ事件でとんでもないことになったけどw
0025名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 22:11:25.99ID:nxo5UyT6
>>23
「や、やったな鷲尾くん!」の力無いガッツポーズにワロタw
萌えポイントざくざくあるよね
0026名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 22:49:18.42ID:cLqwwrUU
鷲尾がプロポーズOKの後、ちらりと不安そうに巧を見て、
呆然としてる巧が一緒我に返るけど、全然嬉しそうじゃないという。
あと指輪嵌める際も、うつ向いて見ないようにしてたしw
カオリが教室二人で継ぐ話も気まずそうに明後日見てたし、
本当に未練有りまくりで萌え死ぬわw
0028名無しさん@ピンキー2015/03/26(木) 23:58:06.11ID:QNO9L2vc
>>18
オトナな巧のリードが素敵です。

懲りずに続きを書いてしまいました。
リンゴ前のようなヘタレ巧とKY依子ですのでご注意を。
0029持久力検定12015/03/27(金) 00:00:40.60ID:O6PBPmYJ
「前回は大変失礼いたしました」
「は?」
「女性が男性の性器を擦る、というのは、男性が最も興奮する作業のひとつだそうですね」
「い、いや…まあその、人によるかと」
「私としたことが勉強不足でした。お恥ずかしい」
「むしろそこがよかったというか…」
「前回、勃起力が一定のレベルにある、というのは確認しました」
「…どうも」
「ただ、あれでは射精が早すぎます」
「い、いや、いつもはあんなことは!」
「そこで、持久力検定をしたいと思います!」
「はあ!?」
「いくらなんでもあの短時間ではバルトリン腺からの潤滑液が足らず分泌卵胞刺激ホルモンが十分に分泌されない恐れがあり妊娠に至らない可能性が…」
「また君は何を言ってるんだ!」
「ですから、妊娠に至らない性交渉しか出来ないようでは結婚できない、と申し上げています!協力いただけないなら、これ以上の契約書の作成は不可能かと」
「あーもう、わかったよ!!やればいいんだろやれば!」
「ご理解いただけてよかったです。それでは、第一回持久力検定を始めます。よろしくお願いいたします!」
「…よろしくおねがいします」

ズンドンドコドン ドンドドン♪ズンドンドコドン ドンドドン♪チャチャ〜ラッ チャチャチャッチャッチャ〜ラッチャ チャッチャチャ〜ラッ♪
0030持久力検定22015/03/27(金) 00:01:16.75ID:O6PBPmYJ
「今回は十分に勉強してきたので、谷口さんは何もしなくて大丈夫です。ただ射精を我慢さえしていただければ」
「我慢…ですか」
「では失礼します」
「ズ、ズボンぐらいは自分で下ろすよ」
「そうですか?ではお願いします」
「…………」
「では始めます」
「…っ」
「握りの強さはこのぐらいで大丈夫ですか?」
「…ちょうど…いいかと」
「そうですか、では気持ちいいところがあったらおっしゃってくださいね」
「…美容室か」
「なんですか?」
「いえなんでも…」
「まずは上下運動です」
「……」
「今日も順調な勃起力ですね、やはり勃起力には問題なさそうです」
「っ……きみは……あいかわらず、情緒と…言うものが…」
「大丈夫ですか?切羽詰ったときはお母さまを思い出すと我慢できるらしいですよ」
「へ、変なこというなよ!!!」
「…あれ?急に勃起が足りなくなってしまいましたね…」
「あたりまえだろ!!」
「これでは意味がありません。お母さまのことは忘れてください」
「言われなくてもそうするよ!!」
0031持久力検定32015/03/27(金) 00:01:47.44ID:O6PBPmYJ
「たしか、溝を親指で上下になぞるのもいいんだそうです」
「……ぅ……、……っ」
「亀頭冠を強く左右に擦るとより刺激が増す…」
「んっ!…くっ…っ…」
「あ、自分で根元を押さえるのは無しですよ」
「そんな こと…言ったって…っあぁ…」
「あと…この、尿道口を…指でこすったり…」
「ぁ…はぁ…っ……ん…」
「爪で…ひっかいたり、すると……」
「ウゥッ…ハァハァ…ぁッ」
「尿道口が……パクパク…してきました、もうすぐ…ですか?」
「うっ…ぅぅ…っ…はぁ…」
「あ、精液が…出ちゃってますよ谷口さん…」
「こ、これはまだ…っ…射精じゃな…ぁ…先走り…って、やつで…っ」
「それは私が調べた文献にはありませんでしたが…じゃあまだ…?」
「……ま、だ…っ…ハァっ…ハァ…」
「では、亀頭を手のひらでこのように強く激しくこねると…」
「ううぅ…くっ…んぅ……あァ…っ」
「まだ、ダメ…です、が、がまんです、谷口さんっ…」
「あぅ……ぁ…ハァッ…依子さん、もっと、つよく!」
「ぁ…たにぐちさん……谷口さんっ……」
「あっ…ああぁっ、も、いくッ…依子さ…ッッ!!…ぁ…っ!…はぁ…はぁ…」
「……っ!…」

「はぁ…はぁ……っ……、これじゃ、検定不合格、ですかね…?」
「……わからない…けど、分泌卵胞刺激ホルモン、出てる…気がします…」
「それなら、よかった……」
「…………」
「というか、実際にやってみればよかったんじゃないですかね」
「なにをですか?」
「セックス」
「……盲点でした」
0032名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 00:04:59.64ID:O6PBPmYJ
お目汚し失礼しました。
ホルモン云々はちょっとぐぐっただけなので正誤はわかりかねます(´・ω・`)
この2人の掛け合いを書くのが楽しくてどうしてもリンゴ以前のノリで笑いに走ってしまうので
大人な巧と依子のうぶでエロい初夜を熱望しております。
嫉妬に燃える巧もいいですね。

あ、そういえば巧が喘ぎすぎ気持ち悪い注意を入れ忘れた…不快な方申し訳ございませんでした。
0033名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 00:09:25.82ID:U1gsFiHu
GJGJ! 素晴らしかったです!
二人の掛け合いがらしくて最高でした!
自分も無垢な依子と男らしく、嫉妬に燃える巧が見たいです。
0034名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 00:16:26.63ID:Tzz9J40V
GJ!
すごいw
はじめはぐだぐだ感満載なのにすごくエロくなってるw
0035名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 01:20:13.28ID:JtAy87f6!
GJGJですよ
2人のキャラが生きてて面白かった

巧の嫉妬見てみたいですね
0036名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 03:18:48.85ID:aPtDCIOD
乙です
こんな変人な二人なのに何故萌えるのか

>>26
8話、もっと言うなら5話くらいから自覚してるよね
留守電のシーンとかやきもきさせられる
0038名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 10:28:03.85ID:Jk7mTau9
>>26
「もう今日で会えなくなる」
「今日会えばますます辛くなる」
「ならいっそ忘れたフリして会わない方がマシ」
朝ベッドで苦悩する巧萌える
0039名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 10:47:27.20ID:dgcsVL8c
>>38
うん、激萌え

お初は出来ることなら巧の部屋でいたして欲しい
あのカオス部屋なんかエロい感じがしてw
0040名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 12:15:46.90ID:nzzEr4mf
ストレス発散で、一人だけ凄い奴がいた、想定外の奇跡だゎ・・

お前も超本命ならできる確立高いな

dakk麗net/c11/076miwa.jpg
麗→un.に変換
0041名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 12:41:26.12ID:BXOvpX/J
>>38
最初の聖域でイライラ落ち着かないしてた巧萌えるよね。
会いたいのに、もう会えないなんてと葛藤する巧可愛すぎるわ。
0042名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 15:43:22.10ID:Jk7mTau9
>>39
>>41
ステンドグラス柄のランプが点いてる様に見えるんだが
もしそうならまさか一晩中悩んでた?

カオス部屋は巧の趣味嗜好愛情欲望の対象だけが詰まった聖域だからね
エロいねw
0043名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 15:50:45.51ID:Jk7mTau9
それと巧は多分嫉妬深いよ
留美の出掛ける先をしつこく訊いて携帯取り上げてメールまで見るなんて
嫉妬深い証拠じゃないかな
依子に嫉妬する巧が見たいw
0044名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 16:57:19.20ID:CJBAXSX5
4月30日 依子から巧へ着信
「谷口さん GWの予定はありますか?無いですよね?明日から6日間
 毎日あなたとデートをしたい、と考えているのですがいかがでしょう?」
「??6日間毎日ですか?ええ、まあ、特に予定は無いですからいいですけど」
「では、明日19時に自宅でお待ちしています。谷口さんは身ひとつでお越し下さい
 帰りは翌朝になると思いますので、その心づもりでお願いします」ガチャ
「えっ!??ちょっと待っ!まさか…まさか!」

5月1日 19時 依子宅のドア前で緊張する巧
「どうも…って何ですか、その格好は!」
「留美さんに作っていただいたメーテルの衣装です。さあ、中へどうぞ」
 テーブルの上にあるまむしドリンク1ダースを見て、固まる巧
「あの…、藪下さん、今日はこれからどこかへ出かけませんか?カラオケとか」
「谷口さん、GWにこの間はできなかった重要事項の確認をしようと思って
 計画を立てました。その表をご覧下さい」
 カレンダーに数字が書き込んであるのが見える
「5月1日 1〜8、5月2日 9〜16、5月3日 17〜24…、何の数字ですか?これ」
「この本のメニューを6日間かけて実行するんです」
依子が差し出した本の付箋がついたページをめくると、男女の四十八手が図解されていた
(つづく)
0046名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 18:28:03.51ID:CJBAXSX5
「っっ!!!なんちゅう本を読んでるんですか、あなたは!」
 真っ赤な顔で慌てて本を閉じる巧
「30歳の誕生日までに結婚をする、という目標を達することができなかった今、
 結婚契約書の内容をより具体的、かつより良いものにすると決心したんです。
 性交渉は週2回21時から、だけでなく夫婦関係を良好に保つべく性交渉の内容も検討しておくべきだ、
 と考えました。今日から毎晩8つ実行すれば、GW中に全て確かめることが可能です」
「そんな……いきなり言われても、このシチュエーションでできるわけないだろ!」
「じゃあ、003の衣装に着替えて来ます」
「そういう問題じゃない!この間は確かにキスしたかもしれないけど…、でも、
 君は努力する方向を間違えてるよ!組体操じゃあるまいし、こんな次から次に
 アクロバティックなことなんてできっこないよ!6日間も続けたら僕は死んじゃうよ!」
「あなたと私に最適な体位がきっとあるはずです!覚悟を決めて下さい!」
「やめてくれ!メーテルは絶対そんなこと言わない!性欲の強い女じゃないんだ!」
「いつまで待ってもあなたが先に進もうとしないから、私が頑張るしかないじゃないですか!」
「こんな強引なやり方じゃ、誰も君と一線を越えようなんて思えないよ!」
「……………」
 言葉をなくす依子。視線を逸らした巧、本棚にノート十数冊とDVDがあるのを見つける
 (つづく)
0047名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 19:10:07.75ID:CJBAXSX5
 巧、ノートを手に取り表紙を見て驚く
「谷口巧ノート、VOL13!? あれからまだ書き続けてたんですか?」
「寝る前にそのノートを書くのが日課になりました。何だかやめられなくて」
 目にうっすら涙を浮かべながら、うなずく依子
「まだ僕の嫌なところが書き足りないんですね…」苦笑いを浮かべてページをめくる巧
「これは…」
 ノートには、巧が好きな映画や小説、漫画の感想がびっしりと書かれていた。
「あなたとは芸術の話ができませんでしたから、少しは趣味を共有したい、と思ったんです。
 寝る前や休日にDVD鑑賞や読書をして、必ず感想を書いてるんです。」
 巧は、思わず依子を抱き寄せ、しっかり抱き締めた
「ひどいことを言ってごめん。君は本当に努力家なんだね…。怒鳴ってしまって悪かった。」
 依子の髪をそっと撫でている巧
「今はこれくらいしかできないけど、でも、いつかその時が来たらきっと…上手くいくと思うから
 僕に任せてくれないかな。鷲尾君のデートの時、アドバイスしただろう?」
 依子が微笑みながら巧の背中に手を回し、うなずきながら答えた
 「 Don't think feel! 」

(おわり)
 
 

 
 
0048名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 19:26:13.00ID:CJBAXSX5
巧と依子のハグをドラマで見られなかったので書いてみました
初めて書いたので読みづらかったらすみません
0049名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 20:31:04.02ID:W41qxT2k
GJ!
メーテル依子にアクロバティックな体位を強いられる巧萌えw
0050縁側その後 12015/03/27(金) 22:24:39.92ID:Iqy1Ib4+
「恋愛不適合者だから」とか「運命の相手と決まったわけではない」とか
依子はまだそんな事を言っていた。

そのくせ、巧が否定せずにいると
心なしか不服そうな顔をする。

巧は、そんな依子を愛おしいと感じている自分を
今はっきりと自覚していた。

「大体私と谷口さんは…」
依子がまた何か言いかけたので
巧は依子の腕をとり、引き寄せた。
「!」
一瞬驚いた顔を見せたが、依子はすんなりと巧の胸に収まった。
0051縁側その後 22015/03/27(金) 22:26:57.69ID:Iqy1Ib4+
「……………………………。」
「……………………………。」
依子の心臓の音が、抱きしめる巧の体にも伝わってくる。
それに呼応するように、巧も自分の心臓の鼓動が
どんどん早くなるのを感じた。
依子の心臓の音。
依子の体温。ニオイ。柔らかさ。
巧は頭にカッと血が上ったような初めての衝動に駆られた。

依子の背中に回していた右手が
ガクガクと震えながら宙をさまよう。
0052縁側その後 32015/03/27(金) 22:27:28.23ID:Iqy1Ib4+
ビクッと依子が身を固くした。
「あっ!ご、ごめん…」
一瞬だけ、その膨らみに触れた指先を慌てて離した。
だが依子は何も言わない。
巧の左腕に抱かれたまま俯いているので
その表情は分からなかった。

「……………………………。」
「……………………………。」
「あ、…あの…藪下さん。」
「……………………………。」

巧はゴクリと唾を飲み込んだ。

「………………触っても…いいですか?」
「……………………………。」
「……………………………。」
「………………………ぞ……」
「え?」
「……ど、どうぞ!!」
0053名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 22:32:09.27ID:Iqy1Ib4+
終わり。
創作で文章書いたこと無いんで
稚拙さはスルーして。

デートロス過ぎて妄想が止まらなくて
書かずにはいられなかった。
0054名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 22:39:31.68ID:jzrkaO8s
>>53
続きが読みたいです
0057名無しさん@ピンキー2015/03/27(金) 23:29:51.92ID:4Cgu7ws/
皆様GJ過ぎます!
萌えまくってやばいー
文章書けないので、他力本願で申し訳ないですが、続きが読みたい!
積極的な巧最高だよー。
0059名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 01:42:12.66ID:5k+sPU6L
こんな時間にお初の投下
色々なところで書いてきたけど、このカップルは可愛くていいね
0060恋は難題 1/32015/03/28(土) 01:43:40.12ID:5k+sPU6L
とある日の休日。
藪下依子はしばし悩んでいた。
三十歳の誕生日を過ぎてから、色々と因縁のある谷口巧とは三度ほどデートをした。
しかしこれといった成果もなく、ただいつものような会話を繰り返すだけだ。これで本当に二人は
いずれ結婚に進展する恋愛関係になるのだろうかと、考えればきりがない。
目的の為には努力を惜しまないことを信条としている依子ではあったが、いかんせん経験不足が
邪魔をする。なので方向性が妙におかしいことに気がついていないのが致命的だ。
「滑稽ね」
背後で小夜子の声がした。
「お母さん、何の用かしら」
いつものことと、依子も特に気にせず振り向きもしない。
「あらご挨拶、可愛い娘の行く末を心配しているっていうのに」
「それは杞憂だわ、どうぞご心配なく」
「この間は赤のベビードール、昨日は黒のシースルーだったわね。なかなか頑張っているようだ
けど、依子自身の色気が足りないんじゃ谷口さんが気の毒」
「む…」
何故購入した勝負下着を知っているんだ、と言いかけたが、既に人ならざるこの母親には愚問という
ものだろう。
「本当にいい女ってのはね、ダサい下着、略してダサ下を着てたってアピール出来るものよ。むしろ
完璧にコーディネートするより緩い隙を作る方が意外性があっていいの。お父さんと初めて過ごした
夜の時も…ふふっ」
「さりげなく自慢するのやめて」
「『小夜子さんにもこんな面があるんですね』って、お父さん、あの時も可愛かったわぁ」
「シュッ!」
放っておけばいつまでも続くに違いない自慢話を強制終了させると、柄にもなく苛々した心持ちを
感じながら依子は携帯をテーブルの端から取り上げた。
「もしもし、谷口さん…」

「それで、どうしてここに来たんですか?」
「気分です」
一時間後、巧が聖域と呼ぶ、本や漫画やDVDが溢れ返った薄暗い部屋の中に依子はいた。今日も
今日とて相変わらずの気儘な高等遊民生活を満喫している巧は、突然押しかけて来られて困り果てて
いる風にも心なしか喜んでいる風にも見える。何といっても一度は結納を交わした仲なのだ。
0061恋は難題 2/32015/03/28(土) 01:44:10.02ID:5k+sPU6L
言葉は特に交わさないものの、依子は忙しく本棚の中を整理している。佳織と一時付き合っていた時に
配置が少し変わったようなので、再び入れ替えなければならないのが難儀だが特に苦にはならない。
植物に分類した『ベルサイユのばら』は『ハチミツとクローバー』の隣に配置し、紐が掛けられて隅に
追いやられている太宰の全集は棚の空きスペースにきちんと並べた。
こうしていると、本が溢れているこの部屋も、なかなか居心地が良い。この偏屈な男が好きなものに
囲まれて籠りきりになる気持ちも分からないではない。
「私と谷口さんは」
ある程度整理が出来たので、依子はようやく口を開く。
「需要と供給のバランスがこれ以上ないほどぴったりだと思うのです。なので今後、より良き夫婦と
なる為にも今はお互いの恋愛感情をまず高めるべく相互理解を深めようと思っています。つまり」
「つ、つまり?」
巧はいつものことながら、見開いた目を白黒させながら依子を見ている。また何か突拍子もないことを
言い出したとでもいうように。
「私もここの本や漫画を読み、映画を観て谷口さんの好むところを知りたい、と思う所存です」
きっと顔を上げた依子の表情はやけに凛々しい。その勢いに押されそうになりながらも巧は並んで
座り、幾つか思うことを口にした。
どれもこれも巧自身が感動したに違いないシチュエーションなのだろう。だが、それを上手く察する
ことが出来る依子ではない。
「丸善で洋書の上にレモンを置くのは」
「お店の方に迷惑です」
「『竜馬がゆく』を読んで感動し、桂浜に行きたくなるのは」
「若気の至りだったと後々思い返すことでしょう」
「雨の日に傘を持って歌いながらダンスをするのは」
「間違いなく通報されますね」
「スペイン広場でジェラートを食べるのは」
「現在は法律で禁止されている模様です」
「余命宣告を受けて、一人公園でブランコをこぐのは」
「それは…」
初めて、依子は口籠った。小夜子が入院した時のことを思い出してしまったのだ。
「あ、済みません」
「いえ」
咄嗟に口にしたとはいえ、まずいことだったと巧は慌てるが、依子はもう平然としていた。
「…そんな人がいたら、そうっとしておいてあげましょう」
そして、隣にいる巧の手に自分の手を重ね合わせた。大切な人がいなくなるのに何も出来ないまま
泣くだけだった子供の頃と、今の自分はきっと違う。
失いたくないものはどんなことをしてでも、掴まえておきたい。
0062恋は難題 3/32015/03/28(土) 01:44:51.86ID:5k+sPU6L
「谷口さん」
「はい」
一度だけキスをした相手の目を暗がりの中でじっと見つめた。子供のように澄んだ、とても綺麗な目の
中に自分が映っている。どんなに努力をしても決して得られないものがあるとすれば、それは知らない
うちに忘れてしまった子供の頃の純真なのかも知れない。
それをこの男は今も持っている。
一緒にいると昔の気持ちを思い出す。
「私は、あなたと幸せな夫婦になりたいのです」
重ねた依子の手の上に、もう片方の巧の大きな手が被さるようにしっかりと乗った。確かな温みに
何故か鼻の奥がつんと痛い。




0063名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 02:06:31.70ID:Hrt1MOBK
>>62
ラスト素敵です

>「スペイン広場でジェラートを食べるのは」
>「現在は法律で禁止されている模様です」

まじかorz
0064名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 13:45:32.14ID:D76lzxhR
半信半疑でやってみた結果ww
マヂで規格外の大物が釣れた!超本命が◎

022i▲t/d12/8044saki.jpg
▲をt.neに変換
0065名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 14:21:59.89ID:/XNFC7w/
か、絡みが読みたいっす(;´д`)
難しいとは思いますが…
0066名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 16:10:17.47ID:VLg49tcE
ttp://www.fujitv.co.jp/date/spe_gallery/img/gal10/photo02.png
ttp://www.fujitv.co.jp/date/spe_gallery/img/gal10/photo04.png
ttp://www.fujitv.co.jp/date/spe_gallery/img/gal10/photo05.png
ttp://www.fujitv.co.jp/date/spe_gallery/img/gal10/photo09.png
ttp://www.fujitv.co.jp/date/spe_gallery/img/gal10/photo13.png
ttp://www.fujitv.co.jp/date/spe_gallery/img/gal10/photo14.png
0067名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 18:19:59.81ID:CYCxYIdo
リンゴのエロさに圧されてるけど指輪挿入シーンもかなりエロかったと思うので、そこをパロってみました。
最初はドラマの声どおりに、鷲尾×依子のお初を横で巧がアドバイスしている話にしていたのですが、
(巧の「ねじるように!」ってアドバイスがなんかエロかったので)
さすがに下世話すぎかと思ってやめましたw巧が腫らしすぎて入らないとかw
でもやっぱり品は皆無なので注意願います。
基本、依子はそのままで、鷲尾→巧に変換してありますが、一部セリフを加えたり他人に置き換えています。
0068いざ本番1回目2015/03/28(土) 18:21:13.91ID:CYCxYIdo
「……入れるよ……」
「ん…っ」
「…………あれ?…あはは……」
「ッ…」
「……あれ?……」
「……ぃたい…ッ」
「……くっ…」
「いっ…ぃ…イタぃ……」

「………入らない…」
「………え…」
「入りません……」
「そんなはず無いです、サイズは、合ってるはずです!」
「はい…」
「もっと、ぎゅーッと、ぎゅーーーッと!!」
「う…………」
「ウぅ…ンッ」
「く……………………くはっ!…はあ、はぁ、はぁ…」
「ン……………………あンッ!…ッ…ハ…ハァ…ハァ…」
「なぜだ…全然入らない…はぁ…はぁ…」
「ぜ、絶対入ります…!…くださいっ…!!」
「はい……………ふぅぅぅッ!…ッ!…ぅ…くッ……」
「ねじこんでぇ……っ」
「イタイの…我慢…!」
「あぁぁっ……き、切れちゃっても、いいのでッ……!」
「くぅっ…………………………!」
「うぅぅんッ……………………!」
「………………くはっ………はあ、はぁ、はぁ…」
「………………ぁあんッ……アッ…ハァ…ハァ…」

「もう…全然入らないよ!!くそぅ!!」
「谷口さん…」
「ご、ごめん…痛い思いしかさせられなくて」
「いえ、私こそ、どうにかして受け入れたかったのですが……次回までに、スムーズな挿入方法を勉強しておきますので」
「いや、たまには僕が、頑張るから」
「たにぐちさ…」
「でも…このままじゃツライから、手で…お願いできませんか?」
「分かりました。努力いたします……っあ!?」
「…一緒に…」
「……はぃ……ぁっ…あぁ………」

おあとがよろしいようで
0069名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 20:11:52.54ID:HmWiD0qY
指輪パロいいですね!
DTとSJの二人なんで初挿入はこんな感じで手間取りそうw
0070いざ本番2回目2015/03/28(土) 23:08:57.40ID:CYCxYIdo
「ンッ………………アッ…ハァ…ハァ…」
「くっ………………はあ、はぁ、はぁ…」

「ハァ…ハァ…今日も…ダメ…でしたね…っ…」
「っ……ふ……ですね…」
「なにが、いけなかったのでしょうか…」
「依子さんは、悪くありません…僕がヘタクソだから」
「性交渉は2人の共同作業のはずです!どちらかが悪いなどということは論じるべきではありませ…」
「そ、それより、依子さん」
「はい?」
「ちょっと…まだコレがアレなんで、また、協力してもらっても?」
「もちろんです!」
「あ、今日は手じゃなくて………こっちで」
「え……キャッ!! やっ…なにするんですか…っ!」
「太もも、貸してください」
「いや、離してください、やっ…」
「……すご…」
「ぃやぁっ…恥ずかしいです、こんな…………お尻の…が…みえちゃう…」
「………見えていいんですよ」
「足、降ろしくださ…」
「暴れないでください、これも立派な性交渉です」
「……これが?」
「そうです、素股っていって…」
「すま…?」 
「もっとギュッと脚閉じて、…そう…」
「うぅぅ…っ」
「綺麗な…足ですね」
「ぅ…やです、たにぐちさん…」
「苗字やめませんか?」
「あ…た、たくみ、さん…」
0071いざ本番2回目2015/03/28(土) 23:09:54.44ID:CYCxYIdo
「もっと倒しますよ、…辛くないですか?」
「辛くはないですけど…だけどこんなカッコ…」
「お、足が頭に付きそうですよ」
「やあぁっ…見ないで…ください…」
「…っ…ゴク」
「ああっ!…いや、触らないで…」
「すごい…さっきも濡れてたけど、もっとびしょびしょだ…」
「ううぅ……」
「そのまま、太ももに力を入れといてください」
「………っ!?…あっ…あっ…あんっ…なにっ…して…ッ」
「股にコレを挟んで、擦るんです。擬似セックスが味わえます…っ」
「はぁっ……あっ…あっ…ああッ……あんっ…んぅうっ」
「気持ち…いいですか…っ……」
「いやぁっ…たくみさんッ…たくみ、さん…っ」
「んっ……く……ッ」
「まって…まって…ああぁっ…」
「凄い…音、やらし…」
「ああぁっ…ひっ…やあぁあっ…こんな…ッ」
「………いやらしすぎです依子さん」
「んうぅっ……やあぁっん……あうッ…」
「依子さんの、ここ、あったかくて、ぬるぬるで…ったまんないです」
「アッ…あああッ…も、ダメッ…ッ…だめえええッ…アアアァっ!!…アァッ……」
「はっ……っ…くぅ……っ……ッ」
「……ハァ…ハァ…ぁ…………」
「……はぁ、はぁ、はぁ………」


「今までで、一番、気持ちよかったです…」
「僕も、です」
「これで擬似なんて、本物はどれだけ気持ちがいいんでしょうか…」
「………怖いですね…」
「…頭がおかしくなりそうです」
「でも、リンゴ、食べちゃったから…引き返せないな」
「…はい」
「恋とは恐ろしいものだ…」
「恋とは恐ろしいものです…」
0072名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 23:30:20.26ID:CYCxYIdo
お粗末さまでした。なんかもっとこう、少女マンガのようなときめき胸キュンエロが書きたいのに
汚れきっているせいかうまくいきません。悔しいです!!!
かわいらしい依子のうぶなお初が読みたいです!!!誰か!!
0073縁側その後 42015/03/28(土) 23:35:41.85ID:HmWiD0qY
>>50-52の続き

「ど…どうぞ!!」

相変わらず俯いたままだが、妙に決意のこもった声で返事をされてしまった。

巧は一度離した右手で、恐る恐る依子の胸に触れた。
今度は身じろぎ一つしない。
だが巧の右手には、ドクドクドクドクと猛スピードで打つ心臓の音が伝わってくる。

再び、全身の血が一気に駆け巡る様な
熱い感覚に襲われる。

ヤバイ。
これからどうしよう。
ヤバイ。
柔らかいな。
どうしよう。これから。
どうしたらいい?
もっと触りたい。
ヤバイどうしようどうしようどうしよう
0074縁側その後 52015/03/28(土) 23:37:15.45ID:HmWiD0qY
頭がグルグルする。
しかしそんな思考とは関係なく
巧の右手は柔らかさを求めて勝手に動いていた。

「んっ…」

依子が声を漏らす。

「……っ……あ…」

依子の声が頭に響く。
自分の荒い息づかいも響く。
"興奮しています"と言っているようで
恥ずかしいので止めたい。

そんな事を思っている間にも
巧の右手は動きを止めない。

(もっと触りたい)

巧の手がすっと下ろされたかと思うと
依子のタートルネックの裾をたくしあげた。

「あっ、ちょっと、谷口さんっ」
「藪下さん、僕、もう、あの」
0075縁側その後 62015/03/28(土) 23:38:32.33ID:HmWiD0qY
ブルッと依子が身震いした。

「…え?」
「あ、あの、少し、寒い…です。」
「…………あ!ああ!!そうですよね!!」
「…………」
「寒いですよね!!3月ですからね!!夜はまだ冷えますから!!」

巧は我に返り、慌てて依子の服を直してやった。

「……………………」
「……………………」

向かい合ったまま、沈黙が続いた。

先に口を開いたのは依子の方だった。
0076縁側その後 72015/03/28(土) 23:39:57.14ID:HmWiD0qY
「二階に行きましょうか。」
「………え?」
「ここは寒いので、二階に行った方が良いのでは、と思うのですが。いかがでしょう。」
「あ、ああ。そう。そうだね。そうしようか。」

二人で立ち上がった。
「…………………」
巧は無言で、依子に手を差し出してみた。
依子も黙って巧の手をとった。

巧が依子の手を引いて階段を上がる。
しんと静まり返った家の中に
ギシッギシッという階段の音が響く。

(この階段、こんなにギシギシいってたっけ…。)

一段一段、ギシッと音が鳴る度に
なんだかすごくいけない事をしようとしているような気になってきた。
0077名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 23:44:48.41ID:HmWiD0qY
取り合えず今回ここまでです。
続き読みたいとレス頂いて嬉しかったので書いてみました。

本スレにあった、風邪をひいた巧を依子が看病してそのまま初セクロスみたいな
シチュエーションだけでも超萌えるので
そういう萌えシチュだけでもどんどん書き込んで欲しいです。
0079名無しさん@ピンキー2015/03/28(土) 23:52:56.94ID:CYCxYIdo
>>77
続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
その続きをお待ち申し上げております
お初ハァハァ
0082名無しさん@ピンキー2015/03/29(日) 20:23:51.82ID:cmS2wra7
潤滑な性交渉のために、一緒にAV 見ることを強要し、
かわりにエマニュエル夫人ならと言われ、一緒に見るうちに、
盛り上がってセクロス突入する二人が見たいです。
0083名無しさん@ピンキー2015/03/29(日) 21:56:11.55ID:bwrgrJRN
最終回後に立って結構伸びてるとは
終わってやっと安心して萌えられるって感じ
冷静に考えたら巧依子以外で終わるわけないけど
もしかしたら万が一?って感じで完結までヒヤヒヤしてた
0084名無しさん@ピンキー2015/03/29(日) 22:14:58.41ID:cmS2wra7
でも指輪嵌めるまでは、時間ないしもうダメだと思ってたよ。
まるで、ロスタイム残り30秒で逆転ゴールを決めて
優勝したみたいな逆転劇だったよ、
0085縁側その後 82015/03/29(日) 23:37:05.57ID:/u/VxoWW
>>73-76の続き

本に囲まれた狭いベッドで、二人は向かい合って座った。

さっきまでなら勢いでいけた気がする。
だがワンクッション置いてしまった為
巧はまず何をどうしたらいいのか分からなくなっていた。
目がキョロキョロ泳ぐ。


さっきの続きなんだから、まず服に手をかけるべきだろうか。
いや、そんなやりたいだけの猿みたいなのはダメだ。最初はキスからだろう。
キスは…キスはやっぱり大人のキスみたいなのをした方がいいのか?
舌を入れて…服を脱がせて…僕の服はいつ脱ぐ?
ああ何でこんなボタンの多い服を着てるんだ僕は!


正座で向かい合ったまま沈黙が続く。
0086縁側その後 92015/03/29(日) 23:38:21.45ID:/u/VxoWW
大丈夫。誰だって最初はぶっつけ本番なんだ。
みんなやってるんだ。
それに藪下さんだってSJなんだから、ちょっとくらい僕が手間取ったって……ん?

チラリと依子を見る。
依子は真っ直ぐ巧を見つめている。

「藪下さん………あの………」
「はい。何でしょう。」
「一つ、聞きたい事があるんですが…。」
「はい。」
「…………いや、やっぱりいいです。」
「何ですか?おっしゃって下さい。」
「……………………。」
「……………………。」

鷲尾とはどこまでしたんだろう。
一ヶ月以上付き合ってたんだ。
もしこれでSJじゃないなんて言われたら…。
やり方がおかしいとか思われるかな。
ていうか付き合ってたんだもんな。
SJだったとしてもキスはしてたんだろうな。
キスを…。

巧は心臓が締め付けられるような思いがした。
0087縁側その後 102015/03/29(日) 23:40:15.21ID:/u/VxoWW
「や、藪下さん!!」
「はい。」
「あの……あ……わ、鷲尾君とは、その…ど、どうだったのかなと思って。」
「鷲尾さん?」
「だから…その、AとかBとかCとか」
「AとかBとかC……」

何を聞いているんだ僕は。
こんなこと聞かれても、藪下さんだって困るだろう。
いや、彼女の事だからズバッと言いそうだな。
立ち直れなくなったらどうしよう……。

「鷲尾さんには…年越しの際にキスされました。」
「うん……それは知ってる。」
「それだけです。」
「それだけ!?」
「それだけです。」
「いやだって…一ヶ月以上付き合って、デートだって何回もしてただろう。」
「そうですね。何度かそんな雰囲気になったことはありました。」
「……………………………。」
「でもその度に母が邪魔を……。」
「え?」
「いえ!何でもありません。私が雰囲気を壊すような言動をしてしまったのでしょう。結局、お付き合いの間キスは一度もありませんでした。」
「そ、そうなんだ。」
0088名無しさん@ピンキー2015/03/29(日) 23:42:49.61ID:/u/VxoWW
特に進展は無いですが。
依子のキスは巧だけっていうのを書きたかっただけです。
鷲尾の一回は事故ということで。
0089名無しさん@ピンキー2015/03/29(日) 23:46:55.38ID:cmS2wra7
GJGJ です!
嫉妬巧激萌えです〜!
やはり小夜子が依子の貞操を守ってきたのもいいですね。
続き期待しています!
0090名無しさん@ピンキー2015/03/29(日) 23:52:30.96ID:ioYVIHjp
>>88
GJー!
あぁ目に浮かぶ…明日はもう放送無いなんて
続き、りんごかじって待ってます(;´д`)
0092名無しさん@ピンキー2015/03/29(日) 23:58:42.38ID:/u/VxoWW
GJありがとうございます!

小夜子「私が言っていることは、あなたが思っていること、でしょう?」(第一話)

ということで、デートを楽しみつつも
心の中では巧に一途な依子が貞操を守っていたはずですよね〜。
0093名無しさん@ピンキー2015/03/30(月) 05:00:43.86ID:LLKU6r56
グラッツェ!!
0095名無しさん@ピンキー2015/03/30(月) 21:42:39.52ID:pfb+5N2J
ここ楽しいなw
巧が依子に嫉妬するのもいいけど、なぜか再びモテ始めた巧に嫉妬する依子というのも見てみたい
巧は素材はいいはずなので大人の余裕が出てくればそこそこいけると思うんだよなあ
だけど、35まで大切に取っておいたようなウブだから萌える
0096名無しさん@ピンキー2015/03/30(月) 22:05:25.93ID:+g1o/96k
巧とカオリに性交渉があったのではと考えて
ノルアドレナリンが分泌される依子が見てみたいぞ。
それを正直に巧に話して、フェニルエチルアミンが分泌さる巧も。
0097名無しさん@ピンキー2015/03/30(月) 22:40:20.91ID:D/SQFElN
>>95
巧は小さい頃から今まであの服装を絶対変えないからモテは無理だなw
0099名無しさん@ピンキー2015/03/30(月) 22:57:02.20ID:+g1o/96k
依子のお守りの切符は、鷲尾くん以外の男も、依子を守っていたような気がする。
0100名無しさん@ピンキー2015/03/30(月) 23:21:36.58ID:D/SQFElN
>>99
依子がモテなかったのは巧ののろいか(´・ω・`)
あれで数字オタに拍車がかかった気もするし
胸きゅん分も切符の数字にすりかえられたというか
0101縁側その後 112015/03/31(火) 00:36:06.19ID:gVtVOH//
>>85-87の続き

「そうなんだ…。」

死の宣告を待つような緊張からは解放された。
だが、胸の中で何か黒い物がモヤモヤと広がっていくような感覚はまだ残っていた。

何だろう、この気持ちは。
いや、分かっている。
僕は分かっている。
これは嫉妬だ。
自分にこんな醜い感情があるなんて知らなかった。

依子を見つめる。
依子も巧を見つめている。

今、彼女の瞳には僕だけが映っている。

……………早く僕のものにしないと。
早く、ちゃんと、これは僕のものだって。
他の男になんか、絶対に、絶対に……

「!!…谷口さん?」
0102縁側その後 122015/03/31(火) 00:36:51.08ID:gVtVOH//
しがみつくように巧は依子を抱きしめた。

ほんの数時間前までは、彼女の幸せだけを願っていたのに。
彼女が幸せになるなら、それでもいいと思っていたはずなのに。

僕のものだ僕のものだ僕の

依子の唇にむしゃぶりついた。
「んっ……んん…」
唇を吸い、舌を絡めた。
夢中で依子を求めていた。

服が邪魔だ。
彼女に触れたい。彼女を感じたい。

「ちょっ、ちょっと…谷口さん…ちょっと待って…」

依子からしたら、巧の急な変貌ぶりに
付いていけてなかったのだろう。
身をよじって多少の抵抗をみせるが、結局されるがままになる。

「やっ……んっ…んんっ」

巧は依子の柔らかい胸に唇を這わせた。
先を口に含み、舌で刺激すると
「あぁっ!」
と一際甘い声を出した。

自分の愛撫に敏感に反応する依子がとても可愛い。
0103名無しさん@ピンキー2015/03/31(火) 00:38:28.46ID:gVtVOH//
一気に最後まで書いてしまおうと思ったのに
思いの外、長くなったので一旦切ります。
エロシーン難しい(´・ω・`)
0104名無しさん@ピンキー2015/03/31(火) 01:12:02.26ID:YWcUywUH
GJGJ!!!
嫉妬で豹変する野獣巧激萌えですわ〜!
続き薮下コレクション食べながら待ってます!
0105名無しさん@ピンキー2015/03/31(火) 04:30:29.61ID:ybH4DvNA
ぐぐぐGJ!ゆゆゆゆっくりでいいですからね!dkdkwkwk

さっきまで彼女の幸せだけを願っていたのに…で最終回が鮮明によみがえって泣けてきそうです(。´Д⊂)
0106名無しさん@ピンキー2015/03/31(火) 06:33:05.98ID:qKHKzMDc
嗚呼、力が湧くのは〜♪
0108名無しさん@ピンキー2015/03/31(火) 21:53:59.67ID:2T5CytBp
GJ〜!!!!
ゆっくり続き待ってます!!
0109縁側その後 132015/04/01(水) 00:43:53.58ID:pccxvPk2
>>101-102の続き

依子が愛しくて愛しくて堪らなかった。

依子の頭を掻き抱き、再び唇を重ねる。

依子の近くに行きたくて、巧はベストとシャツのボタンを逸る気持ちでもどかしく外す。
シャツを乱暴に脱ぎ捨てると、依子を抱きしめた。

「はあっ…はあっ…」

息があがっている。
汗ばむ体を押し当てると、依子の肌はひんやりと感じられた。
依子の呼吸も乱れ、胸が上下しているのが分かる。

「藪下さん…」

肌が触れ合うだけで、こんなに気持ちいいなんて知らなかった。
0110縁側その後 142015/04/01(水) 00:46:35.70ID:pccxvPk2
スカートのホックはどこだろうと右手で探る。
すぐに見つけて外そうとする巧の手に、依子の手が重なる。
制止というには弱々しすぎたので、構わず続けた。
ストッキングと下着も一緒に下ろす。
足首から抜くのが少し難しかった。

「…谷口さん……やっぱり…ちょっと、恥ずかしい……かも…しれない…」

あの時は恥じらいも何も無かったくせに。
頬を上気させてそんな台詞を言われても益々興奮する。

「藪下さん……だ、大丈夫です。」
「……………?」
「すごく…綺麗だ…。今まで、見てきた、どんな、芸術家の、裸婦像より……」
「…………………………」
「…………………………」
「…ラフ…?」
「あーーー!!もう!!ごめん!!ちょっとカッコつけて言ってみたけど、そんなのどうでもいいんだ!」
「きゃっ!!」
0111縁側その後 152015/04/01(水) 00:48:06.88ID:pccxvPk2
ガバッと依子に覆い被さり、下半身に手を伸ばす。

「ちょっともう…我慢できない感じなんで…いいですか?」

指先にヌルっとした感触。
「やっ…あっ…あっ…ん…」
いやらしい手つきで動かしてみた。
クチュクチュと音が鳴り、依子がビクビクと身をよじる。

目的の場所を探して、指でなぞる。
「ここ…かな…」
「んっ……んん…」

ベルトを外し、彼女の足を持ち上げ、自分のものを押し当てた。
「うっ…」
まだ挿れてもないのにヌルヌルした感触の気持ち良さにイってしまうかと思った。
そのまま奥に進もうとするが、上手くいかない。

(あれ…おかしいな)

「谷口さん……」
依子が手を伸ばす。
「多分……ここだと思います…」
「あっ、ああ、そう」
0112縁側その後 162015/04/01(水) 00:48:49.90ID:pccxvPk2
依子に導かれて、グッと中に挿れた。
「ふぅっ…んっ…」
先の方だけ入ったが、そこから少し抵抗感がある。
「んっ…んんっ…」
「い、痛くないですか?」
「大丈夫…です…」
「もう少し…奥まで…いきますよ。」
「ふっ…あっ…うう…」

ぐっぐっと動かしていると、だんだんグチュグチュと滑らかになってきた。

「あっ…んっ…ああっ」
「うっ…ううっ…んんっ…」

あまりの気持ち良さに巧は夢中で腰を動かした。

「あっ…や、藪下さん…もうっ…」



息が整うのを待って、巧は依子から体を起こした。
「藪下さん……大丈夫?」
依子はとろんとした目で巧を見た。
「…………はい………」
「い、痛くなかった?」
「……何だか…体がジンジンします…」
「え…」
「…気持ちいいです……」

そのまま瞼を閉じてしまった。
0113縁側その後 172015/04/01(水) 00:53:07.23ID:pccxvPk2
30分くらい依子の寝顔を見ていただろうか。
依子がパッと目を覚ました。

「私、今日勝負下着を着けてなかったのですが。」
「第一声がそれって、君は本当に情緒が無いな。」

巧がふっと笑う。

「ていうか谷口さん、下着一切見なかったですよね。」
「ああ、まあ…」
「では、勝負下着は全く意味がないということですか?」
「いや、意味がないってことは…」
「まあいいです。ムードというのが何となく分かりました。」
「それは良かった。」
「私と谷口さんの体の相性も、恐らく悪くないと思われます。これで契約結婚に向けての確認事項は一つクリアですね。あとは…」

巧が優しくキスをした。
0114名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 00:58:47.48ID:pccxvPk2
終わりですー。

最初の書き込みの分しか考えてなかったので、まさかここまで妄想が広がるとは思いませんでした。

ちなみに、依子の部屋に侵入したときのサンタ衣装に、宗太郎から持たされたコンドームが入っている…という「明るい家族計画」も考えたんですが、結局そのままやってもらいました。
0116名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 01:36:29.13ID:W0Rfiw8E
>>114
GJ!GJ!!感謝申し上げます!
会話にも2人らしさが出ててすごく萌えたよ〜!
0117名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 03:41:25.23ID:13kMiEM6
>>114
GJ !!GJ !! お待ち申し上げておりました
頭の中が依子への愛しさでいっぱいになって突き進む巧、
恥じらいながらも導いてあげる依子に激萌えです
是非また別のシチュのも読みたいです
0118名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 13:43:05.74ID:WKIPaBEn
仮面女子みたいな素人女性集団はマジ神だった!!

暇つぶしにやってみたが、この超本命リアルだわ↓

02★et/d12/27maki.jpg
★を2it.nに変換
0120名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 19:56:26.89ID:pccxvPk2
皆様GJありがとうございます。
りんごキス並に萌えるなど…恐縮です。

>>119
依子目線で書くのは難しいですね〜。
依子の独白がイメージ出来ないというか。
例えば巧の急変シーンでも
(な、何!?谷口さんいきなりどうしたの!?)
だと、依子じゃないし
(谷口さんが突然しがみついてきました、一体どうした事でしょう。)
だと全然驚いてる感が出ない…というかギャグになりますしねw
0121名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 22:32:45.26ID:hoLSsem9
(た、谷口さん!?いきなりどうしたんですか!?)
とかっぽいかな依子は、小夜子と喋ってるときの感じかと。
0122名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 23:23:19.64ID:pccxvPk2
そうですね〜。
小夜子との会話=依子の思考
と考えていいと思うんですが
どうしても相手に呼び掛けちゃうんですよね。

依子の思考って一人ディベートな感じ?
自分の中で議論させて結論を導くというか。

文章におこすのは大変そうだw
0123名無しさん@ピンキー2015/04/01(水) 23:28:42.04ID:hhbkm7tQ
リンゴキスやその後の縁側でこれまでとは違うかわいいところみせてたし
あるところから合理性も理性もぶっとんで委ねたりのめり込んでくのもいいんじゃない
0124名無しさん@ピンキー2015/04/02(木) 00:10:57.76ID:hm1Ajz3+
階段落ちとかいかがでしょう
がっつりハグ状態ですが依子が巧を押しのける顔があまりに嫌そうで笑いました
でもあの時点では完全にツンデレですよねw
0125名無しさん@ピンキー2015/04/02(木) 02:23:38.48ID:2HlrXlMt
>>114
巧のぎこちなく愛があふれるさまに萌え!
GJです!!

数日かけて話をひとつ書いてきた
巧の聖域、嫉妬ネタがかぶってしまいましたが
余裕な巧ver.という感じで…。
0126聖域にて 1/52015/04/02(木) 02:24:33.90ID:2HlrXlMt
「ではまた後日、契約内容について協議しましょう」
依子は分厚い書類を鞄にしまうと、巧のベッドに座って戸棚の本を取り出し、整理を始めた。
「さて、谷口さん。そろそろ夜の方の確認をしたいのですが」
「は、はあ…」
「前は失敗に終わって…。本当に、男の恥ですよ!」
「あれは…。あんな暴れまわる据え膳なんて聞いたことないから!ていうか全然据えてなかったよ!」
「あなたが逃げるからです!」
「だから、ムードってものが…」
「では、次回は全面的に谷口さんにおまかせします。何かご希望は?コスプレしますか?」
「最初はいつも通りで良いです…」
「2回目以降は」
「お願いします」
「わかりました」
「あの…藪下さん」
「はい?」
「…やっぱりいいです」
「途中でやめないで下さい」
「いいですって」
「もしや…26歳年下の見合い相手でも見つけましたかっ!」
「そしたら9歳じゃないですか。犯罪ですよナボコフじゃあるまいし」
「では他の特殊性癖が?」
「僕は普通だと思います。鷲尾君はどうでしたか?」
「一般的な見解からすれば、普通、と言えるのではないでしょうか」
「そう………ですか」
「で、何を言いかけたんですか?」
「もう…聞きました」

巧は頭がくらりとして、腹の底が熱くなるのを感じた。
彼女の初めては、全部鷲尾にとられてしまった。
とられた、は語弊か。自分が招いたことでもあるし、その方が彼女のためだと思ったから。
自分だって佳織とやることはやった。お互いさまじゃないか。

巧は必死に自分に言い聞かせようとしても、大切な聖域を犯されたような苦味を拭えなかった。

…でも、藪下さんはもともと性欲が強いと言っていたし、
あの積極性だったし、何も変わらないじゃないか…。

いや、違う…。
何も知らない無邪気な好奇心に欲望をねじ込まれ、
女にされてしまったんだ…!
0127聖域にて 2/52015/04/02(木) 02:25:21.60ID:2HlrXlMt
「谷口さん?」
はっと顔を上げると、依子がベッドから身を乗り出し、ベッドに寄せた椅子に座っている巧を覗き込んでいた。
「考え事ですか?この書籍の分類なのですが…」
話し終えるのを待たずに、巧は依子の頭を引き寄せ、唇を重ねた。
依子は心なしか頬を赤らめて応じると、おもむろに唇を離す。
「ど、どうかしましたか?」
巧は答えずに依子の隣に座ると、彼女に再び口づけをした。
舌で唇をなぞると、彼女の肩がかすかに揺れる。
巧はそのまま依子を押し倒し、激しく舌を絡めた。
「ん…ふ…っ」
依子から漏れる声に、愛おしさと苦味が増幅する。

(僕以外の男に、彼女はこの声を聞かせたのか…)

巧は依子の首筋に噛み付くように唇を這わせ、彼女のセーターの裾をたくし上げた。
「あ、ま、待ってく…あっ」
依子は身を固くして、巧の手を必死に掴む。

「藪下さん…今、確かめましょう」
「えっ…でも…」

抗う依子の手。

(鷲尾なら、もっと優しく、上手くやれるのだろうか。)

そんな考えがよぎり、巧は頭に血が上るのを自覚した。

巧は依子の両手を片手で押さえ、胸の膨らみをとらえると、依子はビクンと体を揺らした。
「あっ…うぅ…」
歯を食いしばり、依子は耐えるような顔をする。

(あいつには快楽の顔を見せたのか?)

(あいつはもう、この肌を見たんだ!)

巧は構わず胸を揉みしだき、舌を這わせた。
「は…ああっ、た、谷口さんっ!ダメですっ…あ」
スカートの中に手を伸ばし、脚をまさぐっていると、
依子は必死に押さえられた手をはずし、巧の頭に抱きついた。

抱きつく腕と胸が震えるのを感じて、巧ははっと我に返り、依子の顔を見る。
彼女は大きな瞳を少し潤ませ、息遣いを荒くしていた。

「…すみません」
「い、いえ…」
0128聖域にて 3/52015/04/02(木) 02:26:06.64ID:2HlrXlMt
巧は依子を組み敷いたまま、彼女を見つめ、愕然とした。
これでは手篭めではないか。
「少し、驚いただけです。谷口さんはあまり性交渉はお好きではない、と思っていたので…」
「……だから、ふ、普通ですって…」
巧はふと、依子が整理しようとして投げ出された本が目に付いた。

めぞん一刻…
…響子さん…

何ということだ…!
ぼ、僕は惣一郎さんに囚われた五代と同じ過ちを犯すところだったっ!
過去の相手ではなく、彼女自身を見つめなければ…!

「藪下さん…」
「はい?」
「僕は君のことだけを考える!」
「は?」

巧は依子の赤らんだ頬に手を添え、丸みをそっと撫ぜた。

藪下さんは、いつもまっすぐだった。
父のために、僕のために、社会のためにと、この人はいつも一生懸命だった。

高尚な次元にいるような人だ。
その辺の女とは違う、この人なら許してくれると、僕は何度甘えたことか。
そう、今だって。

でも本当は、とても不器用な、普通の女性なのに。

母の雑煮だと、子どものように泣きじゃくった顔。
恋がしたいのだと気づくことすらできずに、
川辺で涙を流していた後ろ姿。
谷口巧と題されたノート。
一緒に食べたリンゴ…。

巧は依子を改めて見つめた。
いくつかの不思議な巡り合わせで僕の腕の中にいる、大切な人。

今度は傷つけないように、巧は依子にそっと口づけした。

依子はおずおずと、巧の背中に腕を回した。
「今度は、ゆっくり行きますから。大丈夫です」
「…はいっ。あ!」
「何ですか?」
「谷口さん。避妊をしなくては」
「…ちゃんとします。ゴムがありますから」
「…そうですか」

巧は依子の気持ちが落ち着くように、ゆっくりシャツを脱いだ。
依子は彼の腕にかかったシャツをはずし、巧の胸に手を添える。
0129聖域にて 4/52015/04/02(木) 02:26:33.52ID:2HlrXlMt
巧は依子の三つ編みを解き、指でほぐすと、波打つ黒髪の光沢がベッドに流れた。
頭と髪を撫でていると、依子は気持ちよさそうに目を閉じた。
ついばむようにキスをして、
依子のセーターとスカートも、ゆっくりと脱がせる。
あらわになってゆく瑞々しい肌が、すらりとした肢体が、
絵画や彫刻を眺めるような、厳粛な高揚感を生む。

こんなに美しいものが現実にあったなんて。
欲望を突き刺すだけでは気付けなかったかもしれない。

「…綺麗だな…」
「何がですか?」
「そりゃあ君のことだろう」
「わ、私が?まさか」
「僕は美しいと思えるものしか褒めない性分でね」

依子ははにかみながら、心から嬉しそうに笑った。
どこか既視感のある、少女のような微笑みだった。

すっと伸びた腕や脚、艶やかな肌のすべてを、
壊れないように優しく撫でる。
しなやかな背中に触れていると、依子はあっ、と強めに反応した。
「ここ、感じるんですね」
「は、はい…。でも、どこをっ…、触られても、おかしな感じが…してしまいますけど…あっ」
巧はしばらく背中をまさぐり、依子の反応を堪能した。

「依子さん」
耳元で囁くと、耳たぶを軽く噛み、
首筋や胸の膨らみをそっと舐め、時に強く吸った。
そして胸の先を舌で転がすと、声を抑えていた依子は、
たまらずに大きく喘いだ。
巧は依子の唇の縁を指でなぞり、口の中に入れる。
「んん…んっ」
依子の舌が指に絡みついて、巧は身体が熱くなるのを感じた。

指を口からはずすと、依子の濡れたところを優しくこする。
「ああっ…あっ…あっ…」
依子は身をよじり、巧の首にすがり付き、快楽の表情を見せる。
薄暗く静かな部屋に、依子の声と水音が響く。

巧は依子を抱きしめ、溶け合いたいと、強く思った。
「依子さん…」
彼女のとろりとした表情を見つめながら、
脚を広げさせ、中に入ろうと突き立てる。
0130聖域にて 5/52015/04/02(木) 02:27:04.78ID:2HlrXlMt
「い、痛い…」
「えっ…」
巧は動きを止めた。
「力を抜いて下さいね。ゆっくり入れます…」
「いたたたっ…」
「だ、大丈夫?」
依子はハアハアと大きく息をついた。
「い、いえ、子を産む痛みに比べれば。さあ、来て下さい谷口さん!」
「いや、産んだことないでしょう…。うん…じゃあ…」
「いたたたたたただ」
「先に、指にします…」
「ううっ…」
「あ、指も痛そう…」

依子は脂汗を滲ませて、必死の形相で言った。
「は、初体験の時は痛いという認識はありましたが、これほどまでとは…」
「えっ…初めて?」
「はい、初めて」
「………………鷲尾君は?」
「性交渉には至りませんでした。求められるやもと思いつつ、私から計画する気にはならなかったので」
「性癖を知ってたのは…」
「口頭で確認したんです」
「そうだったんだ…」
反射的に依子をぎゅっと抱きしめ、巧は顔がニヤつくのを止められなかった。

「藪下さん、確認はゆっくりでいいですよね。今日は無理しないでも…」
「でも、男性は途中でやめると太郎の生殺し、になるのでは」
「ヘビの生殺しです。まだ根に持ってるんですか」
「生殺ししてもいいんですか?…あっ!手や口でとどめを刺しましょうか!」
「やっぱり殺すんだ…」

依子のぎこちない手つきに萌えに燃えながら、
巧は幸せな最期を迎えた。


おわり
0131名無しさん@ピンキー2015/04/02(木) 02:27:28.51ID:2HlrXlMt
依子は巧がなんでゴムを持ってたのかひっかかってるだろうなw
と思いつつの余裕系巧でした。
おそまつさまでした。
0135名無しさん@ピンキー2015/04/02(木) 10:03:13.31ID:y/MMWKFH
>>131
GJ!GJ!
>「……だから、ふ、普通ですって…」 ワロタ
いざSJ喪失もお待ちしております!!
0139名無しさん@ピンキー2015/04/02(木) 22:06:07.56ID:phqJLkPR
>>131
GJ!

嫉妬ものは大好物
よって依子が鷲尾と関係を持っていたとしても、その事で巧がより燃えてくれるならそれもありかとw
0140名無しさん@ピンキー2015/04/02(木) 22:20:54.86ID:y/MMWKFH
>>138
自分で書けばいいよ待ってます

巧も童貞だけどめちゃくちゃ勉強してかんばって大人リードしたとかいくらでも妄想できるのにな
他人に要求するのに言い方ってもんが…
0142名無しさん@ピンキー2015/04/02(木) 23:06:18.54ID:FOXHXaSY
とある日曜、宗太郎は巧の家にやってきた。
「おばさん、二階のレンタルビデオ屋でDVD借りるよ!」
「今藪下さん来てるわよ。静かに行ってびっくりさせてやったら?」
おばさんは上を指差して言った。
階段を軋ませて二階に上りかけたその時、巧の部屋から声が聞こえた。猫の鳴き声か?か細く動物のないているような声。
「んっ、やぁ、だめ、まだですよ」
宗太郎は息を呑んだ。この声は藪下依子か?もしかして、こいつらヤッてるんじゃ?
音を立てないように小窓を開け、中の様子を伺うと、白いお尻を突き出した依子と、依子の柳腰をつかんでいる巧がいた。
「……ねえ藪下さん、僕、もう入れたいよ…」
(なんだぁ?こいついつの間にDT卒業したんだよ)
宗太郎はじれったそうに依子の部分を上下にこする巧自身を見つめていた。
(お?生か。こいつらやるな)
「だめ、ですよ。結婚するまで、コンドームはつけないとっ…!」
「……っ!藪下さん、僕もう………っ!」
「……す、少しだけならっ……、ああああぁん!」
「よ、依子さん……!」
「こんな、時だけ……名前で呼ぶなんて、卑怯ですよ……っ!ぁあっ!」
じゅく、と音を立てて巧と依子はつながった。巧が動くたびにパンパンと乾いた音が響く。
宗太郎はまた音を立てないように、そっと小窓を閉めた。
(10ヶ月後の出産祝い、考えとかなきゃなぁ)


おしまい
0144名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 08:30:09.88ID:4wZelOT/
>>142
GJ!
どの作品もキャストの声で想像出来てしまってロスっぷりを痛感します
宗太郎兄の表情と小窓をそっと閉める仕草まで頭に浮かぶw
0145名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 09:00:32.38ID:ZD5tCpFD
>>142
GJ!
映像が浮かんだw
0146名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 10:24:51.86ID:Red8V8i1
とある日、宗太郎が巧の家を訪れると、居間には誰もいなかった。
「おばさんいねえのか。巧いるかな」
二階にあがると、巧と依子が言い争っているのが聞こえた。
(またあいつら喧嘩してるな。面白そうだからこっそり聞いとこう)
「もう、本当にわからない人ですね!私が最も感じるのは、クリトリスを剥いた状態だ、と何度も説明してるじゃないですか」
(あ、このパターンか)
宗太郎は物分りがいいので、一瞬で全てを理解した。
小窓を開けて巧の部屋を覗き込むと、巧が「そうかな?優しく上から舌で転がした方がいい反応してたけど。まったく素直じゃない」と椅子に座る依子の膝の間に顔を埋めているのが見えた。小窓から見える範囲には限りがあり、巧の後頭部以外はほとんど見えない。
「んぁっ、そ、そこ卑怯ですよ…っ!そんな優しくされたら、私っ!」
依子が巧の髪の毛に手を入れて、優しく、次第に乱暴に髪をかき混ぜていく。
「イク時はちゃんと言うこと。わかった?……依子」
巧は顔を上げて、小さい子に言い聞かせるようにS全開で言った。
(あのDTがリードしてるよ!)
宗太郎はすっかりDTに戻ったかのように、二人のセックスに釘付けになっていた。主張しはじめているモノは、けして依子への性欲からではない。この盗み見るというシチュエーションに興奮しているのだ。
「指欲しい?自分で入れる?」
「意地悪しないで……!」
「じゃあ、いつもみたいにお願いして……?」
(巧ってSだったんだなぁ、知らなかった。って当たり前だけど)
宗太郎は思わず股間に伸びてしまう手を押さえつつ、息を潜めた。
「んあっ……っ!た、巧さんの陰茎を、早く私の膣の中に入れて……っ!り、リズミカルに出し入れして膣壁をこすり子宮口にあてて左右に揺らした後、陰核をつねって……!骨盤周りの筋肉を痙攣させて過呼吸を誘発し、オーガズムへと導いて……っ!」
「……よくできました」
(よくできました、じゃねーよ!間違いなく変態だよお前ら!おかげで俺の股間が沈黙したからもう帰るわ!)
宗太郎がバカバカしくなって戸を閉める直前、依子の「さあ、こんなに濡れていますよ。さあどんどんお入れなさい」と言う声が聞こえた。宗太郎はその晩悪夢にうなされた。
おしまい
0147名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 10:25:41.90ID:Red8V8i1
GJありがとうございました!
もう一つ書いたので投下しました。
デートエロパロがますます盛り上がりますように!
0150名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 15:58:19.71ID:t6/BKaav
2015年4月18日(土) 18時00分

藪下依子は谷口巧を待っていた。

"待ち合わせの時間は18時00分"と約束したにも関わらず、谷口さんはまだ来ない。

お付き合いを再開した最初のデートでも1分20秒の遅刻をし、それを指摘すると
「それくらいは遅刻と言わない」
などと開き直る。
まったく、時間にルーズな人だ。


18時02分03秒

ようやく谷口さんが現れた。
「こんばんは。」
「2分3秒の遅刻です。」
「誤差の範囲です。」

この人は本当に謝らない。
素直に非を認め、謝罪するのが社会人としての対応だと思うのだが。
いや、彼は若年無業者だった。
これだから社会に出たことのない…

「藪下さん。…藪下さん。」

社会に出たことのない人は困るのだ。例え専業主夫になったとしても、どうやら世間にはママ友カーストというものが存在するらしい。そこで彼が生き残る為にも…

「アヒル口になってますよ。」
「だから睨んでるんです。」

まあいい。
レストランの予約時間に遅れてしまう。

「行きましょうか。レストランを予約しています。」
0151依子の努力 22015/04/03(金) 16:01:14.96ID:t6/BKaav
夜景の見えるレストラン。
本日、横浜の日没時刻は18時16分。
完璧だ。

「ここですか…。苦手だな…こういういかにも"いいムードでしょ"みたいな店…。」

谷口さんはいつも私の努力を無下にする。
谷口さんが「ムードを大事にしろ」というから、せっかく私が「ムードの良いレストラン」をリサーチし、口コミ評価平均☆4.6個 ――括弧 ちなみに最高得点は☆5個である 括弧閉じる――という高評価の店を予約したというのに。
0152依子の努力 32015/04/03(金) 16:02:47.68ID:t6/BKaav
日本性科学会によると、「病気など特別な事情がないのに、1か月以上性交渉がないカップル」はセックスレスと定義されるらしい。

私達の最初で最後の性交渉は3月22日。
4月5日のデートでは、谷口さんにプランを一任したのに性交渉どころかキスすらしてこなかった。
「男性はリードしたいもの」という情報を得たのでおまかせしたのに、谷口さんも男ならもっとガツガツしても良いのではないか。

性交渉するなら、やはり"お家デート"だろうと考え、4月12日は谷口さんの家にお邪魔した。
が、私としたことが図書の分類に没頭してしまい一日が終わってしまった。

セックスレスの定義まであと4日。
私はセックスレスカップルと烙印を押されるのを回避する。
目的の為には努力は惜しまない!!

「美味しそう〜!ここのステーキは評判がいいんですよ!さ、谷口さんお食べなさい!」
依子はギラギラとした目で、肉にフォークを突き刺した。
0153名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 16:06:54.34ID:t6/BKaav
>>150に"依子の努力 1"と入れたかったのに忘れてしまった…。

一応、「縁側その後」のその後ですので
巧と依子は初体験済みの設定です。

依子目線で書いてみたら、かなり長くなりそうです。お時間ある方は読んでみて下さい。
0154名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 19:04:44.35ID:fT3e0KjC
縁側その後さん、ありがとうございます
楽しみに読ませてもらいます
0156名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 20:54:02.03ID:8RYW0otp
みなさん、感謝申し上げます。
わたくし、妄想がとまりません!
0157名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 21:21:46.68ID:AsVoHa4Q
>>146
こういうのもGJですね
感謝申し上げます!

>>152
wktk正座待機してお待ち申し上げております!
0158依子の努力 42015/04/03(金) 22:56:12.88ID:t6/BKaav
>>150-152の続き

デザートが来た。

「谷口さん。この後、お時間まだ大丈夫でしょうか。」
「ん?大丈夫ですけど。」
「最近残業続きで肩凝りがひどいんです。肩たたき券を使ってもよろしいですか?」
「ああ…じゃあ……。これから…藪下さんの部屋に、行きましょうか。」

釣れた!!
―――――いけない いけない。
顔に出るところだった。
谷口さんは繊細な人だ。私がグイグイ行くとすぐに怯んでしまう。

「はい。」
依子はにっこりと微笑んでみせた。
0159依子の努力 52015/04/03(金) 22:57:08.58ID:t6/BKaav
官舎の部屋のドアを開ける。
と、どぎついピンクの光が目に飛び込んできた。

準備は万端。
"えっちな雰囲気を演出"という謳い文句で売られていたピンク色の照明をネットで購入し、予め部屋で点けておいた。
部屋のどこに居ても目に入るように、玄関、台所、脱衣場、寝室…ありとあらゆる場所に取り付けた。

以前、部屋に招いた時はまむしドリンクやうなぎパイなど、ちょっとアピールが直接的すぎたのだ。
私は経験から学び対策を練った。
間接照明によるさりげないムード作り!!

「…………………………………」

谷口さんが固まっている。
このさりげないピンクの照明に、自分でもわからない内に性欲を刺激され、とまどっているのかもしれない。

「さ、どうぞ。上がってください。」

まだ悟られてはいけない。慎重に。
0160依子の努力 62015/04/03(金) 22:58:19.99ID:t6/BKaav
「んんんっっああっああ〜〜〜」
「気持ちいいですか?」
「はい…あ、そこ、そこをもっと強く…」

はっ。いけない。あまりの気持ち良さに本来の目的を忘れるところだった。
ピンク色の照明、密室に二人きり、肌の触れあい…ムードは充分だ。

「鎖骨の辺りもマッサージしてもらえますか?」
「鎖骨?この辺かな…」
「もう少し下です。」
「ここですか?」
「もう少し。」
「ここ?」
「もう少し。」
「……………………………。」
「……………………………。」

さあ!襲ってこい!襲ってこい!襲ってこい―――――――!!!

「くくっ…」
「!?」

笑った!?
一体どこに笑う要素があったというのか。
0161依子の努力 72015/04/03(金) 22:59:37.96ID:t6/BKaav
依子がバッと振り向く。
巧と目があった。
優しい目をしている。

いけない。
せっかくここまで理性を保ってきたのに。
思考が乱れる。
なぜそんな目で私を見るの?
心臓がドキドキしている。
驚きでも恐怖でもない。
苦しい。でも心地いい。
谷口さんはそうやっていつも私の事を感情的にさせる………

「君は本当に努力を惜しまない人だね。」

そうよ。

「やっぱり君は変だと思うけど。」

変?

「でも今は、藪下さんなりにがんばってるんだなって分かるよ。」

私は……
0162依子の努力 82015/04/03(金) 23:00:44.09ID:t6/BKaav
巧が依子をぎゅっと抱き締めた。

「えっと……キス…したかった?」

私が?

巧がやや緊張した面持ちで依子の頬に手を添える。
ゆっくりと巧の顔が近づいてくる。

私は…私は…私は…
「わ、私は…」

契約結婚において性交渉の回数も大事だと思ったから

「ごめん。藪下さんの誕生日にはあんな事までしたのに、今だにタイミングってものが分からない。」

セックスレスカップルにならない為にと思って

唇が重なる。

思考がますます乱れる。
「藪下さん…」
私は…
「藪下さん……この先もしたい?」
0163名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 23:04:48.47ID:t6/BKaav
取り合えず今日はここまでです。

依子の独白が分からない〜という話をしたんですが、本スレにあがっていた谷口巧ノートの内容を参考にしてみました。

依子さんの頭の中は谷口巧でいっぱいだー。
0165名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 23:10:10.67ID:Q9o48jI0
GJGJ GJGJ!
いや〜巧カッコいいし、依子可愛すぎる〜!
続き待ってます!
0166名無しさん@ピンキー2015/04/03(金) 23:47:25.75ID:EKvK19Wp
>>161
なんか感動した
巧の優しい目とか努力を惜しまない人だねとか、すごく文章が素敵です
続編楽しみに待ってます
0168名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 02:01:58.68ID:1KT7HPGv
>>161
キュンとしたわー!!GJGJ!
依子の独白も全然違和感ないです
巧の台詞も素敵過ぎる
0169名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 02:43:23.16ID:526SxywN
>>161
依子と巧のキャラがドラマ本編と全く違和感がないから
ほんとに映像がそのまま浮かんでめちゃくちゃ萌えるわw
依子かわいい〜
巧かっこいい〜
0172依子の努力 92015/04/04(土) 21:29:34.54ID:1TssQ+zs
>>158-162の続き

感情が爆発した。
もう頭では何も考えられなかった。
谷口さんの肩をつかんで唇を押し付けた。
勢い余って、そのまま後ろに倒れこんでしまう。
言葉が勝手に口をついて出る。

「したいですよ!悪いですか!」
涙が出てきた。意味が分からない。

依子はグッと涙を拭うと、巧に馬乗りになったまま、自分でシャツのボタンを外し、胸を露にする。
続けて巧のベルトをカチャカチャと外す。

「ちょ、ちょ、ちょっと…」

下着の上から巧のものを擦る。
「や、藪下さん……」
だんだん形がはっきりとし、硬くなってくるのが分かる。
「うっ……ちょっと…まって…」
「待ちません」
「うううっ……」
下着がキツそうだ。
0173依子の努力 102015/04/04(土) 21:31:21.47ID:1TssQ+zs
「脱ぎますか?」
下着とズボンを足から抜いた。
再び、巧のそれを握り上下に動かした。
「ううっ…はあっ…はっ…」
先から何か出てきたので、親指でクリクリとのばしてみた。
「―っっ!!」
今までで一番反応したので、さらに続けてみる。
「これが気持ちいいですか?」
「ん……うん…」

と、巧が上半身を起こし、依子に手を伸ばす。
「…あの……」
「何ですか?」
「いや…」
「何ですか?」
「その……、口でしてもらっても…」
口でする?
「あ、い…いやなら…」
口でするのね。

躊躇なく依子は巧自身を咥えた。
「んんんっっ」
巧は溜まらず、依子の頭を掴んだ。

深く浅く。
どうしたら気持ちいいだろうか。
巧が反応する場所を舌で探った。
0174依子の努力 112015/04/04(土) 21:32:20.26ID:1TssQ+zs
巧の荒い息遣いと、ピチャピチャという唾液の音だけが聞こえる。

「や、藪下さん…もうヤバイです。」

巧が依子を制止した。

「今度は、藪下さんも…」

巧は依子の体を起こすと、ベッドの上にそっと寝かせ、下半身に手を伸ばした。

「んっ…」

気持ちいい

「こんな…触る前から濡れてるものなんですね。」

気持ちいい

「どこが気持ちいいですか?」

谷口さん

「今のが良かった?」

谷口さん
谷口さん
谷口さん

「藪下さん?」

谷口さんはいつもいつもいつも

―――いつもいつも私を


依子がぎゅっと巧の首に腕を回した。

「…………挿れるよ?」
0175依子の努力 122015/04/04(土) 21:33:21.21ID:1TssQ+zs



「やはり私は性欲が強いのだ、と思います。」
「そう。」
「私としては飽くまで理性的に、と思っていたのに…いつの間にか欲求の赴くままに突き進んでいました。」
「うん。」
「でもそれが種の保存本能。生物のあるべき姿として、私は正しいと言えます。」

谷口さんの私を見る目が優しい。
谷口さんは優しい。

「多分僕も性欲が強いと思うよ。」
「そうですか?まあ、最初の印象に比べると、谷口さんにも人並みの性欲があったのだな、と思います。」

谷口さんが私の髪を撫でる。
気持ち良くて目を閉じる。

「初めて会った日に、"恋愛とは性欲を美化した表現に過ぎない"って僕が言ったの覚えてますか?」
「……はい…。」

眠たくなってきた。

「多分、僕は性欲が強いですよ。」

谷口さんの声が遠くなる。

「そう思います。君に出会って。」
0176名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 21:35:41.81ID:1TssQ+zs
終わりです〜。
前のレスで感動したとか言われて
「次ただのエロシーンなのに…」と
軽く投下するのが恐かった(´・ω・`)
0178名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 21:41:14.59ID:3mlEvX5c
>>176
GJ!
エロの中にもふたりらしい恋心の表現があって違和感なしでした
依子かわいいw
0179名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 22:00:06.64ID:TPJL50Ov
感謝申し上げます!
依子が可愛すぎだし、さりげなく愛を告白する巧に萌えました!
ありがとうございます!
0180名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 22:17:02.63ID:JiuZ7RQL
>>GJ!GJ!感謝申し上げます!
依子がすごく可愛いし巧の優しさにも感動したし萌えました
0181名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 22:21:37.02ID:TPJL50Ov
依子はバナナでフェラーリの練習頑張ってそうで萌えるわw
0182名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 22:29:18.99ID:JiuZ7RQL
努力は惜しまない人間だから巧を満足させるために必死でリサーチと練習しそうw
0183名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 22:39:15.41ID:TPJL50Ov
レンタルビデオ屋で、大声で
「草食系男子をその気にさせるアダルトビデオのお薦めを
お願いします」と言って男性店員を困惑させ、
バナナを大量購入し、夜のトレーニングに取り入れてそうだw
0184名無しさん@ピンキー2015/04/04(土) 23:16:27.22ID:1TssQ+zs
皆さまGJありがとうございます。
頑張る依子は可愛いですよね。

>>177
ありがとうございます。
でもそのラストシーンもドピンク色の光の中なんだぜ(´・ω・`)
0187名無しさん@ピンキー2015/04/05(日) 06:53:49.63ID:gcGRk4di
>>175
GJ!
ラスト4行グッときました
言葉選びが上手くキュンキュンしました
ありがとうございます!
また、期待してます!
0188名無しさん@ピンキー2015/04/05(日) 06:57:01.21ID:gcGRk4di
>>181
瞬時にアヒル口依子思い出したw
努力を惜しまない人なんで、バナナで練習やってると思う
0189エイプリルフール 12015/04/05(日) 22:20:37.87ID:8PLdnbO2
2015年4月1日(水) 23時53分

ベッドに寝そべり、読書をしていると携帯電話の着信音が鳴った。

「もしもし。」

「藪下です。」

「こんばんは。」

「こんばんは。夜分遅くに申し訳ありません。非常識な時間帯だ、ということは承知していたのですが、年度始めということで残業も長引き、帰宅後食事をとり、日課のトレーニングを終え、入浴を済ませるとこのような時間になってしまったのです。」

「…お疲れ様です。」

あの日まで途絶えていた電話。

思わず電話をかけてしまう相手が本当に恋してる相手。
映画やドラマでよくあるパターンだ。

彼女は毎晩のように電話してくる。
まあ僕からかけることもあるけど。


「谷口さんは私と契約結婚に向けて協議を重ねているわけですから、将来専業主夫として私を支えて頂く為にも、このような仕事の事情や帰宅後の活動を知っていただく必要がある、と考えお電話しました。」

「入浴後に肩たたきも付けときましょうか。」

「……………………………。」

急に黙った。
0190エイプリルフール 22015/04/05(日) 22:21:59.12ID:8PLdnbO2
コホン、と咳払いの音が聞こえる。

「谷口さんは、今日は何をして過ごされたんですか?」

「僕は今日、オードリーの出演作品を年代の古い順に観ることにして…」

興味は無いだろうが、作品の内容や僕の好きなシーンについて話す。
最近は割りと黙って聞くようになった。
ま、興味は無いだろうが。

「あとは今月公開される映画タイトルのチェックですね。別に映画館に観に行くわけじゃないですけど。」

「そうですか。」

「そう言えば今日から"エイプリル フールズ"っていう映画が公開だったみたいですね。脚本が古沢なんとかっていう最近人気の脚本家らしくて。そんなに興味があるわけでも無いんですけど、視野を広げる為にも一度観てみようかと思っています。」

「エイプリル…フールズ?」
0191エイプリルフール 32015/04/05(日) 22:22:51.94ID:8PLdnbO2
「僕も良く分からないですけど…嘘をテーマにしてるのかな?エイプリルフールですから。今日。」

「エイプリルフール…。」

「藪下さん、エイプリルフールって分かります?」

「もちろんです。"嘘をついても良い日"などと言い、幼稚な嘘を、時にメディアまでもが垂れ流す…まったくくだらない。」

「君には縁が無さそうだ。」

「谷口さんはエイプリルフールに嘘をついたことがあるんですか?」

「どうだったかな…。幼稚園とか小学生の頃はあったかもしれないな。覚えてないけど。」

「そうですか。」

「藪下さんも、たまにはついてみたらどうですか?くだらない嘘。」

「そうですね…。」

依子は目覚まし時計のアラームをセットし、眼鏡を外した。

「谷口さんのことを心から愛しています。」

「なんだそれ。」

巧は苦笑いした。

「お休みなさい。」
「お休みなさい。」

電話が切れる。

日時だけの簡素な待ち受け画面。

――4月2日(木)0時01分――
0192名無しさん@ピンキー2015/04/05(日) 22:24:17.09ID:8PLdnbO2
エロ無しのベタベタなネタですが。
妄想が広がったので投下。
0193名無しさん@ピンキー2015/04/05(日) 22:55:04.67ID:VLEVOjaD
>>189-191
GJ!

>「藪下さんも、たまにはついてみたらどうですか?くだらない嘘。」

さては、こう返されることを計算して電話したな、依子w
0195名無しさん@ピンキー2015/04/05(日) 23:29:48.19ID:8PLdnbO2
GJありがとうございます。

デートのSS書くのがこんなにも楽しいものかと毎日実感している。
GJくれるみんなのせいだぞ(´・ω・`)
0196名無しさん@ピンキー2015/04/06(月) 00:57:46.47ID:VZvbyDWf
いや〜んGJ!!
嘘と見せかけての本音
萌えです
ありがとう
0197名無しさん@ピンキー2015/04/06(月) 02:23:02.37ID:X6pmvW7Y
って事は巧はオードリー語りを5分近くしてたって事かw
とか、考えさせられる感じも非常に「っぽい」です、すごいなぁ
0198名無しさん@ピンキー2015/04/06(月) 17:56:48.73ID:Y+mQ2k51
目覚ましセットして眼鏡を外したとこがジャストなんだね
依子、かわいいなあ
02011922015/04/07(火) 08:04:34.59ID:fhXJN+Ce
皆さまGJありがとうございます!

>>200
巧の依子観察日記w読みたいw

私はやっぱり巧目線の方がスイスイ書けますね〜。
依子が時間を確認している必要があったので、目覚まし時計の描写だけ入れましたが。

他の人の妄想も読みたいです!
どんどん投下して妄想共有しましょう!
0202温泉旅行 12015/04/07(火) 09:27:08.17ID:ZBVG8Ugs
結婚すれば四六時中一緒に居ることになるのだから、試しに一泊旅行へ行ってみてはどうか。
そう提案したのは依子だった。

「離してください!もう帰る。と言っていっているでしょう!」
「こ、こんな雨で、電車も止まってますよ!さっき警報が出たって、携帯にもアラームが来ていたじゃないですか!」
台風のなか、ずぶ濡れになりながら駅へ向かったのは21時を過ぎてのことだった。

「…………」
「…………」
駅に着くと、当然のことながら電車は全て止まっていた。
「ほら…、だから言ったじゃないですか、」
「…………っ」
「とにかく、早く帰りましょう、こんなにずぶ濡れで。風邪ひいてもおかしくないですよ、」
「…タクシーで帰りますッ」
「こ、こんなところからタクシーに乗ったらいったいいくらかかると、大体つかまりませんよ、ひとっこ一人居ないじゃないですか」
「ほうっておいてください!」

やはりムードが大切だ、温泉、浴衣、これで迫ってこない男はいない!
佳織のアドバイスをもとに、引きこもりの巧でも移動に耐えうるよう近場の温泉宿を予約した。

巧のほうも、いつまでたっても勇気の出せない自分にもどかしさを感じていた。
「依子さんに失礼ですよ、いったいどれだけ待たせるんですか!」
鷲尾に叱咤され、宗太郎にも「この旅行で決めろ」しつこいくらいに言われていた。

けれど、いつもの調子でつい言い争いになってしまう。

「ヒックシュン!!!」
「ほら…言わんこっちゃない、とにかく、急いで宿に帰りましょう、」
「ズビッ…い、いやです、離して、」
「いいから」
「よくありません、もうほうっておい…」
「いい加減にしてください!!」
「……」
「お願いですから、とにかくもどりましょう。」
「…………」
0203温泉旅行 22015/04/07(火) 09:27:44.91ID:ZBVG8Ugs
「どうして僕らはいつもこうなんでしょう。」
隣同士に敷かれた布団に横になりながら、巧はつぶやいた。
依子は、顔をすこし右に傾け巧を見やると、口をへの字にして拗ねたように暗い部屋の天井を眺めた。

「たった1日でこの調子じゃ、まったく先が思いやられますよ。」
巧のことばに、依子の眉間にしわが寄る。口元がぎゅぎゅっと縮んできた。
「静かにしてくれと怒鳴られたのが8回ですよ、8回。見知らぬ人に。今日1日だけで。」
「…」
「大体、朝一番に」
「あれはあなたが悪いんでしょう!」
「そんなことない!」
布団から身を乗り出し合った2人は、我にかえって気まずそうに姿勢を戻した。

「やはり、相当に相性が悪い。と言えるのでしょうね。」
「…そうかもしれませんね」
依子は表情を盗み見るように、頭を枕に預けたままで目線だけを巧に向けた。
そして、ふう、とため息をつく。

「…………。…すみませんでした。」
依子は不思議そうに見た。
「……?」
「夕食のときのことは、僕が悪かったです」
「…………」
「僕も、考えていないわけではないんです。ただ、…僕にもタイミングというか」
「分かっています。最近聞いた話によると男性は狩猟本能を持っており女性から迫られるとその気になりづらいそうですね。私の両親は例外だったようです。さらに、初めてであれば余計に」
「は、はじめてって…」
「ただ、谷口さんはそういう気があるのかどうかすらも分からな」
「わ、分かっています、分かっているんです、あなたの言いたいことは。もう、そろそろそういう時期だということは、僕も理解はしているんです。もちろん、性欲がないわけでも、ないんです、」
「そうなんですか」
気持ちが高まってきたのか布団から半分だけ身を出して、巧は手振りを加えて演説をはじめた。
「そうなんです。ただ、21時に開始しましょうとか、そういうことを食事中に言うのはルール違反ですよ、いくらなんでもムードっていうものが」
「…ムード…」
依子は眉をしかめ、いまいち分からないという風に演説している巧を見る。
「そうです。ムードです。やっぱり、雰囲気とか、ムードとかがないと。食事中に、この後30分後によろしくねって、そんなことじゃしたくなるはずのものもなりませんよ!」
「…」
「だいたいあなたはムードってものを」
「ムード、ムードと!さっきから一体なんなんですか同じ言葉ばかりを並べて!具体例を挙げて説明してくださ」
「だから、そういうとこがあなたは」
「大体、あなたはムードだなんだと、タイミングを待ってばかりいるからいつまでたってもできないんでしょう!」
布団をはじきのけて依子はずびしっと巧を指さした。
「そ、そんなこと…!」

「………………………」
「………………………」


「…また同じことの繰り返しですね。やめましょう。」
「…………………」
0204名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 09:32:07.59ID:ZBVG8Ugs
みんなの妄想につられてチャレンジ、
いろいろ拙いとこ多々すんません〜
0206名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 10:09:11.10ID:K/4TjcIe
>>204
GJです!続きも楽しみ!
また声が再生されてロスが…・゜・(つД`)・゜・
0207名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 12:39:10.85ID:ZBVG8Ugs
ふうっとお互いにため息をつく。依子は口を尖らせて布団に入りなおして、巧に背中を向けた。
そんな様子に、巧は少し申し訳なさそうな表情を浮かべ窓をみやった。外の雨は少しやわらいできたようだ。
「情けないですよ」
ぽつりと言う。
「…?」
「映画や小説で、恋する男女の姿を数え切れないほど見てきて、まるで全てが分かったかのような気持ちでいたけれど、現実ではそんな知識は全く役に立たない。愛を確かめ合うということがこんなに勇気のいることだとは」
「……………」
「あっ、いや、僕らは恋愛感情を排除した付き合いでしたね、すいません」
「いえ」
コホン、と依子は軽く咳払いをした。すこし頬が熱い。

「あなたにまた恥をかかせてしまって、これじゃ鷲尾君に怒られるな」
「……」
「すみませんでした。」
背中で巧の声をうけとめながら、依子は気を取りなおすように小さくひとつ呼吸した。


「いえ。……私も、もう少し、ムード。というものを学んだほうがよいのだと思います。」
「………」
「……ませんでした」


依子の背中から小さな声を聞きとって、巧は少し微笑んだ。
「…………雨、やんできましたね」
「そうですね」
背中を向けていた依子も、布団のなかで身体を30度だけ起こして窓をみやると、静かにこちらをみつめる巧と目が合った。

巧が小さく唾をのみ込むのが依子にも分かった。静かに顔の上に巧の影が落ちてくる。2人は唇を合わせた。
0208温泉旅行 42015/04/07(火) 12:41:34.39ID:ZBVG8Ugs
「薮下さん」
「はい」
20cmほどの距離で依子を見つめる巧が、意を決したように言った。

「して…みましょうか」
「…」
依子は目をおおきく見開いた。
「え」
「して…みましょう」
「い、いえ。そんな突然に。無理はなさらないでください」
「え、」
「谷口さんのおっしゃるように、ムード。というものが、高まったときにしましょう。高まるよう、あらためて準備し努力いたします。」
「薮下さん。だから、それが今、なんです」
「え?」
「だから、今が、そういうムードなんですよ」
「…………?…え?い、いつの間に……!今ですか、今ここにムードが?」
「…はい」
「やはりムード。というものは大変に奥が深いものですね、興味深いです。いつ高まったのか全く気がつかなかった。」
依子は難しい顔をして、これはやはりあらためて学ぶ必要があるだとか、なんだとかぶつぶつ言っている。
「薮下さん」
「いえ、失礼いたしました。では、今のこの状態がムードが良い。という認識でよろしいですね。」
「あなたという人はこれだから…こうしている間にもムードというのは消えていってしまうものなんですよ」
「なんですって!!それはいけません、では、今からしましょう。すぐにはじめましょう」
「はぁ」
「はい…どうぞ!」
布団のなかでピッときをつけをして、依子は固く目を閉じた。
その様子を見て思わず巧は苦笑したが。仕方がないという風に優しく微笑んで、もう一度静かに唇を寄せた。


「や、薮下さん、あの、大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
浴衣姿の依子は、布団の中できおつけの姿勢のまま硬直したようになっている。
「一応何冊か本を読んで、それなりに勉強はしたつもりなんですけど、もし間違っていたりしたら」
「大丈夫です、と言っているではありませんか、は、早く進めましょう」
「あ、…は、はい」
そばで正座をしている巧は、ごくりと唾を飲み込んだ。
(まずは、えっと…)
カチンコチンに固まったまま、依子は部屋の天井を凝視している。

静かに浴衣の胸元に手を差し入れた。小振りな乳房。あたたかくて、
(や、やわらかい)
「………………………」
依子の表情を恐る恐る確認するが、天井を凝視したまま、口もへの字に閉じている。
「………………………」
さらに浴衣をはだけさせると、いつか見た派手な下着ではなく肌色の地味な下着をまとった細身の身体があらわれた。
「…………っごくっ」
依子は、しまった!とばかりにさっと浴衣を閉じた。

「す、すみませんでした、先ほどの雨で、準備していた勝負下着が濡れてしまい、予備のこんな」
「いいです」
「よ、よくありません。初めてのことですから、なお完璧に段取りするべきでした。私としたことが、また日を改めたほうが…」
「いいんです、ちょっと静かにしていてください」
「でも……」
巧は、もう一度浴衣に手をかけた。
0209名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 12:45:19.70ID:ZBVG8Ugs
終わりですー
こっからは男になった巧が勢いできっと!

エロのところはどうにも書けなくって、
みんなの妄想をたのしみにしてます〜
0210名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 16:12:14.02ID:4gCX7ZPB
いやぁちょっとずつだなぁvvv
らしいです、らしい。ありがとうございます
0211名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 19:31:07.74ID:fhXJN+Ce
>>209
初温泉旅行いい!浴衣!
妄想が広がりますw
拗ねる依子が可愛い〜

GJです!
0212名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 20:56:09.69ID:6z3HwmRU
>>209
GJGJ!
ムードが分からない依子となかなか出来ない巧が可愛過ぎて萌えました!
会話のテンポも良くてクスッと笑っちゃいました
続きもお願いしたいです〜!
>>209さんが無理ならエロ職人様にでも
0213名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 21:13:33.09ID:l2f3FX2L
4月5日 お花見デート

無言でただ桜を眺めていた。
ところが急に空に暗雲がたちこめ、雨が降り始める。

依子「雨ですよ、谷口さん、雨です」
巧「あー降ってきちゃいましたねえ」
依子「こんなこともあろうかと、折りたたみ傘を持ってきています」
巧「あ、僕の方が背が高いんだから、僕が持ちますよ」
依子「いえ、谷口さんの分もありますから」
巧「二本も持ってきたんですか。いやそっちはしまっておいてもらっていいです」
依子「え?」

左手を伸ばして傘を持ち、右手で依子を抱き寄せる巧。

巧「とりあえず、雨宿りできるとこまで行きましょう」
依子「谷口さん」
巧「何ですか?」
依子「濡れています。やはりもう一本出しますよ」
巧「いいですよ。僕は別に、風邪をひいても明日仕事があるわけじゃないし。折りたたみ傘乾かすのって結構面倒でしょう」
依子「別に面倒などではありません。谷口さんは虚弱なんですから、クリスマスの時のように寝込んでしまったらどうするんですか」
巧「別に虚弱じゃないですよ」
依子「そうでしょうか。もやしっ子、という言葉を聞くと、谷口さんのためにあるような言葉だ、と思うのですが」
巧「ひょろっと大きいのは君だって一緒だろ」
依子「でも私は、谷口さんほど白くありませんし」
巧「君が地黒なだけだろ」
依子「メラニン色素が生まれつき多いだけです」
巧「じゃあ僕はメラニン色素が生まれつき少ないだけですよ」
依子「・・・・・・」
巧「・・・・・・・・・地黒は言いすぎました、すみません」
依子「いえ、事実ですから」
巧「・・・・・・」

かばんからもう一本の傘を出す依子。

依子「・・・・・・どうぞ」
巧「・・・・・・しまっといてよ」
依子「でも濡れています」
巧「・・・・・・一つの傘じゃないとできないこともあるんですよ」
依子「?何ですか?」

外から見えないように、傘を少し下げて依子にキスをする巧。

依子「・・・・・・」
巧「・・・・・・」

お互い目をそらす二人。

依子「///・・・とにかく、移動しましょう。いくら働いていないとはいえ、風邪をひくのはよくありません」
巧「・・・そうですね(ちょっと余裕の表情)」
0214名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 21:14:16.10ID:l2f3FX2L
近くに見つけた喫茶店にとりあえず入った二人。
席につくとすぐに依子がかばんからタオルを取り出す。

依子「拭いて下さい」
巧「ありがとう」

適当に肩のあたりを拭ってタオルを返そうとする巧。
受け取った依子は立ち上がって巧の後ろに回る。

依子「背中の方も濡れていますよ。頭までぬれているではありませんか」
巧「ああ、うん・・・」

席に戻ってバッグからビニール袋を取り出し、タオルを中にいれてからしまう。

巧「準備万端ですね」
依子「天気予報を確認してきただけです。準備、というほどのことではありません」
巧「そうですか」

真正面から目が合ってしまう。
巧が両手を伸ばして、依子の眼鏡を取る。

依子「何をするんですか」

取り返そうとする依子。よける巧。
眼鏡にはほんの少し水滴がついている。

巧「眼鏡濡れてるんですよ。眼鏡ってハンカチで拭いていいんですか」
依子「いえ、専用の眼鏡拭きがあります」

かばんから眼鏡ケースを取り出し、中に入っていた眼鏡拭きを差し出す依子。

巧「君のかばんは四次元ポケットか」
依子「は?四次元、何ですか?」
巧「・・・まさかドラえもんを知らないとは」

巧は受け取って眼鏡を拭き、眼鏡を依子にかけ直してあげる。

巧「桜、この雨で散ってしまいますね」
依子「そうですね」
巧「少ししか見られなかったな。せっかく引きこもりを返上したっていうのに」
依子「桜は」
巧「ん?」
依子「桜とは、バラ科モモ亜科スモモ属の落葉樹です。花は満開から一週間ほどで散ってしまいますが、木の寿命は平均60年と言われています」
巧「う、うん」
依子「あの木はあれだけの花をつけていたのですから、まだ若い木、と判断してよいかと思います」
巧「うん・・・?」
依子「ですからまた来年見に行けばよいのです」
巧「そうですね・・・一緒に」
0215名無しさん@ピンキー2015/04/07(火) 21:15:59.34ID:l2f3FX2L
エロくなくてすまん

本スレのハセヒロ色白話に触発されて
あと、あの綺麗な手で眼鏡とったり外したりするとこ想像したら萌えてしまったんで。
02181/42015/04/09(木) 02:17:58.41ID:z7kp7riQ
「よろしくお願いいたします。」
彼女が差し出したそれは透明なビニールのカードケースにぴったりと収められていた。
「……どうしたんですか、これ?」
「紙という素材は本来経年劣化しやすいものです。ましてこれ自体かなり古い紙でできており、
また使われている画材はこれもまた色あせのしやすい色鉛筆、と思われます。
元々の保存状態はよかったようですが、今後もその状態を維持し続けるためには
できるだけ劣化の条件となる湿度や紫外線を避けることがベストと考え、ですからこのようにして」
「あーはいはい、わかりました。」
そういうことが聞きたかったんじゃないんだけどな。
言葉を遮られて若干不満そうに彼女は唇を尖らせている。

―どうしてこんなものを後生大事に持ち歩いてるんですか?―
そう聞けばよかったかな?
まあ、そう聞いたところで返ってくるのはさっきの答えとそうそう変わらないものだろうけど。

ふっと笑みが漏れた。
「何がおかしいんですか?」すかさず尖った声が返ってくる。大きな目が睨みつけてくる。
「いいえ……、ただ、なんだか」
「なんだか?」
「アンドロメダ行きのパスみたいだなって」
「??」見つめる瞳が今度は大きなクエスチョンマークになった。
「あ、いいです。こっちの話だから」
02192/42015/04/09(木) 02:18:47.04ID:z7kp7riQ
「……相当、凝ってますね。肩甲骨の周りがガチガチですよ。」
「このところ、連日、残業だった、もので……うぉぉぉぉ〜、そこ、そこ、効きます、効いてます!
……谷口さん、だいぶ上達しましたね。かなり私のツボを熟知して……おおお〜〜〜」」
「一応、マッサージの本を読みましてね。薮下さんに満足していただけるように僕も少しは努力しないと、と」
「良い心がけです。このまま精進を続けてください。」
「はいはい」
まったく、相変わらず上から目線だな。
「にしても、よくもまあこんな状態で仕事なんてできるもんだ。背中に鉄板が入っていると言ってもおかしくない。」
「……言われてみたら、確かにこのところ少し、眠りが浅かったかもしれませんね。」
……まったく、本当にこの人はいつも自分のことはおざなりだ。
他人の心の機微に疎い面は確かにある。けれど、それ以上に彼女は自分自身の心に鈍感だ。
鈍感? いや、そうじゃないだろ。

「薮下さんは……」
「はい?」
「……薮下さんは、疲れたとか辛いとか…言わないんですね。」
「言うことによって状況が変化するのなら有用だと思います。しかし私は、有効な変化が無い、と判断しました。」
「そう、ですか……」
「愚痴というものは読んで字のごとく愚かで痴れたことです。そして、そのような非建設的なことに時間を費やすことを私はよしとしません。」
正論だ。正論だけど…

電話の声ではわからなかった。
彼女を目にして、やっと気が付くなんて。
くっきりと目の下に浮かぶ隈。緩んで解れた三つ編み。
「……もしかして、仕事場からも電話してくれてたんですか?」
少しばつが悪そうに俯く。
「小休止も兼ねて給湯室にコーヒーを取りに行くついでです。それに0時を回ってからの電話はご迷惑かと思いまして」
「僕のことはいいんですよ。君と違って朝起きる時間を心配する必要が無い。」
「それは、そうでしたね。」

まったく…

あの時もそうだったのに
母親の味だと子供みたいに泣きじゃくっていた時。
恋がしたくてたまらないのに、恋がわからなくて泣いていたあの時。
いつだって彼女は自分の気持ちに蓋をして、そんな自分に気が付かなくて
いつだって背筋をピンと伸ばして、首を真っ直ぐに持ち上げて、そうやってひとりで耐えていたんじゃないか
わかってたのに わかってたはずなのに……
鈍感なのは、僕の方だ。
02203/42015/04/09(木) 02:19:42.59ID:z7kp7riQ
「……君はがんばり過ぎなんですよ。」
見下ろした首筋に解れた髪が幾筋も絡んでいるのが痛々しい。
「……前にも、そんなことを言ってましたね。……でも、私にとって努力をしないということは ひひゃひゃひゃっ!!!」
……え? なんだ、今の?
首筋を押さえ、噛み付きそうな勢いで振り向く「なっ、な、なに、してくれてるんですかーっ!!!」ってなんで涙目になってるんだよ!?
「いやっ、あのっ、そのっ、髪が乱れてるから、直そうと思って…」軽く首筋に指が触れただけ、なんだけど……えー?
まさか?
「あ、そ、そうでしたか……すみません」
こちらが呆気の取られている間に、深呼吸をひとつ。ことさらにニッコリ微笑む。
「急に取り乱してしまい、大変失礼いたしました。さ、もう大丈夫です、続きをお願いします。」
先ほどと同じようにこちらに背を向けるけど、こころなしか肩の辺りに緊張感が漂っているような。
これは、まさか……
「どうしたんですか? まだまだ凝りはほぐれてませんよ。」
「いや、あのー」どうする、巧。
「どうかされましたか?」
―よし、勝負だ―
意を決して耳元に囁きかける。
「薮下さん、首、        弱いんですか?」
      「ひゃーーーーーーーーー」
ビンゴ! I've got it! 疑惑は確信に変わった。
なんてこった、彼女の弱点は常に僕の目の前あったのか!
02214/42015/04/09(木) 02:20:33.82ID:z7kp7riQ
飛退いた拍子に崩したDVDの山を律儀に直しながら彼女はしゃべり続けている。
「こっ子供の頃に床屋さんで首筋を剃られたとき以来、どうも苦手で…
そ、それでも大分訓練して、大丈夫になったはずっ、なのですが
全く想定外だと、今でも、駄目、なようで、このようなお見苦しい姿を晒してしまい」
背を向けたまま、上ずった声で必死に続けるけど 
目を見て話さないのは、君が何かをごまかす時の癖。
「……薮下さん」
「は、はいっ」
ピクンと跳ねた背中が逃げようとするのを後ろから抱き寄せて、首筋に頬を当てる。
「たったた谷口さん人の話聞いてないんですか! 今言ったばかりで」
腕を解こうとじたばたする彼女の唇に人差し指を立ててそっと当てる。
さっきまでの足掻きが嘘の様に静まった。
「……くすぐったい、です」真っ赤になって俯く。
「気持ち悪い、じゃないんだ?」
小さく頷く。「気持ち悪くは、ありません。」
「じゃあ、これは?」
人差し指の先で首のラインをなぞる。
「ーーっ ピ、ピンポイントはやめてください!」
「ごめんごめん(笑)、じゃあ、これなら、どう?」今度は手のひらで同じ場所をさするようにする。
「あ、これ、なら、大丈夫、かも。我慢、できます。」
「別に我慢しなくてもいいよ。…嫌ならやめる?」わざと意地悪に言ってみる。
「いえっ、あの…」
「なに?」覗き込むと目が合った。
「あのっ、谷口さんがよろしければ」真っ直ぐな瞳。
「僕は嫌じゃないけど?」
「ならば」
「ならば?」
「もうしばらく、このままで」
「…肩たたきはもういいんですか?」
返事の変わりに、微かな寝息が聞こえてきた。
膝の上に下ろした指先のピクッと痙攣したような動きが、彼女が既に熟睡していることを証明している。
耳元にそっと唇を寄せて小さく呼んでみた。
「依子」
面と向かってはまだまだ呼べない。眠っているなら、聞こえないなら。
彼女のぬくもりを感じながら、僕も目を閉じる。
意識が遠のく寸前、彼女の「はい」と言う声が聞こえた気がした。
0222名無しさん@ピンキー2015/04/09(木) 02:22:13.95ID:z7kp7riQ
長い割りにエロなしですみません。絡みは書けない〜〜
ご期待に沿えず申し訳ございません!
0224名無しさん@ピンキー2015/04/09(木) 03:55:27.43ID:965rDLBv
>>222
GJ GJ !
依子が愛しくてしかたないわ
面と向かっては呼べないけど「依子」呼びしてみたい巧も

ドラマ本編でも、付き合い始めからわりとスキンシップの多いふたりだったよね
自然な感じに萌えたわ
0225名無しさん@ピンキー2015/04/09(木) 12:01:08.43ID:miTV/jay
>>215
GJ!GJ!
本スレで話題になってたから自分も雲の階段見て長谷川さんの手に萌えてたとこだったんで尚更良かったよー!

>>222
これまた可愛い依子に萌える〜!
GJ!GJ!ですよ
エロ無しでも十分ドキドキしたよ!
このまま映像で見たい
0226名無しさん@ピンキー2015/04/09(木) 12:56:36.07ID:sg/6evUU
超本命が大穴
暇つぶしに覗いて見たけど あり得ない女が・・
見返りをもらって損はしなかったww

dakマnet/c11/5687kaori.jpg
マをkun.に置き換え
0227名無しさん@ピンキー2015/04/09(木) 19:26:35.36ID:zoy//tNd
>>222
GJです!
やっぱり将来巧は
「依子」か「依子さん」って呼ぶようになるのかな〜(*´∀`)

個人的には「依ちゃん」呼びも見てみたい。
「依ちゃん!本棚はいじらないでくれって言ってるじゃないか〜!」みたいなw
0228名無しさん@ピンキー2015/04/09(木) 22:33:52.62ID:m22a8kdS
ないでしょ〜wよりちゃんはパパの特権(`・ω・´)
子供が出来たらお母さんかな〜
0229名無しさん@ピンキー2015/04/10(金) 00:10:46.64ID:6ttYRD/4
子供が出来たらお母さんだろうね
両家ともそう呼んでるし
2人とも一人っ子で大切に育てられてるし(巧父も子供の頃の写真見ると良い父親そうだったもんね)
契約結婚とは言えwきっと幸せな家庭を築くと思うわ
子供出来たら両家の祖父母が溺愛しそうだね
祖父同士が孫の取り合いみたいになったりw
0230名無しさん@ピンキー2015/04/10(金) 00:52:11.28ID:nA8pJHqo
>>229
依子父「ほーら、じぃじでちゅよー」
巧父「薮下さん、そんなに顔を近づけたら赤子が驚いてしまうではないですか。
   大丈夫かなー 怖かったねぇー」
依子父「あんた、いちいち失礼だな。」
巧父「だってあなた、実際強面じゃないですかw よく言われませんか?」
依子父「生まれつきこういう顔なんだよ! 悪かったな!
    そっちこそ、ひょうたんナマズみたいな顔してるくせに」
巧父「ひょ、ひょうたんなまずとは失敬な!」

巧「もう、いい加減にしてくれよ!」
依子「授乳の時間ですので、失礼させていただきます」
0232名無しさん@ピンキー2015/04/10(金) 02:08:27.79ID:BX+25Xm8
いやいや粉ミルクでも授乳っていうんでは?

しかしまあ鮮やかに松重と平田の声で再生されるもんだなw
0233名無しさん@ピンキー2015/04/10(金) 21:23:20.95ID:YBzYhtAT
強面とひょうたんなまずw
このふたりのやり取りだけでも楽しすぎる
言い争ってるうちにまたブリットの話が出てくるのかな?
02341/3(エロなし)2015/04/12(日) 02:47:51.51ID:AVSqnaj9
仕切り直しから複数回経ったデート。
晴れたある日の午後、待ち合わせ場所で巧は道路を見ている。

「おいおい・・・・・・今度は何だ・・・。」

依子のスクーターが徐々に近づいてくる。
黒のライダースーツを着た依子。靴はスニーカー。法定速度を守っている。
巧の前を通り過ぎやや離れた駐車場へ入る。巧、速足で追いかける。
追いついたころ、依子はヘルメットをかぶったまま黒のピンヒールに履き替えている。
巧に気づいた依子はヘルメットを颯爽と脱ぐ。メイクはやや濃いめ。
「お待たせしました。」
「藪下さん、その格好はもしかして・・・。」
「本日は谷口さんの理想の女性のお一人、峰不二子、を意識してみました。」
「やっぱり・・・。」
「私も彼女と同じライダーの一人ですし、ちょうど良いかと思いまして。」
「君のはスクーターだろ!スクーターならむしろオードリーヘップバーンじゃないのか!」
依子、少しよろけながら手を広げて一回転する。
「いかがでしょう。」
「・・・・・・スタイル良すぎて現実感が無いな。」
「それは褒めているのでしょうか。」
「・・・まあね。」
依子は軽くにらむが、すぐに気を取り直した様子。
02352/3(エロなし)2015/04/12(日) 02:48:51.92ID:AVSqnaj9
「峰不二子という女性は胸元に物を入れたりするようです。
ですが、残念ながら私の胸ではいささかボリュームが足りません。
ここには携帯電話すら隠すことができない。」
依子、胸元のファスナーに触れる。巧は慌てて依子の手を押さえる。
「おいおいおい、こんなところで開けなくていいよ!」
「開けませんよ。私はそのような性的嗜好はありません。」
「それならいいけど・・・。」
「しかし、このような状況では鞄を持つしかありません。
完璧な扮装とは言えませんが、お許しください。」
「・・・いやに大きいな。僕が持ちますよ。って重いなこれ!」
「ありがとうございます。女というものは何かと入りようなのですよ。
あともう一つ。少し寄りかかっても良いですか。
ヒールに不慣れなので少し歩きにくいのです。」
「もちろん、どうぞ。・・・あ、段差に気をつけて。」
腕を組んだ巧と依子。

「本日は谷口さん御希望の映画を見に行く、というデートプランでしたよね。」
「フランス映画の新作で見たいものがあるんです。」
「わかりました。では行きましょう。」
依子は体をやや預けながら、巧のリードに合わせていつもより速度を落として歩く。
02363/3(エロなし)2015/04/12(日) 02:49:42.39ID:AVSqnaj9
しばらく歩くと、依子は子供が秘密話を打ち明けるようにこっそりと話す。
「峰不二子という女性は裸の上に直にライダースーツを着ているようです。
・・・・・・・・・私がどうなっているか知りたくありませんか。」
「・・・・・・・・・あとで丁寧に取り調べることにするよ。」
依子、自信満々の表情。
「・・・ふふふ、どうです、私もムード作りが上手くなったでしょう!」
「さあ、どうかな。」
巧はちらりと依子を見て、不自然に口元を固く結ぶ。
数歩進んだが、立ち止まる。
「気が変わりました。
マルコ・ヴィカリオの『黄金の七人』が無性に見たい。
僕の家で映画観賞はいかがですか。
・・・・・・・・・・・・母さんは明日まで帰ってこないから。」
「はい、では谷口さん宅で夜通し映画鑑賞に変更ですね。」
目を合わせ、お互いわずかに紅潮している顔を確認する。
巧も依子も素知らぬ表情で正面を向く。
「・・・・・・・・・・・・分かって言ってますね。」
「さあ、どうでしょう。」
踵を返し2人は谷口家へと向かった。
0237名無しさん@ピンキー2015/04/12(日) 02:54:50.99ID:AVSqnaj9
みなさまの妄想待ちのつなぎで投下しました。
エロはいざ書こうとすると難しくて・・・すみません。
0239趣味は家電量販店巡り!2015/04/12(日) 09:22:08.88ID:GYZ/XHJg
「谷口さん、早速使ってください、電池入れたので」
「あ、はい・・今からですか?」
「早く試してみたいんです!さ、さ、遠慮なさらず」
「わ、わかりました」

スイッチを入れる。ヘッドの機械的な振動が手に伝わる。

「藪下さん。これ、け、結構強いみたいだけど大丈夫かな・・」
「最初は優しく当てた方がよいかもしれません。私も・・初めてなので、加減がわかりません・・」
「そうですよね、や、優しく、ですね」

機械音が微かに響く。恐る恐る、そっと肌に当ててみる。

「谷口さん、上から下へ動かすのですよ」
「わ、わかってます」
0240趣味は家電量販店巡り!2015/04/12(日) 09:24:26.03ID:GYZ/XHJg
「あ、あ、もう少し、強く押し当ててもいいですよ、痛くないですから」
「大丈夫かな、、ではもう少し強く当ててみます」

肌に滑らせる。手に伝わる振動も強くなる。

「どうでしょう、こんな感じで・・」
「ええ、いい感じです!素晴らしい!」

「ここはどうかな。うまく当てられないけど」
「あ、そこは・・小刻みに動かして・・上下に・・ああ、いいですよ」


「痛みはないですか?」
「・・気持ちいいです、思っていたよりずっと良い!」


「人の手で行うよりも効率的ですし、何より・・」

依子はためらいがちに呟く


「きれいに剃れます。剃り残しなし!」

「これでキスしても痛くないですよね」

巧は、真新しいシェイバーのスイッチを切り、依子にキスをした。
0242名無しさん@ピンキー2015/04/12(日) 10:56:04.17ID:GwITj5WZ
>>237
GJGJ!
依子の峰不二子コスプレ見てみたいね〜!
依子はやはり積極的だな
思い鞄の中身もちょっと気になったw
ぜひ続きが読みたいです!

>>241
GJGJ!
エロくるか!?エロくるか!?
と思って読みましたw面白かった!
0243名無しさん@ピンキー2015/04/12(日) 21:59:19.34ID:V1GEk+kz
>>237
ワロタ GJ!
依子のことだから髪型も完璧に不二子ちゃん風に巻いてるはずなんだが、眼鏡は外さないんだろうなあ

ヘルメットがフルフェイスだったら、また別のキャラができるんだが
巧の守備範囲ではないか
(むしろ依子の中の人の守備範囲かな)

>>241
GJ!
こういうの好き。
ストレートなエロより、妄想掻き立て系っていいですね。
0244名無しさん@ピンキー2015/04/12(日) 22:13:04.27ID:/4Ty8M1/
>>237
GJ!
DTは初体験後しばらくは、外でデートしてても欲情して結局お家デートになるのかなとニヤニヤした。

>>241
GJ!
巧は第一話でT字カミソリ使ってたもんね。
依子はリサーチしまくって「これだ!!」というシェーバーを巧に与えたんだろうなw
0245名無しさん@ピンキー2015/04/12(日) 22:55:53.07ID:GYZ/XHJg
皆様にGJ頂き、感謝申し上げます!

巧に、電動カミソリなんて情緒がない!とか言わせたかったのですが、ケンカが長くなりそうでしたので、このくらいで。
0250名無しさん@ピンキー2015/04/16(木) 11:39:14.45ID:cnLlduNF
そうなんだ
ドラマ映画の類ふだんほとんど観ないもんで知らなかったw

ってことはあの映画ってもしかして凡(ry
0251名無しさん@ピンキー2015/04/18(土) 08:24:19.94ID:fmO8vfPO
やるぢゃん☆
0252名無しさん@ピンキー2015/04/19(日) 01:04:45.63ID:jMJE20vz
もしすっぽんデートが上手く運んでいたら
クローゼットの鷲尾は一体どうしたんだろう
0253名無しさん@ピンキー2015/04/19(日) 01:30:58.67ID:4AlpN/xd
>>252
ほんとだよね
始まっちゃったらクローゼットから出るに出られないし
依子が巧に勝負下着見せてた時も、
あの隙間から食い入るように見てたぐらいなのに
鷲尾不憫すぎるw

職人さま、降臨してくださらないかしら
0254名無しさん@ピンキー2015/04/19(日) 06:13:42.90ID:y/9nIvid
http://womancafe.jp/app/suiminapp/


この一番下の『好みの夢』を睡眠中に見れるアプリが面白い
0255名無しさん@ピンキー2015/04/19(日) 07:03:17.56ID:lt5VzjAO
>>252
鷲尾くんからしたら家に誘われて勇んで行ったら、他の男に迫りまくる現場だもんね
始まってしまったら地獄だったね
0256名無しさん@ピンキー2015/04/19(日) 10:11:17.00ID:ss0Ba+nW
さすがに人のいい鷲尾くんなので始まる前に出てきちゃうでしょう
0258名無しさん@ピンキー2015/04/23(木) 04:55:29.06ID:yImhIn7o
でも、男なら、しっかり受け止めて抱いてやれよバカヤローだから…
どっちみち泣いてましたね
0259名無しさん@ピンキー2015/04/23(木) 15:46:30.55ID:M8GlBmN+
鷲尾君可哀想だよな〜
好感持てるタイプのライバルキャラだったから幸せになって欲しいわ
0262名無しさん@ピンキー2015/04/28(火) 22:19:51.68ID:JbgZ/sAe
恋の魔法ネ☆
0263名無しさん@ピンキー2015/05/01(金) 10:18:20.02ID:9Q3LZYeP
本スレがエロパロ化しててワロタ

渡した林檎を巧がかじった時
巧が林檎の芯ごと手を握ってきた時
桜の下で巧が手を握ってきた時
依子フェニルエチルアミン出まくったね
0264名無しさん@ピンキー2015/05/01(金) 10:35:03.36ID:zK7Da2Cn
巧がフェニルエチルアミンどばどばだったのは
お雑煮号泣シーン
河原で号泣シーン
とか?
0265名無しさん@ピンキー2015/05/01(金) 14:54:56.80ID:5joKvc66
留守電吹き込んでるシーン
003でやってきたのを眺めてるシーン
お雑煮から帰ってきてぼんやり窓のほうを眺めてるシーン
婚姻届貼り合わせて持ってきて鷲尾と鉢合わせた後、依子の部屋で2人の様子窺ってるシーン
神社で絵馬書いてるシーン
デートの準備は何もするなと電話してるシーン
0266名無しさん@ピンキー2015/05/02(土) 01:58:18.74ID:FTGVNSDD
依子と電話中「すけこまし」と言った後の巧の溜息
電話のシーンはお互い気が付いてないけど未練タラタラの雰囲気でモヤモヤするw
1回目のデートで最初に電話かけたのが巧だったけどとりあえず依子が鷲尾と事を住ませてないか気になっていると妄想
なんせ「性欲はちゃんと有るんです」って言ってたからw
0267名無しさん@ピンキー2015/05/06(水) 11:39:23.13ID:qutwd4JR
 
0268名無しさん@ピンキー2015/05/10(日) 00:28:20.62ID:m4Jftmk5
相変わらず毎日ケンカしつつ
時々林檎かじりっこしてるかな
0271名無しさん@ピンキー2015/05/13(水) 20:56:10.27ID:MeJBWMLU
>>279
同感!!
0272名無しさん@ピンキー2015/05/14(木) 01:14:51.71ID:Zydy0h1h
この2人のキスってディープじゃないけどなんかエロい
キスする寸前の巧の表情とかDTと思えないw
0273名無しさん@ピンキー2015/05/14(木) 01:23:36.66ID:ZMsguZns
留美さんにお金せびる時の目ヂカラで迫るバージョンも見てみたい
0274名無しさん@ピンキー2015/05/17(日) 01:18:38.32ID:kJEHsXMk
      |ハ,_,ハ
      |´∀`';/^l
      |u'''^u;'  |
      |∀ `  ミ  ダレモイナイ・・・
      |  ⊂  :,    トウカ スルナラ イマノウチ
      |     ミ
      |    彡
      |    ,:'
      |''~''''∪
0275名無しさん@ピンキー2015/05/17(日) 01:19:37.41ID:kJEHsXMk
「確認しておきたいことがあります」
依子が言い出したのは、心地よい気だるさを感じながらただ天井を眺めている時だった。
依子の部屋に巧が泊まりがけできたのはもう三度目のことだった。
狭いシングルベッドに身を寄せ合っているから、耳元で囁かれているようだ。
「確認?」
「私たちの体の相性について、です」
「は・・・・・・?」
巧は思わず体を起こして依子を見た。至って真面目な顔をしている。
「な、何をいきなり。ま、また変な雑誌でも読んだんだろ」
「情報収集のためです」
「・・・何の情報を収集するんだよ」
「いろいろです。それで?」
「え?」
「相性について。いいと思いますか?」
巧は元通り横たわって、それでも足りずに顔をそむけた。
「どうかしましたか?」
依子の指が巧の頬に触れて、よけようとした巧はベッドから仰向けに転がり落ちた。
「赤くなっていますね?」
「君が恥ずかしいこと聞くからだろっ」
「でも確認の必要があることです」
すました顔をしているが、依子の口元が笑いをこらえているようにピクピクしている。
「じゃあ」
巧はベッドに這いあがった。
「確認のためにもう一回」
「えっ」
「嫌?」
「・・・やぶさかではありません」
0277名無しさん@ピンキー2015/05/17(日) 17:39:41.87ID:WUGQ6RcZ
>>275
GJ!
とってもふたりらしい感じで可愛いわ
ふたりの声で再生されてニヤニヤしちゃう
0280名無しさん@ピンキー2015/05/20(水) 17:40:00.50ID:rSBCIvoJ
おめでとう!SPあると良いな

ザテレビジョン第84回ドラマアカデミー賞

おめでとう!

【最優秀作品賞】
デート〜恋とはどんなものかしら〜

【主演女優賞】
杏 (デート〜恋とはどんなものかしら〜)

【助演男優賞】
長谷川博己 (デート〜恋とはどんなものかしら〜)

【脚本賞】
古沢良太 (デート〜恋とはどんなものかしら〜)

【監督賞】
武内英樹、石川淳一、洞功二 (デート〜恋とはどんなものかしら〜)

http://thetv.jp/feature/dramaacademy/archives/
0281名無しさん@ピンキー2015/05/26(火) 10:37:58.60ID:e1foMG2n
午後23時50分。藪下依子からの着信だ。
「藪下です。夜分遅くにすみません。ちょっと確認したいことがあるのですが」
「ええ、どうかしましたか?」
自宅のベッドに横たわり、眠りそうだった瞼を薄く開けながら優しく巧は答えた。

「あの…本当に…、今日が、あなたも初めてだったんですか?」
依子はまだ信じていないようだ。

「僕が意外と上手かったから驚いた?」
得意気な巧の声に依子は一瞬アヒル口をしそうになったが、
巧の燃えるような熱い眼差しや、美しく滑らかな指の動きを思い出し、赤面した。

「また、僕と…したいの?」
「……あなたにリードされるのは不本意なんです。こんな展開になるのは想定外でした。
 谷口さんがあんなに激しく突いたり、様々に角度を変えて攻めたりするとは思わなくて…」
「待って待って!何か言葉のチョイスが恥ずかしくなってきたからやめて!」
巧はベッドから上半身だけ起こして慌てた。一体どうしたんだ彼女は。そんなに興奮が冷めやらないというのか。

「ともかく、私はあなたほど満足は得られていないんです。あなたは何度も何度も
 穴に入れて快感を得られたでしょうけど。私の何がいけなかったんでしょう?」
また身も蓋もないストレート過ぎる表現だな、でも、まぁいいか、と巧は苦笑した。

「…たぶん、君にいいところを見せたかったからだと思うよ。
 それに、こういうのは理屈じゃない。君ももっとリラックスして力を抜けばできるさ。
 君が望むなら、いつでもお相手するよ。」
ふうっと息を吐き、依子が大きく頷くのが携帯ごしに伝わってきた。
気を取り直してくれたようだ。良かった。

「わかりました。では、来週土曜のデートも同じ場所でお願いします。おやすみなさい。」
「うん。おやすみ。」
依子はカレンダーにピンクのペンで大きなハートマークを書き、その中に
「ビリヤードデート」 と記入した。
                         (終)
0282名無しさん@ピンキー2015/05/26(火) 22:31:45.40ID:+Kc3KEZz
>>281
ちょwww 最後のオチww
GJGJ!! 和んだ〜
デートが楽しくなってきたようで何よりだね
0283名無しさん@ピンキー2015/05/26(火) 23:05:48.41ID:P2Vc5Lr8
>>281
GJ!ありがとうございます
途中までえっ巧が?とドキドキしちゃった
でも最後でワロタww
0284名無しさん@ピンキー2015/05/26(火) 23:23:23.27ID:7onR2PiJ
>>281 GJです!!
依子かわいい〜

当たる角度とか計算すれば勝てるはずなのに、計算通りにコントロールできなくて悔しいのかなぁ
0286名無しさん@ピンキー2015/05/27(水) 10:16:35.99ID:zgmVGA4f
>>282 >>283 >>284 >>285
皆様、GJありがとうございます!
9話の電話シーンで巧がアドバイスしてるシーンが大好きで書いてみました
依子の良き理解者としてこれからもほのぼのデートを続けていってほしいです
0287名無しさん@ピンキー2015/05/28(木) 14:28:57.10ID:PVagNbyG
6月3日(水) 17:30 依子の部屋にて

「…谷口さん、何ボーっとしてるんですか!これでは、来年も1枚も取れませんよ!」
向かい合って正座した依子が、真剣な表情で人差し指をピッと立てて見せた。

来年のお正月に向けて百人一首の特訓をしましょう、と提案したのは彼女だ。
カルタなんて正月にしかやらないゲームだし、練習する必要なんてないと思ったけれど
人混みでデートするのは苦手だし、たまにはこういうのも悪くないかと安請け合いした。
が、それが失敗だった。

「え?あ、ああ、うん…今日はちょっと調子が出ないみたいだ。ごめん。」
我に返った巧は力なく笑い、珍しく素直に謝った。まだ札を1枚も取れていない。
(僕が集中できない理由は君にあるんだけどな…)
(でも、正直に言ったら絶対に嫌われるだろうな…)
依子に言うべきか否か、巧は迷っていた。
なぜなら、依子が札を取ろうと前かがみになる度に、ノースリーブシャツの胸元が視界に入ってくるから。
見ないようにしよう、いけないいけないと自分に言い聞かせても、ついつい目が行ってしまう。

「さっきから気になってたんだけど…、今日は、いつもと雰囲気違うね。」
巧はこの状況に耐えかねて、さりげなく聞いてみることにした。

「そうですか?6月に入ったので夏の衣替えをしたんです。今日は特に蒸し暑いので、薄手のシャツにしました。」
さらりと答える依子。やっぱり胸元を僕に見られていることに全く気付いていない。

「そっか…。僕は君に誘われているんじゃないかと気が気じゃなくて…」
独り言のようにつぶやきながら、横目で様子を伺ってみる。気付いてくれたか…?

「??どういう意味ですか?」
ああ、僕がこんなに心乱されているのに、君は真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
そうだよな。誘ってるわけ…ないよな。

「………いえ、いいです。君は明日仕事だし、僕はもう帰ろうかな。」
巧は帽子を被ると、玄関に向かった。
「わかりました、特訓はまたの機会にしましょう。では、私が夕食を作ります。」
「ありがとう。でも、これ以上君のそばにいると、理性が…ね?」
「え?」
巧は微笑むと、優しく依子の両腕を引き寄せ、肩にそっと口づけた。
「僕と一緒にいる時だけにしてよ、そのシャツ。」
それだけ耳元で囁くと、くるりと踵を返し足早に帰って行った。

依子は今触れられたばかりの両腕を抱え込み、鼓動が平常になるのをしばらく待った。
顔は火照るし、肩は口づけされた時の感覚をリピートしすぎて麻痺してきた。
谷口さん、どうしてくれるんですか?別れ際にこんなことされたら、今夜は寝られそうにないじゃない!

部屋に戻った依子は、谷口巧ノートを引っ張り出すと、勢いよく書き始めた。

                                     (終)
0288名無しさん@ピンキー2015/05/28(木) 16:49:39.85ID:PVagNbyG
何をやってもノートに詳細に記録されてしまう巧がちょっと不憫ですが(笑)
依子が好き過ぎて大事に思うあまり、簡単には手を出さない巧と
素直に嬉しさを表現できずに戸惑う依子に萌えております。
もう、DTとSJのまま結婚して初夜を迎えて欲しい!
0289名無しさん@ピンキー2015/05/28(木) 19:21:50.52ID:ODszfVC+
>>288
GJ!GJ!
肩にキス!!萌えました〜!
巧依子の夏服どんな感じか密かに気になってたから脳内補完されました
DTとSJの初夜ドキドキだねw
0290名無しさん@ピンキー2015/05/28(木) 22:17:18.82ID:IxkixKfs
>>287
GJ!
無防備依子に萌えた〜
そして夏服でも帽子はマストな巧の拘りもgood!
やっぱりパナマ帽かしら
0293名無しさん@ピンキー2015/05/29(金) 08:38:54.38ID:FLJ5G7y3
底なし沼だからなw

そろそろ絡みも読みたいっす…
と全裸でお願いしてみる
0296名無しさん@ピンキー2015/05/31(日) 01:40:38.88ID:11vbPwQd
年齢的にも巧みの方が先に死んじゃうから依子は寂しくてしょうがないだろうね
底なし沼〜
0297小夜子さん12015/05/31(日) 13:58:59.93ID:S33yT3Dz
夏のある夜、藪下家にて。

「かあさん、依子、大丈夫かなぁ…」ビールを飲みながら俊雄は浮かぬ顔でいた。

「もう、心配しすぎよ、あなた。あの子も来年は小学校入学だし。
それに、案外楽しみにしてたのよ、今日のお泊まり遠足。」

「そうか・・でも、心配だなぁ」

「・・・もう、ビールそれぐらいにしておいたら?」

「あぁ。でもね、せっかく君も夏休みが取れたのに、家族でどこか行きたかったよ。ほら海水浴とかさぁ」

「あの子、海は苦手なのよ、泳げないし。それよりあなた、後片付け、お願いね」

「えっ、あ、ああ」

そう言って小夜子は食卓を離れて、行ってしまった。

「後片付けお願いねっ」て、何か怒らせてしまったのだろうか・・・かあさん、案外、気難しい一面もあるからなぁ。

そう思いながらビールを飲み干し、しぶしぶ、俊雄は夕食の片付けを始めた。

のろのろと洗い物をしていたが、ふっと顔を上げた。
(・・・あ!あ!あ!しまった!そういうことかぁぁ)
0298小夜子さん22015/05/31(日) 14:00:49.74ID:S33yT3Dz
そう、小夜子の夕食後の「後片付け、お願いね」は

「今夜はオッケーよ♡」の合言葉だったのだ!!!

私としたことが、父親としての日常にすっかり慣れてしまって、男であることを忘れていたなんて!
今夜のメニューが、にんにくたっぷりの餃子の時点で気付かないなんて!
いやいや、そもそも、依子のいない日に、わざわざ小夜子が休みを合わせて取った、
ということはそういう事ではないか!!

ソワソワしながら洗い物を済ませ、皿を片付けていると小夜子がやってきた。

「あなた、お風呂空いたからどうぞ」

「あ、ああ。じゃ急いで入ってくるよ」

「ふふふ、ゆっくりで大丈夫わよ、今夜は依子、いないんだから」


俊雄は、風呂に入りながら思い出していた。

(初めての日も、小夜子の策略にまんまとハマったよなぁ・・・あの時は初めてなのに、あんなことも、こんなことも・・・
あああ、いかんいかん、今から興奮してしまっては!長い夜が待っているではないか!)

冷水を浴び、精神統一をしてから、風呂からあがった。

寝室ヘ向かう。明かりを落とした部屋に小夜子があちらを向いて横たわっている。
タオルケットを掛けているが、くびれた腰のラインがくっきりとわかる。

(ああ、この肢体を今夜は独り占めできるのだ)

そう思うと、身体が熱くなってきた。

(いかん、はやまってはいかんのだ)

大きく深呼吸をして、はやる気持ちをおさえながら、そっと手を伸ばした。
0299小夜子さん32015/05/31(日) 14:06:04.54ID:S33yT3Dz
「あなた、合言葉、忘れてたでしょ」
いたずらっぽく振り向きながら小夜子が見つめる。
「そ、そういう訳ではないけれど・・」
「ま、いいわ。ねぇ、あなた・・・は、や、く」
小夜子の手に導かれ、素肌に触れる。
小夜子も自分と同じように熱い。肌をあわせるとお互いの熱が伝わり、汗ばんでくる。
たまらずに、口づけをする。舌を絡めながら小夜子を組み敷く。
両手でそのふくよかな胸を揉みしだく。
「あ、あ、いいわ。あなたの大きな手で揉まれるのがたまらないわ・・もっと激しくしていいのよ・・ああ」
乳首が固く立っている。たまらずにむしゃぶりつく。舌で転がしながら、空いた手を小夜子の胸から、背中、太腿に這わせる。
柔らかい。
どこまでも柔らかい肌に、思わず力が入る。太腿から足先までを思う存分、撫でまわす。
「ああ、あなたぁ・・」
徐々に内腿に手を這わせていく。指が小夜子の秘所に触れると、ぐっしょりと濡れている。。
「もう、こんなに?」
「だって、あなた、このところすっかり父親になってしまっていて、寂しかったのよ、私」
「ごめん・・・」
もう一度、小夜子をきつく抱きしめ、口づけをする。
「ねぇ、あなたもこんなに・・」
小夜子のしなやかな指が、いきり勃ったモノに絡みつく。
「あ、ああ、だ、だめだよ…そんな風にされたらい、いってしまうよぉ、小夜子・・・」
「私は、いいわよ。あなた、さあ・・」
仰向けになった俊雄の上に、小夜子が跨る。
「いいわよね、あ、な、た」
「は、はい。い、いいです、、あ、あぁ」
俊雄のモノをしっかりと捉え、小夜子はぐっと腰を落とす。大きなソレが、小夜子の中にずぶずぶと入っていく。
「いいわ、あなたの・・大きくて、凄くいいわ。はああぁ、深く入っていくわ・・・・」

一旦、ぐっと深くまで俊雄のモノを自らに押し入れると、たまらずに小夜子は後ろにのけぞった。
「はぁああ、これよ、これが欲しかったのぉ」
小夜子は自ら腰を動かし、切なそうに頭を振る。いやらしい水音が吐息に混じって部屋に響く。
「はぁ、はぁ、さ、小夜子の中、凄く締まって、ああ、あぁ、い、いってしまうよぉ」
俊雄も小夜子の動きに合わせて、下から突き上げていく。
「あなた、いいわ。 さぁ、私の中に・・・出してぇ・・・あ、あぁ」
・・・・・・・
「ねぇ、あなた、・・・大丈夫?」
小夜子が覗き込む。
「ああ、久しぶりで・・・ちょっと早かったか?すまん・・・」
「ふふふ、そんなことないわ。やっぱりあなたの、すごく好きだわ」
「ああ、君も変わらず素敵だよ。ぼくは本当に幸せだよ」
「ふふふ。じゃ、次はあれ、やってくれる?」
「ああ、もちろん、望むところだ」

夏の夜は更けていく。。

おわり
0300名無しさん@ピンキー2015/05/31(日) 14:18:15.71ID:S33yT3Dz
「私にはテクがあったから!」の小夜子さんのセリフから
(これも依子の妄想だっけ?)
元気な頃の依子ママ小夜子と依子パパ俊雄で。
0301名無しさん@ピンキー2015/05/31(日) 15:49:34.71ID:nY/7JMnc
>>300
GJお見事でした!
巧依子以外の絡みって誰だろうと思ってたんだけどまさか依父母だったなんて!
小夜子の色っぽい声とお父さんのドギマギした声で再生されたよ〜。
0302名無しさん@ピンキー2015/05/31(日) 15:51:06.53ID:nY/7JMnc
>>300
GJお見事でした!
巧依子以外の絡みって誰だろうと思ってたんだけどまさか依父母だったなんて!
小夜子の色っぽい声と依パパのドギマギした声で再生されたよ〜。
0303名無しさん@ピンキー2015/05/31(日) 16:55:21.54ID:oDbZAH/u
>>300
GJです
依子両親とは意外でした。
小夜子さんエロいww
松重さんを若く設定せずに妄想しそうになってうわぁぁぁってなりかけたw
0304名無しさん@ピンキー2015/05/31(日) 20:17:19.07ID:w0gi3gfG
小夜子さん、色っぽくて可愛いですね。
ピュアや夏子の酒の頃の小夜子さんを思い出しましたよ♪
GJでした!
03053002015/05/31(日) 20:49:53.94ID:S33yT3Dz
皆様、GJありがとうございます!
0306名無しさん@ピンキー2015/06/01(月) 08:56:05.97ID:9Hsf0py/
おおー大人の恋だぁぁ
そうかこういうパターンもあるんだよねデート
私は巧依子以外ということなのでもしかして宗太郎!?とか必要以上に身構えていましたw
0307名無しさん@ピンキー2015/06/06(土) 23:28:20.78ID:QvA/gd4c
二人の初夜はいつになるんだろう。
まさか結婚式夜とかないよね?
0308名無しさん@ピンキー2015/06/07(日) 14:34:40.97ID:LYJT/Y9z
依子を強引に押し倒す巧が見たいなあ。
0309名無しさん@ピンキー2015/06/07(日) 22:51:55.39ID:TbqPh1/y
クリスマスの時に時代遅れのバブリーカップルに呆れてたけど
何らかのリサーチの結果、張り切って
巧の誕生日に私がプレゼントですと自らをラッピングしそう
巧もいつも通り面食らいながらもまんざら出なさそうな感じで
0310名無しさん@ピンキー2015/06/08(月) 10:20:14.93ID:xznh55U3
9話で俊雄が依子の家に携帯チェックしに来たシーンで
「シャワー浴びてくるわ」と言って居間を出てからお風呂のドアの音までが7秒、
それから7秒後にはシャワーの音が聞こえてたんだけど
依子は服を脱ぐスピード早すぎない?
巧の前でも躊躇せずに自分から脱いで「さあどうぞ」とか言って
「落ち着きましょう、もう少し勝負下着姿を見てからにします」とかたしなめられてそう
0311名無しさん@ピンキー2015/06/16(火) 02:05:43.93ID:RESc8itq
長谷川博己が巧を演じなければ、
エロパロにスレできなかったんだろうなあ
ただのキスシーンなのに何でこんな色気でるんだ?
0312名無しさん@ピンキー2015/06/16(火) 08:49:18.79ID:6RxOxE+x
>>311
ハセヒロは「八重の桜」の時も、
綾瀬はるかの手を握るだけなのに、めっちゃエロかったからなぁw
0313名無しさん@ピンキー2015/06/16(火) 16:59:42.35ID:PwIeeQBh
>>311
DTとSJのぎこちないキスなのにエロイって不思議だよね
長谷川さんはデートでハマってから過去作品レンタルして色んなドラマでキスシーンしてるの見たけどデートが一番エロイ感じする
役によってキスの仕方も全然違ってすごいと思った
演出の良さやもちろん杏ちゃんが良かったからでもあるよね
0314名無しさん@ピンキー2015/06/17(水) 00:40:33.65ID:bXtR0vPD
あの林檎の芯を握りあってベトベトに濡れてる手を握るだけで終わってもエロかったのにね

キス直前のあの巧の目はヤバいっていうか「目で犯す」感じ
杏はあの後大丈夫だったのか?w
0315名無しさん@ピンキー2015/06/17(水) 13:31:37.23ID:ZmlsQyRH
6月21日(日)AM11:05
毎日毎日梅雨空でうっとうしい天気が続く。
今日は依子の提案により、彼女の家でデートすることになった。
玄関のドアを開けて出迎えた依子の姿に、巧はたじろいだ。

「…やあ、あの…雨降ってて、ちょっと遅れちゃって…ごめん」
「いえ、5分くらいの遅刻は想定内です。さあ、谷口さんもこちらに着替えて下さい。」
依子はきれいに折りたたまれた、おそろいの衣装をビシッと巧の前に差し出した。
「いや、僕はこのままでいいよ。何か恥ずかしいっていうか…初心者だし」
「私がこの日のためにどれだけ準備したか知ってますよね?
 先週お渡ししたDVDと本で予習までお願いしたというのに、あなたという人は」
依子がアヒル口になりかけたので、巧は慌てた。

「わかった、わかった!着替えるからちょっと待ってて」
巧は無理に笑顔を作ると、仕方なく依子が用意した衣装に着替えた。
「谷口さん、よく似合ってます!では、さっそく始めましょうか」
機嫌が直った依子が躊躇なく巧のすぐ隣に寄ってきた。室内でこんなに近い距離に来られると緊張する。
やばい、ドキドキして胸が妙に苦しくなってきた。まだ心の準備ができてない。どうしよう。

「何固まってるんですか。早く触って下さい」
「あぁ、そうだね…初めてだから自信なくて。じゃあ、もし何か違うと思ったら教えて」
「わかりました、まずはあなたの思うとおりにやってみて下さい」
「…君が満足してくれるように努力するよ」
意を決した巧はゆっくりと手のひらを近づけ、そっと触れてみた。依子の表情は変わらない。
思った以上に柔らかく、滑らかで指が吸い付くような、いつまでも触っていたい感覚に驚く。
巧は指に少し力をこめて優しく揉みしだきながら、依子の反応を伺った。
「どう?…こんな感じでいいのかな?」
「そうですね…初めてにしては悪くないと思います。が、もっと強く両手で掴んでほしいです。
 怖がらずに、思い切って、かつ繊細にお願いします。」
「そうか…。なかなか難しいな。じゃあ、今度は僕の本気を見せるよ」
「はい…よろしくお願いします」依子は神妙な顔で頷いた。

巧は額に汗を浮かべ、依子の希望通り、懸命に手を動かした。自分の顔が、体が、熱くなるのがわかる。
息が上がってくる。ふと顔を上げて彼女を見ると、頬を紅潮させ瞳が潤んでいるのがわかった。
「谷口さん…すごく…いいです。私のためにこんなに頑張って下さるなんて。ありがとうございます。」
「いや…君のおかげだよ。…じゃあ、そろそろ、次に進もうか?」
依子は微笑みながら無言で頷いた。
0316名無しさん@ピンキー2015/06/17(水) 14:07:23.54ID:ZmlsQyRH
「じゃあ、いくよ…」
巧は緊張を悟られないように努めて冷静を装った。
ここだと思った位置に狙いを定めると、思い切って力を込めてみる。
「あっ……谷口さん、少し、太すぎる…かも…」
「ご、ごめん!このくらいが普通だと思ってたから…」
「ここです。ひたすら無心になって下さい。きっとあなたならできます!」
しびれをきらした依子の手が、巧を正しい位置へ導いた。
「あ、本当だ。成程…だんだんコツがわかってきたよ。これで、最後まで頑張れる!」
巧は今までの気弱な自分を忘れ、依子のために夢中でリズミカルに動き続けた。
「谷口さん、ゴールまであと少しです!」依子が目を輝かせている。
「君は…どうしたい?」
「私は、ぶっかけが好きです」
「わかった、僕もその提案に乗るよ」
巧は依子を抱き寄せて軽くキスをすると、キッチンへ向かった。
   
〜15分後〜
「やはり、日曜の昼は蕎麦に限りますね。谷口さんが作ってくれたぶっかけ蕎麦、
 とってもおいしいです!」
「それはどうも。君が喜んでくれて良かった。また何か料理を教えてよ」
「はい、次はたくさん作って父や留美さん達をびっくりさせましょう!」
おそろいの蕎麦打ち衣装の2人は、次は何を作ろうか、あれこれ話し始めた。

                                    終
0317名無しさん@ピンキー2015/06/17(水) 14:45:55.52ID:JAcrUkKO
GJ!
おそろいイイネ!

このパターンで他のも作れそう
次回作も期待
0318名無しさん@ピンキー2015/06/17(水) 23:12:14.26ID:uIfEF4+G
GJです!!

巧の美しい指で作られた蕎麦は美味いだろうなぁ。
依子さん、羨ましい!
0319名無しさん@ピンキー2015/06/17(水) 23:16:19.42ID:d6I73C+E
蕎麦屋の衣装を思わずぐぐってしまったwww
白と黒があった 依子セレクトはどっちだろう?

楽しいデートだなあ ほっこりしました
0320名無しさん@ピンキー2015/06/18(木) 08:41:45.29ID:VycRXVPx
>>317 >>318 >>319
皆様、GJありがとうございます!
何だかんだ言いながらも、依子のためなら頑張っちゃう巧を応援してます。
「恋愛感情を排除した交際」と言いながらイチャイチャな2人が好きです。
0321名無しさん@ピンキー2015/07/08(水) 15:36:51.09ID:ahPk5wbU
7月8日(水) 20:30 依子の家にて

「谷口さん、また料理の腕を上げましたね。とても美味しかったです。ごちそうさまでした」
向かい合って座った巧に、依子は深々とお辞儀をした。
「ん。良かった。レシピ通りに作るのも飽きてきたから、
 今度は何か新メニュー考えてみようかな」
腕まくりをした水色のシャツに白いエプロン姿の巧は、満足気な表情を浮かべた。
「皿洗いまで僕がしとくから、座ってて。仕事で疲れてるんだろ?」

週に2回は依子の家に来て、夕食を作って待つのが巧の日常になっていた。
これは契約結婚の予行練習だ、とか最初は依子はいちいち声に出して宣言していたけれど、
最近は巧が待っている家へ帰るのを心待ちにしていることに、依子自身戸惑っていた。
谷口さんは、私と会って食事することを楽しみにしているんだろうか?それとも…?
依子は頭を振って考えることをやめた。そう、私たちには恋愛感情は不要なのだから。


「肩たたき券、使います?」
皿洗いを終えてキッチンから戻ってきた巧が尋ねた。
「そうですね。背中を中心に指圧をお願いできますか?なかなか疲れが取れなくて。」
「あ、そうだ。もっと効果がありそうなの、やってみる?チベット体操っていうんだけど」
「チベット体操?初めて聞きました。どのような体操でしょうか」
「えっと、まあ、ヨガみたいなものです。この間テレビで長谷川なんとかっていう俳優が
 やってたのを見て。健康を保つ秘訣らしいよ。1個覚えてるのをやるから見てて」
巧は靴下を脱ぎ、四つん這いになると膝を伸ばし、腰を高く上げた姿勢をとった。
「ここから、ちょっときついけど膝やお腹を床に着けずに、上体を反らして…」
巧は腕に力を込めると腰を徐々に落とし、滑らかな動きで背中をゆっくり伸ばした。
そして顔を天井に向けると、恍惚とした表情を浮かべ視線を依子に向けてきた。
「けっこう効くよ。背中が伸びると気分がすっきりするし。あと、呼吸法も重要で…」
依子には巧の話が耳に入ってこなかった。ずっとこのまま見ていたい。
長い手足、きれいな指、整った横顔、シャツの隙間からチラリと見えたお腹…。

「ねえ、藪下さん?聞いてる?」
「え?あ……何でしょう?」
「何でしょうじゃないよ!…もしかして、今変なこと想像してなかった?」
「し、してません!性的なことなんて考えてませんよ!私は!」
「……『性的な』なんて僕は言ってないけど?」
「あ…」
依子が片手で口を押えるのを見て巧はフッと笑った。
0322名無しさん@ピンキー2015/07/08(水) 15:38:58.62ID:ahPk5wbU
「もうそろそろ帰ろうかと思ってたけど、予定を変更するよ」
エプロン姿のまま、巧は依子に向かって膝立ちでにじり寄った。
「明日の朝食も僕が作る」

「あ…明日はまだ木曜です。早く寝ないと、業務に支障が出るので…」
依子は正座のまま後ずさりしてクローゼットの扉の前まで来ると、顔を窓の方に向けた。
「そうだね。でも僕に先週こんなことしたのは、君だよね?」
巧は左手で扉をドン!と叩くと、依子の顔の前で自分のシャツの胸元を開けて見せた。
そこには、赤い花びらを散らしたような痕がくっきり残っている。

「僕はちゃんと人に見られない場所を選んで、一つだけにしたのに。君という人は…。
 風呂上りに母さんに見られちゃって『佳織ちゃん達には内緒にしといてあげるー♪』なんて言われたよ」
「そっ…その時は、あなたが急に後ろから抱き締めてきたりするからです!」
依子は反論したが、巧は構わず依子の白いブラウスに手をかけた。

そのまま1番上のボタンを外すと、一気に抱き寄せ音を立てて首にキスをした。
「んっ…谷口さん、私の話、聞いて…くれないんですか」
依子は鼓動がどんどん速くなるのを悟られまいと冷静に答えた。
「君だってさっき話聞いてなかったよ?これであいこだ」
2番目のボタンも難なく外すとブラウスの胸元を広げ、鎖骨の辺りをさっきより深く吸った。
「大丈夫。6時には起こしてあげるから」

巧は依子の背中に腕を回すと、軽々と持ち上げて寝室へ向かった。
「また、キスの痕が残ったら困るんでしょう?」
「いいや、浮気防止になるから付けてよ。
 これだけ付いてたら、ちょっとやそっと増えようが変わらないさ」
「それは、私以外の女性に恋愛感情を持つ可能性がある、ということですか?」
「たとえだよ!恋愛感情を持ってるのは君だけだよ!……あっ」
依子はやっと本心が聞けた喜びと巧の照れた顔に思わず吹き出しながら
「私もです」とだけ答えて部屋の明かりを消した。
                               (終)
0323名無しさん@ピンキー2015/07/08(水) 15:45:11.33ID:ahPk5wbU
先日チューボーですよでチベット体操を披露した長谷川さんの色気が
凄かったので書いてみました。よし!巧にもさせてみよう!と。
0324名無しさん@ピンキー2015/07/09(木) 23:45:46.08ID:4hDndQ4e
>>323
GJ!GJ!
久しぶり覗いて良かった!
恋愛感情の告白も良いわ〜

チベット体操の色気すごかったよね!
デートでは鷲尾君が餃子焼いて依子に食べさせてたけど、
長谷川さんの餃子包む指が綺麗で、依子にも作って食べさせてあげて欲しいなと思ったりw
0326名無しさん@ピンキー2015/07/12(日) 10:15:37.36ID:9N6HirmB
>>324 >>325
GJありがとうございます!
デートSPの放送があってほしいと思っていますが、無かったとしても
ここで巧×依子をたまに書いて脳内補完したいです
この二人のやりとりが本当に面白かったので、いつまでも見ていたいです
0327名無しさん@ピンキー2015/07/12(日) 17:16:07.84ID:v3ewrhmo
>>326
本スレの方も過疎ってきたし、寂しくなるのでこれからも投下よろしくお願いします!
0328名無しさん@ピンキー2015/07/12(日) 23:29:15.51ID:RwiZ9bsS
>>332
gj!!!巧の行動も長谷川なんとかさんを模倣した感じのエロさが出てるわw軽々と持ち上げるとかw
0329名無しさん@ピンキー2015/07/14(火) 00:00:16.69ID:Qjh5u9BO
ゴーストって映画で陶芸をしている女の後ろから男が抱きしめながら一緒に手を添えてイチャイチャしてる場面が
巧と依子だったらな〜って思った
巧の綺麗な指で依子の手を触りながらあのヌルヌルの轆轤を・・って想像してしまいました
0330私は努力を惜しまない人間です@2015/07/14(火) 22:58:19.84ID:v6ZI/WzT
依子の部屋

「今夜も予定通り21時より開始しますので、谷口さんはこれを飲んでお待ちください。シャワー浴びてきます」

「あ、ああ。そんなに時間きっちりじゃなくても…」巧が言い終わる前に、依子はマムシドリンクを手渡し、バスルームに行ってしまった。

(相変わらず、サクサク進むなぁ。。)

まだ余裕はないが、手順はつかめてきたし、何より・・・幾多の芸術家が肉欲に溺れて身を滅ぼしてきた理由がわかってきた気がする。
いや、この様な欲望こそが芸術を生み出すエネルギーなのではないだろうか?巧は肉欲を美化する理由を次から次へと頭の中で並べ立てながら、手渡されたマムシドリンクを飲み干していた。

「あれ、21時過ぎてる?いやいや、この目覚し時計進んでる??」自分の携帯電話で時間を確認するとやはり時間はあっているようだ。

(もしかして、じらしている?まさかねぇ)

浴室からはまだシャワーの音がしている。
秒単位で、遅刻だの何だの言う依子が、5分以上時間をオーバーしている、となると何だか心配になってきた。

「や、藪下さん」

浴室のドアのすりガラス越しに声をかけてみた。すると中から、ガタン、と音がした。中はよく見えないが、依子が倒れているような…

(えっ?まさか貧血とか??どうしよう…)

あたふたしていると、シャワーの音が止んだ。

「だ、大丈夫です…よ、予定時刻を過ぎてしまって、 も、申し訳ありません……ぁの、もう少ししたら…そちらに行きますので…」依子がドア越しに返事をしたが、何だか息も絶えだえな様子だ。

「た、体調わるいなら、きょ、今日は無理しなくても良いよ?」巧はうろたえながらこたえた。

「いえ、大丈夫ですから……ベッドで待っていて下さい」

ガタンとまた音がした。巧は心配になって返事をするより先に、思わず扉を開けた。
0331私は努力を惜しまない人間ですA2015/07/14(火) 22:59:30.96ID:v6ZI/WzT
依子は、座り込んで浴槽の縁にもたれかかっていた。肩で息をしてるし、頬も真っ赤だし、視線も定まっていない…巧は急いでバスタオルをとって、依子の肩からかけた。

「熱が、あるんじゃないの?!」
「……ち、違います…大丈夫ですから…」依子はバスタオルを引き寄せた。

カタン、依子の手から何かが落ちた。

「ん?な、なに?」
巧がそれを手に取ると、依子は慌てて取り返そうとした。「何でもないです!返して!」

その小さなものを取り合う2人の手の中で、カチッと音がした。

「きゃぁぁ」依子が急に倒れこんだ。
「と、止めて…は、早くとめてぇ」

「え、え??とめるって、、」巧は手の中それをカチカチとむやみと押しまくった。細いコードの先は…依子の太ももの間につながっている?!
力を入れて引っ張ると、一瞬、抵抗があったが、その先の物があらわになった。

(こ、これってまさか…)

「藪下さん、何やってるんですか!」

「か、返して下さい…」

「これって、ピンクローターってやつですよね?なんでこんなもの…これから僕と…しようって時に…そりゃ僕だって君とが初めての経験で、うまくリードできなくて…僕ばっかり先にイッてしまうからって…だからってこんな…」
0332私は努力を惜しまない人間ですB2015/07/14(火) 23:01:23.64ID:v6ZI/WzT
「ち、違います」

「…ど、どう違うっていうんだよ」

「あ、あなたとの性交渉をスムーズにするためにはどうしたら良いのかと思い、情報収集をしました。
性交に慣れていない女性は、膣内部が潤いにくいために、挿入の際に痛みがあり、痛みによって行為に集中できなくなるのです」

「だから、ぼ、僕が悪いってことだろ…」巧は力なく、膝を落として座り込んでしまった。

巧の言葉を遮る様に依子は続けた。
「膣内部を潤いやすくするためには、イメージトレーニングを行うと良いとの情報を得たのです。
また、イメージしながら、この様な振動を伴った刺激を与える道具を使用するとより良い、とありました」

依子はいつもの様に、理路整然としゃべりつづける。

「ですから、今日に向けて、毎晩、練習しました。
これまでの性交渉の際、あなたに触れられて心地よいと思った部分に刺激を与えてみたのです。
その結果、始めてから約13分で膣内部が潤ってくる、ということがわかりました」
「今夜も練習通りに自分の体が反応するか、心配になり刺激を与えてみたんです。
するとなぜか、始めて1分しないうちに、潤ってきてしまったんです。…しかし、練習では約13分かかっていたのだから、と思いそのまま刺激を与え続けたんです。そしたら、あの……急に…頭が真っ白になって体に力が入らなくなってしまって…」

「じゃあ、十分に潤っている、ということだね……というより、もっと先に行ってしまったと言うべきか…」

巧はたまらずに、依子をぎゅーと抱きしめた。


おわり
0333名無しさん@ピンキー2015/07/14(火) 23:04:23.05ID:v6ZI/WzT
巧のキレイな指を想像してるのは、
依子も一緒かなーと思って書いてみました…
0334名無しさん@ピンキー2015/07/14(火) 23:48:14.58ID:AVgMVHpp
>>33
GJGJです!ありがとう
エロかったー!
二人とも初めて同士で慣れるまで色々悩んだりしそうだし、依子の努力も巧の優しさも良い
続きが読みたいです!
0335名無しさん@ピンキー2015/07/15(水) 20:20:51.31ID:IC5+RTAo
GJです
そんな時でも時間はかってるのが依子らしいよw
巧はがんばれw
0337名無しさん@ピンキー2015/07/16(木) 01:16:30.38ID:ZToLDm/e
巧「依子さん、前にも言ったことあるけど、考えるな、感じろ!Dont think,feel!」
03382752015/07/18(土) 00:22:35.52ID:NtNjgl1Q
二か月も経ってしまいましたが、>>275の続きを書きました。
エロはありません。すみません。
03392752015/07/18(土) 00:23:52.43ID:NtNjgl1Q
「それで?」
「え?」
「確認はできましたか?」
「あっ」
「誤魔化せると思っていましたか?」
「・・・こういうことは口に出して確認したりするもんじゃないよ」
「しかし相性如何によっては今後の交際の継続、さらには結婚を決断するにあたって障害が発生する可能性もありますから、お互いの意見を―」
「い、いいんじゃないかなー他と比べられないけど、間違いなく悪くはないと思うなあ、うん」
「同感です」
「えっ(さらっと?)」
「絶対評価ではありますが」
「そりゃ、相対的に評価はできないよ。でもだからって相対的に評価するために他の人とも経験してみようとか、君はデータ収集と思っていても、それはれっきとした浮気なんだから、絶対ダメ・・・あ」
思わずまくしたてたが、依子がいつもにも増してすごいアヒル口で睨んでいるのに気づいたので、巧は言葉を飲んだ。
「私にだって、貞操観念ぐらいちゃんとあります」
「そ、そりゃそうだ、うん・・・・・・・・・ごめん」
「あの時のことも今は反省しているんです」
「あの時?」
「人間ドックみたいに一日で済まそうとしたと」
「・・・ああ」
しこたますっぽんを食べさせられ、部屋で依子に追いかけ回されたあの時のことだ。
「あの時は僕も言いすぎたよ」
「いえ。そんな簡単なことではないと、今はもうわかりましたから」
「・・・うん」
巧は依子の手をそっと握った。
0340名無しさん@ピンキー2015/07/18(土) 00:25:08.81ID:NtNjgl1Q
「そういえばさ」
「はい」
「あの時着てたあのすごい下着はまだ持ってるの」
「しまってあります。気に入らなかったんでしょう?」
「あの時はびっくりしただけで。・・・・・・待ってたんだけど」
「えっ」
「な、何でもない、何でもない」
「出してきます」
「今はいいよ。ってせめて服を着てから行けよもう」
下着姿のまま勢いよくクローゼットに向かって行った依子の後を、パジャマを持って巧が追いかける。
依子は下着が詰まった抽斗の奥に手を入れてあさっている。
「この、奥の方にしまったはずなんです」
一生懸命に探す依子の様子に、巧は思わず笑ってしまった。
「もういいよ・・・次の機会で」
そっと後ろからパジャマを着せかけて、そのまま後ろから抱きしめた。
「では必ず探しておきます」
「うん」
「それで、次の機会とはいつですか?」
「えっ」
「明日ですかあさってですか。・・・もっと先ですか」
「明日でも、いいの?」
「もちろんです」
「じゃあまた明日来るよ。もう寝ないと日付変わっちゃうよ。明日仕事だろ?」
「・・・帰らなくても」
「何か言った?」
「何でもありません///」
0342名無しさん@ピンキー2015/07/18(土) 00:42:45.13ID:iXcGNOx8
>>338
GJです!!本当にこの二人、かわいい〜
待ってるので、また書いて下さい!
0343名無しさん@ピンキー2015/07/18(土) 14:40:32.74ID:lbp26MK1
>>338
GJです!
ほんと可愛い!
会話のテンポも良くて二人の声で脳内再生されました!
0345名無しさん@ピンキー2015/07/20(月) 23:27:30.33ID:TR7S3JmK
デート時の杏ちゃんと長谷川さんのインタビュー読んだ。
杏ちゃん、進撃の巨人にハマってたのねw
出番待ちとかで、
杏依子「進撃の巨人実写版に出ると聞きました。大変羨ましいです!何故あなたが!キッ」(アヒル口)
巧長谷川「そっそんなに睨むなよ..人気作だなんて知らなかったんだよ...ワイヤーアクションが出来るよ!って言われてつい...」
的な会話とかあったんだろうか?w

長谷川さん、知り合いに散々叩かれたって言ってたけど、その知り合いに杏ちゃんも含まれてほしいw
0346名無しさん@ピンキー2015/07/21(火) 02:38:30.58ID:tQQ/r5li
知り合いの進撃の巨人好きな人は長谷川の演じる役は160cmの小柄な男なのに
なぜ長身の長谷川さんがするのかと散々ぼやいてたw
紅白の審査員の時に杏ちゃん進撃の主題歌終わった後に心臓捧げる敬礼してた
2人とも二次元の体型だから漫画の実写版見たい〜
0347名無しさん@ピンキー2015/07/23(木) 08:48:04.78ID:g0kTe3pv
今日は巧36歳の誕生日だね
依子はどんなお祝いをするんだろう
入念な準備からのサプライズで驚かせたりするのかなー
0348名無しさん@ピンキー2015/07/23(木) 10:22:49.63ID:6aI4vaDU
>>347
「少子化対策における夫婦生活の課題と改善点」
と題した分厚い資料を作成して渡す
0349名無しさん@ピンキー2015/07/25(土) 03:00:20.37ID:Od4ImX5x
バースディケーキを林檎の齧りあいみたいに食べさせあって口に付いたクリームを舐めあう
妄想が浮かんだ
0351名無しさん@ピンキー2015/07/26(日) 03:21:21.26ID:xuWVAp8X
>>349
深夜の妄想力で書いてみました。



7月23日、巧は依子の部屋へ招かれた。
「お誕生日おめでとうございます」
「あ・・・どうも、ありがとう」
「プレゼントですが」
依子はポケットからピンクのリボンを取り出して、鉢巻のように頭に巻いて、額のところで蝶結びに結んだ。
「これでいかがでしょうか」
「は?・・・え?・・・あ、えっと」
巧は完全に固まっている。
「冗談です」
依子は素早くリボンを外して立ち上がろうとした。
「あ、いや違うんだ。待って」
引きとめようとした巧の手を、依子は振り払った。
「そんなつもりじゃ」
「本当に冗談です。プレゼントはケーキです」
キッチンから二人でも食べきれそうなサイズのホールケーキを持ってくる。
いくつかのった苺がハートの形にカットしてあるケーキだ。
「食べログ、というところで横浜でのランキング一位の洋菓子店を調べ、購入しました」
「ふーん。か、かわいらしいケーキだね」
返事はない。依子は真半分に切ろうとナイフを持って真剣にケーキを睨んでいた。
「どうぞ。召し上がれ」
うまく切れたのか、満足げな表情で巧を促す。
「あ、うん。ありがとう」
0352名無しさん@ピンキー2015/07/26(日) 03:23:01.39ID:xuWVAp8X
巧は渡されたフォークを持ったまま、チラチラと依子の顔とケーキを見比べている。
「どうかしましたか?」
しばらくしてから、巧は意を決してケーキを小さくフォークで切り取った。
そしてフォークに刺したケーキを依子に向かって差し出す。
「君から、食べなよ」
「えっでも」
「いいから」
巧はまっすぐに依子を見つめている。
依子は差し出されたケーキを口に入れた。
唇にクリームがついてしまったので、目でティッシュの箱を探す。
依子がティッシュに手を伸ばすより先に、巧が身を乗り出してクリームを綺麗に舐め取っていた。
離れ際に目が合って巧は少し顔を赤くしていたが、そのまま目を逸らさなかった。
依子はうつむいてしばらくの間ケーキを睨んでいたが、巧と同じように、ケーキを切り取って差し出した。
巧は当たり前のようにそれを食べると、またまっすぐに依子を見つめた。
依子はその視線に引き寄せられるように中腰になって、巧の口元に舌を這わせた。
依子は全力疾走の後のように、心拍数が上がるのを感じた。
それから二人はただ黙って、相手にケーキを食べさせ、口元のクリームを舐め取る、という行為を続けた。
やがてケーキは最後の一片になり、依子は名残り惜しく感じながら、その少し大きめのかけらを巧に差し出した。
巧はそれをほとんど噛まずに飲み込んだ。
その行動の意味がわからないまま、依子はそっと舌を伸ばして最後のクリームを舐め取った。
離れようとした瞬間、巧が依子の二の腕をつかんで、依子は思わずフォークを落としてしまった。
落ちたフォークの方を向こうとした依子を、巧は半ば強引に引き寄せて眼鏡を奪い取り、唇を重ねた。
長いキスの後、少しかすれた声で巧が言った。
「君のことももらっていいですか」
二人はわずかの間至近距離で見つめ合う。依子は微かにはにかむように笑った。
「差し上げます」
0354名無しさん@ピンキー2015/07/26(日) 18:21:03.14ID:DosDPiP2
>>352
うわー!GJGJです!!
林檎よりさらにエロくなって///
最後の巧の言葉にやられました
0355名無しさん@ピンキー2015/07/27(月) 00:14:07.83ID:dwEX+r6Q
>>352
エロイですね〜
林檎の齧りあいの後の巧が依子のてをギュッと握って合図した後にゆっくりするキスがとても好きですが
やはりここでも巧が積極的に依子に行為を促してる感じがカッコいい
0356名無しさん@ピンキー2015/07/27(月) 01:12:33.06ID:ftfN6QYo
>>352
GJ!!!
頭にリボン→巧呆然→「冗談です」の流れ好きだw
>>351が可愛くてつい油断したら
>>352が林檎キスよりエロくてびっくりw
0358名無しさん@ピンキー2015/08/05(水) 06:18:01.44ID:FT2UlsIu
乙!!
0359名無しさん@ピンキー2015/08/15(土) 03:28:51.98ID:zyVuJQkZ
保守
03601/22015/08/16(日) 17:33:06.09ID:xuA3QR3g
ロマンティックでもなくエロでもなく、ただの下ネタの会話になりましたが投下します。

-----
谷口家のリビングにて巧、依子、宗太郎が座っている。
宗太郎がまた奥さんと喧嘩しているとのこと。珍しく仲直りの相談を二人に持ちかけてくる。
依子は乗り気だが巧は浮かない顔。
巧は立ち上がり、依子を呼び寄せる。二人は顔を近づけこそこそと話す。

「ちょっと依子さん、こっちこっち」
「なんですか」
「まさか、宗太郎の言うことを聞くつもりじゃないだろうな」
「お困りになっているんですよ!巧さんこそ大変貴重なお友達を見捨てるんですか?」
「そ、そそそうじゃない!確かに宗太郎の言うことは聞いてやりたいよ。でも今回旅行を一緒に行くっていうのはちょっと・・・」
「旅行先で仲直り、確かになぜわざわざ遠出する必要があるのかという疑問はありますが、宗太郎さんたちにとってはベストな選択だ、ということですよ」
「そこだよ。旅行なんて行かなくても別のやり方もあるだろ。…それに、君との最初の旅行は二人きりで行きたいというかなんというか…」
「え」
「今なら避暑地に言って自然の中を散策するのも良いし、ちょっとした温泉宿に行くのも良い。露天風呂付個室なんて最高じゃアないか」
「露天風呂付個室…」
「そうだよ。何をするわけでもない。露天風呂に一緒に入って部屋でのんびりするだけでも良いだろ」
「…何かしてるじゃないですか。巧さんの破廉恥」
「ぼ、僕だって男だぞ!」
「よーく存じ上げております」
「それに、僕は一言も具体的にスケベなことを言ってないっ!君も同じことを考えてるってことじゃないか!」
「う…。ま、まあなかなか良いアイディアだ、とは言えるかもしれませんね」
「だろ。だからここは話を変えてしまおう。僕に任せてください」
「宗太郎さんを見捨てるということだけは駄目ですよ」
「分かってるよ。…僕らの旅行の話は後でしっかり相談しよう」
「もちろんです」

ソファに戻ろうとした依子の手を巧はつかむ。
巧、依子に対して謎の目力を使う。不思議そうな依子。
03612/22015/08/16(日) 17:33:40.55ID:xuA3QR3g
「…」
「?なんでしょう」
「あと、あの、さっきの僕がどうたらってやつ」
「銅と鱈?」
「僕が露天風呂に入ってどうのって言った時の君の言葉だよ」
「『何もしない訳ない』」
「そのあとだ」
「ああ、『巧さんの破廉恥』ですか」
「そう、それです」
「すみません。気分を害していましたよね」
「違う、本当に嫌だったわけじゃない」
「では、一体」
「…後で二人きりになった時にもう一度言ってくれませんか。婉曲的に言えばベッドの上で、ということになりますが」
「……それくらいなら何度でも言いますよ」
「いや、いいか、何度でも言えば良いってもんじゃない。君が最もベストだと思うタイミング、つまり僕のことを一番そうだと思った時に言えば良い…って僕は何を言っているんだ!!」
「ではやめますか」
「いえお願いします」
「わかりました。あなたと私が最もベストだと思うタイミングが同じである、ということを見せ付けてあげましょう!」
「………変なことになりそうだな」

「聞こえてんだよ!お前らいい加減にしろ!」

宗太郎のツッコミが響いた。

おわり。
0362名無しさん@ピンキー2015/08/16(日) 21:28:46.02ID:Gcz4UDKA
>>360-361
GJです!
依子巧の息の合ってるようなズレてるようなかけ合いがいいですね
何回も読み返して笑いました
0363名無しさん@ピンキー2015/08/17(月) 00:29:39.03ID:7ydkOGpJ
>>360
GJです!
目に浮かぶような楽しい会話劇ありがとう!
上手くいってるようで何よりw
露天風呂付きの温泉での二人も読んでみたいです
03663602015/08/18(火) 21:56:12.24ID:cgCjeww+
>>362-365
GJありがとうございました!

また思いついたら投下しますね。
皆様のお話も楽しみにしています。
0368名無しさん@ピンキー2015/08/20(木) 15:47:55.36ID:K9jeV2u4
19時過ぎ、依子は巧の待つ自宅へ帰宅した。
「ただいま」
「あ、おかえり。今日は早かったね」
「ええ、読書をしたいので仕事を早く終わらせてきたんです」
「そういえばさっき宅急便で荷物が2つ届いたけど、あれ、本だったの?
 重すぎたから運ぶのあきらめちゃった」
巧は玄関に置きっぱなしの段ボールを指さしながら尋ねた。
「…参考書です。後で私が運びますから、お気遣いなく」
「ふーん、資格試験でも受けるの?仕事で使うとか?」
「いえ、個人的に学びたいことがあったので」
「気になるなぁ。教えてよ」
「何でそんなに気になるんですか。ただの、普通の、本!ですよ?」
依子は玄関へ行かせまいと通路に立ちふさがった。
おかしい。これは絶対に何かあるに違いない。巧は目を細めて依子を見た。
慌てて視線を逸らす依子。一体何を隠しているんだ彼女は!気になるじゃないか!
部屋を見回した巧は、難しい数学の本やら並ぶ本棚に、見慣れない黄色の背表紙の本を見つけた。
「ん?これは………」
本を手に取り表紙を見ると、ピンクで書かれたタイトルに巧はしばし絶句した。

「ふ、ふたり〇っち 1巻って!えっ!…もしかして君が読んでる本ってこれ!?」
「私としたことが、うっかりいつも通り本棚に置いてしまうとは。
 巧さんには内緒にするつもりだったのに!」
依子は表情を曇らせると、頭を抱えて考え込んでしまった。
「いや、君が何事にも一生懸命なのはよくわかってるからさ。ちょっと驚いたけど、
 まあ、想定内かな?…うん、大丈夫だから。ほら、顔を上げて。ね?」
依子の両肩に手を添えて、巧は優しく声を掛けた。
0369名無しさん@ピンキー2015/08/20(木) 16:42:03.94ID:K9jeV2u4
「驚かせてすみません。この本には男女の心理や性交渉について学ぶことが
 多く、私もぜひ知識をつけたいと思って…」
「うん。じゃあさっき届いた大量の本は、2巻からの続き?」
「はい。最新刊63巻まで全部読んで、暗記しようと購入しました。
 重要な箇所はこうして線を引いて…」
「受験勉強じゃないんだから、いいよ!君に予習は必要ない」
依子を引き寄せると背中に両手を回してきゅっと抱きしめた。
「他の人たちがどうしようと僕らには関係ない。君がそばにいてくれたらそれでいい。
 僕じゃ頼りないかもしれないけど。だから、僕のことだけ見ていてくれないか」
依子は安心した表情で目を閉じたまま、コクンと頷いた。

「私、あなたに謝らなければならないことがあります」
「何?」
「ふたり〇っち 1〜63巻のセットをあなたの家宛にも送ってしまいました」
「今頃、留美さんが受け取っている頃かもしれません」
「えっ!僕の家に置いとく分まで用意したの?」
 巧は思わず体を離した。
「気に入らなければ、そのまま返品して下さい」
「バレない場所に隠すから。一応参考のために読むよ」
「ずるいです、私には予習は必要ないと言ったのに!」
「だって君に予習させたら、完璧に暗記してくるんだろ?僕が不利になる」
「わかりました、では、巧さんが全巻読破した1週間後にしましょう」
「プレッシャーかけないでよ。その前にもう一度だけ、いい?」
巧は依子を抱きかかえて優しくキスをすると、寝室に向かった。

                             終わり
03703682015/08/20(木) 17:42:26.52ID:K9jeV2u4
内緒にするつもりだったのに!とショックを受けてたけれど
谷口家にもふたり〇っちを全巻送ってしまったから
どっちにしろ、巧には読んでることバレちゃいますね。
そこまで考えが行き届かないほどに、依子は恋をしているのかもしれません。
巧はいつまでも優しく見守っていてほしいです。
かわいらしい二人が大好きです。
0372名無しさん@ピンキー2015/08/20(木) 19:53:57.16ID:4Esj0ZMr
>>368-370
GJです
あの漫画ってそんなに続いてたのかw
依子なら予習は当然しますよね
巧がんばれw
0374名無しさん@ピンキー2015/08/21(金) 19:03:57.91ID:dL6iGI/r
いよいよSPの撮影始まったみたいだね!
みなとみらいで浴衣きてる依子と浴衣ではないw巧の目情あった
ここも盛り上がっていきましょう!
0375名無しさん@ピンキー2015/08/21(金) 19:42:34.80ID:BCnNmLUn
ツイの写真、巧は長袖にベストっぽいね。
季節感ないw
0376名無しさん@ピンキー2015/08/21(金) 20:56:48.41ID:aS9kcMxh
楽しみー!
0378名無しさん@ピンキー2015/08/22(土) 00:48:34.56ID:wsuodGRy
8月
夏の盛りに、巧がインフルエンザに罹った。
「そうなのよ〜。長いこと引きこもってたから耐性がないのね。真夏にインフルエンザだなんて笑っちゃう」
部屋のベッドで横になっている巧は朦朧としながら、母が誰かと話す声を聞いていた。
やがて階段を上がってくる足音がして、勢いよく部屋のドアが開いた。
うっすら目を開けると、スーツ姿の長身、藪下依子が立っていた。
ガスマスクのようなゴツいマスクをして、手に土鍋を持って。
一度しっかり目を閉じてから開けてみたが、幻ではなかった。
「うつるから、入らなげほげほげほげほ」
「大丈夫ですか」
本棚の方を向いて咳き込んでいたら、そっと背中をさすってくれる。
「この高性能マスクなら、ウィルスは通さないから心配いりません。帰宅次第、衣類もすべて洗濯します」
何か言い返す気力はなかった。
「熱がかなり高いようですね。起きられますか?食べないとますます体力が落ちてしまいますよ」
巧は重い体を時間をかけて何とか起こした。
「食べられるだけでいいですから、少しだけでも。はい、口を開けて下さい。あーん♪」
依子は妙にウキウキの変なテンションだ。
「さ、薬を飲んで下さい。お水をどうぞ。体温計りますよ」
巧はされるがままになっていた。熱は40度2分もあった。
「よく寝て下さいね」
依子はどっさり買い込んできた冷えピタを巧の額に貼ってから手を添えて元の通りベッドに横たわらせた。
巧が寝付くのを確認してから、依子はマスクを外して目を覚まさないように、そっとキスをした。
「おやすみなさい。また明日来ます」


「おはようございます。起きて下さい」
朝7時。藪下依子はまたやって来た。例のゴツいマスクをして。
「朝ごはんですよ。はい、あーん♪」
やはりテンションがおかしい。
てきぱきと巧に薬を飲ませ、冷えピタを取り替え、体温を測る。
「39度8分。少し下がりましたが、まだ熱が高いですね。今日も一日安静にしていてください。また夜に来ます」
「うつるから、来ない方が」
「うつりません」
依子の手が巧の頬や顎に触れる。どうしてそんなところを触っているのか不思議に思っているうちに、巧はうとうとと眠りに落ちた。
依子はマスクを外し、そっとキスをした。
「行ってきます」
0379名無しさん@ピンキー2015/08/22(土) 00:49:48.52ID:wsuodGRy
「ただいま戻りました。夕飯の時間ですよ」
依子の声で、また目を覚ました。依子は同じマスクをして、ベッドのすぐ横に座っていた。
「はい、口を開けてください。あーん♪」
機械的に口を開けて、入れられたものを飲みこんでいるうちに、少しずつ意識がはっきりしてくる。
「体温測りますよ」
依子が巧のパジャマのボタンに手をかけたから、巧は逃げようとして背中を本棚にしたたかぶつけた。逃げられない。
「自分でできるよ」
「病気の時に遠慮などするものではありません」
「遠慮じゃないよ。頼むから今触らないでくれよ」
「えっ」
「あいやごめん違うんだその昨日から風呂も入ってないし着替えてないしずいぶん汗もかいたから」
依子はおもむろにマスクを外し、巧の胸のあたりに顔を近づけて匂いをかいだ。
「問題ありません」
「あ・・・そう」
体温を計っている間に、依子はポケットから定規を取り出して巧の顔のあちこちに当てている。
「・・・何してるの」
「髭が一日にどれくらい伸びるのか、また、生える箇所によって伸び方が異なるのか、朝、気になったので、定規を持参しました」
「あ・・・そう」
「熱は朝より6分下がりました。順調に回復に向かっていると言えるでしょう。きちんと食べ、よく眠ることが大事です。さ、横になって下さい」
巧は匂いを嗅がれたことが妙にショックで、そのまま気絶するように眠りについた。
「おやすみなさい。また明日来ます」
そっとキスをしてから、依子は部屋を出た。


数時間後、目を覚ました巧はよろよろしながら風呂場に向かった。
「まだ熱あるんでしょ。入らない方がいいんじゃない」
心配そうに留美が声をかける。
「・・・だって藪下依子が来るんだ・・・明日も・・・あさっても・・・」
「昨日も今日も来てたわよ。今さらかっこつけたってしょうがないじゃないの」
「嫌だ・・・入る・・・」


翌朝、巧を見舞った依子がしょんぼりしながら階段を下りてきた。
「熱がまた上がっていました。昨日の夜は回復傾向だと思ったのですがどうしたのでしょう」
「昨日依子ちゃんが帰ってからお風呂入ってたからかしらね」
「まだ治りきっていないのにどうしてお風呂になんか入ったんでしょうか」
「そりゃ三日もお風呂に入らないで彼女に会いたいなんて思わないんじゃない」
「・・・私は来ない方がよかったのでしょうか」
「来るなって言ってた?」
「いえ」
「明日もあさっても依子ちゃんが来るからお風呂入るんだって言ってたわよ。内心嬉しいのよ」
「そうでしょうか」
「気にしなくていいわよ。薬飲ませといたらそのうち治るだろうし」
「・・・はい」
0380名無しさん@ピンキー2015/08/22(土) 00:51:06.62ID:wsuodGRy
夜、依子はドアをそっと開けて部屋の中をのぞいた。
「おかえり」
巧はベッドに体を起していた。
「大丈夫なんですか」
「うん。熱、かなり下がったんだと思う」
「はかってみましょう。その間に食事を」
「もう自分で食べられるよ」
「ダメです。はいあーんして下さい」
「・・・(もしかしてこれがやりたいだけなんじゃ?・・・まぁいいか)」
今日のところはおとなしく食べさせてもらうことにする。
アラームが鳴った体温計を依子がさっさと回収する。
「7度5分です」
「薬が効いたのかな」
「そうでしょうね。でも治りきるまで油断してはいけません」
依子は今までと同じように薬を飲ませ、冷えピタを貼り、巧が寝付くのを見守っていた。


ちょうどその頃、宗太郎が谷口家を訪ねてきていた。
「こんばんはー。おばさん、巧インフルエンザだって?」
「そうなのよー、この真夏にね。もうだいぶよくなってきたのよ。今依子ちゃん来てくれてるわ」
「え、仕事帰りにわざわざっすか」
「それがねー毎日朝晩来てくれてるのよ」
「あの藪下依子が?・・・意外とラブラブなんすね」
「そうみたいなの。私もびっくりしちゃった」
「まぁいいことっすよ。じゃちょっと様子見てきますね」
「あ、よかったら冷たいお茶いれるわ。持ってくわね」
「あざっす」
0381名無しさん@ピンキー2015/08/22(土) 00:52:07.40ID:wsuodGRy
依子はマスクを外し、起こさないようにそっとキスをした。
その瞬間、巧がぱちりと目を開けた。
「あ」
「な、なんで?うつったら、どうするんだよ」
「うつりません」
「うつるかもしれないだろ!まだ治ってないんだぞ!」
「去年のことではありますが、私はインフルエンザの予防接種を受けていますし、まだ熱が高かった時から帰る前にずっとキスしていました。ですから、今さらうつるとは思えません」
「・・・・・・ずっと?」
「はい」
「僕が寝てる間に?」
「そうです」
「そんなのずるいよ。僕だってずっとキスしたかったんだぞ!でも君にうつしたらいけないと思って我慢してたのに」
「してましたよ」
「記憶にないんじゃしてないのと変わりないだろ」
「・・・そうかもしれませんね。では改めて今からしますか」
「あ・・・ハイ」


宗太郎は足音を殺してそっと階段を下りた。
「・・・おばさん、俺帰るわ」
「ほんとごめんね、せっかく来てくれたのに」
「いやーあそこへ踏みこんで行く勇気さすがにないっすわ。ったくいい年こいて中学生かあいつら」
0386名無しさん@ピンキー2015/08/23(日) 21:22:49.96ID:wutVrlCF
乙!!
0387名無しさん@ピンキー2015/08/25(火) 19:17:43.86ID:CcCFIMsI
巧が行ってもいいと思うならきっと修善寺の漱石が滞在したホテルだろうと思ってネタ一つ書いてて昨日できあがったw
連投になるから一か月ぐらい寝かせようと思ってたけど、落とさせてください。
すみません<(_ _)>
0388名無しさん@ピンキー2015/08/25(火) 19:20:19.55ID:CcCFIMsI
肩凝りによく効くという温泉へ一泊旅行にやってきた依子と巧。
先に男湯から出てきた浴衣姿の巧は飲み物の自販機の前で腕組みをしていた。
「何をしているんですか?」
「コーヒー牛乳にするかフルーツ牛乳にするか迷ってる。君は何飲む?」
「入浴後の水分補給は大事だ、と思いますが、私は先にあれに挑戦したいと思います」
こちらも浴衣の依子が目を輝かせてビシッと指差した先にはマッサージチェアが並んでいる。
「あれはかなり新しい機種で、まだ試したことがないものです」
「肩たたきだったら、後で僕がしてあげるけど」
「ありがとうございます。しかしぜひともあの機種の座り心地、マッサージの具合などを試してみたいのです」
家電、とりわけ、マッサージ機に関してはオタクと言っていいほど興味を示す依子だから、巧はおとなしく引き下がった。
「じゃあ僕はあのへんで待ってます」
「あのへん、とは、窓際の椅子、ということでしょうか」
「うん」
「わかりました」
フルーツ牛乳を買った巧は日本庭園の見える窓際の椅子に座って、わざわざ大浴場まで持ってきていた本を開く。
「漱石が滞在したという宿で漱石の作品を読む。有意義で素晴らしい時間だなぁ」
飲み物がパックのフルーツ牛乳というところがいまひとつ格好がつかないが、巧はいい気分だった。
しばらく読書に没頭していたが、ふと顔を上げて時計を見て驚いた。
一時間近く経っている。
慌ててマッサージチェアの方へ探しに行ったが、依子はいない。
巧は言った場所にずっといたので、見つけられなかったはずはない。
部屋に一度戻ってみるかもう少しここで探すか迷っていると、「手もみ処」という暖簾をくぐって、首を傾げながら依子が出てきた。
0389名無しさん@ピンキー2015/08/25(火) 19:21:24.16ID:CcCFIMsI
「マッサージ行ってたの?」
(後で肩たたきしてあげるって言ったのに)
巧は不機嫌な顔で声をかけた。
「そうなんです。新機種のマッサージチェアはどうも合わないというか、うまくツボに入らなかったんです。それでつい、プロのマッサージ師の方ならきっと素晴らしい技をお持ちではないかと思い、その「手もみ処」に入ってしまったのです」
「ふーん」
「しかし担当になったのが女性の方で」
「女性・・・そっか」
「手の大きさや握力などに物足りなさを感じてしまいました」
「ふーん」
巧は自分の手をちらっと見る。
長身の巧は手が大きいし、男性としては力が強い方ではないかもしれないが、女性より非力ということはさすがにない。
「ここだ!というツボにヒットせずに時間がきてしまって、非常に残念でした」
「ふーん」
「そういうわけなので、後でお願いしてもいいですか?」
「・・・いいけど」
「有料であれば特別な技術によるマッサージが受けられるかもしれない、と考えたのですが。いえもちろん、合う、合わない、ということもありますし、担当して下さった方が下手だ、というわけでもないんです」
「今日初めてあたってマッサージしてくれる人にそんなに期待するかね。だいたい、しょっちゅう肩揉みしてる僕以上に君の肩凝りのツボを知ってる人がいるなんて思えないね」
「・・・確かにその通りです」
「・・・・・・担当が男だったらどうするつもりだったんだ」
「何か?」
「何でもないよ」
「何か怒っていますか」
「だから怒ってないよ」
「怒っているように見えます」
「だから怒ってないって」
思わず大きな声を出してしまって、巧ははっと我に返った。
周囲の注目を集めてしまっている。
「お騒がせしてしまい、申し訳ありません」
依子が周囲に向かってぺこりと頭を下げる。
「・・・すみません」
巧も頭を下げる。
「もうすぐ夕食の時間です。部屋に戻りましょう」
依子は巧の手をとって歩きだした。
「うん」
「夕食の後に肩もみをお願いします」
「いいよ」
0390名無しさん@ピンキー2015/08/25(火) 19:22:43.78ID:CcCFIMsI
「ところで、いつものあのツボはどのあたりにあるのでしょう?」
「え?」
「さっき担当の方に説明しようとしたのですが、正確な位置がよくわからなかったんです」
「ふーん」
「肩甲骨の付近だ、ということだけはわかるのですが」
「教えない」
「どうしてですか。ケチですか」
「ふん。・・・・・・そこは僕の指しか届かないんだよ」
「そんなはずはないでしょう」
怒った顔で依子が見上げてくるのを、巧は視線を外してやりすごす。
「教えてくれないなら肩凝りのたびに呼び出しますが、構いませんね」
「いいですよ」
「毎日かもしれませんよ」
「お好きなだけどうぞ。どうせ無職はヒマですからね」
「では藪下依子専用マッサージ師の肩書を差し上げます。無職は返上してください」
「僕の肩書は高等遊民だ」
「・・・・・・専業主夫に変更してあげましょうか」
「・・・・・・まぁそれだったら変更されてあげてもいいけど?」
「ずいぶん偉そうですね」
「君こそずいぶん上から目線だ」
腕を組んだまま、至近距離で睨みあう二人。
「・・・この件については、明日話し合いましょう」
「今からでも別にいいけど」
「今から夕食です」
「じゃあその後」
「その後は肩を揉んでくれる約束です」
「じゃあその後・・・いや、明日でいいや」
「その後何をするつもりですか」
「そりゃあ・・・その・・・」
「・・・21時開始ですよ」
「だから・・・時間決めるなって言ってるのに・・・まぁいいけどさ・・・」
0391名無しさん@ピンキー2015/08/25(火) 20:43:51.84ID:RPWhgcL8
>>387390
GJです!!

撮影の目撃情報上がってからワクワクしてるところに、
ありがとうございます
喧嘩しながら仲良しな巧と依子が可愛すぎます!
0392名無しさん@ピンキー2015/08/25(火) 23:02:03.43ID:MEt8IDUH
>>387
巧と依子の会話、リアリティーあるし楽しかったー!GJです!
やっぱり漱石の泊まった宿ですかねw
お泊まり旅行妄想が現実になるのかと思うと(しかも依子の浴衣や巧の和服まで)wktkが止まりませんねw
0394名無しさん@ピンキー2015/08/30(日) 08:57:01.67ID:SCD7M3z7
>>287
SPの写真見て、このお話思い出した!依子のノースリーブ

SPは、こんな風にラブラブ展開ではなさそうだけど。。
0395名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 00:16:16.57ID:z88ftkVU
SPは依子嫉妬回ですかね?
チュー以上を期待したい!単発だしハッピーエンド、だと思いたい。
0396名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 00:48:29.53ID:4+jd8/Tw
依子の部屋で半同棲(お試しとはいえ)、巧は契約書の内容をなんとかこなしてる
ということはもうとっくにSJDT卒業してる可能性もあるかもと思った
依子の部屋はシングルベッドしかないし、契約書には性交渉の項目があるわけでw
単発ドラマだからモヤっとする終わり方はしないでほしいですね
0397名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 18:08:35.36ID:TvyaKWTn
2015年 8月

依子が玄関のドアを開けると、少し申し訳なさそうな顔で俊雄が立っていた。
「急に来てすまないね。お前が巧君と同棲を始めたって聞いてちょっと様子を見に…」
「いいのよ、お父さん。私もちょうど部屋の掃除を終えて休憩していたところ。
 上がって。それと、同棲ではなく『半』同棲よ」
俊雄はリビングに通されると、依子と向かい合って正座した。
「お前も巧君もいい大人だし、お父さんがあれこれ詮索する必要はないと思うんだが…
 彼と生活してみてどうだ?」
「この契約書通り家事をこなし、規則正しい一日を送ることに精一杯、という感じね」
依子は机の上から契約書を取り出すと、俊雄に指し示した。

表紙には「結婚契約書(改定版)」 作成者 藪下依子 谷口巧 とある。
「おぉ…すごいな。巧君、頑張ってるんだろうなー」
「結婚する前にお互いのことを理解する時間が必要だと言ったのは、お父さんよ。
 私たちは35回のデートを重ねてきたから、そろそろ次の段階に進むべきだわ」

「何だかんだ言っても、彼のこと、好きなんだろう?」
依子がデートの回数をしっかり数えていることが微笑ましく、俊雄は冷やかしてみた。
「いいえ。私たちはお互いのことを『好きだ』と言ったことは一度もないわ」
「え!?まだ一度も?」
「ええ。一度も」
3月22日。泣きながら必死に相手の幸せを願っていた2人の姿を思い出した。
あの時、恋に目覚めて交際再開したんじゃなかったのか?どういうことだ?
俊雄は頭が混乱してきた。
0398名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 18:15:57.37ID:TvyaKWTn
「そろそろ買い物から帰って来る頃だわ。お父さんも一緒に夕飯どう?」
「依子。お前、本当にそれでいいのか?無理してるんじゃないのか?」
その時、ドアが開いて両手に買い物袋を下げた巧が入ってきた。
「ただいまー。あ、どうも。いらしてたんですか」
「お邪魔してるよ。君には苦労をかけているようだね」
「いいえ。今まで母に任せきりだったので。結構、やってみると楽しいものですね」
巧はキッチンでエプロン姿になると、微笑みながら依子に手招きした。
「お父さん。すぐ夕食を作るから座ってて。」依子の声が弾んでいるのがわかった。
2人が料理をする後姿を見て、俊雄はさっき感じた不安が消えていくのを感じた。
何だ、仲良くやってるじゃないか。これなら心配なさそうだ。良かった良かった。

俊雄が満足そうに頷いていると、窓から入った風が、契約書のページをパラパラと開いた。
「ん?何だ?第11章 性交渉について。 性交渉は週3回21時からとする。
 ただし双方が希望した場合はその限りではない…って。え?ええっ?」
週2回、のところを赤鉛筆で消して週3回に訂正してあり、補足文も書き足されていた。

「どうしたの?お父さん」巧と並んで料理に集中していた依子が振り返った。
俊雄は契約書に気づいていないふりをして腕時計を見た。もう19時を過ぎていた。
「すまん!依子。やっぱりお父さん、今日は帰るわ。また今度な!」
急いで玄関に向かう俊雄に、怪訝な表情で2人が見送りにきた。
「巧君……。依子を、依子を幸せにしてくれよ。絶対にだ!」
「は、はい。もちろんです!頑張ります!」
事態が飲み込めない表情ながら、巧はしっかりと答えた。
「依子。お父さん安心したよ。邪魔してすまなかったな」
首を傾げて不思議そうな表情をしてから、依子はコクンと頷いた。
「お盆には2人で実家に帰るわ」
「ああ。楽しみにしてるよ」
早く帰って母さんに報告しないとな、そうつぶやくと俊雄は家路についた。

                              終わり
0399名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 18:35:01.25ID:TvyaKWTn
35回のデート&半同棲で2人の関係がどこまで進んだのでしょうか
DT&SJを卒業していると仮定して書いてみました
言葉に出して好きだと言わなくても、ちゃんと行動には移してる2人でした
0400名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 20:12:41.27ID:SWSn7xdJ
>>397-399
GJGJです
性交渉の回数が増えてるwそして補足文w
半同棲というキーワードで妄想がはかどりますよねw
私もネタ書いたので日付変わった頃書き込みます
0401名無しさん@ピンキー2015/08/31(月) 23:11:15.77ID:zdg050J5
>>397-399 GJです!

依子パパもGJです!!

2人には、DT、SJのままでいて欲しいような、サクッとやっちゃっていて欲しいような。。。エロも読みたいような。。
0403名無しさん@ピンキー2015/09/01(火) 00:13:38.89ID:z2hODgbP
>>402
ありがとうございます

巧と宗太郎と留美さんの会話のみの小ネタです
依子はいません
誰が喋っているかわかるように書いたつもりですが、わかりにくかったらすみません
0404名無しさん@ピンキー2015/09/01(火) 00:15:12.55ID:z2hODgbP
「半同棲だぁ?!」
「うるさいなあ。しょうがないだろ」
「なんでいきなりそんな展開になったんだよ」
「あっちが言ってきたんだよ。契約書通りに生活できるかどうか試す必要があるとかなんとか」
「あの尋常じゃない厚さの契約書か。大変だなあお前も」
「もうとにかくありとあらゆることが細かい時間と手順込みで書いてあるんだよ。料理のメニューなんて一か月分決まってるんだぜ。もう今から疲れるよ」
「いいじゃない。メニュー決まってたら料理も楽よ〜」
「ありとあらゆることってことは、もしかしてあれか、あっちのことについても書いてあったりするのか?」
「あああああっちって何だよ。そんなこと書いてあるわけないだろっ」
「お前わかりやすいなー。…書いてあるんだな」
「………まあ…」
「そりゃよかったじゃねーか。契約書通りに半同棲生活ってんならDT捨てるチャンスだぞ」
「もうそんなのとっくに捨てたよ!…あっ」
「ほぉ。恋愛不適合者とか言ってるくせに、いつの間にかリア充になってやがったな。いつヤッたんだよ。教えろよ」
「ヤッたとか言うな!だいたいなんでお前になんか教えなきゃいけないんだよっ」
0405名無しさん@ピンキー2015/09/01(火) 00:17:52.14ID:z2hODgbP
「私知ってる〜」
「?!…か、母さん?!」
「ゴールデンウィークの時よね〜」
「な、なんで?!」
「ほぉぉそんな前っすか。お前案外手がはええな」
「まだそうだって言ってないっ」
「だってあんた家にいなかったじゃない。私があの人の家に泊まりで言った日があったのね。夜、ちょっと用があって家に電話したのよ。そしたら出なくて」
「ふ、風呂に入ってて音が聞こえなかったのかもしれないだろ」
「そう思って後でかけ直したのよ」
「もう寝てたんだよ!」
「次の日の午前にも」
「ま、まだ寝てたんだろ」
「お昼頃に帰ったらいなかったのよ。で、夕方にやけた顔して帰ってきたの」
「そりゃ間違いないっすね」
「だから最近は気を使ってちょくちょく家を空けるようにしてるのよ」
「このごろよく出かけると思ったらそんな理由だったのかよ?!」
「2階の部屋もね、ベッド周りに散乱してた本が今きれいに片づけられてるの。本棚も隙間なくきっちり収納してあって」
「最中に本が降ってきたらことっすからね。つかここにも連れ込んでんのか」
「わかりやすいでしょ?」
「……………上で読書でもしてくる」
「何言ってんの。今日の夕飯あんたが作ってくれる約束でしょ」
「……………」
「軍資金いらないの〜?」
「わかったよ、作るよ」
「あ、よかったら宗太郎くんも食べていってね」
「ごちになりまーす」
「帰れ!!」
「佳織も呼んでいいっすか」
「いいわよ〜。その方が楽しいもの」
「呼ぶな!!」
「4人分ね。よろしく〜」
0406名無しさん@ピンキー2015/09/01(火) 05:26:13.44ID:+jmvRipD
>>404-405 GJです!!

ちゃんと誰の台詞かわかるし、映像みてるみたい!
依子出てこないけど、存在感ハンパないw

ドラマのワンシーンみたいで楽しかったよ!
0410名無しさん@ピンキー2015/09/02(水) 22:43:56.54ID:fHEqDi9U
素晴らしすぎる
職人さんに感謝感謝
0415名無しさん@ピンキー2015/09/08(火) 15:05:48.43ID:SlziwPGg
 半同棲生活 初夜

ピンクのパジャマに身を包んだ依子が巧に告げた。
「シングルベッドに2人は少々狭いかと思いますが、どうぞこちらへ」
「僕はもう少しこの本を読みたいから、先に寝ていいよ。君も家事の指導で疲れただろう?」
「私と枕を並べて寝るのは嫌だ、という意味ですか」
「ち違う、そうじゃなくて……こういうの初めてだし、ちょっと心の準備というか…」
「わかりました、では私は先に寝ることにします。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
依子は眼鏡を外すと、巧のためにベッドの片側を開けて目を閉じた。

(あれ?もっと迫ってくるかと思ったけど意外とあっさりだな)
ホッとしたような、残念なような気持ちで巧は息を吐いた。
(このまま夜中まで本を読んで寝落ちしたことにして、こっちの部屋で寝てしまおうか…。
…いやいや、今日は隣で寝る。2人で朝を迎えるんだ。彼女の気持ちを無にするな!)
15分ほど悩んだ末、意を決すると依子の待つベッドへゆっくりと近づいた。

依子は規則正しい呼吸で、すやすやと眠っている。
緊張で胸が高鳴るのを感じながら布団の端をめくると、巧は体を滑り込ませた。
ベッドがギシ…と軋む音で依子が起きないか肝を冷やしたが、大丈夫だった。
(寝てる間に、こんなことしていいのかな?ちゃんと目を見て好きだとか言うべきか?)
巧は依子の寝顔を見つめながら、左手でそっと髪を撫でてみた。
部屋には巧と依子の息遣いの音しか聞こえない。布団の中で依子のぬくもりが感じられた。
(…いける。このままキスできる。いや、キスしたい。彼女が望めばその先だって…)
唇はもうあと10cmの距離まで迫っていた。巧はごくりと息を飲んだ。
あと少し……あと少しで僕たちは………
0416名無しさん@ピンキー2015/09/08(火) 16:40:13.06ID:SlziwPGg
唇が触れた瞬間、巧をとてつもない幸福感と後悔が同時に襲った。

(あぁ、どうしてこんなに素敵なことを僕らはずっと避けてきたんだろう。
何も言わなくても、触れるだけで気持ちが伝えられるような気がする)

巧は唇を離すと、両手で依子の頬を包み込み、もっと深く甘く口づけた。
すると、依子が薄く目を開けた。
「ん…ぅ……た、巧さ…」
「依子さん」
「どう…して?」
「わからない…けど、君と…キス…したいんだ。……いい?」

そして答えを待たず何度も唇を重ねた。体がどんどん熱を帯びてくる。
着ている服がもどかしくなり、パジャマを脱ごうとすると、
依子はそれを遮って、巧のボタンをゆっくり外し始めた。
巧が首筋に唇を落とすと、かすかに依子が震えるのがわかった。

「本当に…僕で…いいの…?」
かすれた声ささやきながら依子のボタンを全て外した。
「はい……だ、抱きしめて…いただけます…か…?」
見たことのない表情で、自分を求めてくる依子が愛おしくてたまらなかった。
「もちろん」
背中に両手を回し、胸の中に引き寄せるとしっかりと抱きしめた。
依子もおずおずと巧の背中に腕を回し、安心したように目を閉じた。

「依子さん、かわいい」
「かわいくなんか、ないです…」
「だって、これ、勝負下着でしょ?」
巧は美しい刺繍が施されたシャンパンゴールドのキャミソールを指でなぞった。
「私には、女性の色気が足りないから、それで…」
「そんなことない。もっと自分に素直になりなよ。君は今、恋…してるんだから」
「これが……本当ですか?」
「そうだよ。恋愛不適合者は2人とも返上だ」
「待って下さい。まだ、巧さんの気持ち、聞いてません」
「じゃあ、僕の気持ち、伝えるよ?」

巧は優しく微笑むと、依子をベッドに横たえキャミソールの肩紐に手をかけた。
0417名無しさん@ピンキー2015/09/08(火) 17:22:46.72ID:SlziwPGg
*****************
巧さんは、ずるい。
優柔不断で、私がしっかりしないといけない、と思っていたのに。
なのに…昨日の夜は、別人だった。
あんなに、積極的で…私よりもっともっと情熱的な一面があるなんて。
真正面から気持ちをぶつけてくれる彼が嬉しかった。
悔しいけれど、私は恋をしているのだろう。

かわいい、なんて今まで一度も言ってくれなかったのに。
好きだ、なんて結ばれた時まで言ってくれなかったのに。
ずっと一緒にいるよ、なんて耳元でささやかれて、嬉し過ぎて声が出なくなった。
この瞬間を、私はずっと待っていたんだと確信して。


「あ…もう、起きてたんだ。体…大丈夫?痛くない?」
「はい。もう大丈夫です。お気遣いありがとうございます。巧さん、あの…」
「ん?」
「私も、ずっと、あなたと一緒に、います」
「え?」
私は両手を大きく広げると、彼がいつまでも離れないように、きつく抱きしめた。


                              終わり
0418名無しさん@ピンキー2015/09/08(火) 17:27:44.26ID:SlziwPGg
半同棲生活でDT&SJと恋愛不適合者を卒業した2人を書いてみました。
いつか自分の気持ちを素直に相手に伝えられますように。
0420名無しさん@ピンキー2015/09/08(火) 20:46:59.44ID:hgqPY6fZ
>>415-418 GJです!

かわいらしい2人にニヤニヤしちゃいました。

なんだかんだいっても、依子と巧には幸せになって欲しいね!
0421名無しさん@ピンキー2015/09/08(火) 21:13:06.51ID:wdNljIDH
公式サイトの巧Yes枕に萌えです。
0422名無しさん@ピンキー2015/09/09(水) 17:02:28.17ID:0bT61hFr
>>419 >>420
GJありがとうございます!SP放送が楽しみですね
楽しみ過ぎて、またデートロスになるのが怖いです
0424名無しさん@ピンキー2015/09/23(水) 19:51:07.03ID:cm9VylWQ
>>275
シチュエーションはちょっと違うけど、テレビジョンの写真みてこれ思い出したw
0425名無しさん@ピンキー2015/09/28(月) 23:39:05.22ID:ex+WYDUr
誰かSPの依父が入ってこなかったバージョンをプリーズw
0426名無しさん@ピンキー2015/09/28(月) 23:59:02.76ID:/4pcnqd7
はーーー!ドキドキした!
しかし二人の気持ちが最終回の時よりだいぶ近づいてたことに驚き。
『私のことは嫌いになったんですね』って、依子が好きってはっきり言われたことあったっけ?
もちろん言外の事とは思うけど、共通認識として好き同士だったんだと思うと本当に萌える!

ごめんなさい、興奮しすぎて何がなんだか…
0428名無しさん@ピンキー2015/09/29(火) 00:45:28.61ID:TJ4tcGzk
邪魔が入るのはもちろん分かってたけど
初体験が青姦とか
妄想で補完するわ。
0429名無しさん@ピンキー2015/09/29(火) 17:37:02.86ID:tfA+QARM
昨日のスペシャルの小屋のセリフ…
「心の真ん中にいるのは、君ですよ。」
「あなたの心が欲しいんです。」
「あげますよ、僕の心で良ければ、全部上げますよ。隅々まで!君のもほしいです。隅々までほしいです。」
の続きが見たい!隅々までを妄想するとキャーってなっちゃうわ。
0430名無しさん@ピンキー2015/09/29(火) 18:19:03.30ID:D8bt0pPU
>>429
この一連の台詞すごくエロイ感じしたよ〜
林檎もそうだけど、直接そういう場面がなくても表現出来るものなんだね
古沢さんもハセヒロ&amp;杏ちゃんも凄いわ
武内監督も!
0432名無しさん@ピンキー2015/09/29(火) 23:26:56.71ID:cuFg1Itu
あの狭いベッドで性交渉は無理だよなあ。
依子はダブルベッドを用意すべきだな。
色々データを収集して充実した性ライフをおくるためのベッドを用意しそうだな。
0433名無しさん@ピンキー2015/09/30(水) 00:12:12.80ID:Ebb0HtsS
このスレであった,行為前の変なライト演出とかあったなw
0434名無しさん@ピンキー2015/09/30(水) 08:31:07.45ID:RLGnZaDw
>>431
巧がばらまいた洗濯物の中にブラジャー混じってたからしてたでしょうw
0435名無しさん@ピンキー2015/09/30(水) 09:09:47.30ID:YYaN6QDh
「今、すごくそういう気持ちになってます。……初体験って結構燃えるんです」
「でも、あの、○○○ってけ、結構硬いですよ……きっと擦り傷とか、できますよ」
「嫌ですか?」
「………あ、汗でベトベトです」
「僕もです」
○○○の部分を干し草から他の言葉に変えたら、とんでもなくエロいw
もうAB済ませてC直前の2人の会話にしか聞こえなくなったわw
0436名無しさん@ピンキー2015/09/30(水) 16:29:45.11ID:fs8cHms6
あのままやっちゃってたら、避妊できないが、
「全部欲しいです。心だけじゃなく、巧さんの全部が欲しいです」
なんて涙目で言われたら、巧がたまらんやろうね。
子供出来ても、依子も巧も素直に喜びそうだしね。
0437名無しさん@ピンキー2015/10/01(木) 23:52:24.93ID:f6OoG5hC
巧と依子にはずっといちゃいちゃしてて欲しいです
めくるめく愛欲の日々に、身を委ねて欲しいです

冒涜しているわけではありません
不快な方がいたらゴメンなさい
0438名無しさん@ピンキー2015/10/01(木) 23:53:51.65ID:f6OoG5hC
ー島田工務店にて

「佳織、何処いってたんだよ、メシまだかよー」
「ゴメンゴメン。それより兄貴、巧くんと依子さん見かけちゃったよ」
「へー、どこで?」
「◯△街の外れ。ラブホ、入ってっくとこだった」
「え、あの巧と藪下依子が?」
「なんか依子さんに引きずられて?みたいな感じで、巧くんキョロキョロしちゃってさー」
「てかさ、佳織もなんでそんなとこに居んだよ、お前もホテル行こうとしてたとか?」
「ちげーよ、エステ行くのにあの裏道行くと早いんだよ。てか、今日なんか予約してったのに2時間も待たされてさー最悪、」
「それでこんなに遅かったのか〜つか、はやくメシ作ってくれよ」
「って兄貴、まだ話終わってないんだよ」
「あ?」
「帰りも同じ道、通ってきたんだけどさ、出てくる所にも遭遇しちゃって〜しかも依子さん巧くんの腕にしがみついて、上目遣いで巧くんの事みたりして、あれは相当アレだね」
「あの、藪下依子がか?」
「しかもさー物陰に隠れてキスまでしちゃってて、あんたら盛りのついた高校生かって感じで、なーんか、かわいかった、て、兄貴何やってんの?」
「巧に電話だよ、、、っちくしょーでねーなぁ、じゃあ藪下依子にかけてみるか」
「ちょ、依子さんに電話してどうすんのさ」

「あ、依子ちゃん?巧、いる?」

『あ、えーと。。い、今ちょっと手が、あ、あ、放せな、あぁん、放せないので、の、後ほどかけるぅぅはぁはぁ、かけ直します』ピッ

「あ、切りやがった、つか、またヤッてるなあいつら。。」
「趣味悪すぎだよ兄貴、つか妹の前でチンコ勃たしてんじゃねーよ!!」
「だ、だって依子ちゃんが喘ぎ声混じりだからつい、その。。てか巧、何やってんだよ!!」
「ばっかしゃねーの!」

ー依子の部屋
「宗太郎、なんだって?」
「ひどいです、谷口さん!挿入中に私に電話に出ろなんて、おっしゃるなんて」
「でも、可愛かったよ?我慢して普通に喋ろうとしてるところも」
「かわいい?ですか?。。でも、もう一回、ちゃんと集中してやってください。隅々まで、ちゃんと愛してください!」
「喜んで!」
0439名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 00:32:47.79ID:FHgUKD3t
>>437
GJです
楽しく読ませてもらいました
エロパロスレなんですからアリですよ
0440名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 01:01:45.55ID:NBP3DMwg
>>438
GJ!
やっとめくるめったー
めでたい!
0441名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 04:44:48.52ID:tki9e0pr
依子と巧可愛すぎ!
感謝申し上げます!
0443名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 09:22:30.70ID:zNlAhVV9
依子と巧を探す俊雄は、かれこれ1時間以上、山道を歩いていた。
(依子、お父さんがすぐ見つけてやるからな。巧君と二人で待ってなさい。
この道を真っ直ぐ行けば…って、ん?小屋があるな。きっとあそこだ。行ってみよう)
小屋に到着し、扉に手をかけた俊雄は動きを止めた。中から話し声がする……

「ここで……?」
「今、すごくそういう気持ちになってます」
「え…でも……ここで?」
「馬小屋の干し草で……結構燃えるんです」
「でも…干し草って硬いですよ…擦り傷とかできますよ」
「嫌ですか?」
「…………………わかりました。では、ここで……しましょう」
(な、何を始めるんだ依子。ま、まさか…?いやいや!巧君も大胆過ぎるよ!
 だいたい何でこんなところで。……あ、そうか、今ちょうど23時だからかー)

「ハァ…ハァ…体が、火照ってきました。君は?」
「そんな目で、見つめないでください…私だってしたくなるじゃないですか」
「ごめん…初体験だから、とても、興奮してしまって」
「いいですよ、でも、もっと強く…、揉んだ方がよろしい、かと」
(依子。巧君に捧げるんだな。いいんだな…)

「こう、かな?……あ、藪下さん、…ちょ、何…!」
「もう、我慢できません!私にもさせて下さい!」
ガサガサガサ…ガサガサガサ…
(今度は依子がリードするのか。……母さんに似て積極的だな)

「す…すごい藪下さん。…本当に初めてですか?君がこんなに情熱的だなんて」
「もっともっと熱を帯びないと。両手でここを持って摩擦を…!はぁっはあっ」
「君も興奮してきちゃった?こんなに、ビショビショに濡れちゃって…大丈夫ですか?」
「平気、で、す…ン…あと、少し、で…はぁっはぁっ…あ、痛っ!」
(依子!巧君とついに結ばれたか…良かった、本当に良かった…)

「ごめん!…僕が頑張らないといけないのに君にこんな思いさせて」
「はぁ…はぁ…私だって…すごくしたいです。あなたばかり夢中になるのは、ずるいです」
「わかりました…じゃあ、僕の手を握って下さい。最後は二人で……!」
「はいっ」
ガサガサガサガサガサ…ガサガサガサガサ…
0444名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 10:37:55.87ID:zNlAhVV9
「あっ…やった!やったー!できたよ!…全部君のおかげです、ありがとう!」
「いいえ。あなたと力を合わせれば、きっと成功すると信じてました。」
「本当、嬉しいです。さぁ、ここへ来て…」
「はい。……とっても温かくて落ち着きます。何だか、眠くなってきました…」
(もう私が心配すること何もないな。巧君、依子を頼むよ…)

俊雄は背負っていたナップサックを小屋の扉の前に下ろすと、
『依子 巧君 明日の朝、また迎えに来るよ 父』とメモを書き残した。
そして二人に気づかれないように来た道を慎重に戻っていった。

****1時間後****
「……あれ?藪下さんちょっと来て下さい」
「何かあったんですか?」
「お父さん、ここまで来てくれたみたいです。どうして、荷物を置いて帰ったんでしょう?」
「わかりません。せっかく生まれて初めて火起こしに成功し、たき火をしていたというのに」
「ええ。干し草がたくさんあるから、すぐ着火するかと思ったのに苦労しましたね」
「揉んで柔らかくしようとしたら指先を切ってしまうし、汗だくになるし。難しいものです」
「あ、絆創膏入ってましたよ。ケガした指に貼ってあげましょうか?」
「……結構です」
「え?でも…」
依子は、人差し指を巧の唇に当てた。
「月が、とってもとっても綺麗ですね」
「え……」
「もっと、あなたから、きれいな言葉、聞いてみたいです」
「………言葉だけじゃ、物足りなくなったら?」
「私の心も…体も…隅々まで全部、差し上げます」
依子は潤んだ目で見つめると、両手で包み込むようにそっと巧の手を取った。
「僕も…君に心も体も、隅々まで全部、あげます。…いいですか?」
こくんと頷いた依子に微笑み返すと、腕の中に引き寄せ、しっかりと抱きしめた。

                           終わり
0445名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 11:11:41.47ID:zNlAhVV9
お父さんが小屋に入ってこなかったVerが見たかったので
少々無理があるかと思いますが、勘違いして帰ってもらいました(笑)
0447名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 18:11:25.79ID:6cSWpRVd
感謝申し上げます
これくらいの微エロ?がちょうどいいかも
0449名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 20:21:19.94ID:0xTNRnPF
可愛いらしいほのぼの二人、本当に感謝申し上げます!
父が来たとき、すでに始まっていたらどうなってたかなw
汗でベトベトな青姦が初体験って、なんか萌えるねw
0450名無しさん@ピンキー2015/10/02(金) 20:47:19.73ID:chk6bW0x
>>448 >>449
ありがとうございます。既に始まっててほしかったですよね!
押し倒した時にすぐキスしちゃえば、間に合いそうでしたけど
ちゃんと依子に確認を取ったのが巧らしくて好きですw
0451名無しさん@ピンキー2015/10/03(土) 18:26:01.49ID:1ixN5yar
まさか小屋で、とは思わなかったがいいシチュだったな
いよいよという時に乙女になる依子と急に肉食男子になる巧の雰囲気が妙にエロくて、
キスもしてないのにドキドキした

そんで父、空気読めよw
0452名無しさん@ピンキー2015/10/03(土) 20:55:49.00ID:Cw+RRapk
本スレで、1回目の「ここで?」の後、影が動いてたので、
見守っていた俊雄パパが慌ててわざとらしく乱入したのではと言われてるw
0453名無しさん@ピンキー2015/10/04(日) 10:25:01.32ID:vf0lEDzc
押し倒すして肩を抱くまでは実に手慣れた感でスムーズなのに
キスになると唇尖らせて(依子もだけど)たどたどモタモタする
0454勝負下着はいらない?2015/10/04(日) 22:09:15.98ID:zDDWURrd
依子パパ、乱入しなかったら?とは
ちょっと違うけど、書いてみました。
0455勝負下着はいらない?2015/10/04(日) 22:11:21.11ID:zDDWURrd
(どうしたら、谷口さんの言うところの「そういう雰囲気」になるのだろうか?あの夜、お父さんが来なければ。。)

「谷口さん、こちら、パジャマの代わりです」
「え、これ?」
「はい。お嫌ですか?」
「お嫌ではないけど、ここまでする必要ある?」

依子が差し出したのは、浴衣。
あの旅館の浴衣によく似た柄のものだった。

「あの時は着ていたじゃないですか?・・・あの時は」
「ま、まあそうだけど。洗濯が大変じゃないかな、こういうのは。。その、手洗いしたり、シワにならないようにうまく干せるかなあ。。」
「綿素材ですから、洗濯機で洗えましすよ。それに、洗濯機は洗い上がりのシワがより少ないものを選んで購入したので、シワにはあまりならないかと。ただし、ノリをかけないとなりませんね。。私も手伝いますから、心配しないで下さい!」
「あ、うん。ありがとう」
「でわ、着替えて下さい」
「じゃ、僕は向こうで着替えてきます」


(あの時、お父さんが来なかったらどうなっていたのでしょうか?再現してみたいんです!)

藪下さんらしいな、と思った。

台詞も一字一句覚えていて、書き出していたのには驚いたし、文字になったそれをみるのはすごく恥ずかしかった。
でも、彼女なりに僕らの『初めて』を上手くやろうとしているのだから、恥ずかしいなんて言っていられない。

実際には、もっと恥ずかしい事をしなければならないのだから。
0456勝負下着はいらない?2015/10/04(日) 22:17:14.57ID:zDDWURrd
「・・・ここで?」

浴衣に着替えた巧が部屋に入ると、いつものローテーブルが片付けられていた。

「干し草はやりすぎだ、とあなたがおっしゃるので」
「まぁ、カーペットの方が干し草より快適だと思いますよ」

「あ、谷口さんは右側ですよ」
「そうだったね・・・」
「どこから再現しますか?」
「あ、えーと。。君は?どこからがいい?」
「あなたが空を見上げるところからがいいです」
「わ、わかりました」



「今、すごくそういう気持ちです」
「こ、ここで?」



「汗でベトベトです」
「僕もです」

両肩を掴まれてそっと押し倒された依子は、目をつぶって唇を突き出した。

「・・・ここからは、1回限りですよ、2度と同じようには出来ない、と思ってください」

「え?」依子は、思わず目を開けてしまった。

「・・・いいですか?」
「はい。。」

依子の唇、頬、首筋を優しくついばむ。依子も巧の頬を触れたり、キスをかえした。依子の帯に手をかける・・・

「・・せっかく着たのに、結局、脱がなければなりませんね、浴衣」
つぶやく依子の声はいつもと違って、可愛らしい。

「ええ、でも。。脱がすのも、もえます。。」
「よくわかりませが、そういうもの、なんですか?」
「う、うん。僕のも解いてくれます?」
「あ、、はい・・・」

ぎこちない手つきで、お互いの浴衣の帯を解く。

はだけた浴衣の前を直す依子を、ギュッと抱きしめた。
「本当に、いいんだよね?」
「谷口さんこそ、よろしいんですよね?」

お互いへの返事をするかわりに深く口づけをする。

こんな風にキスをするなんて。したことのない事なのに、体が勝手に動いているみたい。本当に私はまるでバカになってしまったのね。

「・・・見てもいい?」やっと唇を離した巧の視線は、なんだかいつもと違う。
「え、はい・・・きょ、今日は勝負下着ではありませんが」
「・・・・もう勝負する必要はないでしょ。こうしているんだから・・」
0457勝負下着はいらない?2015/10/04(日) 22:18:31.39ID:zDDWURrd
「・・ついに、やり遂げましたね、私たち」
「うん。大丈夫だった?もう痛くない?」
依子は小さく頷く。
「・・確かに同じようにもう一度やれと言われても無理だ、と思います」

ただの生殖行為なのに。
『好きな人とでなければできない!』
あの時この部屋で谷口さんが言っていたことは、間違っていなかったんだ・・・

「初めては、この1回限りだからね。僕の初めてが君で本当に良かった・・ありがとう依子さん」
「私も、初めてが巧さんで、良かったです。本当に好きな人とで・・」


おわり
0459名無しさん@ピンキー2015/10/04(日) 22:23:06.09ID:vF7YsaRy
わわわっ!新作ありがとうございます!
初々しい二人が可愛いです。
あの時と同じだしシチュを準備する依子可愛すぎw
0460名無しさん@ピンキー2015/10/04(日) 22:30:13.69ID:zDDWURrd
>>459
あ、ありがとうございます!
バカップルに成り下がっても、この2人はずっと可愛く、いちゃいちゃしてて欲しいですよね!
0461名無しさん@ピンキー2015/10/05(月) 20:27:39.31ID:8t1oUi3y
>「・・・・もう勝負する必要はないでしょ。こうしているんだから・・」

きゃーきゃーきゃー(/ω\)
脳内再生余裕でした
0462名無しさん@ピンキー2015/10/06(火) 12:06:09.88ID:dm3dBZUp
依子の家 22:00

家事がひと段落した巧は、入浴時間でほっと一息ついていた。
「谷口さん、失礼します」
「うわっ!ちょっ…なっ…何で!?」
「お背中をお流しします。こちらへお掛け下さい」
「あ、ああ!そうか。そっちか…」
「そっち、とは?」
「何でもないです」
「安心して下さい。ここであなたを襲おうとしているのではありません」
「うん。でもその格好は、目のやり場に困る…かな?」
「バスタオル1枚では刺激が強すぎましたか?」
ピンクのバスタオルをぴったり体に巻いた依子が、目の前に立っていた。
眼鏡は外し、下ろした髪がゆるく肩にかかっている。
スラリと伸びた足、丸みを帯びた腰のライン、そして胸の膨らみが…
視線を上げると依子と目が合い、巧は慌てて視線を逸らした。

「…もしかして、バスタオルの下、何も着けてないんですか?」
「はい」
巧はゴクリと生唾を飲み込むと、目を閉じて軽く頭を振った。
「ごめん藪下さん。あの…背中を流してもらうのは、無理かもしれない」
「なぜですか?」
「それは、その、つまり、今の君に触れられたら、理性が壊れるというか…」
「私はやぶさかではありません」
「でも、ここだとほら、寒くて風邪ひくかもしれないし、ね?」
「大丈夫です」
依子は巧の右手を取ると、自分の左胸の辺りにぎゅっと押し当てた。

「あ……!」
「いつになったら、私たち…先に進めるんですか?」
「………それは…」
「ずっと、待ってるんです。あなたと…あなたに隅々まで…愛されたい」
依子は耳まで真っ赤になりながらうつむくと、言葉を続けた。
「私を…この先に…連れて行ってほしいです」
「……行きましょうか」

頷く依子の髪を緊張で震える手でそっと撫で、巧は優しく首筋に口づけた。
胸に触れていた右手に力を込めると、依子はかわいらしい喘ぎ声を漏らした。
「……ぁ…んんっ」
バスタオル越しに触れる柔らかい胸から、手のひらに鼓動が伝わってきた。
さらに力を込めて揉みしだくと、いっそう熱い吐息が巧の耳にかかった。
「…あぁ…こんなにドキドキするのは…初めて…です」
「僕も今…最高にドキドキしています」
「私、もう死んでもいいです……」
切ない目で見つめてくる依子が、愛しくて愛しくてたまらなくなった。
何てかわいい人なんだろう。
「まだこれからだよ。隅々まで全部、君が欲しい」
巧は手早く濡れた身体を拭くと、依子を抱きかかえて寝室へ向かった。

                              終わり
0463名無しさん@ピンキー2015/10/06(火) 12:28:02.48ID:dm3dBZUp
山小屋のリベンジ&依子のかわいさにメロメロになる巧が見たくて書きました。
0464名無しさん@ピンキー2015/10/06(火) 14:04:37.90ID:VGJhaTKf
新作ありがとうございます!
誘惑依子超絶可愛すぎw
お風呂に入る前に小夜子ママにハッパ掛けられたのかなー。
0465呼び名2015/10/06(火) 20:48:30.14ID:VGJhaTKf
「さて、結婚後の呼び名ですが、二人とも谷口さん、になることから、
巧さん、依子さんと、さん付けにしたいと思いますが、よろしいですか?」
「ああ」
「希望により、たっくん、依ちゃんなど、愛称を使用しても構いませんが」
「い、いいよっ!さん付けでっ!」
「そうですか、残念です」
「えっ?」
「さて、性行為での呼び名です。通常はさん付けで、
盛り上がった際に、お互いに呼び捨てをねだる、というのはいかがでしょう」
「な、なんだよそれっ!?」
「ある雑誌の統計によると、性行為の最中に呼び捨てを
相手からねだられて、非常に盛り上がったという体験談が
ありましたので、お互いの健全な性生活のため、実践するのはいかがかと」
「なんでもいいよっ、もう!」
「そうですか。では、そのように記載を…」
「藪下さん」
「はい?」
「契約書に記載する前に、本当に盛り上がるか、
その…今から検証してみませんか?」
「…やぶさかでは、ありません…」

終わり
0466名無しさん@ピンキー2015/10/06(火) 20:51:39.05ID:VGJhaTKf
本スレで呼び名の話題があったので、初投下させて頂きました。
続編があることを期待しましょう。
0467名無しさん@ピンキー2015/10/06(火) 21:21:09.01ID:KCVSFZmP
新作、たくさん来てた!

皆さま、GJです!!

これからも依子と巧を、めくるめってあげて下さい!!
0468名無しさん@ピンキー2015/10/06(火) 23:35:15.57ID:+PnuS9J0
>>465
>希望により、たっくん、依ちゃん
フイタw

「いやあ、ないない」とか言いながら
こっそり「依ちゃん」呼びを試している巧を妄想して萌えてみた
0469名無しさん@ピンキー2015/10/07(水) 07:46:08.63ID:e8DRf+Ia
>>464 >>467
ありがとうございます!めくるめった二人が大好きです!
>>465 GJです!
呼び名について、時と場合によって使い分けるよう細かく規定しそうw
0470名無しさん@ピンキー2015/10/07(水) 08:44:58.19ID:e8DRf+Ia
宗太郎の作業場にて

「何だよ相談って。また浮気じゃねぇだろうな?」
「違う。ちょっとこれを見てくれ」
「えー、『第41回目デート(登山旅行)』…って、お前らまた旅行か?」
「修善寺では迷惑かけたから、今度こそ二人きりで旅行するって聞かないんだよ」
「いいじゃねぇか。みんなには内緒にしといてやるから行って来いって」
「よく見てくれよ。何かおかしいと思わないか?」
「えー、行き先。八甲田山。ん?あの、遭難事件で有名なところか?」
「そうなんだ!うっかり新田次郎の「八甲田山死の彷徨」を彼女の部屋に忘れたばっかりに!」
「また遭難されたらかなわねぇから、やっぱりみんなにも伝えとくわ」
「やめてくれ!特に彼女のお父さんにだけは、絶っっ対に、秘密なんだ!」
「何でだよ…携行品@テントA食料・水B浴衣??Cまむしドリンク???
 …って、完全にヤル気マンマンじゃねぇか!ナニしに行くんだよ!」
「極限状態に置かれた方が、お互い盛り上がるから実践したいとか言うんだよ!」
「…相変わらず変態カップルだなお前ら。あと、このグラフは何だ?」
「愛情を数値化したものだ。常時100%は難しいから、目標値が設定されてるんだ」
「じゃあ、『一緒に星を見る時間』から100%超えて急上昇してるのは、つまり…」
「タイミングまで決められちゃうと、どんな顔して始めたらいいかわからないんだ。
 なあ、教えてくれよ。どうすればいい?」
「知るか!ノロケなら帰れ帰れ!」
                          終わり
0472名無しさん@ピンキー2015/10/07(水) 14:32:42.30ID:oho3bWs9
>>470
依子ならやりかねない!!!
焦る巧も、呆れるアニキも、脳内再生されたよ!
0473名無しさん@ピンキー2015/10/07(水) 21:09:00.78ID:8P+H7Ycd
>>467-469
GJありがとうございます!
こっそり「依ちゃん」呼び練習する巧萌えますよねw
あと、子供が産まれた後の呼び名も細かく規定しそうですよね!

>>470
GJです!!
旅行から帰ってきてもまだ何もなかったら、依子なら色々計画しそうですよねw
小夜子ママにハッパ掛けられてそうだしね!
0474名無しさん@ピンキー2015/10/08(木) 07:25:38.70ID:o0E+abl5
>>471-473
ありがとうございます!積極的な依子に翻弄される巧が好きです
宗太郎に助けを求めるところは1話の頃と変わっていませんw
0475名無しさん@ピンキー2015/10/08(木) 08:09:12.29ID:o0E+abl5
下着専門店にて

「僕はやめときます。そこの本屋で待ってますから」
「今日はあなたがいないとダメです!」
「男はこういう店、気まずいんですよ」
「マンネリ防止のためです。私と官能的な夜を過ごしたくないんですか?」
「…わ、わかりました。行きましょう」

「いらっしゃいませー」
「昨日お電話した藪下です。婚約者である彼が好む下着を探しに参りました。
 男性が喜ぶおすすめ商品を用意していただけましたか?」
「はい。こちらです。どうぞご覧ください」
「素晴らしいです!清純な白の総レース、官能的な黒のシースルー、アニマルプリントの
 三角ブラ…谷口さんは、どれがお好みですか?」
「うん…どれも、似合う、と、思います」
「緊張してるんですか?」
「すみません…どうも落ち着かなくて」
「わかりました。では、こちらを手首に着けて下さい」
「????何ですか、これ」
「心拍計です。目にした瞬間、最もあなたがドキッとする下着を探しましょう。
 体は正直ですから。さあ、こちらへ」
「余計恥ずかしいですよ!ちゃんと僕も選びますから、測定するのは勘弁してください!」

「あ!私としたことが重要ポイントを忘れていました。すみませーん」
「はい、藪下様」
「彼はブラジャーを脱がせる前に、胸の谷間に顔を埋めて頬ずりするのが好きなのですが、
 顔をこすりつけても痛くない柔らかい肌触りの物はありますか?」
「しょ、少々お待ちください…」
「わー!藪下さん!何てこと発表してるんですか?」
「本当のことでしょう?」
「その情報は言わなくてもいいでしょ!ああ、恥ずかしいーーーーー!」

                            終わり
0477名無しさん@ピンキー2015/10/08(木) 12:47:04.74ID:yETjsahz
>>475
ちょ、ニヤニヤが止まらなよ〜

依子ちゃん、巧くんにもセクシーおパンツ買ってあげて〜
0479名無しさん@ピンキー2015/10/09(金) 07:58:50.04ID:copObxk7
谷口家 リビングにて

「あなた、巧の様子が最近おかしいのよ」
「依子さんのところには、ちゃんと半同棲に通ってるんだろう?」
「うん。だけど帰って来るとね、前は私に洗濯物洗わせてたんだけど、
 最近は自分で洗うようになったの」
「いいじゃないか」
「でも、なーんか怪しいと思って、巧がいない時に部屋を覗いてみたらね…
 ほら、これがあったのよ」
「んんっ???これ…あいつのパンツか?」
「そうなの、私驚いちゃって。ヒラヒラして変わったデザインよねぇ、何かしら?」
「……ターザンだな。うん、間違いない」
「ターザン!?巧が?!あははははは!やだー!笑わせないでよー。
 あんなヒョロヒョロの体でターザン!?あー涙出てきちゃった」
「依子さんはこういうのが好きなんだなー…私たちも買いに行くか?」
「そうねー。たまにはいいんじゃない?新鮮で」
「楽しみだな、フフフ…」

「あんたまた来てるのか。昼間から母さんとイチャイチャすんなよ!」
「あら、もう半同棲にご出勤のお時間だったわね」
「明日の昼には帰ってくるから。じゃ、いってきまーす」
「巧、忘れ物だぞ」
「あ……っっ!!勝手に人の部屋に入るなよ!もう!」
「頑張れよ!ターザン!」
「う、うるさい!宗太郎にだけは絶対言うなよ!」
「いってらっしゃーい。アーアア〜!」
「近所迷惑だよ!母さんまで!」

                     終わり
0480名無しさん@ピンキー2015/10/09(金) 08:04:34.33ID:copObxk7
>>476-478
読んでいただき、ありがとうございます!
巧の勝負パンツの話も書いてみました。
依子チョイスはターザンだったようです(笑)
0481名無しさん@ピンキー2015/10/09(金) 12:51:34.39ID:DSDOFxut
>>480
勝負パンツ!書いてくれてありがとう!

やばい、ニヤニヤが止まらないww

てか、みてみたい、色白なターザンwww
0482名無しさん@ピンキー2015/10/09(金) 18:38:20.64ID:IQ4RfK4z
勝負下着話、共にGJです!
依子が買いに行ったランジェリーショップは、
5話の勝負下着屋さんだろうかw
色白ターザンで、なぜかウッチャンの白い負け犬を
思い出してしまいましたw
0483AV談義12015/10/09(金) 21:46:01.61ID:i5QwbI9l
「谷口さん、今夜一緒に見て頂きたいものがあるのですが」
「あ、ちょっと待って下さい」
風呂から上がったばかりの巧は、珍しくリビングの
机の前で正座して座る依子の横に、濡れた髪を拭きながら
やや緊張気味に座った。
今日は修善寺から帰ってきた後、半同棲を再開させた
最初の夜。
久々に一緒に食事をした後、なんとなく甘い雰囲気を巧は感じていた。

―今夜は、もしかしたら、もしかするかも―

風呂に入っている間、35年間異性のために食事されなかった
相棒を念入りに洗ったことに、邪念がないことを
否定することはできなかった。
0484AV談義22015/10/09(金) 21:48:58.30ID:i5QwbI9l
「あの、見て欲しいものとは?」
「これです」
そう言って差し出されたのは、あるBDだった。
「なっ…これはっ、AV!?」
「純情な草食系彼氏が遭難中の山小屋でケダモノに。
リケジョな彼女に何が起こったか―」
「わあぁあっ!やめてっ!タイトル読まなくていいからあっ!」
「先日ネットで検索していたら、今の私達にピッタリな
BDを見つけました。拝見しましたが、状況といい、
演じている俳優もなぜか私達に似ているようです。
また、女性向けですのでストーリー重視で姓行為は露骨 ではなく、谷口さんも楽しめるかと」
「な、なんでいきなり!」
「職場にて、彼氏と姓行為をする前に人気AVを一緒に見たら
お互いに非常に興奮したとの情報を聞きましたので、
山小屋での体験を疑似体験するのは、よい方法だと思い、
アマゾンで購入しました」
「僕はAVみたいな気持ち悪いものは嫌いなんだよ!
姓行為は神聖なものだし、あれは冒涜だよ!
どうせ見るなら、映画での美しい交わりが見たいんだよ!」
「姓行為は美しいだけではありません。子供を作るため の生殖行動であり、谷口さんだってご両親が―」
「うわーそれ以上はやめて!」
思わず、両手で耳をふさいだ。
0485AV談義32015/10/09(金) 21:51:01.91ID:i5QwbI9l
「…わかりました」
はっと彼女を見ると、すでに巧から背を向けて立ち上がり、
顔は見えない。
「あ、いや…その…」
「無理言ってすみません。もう寝ましょう」
そのまま、顔を見せないまま、依子はベッドに潜り込んだ。
巧は机に置かれたジャケットを見る。
メガネをかけた長身のスレンダー美女が、これまた長身の
容姿端麗な青年に組敷かれている。

―結構、似てる…?―

何故だか、きゅっと胸が痛む。
巧はため息をついて部屋の明かりを消し、依子の横に潜り込んだ。

「藪下さん」
「……」
返事はない、が、ピクリと瞼が動くのがわかった。
「さっきはすみません。でも、やはりああいうのは苦手で―」
「別に構いません。無理強いするつもりはありませんから―」
「そうじゃなくて!」
思わず、声を荒げる。
「そうじゃなくて…、その、嫌なんです。あの山小屋の
体験は、僕たち二人にとって本当に大切な思い出で…、
それを、AVなんかで他人が演じてるのを見て疑似体験
なんて、嫌なんです。思い出が汚れるみたいで…」
依子は、ゆっくり振り返りながら、巧を見つめる。
「それに…、その…、あの…、たとえ赤の他人でも、
あなたによく似た女性が、たとえ僕に似ている男だと
しても、他の誰かに抱かれるのを見るのは、絶対に
嫌なんです…たまらなく嫌だ…」
ぎゅっと目を瞑ると、頬に依子の掌を感じた。
「わかりました。あれは、処分します」
「すみません」
「でもそのまま処分するのももったいので、お父さんか、
鷲尾さんか、宗太郎さんにでも差し上げて―」
「ダメですっ!絶対に!僕が責任を持って処分しますからっ!」
「わかりました。お願いします」
目を合わせると、互いに自然と笑みが溢れた。
「藪下さん」
「はい」
「…今、すごく、そういう気持ちになっちゃてます…」
「…私も、やぶさかでは、ありません…」
0486AV談義42015/10/09(金) 22:04:32.70ID:i5QwbI9l
―翌日―

「巧〜、お帰り〜どうだった?半同棲再開は〜?」
「べ、別に今まで通りだよっ!」
「…あらら〜?うふふっ」
「な、なんだよっ、ニヤニヤしてっ!」
「何でもな〜い。そうだ、今夜はお赤飯炊こうかしら!
お父さんや依子さんやカオリちゃん達を呼んで♪」
「な、なにがお赤飯だよっ!もう寝るから!」
「あ、巧〜鞄からなんか落ちたわよ〜。ん?DVD?草食系男子…?」
「うわああっ!母さん、返してっ!」
「…あんたも、色気付いたのね〜、お父さんに報告しないと」
「違うよ!藪下さんに処分を頼まれたからで、
部屋で見るつもりなんかないよっ!絶対に誰にも言わないでよっ!あぁもう、最悪だ…」

終わり
0487名無しさん@ピンキー2015/10/09(金) 22:06:42.93ID:i5QwbI9l
本スレのAVネタで書いてみました。
巧が乙女過ぎたらすみません。
0488名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 06:36:07.09ID:CTx1aQ4m
>>487
GJです!!!

乙女な巧、可愛くて好き〜
依子のリサーチとチョイスがらしくて良いです!
0489名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 13:01:53.63ID:tqDWxzD3
初投稿です。
エロ無いんですが、結婚後の巧依の朝の風景。
依子の体調不良の原因を全く分かっていない巧。
お前の所為だよ!と思いながら読んで頂けたら…と思います。
0490名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 13:02:30.01ID:tqDWxzD3
午前6時。
鳴り響く時計のアラームを手探りで止めて、そっと目を開ける。

あぁ、今日もだ。

目を開けた先にはいつもこの時間に目を覚ましている筈の彼女がまだ小さな寝息を立てている。
彼女がこの時間に目を覚ましていないのはこれで1週間目。
先週から体調を崩しているみたいで食欲があまり無く、とにかく眠いと言っている。

まだ起きる気配が見られない彼女をそっと引き寄せると僕の腕の中で身じろぎした彼女。
瞼や頬に軽く唇を押し付けるとようやく目を開けた。

「……巧さん?」
「おはよう、6時になったけどもう少し寝ておく?」
「私とした事がまた寝過ごすなんて……すぐ起きます!」

身体を起こそうとする彼女をギュッと抱き締めて腕の中に閉じ込めると彼女は不満そうに唇を尖らせた。

「起きれないじゃないですか」
「もう少し、このまま」
「っ、ちょっと、巧さん!」

週に2回以上と契約書で決められている夫婦生活もこの1週間は体調不良を理由に断られている。
ハッキリ言って欲求不満だ。
彼女の身体に指を這わすと「だ、駄目ですっ!」と睨み付けられてしまった。

「…もう5分も起床時間を過ぎてます」
「5分くらい別に良いじゃないですか。一週間もお預けで依子さん不足なんですよ」

僕の言葉に彼女はバツが悪そうに目を逸らすとギュッと僕に抱きついて短いキスをしてくれた。

「……これで足りますか?」

照れを隠す為か、不貞腐れたような彼女の声音に僕は一層彼女を抱きしめる力を強くした。

「全然、足りません」

結局二人とも布団を出たのはそれから15分後だった。
0491名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 13:04:03.34ID:tqDWxzD3
「急いで朝食の準備とお弁当の準備しますね!」

割烹着に袖を通し、調理の為に手洗いを始めると着替えを済ませた彼女もエプロンを手に僕の隣に並んだ。

「手伝います」
「朝のトレーニングは今日もしないの?」
「えぇ」
「夜の腹筋運動とストレッチも最近してないよね?」
「……トレーニングは暫く控えようと思ってます」
「体調、まだ悪い?」
僕の質問に彼女は小さく頷いた。
「今日、病院に行ってきます」
「あぁ、そうした方が良い……っと!何?」

彼女が僕の割烹着の裾をツンと引っ張るので、手にした卵を落としそうになる。
視線を彼女に向けると「一緒に病院…」と言ったまま口籠ってしまった。

「一緒に病院?」

聞き返すと摘まれていた割烹着から指が離れた。

「何でも無いです。卵焼きは私が作ります」

僕の手の中から卵を取り上げた彼女は手早く卵を割り、相変わらずとても綺麗な四角い卵焼きを完成させた。

朝食を摂り終え、いつものように玄関先で出勤する彼女を見送る。

「病院でちゃんと診て貰って具合悪かったら早退したりしなよ?」
「……病気ではないと思いますから大丈夫です」
「そんなの診て貰わないと分からないだろ?」

僕の反論に彼女はちょっとだけ困った様な顔をして「無理はしません」と小さく頷いた。
彼女の頭を軽く撫でて「行ってらっしゃい」と伝えると「行ってまいります」と彼女は玄関のドアに手を掛けた。
すると彼女はくるりと体の向きを変えて言いにくそうに

「今晩の夕飯なんですが献立の変更をお願いしたいのですが…」

と口にした。

結婚して初めての申し出に僕は若干驚きつつ「何が食べたいの?」と聞き返す。

「さっぱりしたものか酢を使った料理が良いです」
「酢を使った料理?えっと、酢豚とか?」
「それはさっぱりはしてません」
「え、えっと…魚のマリネとかどうかな?」
「……そうですね、それなら食べれそうです」
「じゃあ、頑張って作ります」
「楽しみにしてます」

柔らかく微笑んだ彼女はそのまま玄関を開けていつもの様に出かけて行った。
僕はすぐさまベランダに移動して駐輪場からバイクを出す彼女の姿を眺める。

バイクのエンジンを始動させて、バイクに跨ると振り向いて僕に手を振る彼女に同じように僕も手を振り返す。
走り出した彼女を見ながら、原因不明の体調不良…変な病気じゃないといいなと溜息を吐き出す。
さて、突然リクエストされた今日の夕飯。
最近食欲が無い彼女の為に美味しい夕食を作ろうと良く晴れた青い空をみながら大きく背伸びをした。
0492名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 13:59:40.70ID:CTx1aQ4m
>>489
おお!投下感謝申し上げます!
幸せそうな2人が見られて嬉しい!依子さん呼びな巧も、素敵です。

依子の中の人ももしや?!何て言われているけれど、こんな感じで、続編みたいなぁ〜
0493名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 15:22:20.14ID:0jqCHoMz
>>488
巧がAV見たくない理由に萌えました〜。彦乃さん似の女優さんが出演してたら…?
ってちょっと考えてしまいました。
>>489
すっかり大人のカップル!?な2人ですね。一緒に病院行って喜んでほしい。
おめでただったら、ポンポコポーン!とみんなに発表するかもしれないですね!
0494名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 17:11:15.09ID:0jqCHoMz
依子の寝室にて 22:55

「藪下さん、その本好きなんですか?寝る前によく読んでる気がする」
「ええ。忘れないように繰り返し読むことにしています」
「へぇー、勉強ですか?そんなベッドの明かりじゃ、暗いでしょう?」
「読み慣れた本なので、大丈夫です」
「…もうすぐ23時になるけど、僕のことは気にせずに気の済むまで読んで下さいね」
「お気遣いありがとうございます。ちょうどキリのいいところまで読み終わりました」
「そう…ちょっとその本、僕も見ていいですか?」
「どうぞ」
「表紙に書いてある『π』って円周率のことですよね?」
「はい。この本には円周率が10万桁まで載っています。どこまでもどこまでも
 ずーっと永遠に続くんですよ!素数と同じくらい、私が大好きな数の一つです」
「やっぱ凄いなぁ…確か2万桁以上、暗唱できるんですよね?」
「……それが困ったことに、今は、全然ダメなんです」
「え?どうして?」
「それは…少し言いにくいことなのですが…」
「言ってください。気になります」
「……谷口さんとの性行為が激し過ぎて、どんどんどんどん頭から数字が抜けて行ってしまって、
 ちっとも暗唱できなくなりました。それで、忘れないよう復習をしています。あなたのせいです!」
「そ、そうだったの!?僕のせいで?…その、全然気づかなくて悪かったです。ごめんなさい」
「………ふふっ」
「何が可笑しいんですか?」
「……冗談です。あなたが謝る必要はありません」
「???どういうことですか?」
「…あなたと共に過ごし、あなたを想う時間が増えてから、私は変わった、ということです。
 円周率を暗唱しようとしても、いつも途中であなたを思い出して続きが言えなくなるんです」
「…僕のこと、数字より魅力的に感じてくれてるってことですか?」
「悔しいですが、認めざるを得ません」
「悔しいって何ですか!もう……でも、今の藪下さんも素敵だなと思います。とっても」
「感謝申し上げます!…さて、もう遅い時間なので寝ましょうか」
「うん。そうだね。おやすみなさい」
「おやすみなさい…あの…手を、つないだまま、寝てもよろしいですか?」
「もちろん。喜んで」

                      終わり
0495名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 17:16:03.62ID:0jqCHoMz
SPで依子の枕元の棚にあった白い表紙の『π』と書かれた本が気になったので
想像して書いてみました。依子の中で巧の存在が大きくなるにつれて、数字への
こだわりも変化していくのかもしれません。
0496名無しさん@ピンキー2015/10/10(土) 18:04:33.68ID:CTx1aQ4m
>>494
GJです!!
πの本、あったね!
数字の魅力に勝っちゃう巧、さすがです!
0497名無しさん@ピンキー2015/10/11(日) 00:09:22.16ID:kQX3aMXR
>>483>>493
GJありがとうございます!
ちょっ巧が乙女過ぎるかな?っと、5話を見直したら、
やっぱり乙女でしたw
彦乃さん似の場合は、依子ほどじゃなくても、
芸術品が汚れるという点で嫌がりそうかなと思いますね。

>>490
GJです!
大人で幸せに浸る二人が可愛いです!
裾を掴む依子が可愛すぎます!

>>494
GJです!
数字の謎により運命的に結ばれた二人だからこそ、
数字に勝つ巧に萌えますねw
円周率を暗唱する依子が可愛いです!
0498名無しさん@ピンキー2015/10/11(日) 13:45:14.83ID:hPefwb0x
>>496 >>497
GJありがとうございます!
SPで10月24日に憧れてる依子がかわいかったですねー。
やれやれ、また始まったみたいなリアクションの巧も微笑ましいです。
0499名無しさん@ピンキー2015/10/12(月) 14:32:13.88ID:AaoyXAwT
もしこのドラマが男女逆転だったとしたら、
藪下長谷川が公然と性関連台詞吐いちゃう理系エリート公務員で
谷口杏が引きこもりの歴女って感じだったんだろうな

ダブー流して誘う藪下長谷川を想像して笑ったw
0500名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 17:02:46.76ID:YDfpl6Zc
依子の部屋にて 契約書の内容を話し合う二人

「半同棲スケジュールの時間を変更したい、ですか?」
「うん。家事に慣れて時間の余裕も出てきたから、ちょっと変えてもいいんじゃないかな」
「わかりました。では、変更希望の内容をおっしゃって下さい」
「えっと…その…23時から、君と…」
「性行為とピロートークの時間ですが?」
「そ、そう!そこなんだけど。その後、24時に就寝になってますよね?」
「はい」
「君が23時半に就寝にできるように、22時半から…っていうのはどうかな?」
「性行為の時間を30分繰り上げる、ということですね?なぜ?」
「君は普段23時半には眠るようにしてるって、前言ってましたよね。
 僕が泊まる日だけ睡眠時間が減るのは、嫌じゃないのかなと思って」
「なるほど…それは私も気づきませんでした。ですが、心配には及びません。
 このまま、24時就寝で大丈夫です」
「そうですか。…じゃ、今のままでお願いします」
「お気遣い感謝申し上げます。…私からも一つ、提案があります」
「ん?」
「先ほどあなたが提案した『22時半開始』は取り入れたいのですが、いかがですか?」
「えっ」
「私も22時半開始が良いです。ただし、就寝時間は24時のままで構いません」
「ちょ!ちょっと待って藪下さん。それだと…」
「性行為75分、ピロートーク15分になりますね。まだ、時間が足りませんか?」
「いや!そういう意味で言ったんじゃ…」
「75分間だと体力的に少々不安がありますので、マムシドリンクをもう1本ずつ飲むことにしましょう」
「夜眠れなくなっちゃうよ!」
「改訂版の契約書が完成したら、またお父さん達にも披露しないといけませんね」
「…夜に関するところだけは、袋とじにして下さい」

                              終わり
0501名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 17:08:02.88ID:YDfpl6Zc
2話で普段は23時半には寝るようにしている、と言っていた依子が
SPでは24時就寝のスケジュールを作っていましたね。
時間にきっちり生活していたのに、巧のために習慣を変えてまで
起きている依子が、かわいいなと思いました。
0502名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 21:25:57.80ID:2ZdSIP3u
GJです!
私も睡眠時間30分短縮気になってました!
あの時残業せずに、真っ直ぐ帰ってたし、かなり
同棲を楽しみにしてたんだなあと思うと、
依子可愛いすぎですよねw
0503名無しさん@ピンキー2015/10/14(水) 08:23:22.33ID:RHVIHBiW
>>490の続きです。
前回投稿時GJ有難うございました。
相変わらずエロ無いですがほんわかした巧依話が書きたかったんです。
0504名無しさん@ピンキー2015/10/14(水) 08:24:39.96ID:RHVIHBiW
インターフォンが鳴り響き、巧はいつも通り玄関で依子を出迎えた。

「お帰り…依子さん?」

どこか上の空の依子に巧は顔を顰める。

「朝より具合悪い?」

巧の問いに依子は小さく首を横に振って「平気です」と答えると巧に鞄を渡し、ようやく靴を脱いだ。
リビングの椅子に腰を下ろすなり、巧が台所から「そう言えば病院には行ったの?」と声を掛けてきた。
依子は巧に聞こえない程度の深呼吸をしてから「行きました」と返す。

「どうだった?」
「…予想通り、でした」
「何、予想通りって…ただの風邪?」
「風邪では無いです」
「じゃあ何でも無かったの?」
「ごく、当たり前の自然な結果です」
「何だよそれ?」
「……心臓が、元気に動いているそうです」
「止まってたら死んでるよ!」

依子の返答が明らかに何かを言い淀んでいる事を巧は不振に思い、料理を中断し依子の隣に腰を下ろすと依子の顔を覗き込んだ。

「はぐらかさないで、ちゃんと答えて下さい。深刻な病気じゃないんだよね?」
「はい。暫くは体調不良が続くと思いますが2,3か月後には治まると思います」
「え、そんなに続くの!?」
「はい、体調が落ち着くまでは個人差があるようなので何とも言えませんが…」
「で、結局何の病気なの?」

巧の質問に依子は「良いもの見せてあげましょうか?」と返し、巧はまたはぐらかされたと眉を顰めた。

「依子さん、いい加減に白状しないと怒りますよ?」

巧の不機嫌そうな声音に反して依子はにっこりと笑顔を返し、鞄の中から一枚の写真を取り出すと巧の目の前に差し出した。

「ぽんぽこぽーん!」
「BGM変ですよ…って、え!?」

目の前に差し出された白黒の写真を巧は食い入るように見つめた。
映画の中で何度か見たことのあるその写真の真ん中には小さな命が映し出されている。
0505名無しさん@ピンキー2015/10/14(水) 08:25:05.03ID:RHVIHBiW
「体調が…悪いって、つまり…その……」
「一般的につわりと呼ばれる症状です」
「夕飯のメニューの変更、酸っぱいものが食べたいって…」
「妊娠するとつわりの症状から食欲が低下するのでさっぱりしたものや酸っぱいものを好むようになるそうです」
「心臓が、元気に動いているって…?」
「元気に動いてましたよ。とても小さいのに、ちゃんと動いてるのが判るんです」

呆然と依子を見つめる巧に依子はフフッと頬を緩めると巧の手を取りお腹に当てた。

「ここで、小さな心臓が動いているんですよ」
「……狡いですよ、自分だけ。僕も見たかったよ」

どこか拗ねた様な巧の声音に依子は困ったように眉を寄せた。

「私も貴方に一緒に来て頂きたかったですが、貴方はそういう場所が苦手だと推測したのと、間違いだった時の事を考えて今回は一人で行きました」
「……次回は僕も行くからね」
「でも…大丈夫ですか?病院内で緊張し過ぎて嘔吐するとか気分が悪いと倒れられても困るのですが……」
「あ、えっと、きっと君と一緒なら大丈夫だと思う。そうならないように頑張ります」

本当に大丈夫かと目線で問う依子に巧は大きく頷いた。

「僕が君の為なら努力を惜しまない人間だという事を君はよく知っている筈だよ?」

巧の言葉に依子は「はい」と頷いて巧に抱き着いた。

「っと、依子さん!?」
「私も、貴方とこの子の為に精一杯努力します!」
「…君は努力すると暴走するから程々にね」

ポンポンと依子の頭を撫でると依子は巧の胸の中から顔を上げて巧を見つめた。

「高等遊民、専業主夫の次の肩書は父親ですね…引き受けて頂けますか?」

依子の問いに巧は満面の笑顔を浮かべた。

「喜んで」
0506名無しさん@ピンキー2015/10/14(水) 17:14:31.77ID:OSFWWKp6
>>504
GJです!!幸せそうな二人に癒されました〜
巧がはぐらかされてる最中のやりとりが目に浮かびました
感謝申し上げます!

>>502
GJありがとうございます!そのうち24時以降の延長も検討してそうw
0507名無しさん@ピンキー2015/10/14(水) 23:45:58.52ID:BcJuuZEz
>>504
続きGJです!
鈍い巧とわざとはぐらかす依子が可愛いです。
こんな幸せな大人の二人をぜひ続編でも見たいですね!
0508名無しさん@ピンキー2015/10/18(日) 16:26:35.60ID:HizaY3aH
ダメだ完全にデートロスだ悶々とするからもういっそ書いてしまおう
こんなんですまんイメージ違うかもですまん

依子父が来ない&山小屋で初めてを迎える巧依です!
0509名無しさん@ピンキー2015/10/18(日) 16:28:49.42ID:HizaY3aH
二人でとんでもない馬鹿になってしまった。この状況下で事に及ぼうなんて小説や映画だけの話だと思っていた。
それでも、いま凄くそういう気持ちになっている。いまならできそうな気がする。
時計がなくて良かった。彼女にしてみれば性行為の時間は45分らしいが――なにか根拠となるデータでもあるのだろうか?――ここでは時間を気にする必要も無い。
勢いで彼女を押し倒したものの、僕はDTで彼女はSJだ、初めての行為がこんな廃れた小屋の干し草の上ですんなりいくとは思えない。
そして彼女も緊張しているのか、僕の腕をぎゅっと掴んだままだ。
だから、ゆっくりでいい。

唇を重ね、無我夢中で彼女の口内へ舌を入れて侵食していく。
いつもは積極的な彼女がなすがままとなっている。ゆっくりと唇から耳元、首筋へ舌を這わせると、時折彼女は身体を震わせた。
手探りで彼女の羽織の紐を解き、浴衣の帯に手を伸ばす。多少手間取りつつも帯を緩め、浴衣の襟を開く。
恐る恐る乳房に触れると、その柔らかな感触に夢中になる。乳房の先端を舐め指で撫ぜると、彼女は小さな声を上げた。
「嫌ですか?」
彼女に問うと、彼女は小さく首を横に振った。
手のひらに伝わる彼女の体温。こんな柔らかな肌に触れてしまったらもう引き返せないだろう。

――あなたの心が欲しいです。隅々まで全部欲しいです。
彼女の言葉が何度も脳裏をよぎる。
――あげますよ、隅々まで。その代わり君のも――隅々まで全部欲しいです。

そっと彼女の内腿に触れると、彼女はびくりと身体を強張らせた。
「嫌ですか?」
ここまできて今更止める気などありもしないのに卑怯な言い方だと思う。それでも、僕を受け入れてほしい。
大丈夫です、と消え入るような声で彼女は答えた。
欲望が膨れ上がり、彼女と繋がりたいと強く想う。
0510名無しさん@ピンキー2015/10/18(日) 16:29:49.39ID:HizaY3aH
探りあてた秘所に自身を宛てがい、少しずつ彼女の中に入ろうと試みる。
「痛っ……」
「あ…すっすみません、」
「いえ、あの、初めての時は痛みを伴うもの、と言います、ですから…」
拙いやり取りに気恥ずかしくなってきた僕は思い切り彼女の唇を塞いだ。キスをしながらはやる気持ちを落ち着かせる。
お互い初めてなんだ、ゆっくりでいい、ゆっくりでいいんだ。
両手で彼女の頬を押さえ、より深く口付けて舌を絡ませる。艶っぽい息を吐いた彼女の身体から力が抜けていくのを感じ、今度は少し強引に彼女の中に入り、一息に奥を突いた。
「あぁ…」
彼女の中に僕のが入って…ようやく一つになれた。心臓が早鐘を打っている。
「……っ…」
彼女が小さく呻いたが、僕には彼女の痛みを気遣う余裕は無い。挿入したばかりなのにもう果ててしまいそうで、気持ちばかり焦る。
彼女の中を、もっともっと堪能したいのに。ああ駄目だ、イきそう、イきたい、彼女の中に全てをぶちまけて果ててしまいたい。
「谷口さ…」
彼女が切なげな声を上げ、僕の背中に腕を回した。
「藪下さん、藪下さん…っ」
僕はいよいよ堪えきれなくなり、無造作に力強く腰を振る。
「あ、あっ、あぁ……っ」
強く強く彼女を抱き締め、僕は彼女の中ではぜた。

ぐったりと彼女に覆い被さったまま呼吸を整える。
「めくるめった……」
「めくるめ…?」
彼女が呟いた不可解な言葉に、自分の身体を少しだけ起こして様子を窺う。どうやら放心してしまっているらしい。
彼女といまだ繋がっている処に旅館のタオルを宛てながらぬるりとそれを抜く。
「この暗闇では確認できませんが、初めてなので…色々汚してしまったと思います…」
「…お気遣い感謝します」
素直に謝意を述べる彼女からは恥じらいが見て取れた。
二人で身体を寄せ合って仰向けになり、夜空を眺める。
「月が綺麗ですね」
僕がそう呟くと、彼女は僕の羽織をぎゅっと握り、小さく頷く。
そうして穏やかな時を過ごし、僕らは眠りについた。



<終>
0511名無しさん@ピンキー2015/10/18(日) 16:30:54.81ID:HizaY3aH
誰かも言ってたけど、巧はわりとなんでも器用にこなす人だから、小屋での勢いなら上手くできたんじゃないかなーとか勝手に妄想
いざとなると弱腰になってた依子も美味しいですムシャァ

最中干し草で擦り傷にならないように片腕で自分を支えてくれている巧のやさしさに触れたりとか
汗でベトベトな身体を舐め回されて感じちゃったりとか
着衣のままのせくろすに戸惑ったりとか…(←依子は全部脱ぐもんだと思ってそうなので)
そんな感じの依子サイドも書きたかったけど、リケジョ難しくて断念。

終わります!
0512名無しさん@ピンキー2015/10/18(日) 16:39:29.79ID:XbWZwrEO
>>508-511
おお!GJです!!!!
巧の中の人がエロいので(褒めてます)こんな風になりそう・・・
0513名無しさん@ピンキー2015/10/18(日) 19:10:52.84ID:DLQVCGkC
>>511
GJです
エロいです!
自分エロなし小ネタ専門なので、エロあり書ける人尊敬します
0514名無しさん@ピンキー2015/10/19(月) 00:09:01.57ID:E7sYnaBK
>>511
GJGJです!
エロくて、でも二人が可愛くて優しくて愛に溢れてて、
最高です!
でも、ヤブ蚊がちょっと心配ですw
虫除けスプレー巧持参してないかな?w
0515名無しさん@ピンキー2015/10/22(木) 01:09:49.64ID:qr1CwstE
511です。お読みいただき感謝申し上げます!
いつも読む側で楽しませてもらっています。

以下、巧依の会話パロです。
題して「こんなピロートークは嫌だ」
0516名無しさん@ピンキー2015/10/22(木) 01:12:27.46ID:qr1CwstE
――事後――

「第二水曜日は後背位と座位でしょう。どうでしたかねぇ?」
「率直に申し上げます。予想より遥かにお上手です」
「そっちの研究わりとするようにしてるんで」
「気になる点は二点です」
「えっ」
「一点目、愛撫の強弱・場所がバラバラ過ぎます。左右対称で同じ強弱・同じ場所にした方が統一感が出ます」
「バラバラの方が普通です、映像でプロがするのだってそうでしょう」
「プロともあろう者が均一にできないのは嘆かわしい、とかねがね思っていました。均一な方が気持ちがいいのに」
「それは君だけだ、色んなやり方があった方が受けごたえがあって気持ち……」
「……………(じぃー……)」
「……まぁいいや。君がそうして欲しいなら次からそうするよ」
「二点目、この避妊具はどちらで買いましたか?」
「駅前の薬局ですけど…」
「駅裏の薬局で買ってください、とお願いしましたよね?」
「駅前の薬局って言ったでしょう」
「それはまむしドリンクです。まむしドリンクは駅前、避妊具は駅裏。はい」
「まむしドリンクは駅前、避妊具は駅裏」
「成人向け雑誌=商店街、AV=駅前、勝負下着=駅裏、大人の玩具=商店街。はい」
「成人向け雑誌=商店街、AV=駅前……、…もうそれわかんないから書いといてくれますか」
「そうしましょう」



……………がばっ!
「ゆ、夢か……」



<終>
0517名無しさん@ピンキー2015/10/22(木) 08:04:20.17ID:qfC5YAbt
>>515
GJです!笑わせてもらいました〜!
均一な愛撫を求める依子と、次からそうするよ発言の巧が面白すぎます!
0519名無しさん@ピンキー2015/10/22(木) 11:17:51.31ID:qfC5YAbt
10月30日(金) 23時 巧の部屋

ベッドに寝転がって本を読む巧。携帯が鳴った。
「夜分遅くにすみません」
「もしもし、藪下さん?どうかしましたか?」
「谷口さんは今、何をされてますか?」
「明日は君とデートだから、そろそろ寝ようかと思ってたけど?」
「そうですね。明日は楽しいデート、ですものね。では、おやすみなさい」
「…おやすみなさい」(何だったんだ???)

   〜30分後〜
本棚の方を向いて横たわり、毛布をかぶってうとうとしている巧。
(ん?何か下で物音がしたような…いや、気のせいか)

巧の部屋のドアが開くかすかな音が聞こえた。
(母さんか?こんな夜中にノックもしないでまったく…)

衣擦れの音が、まっすぐこちらへ近づいてくる
(こそこそ隠れて一体何を…)
ガバッ!!!突然毛布の上から、巧は何者かに抱き付かれた。

「うわっ!!」
「谷口さんっ!私が、あなたの、サンタクロースです!」
「えっ!は?えっと…な、何で君がここに?」
「谷口さんは去年、官舎に侵入し、私に夜這いをしましたよね?今度は私の番です」
「あぁ…あの時の…」

二人は起き上がると、ベッドの上に並んで座った。
「…その恥ずかしいセリフは、お父さんから聞いたんですか?」
「ええ。巧君に迫られてお父さん困っちゃったよ〜、と」
「僕もあんな怖い顔のサンタに会って心臓止まるかと思ったよ…ところで、サンタの格好までする必要ある?」
「おかしいですか?」
「まだ10月だから早過ぎますよ。そんなに着込んだら、暑かったでしょう?」
「ご心配には及びません。こちらをよく見ててくださいね…3、2、1、ぽんぽこぽーん!」
依子はサンタ衣装の胸ファスナーを一気に下ろすと、巧の方に身体を向けて見せた。
「あ……これ、もしかして」
「そうです!カボチャとコウモリをあしらった、ハロウィン仕様の魔女風勝負下着を着てきました」
「うん。ありがとう。…とてもよく似合ってる」
「本当は、明日のデートで披露しようかと思っていましたが、待ちきれずこのような形になりました」
「参ったな…今、すごく、そういう気持ちになってきたんだけど…下に母さんいるしなぁ」
「大丈夫です。留美さんは先ほど出かけました。明日まで帰ってこないでしょう」
「え?どこ行ったの?」
「魔法使いサリーちゃんの衣装を持って、努さんのところへ行きました。きっとあちらも夜這いでしょう」
「そ、そうか…聞かなきゃ良かった…はは」
依子は巧に背を向けると、荷物の中をごそごそと何やら探し始めた。
「まむしドリンク一応持ってきましたが、飲みま……んっ」
依子を後ろからぎゅっと抱きすくめた巧は、首筋に唇を押し当てた。
「プレゼント、もう、開けてもいいですか?」
「はい…喜んで…!」

                        終わり
0520名無しさん@ピンキー2015/10/22(木) 11:41:41.18ID:qfC5YAbt
プロポーズだけでは終わらず、夜這いに挑戦した依子のお話でした
4話冒頭で「ラッピングを剥がすのが楽しみだ」カップルに殺意を覚えていたのに、
めくるめった時は、ほぼ同じことを言ってるという(笑)
0521名無しさん@ピンキー2015/10/22(木) 22:29:32.12ID:CTzAXHwW
乙っした!!!!
0523名無しさん@ピンキー2015/10/23(金) 01:10:31.34ID:VNkTzo2u
>>515
GJです!
こころを知る前の依子なら本当にこんな感じになりそう
笑わせてもらいましたw

>>519
ハロウィンネタGJです!
依子可愛い〜!
コスプレまた見たいよね
デートは季節のイベントいろいろ出てくるドラマだったから、サザエさんみたいに一年中見ときたい感じだった
0524名無しさん@ピンキー2015/10/23(金) 07:08:59.15ID:00CB0IOR
>>521-523
読んでいただき、ありがとうございます!
SPより、もう一つ書きましたので投下しますね(下ネタ注意)
0525名無しさん@ピンキー2015/10/23(金) 07:50:13.95ID:00CB0IOR
谷口家リビング 夜 向かい合って座る巧と依子

「ラブホテル巡り?」
「ええ。より良い性行為のためにも、次の週末、私とラブホテル巡りをしませんか?
 多くの結婚前のカップルは、婚前ラブホテル巡りでめくるめっているそうですから」
「婚前ラブホテル巡り?」
「結婚して妊娠、出産、そして育児が始まるとなかなかラブホテルには行けなくなります。
 思う存分、楽しめるのは婚前だけですよ」
「そりゃそうですけど…」
「あなたはもう童貞ではありません。ラブホテル巡りぐらいできます」
「…風情ある山奥のホテルだったら、行ってもいいかな。時間を忘れられそうな。」
「あなたが希望するところに行きましょう」
「じゃあ、ちょっと調べてみますね」
「はい。楽しみですね!」
「ええ。いい本があるんです」


ラブホテル巡り前日 谷口家リビング 巧の傍らに努

「マッサージオイル、ピンクローター、アイマスク…ああー、コンドームあと3個は要るよなー」
「…お前がラブホテルに行く日が来るとはなあ」
「手錠、ロープ、ろうそく、あっバイアグラも入れとかなきゃなー」
「お医者さんごっこ用の白衣と聴診器は?」
「ああ!うあー!それを忘れてたー!やばい、トランクもう一つ必要だよなこれ」
「お前、何発する気だ!」


                         終わり
0526名無しさん@ピンキー2015/10/23(金) 07:58:58.12ID:00CB0IOR
巧のイメージ崩れ過ぎで本当にすみません!
最後の努さんのセリフが、空耳でこう聞こえてしまうので、書いてしまいました
この後、依子が行けなくなって誰かを誘うように、とお願いするシーンは、
ほぼそのまま当てはめることができるので、省略しました
留美「私は無理よ」、努「私は暇だが?」巧「やだよ!」の意味が違って聞こえます
0527名無しさん@ピンキー2015/10/24(土) 00:32:28.51ID:rxUB6cT7
>>515
GJです!
均一な愛撫と店にこだわる依子が第一話のロボット依子
ならありえそうで、大笑いしましたw

>>519
GJです!
魔女とコウモリの下着は手作りなのか市販なのか、
もしかしてサリーちゃんと一緒に瑠美さん手作りなのか
気になりますw

>>525
GJです!
なんだかんだラブホ楽しみにしてる巧が可愛いですw
そろにしても、風情ある山奥のラブホってちょっと
古そうですねw
0528名無しさん@ピンキー2015/10/24(土) 01:20:05.22ID:37IuF5RV
>>525
またまたGJです!
二人とも努力を惜しまないから、一度めくるめったら楽しみながらあれこれチャレンジするんだろうな〜
週末またSP 見直す予定なんだけど、この会話が浮かんできそうw
0529シングルベッド12015/10/24(土) 03:51:07.68ID:0Hj/t7H4
ー23時40分 依子の寝室ー

「薮下さん、実はお願いがあるんですが…」
「…なんでしょう」
先程の甘い情事の余韻が残る気怠さの中で、依子は巧の胸の中で答える。
「実は…ベッドをなんとか出来ませんか?二人で寝る
には狭すぎて、ちょっと…」
「確かに、私たち平均的な日本人の身長の二人が寝る
には狭すぎる、と私も思っていました」
「だろ?さっきも一番盛り上がってる最中にベッドから
落ちて腰打つしさ!」
「あれは、谷口さんが腰を激しく振りすぎだ、とは
思いますが。私は対面座位はゆっくり抱き合う方が
まったり出来て好きなのに、あんなに下から激しく突き上げるとは想定外です。ついこの間まで36歳拗らせ童貞
だったくせにっ!」
「しょ、しょうがないだろ?ついこの間まで処女だった
君にあんなに乱れておねだりされたらつい…ていうか
アヒル口止めてよ!」
「これは睨んでるんです!」
「はいはい。とにかく、こんな時間に近所迷惑だし、
こんな狭いベッドじゃゆっくり寝れないよ」
「確かに、他人に迷惑をかけるのは、由々しき事態ですね…」
依子はじっと俯き、しばし考え込む。
「…実は、上司に近々結婚することの報告と、家族用
官舎への希望願いを先日出しております」
「え、引っ越すの?」
「はい。ここは単身者用の官舎ですし、入籍したら
家族世帯用の官舎への入居が認められるので、
早めに申請しておきました。新しいベッドは折角なので
その時に購入しようと、考えています」
「それまでは、これで我慢するの?」
「当面は、リビングのミニデスクを寝る前に移動して
床に布団を敷いてそこでする、というのはどうでしょう。
そこなら存分に張り切って頂いても大丈夫です」
「べ、別に張り切るつもりは…わかりました」
「なんでしたら、床に干し草風蓙を敷いておきましょうか?」
「い、いいよっ!もう必要ないしっ!」
「そのようですね」
クスリと依子が笑う。
「ベッドは時間があるときに選んでおきましょう。
高反発と低反発タイプ、ダブルとキングダブルサイズ、
どれが良いですが」
「お、お任せします」
「わかりました。新婚生活に最適で子作りに最適な
最高のベッドを調査しておきます!」
「…は、はあ」
張り切る依子に、思わず苦笑いがこぼれる。
0530シングルベッド22015/10/24(土) 03:51:46.21ID:0Hj/t7H4
「ところで…あの…」
「はい?」
「家族用の官舎って、今より広いの?じゃ、じゃあ僕用
の書斎は…?」
「将来の子供部屋でなら、とは考えてますが…」
「やったー!!」
「しかし!地震対策や子供が生まれてからのことを
考慮し、本は戸棚に、人形は鍵付き強化ガラス戸棚に
収まる範囲で、あとはKindleで納得して下さい」
「そんなー!あんまりだよっ!」
思わず巧が悲鳴を上げる。
「子供が出来たら、子供が最優先です。今だって避妊は
していませんし、いつ親になるかわからないんですよ?
子供があなたの本や人形でケガしてもいいんですか?」
「…わかったよ。でも、子供が出来るまでは、ある程度
好きに使わせてよ?」
「新刊はKindleでお願いします。それに…」
依子が思わず口ごもる。
「ん?なに?」
「…なんでも、ありません…もう0時間を11分もまわって
います。もうピロートークは終わりにして、寝ましょう」
「…今の会話って、ピロートークなの…?」
首を傾げながらも、巧は仄かな灯りを消して、狭い
ベッドに身を寄せ合って、眠りについた。

巧の胸の中で、依子は巧の綺麗な寝顔を見つめる。
ー谷口さんは、書斎がすぐに子供部屋になりそうなこと
、納得してくれるかな…?ー
依子は何となくここ最近、女の勘と言うべき身体の変化
を感じていた。
まだあくまで予感に過ぎないが、それならば早く入籍と引っ越しと結婚式をしなくては。
でもまずは、明日最適なベッド選びをしなくては、
と思いながら、依子は静かに眠りについた。

終わり
0531名無しさん@ピンキー2015/10/24(土) 03:55:07.25ID:0Hj/t7H4
スペシャル見ていて、ベッド狭すぎ!と思いながら書きましたw
避妊は早く子作りしたいと言っていたので、してない
かなあとの想定ですが、もし不愉快に思われたらすみません。
0532名無しさん@ピンキー2015/10/26(月) 14:48:33.10ID:PihOzP2I
>>527 >>528
GJありがとうございます!旅行準備でウキウキしてる巧がかわいかったですね
親の前でラブホに行く準備は絶対にしないと思いますが、書いてしまいました
依子もグッズをリストアップして、準備万端で行くつもりだと思われます(笑)

>>531
GJGJです!最後の方、依子は腕枕してもらってるんでしょうか?
巧の「ん?なに?」って聞き方が優しくて好きですw
0533名無しさん@ピンキー2015/10/27(火) 00:09:40.00ID:RT8baPu3
>>515です。
遅ればせながら、お読みいただき感謝申し上げます!!

投下すごいですね、
色んなお話がたくさん読めてしあわせ……
まるっとGJです!!!!!

巧依書いたので投下します。エロ無しです。
修善寺温泉からの帰路、なんとなく離れ難くて(本人たち自覚無し)二人で一緒に官舎に帰ってきた設定です。
デートの世界楽しい……
0534名無しさん@ピンキー2015/10/27(火) 00:13:40.40ID:RT8baPu3
修善寺温泉の帰り、彼女の部屋に寄った。
疲れはあったが、珍しくお茶でもどうかと言う彼女の誘いに応じる事にしたのだ。
鞄を置いた彼女は台所に立ち、僕は部屋に通される。
喧嘩してから初めて訪れる彼女の部屋は相変わらず無味乾燥としていた。
ふと、棚の横に置いてある紙袋に目を留めた。中には大量の書類が入っている。
見覚えのあるそれは、結婚契約書だった。破られたものもある。
他にも数枚の写真が入っていた。
同様に破られてはいたが、そこに写っているのは紛れもなく練馬のマンションの前に立つ僕と彦乃さんだった。

――こんなもの見せられたらそりゃ浮気だと勘違いもするかな。鷲尾君本当に余計な事を……
「どうかしましたか?」
「うわ!」
振り向くとお茶をいれた彼女が立っていた。
「…あ!」
彼女はお茶を置いて即座に僕から写真を奪う。
「これは!………」
写真を後ろ手に隠しながらばつが悪そうにしている。
「あなたが、いけないんですよ! 誤解を招くような行動をとるから!」
その後も彼女の言い分は続き、黙って聞いていた僕はゆっくり口を開いた。
「……手」
「?」
「痛かったでしょう、こんな破り方をして」
唖然とする彼女の手を取ると、破れた写真はひらりと床に落ちた。
僕は構わずに彼女の手のひらに触れる。

――それで、あの大騒ぎか
彼女の指をなぞりながら目立った傷が無いのを確認し、この二日間で起きた事に思いを巡らせる。
しばらくして彼女に目を向けると、彼女も僕を見ていた。
窓から夕日が差し込み、部屋はオレンジ色に染まる。それはいつかの情景を彷彿とさせる。
沈黙したまま見つめ合った僕らは自然と互いの顔を近づけてゆき―――――



ピ――ンポ――ン

「「!!!!!」」

ガチャ
「あらお父さん」
「突然ごめんね依子、おお巧君も来ていたのか」
「あぁ…!」
「二人とも疲れてないか?」
「……………」
「……………」
「いやあ、昨日は折角の旅館の料理が食べられなかっただろう。今夜は鍋にしようと思ってね、材料を買ってきたんだ。お父さん鍋料理は得意なんだ、任せとけ」
「……………」
「……………」
「……………しりとりでもするか?」



<終>

破られた写真って男にしてみれば、女の情念は恐いと思うか、可愛い嫉妬と思うか……
巧は後者である事を願う!
0535名無しさん@ピンキー2015/10/27(火) 10:23:34.05ID:8Dq8TTxS
>>534
GJです!毎度毎度お父さんの登場タイミングが良すぎますね〜
ピンポン押す前に小夜子ママが引き留めてくれてたら良かったのに!
鍋を食べた後、お父さんには早めに帰ってもらって
見つめ合うところから仕切り直したんでしょうか?
0536名無しさん@ピンキー2015/10/27(火) 12:26:09.22ID:6ODqvI/G
>>534
GJです!
巧優しい〜
そしてまた依子父!w
お父さん帰った後の仕切り直しも読みたいです!
0537名無しさん@ピンキー2015/10/28(水) 03:30:14.04ID:gQ0rLjnh
>>532
GJありがとうごさいます!
巧は紳士なので、基本は腕枕してあげてると思いますねw

>>533
GJありがとうごさいます!
そして可愛らしい二人GJです!
優しい巧がらしくて大好きです!
そして、依子パパ空気読んでw
私も続き読みたいです!


またまた、小話を1つ書きましたのでエロなしですが、
投下いたします。
夏目漱石の猫は黒猫というより錆び猫とも言われて
いますが、あえて黒猫としています。
0538幸運の黒い猫12015/10/28(水) 03:40:05.83ID:gQ0rLjnh
ー18時30分 依子の部屋ー

「これは、どういうことでしょうか?」
「えっと、その…あの…」
仁王立ちする依子の前で、巧は小さく縮こまって座って
いた。
巧の大きな掌の中には、話題の主役でもある小さな
真っ黒い子猫がミーミーと小さく鳴いている。
「きょ、今日買い物の帰り道の草むらの中で、鳴き声が
聞こえたんですよ」
「それで?」
「み、見に行ったら、段ボールの中にこの子がいてさ、
親猫も居なかったし、あ、明日大雨警報出てるだろ?
このまま放置したら、絶対に死んじゃうよ!」
「で、連れて帰ってきたんですね?私に一言の確認も
なしに」
「わ、悪かったと思ってるよ!でも、ほっとけないよ!
黙ってこのまま死ぬのを見過ごすなんて!」
必死に訴える巧に依子は大きな溜息をつき、子猫に手を
伸ばした。
「貸して下さい」
「な、何するんだよ?」
「いいから!」
強めに言うと依子は巧の掌から子猫を強引に半ば奪い
取る。
「ちょ、ちょっと!」
抗議する巧を無視し、依子は子猫を抱いたまま、
スタスタと洗面所に向かう。
「ね、ねえ?まさか捨てないよね?」
巧を無視しながら依子は、小さめの洗濯ネットに子猫を
入れてチャックを閉める。
「ねえ、ネットに入れて何するんだよ!頼むよ、
このまま捨てたら絶対に死んじゃうよ!」
「少し静かにして下さい」
まとわりつく巧を一睨みした依子は、洗面台に栓をし、
ぬるま湯を貯める。
ネットに入れられて大人しくなった子猫をネットごと
お湯につけて、優しく洗い流していく。
「あの…薮下さん?」
「動物を洗う時は、洗濯ネットに入れると大人しくなる
と、聞いたことがあります。猫用シャンプーがないので
、今日はお湯洗いだけにしましょう。谷口さんはタオル
とドライヤーを用意しておいて下さい」
「わ、わかりました」
慌てて準備する巧を尻目に依子は優しく子猫洗い続け、
子猫は依子の掌の中で小さくミーミー鳴き続けた。
0539幸運の黒い猫2015/10/28(水) 03:44:00.47ID:gQ0rLjnh
白いタオルの中で蠢く子猫を巧がドライヤーで乾かして
いる間、依子はiPadで検索し続け、何枚かの紙を印刷
していく。
「明日、この獣医に行って下さい。年齢、病気、寄生虫
の有無の確認をお願いします。もし入院や治療が必要が
必要なら、医師の指示に従って下さい。ワクチンや避妊
手術の時期の確認もお願いします」
「はぁ…」
「あと、買い物リストも印刷しました。医師にこれで
いいかの確認もお願いしますね。お金は後で渡します」
「あの…」
「なんでしょう?」
「この子を、飼ってもいいんですか?」
「飼いたいのでは、ないのですか?」
「そ、そりゃあ飼いたいですけど…まさかこんなに
あっさり認めてくれるとは思いませんでしたから」
「今、無責任な飼い主により、膨大な捨て猫や捨て犬が
遺棄されています。私達で救える命があるなら救うべき
でしょう。それに…」
「それに?」
「あなたが、明日確実に死ぬのが分かっていて、それを
無視できる人ならば、私はあなたと結婚したいとは思い
ません」
「あ、ありがとうごさいます…」
思いがけない発言に、巧は思わず赤面し俯いてしまう。
「他に子猫は居なかったですか?」
「一応探しましたが、この子だけでした」
「そうですか。それは良かったです」
「あ、子猫用のミルクを買っておいたので、後で与え
ましょう」
「そうですね、そうしましょう」
すっかり乾いた小さな黒い毛玉は、巧の掌の中で
嬉しそうに小さくミーミー鳴いている。
0540幸運の黒い猫32015/10/28(水) 03:47:53.79ID:gQ0rLjnh
「あの…」
「薮下さんは、猫が好きなんですか?」
「私は、どちらかというと犬派です」
「え、本当に猫を飼ってもいいんですか?」
「構いません。だって谷口さんは猫が好きなんですよね
?特に黒猫がお気に入りかと」
「…なぜ、わかったの?」
「以前、猫番組を見ていた時に嬉しそうに話してくれ
ましたから、そうではないかと思っていました。
夏目漱石と竹下夢二の黒猫の逸話についてです」
「覚えてて、くれたんだ…」

夏目漱石に幸運をもたらした黒猫と、夢二が描く絵画の
中の、愛した女性に抱かれた黒猫の話を。
巧は、以前話していた何気ない会話を、数字しか興味が
ない依子が覚えていたことに、胸が熱くなるのを感じた。

「できるだけ早めに入籍して、新居に引っ越しましょう」
「え、いいの?」
「猫は家に居つくといいます。あまり環境を変えるのは
良くないですからね。この子は私達の長男になりますから」

巧は膝の上の子猫をそっと撫でると、真っ黒な爪を
伸ばしながら、うーんと伸びをする。
「夏目漱石が名前のない元野良猫を飼っていた話、
覚えていますか?」
「はい」
「漱石は最初飼うつもりはなかったそうです。でも、
あるお婆さんから漱石の妻に、その猫が全身足の爪まで
真っ黒で、幸運をもたらす珍しい福猫だと聞いて飼うことにし、それが『吾輩な猫である』を書くきっかけに
なったそうです。この子猫も、同じ全身真っ黒な福猫です。
だからきっと、僕達に幸運をもたらしてくれると思い
ますよ」
「そうですか、それは楽しみですね」
0541幸運の黒い猫42015/10/28(水) 03:48:27.86ID:gQ0rLjnh
手を伸ばして子猫を撫でていた依子の掌が重なり、
見つめ合う。
視線が絡み合い、そっと唇を重ねる。
静かな部屋の中で、濡れた口付けを交わす音と、
ミーミー鳴く音が響いた。
そっと、唇が離れて見つめ合う。
「…長男の目の前で、こういうことは良くない、
と思います」
「まだ赤ちゃんだから、わかんないよ」
真っ赤な顔して憎まれ口を叩く依子に、苦笑いがこぼれる。

「ところで子猫の名前なんだけど、いいのがあるんだ」
「あ、それ、私もあります」
「じゃあ、せーので…」
「漱石!」「キュリー!」
「なんだよ!」「なんですか!」
「黒猫と言えば、漱石か夢二だろ!」
「私はいつかペットを飼うなら、絶対にキュリー夫人に
ちなんだ名前が良かったんです!女の子なら誰もが
憧れる偉人じゃないですか!」
「それ、かなり少ないって!だいたい、この子は僕が
拾ってきたんだぞう!それにキュリーは姓名だろ!」
「名前のマリーは、長女が産まれたら付けようと取って
るんです。真理と書いて谷口真理と!」
「勝手に決めるなよ!僕だって、付けたい文豪に
ちなんだ名前沢山あるのに!」

始まったいつもの喧嘩に、小さな幸運の黒猫は小さく
あくびをし、『なんでもいいから、さっさと飯くれ
にゃあ』と言わんばかりに、小さくミーミー鳴き続けたのだった。

終わり
0542名無しさん@ピンキー2015/10/28(水) 10:33:49.45ID:PJIoNmEB
>>538-541
またまた素敵なお話をありがとうございます!
依子は長女の名前までちゃんと考えてるんですねー
漱石?キュリー?と一緒に日向ぼっこしながら読書する巧を想像して
とても癒されました
0543名無しさん@ピンキー2015/10/29(木) 12:16:42.38ID:zgu9nOmc
>>533です。
お読みいただき感謝申し上げます!!
自分の中でこれで完結しているので続きはありませんが(残念な頭です…)、
次こそは乱入されることなく成し遂げられるよう祈ります……!

>>537
GJ!
巧と黒猫って合いますねー
0544名無しさん@ピンキー2015/10/31(土) 02:14:39.39ID:4nN9QKpb
>>542
GJ感謝申し上げます!!
依子はきっとキュリー夫人好きなんじゃないかなと思いますね。
巧と依子は、子供の命名でもお互いの思い入れのある
名前を付けたがりそうで、そんな二人を続編で見たいですね。

>>543
GJ感謝申し上げます!!
巧は、色白で太宰治などの文豪風なので、黒猫は絶対に
合うんじゃないかと思いますね。
0545名無しさん@ピンキー2015/11/01(日) 00:01:46.58ID:BKoMhWTy
投下します。
短いですが、巧依がめくるめってます。
自分の操縦が上手くできない依子とスイッチ入っちゃった巧です。
勢いで書きました。楽しかった……
多少キャラ違ってもおkな方のみどうぞー
0546名無しさん@ピンキー2015/11/01(日) 00:02:40.82ID:BKoMhWTy
玄関の扉を開く前に、僕を見送る彼女が何か言いたげな顔をしている事に気付く。
こんな時の彼女はきっと何も言わないだろうから、僕も何も聞かずに彼女にキスをする。
重ねた唇は言葉を発するより正直で、息遣いが荒くなっていくほどに止まらなくなった。

衝動を抑えきれなくなった僕は彼女のブラウスのボタンに手を掛ける。
「ここで?」と彼女は戸惑う。
ベッドはすぐ隣の部屋にあったが、誰にも邪魔されないのなら場所なんてどこでもいい。
観念した彼女のさらけ出された柔肌を、僕は丹念に丹念に愛撫する。
まるで餌を貪る獣にでもなったかのように、彼女の身体をまさぐり、唇や舌を這わせては赤い痕を残していく。
普段の彼女からは想像もできないような喘ぎ声が上がる。
身体を捩る彼女の耳元に唇を寄せ、「いま凄く興奮しています」と囁く。
顔を紅潮させ惚けた表情をして僕を見つめる彼女は、より一層僕の情欲を掻き立てた。

望んだのは彼女だ――僕を欲しいと。
僕に帰ってほしくないのなら素直にそう言えばいいのに。
僕は彼女を抱きかかえ、二人で寝室へと消えた。



<終>
0548名無しさん@ピンキー2015/11/01(日) 19:47:08.72ID:R/3JLHZd
>>546
GJです!
巧が凄く男らしくて色っぽいし、依子が可愛いすぎです〜!
大人の二人ありがとうごさいます!
0549名無しさん@ピンキー2015/11/04(水) 14:58:58.64ID:ZlqizD+u
谷口家リビングにて 夕方 留美と巧の会話

「巧。ちょっと聞いていい?」
「何?」
「カウントダウンパーティー、今年も行くの?」
「…いや、今のところは予定ないけど。どうかした?」
「依子さんがね、私に衣装のことで相談に来たから」
「あぁ…去年はサイボーグ009やったからなぁー。…藪下さん何か好きなキャラとかあるのかな」
「うーん…それがねぇ、アニメじゃないみたいなのよ」
「ん?どういうこと?」
「あんたの、高校の時の制服をお借りできませんかって頼まれたの」
「……まさか。36歳の僕にそれを着ろって言うんじゃないだろうな。無理だ。絶対無理だ!」
「やっぱり?依子さんニコニコして高校時代の制服着てたわよー。かわいかったー」
「えっ!ここで着てたの!?…それはちょっと見たかったかも」
「あ。そうそう。これ、依子さんから預かり物」
「…ありがとう」
僕はリボンのかかった小さい箱を受け取ると、2階の自室へ戻った。
そして包みを開け、中に彼女からの手紙を見つけた。

〜谷口さんへ〜
今年のカウントダウンパーティーは、高校生カップルの格好で行きましょう!
と言いたいところですが、きっとあなたは制服を着るのに抵抗があるでしょう。
もしよろしければ、代わりにこちらをお使い下さい。
半同棲の日に、持参なさっても構いません。では。  藪下

「黒縁メガネにループタイ……?ってまさか!」
僕は彼女に整頓された棚の中から、急いで1枚のDVDを取り出した。
「…やっぱりこれか。じゃあ、藪下さんは小川蘇美を…」
目を閉じて彼女の制服姿を想像した僕は、小箱を風呂敷に包むと身支度を手早く整え、部屋を出た。

「あら?依子さんに会いに行くの?今日は半同棲の日じゃないでしょー?」
「ちょっと遅くなるかもしれないから、母さんは先に寝てていいよ」
「はーい。いってらっしゃい。泊まって来てもいいわよー」
「そんなんじゃないって!…じゃあ、ちょっと行ってくる」

彼女の家で僕が何をしようとしてるかなんて、とてもじゃないけど言えなかった。
半同棲の日に…って書いてあったけど、OKしてくれるかな?
そうだ、何か彼女の好きな物を作って帰りを待とう。それがいい。
僕は彼女にメールを送った。
「僕が夕飯作ります。一緒に食べましょう」
「ありがとうございます。できるだけ早く帰ります」
すぐに返信されたメールを見て頬が緩むのを感じながら、僕は買い出しに向かった。

                           終わり
0550名無しさん@ピンキー2015/11/04(水) 15:12:59.67ID:ZlqizD+u
巧の中の人つながりで、鈴木先生ネタのお話を書いてみました。
鈴木先生と化した巧って、どんな感じなのか気になります。
妄想の中とはいえ、教え子とあんなことやこんなことしちゃうので。
結局カウントダウンパーティーには行かず、二人だけで盛り上がるかも!?
0551名無しさん@ピンキー2015/11/09(月) 15:19:49.04ID:PBalpe+v
「たっ…谷口さん…んむ…」
「藪下さん…っは」
藪下さんからの感動的なプロポーズを受け、数日たった半同棲の日の夜。
僕は藪下さんをラグの上に押さえつけ、さっきからずっと口づけだけをしている。
「谷口さん、も、許し…」
「っ許すも何も…藪下さんは何も悪く…ないっ…」

30分前。僕たちは次のデートの計画をたてるべく、雑誌を広げていた。
「へ〜このバー雰囲気いいな。藪下さん、それにほらオードブルの野菜が皆立方体ですよ。好きでしょこういうの」
彼女は雑誌を覗きこんだ。
「この店は行ったことがあります。場所はわかるのでご案内しますよ」
「えっ藪下さんがこんなハードボイルドなバーに?」
「恥ずかしながら、彦乃さんとの件で同期に相談した際ここで…」
「同期?」
「警視庁の日下部真悟です」
「それって…だ、男性…」
「?単なる同期で…!」
僕は思わず藪下さんの両腕をつかんでしまっていた。
「きみ…も、もちろんその人と会ってたのは23時までですよね」
「当然です。食事もしてません」
「きみに…男性の友人がいたとは…」
「同期です」
僕の手が少し震える。全く意外だった。考えたこともなかった。しかし、いても何も不思議じゃない。
あれだけのマーチングバンドをプロポーズに動員できる人脈があったんだ。
彼女にだって、男性の知人くらいいる。ただ、今まで彼女の魅力に気づく人がいなかっただけで…

そう思った刹那口づけていた。いつも僕がこだわるムードなど何もない。
彼女の目が大きく見開かれ、獣のようにぎらついた目の僕が映る。
たまらず、目を閉じて彼女に体重をかけると、その体はゆっくり後ろに倒れた。
あとはただ口づけるだけ。舌など入れる勇気はない。彼女の吐息を感じつつ、ただ唇を何度も押しつけていた。
0552名無しさん@ピンキー2015/11/09(月) 15:23:13.29ID:PBalpe+v
そして今に至る。
自然と息が荒くなる。怖がらせてはいないだろうか?急に不安になり体を離した。

「谷口さん」
「…はい」
「浅はかな事をして申し訳ありません」
「そんな…僕の方がよほど」
「…そうですね」
「!ひどいなあ」
「でも…次からはそんなに目をぎゅっと閉じないでください」
「……」
「そんな苦しそうなキスはもうさせません」
「藪下さん…」
彼女も体を起こし、その指が僕の髪を撫でている。
一度でも彼女に心がないなんて言ってしまったことが悔やまれる。
そしていまだ清純な彼女をまるで陵辱するような口づけをしてしまって…
「谷口さん…みだらな事を考えていますか」
「そんなわけ!」
「…ありますね。私も…性欲が刺激されてしまいました…」
僕たちの夜はまだ長い。
0553名無しさん@ピンキー2015/11/09(月) 15:26:42.46ID:PBalpe+v
>>550
GJです!巧は普通のシチュではなかなかその気にならないようですよね。

>>551-552
勢いで書きました。メニューは捏造です。ろくすっぽ推敲してません。すみません。
0554名無しさん@ピンキー2015/11/12(木) 18:41:35.38ID:G1cPlfWr
>>545です。
またも遅ればせながらお読みいただき感謝申し上げます!

でもってまるっとGJ!!
コスプレに巧の嫉妬、美味しくいただきましたですふふふ。


短いのを投下します。
わりと好きだった彦乃さん。
あんなエロい和服美人いたらガン見するわ!
巧じゃなくてもドギマギするわ!!
お願いも二つ返事で聞いちゃうわ!!!

……とか思ってました。

彦乃目線の巧依です。エロ無しです。
巧依は出てきませんが、亡夫と婚約者の人が出てきます。
完全に自分の中のイメージで書いているので、苦手な方はスルーしてください。
0555名無しさん@ピンキー2015/11/12(木) 18:43:57.22ID:G1cPlfWr
巧さんは亡くなった夫によく似ていた。
姿も雰囲気も喋り方までも。
でも全くの別人。
一緒に食事をして会話を楽しんだけれど、いつも会話の中心にいたのは依子さんだった。

「君は美人だからね。大抵の男は君のような女性の前ではやたら格好つけて自分や相手の話をしたがるものだけど、彼は違ったんでしょう」
「確かに巧さんは依子さんの話ばかりしてたわ」
「君は男から延々と他の女性の話を聞かされる事に慣れていないんですよ」
「…なんだか意地悪な言い方をするのね」
「僕としては彼の存在は内心穏やかではなかったからね」
「あら嫉妬?」
「お好きなように。勿論感謝もしているけどね。…でもきっと――君の婚約者殿も同じだと思いますよ」
「………」
「君の事を責めもせず一緒に他のお客様や従業員の皆にも謝ってくれたんでしょう? 彼らしいね」
「…わかってるわ」

あの二人が羨ましかった。
巧さんは常に依子さんを想う気持ちに溢れていて。
そして依子さんも。
好きな人にあんな風に感情をぶつけられるなんて羨ましい。

「誰かいたの? 話し声が聞こえたけど」
「いいえ、独り言よ」
「そうか」
「…今回の騒動…迷惑かけてしまって本当にごめんなさい」
「君こそ大丈夫かい?」
「…ええ、私は大丈夫よ。…ありがとう」
部屋の灯りを落とし、窓から夜空を見上げる。
「……月が綺麗ね」
「そうだね」
季節は初秋を迎える頃―――



<終>

亡夫=小夜子ママのポジです。
0556名無しさん@ピンキー2015/11/16(月) 13:11:31.19ID:zG1nW6hT
皆さんGJです。
素晴らしい。全部癒されます。
依子ってセクロスの時は肩たたきとか花火の時みたいな声出すのかなと思ってましたが
月が綺麗の時の慌てぶりを見るに、意外と可愛い反応を示しそうでひと安心です。
しかし巧は好きな娘の家のフロ入ったり同じ布団被って寝てるのに淡白だな。
0557名無しさん@ピンキー2015/11/16(月) 17:24:27.82ID:0csDpAYC
11月16日 19:00 依子宅にて

「ただいま」
「あ、おかえり。ちょうど夕飯できたところですよ」
「…谷口さん、今日は第3月曜日。米飯・味噌汁・きんぴら・煮物の日ですが…」
「ええ、知ってます」
「では、なぜこのメニューなんですか」
食卓の上には、スープ、サラダ、そしておいしそうなオムライスが2人分並んでいた。

「たまには僕が食べたいと思ったものを作らせて下さい」
「うっかり間違えたのではない、ということですね」
「そうですね。…あ、アヒル口になってますよ」
「あなたの考えがわかりかねるからです!なぜ、献立通りに作らなかったんですか?」
「すみません。お詫びに僕がオムライスのケチャップかけるから許して下さい」
依子がしぶしぶ食卓につくと、巧はケチャップを持って横に立った。
そして、依子のオムライスに大きなハートマークを書くと中に「1」と描いた。

「これは…」
「煮物じゃハートマークは描けない、でしょ?」
「私達の第一回デートの日を、覚えてて下さったんですね」
「もちろん!いろいろあったから、一生忘れられない日ですよ」
「あなたが忘れている可能性も考慮していましたが、杞憂に終わりましたね。
 少々意外ですが、良かったです。では、こちらは私が…」
依子は巧からケチャップを受け取ると、巧のオムライスに器用に「祝・1周年」と描いた。
「ああ、ありがとうございます…でも、これちょっとケチャップかけ過ぎちゃいましたね」
「!!…私としたことが…」
「大丈夫、大丈夫ですから!さ、食べましょう」
「谷口さん、あの…」
「ん?」
「実は、1周年記念のお祝いにケーキを買ってきたんです。食後にいかがですか?」
「いいですね。じゃあ、ろうそく1本立てて一緒に吹き消しましょうか」
「はい!」
「せっかくだから記念写真も撮りましょう」
「いいですね!」
献立通りでなくても、こんなにも幸せそうな笑顔を見せてくれるようになった依子を見て
巧は恋愛ってやっぱりいいものだと心が温まるのを感じた。

「藪下さん」
「はい」
「来年も、再来年も、そのずっと先も…毎年こうやって二人でお祝いしませんか?」
依子はケチャップがたっぷりかかった巧のオムライスを一口分スプーンですくうと
巧の目の前に差し出した。
「私たち家族で、ですね。子どもが生まれたらみんなでお祝いしましょう」
巧は微笑むとスプーンを持つ依子の手を引き寄せ、オムライスを口に入れた。

                             終わり
0558名無しさん@ピンキー2015/11/16(月) 23:13:05.43ID:Nnxyx38i
>>557
GJです!!
オムライスとはかわいい2人にぴったりですね!

1116も、四則演算で解が1個しかないんだよね・・すごい事です。
0559名無しさん@ピンキー2015/11/17(火) 22:10:10.11ID:Eerjz7zy
>>557
GJ!
一日遅れだけど初デート一周年オメ!
記念日大事にする二人にほっこりです。


>>556
肩たたきや花火の時みたいな声……
「おおっ、おっおっ…おおおおお〜!」
それはそれで読んでみたいかもww

普段の巧は淡白だけど、依子をロックオンした時の巧は凄いと思う。
自分はあの凄まじい色気にやられました………
0560名無しさん@ピンキー2015/11/18(水) 09:25:47.96ID:xZwkq978
>>559
サイボーグキスの時の巧の控えめかつ畳み掛けるアプローチといい
山小屋の依子が「私のことは嫌いに…」以降の巧の必死な声音といい(いつもの声高に論ずる感じではない)
形勢が逆転する感じがいいですよね
>>557さんの素敵エピのあとで申し訳ないですが、一つ貼ります
巧も健康な成人男性だろうがと思った次第
※キャラ崩壊下ネタ注意ですゴメンナサイ
0561名無しさん@ピンキー2015/11/18(水) 09:33:36.98ID:xZwkq978
1/2
谷口巧は布団をかぶり悶々としていた
生まれて初めて自分からキスをした…
藪下さんが自分の事をあんな風に思ってくれていたとは
嬉しくていとおしくて今更ながら恥ずかしい!

いつか彼女と結婚するのだなあ…そして子どもをもうけて…子ども…

『良かった、健康な精子をお持ちで』

心臓が跳ねた、と同時に下半身が反応した
0562名無しさん@ピンキー2015/11/18(水) 09:34:57.72ID:xZwkq978
2/2
いつか、やるのか?僕と、藪下さんが?
すっぽん食わされた日に見た、藪下さんの胸元…あの強烈な下着から透けた…うぅ…
性欲強いって言ってたよな
あの上目遣いでアヒル口の唇が…ぼ、僕のここを…いやいや、さすがにそれは駄目だ!
何を考えてるんだ僕は、穢らわしい!文学の世界に身を浸して落ち着こう

思わず本棚の奥を探って一冊取り出すと、それはよりによって僕にとって最も萌えるシチュエーションのある作品の一つだった
なんてことだ、溢れる自然美に包まれた馬小屋で無垢なヒロインがみずみずしい体を開く…
………もう駄目だった

0563名無しさん@ピンキー2015/11/18(水) 16:34:37.12ID:oaaRjZNH
>>558 >>559 >>560
読んでいただき、ありがとうございます!SP後の二人がどう過ごしているか
気になります。来週はフラッシュモブ1周年記念にまた踊ってほしいと依子が
リクエストするかもしれませんね。

>>561
「健康な精子をお持ちで」が依子の声で再生されました
あの勝負下着も巧の目にしっかりと焼き付いてるんですね
その気になったらグイグイいけるのに普段は禁欲的な巧かわいいです
0564名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 06:27:38.64ID:57JSSw4L
>>560です
お目汚し失礼しました
あれだけじゃなんなので、依子視点の話を…
長くなりすぎたのでかなり削ったのですが、それでも長すぎすみません
ぶつ切りゆるいペースで投下します
0565名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 06:28:53.16ID:57JSSw4L
1
谷口さんの本棚で馴染みのある語句を見つけた私は、それを手に取った
「これは…『フェルマーの最終定理』」
柔らかいオレンジ色の光が差し込む部屋で、彼のベッドに正座しそっとページをめくる
…ふと顔を上げると、谷口さんが両手にコーヒーの入ったマグカップを持って、ドアのそばに固まっていた
私を見つめていたらしく、目が合うとはっとして顔が赤くなった
「何か?」
「あ、いえ…つい、あまりに君が…い、いや、あっその本は」
「谷口さんも数学に興味があるのですか?」
「それは定理の解明を題材にした小説です。まあ、理系の藪下さんの気持ちに少しでも近づけたらと思って…面白かったです」
「そうですか」
0566名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 06:31:49.58ID:57JSSw4L
2
私は本棚の『らんま1/2』の隣にその本を収めた
谷口さんは小さく苦笑いしてカップをテーブルに置き、近づいてくると
「本に集中するきみの姿は初めて見たよ…」
どこかぼんやりとした様子で言った
「これはもう解明された命題ではありますが、数の謎には誰もが魅了されるものだ、と思います」
「僕たちの謎も、いつかきみが解いてくれる…という希望が持てるよ」
谷口さんは伏し目がちにぎしり、とベッドに乗ってきた
ウールのベストが目の前をふさぎ、彼の匂いが近くなる
「キスしたいのですか?」
「そ、そうだね…」
目を閉じ唇を尖らせると、谷口さんの唇がそっと触れてきた
0567名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 06:36:35.02ID:57JSSw4L
3
フェニルエチルアミンが分泌されて私の頬も上気する……まだ離れない…
唇の力をゆるめ離そうとすると、予想外に追いかけてきた
「た、谷口さん?あっ」
両肩をつかまれ、布団に押し倒された
ごつん、と額がぶつかる
「いてて…す、すみません」
だけど、またすぐ唇が重なる
「藪下さん…きみに、触れてもいいですか」
谷口さんの口調は穏やかだけれど、私の両肩を掴む手は力強く、身じろぎも許さない
彼は普段私ほど鍛えてないのに…やはり男性なんだ、と思う
初めて部屋に誘った時も想定外の力で振り払われてしまったっけ
そして今…いつもはおどおどしてるその目が、瞳孔をゆるく開かせてじっと私を見つめている
「は、はい、お好きな箇所に触れてください」
「お、お好きなって…じゃあ、し、失礼します」
谷口さんは右手で私の髪に触れ、子犬をあやすように撫でる
そのままおずおずと撫で下ろし、首、肩、鎖骨、脇腹から腰骨
「僕は、なにぶん初めてだから…何か、間違ってたら言ってください」
私だって初めてだわ、わかるわけないじゃない
0569名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 06:47:37.56ID:57JSSw4L
4
あらゆる数値は乱れて、到底この気持ちは微分する事はできない…だけど
「もっと私の奥まで触れてください」
谷口さんの喉がごくりと大きく鳴った
「藪下さん」
声が少し低くなり目付きが変わる
突然私の首筋に顔を埋めて、いまだ肩にあった彼の左手にさらに力が入った
「藪下さん、藪下さんっ」
彼の髪が頬をくすぐる
華奢な体が意外な重さで私の半身にのし掛かる
彼と私の動悸が重なる
――もう逃げられない
0570名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 06:53:43.93ID:57JSSw4L
5
谷口さんの冷たい手が、ニットの裾から入り込んで来た
体の一定箇所に血液が集中すると、末端は冷えるわ
彼の背中に手を回し、そんな事を考えた

「大丈夫ですか」「痛くありませんか」「ここ…?」
谷口さんはとても優しい
「藪下さん、あの、辛ければ今日はここまででも…」
「くうう…もっと奥へどうぞ」
「もう全部入ってます…」
「う、動いて構いません」
「本当に…?ああ、藪下さん、とても、気持ちがいいです」
言葉と裏腹に谷口さんは汗ばみ眉根を寄せている
痛みなんて構わない、きっと脳内麻薬が出てるわ
0571名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 07:06:23.59ID:57JSSw4L
6(ラスト)
私たちはすっかり冷めたコーヒーを飲んでいた
「今からピロートーク?」
「はい。今回は時刻は23時以前ですし、所要時間は大幅にオーバーしました。シャワーの時間も必要でしたね」
「反省会じゃないんだから!まったくきみは…」
「でも、とっても幸せでした」
彼に体を寄せる
「せ、性行為の予定を詳細にたてるなんてこと自体ナンセンスなんだよ。こういうことはもっと叙情的に行われるべきだ」
そうかも知れない、と思う
でも口に出すのは悔しいから、きゅっと口をすぼめてにらんだ
谷口さんは微笑んで、さっきぶつけて赤くなっているだろう私の額を、長い指でそっと撫でた

0572名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 07:47:46.67ID:sJn5F6TM
>>564
感謝申し上げます!!感謝申し上げます!

幸せそうな2人にきゅんとしてしまいました!!
0573名無しさん@ピンキー2015/11/20(金) 08:50:54.24ID:57JSSw4L
>>572
ありがとうございます
修正しながら投下しようと思いつつ、結局一気に書き込みしちゃいました
お粗末さまです
0574名無しさん@ピンキー2015/11/24(火) 04:03:27.88ID:Oy5a0U/m
しつこく投下
>>570の3行め-4行めの間にあって削ったエロを手直ししたら、また長くなったけどキニシナイ!
DTとSJは難しい…
0575名無しさん@ピンキー2015/11/24(火) 04:05:20.22ID:Oy5a0U/m
5-1
素肌を這う谷口さんの手が、胸に届きそうな位置まできた
でもまだ躊躇してるみたい…
私は自分でニットをインナーごと首もとまでたくしあげた
モールドのブラがあらわになる
顔を上げた谷口さんの手がぎくりと震え、ヒュッという声にならない声が聞こえた
「あっ、や、藪下さん」
「今日は性行為の予定はなかったので勝負下着ではありませんがご了承ください」
「え?…そ、そんな事は別に……いえ、今日はこれで十分いい…と思います」
真っ赤な顔の谷口さんの目をじっと見てみる
私は今どんな顔をしているんだろう
「…恋をしている時に賢くあることは不可能である…byフランシス・ベーコン」
彼は自らに言うようにかすかな声でつぶやくと、こくこくと小さくうなずいていた
0576名無しさん@ピンキー2015/11/24(火) 04:09:06.79ID:Oy5a0U/m
5-2
谷口さんは私のニットを下着ごと全部脱がせた
彼のはぁっと高いため息がもれ、その手のひらが胸に触れる
「まるで美麗な陶器のようだ…」
うっとりと愛撫してくる
「ん…そんなに固いですか」
「ふふ、違いますよ。なめらかってことです…とても…柔らかい」
「あなたの男性器は固いですね」
「ええっ?そ、そりゃそうだよ」
「十分海綿体に血液が集中しているん…あぁっ」
唐突に彼の唇が私の左乳首を包み、舌が這う
右側は手で刺激されて、体に電流が走ったよう
「た、谷口さ、あ、あん、あっ」
0577名無しさん@ピンキー2015/11/24(火) 04:11:59.95ID:Oy5a0U/m
5-3
彼の手がスカートのホックを外し、ジッパーを下げた
ショーツの上から私に触れてくる
「藪下さん…濡れてます…よね」
やめて、言わないで欲しい
ショーツもソックスもゆっくりと脱がされる
恥ずかしさが一気に指数関数的に上昇する
ABCを一日でやっちゃいましょう、なんてあの時は出来ると思ってたのに、もう今は谷口さんに体をまかせるしかない
「あ…ここ、気持ちいいですか?」
「はあんっ」
はい、と返事したつもりだった
自分に驚き慌てて口を押さえる
「藪下さん…もっと乱れてみせて欲しいです」
「変になります」
「二人で変になりましょう」
そう言うと谷口さんは、あ、とつぶやき私から離れて膝立ちになった
「すみません、きみだけにそんな格好をさせて…僕も脱ぎますね」
0578名無しさん@ピンキー2015/11/24(火) 04:14:39.93ID:Oy5a0U/m
5-4
谷口さんは私にふわりとタオルケットを掛けると、ベストのボタンに手をかけた
いつも長袖シャツに包まれている彼の白い肌が、目の前であらわになる…
「ん?何かおかしいですか」
「いえ…谷口さん、あなたは綺麗ですね」
「き、綺麗?僕が?」
「はい。生物にはより多くの雌の関心を引くため雄が美しいものも多いですが」
「……きみにしか見せるつもりはないよ」

「谷口さんっ」
「何?」
「そ、そんな大人の余裕みたいなのを見せて、なんだかずるくないですか?あなたも初めてなのに…」
私は最後まで身につけていた眼鏡を外し、意を決して彼の中心に舌を伸ばした
「ひっ、うわっ」
さっき彼が私の胸にしたように愛撫してみる
「う…藪下さん、だ、駄目です、こんなこと…」
0579名無しさん@ピンキー2015/11/24(火) 04:23:47.19ID:Oy5a0U/m
5-5
すぐ引き離される
うるんだ目で抱きしめられた
「行為を誘ったのは僕だけど…きみが大切です。時には頑張らなくてもいいんだよ」
「今すぐ欲しいんです、Cまで」
「ん?」
沈黙――
「うん。でも、苦しかったらすぐ言ってください」

肌が触れあったまま、指が入ってきた
「んん」
「こんなふうかな…」
「ううっ」
「もう少し力を抜けますか?…あ、こうするのがいいんですね」
「あ、あ、そのまま」
「いきそう?」
「はいっ」
0580名無しさん@ピンキー2015/11/24(火) 04:28:33.20ID:Oy5a0U/m
5-6
頭が真っ白…
解析的分析なんてもう無理…
「藪下さん…とても素敵です」
谷口さんは艶めいた目をしてキスしてきた
私の口内に舌を這わせる
見ないで欲しい、こんな非論理的な私
「足をもう少し、こうして…」
なのに、シナプスは伝達物質を放出し続ける

0581名無しさん@ピンキー2015/11/26(木) 09:25:36.21ID:GQo2g6N+
迷ったけど短文エロなし在庫投下

(時は半同棲数回目、夜お茶を飲んで一息つく時間)

「谷口さん」
「はい。あちち…まだ右側が少ないな…これでよし、どうぞ」
「いただきます…谷口さん、豊胸について、あなたの見解をお聞かせください」
「えっ、何?ホウキョウ?」
「豊胸手術、バストアップ手術です」
「ぶっ、熱っ、あ、ごめんなさい、ふきんふきん…何です、藪から棒に」
「谷口さんは、女性がそういったことをするのをどう思われますか?」
「ど、どうって…必要ないと思いますよ。人間、何も恥じることはない、ありのままが一番だ。した人を否定はしませんがね」
「では谷口さんは大きいのと小さいの、どちらがお好みですか?」
「へっ?な、なんでそんなこと聞くんです?」
「あなたの理想の女性4人…割合としては75%が小さめかと。でも大きめが25%だからと言って好きではないとは言いきれません」
「何言ってんだよ、失敬な、4人への冒涜だ。胸で選んでるわけじゃない」
「では大きくなくてもいいんですね」
「当然です………」
「…私の、気になりますか?」
「み、見てないよ!」
0582名無しさん@ピンキー2015/11/26(木) 13:10:20.90ID:Dj+OIIvC
>>574
GJ!
甘くて幸せそうな二人にクラクラきました〜
いやーDTとSJはあれやこれやもどかしくて良いですね

……って
>>581もきてたー! 感謝申し上げます!

自分もいま書いてる話があるので、また投下しにきます。
まだまだスレ盛り上げて行きましょうね〜!
0583名無しさん@ピンキー2015/11/27(金) 16:03:03.09ID:egUUfEnm
>>582
恐れ入ります

書き込み心よりお待ちしてます
もともとROM専だったので、まだまだ皆様のログ読み返します

繋ぎにもういっちょ
0584名無しさん@ピンキー2015/11/27(金) 16:04:03.77ID:egUUfEnm
1/2
(時は半同棲数回めの就寝時刻)

「藪下さん、寝つきいいな…おやすみなさい」
巧は狭いベッドに入り込み、依子に背を向け横たわった
背中にほんのり依子の体温を感じる
(なんかいい匂いがするなぁ…)
先日はムスクらしき香水がプンプンする中、シルクのナイティに“タブー”のCDをかけられて脱力したが、今夜の依子はまた綿のパジャマで仰向けに眠っている
巧は体の向きを変え、首を回して依子を間近にそっと見た
(さっきは私物は40cm以内、なんて無慈悲な宣言しやがったけど…)
長いまつげが伏せられ、胸が規則的に上下している
(結婚したら毎日この人の隣で眠るのか)
自然な甘く柔らかい香りがする
同じベッドにいなければ気づかない、安らぐが官能的な香りだった
巧はそっと半身を起こす
(この前しそこねたキスをするか…?)
しかし依子のくわっと見開かれた目を思い出してブルッと身震いする
(あれは怖かった…お父さんにそっくりだよ。今は確かに寝てるよな…ん?)
「う…う…ありえない…」
依子はうなされている
(悪い夢でも見てるのかな…)
「そんな…そんなことが…」
(大丈夫かな、起こすか?でもまたあの目でにらまれたら…)
0585名無しさん@ピンキー2015/11/27(金) 16:05:42.17ID:egUUfEnm
2/2
巧はいくつかの童話を思い出す
王子や姫のキスが鍵になって呪いが解ける物語は数多くある…
依子の苦しげな寝顔を見つめてしばらく逡巡する
(やっぱ…無理だ…ごめん…だけどこれくらいなら)
「藪下さん…大丈夫ですよ」
巧は小さくささやき、手の人差し指と中指を揃えて唇に見立て、依子のぷっくりした唇にそっとあてた
依子はピクリと震え、突然おとなしくなった
(おっ?)
指を離すと表情が穏やかになり、寝息が再び規則的になる
(何かわからないけど、良かった…)
巧も少し満たされた気持ちになり、眠ることにした

翌朝、依子はシャワーを終え、キッチンに出てきた
「あ、藪下さんおはよう。あ、朝ごはん、もうすぐだからちょっと待って」
「おはようございます。まだ2分あるので焦らなくてもいいです」
依子は椅子に座るとふぅっとため息をついた
「谷口さん。昨夜、夢を見ました」
「ん…そうですか」
「マンデルブロ集合のフラクタルが有限である夢です」
「は?」
「円周率に終点があるくらい、ありえないです」
「はあ…」
「悪夢の中でパニックになった私を谷口さんが出てきて、助けてくれました」
「えっ、そ、それはどんなふうに…」
依子はカアッと赤面した
(あ、やっぱり…)
「忘れました」
「そう」
巧はアヒル口になった依子に背を向けてフライパンを握るとこっそり微笑んだ

0586名無しさん@ピンキー2015/12/01(火) 06:33:32.23ID:TT8yOTyc
エロなし貼ります

1/2
(依子と巧、そして依子の父の三人がようやく旅館にたどり着いた)

「おおっ巧、依子ちゃん、生きてたんだってな!」
「宗太郎さんにも大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「無事ならいいんだって、うわ真っ黒だぁ。朝風呂でも浴びて来いや」
宗太郎は巧に近寄るとその肩をポンと叩いた
「お前の部屋に藪下依子の荷物入れといたからな、ちなみにチェックアウトは11時だからまだ時間があるぜ」
「お、おい勝手に…」
「じゃな〜」
「谷口さん?」
「あ、あの、きみの荷物、僕の部屋だって…」
「わかりました」
二人はそれぞれ大浴場に入ったあと、一緒に部屋に向かった

引き戸を閉めると、しんと静まりかえる
依子の大きなトランクの上に、服がたたんで置かれているのが見えた
巧はトランクの中身が包丁だけだったことを思い出し、ひそかに苦笑する
二人は窓辺に近づいた
「いい部屋でしょう。文豪が創作にいそしむような」
「経年変化した色調の木目と間接照明が心を落ち着かせます…池が見えて遠近法による開放感もあります」
「…もともと、きみと二人で過ごすつもりだった部屋だよ」
「………」
「ここできみと…」
「…申し訳ありません」
「最後にこうして二人になれて良かったよ。写真をたくさん撮ったんです、また一緒に見ましょう。そうだ、一枚撮らせてください」
「えっ私を?」
「さあ、窓辺の椅子にかけて…こっち向いて。アヒル口は駄目ですよ」
「着替えたとは言え、まだ旅館の浴衣のままですが」
「だからいいんですって。映画の登場人物みたいだ、ほら…」

「あいつらなに写真なんか撮ってやがんだ、まったく」
「兄貴、ノゾキかよ。いい趣味だな」
「うおっ佳織、入ってくんなよ。俺ぁ責任あるから気になるだけだ。とりあえず仲直りはしたっぽいな」
「巧くんと依子さん…なんか雰囲気変わった気がする」
「そうか?」
「ほら兄貴、支度終わってるならもうこっち来な、皆で卓球してっから」
「おお、行くぜ!」
0587名無しさん@ピンキー2015/12/01(火) 06:35:28.10ID:TT8yOTyc
2/2
「谷口さん、着替え終わりました。もうこちらを向いて大丈夫です」
「あ、は、はい」
「一度は性行為に及ぼうとした仲でしょう、着替えを見られるくらい私は気にしませんが」
「ま、またきみはサラッとそういうことを」
「あなたは男性ですし見られても平気ですよね」
「平気じゃないよ、あっち向いててください、藪下さん…夕べの恥じらいはどこへ行ったんだ…」

「谷口さん、もう終わりましたよね」
「あっ、まだですよ、まだ袴の紐がっ。和装は時間がかかるんですから」
「…谷口さん、来る時もその格好だったのですか?」
「はい、せっかくの修善寺だからね」
「……」
「藪下さん?なんか怖い顔してません?」
「谷口さん、今から二人で外の橋まで行って、3分ほど川を眺めませんか」
「え?」
「私とデートしましょう」
「3分?」
「はい、それなら往復してもチェックアウトに間に合います。いかがですか?」
「あ、なるほど。はい、もちろん行きますよ」

「藪下さん、手をどうぞ…」
「はい」
「きみと少しでもこうして歩けて嬉しいよ」
「私もです…和装の谷口さんを、このたび初めて見ました」
「藪下さんの和装は何度も見たけど、いつもしとやかに着こなしていて、まるで百合の花のようだったよ」
「単子葉植物…」
「ものの例えです」
「谷口さんも、よく似合っています。高校時代の国語便覧に載っていた作家のようです」
「えっ…それは…嬉しいなあ。ありがとうございます」
「予定どおり橋に着きましたね。さあ、3分間川を眺めましょう」
「藪下さん…僕に1分30秒ください」
「え?はい構いませんが、なぜ…」
「1分30秒だけ、川じゃなくきみを見ていたい」
「あ…では…谷口さんの1分30秒も私にください」

「おいっ巧と藪下依子、なんであんなとこでキスしてんだ」
「うわ〜まったく…やるね巧くん」
「手の繋ぎかた、なんか変じゃね?って…もうやってられっかよ、佳織行くぞ」
「腰の抱きかたもまだDTっぽいなぁ…巧くん…精進しなよ。あ〜恋してえ!」

終り
0589名無しさん@ピンキー2015/12/02(水) 01:57:40.98ID:9Up+upL7
>>586
そのままの声で再生されました感謝申し上げます!
巧依は和装デートとかしないのかなー


>>546の続きを投下します。
前回書き忘れましたが、DTSJ卒業済みの設定です。
0590名無しさん@ピンキー2015/12/02(水) 02:01:15.30ID:9Up+upL7
――いま何時だろう。

玄関で谷口さんにキスをされ求められて性行為にもつれ込んだ。
抱きかかえられ寝室に連れられて、されるがままを許し、請われるがままに動いた。
長い愛撫の末に私が谷口さんの上で達すると、君だけずるいよ、と言われた。
――ずるいも何も、私を絶頂に導いたのはあなたじゃありませんか。
不明瞭な頭で指摘すると、谷口さんは「それもそうですね」と微かに笑って身体を反転させた。

私は何事も努力を惜しまない人間だ。
性行為も例外では無い。
雰囲気を重要視する谷口さんの繊細さも考慮した上で入念に準備する。
しかし、準備万端の時行為に至る事は無く、逆に思いもよらない時に限って谷口さんは求めてくる。
何故こうなってしまうのだろう。
性衝動のタイミングが合わない、という事なのだろうか?
そうだとすれば、私達はよほど相性が悪いと推察される。

谷口さんが私の身体の奥深くを突き上げる。
最初はゆっくりと身体を揺さぶられ次第に強く腰を打ち付けられ、私はまた自分を見失っていく。
いつもこうだ。私は本来理性的な人間なのに、谷口さんといるとつい感情的になって……
薄れる意識の中、「君はそれでいいですよ」と言う谷口さんの声が聞こえた気がした。

・・・

目を覚ますとベッドの上で谷口さんと添うように寝ていた。
カーテンの隙間から白い光が漏れている事に気付き、はっとする。
私とした事が、行為の後そのまま眠ってしまったらしい。
――起きなくては。
思い立って頭上の棚に手を伸ばすが、いつもの場所に眼鏡が無い。
そういえば昨夜は谷口さんに眼鏡を外されたような……
「!」
身体を起こそうとした途端、谷口さんに抱きつかれた。
ぴったりと身体を合わせ、谷口さんの腕が私の身体に絡まっている。
「……谷口さん?」
名前を呼んでみるが、返事は無く、耳元で寝息が聴こえる。
「谷口さん」
もう一度呼んでみるが、やはり反応は無い。
……動けない。これはどうすれば―――……
0591名無しさん@ピンキー2015/12/02(水) 02:05:24.57ID:9Up+upL7
・・・

シャワーの音がする。
――ようやく僕から解放されてほっとしたかな。
寝惚けたふりをして、ベッドから出ようとする彼女を抱き締めた。
攻防は少しだけ続いたが、彼女の困惑した様子に笑いを堪えるのも限界になり、腕の力を緩めた。
「起きていたんですね…! 朝から悪ふざけですか?」
「すみません、君はあの後眠ってしまったからつい悪戯をしたくなってしまって」
「……あ! ピロートーク……すみません、まさか眠ってしまうとは…不覚でした」
「いえ、僕があなたに無理をさせてしまいましたから。それより時間……」
「ああっ! もう朝の予定を23分も過ぎています! 私とした事が…!!」
いつもの調子でまくし立てた彼女は、散乱した服を拾いながら急いでシャワーを浴びに行った。

そして僕は独りベッドに残された。彼女が消えた静かな部屋は急速に冷えていく。
さっきまで彼女がいた場所にそっと触れてみる。
シーツに残る温もりと彼女の匂いは昨夜の情交の記憶を呼び覚ます。
目を閉じると、むせかえるような甘い感覚が蘇る。
僕の腕の中で前後不覚になっていた彼女。迷子のように腕を伸ばして僕を求め何度もキスをした。

――永遠に続く底無し沼

不意にあの婦人が語っていた言葉を思い出す。
……………ああ。
これじゃまるで安っぽい官能小説みたいだ、と自嘲気味に笑う。
そこからは考える事を止め、深く息を吸い込むと、シーツをぐっと掴んで勢い良く起き上がった。



<終>

めくるめく愛欲の日々に溺れ始めている二人を書きたかったんですが……
0593名無しさん@ピンキー2015/12/03(木) 18:49:50.88ID:nWlMKm50
>>589
GJGJGJ!!
めくるめってますね!美しい文章なのにエロくて素晴らしいです
0594名無しさん@ピンキー2015/12/05(土) 05:24:46.18ID:d0bYbUdS
巧VS鷲尾
(依子たちの婚約発表後、彦乃の件より前)

1/2
鷲尾は偶然、その挙動不審な知人を見つけた
歩道のすみを行ったり来たりしている
遠目に見ていると、その人物はやがて意を決したように引き返した
その先には…シルバーカーを手にお年寄りが休憩している…ではなく、よくよく見ると側溝に脱輪しているのだった
車を引き上げ、お礼を言われてそれ以上にペコペコして去ってゆくその人物に、しばらくした所で声をかけた
「谷口さん」
「おわっ、な、なんだよ鷲尾くんか。お前なんでこんなとこに…」
「たまたまです。ちょうどよかった。先日は婚約発表の日に大声を出して飛び出したりして…本当に申し訳ありません」
「え?あ、ああ、あれか…もういいよ、いつもの事だろ」
「行動は謝りますけど、自分が言った言葉は本心ですよ」
「いい加減にしろよ、藪下さんは僕と結婚するつもりでいるんだ。それが全てだろ。お前の出る幕は無いよ」
0595名無しさん@ピンキー2015/12/05(土) 05:26:03.60ID:d0bYbUdS
2/2
「谷口さん。依子さんのそういう気持ちに甘えて、また彼女の望みが見えなくなってませんか」
「面倒なやつだな。僕らには、恋愛に溺れるのは荷が重すぎるというのが共通の見解だ。だがご存知のとおり、契約書の方は彼女の希望を尊重して詳細に決めてあるよ。それこそ性行為までもな」
「谷口さん、荷が重いとか契約とか…それで結婚なんて自分は本当に理解できないですよ。一体依子さんをどうしたいんだ!あんただって男だ。彼女を感情のまま思いっきり抱いて、子どもも産んで欲しいと思うだろう?彼女を愛してないのか!」
「愛してないとは言ってないだろ!」
「……」
「……」
ややあって巧が口を開く
「…確かに僕なんかと付き合い始めたばっかりに、藪下さんにつらい思いをさせたのは事実だよ。バレンタインの時にもお前に教えられたっけ」
「…それなのに、谷口さんはいまだに恋を避けるんですか」
「僕はこれでも、僕なりに彼女を大切にしてるつもりだ。これ以上は水掛け論だな」
「自分ならもっと違う形で依子さんを愛する」
「まだ言うのか。鷲尾くんが藪下さんに対して真剣だったってことはわかってるさ。でも、もう二度と彼女を渡すわけにはいかない」
「…セリフだけはキザですね。依子さんを泣かせたら許しませんよ」
「そっちこそ陳腐な物言いだな。あいにく、すこぶる平和だよ。お前は熱血漢に過ぎる。やっぱ馴染めないわ」
鷲尾は手をグッと握ると巧の肩をバシッと叩いた
「いてっ、おい」
「あんたなら…とは思っているんだ。裏切らないでくださいよ。ではまた…失礼します」
巧が何かわめいているのを背中で聞きながら、鷲尾はいくらか満足げにその場を去った

終り
0596名無しさん@ピンキー2015/12/05(土) 05:31:47.31ID:d0bYbUdS
1話やSPの巧と鷲尾の依子をめぐるけんかがいいなと思って…
次はエロパロ貼ります
0597名無しさん@ピンキー2015/12/05(土) 06:09:20.93ID:d0bYbUdS
エロパロ。ちょっと慣れてきた二人

1/3
今日は官舎のドアを開けると巧がいる日だ
半同棲に慣れたとは言え、依子の足は仕事の疲れを忘れ、自然と軽くなる
「ただいま帰りました」
「お帰り、藪下さん。お風呂沸いてるよ」
けんかもするが、依子の笑顔に巧の優しい声が迎えるのが嬉しい
でも今日はうつむき気味で元気がなさそうだ
「あのさ、ご飯…もう少しでできるから待ってください。今夜はメイン一品でもいいかな?僕のぶん食べていいから。なんか…急に体がだるくなって」
「谷口さん…もしかして熱がありますか?」
「わからないけど…昨晩…ため込んだ本や漫画を読もうと、つい夜ふかしして…冷えたかも。はは、バカだな」
「あとの事はもういいので、予定を前倒しして休んでください」
「すみません。そうしようかな…軽くシャワーだけ…」
巧はパジャマを抱えてバスルームへ向かった
依子は考える
(半同棲を始めてからも、きっと本はつい今までのペースで購入していたのね)
米を少しと水を小さな土鍋に入れ、火をつけた。
(自由時間がもっと必要なのかも。抵抗力を上げるには、ストレスを軽減しないと…)
0598名無しさん@ピンキー2015/12/05(土) 06:10:07.85ID:d0bYbUdS
2/3
巧がバスルームから出てドライヤーをかけているが、少しつらそうだ
依子は土鍋の火を弱めると巧のそばへ行き、ドライヤーを取った
「乾かしてあげます」
「あっ…助かります」
巧の柔らかい髪に手ぐしを入れる
以前抱かれた時に巧の髪を思わずかき乱したことが思い出される
「藪下さん…もういいですよ、ありがとうございました」
依子はハッとしてスイッチを切った
「水分と炭水化物を取った方がいいです、これをどうぞ」
「お粥だ…ありがとう。これなら食べられそうだよ、いただきます」
巧は半分ほどを器に取り、「とても美味しいです」と言って食べ終えた
依子はベッドの枕をずらし、巧が広めに寝られるように整えた
そしてしばらく考え…二つの枕をひっくり返して『NO』にした
背中でフフッと笑い声が聞こえる。もちろん巧だ
「藪下さん、すみません…週2回以上の約束なのに、今週は0回のまま金曜になってしまって」
「そ、そんなのはどうでもいいことです」
「来週に繰り越しになるのかな」
「よ、4回…」
「はは…冗談です、でも…ごめん」
巧は布団に潜った
0599名無しさん@ピンキー2015/12/05(土) 06:11:30.69ID:d0bYbUdS
3/3
依子の就寝時刻
巧の様子は落ち着いている
依子はホッとして巧の隣に横になった
「…?」
「藪下さん…」
「谷口さん、起きたのですか。ん、どこを触って…」
「きみ、お粥に何か入れた?」
「米・水・塩です」
「さっき目が覚めてから…もう藪下さんが欲しくてたまらないんです…」
「あ、あの…病み上がりに性行為はどうかと…」
「駄目?」
「…駄目じゃないです」
「良かった」
巧は二つの枕を『YES』にひっくり返すと、ふっと笑った
そして依子を間近から熱く見つめる
「じゃあ…始めていいですか」
巧の手が依子のパジャマの中に伸び、ぎこちない愛撫が始まる
どちらからともなくキスをして、パジャマを脱いでゆく
「えっ、藪下さん、どうしてこんなに濡れて…」
「あなたの髪を触っていた時からずっとこうです」
「え…」
巧は思わず依子をかき抱いた
「ああ…すみません。もうあまり我慢できそうにないよ…きみの中に入ってもいいですか…」
「は、はいどうぞ…」
巧は依子の膝をそっと開き、のぞきこむ
そして潤ったそこに指をあて、また依子の顔を見る
「…ここ、だよね」
「い、嫌ですっ…あ、いえ、はい…」
依子は羞恥のあまり冷静さを失っている
巧の心にはいとおしさがこみ上げた
依子のしなやかな両足を少し持ち上げ、ゆっくり挿入していく
「藪下さん…う、大丈夫…ですか?」
「あ、あ、もう、痛くない…です、いいですっ、ひあっ」
「…藪下さん、今日は、すごいよ…締まる…」

まだ二人の息も荒いうちからピロートークが始まる
「私のお粥が谷口さんにとって精力剤の役割を果たした、ということですか?」
「成分はともかく、そんな気分です」
「まだ残ってますよ、温めますか?」
「い、いえ、今はむしろ暑くて…じゃああとで冷たいままいただきます」
「谷口さん…性欲も食欲も戻ったようですね。勃起力も問題なさそうですし」
相変わらずの依子のセリフに巧はボッと顔を赤くしながらも、負けじと返す
「ああ、来週は3回以上は藪下さんと、契りを交わさないといけませんしね」
「…あ、あのっ」
なんとかして、この冷静な人のあたふたした顔を見たいものだ、と巧は思う

終り
0600名無しさん@ピンキー2015/12/06(日) 00:52:01.47ID:UsBQRIv/
>>592 >>593
お読みいただき感謝申し上げます!
初めての依子目線でかなり悩んだので、GJ凄く嬉しいです。
もうホント依子は難しすぎる……ガクリ。


>>596
GJ!!
YesNo枕も大活躍ですねw

そして
巧vs鷲尾いいですね〜王道ですね!
7話のラストも好きです。鷲尾と対峙する巧の表情が秀逸すぎて。
0602名無しさん@ピンキー2015/12/07(月) 08:24:07.27ID:/saqYTXa
いろいろありがとうございます
自分荒ラシみたいになってませんか
でも人へっちゃったし多分また貼ります

>>600
あの巧、いいですよね!
巧は依子宅のドアの前ではいつもいい表情すると思います
0604名無しさん@ピンキー2015/12/09(水) 16:21:14.94ID:CkNqohpk
エロなし。半同棲じゃない日

1/2
藪下さんの家の戸締まりを確かめ、僕は自宅に帰ってきた
割烹着や下着を洗濯機に放り込む。漫画を1〜2冊読み終わる頃には洗濯も済むので干す。帰宅する日はこれがいつものパターンになりつつあった

昼食を軽く済ませると、お気に入りの映画をのんびりと見る
映画の原作小説を読みふけっていると、もう外は暗くなっていた
「腹へってきたな。晩飯どうするかな…」
母さんは夕方にアイツのアパートに行ってしまった
『悪いけど豚の角煮あるから適当にやってて〜』
「角煮ねぇ…」
今日は藪下さんの夕食が野菜の日だということを思い出す
そこらにあったカフェエプロンを腰に巻き、僕は冷蔵庫の野菜室を開けた

できた物を食べ始めたところで、ダイニングテーブルに置いていた携帯がメールの着信を知らせた
「あれ?藪下さんだ…『夜分恐れ入りますが、お宅に寄ります』なんだろう」
時計を見ると9時少し前。ピンポーンとチャイムが鳴った
「えっ、もう来たんだ」
ドアを開けると会社帰りの服のままの彼女が頭を下げた
「遅くに申し訳ありません。谷口さんが私の部屋に腕時計を忘れていたのでお持ちしました」
「ええっわざわざ?ありがとうございます。気づいてはいたけど…携帯もあるし、どうせ明日また行くからと思ってたのに…」
「顔が見たくなったのもあります。見ることができたので、これで失礼します」
「ちょ、ちょっと待って藪下さん」
この時間に来たということは、一度帰宅したとは言え残業だったのだろう
藪下さんの仕事は集中力を要すると聞いた。疲れてるに違いない
「ご飯、食べてって」
「突然来ただけでもご迷惑でしょう」
「とんでもない。今、僕ひとりで食べてたんです」
「留美さんは」
「アイツんとこ。腹こわしたらしくて…どうせ落花生の食い過ぎさ。気にしないで上がってください」
僕の冗談に彼女の表情が少しやわらぐ
「ではお言葉に甘えて。感謝申し上げます」
0605名無しさん@ピンキー2015/12/09(水) 16:22:54.85ID:CkNqohpk
2/2
僕は藪下さんをレストランのボーイのように案内し、椅子をひいてかけてもらう
「野菜のオーブン焼きと豆のサラダです。分量が分からなくて、たくさんできてしまって。あとネギのスープ…これは少なかったかな」
「谷口さんのお宅も野菜の日ですか?」
「違うけど…なんとなくだよ」
藪下さんが来てくれた理由だけでも顔が赤くなるのに、きみと同じ物が食べたくて、なんて正直に言ったら雰囲気が甘くなりすぎる
でもこうして一緒に食事をして…顔だって毎日見られる、それが当たり前という生活に向かって、僕たちは確かに歩んでいる
うん、もうちょっと掃除とかちゃんとやらなきゃなぁ…
「…なので大好きです、谷口さん」
「え?!」
「…今、私の言うこと聞いてましたか?」
「そそそ…そんな…だっていきなり…そりゃもちろん僕だって同じで…」
「…この味付けが好きだという話をしているのですが」
「あ、そ、そうか…それはレモンベースのドレッシングで、お口に合いましたか…それなら」
「谷口さんが大好きです」
「こっちのゴマのも試してみて……ん?」
しばらく見つめあった
「藪下さん、今のは」
彼女がそっと立ち上がり、身を乗り出してきた
僕もガタンと音をたてあわてて立ち上がる
…食事中にキスなんて…はしたないよ…
そうは思っていても、唇はすぐそんな言葉を発することはできなくなった

終り
0606名無しさん@ピンキー2015/12/11(金) 17:16:56.33ID:6HWVzTtP
>>602
どんっどんお書きなさい! by依子

投下していただけるのはとても有難いですよ〜!
自分いまだにデートロス、もう重症…
マターリいきましょう。


>>604
GJ! 嫁の胃袋掴むのは大事!
すっかり新婚さんみたいです。
0607名無しさん@ピンキー2015/12/12(土) 06:44:00.80ID:RVKBDGPb
>>606
ありがとうございます
依子から許可がおりたw安心して貼れるw

枯れ木も山の賑わいってことで
長いけどまた貼ります
0608名無しさん@ピンキー2015/12/12(土) 06:52:55.21ID:RVKBDGPb
エロあり(DT&SJ既卒)

1/3
今日は藪下さんとのデート帰りに官舎で食事をし、そのまま泊まる
僕らが一緒に夕食の買い出しをするのは初めてだ
商店街を腕を組んで歩き、まずはいつもの肉屋に立ち寄る
「いらっしゃいませ〜…あれぇ!藪下さん、そちら彼氏かい?」
「はい、婚約者の谷口巧さんです」
藪下さんは僕と腕を組んだまま、晴れやかに答える
僕は肩をすくめ軽く会釈した
店主と藪下さんは、にぎやかなやり取りを終えて商品を受け取る
会計を済ませると、藪下さんはまた僕の腕を取り店を出た
「藪下さん…なんだい、あの店主は。あんなにしゃべるやつだったんですか」
「はい。いつもあのような感じですよ。私は常連客だからでしょう」
「ふうん。なんか僕が隣にいるのに『なんでうちの息子の嫁に来ないんだよ〜』とか言いやがったけど」
「だから『息子さんには一生涯愛情を持ち得ないからです』と説明しました」
「…そうだね。はは、息子さん、笑ってたけどさぁ…」

夕食後、リビングで彼女に尋ねた
「藪下さんって、ひょっとして恋愛経験はなくても…モテてたんじゃないですか?」
「今さらですね。モテた事などありません。むしろそれはあなたの方でしょう」
「そんなことないさ。きみ、あのあとパン屋でも肉屋の時と同じようなこと言われてたでしょ。こんな別嬪でマメな奥さんが欲しい、とか何とか」
「美容院でも言われます。しかし結婚はできません、と申し上げると、皆さん笑って冗談だと言います」
隣に座る藪下さんの横顔を見つめた
彼女は魅力的だと思う
今やこの僕が、こんなに心のすみずみまで彼女で満たされていて…
この手から決して離したくない、という安易なセリフが悔しくもぴったりくる
0609名無しさん@ピンキー2015/12/12(土) 06:54:04.16ID:RVKBDGPb
2/3
また僕はバカになってるな…でもいいじゃないか。恋に落ちてバカをさらした文豪だってたくさんいるんだ…だけど…ただ…
「谷口さん」
「あ、はい」
「今、不安を感じていますね」
「え、なぜです?」
「私がモテていたかを尋ねた。店舗で嫁に欲しいと言われたことを気にしている。否定しても、無言で下を向いて眉間にシワをよせている。ゆえに、私の恋人としての自分の存在に不安を感じていると言える。Q.E.D.…証明終了です」
「……その通りだよ。藪下さんは本当に僕なんかで良かったのかなって…考えてました。きみが今まで気づかなかっただけで、恋愛できる人は間近に何人もいたのかも知れないって…鷲尾みたいに…」
声がどうしても小さくなっていく
その時、うつむいていた僕の頭が温かいものに包まれた。耳の上あたりに、柔らかい二つのふくらみが…えっ?
「や、や、藪下さん」
気づいた時には僕は頭を抱きしめられていた
驚いて顔を向けた時に藪下さんの胸が目の前にあり、顔をうずめる形になる
服ごしに乳房の弾力が伝わり、僕の脳裏には彼女の裸体が鮮明に思い出され…
「あなたに私をすみずみまで差し上げたはずです」
藪下さんはそのまま僕を横向きに押し倒した
0610名無しさん@ピンキー2015/12/12(土) 06:58:31.30ID:RVKBDGPb
3/3
「うわっ」
スカートがめくれたのが見え、彼女の足が僕の足の間に密着する
「谷口さん。Don't think!Feel.…でしょう?」
「今ここで使う言葉じゃないよ…」
「きっと始めから私の心はあなたで飽和状態でした」
藪下さんからの降り注ぐようなキスと下半身をさする彼女の手の動きに頭がぼうっとしてきた
さっきまでの重い不安感が遠のいていく
今、視界を覆う彼女の事だけが心を占める
眼鏡が当たって冷たいな…
今日はデートだったから藪下さんの口紅がいつもより鮮やかだ…
僕の唇にもたくさん付いたろうな…
「藪下さん…シャワー浴びようか、一緒に」
「…はい」

狭いバスルームで湯に打たれ、僕たちは睦みあう
「谷口、さん…突起部は圧力が集積して…あぁっ」
「ん…動かないで…藪下さんのここ、もっと口づけさせて欲しいんです…」
「あ、早くください、でないと、いってしまいそうです」
膝をついていた僕は立ち上がると彼女を背中から抱きしめた
「わかりました…」
もっともっとバカになろう
腰を打ちつけるたびにあえぐ彼女は、水しぶきに濡れて普段の姿からは想像もできない妖艶さだ
僕なんかに…そして僕だけにこんな姿を見せてくれる
「私は、こんなに…あなたの、ものです」
ありがとう藪下さん
きみを大切に、大切にします

終り
0611名無しさん@ピンキー2015/12/13(日) 19:53:28.78ID:ecDNcg1U
エロいエロいです!
少し早いクリスマスプレゼントありがとうございます〜!!
0613名無しさん@ピンキー2015/12/15(火) 05:01:23.20ID:a4oJkYe3
エロなし キャラ違うかも注意
>>12さんが超イイ小ネタを書いてらっしゃいますが、おこがましくも同じネタで


1/2
依子は今日、会社でいつもの3人が話していた内容に、どうしても理解できない部分があった
巧が来る日なので終業後はまっすぐ官舎に向かう

「ただいま帰りました」
「お帰りなさい。お風呂今日は40度にしたよ」
バスルームを出ると、巧はキッチンで歌いながらレタスをちぎっている
依子は割烹着姿の巧の後ろからそっと近づき、腰に手をまわして抱きついた
ぎくっと体が固まると同時に歌もピタッと止まる
「や…ぶした…さん?」
「いつも家事をしてくださって感謝申し上げます」
「いえ…これが僕の役割だし…いつもの事でしょ?まだ毎日でもないし…」
身をよじって振り向く巧の目を見て依子は尋ねてみた
「谷口さんは私に『裸エプロン』という物を着用して欲しいですか?」
「…ハァッ?!」
「今日会社で会話している人たちがいたのです…同棲中の彼氏がとても喜ぶアイテムの一つだと」
「…自分が何言ってるかわかってますか」
「実はよくわかりません。実物を知らないからです。彼女たちの会話からは形状を想像できませんでした」
0614名無しさん@ピンキー2015/12/15(火) 05:03:34.94ID:a4oJkYe3
2/2
「ああもうきみという人は…まさか衣料品売り場で『裸エプロン一つください』なんて言ってないでしょうね」
「今日は谷口さんがいらっしゃるので店に寄るのはやめておきました。それと、あなたに確認してからでもいいかと思って」
「賢明な判断です。僕が来るのが今日で良かった…あんなの好むのは変態だ。美しさからは程遠い。断じて駄目だ」
「ですが、あなたに日頃の感謝を伝えたいんです。たまには私が料理をするのはいいアイディアでしょう?
それには裸エプロンとやらが重要と思われます。肌色のエプロンでしょうか。それとも裸体がたくさんプリントされたエプロン?男性が喜ぶということは、よほどエロティックなファクターが…」
「もうやめて…感謝を伝えるなら、さっき抱きしめてくれましたよね。僕はああいうので十分なんだよ」
「ふむ…あなたの態度から察するに…もしや!裸エプロンとは勝負下着の一種のこと!」
「もっとひどいよ!裸だよ!全裸にエプロン一丁の姿のことだよ!ああ、言っちゃった…」
「……」
「さすがの藪下さんも赤面してますね。もうやろうなんて思わないでしょう…藪下さん?」
「一見非実用的でありながら、シンプルな中に斬新かつ強烈なインパクト、その実は脱衣の手間も排除した効率性…この発想はありませんでした…」
「藪下さん。藪下さんってば!」

終り
0615名無しさん@ピンキー2015/12/15(火) 22:55:40.49ID:chlYPAzC
>>613
GJ!
ふたりの会話がドラマそのままの世界観で成立しててスゴいです!
ふたりがいとおしくてたまりません
0616名無しさん@ピンキー2015/12/16(水) 22:54:42.41ID:i6zmVOxB
>>615
感謝申し上げます!
脳内再生可を目指し努力します
もう巧依子二人がラブラブwならそれでいい…
0617名無しさん@ピンキー2015/12/18(金) 05:38:53.67ID:7ldHeJXM
エロです
エロパロスレだし、そういう二人

1/3
性行為の時は目を閉じていると良くない、と思う
感覚が鋭敏になるし、いろいろな音が耳をなぶってくる
谷口さんの荒い息づかい、その合間に私の名前をささやく声
規則的に肌を打つ音
交合部からのグチュ、グチュと濡れた音
「あぁ、ん…」
…快感にたまらずもれる自分の声
――恥ずかしい、とても
でも目を開くと、間近に頬を赤くした谷口さんが潤んだ目で私を見つめていて、やっぱりたまらなくなって目を閉じる
もう何度も彼と性行為をしているけど、慣れることはない
谷口さんはずっと童貞だったし、私のように性行為についていろいろ調べたりはしてないみたい
だから、彼の愛撫はきっと自己流なんだろうけど…
胸の先端を含んだり、陰核をそっと刺激したり…首筋にキス、それだけでもたまらないのに
彼の指と舌は、私の身体中の性感帯を丁寧にさぐる
腰骨や指の間など各所にあるそれを、時間をかけて優しく責めて…私を高めようとしてくれるのがわかる
そのあとこうして両手を恋人握りでベッドに押さえつけられ、ふたり繋がったままキスされたから…
「あぁっ、気持ちいいです…」
私は上りつめる
足を彼の腰に絡めて揺らすと、体の中心が快感にびりびりと痺れて震える
すると私の中の彼の固さが増して、彼の動きが早くなった
「藪下さん、綺麗です、顔、もっと上げて…見せて、ください…」
「あっ、もう、だめ…いきます…谷口さんっ」
彼もそのすぐあとに達した
0618名無しさん@ピンキー2015/12/18(金) 05:40:13.03ID:7ldHeJXM
2/3
シャワーを浴びたあと、脱ぎ散らかされたパジャマをぼんやり見ながら、私はまずベッドに腰かけた
「のど乾いたでしょう。藪下さんも冷たいお茶、どうぞ」
谷口さんがグラスを渡してくれた
「感謝申し上げます…」
声がかすれる…さんざん喘いだから…
まだ裸体の彼がお茶を飲み干すのをじっと見つめる
「ん?なんですか」
「谷口さん、長時間の愛撫は疲れませんか?」
「え、な、なんでそんな事を、この期に及んで…まさか、嫌でしたか?それなら…そうと…」
「いえ、私は大変満足しています。ただ、私の谷口さんに対する奉仕時間が短いのに比べて、バランスが悪い気がします」
「そ、そんなこと!僕の方こそきみのこと好き勝手して…ごめんなさい。でも、それが嬉しいんです」
「と言うと」
「きみに、愛情をもってああいうことをしたから、二人でこういう気持ちになれた…」
「指示代名詞が多くてわかりづらいですが、要するに私に十分な愛撫を与えた末に二人でオーガズムに至ったことで、充実感は得ている、ということですね」
「は…はは…まあ、ありていに言えばそうです…」
「…理解しました。では最初の私からの奉仕はいかがでしたか。歯は当たらないように留意しましたが」
「…この上なく満足です」
谷口さんは小さな声で答えてグラスをサイドチェストに置いた
そして彼のパジャマの上着を取り、私の裸の肩に羽織らせてくれて、微笑む
0619名無しさん@ピンキー2015/12/18(金) 05:41:57.24ID:7ldHeJXM
3/3
「…でも今日は、きみをついいじめ過ぎてしまって…すみませんでした」
「私、いじめられていたのですか?」
「いや、きみはさ、こうしてると色事についても今みたいにサバサバ話すじゃないか。けどさ…いざ始めると、とても恥ずかしがりになるでしょう…」
思い当たりすぎる私は、きっと目をまるくして赤面している
「ついさ、いろんなことを…したり、させたくなるんです」
そっと両手を握られた
谷口さんも私も、心拍数が上がっているわ
「…また勃起してきましたね」
「こ、こ、これはその…勝手になるんだよ…」
「ではとりあえずもう寝ましょうか」
「どうしようかな…」
なんだか今日は谷口さんが主導権を持つ方がいいような気がして
「あなたのご意見に合わせます」
「うん…じゃあ…」
谷口さんは私の頬にキスしてきた
「まだ寝ないのですね?」
「あと少しだけ…」
ストン、と肩のパジャマが落とされる

終り
0620名無しさん@ピンキー2015/12/18(金) 20:44:05.48ID:Oo5bX45C
>>617
ああ、巧くんも依子さんも、きっとこんな感じだ!!

エロいのに、初々しくて、優しくて、最高です!
0621名無しさん@ピンキー2015/12/19(土) 05:27:50.06ID:Amie8fpO
>>620
感謝申し上げます!
巧にはいろいろ頑張って欲しいです
まだ在庫抱えてるのでまた駄文ツラいけど投下させてください
0622名無しさん@ピンキー2015/12/19(土) 05:28:46.66ID:Amie8fpO
エロなし2015年4月5日

1/2
お花見デートに満足し、私たちは桜の木をあとにした
風に吹かれて少し冷えた気がして、谷口さんの温かい手をしっかり握る

通りかかった公園はたくさんの人でにぎわっていた
「藪下さん、お腹すきませんか?この先の洋食屋で期間限定の…」
その時―――
突然後ろでワアッという声が上がった
私たちは思わず振り向く
そこには勢いよく飛んでくる…サッカーボール!
もう既にすぐ近くに迫っている
仰角への斜方投射による放物運動!
避けようと私はかかとに力を入れた
パンプスが滑る…!
一瞬でそれだけの事を考えた、その時
「よけてっ!」
ボーンと大きな音がした
谷口さんが私を押しのけ、ヘディングしたのだ
サッカーボールは跳ね返り、大きく弧を描いて遊んでいた中学生らしきグループに向かって飛んでいった
「すげーナイスヘディング!」
「すみませんでしたー」
喧騒は徐々にやみ、また周囲は元のにぎわいを取り戻す
「谷口さん!」
彼はしりもちをついて座りこんでいた
「大丈夫ですか?脳震盪をおこしてませんか」
「だ…大丈夫…多分」
「さあ、あのベンチに行きましょう」
私が肩を貸すと、谷口さんはよろりとベンチに腰かけた

「藪下さんはなんともない…?」
「平気です…谷口さん、おでこが…」
私はハンカチを水道で濡らし、彼の赤くなった額に当てた
「いやぁ…どっちかというと腰にきた…クソッ、あれぐらいで」
私は谷口さんの隣に座り、腰をさする
「感謝申し上げます…」
「きみに怪我がなくて良かった。ガキども、こんな所でガチにサッカーしやがって」
「どうやら…やめたようですね」
そうだ、谷口さんはサッカー少年だったんだっけ
いつもの彼らしからぬ機敏な反応に驚いたけれど…体が覚えていたのかしら
「ああ、帽子が…ヘディングなんてしなきゃ良かった」
帽子はつばが潰れ、しわになってしまっていた
0623名無しさん@ピンキー2015/12/19(土) 05:29:27.64ID:Amie8fpO
2/2
谷口さんは悪態をつきながら帽子を直している
私は彼の腰に手を当てたままその肩にことんと頭を預けた
「藪下さん…」
しばらく固まっていた谷口さんは、やがて帽子を膝に置いた
そして手をまわし、私の肩を抱こうか腰を抱こうかしばらく迷わせ、グッと腰を抱いた
前髪に彼の吐息がかすかにあたる
私を見ているんだわ…
ちらっと顔を上げると、彼は慌てて正面を向いた
「谷口さん…」
「な、なんでしょう」
「いつか、私があなたを守ってあげます」
「え?い、いいですよそんなの」
「谷口さんは以前、怪しい心理カウンセラーからも守ってくださいました。このままではフェアじゃないです。何かお返しできませんか」
「あの時は藪下さんが眼帯を貸してくれたから、もういいですよ…それに、僕がやりたくてやった事です」
「じゃあ、お昼をごちそうさせてください」
「あ、そうか。食事の話の途中でしたね。でも、本当にいいんですよ。気にしないでください」
「では、ファインプレーのお祝いとして、ぜひ」
「ははっ…あんなので…じゃあ…今回はごちそうになりますね」
谷口さんはまだ少し曲がった帽子を目深にかぶった
二人でそっと立ち上がり、お互いの腰に手をまわしたまま歩き出す
なんだか二人三脚してるみたいに見えないかしら?
でも、こうしている方が温かいから…

終り
0624名無しさん@ピンキー2015/12/22(火) 06:52:27.00ID:Ueavyr2D
エロなし
修善寺後DT巧

1/3
藪下さんは、性的なことに関してはおおらかだ
スッポンを大量に食わされて初めて部屋に誘われた時は、そりゃあ大胆だったし、性欲は比較的強い方かも、なんて言ってたし
半同棲を始めた時も、無理強いはされなかったが何度も求めて来られた
そして伊豆の山小屋で僕が彼女を押し倒した時…
下手したら初体験があんな屋外も同然のムシロの上で汗まみれで、って事になるところだったのに…
困った顔をして、それでもいいと何度もうなずいてくれた
思えば初めてのデートから、精子がどうの勃起力がどうのと、あけすけだったよなぁ
彼女は始めから正直だった
僕が勝手に貞操観念ガッチガチだろうと勘違いしてただけだ
でもそれは僕の方だったんだ…
彼女を愛する気持ちは本物なのに、サイボーグのコスプレや、映画や小説の濡れ場の勢いを借りないと勇気が出ない
同棲ってのは…50%の半同棲にしても、性的な関係を伴うのが普通だよな、やっぱり
こうしてのうのうと彼女の部屋に飯を作りに来ている僕は、一体、何なのだろうか…
藪下さんは勘の鋭い人だから、あまり悩んだ顔をしないように気をつけないと…
ほら、インターホンが鳴った。笑顔、笑顔

「谷口さん、何か悩みがありますね?」
「ゴホッ、ゴホッ」
食事中にズバリ言われて、思わずむせかえった
「何の事ですか?やだな別に普通ですよ、普通」
「……」
ごまかせたとは思ってない
でも、藪下さんに問うわけにもいかないよ
…どうしたら僕はきみを抱けるんだろう、なんて
0625名無しさん@ピンキー2015/12/22(火) 06:53:48.57ID:Ueavyr2D
2/3
23時少し過ぎ。歯磨きを終えた僕は、彼女が先に横になっている部屋に向かった
いつもならベッドにもぐっている彼女
「…あれ?」
いつもと違った薄暗い暖色の明かりの中、彼女はベッドに座っていた
ほんのり柑橘と花の混じったような香りが漂う
「藪下さん?パジャマ着替えたの?…あっ、それ…!」
「谷口さんのシャツをお借りしました。無断で申し訳ありません」
彼女は僕のシャツを着ていた…まるで銀幕の女優のように、愛らしく…
長身の彼女にも男物のシャツは肩の線が合わず、ゆったりと体をおおっている
一方…裾はギリギリだ…静脈の透けた足が生々しく引き立ち、目のやり場に困る
やがて小さな音でピアノ曲が流れだした
「あっ、これは…『ジムノペディ』だね」
ゆったりとした官能的な音楽が流れる
ああ、雰囲気を作ってくれてるんだな
…胸が高鳴ってきた
藪下さんはいつもならグイグイ来るのに、今夜はじっと僕を見つめて動かない
僕はそっと彼女の隣に腰かけ、手を握ってみた
「谷口さん…正解ですか?」
僕をうかがうように微笑んできた
「わからないけど…ちょっと気持ちが高ぶっています…」
「私もです…」
「きみとキスが…したいです」
「谷口さんのお好きに…」
彼女が目を閉じたのを見て、そっと唇を重ねてみた
キスは初めてではないのにすごく緊張して、握った手が震える
彼女の柔らかい唇を甘噛みしてみても…なんだか息が苦しく、ふぅっ、ふぅっともれてしまう不格好なキス
でも気にするものか…格好いいキスは、映画や小説の主人公に任せておけばいい
これが僕たちのキスだろ…
0626名無しさん@ピンキー2015/12/22(火) 06:59:56.10ID:Ueavyr2D
3/3
唇を離し、ばふ、と彼女をベッドに押さえつけた。しまった、強すぎたか?
「あ、ご、ごめん…」
「大丈夫です…」
彼女はギュッと目をつぶった
もう一度軽くキスをして
「ごめん…」
何度も謝りながら、僕は目を閉じ意を決して手を滑らせた
彼女の胸に…
「…えぇっ!中に何も着てないんですか!」
「当然でしょう」
「ままま、まさか下も…」
「もちろん。彼シャツの着方とはそういうものでしょう」
「おい、ぼ、僕は明日それ着て帰るんだぞ!き、きみの素肌がじかに触れたそれを…」
「洗濯乾燥しておきます」
「そ、そういう問題じゃないよ!間接的に裸で抱き合うようなもんじゃないか。僕は風呂できみが入った湯にも恥ずかしくて浸かれないんだからな!」
「そうだったんですか」
顔から火が出そうだ
大げさかも知れないが、僕にとっては…
しかし…今まさにそういう事をしようとしてたんだろう?
まったく僕って奴はどこまで情けないんだ…
「あ、いや、それはともかく…あの…大きな声出して…すみません」
藪下さんはニッコリと優しく微笑んだ
「今日のレッスンはここまでにしますか?」
「えっ」
「愛し合う心があることはわかってますから…もう急ぎません」
「あ…はい」
「とりあえず私たちはBまでいった、という事でよろしいでしょうか」
「いや、これはちょっと…Bってのとは…」
「シャツがシワになるといけないので、着替えて来ます」
彼女は軽やかにベッドから出ていく
「あっ待って藪下さん…」
いつの間にか音楽も止んでいる
やっぱり彼女は藪下依子だ…テキパキいくなぁ
でも次は…きっともう少し進めるかも…
そんな気がした

終り
0627名無しさん@ピンキー2015/12/22(火) 15:04:40.92ID:Ueavyr2D
エロあり
クリスマスイブ
(SJ&DT卒業済み、結婚はまだの設定で)

1/3
巧がテーブルにゴトリと置いた洒落た瓶を、依子は見つめていた
二人で依子の部屋で酒を飲んだことは今までない
「シャンパンなんて…留美さんのお金で買ったんですか?」
依子は巧をじとっと睨む
「違うよ!宗太郎がくれたんだ。町内の酒屋が新装開店だとかで挨拶にもらったってさ」
「失礼しました…それならいただきます。開けましょうか」
「僕はあまり強くないから、きみがたくさん飲むといい」
巧は戸棚からグラスを二つ取り出し、リビングのテーブルに置いた
「つまみ…ありきたりだけど」
小皿にピックに刺したオリーブとチーズを盛ったものを隣に置く
「婚約者を酔わせてどうするつもりですか?」
「そ、そんな下心はないよ!無礼だな!…でも」
「でも?」
「ちょっと見てみたいな…酔ってる藪下依子を」
巧がからかうと、依子は頬を赤らめた

「Merry Christmas!」
二人はグラスをカチリと合わせ、ゆっくりとあおった
「へえ、結構うまいね。僕は酒に詳しくないけど、甘くなくて、香りが華やかだ」
「はい。おいしい…この辛さが好みです」
「じゃあ藪下さんは日本酒派?」
「何でも飲みます…」
巧は依子のグラスに二杯目をついだ
依子は巧につぐ事もせず、すぐにグラスに口をつける
「…もしかして恥ずかしがってますか?」
「だ、だって…お酒と言えば、昨年のお見合いパーティーの日に私はお酒で大失敗して…あなたに怪我をさせて…」
「あ、思い出しちゃったんだ…あれは無茶したなぁ。僕も恥ずかしかった」
巧は依子の傍に寄った
「でもさ…今はこうして一緒にいるわけでしょ?結果オーライだよ」
「…そうですね」
依子が視線を上げると、巧の顔が思いのほか近くにあった
更にぐっと近づき、唇が重なる
0628名無しさん@ピンキー2015/12/22(火) 15:05:54.66ID:Ueavyr2D
2/3
巧の不意討ちに依子は戸惑った
「あの…んっ…」
ぬるりと酒の味の舌が入ってくる…深いキスも珍しい
かと思うとすぐに吸われて話す事もできない
「たっ…にぐち…さん」
依子の唇を開放すると、巧はすぐに首筋に吸い付いてきた

二人の荒い吐息と唇のたてる音…
巧が依子の白いモヘアのニットに手を入れたところで、依子は口を尖らせて言った
「酔った私が見たい、なんて言って…あなたが酔ってるじゃないですか…」
「そうですね…僕は酔っています」
「クリスマスにこういう事をする件についてはどう思われますか?」
「クリスマスだからじゃなくて…愛する恋人が目の前にいるから、するんです…」
巧はベストを脱ぎ、自分のシャツのボタンを外しだした
今から始まる行為の予感に、依子は体が熱くなり動けないでいる
「藪下さんも脱いで。きっと今日は特別な下着をつけてるんでしょう?…見たい」
図星をつかれて依子はうろたえる
イブという日を意識しているのは自分の方だと…
巧は依子の眼鏡を取り、そっとテーブルに置く
ニットを脱がせるとシルクのキャミソールが現れた
「…ああ…ゴールドの刺繍が美しいね。とてもあでやかだよ。きみの肌に似合う…中も…下も見せて…お揃いだね、素敵だ」
ゆっくりと巧はそれらを剥いでいく
依子も巧のシャツを肩から滑らせ、残りの着衣にも手をかけ、脱がせていく
「寒くない?藪下さん」
「大丈夫です…今から肌を合わせますし」
巧はうなずくと、グラスのシャンパンを一口含み、依子の口内に流し入れた
0629名無しさん@ピンキー2015/12/22(火) 15:09:40.62ID:Ueavyr2D
3/3
「私…酔いのせいか、通常よりジンジンします」
「どこが…?」
「腰骨をx軸、正中線をy軸としてx=0、y=…」
「…ここですね」
「きゃっ、んっ!あっ」
「うん…本当だ、いつもより感じてる…」
「谷口さんも、いつもより…狼です」
「お、狼?随分だなぁ」
「食べられてしまいそうです…」
「…食べますよ、今からね。覚悟してください…」

「あっ、谷口さん、この体位は、以前ふしだらだと…言ってたじゃ…」
「狼に、何を、言うんですか…」
「ああんっ、もう、駄目です…」

パジャマを着た二人はシンとしたリビングに座っていた
冷たい水を飲みながら、手をつけなかったつまみをぽつりぽつりと口に運んでいる
依子は瓶を持ち上げた
「シャンパン、いつの間にか飲みきりましたね」
「僕…そんなに飲んだかなぁ…」
「激しく体を動かすと、アルコールの回りが早くなります」
「激しく…まぁ、確かに…」
「素敵なクリスマスイブです」
「本当かい?なんか、違う気がするけど…」
「恋人を愛して…愛されて…素晴らしい事だと思います」
巧はふふ、と笑う
「それは確かにその通りですね」
肩を寄せあい、手を握りあう
時計の針の音が響くなか、二人はこうして今年のクリスマスを迎える

終り
0630名無しさん@ピンキー2015/12/28(月) 09:02:30.59ID:+HzG5SJ0
年が明ける前に投下しちゃいます
エロなし
お花見デート以降の雨の土曜

1/2
夜、依子は官舎、巧は聖域…お互いの部屋で携帯を手に、何をともなく語らう
「本日は午前9時から継続的に雨でしたね。明日のデートは午前6時から終日降水確率0%のようですが」
「そうですね…藪下さんは、こんな雨の日はどんな風に過ごすんですか?」
「拭き掃除を重点的にします。湿気が汚れを落ちやすくするので」
「あんなにピカピカなのに、まだ磨くのか…」
「はい。スッキリしますよ。谷口さんは?」
「そうですね…今は、コーヒーを飲みながらショパンを聴いていました」
「言われてみれば、かすかに音楽らしき音が聴こえます」
「電話中なので音量を小さくしてますから…」
「天候によって聴く音楽は違うのですか?」
「月が出ていれば、ドビュッシーが聴きたくなりますね」
「成る程…雨、ショパン…月、ドビュッシー…」
「メモしてるの?」
「はい、電話の後で検索します」
「雨だれも月の光も有名な曲なので、すぐ検索結果は出るでしょうけど…なんなら、今度お貸ししますよ、レコードよりCDがいいですよね」
「感謝申し上げます。では明日のデートにお持ちいただけますか」
「わかりました」
「明日は晴れの予報で、しかも新月ですが…谷口さん、官舎で一緒に聴きますか?」
「えっ?…えっ?」
「嘘です」
「もう藪下さん…あのさ、僕たちは恋愛には手を出さないことにしたでしょ?」
「そうです」
「二人きりの部屋で音楽なんか聴いて…その…キスでもしたくなったら…そんな雰囲気になったら、一体どうするんです…」
0631名無しさん@ピンキー2015/12/28(月) 09:03:32.47ID:+HzG5SJ0
2/2
「したらいいと…思います」
「えっ」
「…感情が伴わないキスを」
「そ、そんなの出来るかな。大体キスってのはお互いの愛情を確認し合う大切な行為で、きみの誕生日にも…あの…」
しばらく言葉が途切れた
「もしそういう状況になれば、全て忘れて単なる唇同士の接触と割りきって行動するしかないです」
「無理だよどうしたって思い出しちゃうよ、きみだってそうだろ?」
「はい…谷口さんの唇の温度、湿度、味、柔らかさ全て記憶しています」
「や、やめてくれ…何だか変な気分になる」
「困ったことに私もです…」
「藪下さん…」
二度めの沈黙は少し長くて
「…谷口さん。今、通話口にキスしましたね?」
「えっ!な、なんで…いや、そんなことしないよ!」
「私は、しました」
「そ、そうなの?!藪下さんも?」
また沈黙
「し、しまった…失言を…」
度重なる沈黙
「遅くなったらいけないし、そろそろ、お、お、お休みなさい。また明日」
「はい、お休みなさい…」
恥ずかしさで真っ赤な二人は、これが電話で良かった、と思った
しかし明日のデートはどんな顔をして行けばいい?
いい歳をしてキスをする前のような緊張した、した後のような気恥ずかしい思いで…

終り
0632名無しさん@ピンキー2015/12/28(月) 09:05:23.69ID:+HzG5SJ0
終始エロです
巧が強気

1/2
「んっ、ん…」
藪下さんは自分の口を手の甲で押さえて身じろぎする
僕のベッドは狭い。彼女のベッドもそうだが、僕の部屋は本が周囲に積まれていて、余計に圧迫感を与えると思う
しかも体をはみ出させることが不可能なぶん、二人でいると実際に窮屈だ
「声…出てますよ」
「はぁっ…はっ…」
白いブラウスをあごまで捲りあげ、ずり上げたブラジャーは、ミントグリーンのシフォンに花柄が透ける
「これ…初めて見るデザインですね…似合います、とても」
「んっ…感謝…申し上げ…」
以前、淡い色の下着を素敵だと言った事を覚えてくれてたのかな…
僕が覆い被さるせいで彼女の膝は仕方なく広げられ、清楚なプリーツのスカートはもうくちゃくちゃだ
むき出しの腿をさすり、固く尖った彼女の乳首を僕は舌でちろちろと舐め続ける
いろいろ試したけど、こうすると彼女は本当に別人のように悶えて、何と言うか…美しいんだ…
体は反り返ってつま先まで力が入り、きっともう十分潤っている
温かく濡れて締め付ける、あの中に…入れた時の藪下さんの、いつもは絶対に見せない切なげな顔、甘く震える声…
「…して、いいですか?」
ショーツの横で結ばれたリボンに指をかけると、彼女はいやいやをした
「嘘…藪下さん、欲しいでしょ?」
「ん…留、美さん…が…一階に…」
「声出さなきゃ大丈夫だよ…見せて、藪下さん」
僕はスカートの中に潜り込み、ショーツをほどいた
0633名無しさん@ピンキー2015/12/28(月) 09:06:36.41ID:+HzG5SJ0
2/2
やっぱり、もうすごくなってる…僕を受け入れてくれる可愛いここ…
舌を伸ばし、彼女が喜ぶやり方で愛撫する
「あっ、谷口さん駄目ですっ!んんっ」
スカート越しに声が聞こえ、藪下さんは腰をよじるが、僕はがっしりと掴んでいる
「んっ!んっ…」
スカートをめくって彼女の顔を見てみた
とろんと指を噛んで、いつもぱっちりと光るその目は今はまるで違って…
「いいですか…?」
「ああ、もう…ください…」
藪下さんの手が大胆に、固くなった僕をズボンごと握り、動かす
「う…藪下さん、そんなにしないで」
「もう、脱ぎますっ」
「あ、待って…僕も」
挿入する時も、角度や体位を変える時も、藪下さんは口を両手で押さえて声を出すまいとしていた
それでも、肌を打ち合う音はしてるんだがな…
藪下さんが涙目になってきたところで僕はちょっと可哀想になった
やっぱり本当の事を言おう…僕は律動を止めて彼女の両手をそっと掴み、口から離させた
「藪下さん、大丈夫?…母は出かけてます…」
「え、えっ、いつから…」
「きみが来てすぐくらいに…すみません」
「そんな…」
汗ばむ彼女の両手をベッドにそっと下ろし、そのまま抱きしめる
「だから…ごめん。声、いっぱい出してください」
耳元でささやくと、きゅうっと彼女が締まる
「ひどいです…谷口さん覚えててください…あ、ああっ、あぁんっ」
藪下さんはようやく自由になった両腕を僕の背にまわし、ぽかぽかと叩く
どんな仕返しをされてしまうだろう、とちらっと頭をかすめた
彼女の喘ぎの間隔が短くなってゆく…もう絶頂が近いのがわかる
僕ももう限界だけど…
この僕の部屋に藪下さんの吐息がたくさん染み込むように…キスするのはあとにしよう、なんてくだらない事を思った

終り
0634名無しさん@ピンキー2015/12/30(水) 05:13:50.57ID:cNrARJaZ
おお〜たくさん投稿ありがとうございます!
どれも甘くて可愛くてエロくてすごく素敵です〜!
来年デートスペシャルがあることを共に祈りましょうね!
よいお年をお過ごし下さい!
0635名無しさん@ピンキー2016/01/02(土) 06:44:52.97ID:c9Ow9Weh
>>634
感謝申し上げます
しかしすっかりイマノウチしてしまった…

去年はSPやってくれて嬉しかった
デート大好きだ
0636名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 06:35:52.64ID:jkVYh6AM
エロなし修善寺後ちょい重め注意
真面目な恋

1/2
「藪下さんの本棚見ていい?」
「ご自由にどうぞ」
巧は背表紙を眺め、一冊取り出す
「『恋愛のメカニズム』?…ふん、情緒も何もあったもんじゃないな」
「大変有意義な内容でした」
「そうなの?他も、量子力学に数学論…僕には理解し難い無機質な世界だ」
「お互い好みのベクトルが全く別方向なんですから当然です」
巧は、分厚い専門書の隣にちょこんと並べられた古いノートを見つけた
「ん?このノートは?」
「それは…母が書き残した父の好物のレシピノートです」
「見ていい?」
「はい」
巧はページを繰る
著名な数学者だった依子の母を、巧はまだよく知らないでいた
たくさんの料理の作り方が、丁寧な字で当時小学生だった依子にもわかりやすいよう書かれている
将来の事も考えてあるのだろう、難易度の高い料理もある
「お雑煮もあるね…」
あの依子が、母親への思慕をあふれさせ、涙を見せた…
「それのみ諸般の事情により、若干内容が異なってますが」
「…ふうん」
記載された分量は子細だが、杓子定規な依子と違い、「こんがりと焼き目をつける」「彩りよく盛りつける」などの柔らかい表現も多い
「注意!ここは手早く」など、イラスト調のメモもある
写真でしか見たことのない依子の母が、まるで暖かく語りかけてくるようだと巧は思った
病床にあって、何を思いながらこれらをつづったのか…
自分がいなくなっても、依子が幸せになるようにと…
「きみ…お母さんに本当に愛されていたんだね」
「谷口さん…?」
巧のまつ毛に涙が滲んでいた
0637名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 06:37:17.06ID:jkVYh6AM
2/2
「これ…いくつか写していい?僕も作ってみたい」
「は、はい…」
「ありがとう」
巧は目をギュッと閉じると、依子の肩に額を押しつけた
「このレシピ…頑張って練習するよ。いつか…僕たちに子どもができたらさ、皆で食べて、そしてその子にも…教えて…」
依子は巧の背中にそっと両手をまわす
「はい。あなたと、私で」
弾かれたように巧は依子をきつく抱きしめた
依子の耳元に強く口づけた巧が、かすれた声でつぶやく
「藪下さん…!」
依子はなすすべもなく、巧の背中をなで続ける
「僕は…本当にクズで、どうしようもない男だけど…きみを…ずっと…これからも…」
声は小さくなり、依子には聞き取れない
「…谷口さん…」
でも、わかる
巧は顔を上げると、赤い目を隠さず依子をじっと見つめた
「……誓います…」
そして深く深く、キスをした

終り
0638名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 06:40:37.62ID:jkVYh6AM
エロあり 非DT&SJ
SPで、依子の部屋で本を読みながら眠り込んでた巧が良かった

1/4
官舎を見上げ私はドキリとした
業務終了後すっかり暗くなっているのに、自宅に明かりがついてない…谷口さん、まだなのかしら?
階段を早足で上がり、ドアをそっと開く…靴があるわ
新しくはないけど、きちんと手入れされたいつもの革靴が揃えられている
「…ただいま帰りました」
ひょっとしてまた…暗いリビングをのぞく
冷えた部屋に規則的な寝息が聞こえ、つま先にハードカバーの古書があたった
谷口さん…やっぱり
ラグの上に本を開き無防備に寝入る姿
一旦安堵して、そしてまたドキリとした
日没後急激に気温が低下する中、いつからこうしてるの?
明かりと暖房をつけ、そっと毛布をかけた
ほんの少し首筋に手の甲をあててみる
温かい…ガウンを着てるし、きっと大丈夫
「う…ん……」
谷口さんは身じろぎした
仕方ないわ。たまにはだらだらしたり、さぼったりする事もあるわね
私は隣で彼と線対称の位置に横になり、その顔をじっと見る
すっきりとした顔立ち、ちょっと乾いた唇、今は閉じられている奥二重
普段の彼の瞳は時にシニカルに、真剣に、また自信無げな時もあるけれど、いつも最後は優しく私に向けられる
私はいつからこの人を?わからないけど…きっともうずっと前から…
ぱちりと彼の目が開いた
「あっ!藪下さん…あれっ?うわぁ、こんな時間…まただ…」
体を起こした谷口さんは眉をひそめ、額をげんこつで叩いている
「すみません、すぐに夕飯の支度…うおっ!」
立ち上がろうとして彼は本につまづいた
0639名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 06:42:42.23ID:jkVYh6AM
2/4
「あ…す、すみません、痛かったでしょ」
谷口さんは私を押さえこむように倒れこんでいた
「…いえ…受け身は取りました。大丈夫です」
「えっ…受け身って藪下さん剣道以外に柔道もやってたんですか?」
「してません」
「そ、そうですか…でも、以前階段から一緒に落ちた時も衝撃の割りには平気そうでしたよね」
照れ隠しか谷口さんはまくし立てるけれど、私の上から動こうとしない
「藪下さん…怒らないで聞いてほしいんですが…」
「事情によりますが、何でしょう」
「あの…つまり…急に…そんな場合じゃないってわかっているんだけど…」
私は重なりあって気づいていた。彼は勃起してる…でも、どうして?そういうムードには気づかなかったわ…
「しますか?」
「え…い、いいんですか」
「はい。ではシャワーを浴びてきましょう」
体を起こそうとして、腕を捕まれた
「僕は、今すぐがいい…」
射抜くような熱い視線…だめ…こうなると私は動けない
「わ、わかりまし…」
答えを待たずにキスされ、グレーのスーツの上から体を撫でさすられる
軽い音をたてて何度も唇を合わせながら、お互い服のボタンを外しあう
まだ私のシャツは下の二つのボタンが留められたままなのに、下着をずらされ、胸に吸い付かれた
「ん…」
すぐに谷口さんは余裕のない様子で私のショーツを掴んで引き抜くと、膝を裏から持ち上げた
「あっ!」
私はスーツの上着すら袖から抜けていない
部屋はこんなに明るいのに、私の膝は彼の手でいつもより開かれて…
0640名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 06:49:21.72ID:jkVYh6AM
3/4
「ちょ、ちょっと待ってください、谷口さん…」
あまりの勢いに、一旦休止を要請する
彼はハッとして体を少し離し、動きを止めた
「あっ…いやあの、藪下さん、性急すぎましたよね。すみません…」
「いえ…せ、せめて服を脱ぎたくて。スーツが破れそうです」
「はい…僕って奴は…ほんとに自分本位でごめんなさい」

いつもの谷口さんに戻り、ゆっくり服を脱がせてくれて…普段通りの優しい愛撫が始まった
だけどとても感じてしまって…
私はあお向いた彼と胸を合わせて見おろし、彼は私のほどけた髪に指を通す
早くから潤っていた私の中に彼のものはなめらかに入ってきて…
「あ、あっ」
気持ちいい、でも…
「う…すごくいいよ…溢れてる…」
「あぁ、もうこんなになるなんて、恥ずかしくて…」
気持ちとは裏腹に、腰は動かしてしまう
「大丈夫です…本当にきみは素晴らしいから…」
彼は切なげに言うとそれきり押し黙り、繋がったままそっと私を横に倒して、今度は彼が見おろしてくる
髪を撫で、キスして…動きを早めてきて…

そして遅い夕食
不自然に無難な会話の食事を終え、ベッドではなくリビングでくつろぐタイミングで私は言った
「では、ピロートークを始めます」
一応、枕を膝に乗せると谷口さんは苦笑いをした
「あ、やっぱりやるんだ…はい」
「私、今日はスタートの合図がわかりませんでした」
「ええっと…スタートって…」
「起き抜けに突然勃起したのはなぜですか?」
「ぼっ…!あ、あの…それは…さっきの宵寝で夢を見たんです」
「どのような夢を?」
0641名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 06:54:19.21ID:jkVYh6AM
4/4
「うん…恥ずかしいけど…きみが僕に覆い被さって、首筋にキスしてきた夢で…で、目が覚めたら…固くなってて…
きみが真ん前に本当にいるし、なんだか色っぽい顔してたから、つ、つい理性のタガが…」
彼は「ひゃ〜!」と言いながら両手で顔をおおってしまった
「なるほど、錯覚ですね。毛布をあなたに被せ、首筋で体温を確認しましたから」
「さぼってたのに毛布を掛けてくれてありがとうございます。
しかも、勘違いで強引なことして…ごめんなさい」
「愛する人の自堕落なところも駄目なところも受け入れる約束ですから」
谷口さんは、ちょっと安心したような表情を見せる
「それに、時には性行為に強引なあなたも好ましいです。服を破らなければ」
続けて言うと、彼は真っ赤になって立ち上がった
「や、破ったりなんかするものか!僕は男だけど野獣じゃない。今日は、たまたま…」
彼が早口で意見を主張する時も、内容は理路整然としている
「…僕らが恋愛することによって…」
数式を一切使わず、言葉で心を明文化する谷口さんの声が心地いい
「…だからゲーテも芥川も…ん?藪下さん?ずいぶんニコニコしてるね」
「異議はありません、続けてください」
「…ははっ…」
谷口さんはあきれたように笑い、肩を軽くすくめると、かがんで顔を近づけてきた
唇を重ねるだけのキスは、それでも長い時間続いた

終わり
0642名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 06:57:17.89ID:jkVYh6AM
エロないのにちょっと重いのと、長いしワンパタで投下しようか迷ってた2つ貼りました
この流れならいいかなと

半同棲は妄想が捗ります
もしまた書けたらこりずに投下しに来てしまおう…
巧依子早く結婚しないかな
0643名無しさん@ピンキー2016/01/08(金) 20:38:32.85ID:0xHD8b3i
明けましておめでとうございます!
新年初の投下ありがとうございます!
優しく涙もろい巧の優しさにきゅんきゅんしました。
ケダモノ巧にも萌えますたw
本年もどうぞよろしくお願いいたします!
0644名無しさん@ピンキー2016/01/09(土) 21:39:19.43ID:/DpUyKpD
>>643
ありがとうございます

夏の時点でまだ巧がDTってのは驚いたものでした
あれだけ恋愛ワードに敏感で憧れてるだろうに、依子はよく気長に待ったよ
自分の乏しい妄想の中では頑張ってもらってますがw
0645名無しさん@ピンキー2016/01/11(月) 10:57:54.59ID:AgRBvtKG
投下感謝申し上げます!

デート重ねても恋だのせくろすだのそっちのけで契約書の作成に没頭しちゃったんでしょうね
でもあのスローペースなとこが巧と依子らしくていいなと思う
いつもは蓋をしてる感情がひょっこり顔を出すと破壊力半端ないし
そんな二人で妄想するのも楽しい
0647名無しさん@ピンキー2016/01/14(木) 18:17:45.07ID:9TfdaL3M
恋する怖さゆえに契約書作成に走るのはあるだろうなー
第1話で35年守った唇を勢いで捧げようとした程度には依子が好きなんだろうけどw
0648名無しさん@ピンキー2016/01/15(金) 06:41:32.44ID:vnwg8g0I
後半エロ DT&SJ既卒未婚です

1/3
2015年1月
絵馬を奉納し終え、依子と巧は石段を下りて神社をあとにした。
依子は小さくため息をつき、首をコキッと軽くかしげた。
巧は歩きながら、依子のそんな様子をちらっと横目で見る。
「あの、藪下さん…」
依子はすぐにいつものように背筋を伸ばし、巧の方に顔を向ける。
「はい」
「今日は本当にいろいろとありがとうございました」
巧は頭を下げた。
「こちらこそ感謝申し上げます」
依子も立ち止まり、頭を下げる。
「忙しかったから藪下さんも疲れたでしょう…ずっと着物で苦しくないですか?」
「着物は好きなので、ご心配には及びません」
「そうですか…あの、もう少し…どこかで休みませんか」
「……」
依子は怪訝な顔で巧を見る。
「谷口さん。着付けし直すためには、全身が映る鏡のあるホテルでお願いします」
「…え?ええ?何の話ですか」
「私の着物が苦しそうだから休もう、とおっしゃったじゃありませんか」
「それでなぜホテルになるんだよ!」
思わず大声が出た巧は、辺りを見回して咳払いをすると、声のトーンを戻した。
「…僕はこれからまた電車に乗るし、あの…もう少しだけ一緒にいたい…と言うか、お茶でも、と思って」
「そういうことですか。なら私もやぶさかではありません」
「えっと…じゃ、あの店なんかはどう」
巧が指さす先には、レンガにツタのからんだ古い喫茶店があった。
0649名無しさん@ピンキー2016/01/15(金) 06:44:47.56ID:vnwg8g0I
2/3
店内は狭くて人は多いが、落ち着いた雰囲気だ。
「谷口さん、疲労回復にはコーヒーに砂糖を適量入れると良いかも知れませんよ」
依子は昔ながらの、チェリーの粒が入ったレモンスカッシュを一口飲んで言った。
「ありがとう。まあこのままでいいよ」
巧はカップを持ち、香りを楽しみつつコーヒーを口にする。
穏やかな目は、正面に座る依子の手元を見るともなく眺めていた。
依子も草履の鼻緒から足指をずらし、炭酸が弾ける爽やかな風味でのどを潤した。
依子は今日の巧の奮闘を思いかえし、リラックスした様子に安堵する。
「谷口さんの絵馬の願い事、かなうといいですね」
巧はハッと顔を上げ、目もとを赤く染めうつむくと、微笑んだ。
「…はい。きみの願い事もね」
依子は小さく首を振る。
「…道のりは長いです」
「そうなんだ?でも…いつかきっとかなうさ」
「はい、きっと」
依子も微笑み、二人は長いあいだ見つめあった。

2015年12月
あれから一年近く。
ベッドで依子と巧は体を深く重ねあう。
巧は満たされていた。
いつも凛としている依子も、巧の愛撫には一つ一つに情感豊かな反応を見せる。
出会った頃には知らなかった依子のさまざまな表情…
「…んっ」
依子は巧の顔をじっと見ていたかと思うと、眉を寄せ、拒むように巧の肩を押した。
「…どうかしたの?」
絶頂に向かおうとしていた巧は意外そうに動きを止めると、体は離さずに依子に尋ねた。
0650名無しさん@ピンキー2016/01/15(金) 06:49:40.45ID:vnwg8g0I
3/3
「谷口さん…性行為中に、他のことを考えたら…嫌です…」
依子は挿入の快感に潤んだ瞳で巧の肩を握りしめている。
「え?なんでそんなふうに思ったのさ…僕は今藪下さんのことしか、考えてないのに…」
依子の表情は不安そうにも見える。
「もちろん100%だよ」
巧は額を依子の額に優しくすりつける。
依子がうなずき、ようやく腕を背に回すと、巧は再び動き始めた。
「あ、もっと激しく…谷口さんっ、もっと」
「もう、いきそうだよ…」
「まだですっ、まだ、だめ…」

「藪下さん…大丈夫だった?」
行為を終えると、乱れた息も整わないうちに巧は依子に尋ねた。
「申し訳…ありません。無理を言いました」
依子はぐったりと動けないでいる。
「僕はいいんだ…とても良かったです…藪下さん、そのまましばらく休んでて」
巧は引き出しからバスタオルを出して依子の体に掛け、新しいシーツも取り出す。
「感謝申し上げます」
「勝手知ったる藪下さん家だ。しかし、今日は僕の何が悪かったんだい?」
「悪くありません。ただ、あなたがああいう顔をする時は…何か考えごとをしている時なので…」
「そうか。たぶんあれのせいだな」
巧が見たのは、壁に掛けられた依子の着物。
「今日、陰干ししたろ。きみを抱きしめてた時、あれが目に入ってきて…どうしても正月を思い出してさ」
「……」
「だから、きみのことを考えてた」
「そうですね…そうですよね」
「当たり前でしょ?」
巧は笑う。依子も微笑む。
「…どうですか、そろそろ立てそうならシャワー浴びに行こうか」
「ほっぺにキスしてくださったら立てます」
「ん?ほっぺ?…あ、そうか」
巧は依子の頬にキスした。
「今日はまだ谷口さんは、ほっぺにしてくれてませんでしたから」
しばらく二人は黙りこみ…そして同時にくすくすと笑った。


終わり
0651名無しさん@ピンキー2016/01/15(金) 06:55:04.61ID:vnwg8g0I
いつも文章を短くすることに腐心しますが、もうこだわらずダラダラまったり書きました
しかしセクロス中にたくさんしゃべりますなw
(できれば性的に)仲のいい二人がもっと見たい
もう今頃は結婚してて欲しいです
0652名無しさん@ピンキー2016/01/19(火) 00:49:45.40ID:pAm7zb7i
ポッキーゲーム絡みで
エロありです

1/3
僕は藪下さんの部屋で漫画を読んでいた。
小説はつい長時間夢中になってしまうので、夜は避けるようにしている。
藪下さんも隣で鉛筆を手に数独パズルを解いていたが、完成したらしくフッと満足げに微笑んだ。
とん、と僕の肩に頭を預けてくる。
「レベル5、最短記録更新です」
ちらっと得意そうにこちらを見てきた。長いまつ毛が可愛いな、と思う。
「おめでとう」
「何かご褒美をください」
「うん…」
急に言われちょっと迷って、僕は彼女の手をとり甲にキスした。
「感謝申し上げます…」
そう言うと彼女はうっとりした目で僕を見て、続けた。
「もう一つお願いしたい事があります」
「ん?何?」
藪下さんはチョコ菓子の箱を取り出してきた。
ニコニコした彼女の顔を見て、僕は嫌な予感で一杯になる。
「谷口さん。まだ何も言ってないのに、そんな苦々しい顔はやめてください」
「だってさ…もしかしなくても、あれだろ。
それを二人で両端から食べて、最後に…っていうくだらないゲーム」
僕は再び漫画に目を落とす。
「雑誌に載っていたんです。『これで彼氏とラブラブ!甘〜いキス』という見出しで」
「…やはりな。バカップル極まりない行為だ。実に愚かしいよ。僕はごめんだね」
「そうなんですか」
珍しく反論しないな、と思い顔を向けると、彼女はあのアヒル口でこちらをにらんでいた。
僕は思わず吹き出してしまった。
「言い過ぎたよ、ごめんなさい。怒らないでください。でもさあ…」
0653名無しさん@ピンキー2016/01/19(火) 00:50:46.44ID:pAm7zb7i
2/3
漫画を閉じ、藪下さんの髪を撫でた。
「怒ってません。残念なだけです」
藪下さんに王道の恋愛漫画なんか読ませたら、意外とのめりこむのかも知れないな…
「…藪下さん。『甘いキス』ってのは、実際に味覚的な甘さが重要なわけじゃないでしょう」
「わかってます」
やるせなさそうに僕を見ている彼女。そうか、菓子にかこつけてキスがしたかったんだよな。
それに気づくと、にわかに彼女の唇が欲しくなった。
「お菓子を食べながらキスなんかしたら、きみの味がしなくなるでしょ…」
僕は口を薄く開いて彼女の唇に近づいた。深いキスがしたい。
彼女も同じように薄く開く。OKのサインだ…
唇を合わせると体の中心が痺れだす。この性的な予感を、甘いと表現するのかな…

性行為になだれこんで良かったんだろうか?
藪下さんは僕が求めると、いつも応じてくれる。
「もしやってたらこんな所にもチョコが付いたかも知れないよ…」
「ああ…は、はい…」
彼女の尖った乳首を舌で弾く。指先や手のひらでなぶると、あ、あ、と 喘ぎが聞こえる。
僕の頭を押さえて、髪や耳を撫でてくる…感じてくれてるのが嬉しい。
足をそっと開かせて指を入れると、彼女の体が少しこわばる。
僕はその中をできるだけ優しくかき回す。
「ああ…ん、谷口…さん」
そんな艶めいた声で僕を呼ばれたら、もう我慢できない…
「こんなに濡れてるよ…」
「はい…来てください」
藪下さんも僕のたぎりを確認すると、さすってくれながら恥ずかしそうに、膝をもう少し開く。
「大胆ですね」
「谷口さんだって…」
0654名無しさん@ピンキー2016/01/19(火) 00:52:09.84ID:pAm7zb7i
3/3
藪下さんは、さっきまであんなに乱れていたのに、二人で絶頂を迎えたあとはてきぱきと後始末をした。
僕はちょっと物足りない思いでパジャマを着て、そろそろ歯を磨こうかと思いつつリビングを見た。
ピンクのパジャマを着て髪を編んでいる藪下さんの目の前には、あの菓子の箱が置かれたままだ。
わざわざ買ってきたんだよなあ。藪下さんともあろう人が、こんな事に一生懸命になって。
「……一回だけなら」
僕は言ってみた。あまりにも小さな声で、藪下さんにちゃんと聞こえたかな。
「感謝申し上げます!」
…聞こえていた。良かった、二度は言いたくない。
彼女は花が咲くように微笑み、菓子の包装をぴりぴりと破る。
その嬉しそうな様子を見ると、恋愛のためにバカになる覚悟を決めた自分も悪くないと思えた。
「ふぁい、ろうぞ」
藪下さんはチョコの付いてない方をくわえ、こちらに向ける。
仕方ない…
二人でぽり、ぽりとかじりながら顔が近づいていく。…なんだか照れるな…
あと少し、という時。
「いてっ!」
「あ、も、申し訳ありません!」
「くそ、やっぱりやらなきゃ良かったよ…」
唇を噛まれてしまった。
「大丈夫ですか?あ、血が少し…本当に失礼しました」
「え?…まあ、大したことはないです…」

その時――藪下さんがちろっと僕の唇をなめた。
あんなに愛し合ったあとだっていうのに、たったそれだけで僕は結構ドキリとしてしまった。

終わり
0655名無しさん@ピンキー2016/01/20(水) 23:35:24.96ID:QsQfjeap
久しぶりに来たら新作が2つも!感謝申し上げます!
とろけそうに甘い巧依子をありがとうございました。
大寒波が来ても熱くて雪を溶かしてしまいそうですw
放送開始から1周年ですが、せめてSPの円盤化だけでも期待しましょう!
0656名無しさん@ピンキー2016/01/21(木) 12:53:48.05ID:ClXKnP7T
>>655
ありがとうございます
1年たったんですねぇ

デートのメンバーがテレビに映ったり
バラエティでデートの曲が流れたりするとロスがぶり返しますw
0657名無しさん@ピンキー2016/01/22(金) 06:42:05.61ID:jzNxCENM
エロなし(一応DTSJ既卒ではある感じで)
官舎にて 長くてすみません

1/3
「藪下さん、ごめん、もう少しだからちょっと待って」
映画を視聴中の谷口さんは、画面から目を離さずに手振りで私を制した。
「ここ、見逃せないんだ。ほら…鮮やかな色だろ。これが心情をより際立たせてる。それに…」
彼はまるで暗唱するように事細かに解説する。
「もっとあるんだよ。この先の演出も見事だ」
言われてみればそうだな、とは思う。それを楽しめるのが彼の感性だ。
谷口さんは、まだ買い物ミスもあるものの、最近はこの半同棲生活にも慣れてきているようだった。
見るともう唇を引き結び、画面にくぎ付けになっている。私は私で、確率の計算でもしようかしら。
“谷口さんがうちにDVDを週にn回持ってくるとする。
それが洋画のカラー作品で、なおかつ私の在宅時に視聴し…”

視線を感じてハッと顔を上げた。
谷口さんが、じっと私を見てる。
「映画、終わったんですか?」
「うん。藪下さん…すごいね、それ」
ノートに書いた多くの式。解はまだ…条件を細かくし過ぎたわ。
「あなたもすごいです。あんな映画を楽しめるなんて」
「あんなってなんだよ!あれは傑作だよ。時代を越えてなお新鮮で、見れば見るほど素晴らしい作品なんだ」
「わかります。あなたの説明は内容に沿った適切かつ詳細なものでしたし」
「ほんとにわかってんのかなぁ…」
私たちはお互いの趣味には関わらない、との共通認識はある。
でも相手が集中すると取り残されたような気持ちになることは、きっと谷口さんもあるだろう。
「藪下さん、さっき僕に何か言いかけてたよね。ごめんなさい、何ですか?」
「大したことではありません、背中に糸くずが付いていただけです。もう取りましたし」
0658名無しさん@ピンキー2016/01/22(金) 06:43:43.94ID:jzNxCENM
2/3
「そうだったんですか…ありがとう、すみません。つい夢中になって…」
谷口さんは上目づかいでおずおずと頭を下げた。
「お互い充実した時間を過ごせて良かったですね」
心からそう思う。
谷口さんは私の手元のノートをしばらく眺めていた。
やがて小さくうなずき立ち上がると、どこからか平たい包みを持って来た。
「これ…大した物じゃないけど、きみにプレゼント」
急に突きつけられて私は戸惑った。
「クリスマスも誕生日もまだです」
「別にいいじゃないか。ルイス・キャロルの作品でも、何でもない日を祝ってる」
「いただく理由がないです」
「そんな大げさな物じゃないよ、日頃の感謝だ。軽い気持ちで受け取ってください」
谷口さんは笑って私の手をとり、包みを乗せる。大きさ、重さ、話の流れから中身の予想はついた。
簡素な包装紙にラッピングされたB5サイズの物。
「では有り難く頂戴します。開封していいですか?」
「どうぞ」
そっと開くと、予想通りに中からは2冊の真新しいノートが出てきた。
私が愛用しているメーカーの物だ。しっかりとした作りで、書き味が良く、ずっとこれを使っている。
「感謝申し上げます…なぜ、これを?」
「ははっ。実はね、景品なんです。商店街でスタンプラリーをやってたんですよ。知ってた?」
「…告知のチラシは見たことがあります」
2週間で7店舗、買い物をしたら景品がもらえる。
けれど、普段商店街での買い物は精肉店とパン屋の2店舗のみ…あっ。
0659名無しさん@ピンキー2016/01/22(金) 06:44:36.73ID:jzNxCENM
3/3
「谷口さん…もしかして、先日お米・野菜・魚の購入とクリーニングを商店街の店舗でしたのは…」
「勝手なことして、きみには叱られてしまったね。あの時はごめん」
「あとの1店舗は?」
「古本屋だよ。店を覗いた時に店主のじいさんと商品の件で言い合いになって…つい言い負かしちゃったんだ。
そしたら、手に持ってたカードになぜかスタンプを押すと言ってくれたんだ。
ほんとは500円以上買わないともらえないんだけど…ラッキーだったよ」
「私…何も知らなくて、買い物に関してあなたを否定することをいろいろ言ってしまいました…申し訳ありません」
「だって秘密でしたから。怒られても仕方ない。謝らないでください、悪いのは僕だ」
ニッといたずらっぽく彼が笑う。胸が苦しい。
「ひどいです」
「えっ?」
「キスさせてください」
「えぇっ、なんで?い、今ですか」
「お願いです…」
いとおしい、とはこういうことだろう。抱きしめたい。キスしたい。好き。感情が押し寄せる。
谷口さんは正座して膝に握りこぶしを乗せている。
行儀が悪いとは思ったけれど、スカートのまますり寄り、彼の膝にまたがる。
谷口さんはあわてて両手を私の腰にまわしてきた。
私は彼の両肩に手をかけ、唇を当てた。
…しばらくそのままで。
唇を離す時、ちゅっと音がした。谷口さんの目もとが少し赤らむ。
「…あのじいさん、石ノ森章太郎の絶版本セットをバラ売りしようとしてたんだぜ?
しかも希少な名作のだ。あり得ないだろ。いつか絶対に僕がまとめて買う」
「頑張っておこづかいを貯めてください」
「当然だ。それまで売らせるものか」
真剣な顔の彼にもう一度キスをする。すっと目つきが優しくなった。
「ノート、大切にしますね」
「じゃんじゃん使ってください。きみの好きな数式で一杯にして。
眼鏡クリーナーと迷ったけど、気に入ってもらえて良かったよ」
もう決めている。あなたに関する数式で一杯にするって。
「重ねて感謝申し上げます…」
どうしてももう一度キスしたくて、尋ねるように少しだけ首をかしげてみる。
谷口さんは私の腰から両手を離す。
そのまま私の三つ編みをするりと撫でると、両耳のあたりにそっと手を添える。
温かい手…私は本当にこの人が好き。
今度は彼からも顔を近づけてきて、応じてくれた。

終わり
0660名無しさん@ピンキー2016/01/22(金) 06:49:32.53ID:jzNxCENM
巧から依子に何かプレゼントして欲しいなと思ってたら、勢いづいて…
Hないのに長々書いてしまいすみません
0661名無しさん@ピンキー2016/01/23(土) 23:42:29.23ID:yElDVfyz
エロです。オーラル。

1/2
「う…あの、藪下さん…もういいよ」
ベッドに座る僕は、下腹にある彼女の髪をすきながら声をかけるけれど…
ちゅぷ、ちゅぷと卑猥な唇の音が耳に届くばかりだ。

最近藪下さんはこうして口淫してくることがある。
しかし僕は正直ちょっと戸惑う。
「…きみに、そんな淫らな娼婦のようなまねをさせたくないよ…」
「映画や小説とは違います。これは谷口さんを愛するがゆえの行為です。
むしろ遠慮なくもっと悶えていただいて構いません」
彼女は愛撫のすきまに言った。
「な、何言ってんですか」

いわく、彼女の手や口によって僕が気持ち良さそうになるのが、いいらしい。
けれど、されるばかりではなんだか対等じゃないように思ってしまう。

一方、僕が彼女にするのには抵抗がない。
僕なんかに女性としての全てを預けてくれて、快感にうち震える姿が見たくて…
つまり動機は彼女と同じか…僕の理屈は身勝手だ。

彼女が時々上目遣いでこちらをうかがうのが恥ずかしくてたまらない。
「…きみ、疲れるでしょう…ちょっと、休憩した方が…うう」
ぽっ、と気の抜けた音をたててやっと解放された。
「くっ」
心が、抑えきれない欲望に支配される。僕はこんなにも雄だったのかと、嫌でも認識させられる。

藪下さんは僕を見ていた。
自分の頬を指先で押したり、舌で内側からつついたりしているのは、やっぱり疲れたからに違いない。
興奮して呼吸がなかなか落ち着かない…他人の肺みたいだ。
「今度は僕の番です」
彼女はわずかに目を見開いた。いったい僕はどんな顔をしていたんだろう。

「ああっ、ん、ん!」
藪下さんは足をがくがくと震わせ、身をよじる…つま先まで綺麗だ。
僕は口をぬぐって尋ねた。
「いったの…?入れてもいい?」
0662名無しさん@ピンキー2016/01/23(土) 23:45:11.79ID:yElDVfyz
2/2
口だけで彼女は達してしまったが、僕ももう限界だった。
「もうっ、だめです!」
彼女の即答に僕はヒヤリとした。
「え、だめ?…怒ってますか」
「いいえ。でもできれば一緒に…いきたかったです…」
「ああ、そうか…ごめんなさい」
それでも彼女は僕を中に導いてくれた。
敏感になって少しの刺激でもクッと締まるその中で、僕もじきに絶頂を迎えた。

「谷口さん、いい方法がありました」
ベッドでパジャマのボタンをとめていた僕の隣に、藪下さんはキャミソールのままウサギみたいに飛び上がって来た。
「何が?」
「あの…」
珍しく言いよどむ。
「何の方法?」
彼女のなめらかな肩を撫でて尋ねた。
「二人で一緒に達する方法です」
「…はい…」
「以前、雑誌で見たんです。あ、あの、24番めの半素数をです」
「ん?」
「つまり、3×23です…ああっ!恥ずかしい」
藪下さんは口を押さえて照れまくっている。僕は計算してみた。
「ええと、ろくじゅうきゅ……」
わかったぞ。あの、数字で表す体位か!
「や、藪下さん、なんてこと言うんですかっ!」
「申し訳ありません。そうですよね、シックスナイ…」
僕はあわてて彼女の口を手でふさぐ。
「言わないで!まったく、低俗な雑誌やwebサイトなんかから情報を得るのは賢明じゃないよ」

もしかしたら、僕らはもう十分恥ずかしいことをしているのかも知れないけれど。
こんな事ぐらいで動揺するなんて、今さらなのかも知れないけれど。
それでも、開けたくない扉はあるんだ。

終わり
0663名無しさん@ピンキー2016/01/25(月) 20:27:35.58ID:7zPM4lnB
>>645さんのレスを見て
エロなしキスもなし けどラブラブして欲しくなりました
2015年春くらい

1/2
今日の谷口さんとのデートの後半は、契約書の作成だ。
腕を組んで街を歩く。なぜかとても人が多い…いつもの220%はいるかしら。
目指す喫茶店に入ったけれど、奥のカウンター席しか空いていなかった。
「なぜこんなに人がいるんでしょう」
「多分近くのイベントホールでアイドルのコンサートがあったんですよ。
グッズやうちわを持ってるでしょう」
谷口さんはため息混じりに言った。
喫茶店の中もにぎやかだ。
「うわ、女の人だらけ」
「谷口さん、右側の席へどうぞ」
右側の人は小柄なので、少しでも肘が楽だろうと思い私はすすめた。

「あっちもこっちも黄色い声あげて…落ち着かないですね」
「今日のデートをセッティングした私のリサーチ不足です。申し訳ありません」
「あ、いえ、そんなつもりで言ったんじゃないですよ。早速始めますか」
私たちは向かい合うように体を斜めにした。

しばらくたち、注文した飲み物は少なくなったが、客足は一向に減らない。
「あ、藪下さん。あとこの項目なんですけど。きみが休日出勤になったりした時どうする?」
「そうですね、“勤務状況によってはその限りではない”の一文を追加するべきでしょうか…」
周りの声が響き、自然と谷口さんと肩を寄せる。
気がつくと、ないしょ話でもするかのように顔を近づけていた。
彼がカップを口にするたびただようコーヒーの香り…今キスしたら、こんな味がするのかしら…
「…藪下さん?大丈夫?」
谷口さんが私の目の前で手をかざし振っている。
私としたことが…ぼんやりして目の焦点が合っていなかったみたい。
「申し訳ありません、大丈夫です」
「ちょっと疲れたよね。僕もだ。今日はここまでにして出ましょうか」
谷口さんはファイルに附箋を貼ると、そっと閉じた。
0664名無しさん@ピンキー2016/01/25(月) 20:34:12.08ID:7zPM4lnB
2/2
二人で立ち上がった時、右側の席の人も偶然立ち上がった。
楽しそうに友人たちと会話しながら大きなカバンを持ち上げた。
私たちには気づいていない。
そのカバンが谷口さんの背中に当たった。
「うぉっ」
ドン!
喧騒の中、もし静かだったらかなり目立っただろう音がした。
バランスを崩した谷口さんが、壁に両手をついたのだ。
幸い怪我などは何も無さそうな状況だ。
ただ――私は彼の両腕に閉じこめられていた。
壁を背に…正面には彼。こんなに近くで…こんなに真っ直ぐ見つめあった事なんて…
「なんなんだ…やれやれ、危なかった」
谷口さんは私を見ながら言った。
カバンをぶつけた高校生くらいの少女がこちらに気づく。
「きゃっ、すみませ〜ん!…あ、壁ドンだ」
谷口さんはギクッと震え、私から離れた。
「ちょっ…何言って…これは違うだろっ。だいたいきみら、ちゃんと後ろにも気を配らないとダメだ」
「ごめんなさーい」
「わ〜ナマ壁ドン見ちゃった」
少女たちは口々に言いながら行ってしまった。
「あ、あいつら本当に礼儀のなってないやつらですね」
「壁ドン…?」
どこかで聞いた気がする。何だったかしら。
確かに壁にぶつかって大きな音がしたわ。私は指先で壁に触れる。
「行きましょう、藪下さんっ」
彼は私の腕をつかみ、引っ張った。
「ん、痛い…」
谷口さんはハッとして手を離した。
私を見る彼の顔は赤い。
私もなんだかドキドキする。

店を出てからも、私は彼の顔をまともに見られず、腕も組めないでいた。
心臓の音に気づかれそうで…でも、なぜそれが恥ずかしいの?
谷口さんに促され、やっと静かになってきた公園のベンチに腰かける。
「藪下さん…予定にはありませんでしたが…明日の日曜も、デートしましょうか。
ほら、今日は中途半端に終わってしまったし」
彼は前を向き、はるか遠くを見つめたまま言う。けれど、手がおずおずと握られた。
「…私もそう思っていました。明日、改めて契約書作成の続きをしましょう」
私も前を向いたまま、そっと握り返す。
優しく風が吹き、ほてった頬を冷ます…けれど、まだ帰りたくない。
きっと、彼も同じ。

終わり
0665名無しさん@ピンキー2016/01/27(水) 06:19:54.74ID:ilVsnJnb
エロです 半同棲 非DTSJ

1/3
私は寝つきが良く、一度寝入ると朝まで目覚めないのが常だ。
寝起きがいい事にも自信がある。毎日目覚まし時計が鳴る前には起きる。

私はベッドの上で、ふと意識が覚醒した。何か違和感がある。この感覚は何かしら…
「う…ん…」
まぶたを薄く開くと、部屋は暗い。恐らくまだ夜中…
「あ…」
びりびりとしびれるような…快感。
「んっ」
身じろぎし、隣に目をやると、谷口さんがこちらを向いていた。
「起こしてごめん…」
私の体を這っていたのは彼の手。違和感の正体…
時刻を確認しようと時計に手を伸ばすと、追いかけてきた谷口さんの手がそれを制する。
「午前1時52分です」
耳もとでささやかれた。そのまま耳に舌が入ってくる。
「あっ…」
彼と距離をとろうとその胸を押すけれど、足も腕も絡みついていて…
首筋を舌でなぞられる。体が震える。
フッ、と彼が微笑んだ気配がした。
「谷口さん、今は就寝時間です…」
「“23時以降”でもありますよ」
「それは屁理屈です…っ」
話をしながらもパジャマを脱がせてくる。
胸があらわにされた時点で、肩からはだけたパジャマを押さえつける事で動けなくさせられた。
舌と唇で責めてくる…
もう言葉も発せられないほど翻弄される。
冷静沈着で論理的と評価されるこの私が、今発するのは動物的なあえぎだけ…
0666名無しさん@ピンキー2016/01/27(水) 06:20:38.93ID:ilVsnJnb
2/3
―――
僕たちが性行為に至るまでには、さまざまなプロセスがある。
僕は雰囲気やキーワードに引きずられて、突然燃え上がったり多少無理に挑んでしまう事もあるが…
藪下さんは“今日は、したい”という時はまむしドリンクをテーブルに置いてくるのですぐわかる。
…今日は置いてあった。
そして僕も、彼女の風呂上がりにほつれ毛が唇に引っかかっていたのを見た時から…
そういう気持ちが徐々にこみ上げていた。
なのに、ドリンクを飲み、歯を磨いてベッドへ行くと…藪下さんはもう寝息をたてていたんだ。
そりゃここ数日忙しいとは言ってたけど…
僕は行き場のない思いを持て余し、クールダウンしようと本を開いた。

…情けないことに集中できず、一向におさまらない。
しかしあまり夜更かしすると朝起きられなくなる…
僕は仕方なくベッドに入った。
藪下さんは寝返りもせずぐっすり眠っている。
いい気なもんだよ…男というのは昔から、詩でも小説でも女に振り回されるものだよな…
だめだ…愛欲の女神は僕を解放してはくれない…

―――
谷口さんの額に汗がにじむ。
「あ、あ、もう、ああっ!」
絶頂を迎えた私の中を、なおかつ彼はうがつ。
「藪下さん…藪下さん」
「た、谷口さん、か…感じ過ぎて…しまい…ます、んっ」
「こことか…?」
意地悪な指先が敏感な部分を摘まむ。
「ああ…だめです、しないで、くださいっ」
0667名無しさん@ピンキー2016/01/27(水) 06:21:34.51ID:ilVsnJnb
3/3
涙が出そうなのをこらえてかぶりを振る私を、谷口さんは熱っぽい瞳で見ている。
「きみにキスしたい…いいですか?」
「え、えっ?」
何を言うのかしら?
体を開かれて、愛撫され、貫かれている今…
しかもさっきから何度もしてるのに、今さらキスしていいか、なんて…

―――
藪下さんは戸惑っている。当たり前だ、支離滅裂だ。
僕だって、なんと言えばいいのか分からなかったんだ。
彼女の中に僕をねじ込み、快楽に溺れ、もう僕はこれ以上なく彼女を得ている。
なのに、もっと欲しい。もっとだ。
思わず口から出た言葉が、「キスしたい」だった。
彼女にキスしながら僕は更に抽送を繰り返す…

―――
「藪下さん、おはよう」
割烹着の谷口さんに優しく肩を叩かれて私は目が覚めた。
「はっ…おはようございます」
私はあわてて飛び起きる。時計を見ると、6時30分だった。もうトレーニングは無理だ。
「ごめん。よく眠ってたから起こせなくて…朝食はもうできるから、シャワー浴びて来たら?」
「はい…昨夜は大変満足しました」
「ああ…」
「…ですが随分と自堕落な生活になってしまったものです…」
「…すみません。でもたった1日くらい、いいじゃないか。
人間は毎日同じような生活はできないんだ」
「あなたのせいですよ」
つい恨みがましく、むくれてしまう。
「半分はきみのせいでしょ?まむしドリンクがあったからだよ?」
「何の事ですか。ドリンクがあったからなんなんです」
谷口さんはきょとんとしている。
「えっ?だってきみ、テーブルに置いたろ?」
「確かに置きましたが、だったら何ですか」
「え…無意識なのか…あはっ」
「何がおかしいんです、谷口さんは変ですっ」
よくわからない理由で笑われて、理不尽だわ…でもなぜか恥ずかしい。
私は着替えを持ってバスルームに駆け込んだ。

終わり
0668名無しさん@ピンキー2016/01/27(水) 06:27:42.32ID:ilVsnJnb
すっかりロスをこじらせてます
だめだわ、まったり行かねば…
ここにはもうみんな来ないのかなぁ
0670名無しさん@ピンキー2016/01/27(水) 22:46:43.23ID:VMoOekiC
>>668
いつもありがとう!GJですよ!感謝申し上げます!
自分もひっそり見に来てますのでどうか続けて下さい
0671名無しさん@ピンキー2016/01/27(水) 23:18:23.71ID:HyZY2AYK
>>668
肉食だけど優しい巧が良い!
いつもありがとうございます。
私もロスをこじらせてひっそり読んでいます。
これからも楽しみにしています。
0672名無しさん@ピンキー2016/01/28(木) 18:38:39.58ID:NpG56WCp
>>669,>>670,>>671
読んでいただいてありがとうございます
よかった、人がいた
いや、いなくても書ける限り書くつもりでしたがw
あまりにハイペース&ワンパターンな自分に少々ひいてたので
でもまた書いたら投下させてください
0674名無しさん@ピンキー2016/01/28(木) 20:55:31.48ID:j0vtrmSO
>>672
ここにも読者がいます
いつもおつです
ピクシブの方にはまだ書き手さんいるんですが、こちらは減っちゃいましたね
0675名無しさん@ピンキー2016/01/29(金) 04:07:44.07ID:fhWDNeCB
私も見てます!
すばらしい作品感謝申し上げます!
私も書けたら投下させて頂きますね!
0676名無しさん@ピンキー2016/01/29(金) 06:39:47.28ID:zvVVuL0y
>>674,>>675
ありがとうございます
投下お待ちしてます!
自分はここにしか書けないですけど
他にデートが盛り上がってるとこがあるのは喜ばしいです
それだけでしばらくは呼吸ができますw
0677名無しさん@ピンキー2016/01/31(日) 03:40:04.36ID:0hytoAwR
エロなし
夏には売ってないかな

1/2
いやあ、やはり花火は素晴らしいなあ。夏の風物詩だけはある、迫力と美しさだった。
藪下さんも夢中になってはしゃいでいたし。
終了時間になり、見物客は三々五々散らばっていく。
僕たちもこれから契約書の最終確認のために、いつもの喫茶店へ足を向けた。
「谷口さん、大変見事な花火でしたね。お誘いいただいて感謝申し上げます」
「いえ…一時は諦めようかとも思いましたが、喜んでもらえて良かったです」
しばらく藪下さんと歩いていたが、組んでいた腕が、ぐ、と重くなった。
「あっ…」
「ん?藪下さん、どうしたの」
立ち止まる彼女の視線の先には縁日の屋台があった。
「りんご飴…」
藪下さんの目が輝いている。
「あんなもの…どうせお祭り価格のぼったくりですよ。大してうまくも…」
「買ってきます」
僕の腕を離すと下駄の音も軽やかに駆けて行った。
ずいぶん少女趣味なところがあるんだな。しぶしぶ僕も後を追う。
のんびり追いつくと彼女はもう姫りんごの飴を買っていて、こちらに笑顔を向けた。
よく見る透明ビニールにモールが巻かれた物とは違い、乳白色の小さな手提げ型の袋からにょっきり竹串が出ている。
飴が直接入れられているらしきそれを二つかかげて言う。
「自治体が主催の店でした。ぼったくりではありませんよ。地域活動にも貢献できます」
はい、と袋を一つ渡された。
「えっ、僕も食えって?」
藪下さんはアヒル口で軽くにらむ。
「留美さんに差し上げてもいいですよ」
「母にかい?…確かに母はこれ好きだよ。よく知ってるね」
「彼女の嗜好を総合的に考察したところ、お好きだろうとの結論に至ったからです」
「まあ…慎んで頂戴します」
0678名無しさん@ピンキー2016/01/31(日) 03:41:18.46ID:0hytoAwR
2/2
やがて最終確認も無事終わり、喫茶店を出る。
藪下さんが特訓してるプロポーズって何だろう…結婚もいよいよ現実的になってきた。
知的で何事も一生懸命でキラキラした彼女。
僕も契約どおり頑張らないとなあ。
しばらくすると藪下さんはビニール袋からりんご飴を取りだした。
「いま食べるの?」
「お祭りの場合は例外的に夜の間食も可、にしています」
「じゃあそこに座ろうか」
駅前は広い歩道に植え込みを囲うレンガがあり、休めるようになっている。
座っても、彼女は串に刺さった飴を食べる様子もなく、いとおしげに眺めている。
「りんごの85%は水分ですから、当日中には食べないと飴が溶けてくる可能性があります」
「ふうん」
「谷口さんも食べますか?」
藪下さんの言葉に僕はドキッとした。分けあうという意味じゃないのは、わかるが…
りんごと言えば僕たちが連想する事は一つだろう。
けれど彼女の横顔をじっと見ても、こちらを向く気配はない。
思い出さないはずないだろうに…
飴の赤と彼女の唇の赤に目を奪われる。
僕は不思議な引力にとらわれるように、りんご飴の赤い色に吸い込まれていった。
「…谷口さん」
はっと気づいた。僕は彼女の飴に唇を近づけていたのだ。
「いや、あ、あの、ごめん」
僕はすぐに飴から離れた。
「た、食べたいとかじゃなくて…きみの口紅みたいな色だなと…じゃなくて…」
いたたまれない。逃げるしかない。
「や、藪下さん、また連絡します。じゃ…」
立ち上がろうとして袖を引かれる。
「待ってください」
彼女は僕の持つ小さな袋に手を添える。
「谷口さん。私もいいですか?」
「え、あ、はい」
あわてていた僕は、よく考えもせずに返事をした。
彼女は袋を開き、僕のりんご飴に軽くキスをする。
「んっ?!」
「私もりんごは大好きです…おそらくあなたと同じ理由で。
では、この裏の駐輪場にバイクがありますので。本日はありがとうございました」
「あ…」
彼女はぺこりと一礼すると、浴衣のたもとを翻して行ってしまった。
呆然と袋を眺める。
「僕は触れてはいないぞ…」
くそ、お母さんになんてやれるもんか。
僕が食う、当然だろ!
僕は真っ赤なりんご飴を取りだし、がりがりとかじった。

終わり
0679名無しさん@ピンキー2016/01/31(日) 07:38:22.55ID:0hytoAwR
エロありです 非DTSJ

1/2
ヒトには発情期は存在しない。恒常的に性欲を有するもの。
それは何ら恥じることではないわ…私は携帯を手に取った。

「こんばんは谷口さん」
「あ、こんばんは。今日は早いんだね」
電話の向こうから彼の低く優しい声が聞こえた。
「今、何をしていましたか?」
「晩飯が終わったので、明日きみの官舎に持参する本を書棚で物色していました」
「そうですか…」
「藪下さんは?」
「何もしていませんでした」
「え?」
「あなたの事を考えながら、自慰をしようかと思っていました」
「ん、なんて?ジイ…え?!」
「明日の夜は性行為をお願いします」
「ど、どストレート過ぎるよっ!」
「お伝えしたい事はそれだけです。ではお休みなさい」
「ちょ、ちょっと待って!」
「何でしょうか」
「す、するんですか?…自慰」
「はい。しなければ明日の業務に支障をきたす可能性が高いです」
「……」
「では失礼しま」
「待って藪下さん!」
「何ですか?」
「ぼ、僕というものがありながら、きみにそんな事をさせられませんっ」
彼は早口でまくし立てる。
「僕は腐ってもきみの恋人だぞ…ここで電話を切れば男がすたる」
「谷口さん…」
「今すぐ行くから、風呂沸かして待っててください!」
ブツ、と電話が切れた。

しんとした部屋を見渡す。今さら恥ずかしさと不安がこみ上げてきた。
明日の性行為の要請をしただけのつもりが、まさか来てくれる事になるなんて…
どうしよう、まむしドリンクがないわ。あ、勝負下着に着替えるべきかしら。
それとも23時まではまだ早いし、お茶でも飲むかも知れない。ポットにお湯を用意する?
とりあえず彼の言ったとおり、お風呂のスイッチを入れた。
ジャージのままへなへなと座りこむ。
マニュアルもなく、何の準備も心づもりもできない…ただドキドキと鼓動が響くだけ。
抱かれる為に待つなんて初めてで、途方に暮れた。
0680名無しさん@ピンキー2016/01/31(日) 07:39:15.50ID:0hytoAwR
2/2
ピンポン、とチャイムが鳴る。
覚悟を決めてドアを開けた。
「藪下さん…お待たせしました…」
谷口さんが息をきらせ、帽子も被らずに立っていた。
私の顔を見たままドアを閉め、いつもの風呂敷包みを足もとに落とす。
靴を脱ぎ、頭に手をやり「あ」と帽子を忘れた事に気づく。
そして…
「きみを抱かせてください」
ぎゅうっと腕を巻きつけてきた。息が苦しいほど…
「はい。お願いします…」
下腹部に彼の固くなった男性器が当たる。
彼ももうこんなに…
心のはやるキスは、唇に狙いが定まらず、顔じゅうに降りそそぐ。
なんとかベッドにたどり着き、眼鏡をサイドチェストに置いた。

谷口さんはいつものように丁寧な前戯をした。
ただ、私が彼の性器に触れようとすると、避けるように両手をベッドに押さえつけられた。
きっとすぐにでも挿入したいのよ…
私だって始めから欲しくてたまらないのに…
「どうぞ…ん、早く入れてください…」
「もう、恋人に自慰をする、なんて言ってはだめだよ?」
「言いません…言いませんから、早く…」
「うん…」

私は定時に業務を終え、買い物をして帰宅した。
「お帰り、藪下さん…なんでそんな驚くんです?」
「きょ、今日はご自宅かと…」
「買い物は行ったけど、朝きみを見送ってからずっといますよ。
だってどうせ今日は半同棲の日じゃないか」
「でもそれじゃ50%以上になってしまいますし…」
谷口さんは顔をしかめる。
「きみともあろう人が、ルールにとらわれて目的を見失ってますよ。
半同棲は所詮、結婚の予行練習に過ぎない。だからいずれは完全に寝食を共にする事になるでしょ。
…そうなった暁には、ゆうべみたいな慌ただしい事もなくなるね」
「……」
勤務中は大丈夫だったのに…
ここでの昨夜からのイレギュラーな状況に、私はまだ適応できずにいる。
「あ〜きみも買い物して来ちゃったんだ。
まあいい、三人前作って、明日の僕の朝食ときみの弁当にも使おうか」
谷口さんは臨機応変に対応してくれる。私はうろたえるばかりだけど…
「あなたと結婚したら、こんなふうに毎日を過ごすんでしょうか」
私は彼の割烹着の袖を握りしめた。
「多分ね」
谷口さんはにっこりして言った。

終わり
0681名無しさん@ピンキー2016/02/02(火) 02:58:01.29ID:Lustp63n
新作感謝申し上げます!
初々しい可愛い二人も積極的な大人な二人も大好きです!
今のドラマが暗いのばかりだからデートロスが酷くなるばかりですね
癒しをありがとうございました!
0682名無しさん@ピンキー2016/02/02(火) 19:02:42.46ID:w2EpoOND
>>681
ありがとうございます
エロを書けばエロなしを書きたくなる、またはその逆の繰り返しです

デートは月曜をワクワクさせてくれる素敵なドラマでしたね
0683名無しさん@ピンキー2016/02/06(土) 06:36:25.95ID:SaeOORc9
全裸でもエロは無しムードもなし
修善寺後DTSJ


官舎の風呂は狭いが、入るとリラックスできる。
藪下さんがいつもいい香りの入浴剤を用意してくれるのもあるかな。
僕が機嫌よく歌っていると、いきなりカタンと扉が開いた。
「谷口さん失礼します」
「ひゃっ」
思わず変な声が出た。

「私も一緒に入ります」
ひたり、と風呂場に入ってくる。
藪下さんはタオル一枚を胸から下げて、大事な所は一応全て隠れてはいるが…ぜ、全裸だ!
肩から脇腹と腰、太もものラインに目が…
「や、や、藪下さんッ何で?」
声が裏返る。ぎゅんと下半身が正直に反応する。乳白色の湯で良かった…
「温泉旅行では何事もなく終了しましたし」
「すごくいろいろあったじゃないか!」
「あなたの童貞には何事もなかったでしょうが」
「きみの処女だって」
言いかけて固まる。
何を口走ってるんだ僕は!恥ずかしすぎる…
「あなたの山小屋での大胆な行動に感服し、私も思いきってみたのですが…」
「それは素晴らしいよ!感謝しますよ。男として、僕は幸せ者だ。
だけど、だけどこういうのは無理なんだよ〜…そろそろわかるでしょ?」
「環境に文学的設定を盛り込みつつ段階を踏まなければいけない、という事ですか」
「そこまで言わないけど…」
「私に魅力が無いから」
「きみは魅力的です!」
「……」
「…本当です」
藪下さんはちょっと恥ずかしそうにした。
「それではまたの機会にしましょう」
そう言うと風呂場から出て行った。僕は、せっかく温まった体にさんざん水をかぶってから出た。

藪下さんが座ってこちらを見上げる。
「マスターベーションしましたか?」
「してない!デリカシー無さすぎだよ!」

終わり
0684名無しさん@ピンキー2016/02/06(土) 06:40:27.84ID:SaeOORc9
間違って話一つ貼る前に消してしまったあー

妄想を書いてはいますが、多分二人は結婚までDTSJだろうな〜なんて正直思います
0685名無しさん@ピンキー2016/02/07(日) 01:04:46.44ID:1Y9IecCM
エロです DTSJ卒業済
2の10乗に震える依子可愛かった

1/2
半同棲時、寝る前の30分ストレッチは二人の習慣になっている。
巧も最初はしぶしぶだったが、丁寧に行うと確かに目覚めがいいと感じた。
(ブルース・リーのジークンドーの真似事もたまには悪くないが…)

巧はふと目の前で同じように腕を伸ばしていたはずの依子が気になった。
依子はいつの間にか自分のストレッチの手を止め、こちらを見ている。
(ん?なんだか、潤んだ目で…やけに、なまめかしいな…)
「や、藪下さん、僕の顔に何か…」
「ああっ崩れてしまった」
「何が?」
「黄金比です」
「…ははあ」
「さっきまで谷口さんの伸ばした腕とここの部分が、この角度から見るとまさしく1:1.618でした。
さらに素晴らしいのは、こことここを辺とする正方形が…」
うっとりとして依子は巧の体をあちこち示す。
(数学的な思考と性的な感覚って、シンクロするもんなのか?)

依子の解説は延々と続くが、巧はハイハイと流しつつ一応聞いた。
「きみの感動はよく伝わったよ。しかしずいぶん…その、色気のある表情で言うね」
「い、色気…ですか?」
依子は目を丸くする。
「もしきみが仕事中なんかに、偶然数学的発見をしたとするよ?
そしたらまたそんな秋波をふりまくのかい?なんだかなあ」
「ご心配には及びません。
仕事中は業務に集中していますし、何か発見する可能性は低いと思われます。
それに今私の中にあるのは、欲情です。単なる色気ではありません。
そして私が欲情にかられるのは、谷口さんにだけです」
言い切る依子の言葉に、巧はボッと赤くなる。
依子はもういつもの表情で巧を見ている。
「ぐっ…また睨むんだから…こーんな口になってますよ」
巧は依子の唇に指をあて、真似をして自分の唇をニュッと尖らせた。
「…ふ、うふふ!ほほほ…谷口さん…その顔!」
「なんだよ、そもそもきみが、あのアヒル口で…くくっ…あはは!」
0686名無しさん@ピンキー2016/02/07(日) 01:08:46.23ID:1Y9IecCM
2/2
二人は笑い、もつれ合い…
抱きしめ転がった依子を床に押さえつけた巧は、一瞬真顔になる。
けれど依子はニコリと微笑み、それを見て巧もまた笑顔になる。
そのままそっと唇を重ねた。
離して、見つめ…また、キス。そして、ゆっくりお互い確かめるように深く貪るキス。
「僕に欲情してるって、ほんと…?」
「はい。さっきからずっと」
二人の中にある歯車がカチリとかみ合う。
もどかしく着衣を脱ぎ去ると、足をからめ子犬のように甘噛みし合った。
お互いの髪をかき乱し、はぁ、はぁと吐息が混じる。
「私、興奮しています」
そっと巧は依子の柔らかな胸に手をあてた。
「うん。すごくドキドキしてるね…」
そのまま乳首を唇に含み、舌を動かす。
「あ、んっ」
依子はさっき見つめていた巧の肩から腕までを、いとおしげに指先で撫でながら言った。
「はぁっ…谷口さん、このまま正常位で行うなら、ここでは床が固くてあなたに負担が…
ベッドへ行きましょうか…」
「ここで構わないよ…」
そしてそっと依子の両足首を掴む。
「…僕もドキドキします。きみに何度もこんな事をして、いいのかなって…今でも思う」
巧は依子の膝にキスし、そこから彼女の中心に向かって唇を這わせていった。
「は、あっ、して…ください、たくさん…」

(気持ちが高ぶり過ぎてもう駄目…)
巧の上に偶然見つけた美しい法則が、なぜこんなに自分の性欲をかきたてたのか依子にもわからない。
「そのまま、力を抜いててくださいね…」
(彼が入ってくる…)
「うぅんっ、谷口、さん」
「藪下さん…」
何も思考できず…まるでバカになり、謎はいつまでも解けないまま、その恋に溺れる。
(…そんな事も、私たちにとっては価値があるはずだわ)

終わり
0687名無しさん@ピンキー2016/02/09(火) 06:44:57.88ID:FMsxh4tk
エロなし2015年10月の話
でもバレンタインネタ

1/2
お彼岸に二人は依子の母、小夜子の墓参りに行った。
依子の父、俊雄にも顔を見せ、二人は帰宅の途につく。
「谷口さん、せっかく近くまで来たので、一軒寄りたい店があります」
「…?いいですよ」
着いたのは依子の母がひいきにしていた洋菓子店だった。
巧は初めてだが、依子は慣れたふうに入店する。
「いらっしゃいませ…あら、依子ちゃん!」
「お久しぶりです。父の所に行ったので、何か買おうかと寄りました」
「そちらはご主人?」
いきなり言われて巧は固まる。
「い、いえ、僕らはまだ…」
「こちらは婚約者の谷口巧さん、夫に準ずる存在です」
「そう、素敵なかたね。谷口さん、よろしくお願いします。
依子ちゃん、ほんとに綺麗になって…」
「女性ホルモンの分泌が盛んなせいでしょう。私たちは週2回以上、23時から…」
「や、藪下さん!このシュークリームうまそうですねっ!」
「あら、それは依子ちゃんのお気に入りね。甘いものはお好きですか?」
「結構、好きです」
「でしたらバレンタインのチョコレートはお口に合いましたでしょうか」
「え…?あっ!ああ…それは…」
「それは諸事情あり、彼の口には入らなかったのです」
うろたえる巧に依子はすかさずフォローを入れた。
「そう…じゃあせっかくだから、こちらもご覧になってくださいね」
店主はチョコレートが並んだガラスケースを示す。
依子はあることを思いつく。巧のそばに寄り、軽く息を吸うと言った。
「…谷口さん、もしこの中から6つ選ぶとしたら、何を選びますか?
ただし、同じ物を複数選択しても良いものとします」
店主の女性はハッと依子の顔を見る。依子は口元に笑みを浮かべ、店主に小さくうなずいた。
0688名無しさん@ピンキー2016/02/09(火) 06:55:43.98ID:FMsxh4tk
2/2
「6つかぁ。そうですね…」
巧はガラスケースを覗きこみ、二人の目配せには気づかない。
「まあ直感的に…トラディショナルは外せないな。これを2個。
酒は得意じゃないけど、シャンパーニュとグランマニエはいいな」
依子の目が光る。店主は笑顔で依子を見ている。
「あとは…うーん」
巧はうろうろと迷う。
「アマンドとフランボワーズかな!これで6個だ」
依子と店主はフウ、とため息をつき、密かにクスリと笑いあった。
依子のそばに母の小夜子が近寄る。
『アマンドを選択したのは残念ね、依子。正解率は83.3%。
及第点とはいえ、あと一つ間違えたら66.7%で7割を切り、アウト。危なかったわね』
母がささやく。
「ふ、アウトも何も、どんな男もイチコロの組み合わせじゃなかったの?
彼にとってはお母さんのチョイスも最良ではなかったようね」
『男が自分で選ぶのと、女が堕とすために選ぶのは別よ』
「これでいいのよ。高等遊民・谷口巧コレクションなんだから。

『ど〜しても彼のを100%正解で、満点てことにしたいわけね』
「シッ!」
「藪下さん…どうかしたの?」
「なんでもありません」
依子は巧に答えると店主に向きなおす。
「来年のバレンタインには、この内容で購入しに来ますので、お願いいたします。
今日はシュークリームを2個購入します。」
「承知いたしました!ご予約、ありがとうございます」
店主は依子にウインクした。

依子がシュークリームの箱を受け取り挨拶をすると、巧が出口の扉を開けた。
依子がぶつからないように、手を伸ばし大きく開く。
「感謝申し上げます」
依子が小さく巧に言い、出たあと巧は店主に会釈して閉める。
ガラス扉の向こうで見つめあい、うなずく二人が見える。
「藪下先生、依子ちゃん、とても幸せそうですよ」
店主は腕を組んでスタスタと去って行く二人を見送ってつぶやいた。

終わり
0689名無しさん@ピンキー2016/02/10(水) 04:42:39.20ID:g88SUtSD
おおっ!新作がいっぱいで嬉しいです!感謝申し上げます!
一緒にお風呂に黄金比にバレンタインと、巧と依子らしくてニヤニヤしちゃいますw
もうすぐバレンタインですが、今年こそ依子が巧にチョコをちゃんと渡しているか楽しみですね。
朝ドラで依子のご先祖さまに似たキャラ見ると、本家デート続編が見たくなりますね。
0690名無しさん@ピンキー2016/02/10(水) 08:44:41.25ID:P0hVZMkz
>>689
ありがとうございます
突っ込みどころは多々ありますがお許しください

続編やSP2はあったとしても1年は先だろうし
無いものと思うようにしてます
でないとつらいw
0691名無しさん@ピンキー2016/02/11(木) 07:31:10.62ID:lG+N2qU+
エロもあるけど、キスがメイン
DTSJ卒業済

1/3
「谷口さん、キスには“上手なキス”というものがあるんですよ」
お茶を飲んでいた依子は唐突に切り出す。
「ああ…はい」
「さくらんぼの軸を口の中で結べる人は、キスのエキスパートだそうです」
「あ〜巷では、よく言いますね。あんなの関係ないですよ。結構簡単だし、みんなできるんでしょ」
巧は横目であきれたように言う。
「谷口さん、できるのですか?」
「昔、大学のゼミ仲間の飲み会でさせられましたよ。僕が一番に出来ちゃって、さんざんからかわれた」
「この、缶詰めのさくらんぼでやってみてください」
依子は数個の赤いさくらんぼが入った容器を出した。
「藪下さんまで僕をからかうんですか」
「一つだけです」
巧はしぶしぶ軸をちぎって口に入れる。
「まったく…………はい、できた」
手のひらにはくるりと結ばれた軸があった。
「あ…」
依子は目を見開く。
「藪下さんだってできるでしょ、これくらい」
三つ編みをぶんと振って依子は否定する。
「できませんよ。谷口さんが特殊なんです!
私も父もできませんでした。留美さん努さん宗太郎さん香織さん鷲尾さんも…」
「待てよ、皆にさせたのか?いつの間に…明日絶対聞かれるな、こりゃ…」
「谷口さんは才能をお持ちなんですね…知りませんでした!
その要領でディープキスをしてみませんか?
つまり、いつもより舌の運動量を増やしてみるんです」
依子の大胆な提案に、巧は当然渋い顔をする。
「よしてくれよ…そんな雰囲気でもないのに、やだよ」
0692名無しさん@ピンキー2016/02/11(木) 07:56:46.61ID:lG+N2qU+
2/3
「お願いです…」
「そ、そんな可愛い目をしてもダメです!なぜ今日はアヒル口じゃないんだ。
僕が軸を結んだ件は、皆には秘密ですよ?たまたまできるだけなんですから、ほんとにもう」
「あら?谷口さん、まつ毛にゴミが。目をつむって…」
「え?あ、はい……うっ!」
「…ん…」
依子は巧の唇に自分のそれを押し当てていた。
「んあっ、こ、こんな古典的な不意討ちは、卑怯だ…」
依子の肩を押さえて離し、巧は眉をひそめながらも赤くなる。
「あなたもそういう事、するじゃないですか」
「負けたよ…少しだけですよ。目を閉じててくださいね。恥ずかしいから…」
依子は目を閉じる。
巧は依子の眼鏡を外し、しばらくその口元を見つめていた。
そして迷いながらも、そっと唇を当てた。
依子がピクリと動いた。
歯の隙間から依子の柔らかな舌を舐める。
やがて覚悟を決めたように依子の頭を両手でつかみ、深く舌を入れた。
「……ん…ふ…」
上顎を舌でなぞられ、依子は肩を震わせる。
巧の舌は固く柔らかく、緩急をつけて依子の口内のあらゆる所を愛撫する。
また依子の舌を吸い、絡ませ、焦らすようになぞり…
依子は自分の口内の音を意識する。耳をふさぐように頭を抱えられているせいだ。
それが羞恥をあおり、依子の性感も徐々に高ぶる。
そこで唇が離された。
依子は思わず追いそうになる。
「……はあ…これでいいかな…下手くそかも知れないけど…」
「とんでもない…ぞくぞくして…
キスだけなのに、乳首も性器も触れられているかのようです」
「うっ…その二つの単語は無闇に口に出さない方がいいと思いますよ」
「とにかく、とても…気持ち良くて。あなたをいっぱい感じて…
あぁ、いつも以上に素敵でした」
0693名無しさん@ピンキー2016/02/11(木) 07:59:22.25ID:lG+N2qU+
3/3
依子は巧にすがりつく。熱に浮かされたように顔を見上げ、自分の唇を舐めた。
「してくださって、感謝申し上げます…あっ!」
「藪下さん…そのままで」
巧は依子の耳にキスをした。えり元を開くと、鎖骨にも舌を這わせる。
「あっ、キスは、く…口だけのつもりで…あんっ」
「無理だよ…きみのこんな声聞かされて…こんな表情見せられたら…」
「あ…今日は…これ以上は想定外なのでっ」
服のボタンを外し、下着も脱がせる間、依子はされるまま動けずにいた。
「僕の手、冷たくてごめんなさい」
巧も自分の服を脱ぐ。
「あの、あの…谷口さん」
依子は身をよじる。
「袖から手、抜いてください。逃げないで。
元はと言えば、きみがきっかけを作ったんでしょ?」
目をそらし背を向けようとする依子を巧は後ろから抱きしめ、胸を優しく揉みしだく。
「あ、あ…」
「したくない?」
「今さらそんな事を聞くなんて…したいに決まっています!」
「良かった。今日は、体じゅうに…キスをするよ?」
「許可をとる必要はありませんっ…お好きなように…して…ください…あ、あ」
話すうちにも背中を舌が這い、どんどん力が抜ける。
依子はそのまま、とろけるように巧に体を預けた。

終わり
0694名無しさん@ピンキー2016/02/11(木) 23:04:55.50ID:pY2vAOjC
おお!エロいエロいです〜!
巧は絶対にキスが上手いと思いますよね、なんでも人より器用で優秀でしたからw
キス描写でドキドキしました!
0695名無しさん@ピンキー2016/02/13(土) 07:55:10.18ID:wxSYYENn
>>694
感謝申し上げます
どんなにエロ書いても林檎キスには遠く及びませんが…
あれは本当エロかった
それでいてウブで清らかで、良かったなあ
0696名無しさん@ピンキー2016/02/16(火) 06:58:02.23ID:+d8AdXgF
エロなしですが投下
修善寺以降 まだDTSJ

1/3
久しぶりに結構飲んでしまった。
南米の珍しいビールを買ったとかで、うちに来ていた藪下さんに母がすすめたんだ。
「依子さん、いい飲みっぷり!巧もちょっとは付き合いなさいよ〜」
「昼間からよく飲むよなあ。まあ…少しなら」
ビールでも、それなりに飲めばそれなりに酔う。酔えば、気が大きくなる。
いつの間にか、僕は母に言われて藪下さんをある場所に案内する事になっていた。
「行ってらっしゃ〜い」
普段なら近所なんて誰に会うか知れないし、決して出歩かない。
しかし、今はそんな事はあまり気にならなかった。

行った先はそう大きくもない神社。
「谷口さんが幼少の頃からよく訪れたという神社はここですね」
「ガキの頃はかくれんぼしたりもしましたが…まあ、平凡な所です。
しかし変わらないなぁ」
十数年ぶりに来たけれど、ほとんど記憶のままだ。紅葉には早いし特色があるわけでもないので、人もいない。
二人で本殿に手を合わせ、適当に散策する。
「母が言っていた縁結びのお社はどこかな…あまり興味なかったからなあ…」
「こちらに案内板があるようですが…」
藪下さんは奥まった茂みに下がる板に近づく。
そっちは確か…
「あっ、藪下さん違います!」
「わっ」
ザザッと音がした。
あわてて駆け寄ると、彼女は砂利に足をとられたらしく、石垣の下に滑り落ちていた。
見覚えある古びた板には“足元注意”の文字が消えかかっている。
「藪下さん!大丈夫?」
僕は思わず飛び降りた。高さは二メートルほど。よろけはしたが、すぐに彼女に駆け寄った。
「谷口さん…」
藪下さんは膝をすりむいていた。僕は急いでハンカチを出し、傷に当てる。
ふと彼女を見ると…なぜか怒ってる!?
「え…藪下さん、こ、このハンカチはまだ今日は未使用ですから…」
「違います!あなたまで飛び降りてどうするんですか!」
「あ…そうか」
酔いがさめていった。僕は社務所へ助けを呼びに行くべきだったんだ。
「不覚でしたが…幸い怪我は軽い擦過傷のみです」
軽いっていうけど…痛そうだな。
周りは堅い灌木の茂みに囲まれ、無理に出ると怪我をしてしまう。
社務所は離れていて、叫んでもわかってもらえるか…
「確か夕方には見回りの人が来るけど…母に電話した方が早そうだ………あれ?出ないぞ」
0697名無しさん@ピンキー2016/02/16(火) 06:58:55.37ID:+d8AdXgF
2/3
「かなり飲酒されましたからね」
「じゃ、宗太郎…む、電源が入ってない」
「私が香織さんにかけてみます……あ、藪下です。用件は…」
連絡がついた様子に、とりあえず胸をなでおろす。

「来てくださるそうです」
「良かった…しかしこんな危険な箇所を放置するなよな」
「怪我がなければよじ登るのですが」
「だ、だめですよスカートの女性がそんな事しては」
「あなたは登れませんか」
「掴むところもないし…無理かも…」
今は大人しく香織を待とう。僕らは狭い地面に座った。
本当なら彼女の座る所にハンカチでも敷いてあげるべきだろうが、あいにく藪下さんに渡した一枚しかない。
僕はやはり格好悪いな。

「谷口さんのハンカチ…汚してしまい申し訳ありません」
「いいですよ。膝、大丈夫ですか?早く洗いたいですよね」
守ってあげられず婚約者として申し訳なく思う。
膝を押さえる彼女の手に、僕は手を重ねた。
「……山小屋の時のように、この状況も萌えるのですか?」
「そんなわけないでしょう!神様の目の前で罰当たりだよっ」

「巧く〜ん、依子さん!」
「おお香織だ!待ちかねた!ありがとう、恩に着るよ…」
「もう、巧くん。このハシゴは高いからね!依子さん怪我ない?」
「ありますがごく軽微です。香織さん、感謝申し上げます」

島田工務店の店先で藪下さんを手当てさせてもらった。とりあえず自宅に帰ることにする。
「本当に助かったよ…しかし、縁結びのお社ってのはどこだったんだろう」
「はァ?巧くん知らないの?あそこは縁結び神社だよ」
「え?だって初詣も受験の合格祈願の時もあそこだったぜ?学業成就とかじゃないのか」
「巧くんも鈍いけど、おばさんも適当だね〜」
「つまり私たちはもう既に参拝していたわけですか」
「そうなりますね…」
0698名無しさん@ピンキー2016/02/16(火) 07:00:09.61ID:+d8AdXgF
3/3
「さっき御守りも買ったしさ。ほら!」
「お、お前まっすぐ僕たちの所に来てくれたんじゃないのかよ!」
「怒んなって、巧くんにもあげるから。はい、紺色。依子さんはピンク!あたしは赤!」
「感謝申し上げます。代金をお支払いします」
藪下さんが財布を開く。僕もあわてて取り出した。

香織のスマホの着信が鳴った。
「あ〜鷲尾くん!ごめん、ちょいトラブったんだわ。すぐ行くから!」
「香織は鷲尾とデートか?すまなかったな」
「ちげーし!三代目のコンサートチケットもらったから誘っただけ。
鷲尾くん、付き合いいいからね〜」
「それにしちゃ、めかしこんで…それにその緑の御守りは鷲尾のだろ?」
「う、うるせぇよ!…見てんじゃねぇ!じゃあね、依子さんまたね。お大事に」
「感謝申し上げます。このお礼は近日中に」
「いいって〜バイバーイ」

帰り道。
「…藪下さん。なんか、いろいろすみませんでした」
「いえ。もとはと言えば、私が谷口さんの地元の神社に行きたいと言ったのが発端ですから」
「そうでしたっけ?」
「そうです。留美さんが、縁結びのご利益があると言ったので」
「…だけど、相手がこんな頼りない男ですみません」
「もとより頼り甲斐は期待していません」
「…そうですよね…はは…」
「でも…石垣から迷わず飛び降り、駆け寄ってくださったあなたは王子様のようでした」
「王子様ぁ?」
冠に白いタイツの絵が頭に浮かび、あわてて振り払う。
「浅はかな行動をつい非難してしまいましたが、とても嬉しかったです」
「そんな…」
僕と腕を組んだ彼女がこっちを向くと、顔がとても近くなる。
一度は抱こうともした彼女なのに、こうしていると無性に照れくさい。
ポケットの中の御守りを握りしめ、氏神様に今までの不信心をわびながら、僕はそっと願掛けをした。
(彼女と結婚出来ますように)
願いは叶えられるはずだ。

終わり
0699名無しさん@ピンキー2016/02/17(水) 05:58:50.21ID:X6bV0Q8B
エロは一応あるけどBまで
非DTSJ 慣れてない二人

1/3
「しますか?」
「…は、はい、しましょう」
藪下さんとの性行為は今夜でようやく4回目。

映画や小説に比べて現実の色恋沙汰なんてくだらない…
次元の低い、くそのような物だとずっと蹴飛ばしてきた。
しかし恋とは堕ちるかどうか、ではなく誰と堕ちるか、が重要だった。
藪下さんとのめくるめく愛欲の世界は僕の想像をはるかに越えていて…
まったく女とは神秘だと思い知らされた。

そして雰囲気が整わないと駄目な僕も、今夜はなんとか、ここまでこぎ着けた。
鼻や歯がぶつからないキスをし、狭いベッドに二人もぐって緊張する手で彼女のパジャマを脱がせ、僕も脱ぐ。
馬乗りになり藪下さんの艶やかな肌を見ると、この前の行為を思い出し、動悸が早くなる。
もう痛くないって言ってたっけ…
温かい彼女の中に入る快感は筆舌に尽くしがたい。
あの恥ずかしそうな顔、いい香りの髪、柔らかい肌、ワントーン高い声が今夜も…
やばい、ま…まだ早いぞ。

いつも僕なりに精一杯行為に及ぶが、彼女が満たされているか気にかかる。
非常に満足です、なんて言ってはくれるが…
受け入れる女性側の方が負担が大きいだろうに。
とにかく、まず藪下さんに気持ちよくなってもらおう。
と、思っていたら。
「谷口さん…胸に触ってください」
藪下さんはいきなり僕の手をとり彼女の裸の胸に押しつけた。
「うぉっ!ちょ、ちょっと!」
「んっ…こうしているうちに完全に勃起します。次に挿入ですね。
先日と同じく、可及的すみやかに前後に摩擦を…」
「ま、待ってください…大事なのは段取りじゃなくて…
どうしたらきみと僕がより心地よく愛しあえるかでしょ?」
「ですが、珍しくあなたがその気なのですから、効率は重視しないと」
0700名無しさん@ピンキー2016/02/17(水) 06:00:09.13ID:X6bV0Q8B
2/3
「確かにいつもきみに切ない思いをさせて、僕は最悪の恋人だ。
しかしきみは、僕がぼ、勃起したらすぐ挿入しろって言って…
きみがまだ乾いてたらいきなりローションを使おうとしたりする。
それがきみなりの思いやりだとしても、一方通行の行為なんて、そんなのは愛しあうとは言えない。
僕は、きみにちゃんと気持ちよくなって…ぬ…濡れて欲しいんです」
一気にぶちまけた僕は、せっかくの睦事になんて無粋だったんだろう。
けれど藪下さんはじっとそれを聞いてくれて、言った。
「では私を…気持ちよくしてください、谷口さん」
彼女は伏し目がちに恥じらい…小指の爪を噛んだ。
その姿は完成された絵画のようで…
「ああ…僕は…」
これに僕なんかが、本当に触れていいのか。愛する権利を享受していいなんて。
とても興奮した。
「僕は幸せな男だ…」
うっとりと口から出た言葉に、藪下さんはカッと赤面していた。
そして、これまでよりずっと自然に彼女を抱きしめることができた。

今日の僕はじっくりと藪下さんの反応を見ながら、首筋、胸…と指や唇を這わせた。
うんと喜んでほしい…つい時間をかけてしまう。
体を重ねあわせ、彼女の潤いを指で確かめる。
「あ、あ…これ、気持ちいいです…一段階、強めにしてください…」
「…えっと…こんなふうですか」
「あ、あぁ、ん…これですっ」
僕はにわかに学生時代に悪友が語り合っていた猥談を思い出し、霞んだ古い知識を掘り起こす。
「…だいぶ濡れてきましたね…あ、あの、ちょっと…足ひらいて」
「んっ」
藪下さんは僕が腿に手をかけると、とっさに閉じようとした。
0701名無しさん@ピンキー2016/02/17(水) 06:00:56.96ID:X6bV0Q8B
3/3
「あ、ごめんなさい。そりゃ恥ずかしい…ですよね」
「…いえ、単に反射運動が起こっただけで…あの、どうぞ。
あなたに見られるのは初めてでもありませんし、性行為に於いては当然の行いです」
…きっと彼女はちっとも平気じゃない。できるだけそっと…無理強いせずに。
「…じゃ…見ますね」
ここを剥くと、確か…
「くぅっ」
「…こんななんだ…あ、あの…失礼します」
ぷっくりとしたそこを、舌でそっとこねてみた。
「ああぁぁぁぁんっ!」
「!」
僕は藪下さんの口をあわてて枕でふさいだ。できるだけ声を殺して言う。
「なな、なんて声出すんですか!」
枕をそっと取り去る。青地にNOの文字が目に入った。
「だって…あ、あなたが…予告も通達もなく、あんなこと…」
「そんなに感じたの?…すみません。まさかこれほどとは…ごめん」
僕は藪下さんを抱きしめて髪を撫でた。
ピンポーン、ドンドン
「藪下さーん!どうかされましたか」
玄関の向こうから知らない男の声が聞こえる。
「恐らく苦情ですね。私が出ます…あっ」
藪下さんは足に力が入らないようだ。
「僕が出ます。きみはここにいて」
僕は急いでパジャマを着ると、玄関へ行きドアを開けた。
Tシャツにスウェットの男が立っていた。
向かいのドアが開き、住人の女性がネグリジェでこちらを覗きこんでいる。
「あっ…なんか、すごい声が聞こえたので…女性の一人暮らしと聞いたから、強盗とかかと…」
男は僕がいたのを見て驚いたみたいだった。
「ああ…すみません。あの、そう!虫ですよ。虫がいたんです。それで彼女がビックリして」
「は、は〜、虫ですか。なるほど」
「そうですよ!もう追い払いました。ごめんなさい、お騒がせしました」
男は僕をしげしげと眺めると、ニッと笑い、うなずいた。
「虫だってさ。じゃ、お休みなさい。お疲れ様です」
後ろの女性と僕に話しかけながら、男は隣室のドアに消えて行った。
僕もドアを閉じる。
「お疲れ様って何だよ…」
藪下さんはブランケットを被ってベッドで待っていたが、僕を見て言った。
「谷口さん。パジャマのボタンを二つ、かけ違えています。それに私のズボンを履いています」
「ええっ?…あっ!」
…僕はがっくりとうなだれた。
雰囲気を取り戻すのには、少し時間がかかりそうだ。

終わり
0702名無しさん@ピンキー2016/02/18(木) 06:31:44.31ID:q5+UrtHc
エロなし しんみり晩秋のデート


「『げに我は うらぶれて ここかしこ さだめなく飛び散ろう落ち葉かな』…」

谷口さんは公園の舞い散る枯れ葉を眺めて言った。
聞こえるか聞こえないか、ほどの声。
「悲観することはありません。人間にはバイオリズムというものがあります。今はだめでも…」
慰めようとした私に、彼はフッと微笑んだ。
「ヴェルレーヌの詩ですよ。秋のもの悲しさを歌っているんです」
「秋のもの悲しさ…」
「枯れ葉が散るのを見ると、心もふさぐ気がします」
「それは日照時間が短くなったこと、または気温が低くなったことによるセロトニン不足や自律神経の不調でしょう」
「…藪下さんには感傷やメランコリーなんて無縁だよな」
谷口さんは前を向いたまま、なんだか不満そうに口を曲げる。
「谷口さん…体調不良はありませんか?」
尋ねると彼は目をパチリとまばたき、優しくこちらを見た。
「大丈夫ですよ」
二人で組んでいる腕の上に、空いた手を重ねてきた。私は言う。
「ビタミンB群が自律神経に良く働くそうです。
今日は谷口さんも官舎で夕食ですから、例外的に主菜のメニューを変更しましょう。
相乗効果のある豚肉とニラなどを野菜炒めにすると良いですね。私も手伝います」
「…そうしようか。ありがとうございます」
薄暗く、人けの少なくなった公園の散歩道を寄り添って歩く。
彼の歩みがだんだんと遅くなり、立ち止まると腕をそっとゆるめた。
枯れ葉がはらはらと舞う。
赤い葉の色と彼の濃紺のコートの色は対照色。
彼の後ろの木立からは葉が散り続ける。私はそれを見つめて誰にともなくつぶやく。
「夏はあんなに緑豊かに生い茂っていたのに、いつの間にかクロロフィルが失われて…」
消えゆくものに、そら恐ろしい気持ちになる。
針のように鋭いこずえの木々を見上げて思わず彼に身を寄せる。

谷口さんは私の肩をギュッと抱いた。顔を見ると、彼も私を見ている。
「私に、キスを…?」
するんですか、の言葉は彼の唇に飲まれた。
怖かった気持ちが温かいものに置換される。
誰かのため息が聞こえたような気がしたけれど、それは木立を吹き抜ける風の音だった。

終わり
0703名無しさん@ピンキー2016/02/20(土) 01:18:38.93ID:EdDvGSEU
>>702の巧視点 同じ話です
自分的に両思い成分がもの足りず


藪下さんと腕を組んで落ち葉の敷きつめられた公園を歩く。
僕は好きな詩を思い出し、最後の一節は思わず口ずさんでいた。
「悲観することはありません。人間にはバイオリズムというものがあります…」
藪下さんは唐突に話しだした。
どうやら、詩の言葉を文字どおり受け取ったようだ。彼女らしいや、とつい小さく笑ってしまう。
「ヴェルレーヌの詩ですよ。秋のもの悲しさを歌っているんです」
「秋のもの悲しさ…」
藪下さんは思いもよらなかった、という風情だ。
「枯れ葉が散るのを見ると、心もふさぐ気がします」
「それは日照時間が短くなったこと、または気温が低くなったことによるセロトニン不足や自律神経の不調でしょう」
彼女は決して間違っていないんだが、興をそがれて僕はついむくれた。
「谷口さん…体調不良はありませんか?」
怪訝にのぞきこむ彼女にちょっと驚いた。本気で心配してくれてるのか。
「大丈夫ですよ」
僕の腕をつかむ藪下さんの冷たい指に、ポケットから出した手を重ねた。
「ビタミンB群が自律神経に良く働くそうです」
彼女が自分の知識を僕のためにまとめあげ、晩飯のルールを大きく変えて提案してきた。
「私も手伝います」
「…そうしようか。ありがとうございます」
歩きながら、彼女の優しさを思う。
彼女を生涯の伴侶として、こうして同じ道を歩くことになるんだ…
いとおしく思い立ち止まった僕は、藪下さんを見る。
けれどなぜか彼女の視線は僕を越え、遠くにあった。
「夏はあんなに緑豊かに生い茂っていたのに、いつの間にかクロロフィルが失われて…」
彼女は言うが、僕に語ったわけではないようだ。
視線の先には、風に舞う赤い枯れ葉と、裸になっていく並木。
怯えているの…?
彼女に目を戻すと、木々を見つめたまま、僕の胸に手を当てすがってきた。
日ごろ彼女がまとう数式や物理法則の衣。
それが風に剥ぎ取られ庇護を失ったかのような、らしくない姿だった。

彼女の肩を抱くと、ようやく僕を見た。
「私に、キスを…?」
聞かれた時にはもう唇を重ねていた。
怖がらないで。セロトニンや自律神経のせいだよ。
寒いときは温めあおう。不安なときは支えあおう。
僕はいつだってきみの隣にいる。

終わり
0704名無しさん@ピンキー2016/02/23(火) 01:28:10.56ID:eSdgSLo1
エロですが前戯のみ


「ああ…藪下さん…藪下さん」
彼の重みを体に受けて、柔らかな声を目を閉じて聞く。
谷口さんの声が好き。その周波数が耳に心地いい。
耳や頬に唇が当たる。は…は…と彼の吐息の温度と湿度が感じられる。
彼のあごにキスをすると、髭が朝よりちょっとざらりとした。
次第に彼の手が腰に伸びてくる。
今、要望を出しておくべきかしら…
「谷口さん、あの…」
「何ですか…」
彼は私の肩に顔を埋め、くぐもった声で返事をする。
「キスマークを付けてみて欲しいです」
私の言葉に彼は顔を上げる。
「え、キスマーク?いいんだけど…うーん…ちょっと…」
「ダメなんですか?」
「要するに吸って鬱血させるわけだからね。きみの肌を痛めるようなことはなぁ…」
「できないという事ですね」
「…情報の出どころは、また会社の人たちですか?」
図星をつかれて私は口ごもる。
前髪が触れあいそうな距離で彼はフッと笑う。
「藪下さんて結構、世俗に毒されてるね」
「…軽蔑しますか?」
「いえ…可愛いです」
そう言って、また愛撫が始まった。私を動揺させてからかっているの?
谷口さんの頭が胸に移動する…髪の匂いも好き。
彼が官舎に持参するシャンプーの香りと、彼の匂いが混じりあって…
「あ、あっ…」
乳首に与えられる刺激に思わず体をよじる。
けれど今、彼の手は私の手のひらをしっかりとつかんでいて逃がしてくれない。
呼吸が乱れ、力が抜ける。
「た、谷口…さん…離してくだ…」
「毒を抜きましょう」
彼は乳房の下側に吸い付いた。ぴりっとした痛みが走る。
「あっ」
チュッと彼の唇が離れる。
手を解放され見てみると、ちょっと見えづらい場所に小さなキスマークができていた。
「谷口さん…」
「ねえ、キスマークってさ。この人は自分のもの、という主張の意味があるんだよね、確か。
だけど、僕の心はもうすみずみまで、きみにあげたでしょ?
そして、きみの心もすみずみまで僕にくれた…
だから必要ないよ、僕たちには」
「は、はい…」
そうとしか返事ができない。反証の必要もない。私は何度も首を縦にふる。
谷口さんもそんな私を見て恥ずかしそうにうなずく。
そしてキスマークをちろっと舐めると、また私に覆い被さった。

終わり
0705名無しさん@ピンキー2016/02/27(土) 01:14:16.15ID:auNaTAVA
エロなし 巧誕生日ネタ
りんご以降キスしてない設定

1/2
私の部屋で谷口さんと向かい合い、あの時のように正座している。
今からキスをする、かも知れない…
彼は私の唇をじっと見つめている。のどが何度もグッと鳴っている。
「あ、あの…まず改めてお礼を言います」
「はい」
彼は私の作成したファイルブックを手にした。
「誕生日プレゼント、本当にありがとうございました。
忙しいのに、こんなに素晴らしい物を作ってくれて…」
今年度発売の文芸書籍およびDVD化の映画をリストにした物。
自分なりに時間をかけ、心を込めた自信作だ。
渡した時の彼の反応は期待以上だった。
 『おお…すごい…これは一目瞭然だ。あらすじに目次に索引まで付いている。
しかも情報の追加にも対応してる…素晴らしいよ。ありがとう…』

「こんなにしてもらえるだけの事を、僕はできているのかな」
「ご安心を。私がやりたい事をしたのです。
彼氏の誕生日にプレゼントをするのはごく自然なことです」
「僕はきみにろくな物をあげたことがないのに」
「肩たたき券は大変重宝しています」
「あれは…どんどん使ってください。
しかしきみの誕生日も多分たいした事はできないので、期待しないでくださいね」
彼はハハッ、と笑い、また思いつめたような顔になった。
私が思いきってにじり寄ると、ビクッとわずかに震えながらも、逃げはしなかった。
業を煮やして尋ねてみる。
「キスしてくださるのですか?」
はっと彼は私を見る。
「いや、あの…僕は」
―――
しばらく前。梅雨が明けた頃のある日のデート。谷口さんとベンチで海を見ていたとき。
「…恋なんて、するべきじゃないと思うよ」
彼はいきなり切り出した。
「恋とは、この人さえいれば自分なんてどうなってもいい…と思わせる恐ろしい魔法だ」
あの日、縁側で語らった事を言ってるのかしら。
「はい…確かに自分が自分でなくなり、身も心も捧げたくなる衝動にかられます」
私も言った。
「そうだよ。それはアイデンティティの崩壊と表裏一体で…
キスはその入り口だ。
きみの誕生日に、僕たちは…キスをしただろ。
けれど、恋の館に入るのは思いとどまった。
引き返すなら、今。そういう声が聞こえた気がしたよ」
0706名無しさん@ピンキー2016/02/27(土) 01:15:44.12ID:auNaTAVA
2/2
私たちはあの時、恋愛感情を持たない交際を再開することで意見が一致したのだった。
「恋愛に踏み込むことができるのは、そのアイデンティティを保てる、ゆるぎない柱を持つ者だけだ。
こんな僕なんかには到底行き着けないよ…」
彼は私の手を包むように固く握りながら、そう言った。
なぜ私にそんな話をしたのかはわからない。
何かもっと言いたいことがあったのかも知れない。
ただ、彼の目は優しかった。
―――
「僕は…その」
谷口さんがこうなると、本心を聞き出すのは時間がかかる。
私は長期戦を覚悟した。足を崩して斜めに座り、スカートの裾を整えた。
そんな私の様子を彼はじっと見て、膝の握りこぶしに力を入れる。
緊張をとかなくては。
「お茶をいれますね」
「待って」
立ち上がろうとした時、彼も慌てて立ち上がった。
彼の言葉の続きを待つけれど、何もなく…私たちは立ち尽くす。
「ほんとに…ありがとう。感謝しています。じゃあ、また…」
谷口さんは帽子を手にし、ファイルブックの入った紙袋を腕にさげると、玄関に向かった。
「谷口さん」
彼は靴を履き、帽子を被る。
「……藪下さん」
不意に彼は私の両肩を強くつかみ、まっすぐ見つめてきた。
唇が届く距離ではない。揺れる瞳は、何も語らない。
私をどうするの?
けれど谷口さんはそのままそっと手を離した。
離す時、謝るかのようにつかんでいた肩を撫でて。
「お休み。また電話します」
ドアが閉まり、階段をかけ下りる音が小さくなっていく。
官舎の門を閉めるカシャンという音までかすかに聞こえた。
その間、体が全く動かず…
別にキスされたわけでもないのに…なぜかクラクラする。
母が私をのぞきこむ。
「官能を覚えるのは、キスや性行為だけじゃないわよ。
ふふ、すっかりやられちゃって…彼にちょっとの勇気があったら、どうなってたかしら?」
「どうもしないわ。あの人の童貞記録も無事更新よ。それも今さらだし」
「でも、今日の彼はちょっとドアをノックしてみたんじゃない?」
「比喩が遠回し過ぎて、理解しがたいわ。私はプレゼントを喜んでもらえただけで満足よ」
「はいはい」
今日の母は、私がため息とともに軽く手をひるがえしただけで消えた。

終わり
0707名無しさん@ピンキー2016/02/27(土) 01:19:06.35ID:auNaTAVA
エロ いきなり挿入から

1/2
もう良いだろうか。藪下さんの熟れた表情、十分な潤い。
「入れます…ね」
限界が近い僕自身に手を添え、彼女の入り口を探る。
「入れるのですね…」
藪下さんは、うるんだ目をぱっちり開き、凝視してきた。
「藪下さん…恥ずかしいからあまり見ないでくださいよ」
「いつも無我夢中のうちに挿入されますから、時には確認が必要かと…
けれど眼鏡がないとやはり焦点が合いづらいですね。
もう少し体を起こさせてもらってもいいですか…あ、待って」
「ごめん、もう…」
「あ…あっ!あぁんっ!」
たまらない快感の波…
彼女の体を半分に折りたたんでのし掛かり、シーツに広がる髪を振り乱すさまを見下ろす。
温かくぬるついたその中で僕は行き来を繰り返し、卑猥な音をたてる。
――僕はもしかして、ひどい事をしているんじゃないか?
彼女に無理な体勢を強いて、あらがわせて…
だけど。
「はぁんっ…いいっ…いいです…」
「気持ちいい?…藪下さん…」
「はい、あぁっ…もっと欲しい…です」
こんなに良がって。キスをせがんで。締めつけて…
「僕で良ければ、いくらでも…」
「ああ、ああ、谷口さんがっ…欲しいですっ」
「あげます…きみに」
彼女の欲しがる全てをあげる。いいんだよね?僕で。
「突いてください、ああもっと、んっ!」
「いって…藪下さん」
彼女の背中が反り、中が震えるように締まってくる。
腕が僕の肩を強く抱き、膝が脇腹をぎゅうっとはさむ。
0708名無しさん@ピンキー2016/02/27(土) 01:19:53.59ID:auNaTAVA
2/2
ひっきりなしに発する彼女のみだらな言葉も、僕の情欲をあおりたてて…
獣なら子を成すためのみの行為。
人間にとってはそれに加えて濃厚なコミュニケーションを交わす手段でもある。
繊細な部分を触れあわせて信頼を固め、愛をはぐくみ、ふたり幸福感に満たされる。

「谷口さん…本日は…これにて…終了ですね…」
「はっ、ぶち壊すなあ…きみは…」
「男性は射精すると脱力し、性欲も急激に失われるそうじゃないですか」
「どこの情報だよ。余韻を楽しみたい男もいるんです。例えば、ここに」
「そうなんですね」
「きみは予習や事前調査のし過ぎだよ。もっと僕そのものを見てください。
きみを抱いていい男は僕だけなんだから」
「……」
藪下さんは突然無言になった。
「ん?」
「しゃあしゃあと、あなたはなんという恥ずかしいセリフを…」
「僕、変なこと言いましたか?」
「なんて鈍感な!困った人ですね」
「な、何だよ。きみにそんな風に言われる筋合いはないよ!」
応酬が始まってしまった。なんで彼女はこんなに赤くなってるんだ。
藪下さんに言い返しながら、さっき自分が何を言ったか思いだそうとする。
だが、まだちょっと冷静になれない。

終わり
0710名無しさん@ピンキー2016/02/28(日) 05:29:30.82ID:LGVDoVBh
>>709
ありがとうございます

書きたいこともだいぶ書いたなぁ
まだありますがw

SP再放送してくれたらいいのにな
また雑談とか新しく依子x巧を好きな方が来るだろうに
0711名無しさん@ピンキー2016/02/28(日) 05:34:32.84ID:LGVDoVBh
エロなし ちょっぴりひな祭りネタ
9話の電話シーン見たら書きたくなって

―2015年2月19日依子実家―
「おう、依子、よく来たね。最近忙しそうだったけど大丈夫か?」
「今日は雨水だから来たのよ」
「うすい?ああ、二十四節季のか」
「この日に雛人形を飾ると良い結婚ができるのよ」
「そうか…うん、まあ…色々あったが鷲尾くんとうまくいきそうじゃないか」
「…そうね。では飾るわ」

―同日官舎にて電話―
「…というわけで今日は鷲尾さんとのデートは短縮し、父の所に寄りました。
しかし、良い結婚のためには致し方ありません」
「ふむ、縁起をかつぐのも士気をあげるためには良しですよ。鷲尾くんにも事情を伝えたかい?」
「あっ…失念していました。単に用事がある、としか」
「それでデートを切り上げてきたのか?そりゃ駄目だ、不実に過ぎる」
「確かにあなたの言うとおりです…今夜は遅いので…明日…鷲尾さんにお詫びしてお伝えします」
「その方がいい。今後の二人のためになる事なら、なおさらだよ。
じゃあ…もう電話はしないから」
「はい。私もです。では」

―同年8月16日墓地―
「思えばあの時、あなたの中には迷いがあったのかもね」
「お母さんには関係ない。もう過去のことだわ。検証するだけ不毛」
「しかし遠路はるばる墓参りに来てくれるなんて、殊勝な高等遊民ね」
「お父さんに、行くと約束してしまったからよ」
「そうして無理を押してくれるのも、あなたを大切に思うからじゃないかしら?」
「彼と私はそういう関係じゃないわ…」
「好きなんでしょ?」
「好ましいのは確かよ。でも恋愛関係ではない」
「どうせ結婚するなら言ってみたらいいのに。
『i<3u』って。大学で流行ったんでしょ。
言わずもがな『<3』はハートの形=love、を模してるのよねっ」
「くどい!シッ!」
「…藪下さん?早く行きましょうよ。暑いなぁ…ああ、やだやだ…」

終わり
0712名無しさん@ピンキー2016/03/01(火) 06:53:20.71ID:ONJYNgWf
後半エロ 半同棲 非DTSJ
仲直りH

1/2
依子と巧の言い争う声は、だんだん興奮の度合いを増していく。
掃除をしなかった巧を、依子が責めているのだ。
「もっと早い時間から取りかかればいいでしょうが!」
「仕方ないだろ!このDVDは今日、出がけにやっと届いたんだよ。
届いたら見たくなっちゃうのが人情ってもんだろ?」
「そんな人情は契約に存在しません!」
「はちゃめちゃだな!掃除なんて明日君の出勤を見送ってからやれば文句ないでしょう」
「じゃあ明日の分の掃除はどうなるんです。そうやって徐々に堕落して、しわ寄せがくるんですよ」
依子は巧に詰め寄る。
どう考えてもさぼった巧の分が悪い。
けれど、あとずさりつつ巧にも言いたいことはあった。
「新しい契約では、僕の趣味に配慮してフレキシブルに対応してくれる事になったじゃないか」
「う…ですが原則として映画は週2回で…
しかもまだ半同棲ですから、ご自宅でも見て…」
「原則、だろ?性行為だって週2回って言いながら、1回の時も3回の時も…」
二人の言葉が止まった。瞬時に脳裏に浮かぶのは、前回のお互いの恥態。
勢いを失い、ためらった末、依子が先に口を開く。
「映画と性行為を同列には…」
巧が遮る。
「と、当然だ。今のは単なる言葉のあやだ」
「けれどあなたの高等遊民としての立場を尊重すると言ったのは私ですね…今回は譲りましょう」
しおらしく依子は言う。巧はそれを見てはっとした。
「あ…ありがとう。なんか、むきになってしまって…すみません」
「一緒に暮らすという事は、お互いの価値観の溝を埋め認めあう事だと父も言っていました。
つまり譲歩が重要です」
依子は穏やかに巧を見る。
「同感です。ねえ藪下さん…この体勢…既視感がありますね」
さっき詰め寄った際にクローゼットまで追い詰めた巧を、依子が片腕で閉じ込めている。
「あ、あなたと初めて性行為をしようと企画した日の事ですか」
巧はフフ、と笑う。
「あの日のきみは怖かったなぁ。すごい迫力で、今みたいな色っぽい顔じゃなくてさ」
「からかわないでください」
依子は腕を壁から離して遠ざかろうとした。
その手首を巧はとらえる。
0713名無しさん@ピンキー2016/03/01(火) 06:54:22.26ID:ONJYNgWf
2/2
「あの時きみは、何しようと思ってたの?」
「……」
依子が壁ぎわの巧の顔をじっと見る。そのまま近づき…唇を合わせる。
二人は目を閉じてしばらく動かず…やがて依子はかすかに音をたてて唇を離した。
「…Aです」
「…それから?」
巧がいたずらっぽく尋ねる。
「ご存じでしょう。Bですね」
巧の体を壁に押しつけて、依子は胸と腰をすりつける。
手で巧の中心部をさすりながら、その耳を甘く噛む。
「う…」
巧も依子の体をかき抱き、スカートやブラウスをたくしあげて下着に手を入れる。
「んんっ、谷口さん…すぐそこにベッドがあるというのに、破廉恥ですね」
「僕にとっては遠いよ」
「あっ」
巧は依子の手をとり、崩れるように引き倒す。
「そして何だっけ?」
「そしてC…です」
依子は巧を仰向けにさせ、またがる。
そのまま服を脱ぎ始めると、巧も横たわったまま自分の服に手をかけた。

「すごい音…藪下さん」
「あぁ、あぁっ」
巧の上で依子は腰を揺らす。こすれ合う部分は、依子の動きとともに濡れた音をたてる。
「うう、とってもいいよ…大丈夫?」
「したかったんです、あの時…あなたと、こうしたくて…
でもっ、わからなくて…いろんな事が」
「…藪下さん…」
巧も下から突き上げ始める。
「きゃ…あぁっ、あっ!」
「僕もあの時は逃げてしまったけど…」
一度巧は抜き去ると起き上がり、今度は依子を抱き締めるように押し倒し、仰向けにさせる。
「谷口さん」
「ちょっとだけ腰、上げて…」
また挿入した。
「はぁ、あぁん」
「きみがこんなに素敵だなんて…まだよく知らなかったんだもの…」

翌朝。
「谷口さん、起床してください!」
「ううん…何ですか…まだ5時半じゃないですか」
「昨日しそこねた掃除をしますよ!私も一緒にやります」
「ええ?こんな朝っぱらから掃除機なんてかけたら、近所迷惑ですよ」
「ほうきとちり取り、雑巾です。はい!さあ、起床〜」
「くそ…譲歩とか言ってたくせに…修行僧になった気分だよ」
「昨夜以上に、頑張りましょうね」
「はは…仕方ない、やるか…」

終わり
0714名無しさん@ピンキー2016/03/03(木) 09:23:12.49ID:sPCUsvqs
素薔薇しい!!
0715名無しさん@ピンキー2016/03/04(金) 08:28:07.65ID:rIOjEsZR
>>714
感謝申し上げます
薔薇いただきましたw

自分の趣味嗜好全開ですみません
0716名無しさん@ピンキー2016/03/04(金) 20:57:57.42ID:k7ibBdJZ
いつもいつも感謝申し上げます!
デート続編があれば、こんな甘い二人がみたいですね!
0717名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 08:20:44.80ID:RzYZQnOu
>>716
ありがとうございます
9話の電話シーンみたいな、そうは見えないけど実はラブラブ、という二人のセリフの応酬が見たいです
自分で書くのは無理だし
0718名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 08:23:03.39ID:RzYZQnOu
エロなし おふざけです
半同棲 一応非DTSJ
薔薇の話書きたくなりましたw すみません

1/2
「ねー信じられないでしょ!」
「マジで?やだ〜」
「困るよねえ、好きじゃない男に花なんか贈られても」
昼休みの休憩室。依子の耳にはいつもの騒がしい3人の声が聞こえる。
なるほどと思うことも、なぜそんな風に、と思うこともある。
今日はどちらでもなかった。
(そんなものなのかしら)
巧の作ってくれた四角くない弁当を温かい気持ちで食べながら、依子は思った。

翌日は土曜日。
依子はトレーニングにシャワー、朝食も終えて部屋の掃除をしていた。
「夕方に谷口さんが来るまで、久しぶりにバスろうかしら。どの路線に…」
ピンポン、とチャイムが鳴る。
「?」
依子がドアを開けると、目の前いっぱいに深紅のバラが広がった。
ふわっと上品な香りがただよう。
「なっ…!」
「藪下さん、おはようございます。良かった…まだ在宅でしたね」
巧が腕いっぱいに赤いバラを抱えている。
新聞紙に包んでいただろうそれは、崩れてこぼれ落ちそうだ。
「これは一体…」
「すみません、ドアノブに手が届かなくて。お邪魔します…」
依子は巧を中に入れる。
「何か、花器とかありますか?」
「これだけの物となると…防災用の三角バケツならあります」
「しまらないなぁ…」
「突然来ておいて、なんなんです」

依子はバラをバケツに入れた。巧はほっと息をつき、脱いだ上着をダイニングの椅子に掛ける。
「すみません。うちの庭のバラがたくさん咲いたんですが。
藪下さんに綺麗なうちに持ってけって、母がたくさん切っちゃって…
『リチャード・ギアも最敬礼よ〜』なんつって。
馬鹿みたいだろ。まったく、いい年して恋愛ドラマの見すぎなんだよ」
「別に午後でもいいでしょう」
「さすがに恥ずかしいよ。朝の方がバスの人が少ないんだ。
この数だし新聞紙にくるんでも大変だった」
「乗客にご迷惑だったんじゃ…」
「すいていたよ。回数券が出せなくて、知らないばあさんに手伝ってもらったけどね。
お礼に何本か取られた。ちゃっかりしたばあさんだ」
「なるほど。事情はわかりました」
「やはり迷惑でしたか、やめときゃ良かったな」
0719名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 08:26:17.76ID:RzYZQnOu
2/2
依子は昨日聞いた会話を思い出す。
「はい。困ります。好きな男性からであっても…」
「え?ああ…ご、ごめんなさい。女性に花なんか渡すの初めてで、迷惑もかえりみず」
「私も初めてです…男性に花なんていただくのは」
依子はいとおしげにバラに顔を寄せる。
「いい香りです。留美さんに感謝申し上げます、とお伝えください」
「うん。ほんとごめん」
「嬉しいので、謝らなくていいです。
困ると言っても恥ずかしくて困る、という意味です」
「そ、そうか。なら良かった。
そこに立ってるとバケツが隠れてバラに包まれているように見えるよ。
うん…まるで少女漫画みたいだね」
「?」
「…なんだかキスがしたくなりました」
「谷口さん…?」
「いい?」
「は、はい」
巧はゆっくりと依子を抱き締め、顔を少し傾けて依子に唇を重ねる。
依子が薄く目を開いていると、目を閉じている巧の穏やかな顔が視界を占める。
巧は依子の背中や髪を撫でていたが、徐々にその力は強くなってきた。
「藪下さん…」
「んっ…」
いつの間にかキスは深くなり、舌を絡めて吐息が荒くなる。
頬まで舐めんばかりの激しいキス。巧の手が依子のジャージの裾をめくる…
そこで巧は我に返ったように言った。
「正統派少女漫画なら、ここまでだなあ…あまりにただれた雰囲気はそぐわない…」
「は?!」
依子は巧を睨みつける。巧は自分の失態に気づき、顔を凍らせた。
「あ、いや、今のは独り言ですよ、きみにバラがよく似合うもので…
つい、触れちゃいけないような気分になって…ごめんなさい」
「人をあおるだけあおっておいて、漫画ではここまで…ですって?」
「すみません、ちゃんと続きはします」
「バカ野郎〜!高等遊民〜!」
平身低頭謝る巧に、依子は彼の上着をつかんでバフバフと叩きつけた。

終わり
0720名無しさん@ピンキー2016/03/05(土) 11:55:43.63ID:nH+jYi80
うおー巧依子が可愛いです!
巧ならひそかにプリティウーマンに憧れてそうですよね!
宗太郎のトラックの荷台に乗って薔薇掲げながら登場する巧を想像したら噴きましたw
0721名無しさん@ピンキー2016/03/08(火) 08:14:34.18ID:pWnffzl6
>>720
ありがとうございます
花束をプレゼントする映画が他に思いつきませんでしたw
巧ならいろいろ知っていそうだ
0722名無しさん@ピンキー2016/03/09(水) 01:25:21.98ID:KK7ZAgM7
後半エロあり 半同棲未婚
ホワイトデー

1/2
3月14日(月)官舎。
「お帰り!藪下さん」
ドアを開けると谷口さんが満面の笑みで迎えてくれた。
部屋には、砂糖とバターに由来する甘い香りが換気しきれず充満している。
「成功したようですね」
私も笑顔になる。

「三度目の正直だ。間に合わなかったらどうしようかと思った」
食事をしながら彼は今日の首尾を嬉しそうに報告してくる。
しばらく前からホワイトデーには私にクッキーを作ってみるんだと、試作を重ねていたから…
彼は手際よく後片付けをし、今日のお茶を淹れてくれた。蒸らし具合も上々だ。
一口飲んで私は言った。
「おいしいです」
「そのセリフ、もう一回言ってもらうよ」
彼は得意げにフフンと鼻を鳴らす。
そしてオレンジのリボンをかけた、茶色い紙袋を私の前に出した。
「…藪下さん。いつもありがとうございます。先月のお返しです」
「こちらこそ感謝申し上げます。慎んで頂戴します。開けますよ?」
「是非に」

「…おいしいです」
「よし!」
彼は拳を握りポーズを決めた。
彼の焼いた市松模様のクッキーは、味、固さ、そして焼き加減とも十分合格点。
「形もあなたなりに整っていますし、オーブンの癖もちゃんと把握していますね」
「2回失敗したが、もう焦がさないよ。何度も使わせてくれてありがとう」
「あなたの努力の賜物です。結果を出す、ということは素晴らしい」
「やけに褒めるね。くすぐったいな。ああ、さて、本でも読むか」
彼は自分のスペースから「泉鏡花全集」と書かれた本を一冊引き抜き、うつぶせに寝ころがった。
私はそんな彼の姿を見ていた。
やがて谷口さんが足をゆらゆらと規則的に揺らし始め、私はそのかかとを捕まえて遊ぶ。
しばらくして彼は本に栞を挟んで起き上がった。
「風呂、用意しようか?」
私はぎくりとする。
「まだ早いじゃありませんか」
「…ふうん」
また本を開く。
私はルービックキューブとストップウォッチを手に取り、カチャカチャともてあそぶ。
数分もすれば飽きてしまい、谷口さんが平均何分でページをめくるか、しばらく眺めていた。
谷口さんがチラリと私を見る。
再び本に栞を挟むと立ち上がった。
「やっぱり風呂いれてきます」
0723名無しさん@ピンキー2016/03/09(水) 01:27:02.91ID:KK7ZAgM7
2/2
彼に先に入ってもらい、私も浴室を出る。
彼はパジャマ姿で膝を抱え、さっきの本をテーブルに置いて読んでいた。
あまりページは進んでいない。
私はもう耐えられなかった。
「谷口さん…私と性行…」
「藪下さん」
私の言葉を彼が遮ってきた。そのまま少しかすれた声で続ける。
「きみに言わせてすみません。ベッドに行こう」

着ていた物は全て裏返しになる勢いで脱がされた。
彼は言った。
「藪下さん…僕の事をいつも思ってくれてありがとう」
「思うパーセンテージは状況によって異なりますが…」
私は思わず答える。
「無粋だな。わかってるよ」
彼は笑っていた。
いつも重ね着をしている彼が、何もまとわずその肩をさらけ出す姿に動悸が起こる。
「私…心臓が…」
「僕もです」
谷口さんが私の手を掴み、彼の胸に当てる。
いつもより鼓動を感じた。
「あなたも…」
彼の手を取り、その中指を私は口に含む。
彼は少し震えたようだったが、私の動向を見ている。
私は彼の顔を見ながら口内でちろちろとねぶり、しばらくしてぷちゅりと取り出した。
「藪下さん、そんなことをして…いけない人ですね」
谷口さんは潤んだ目でキスをしてきた。
そしてのどから胸、さらにまっすぐに舌を這わせていく。
「あ、ああ、ああっ」
密度の高い前戯のすえに息を荒くついて求めて来られ、幸せに包まれる。
ようやく挿入に至るけれど、なお彼は私を愛撫し続ける。
お互いに大胆になれるのは、今日、という係数が二人とも等しいから?
初めて二人で過ごすホワイトデーは、白とは程遠く、ストロンチウムが反応するような炎色に燃え上がる。


終わり
0724名無しさん@ピンキー2016/03/12(土) 04:28:41.36ID:Sf71u1ot
依子誕生日ネタ 未婚 非DTSJ
Hするけど描写なし

1/3
官舎にて。
依子はプリントアウトした3枚の資料をテーブルに並べた。
「あの…藪下さん、もう一度説明してくれますか?」
「ですから、私の誕生日祝いにあなたと日帰り旅行をしますので、この中から行き先を1つ選んでください」
「きみの誕生日祝いに?」
「先ほどもそう言いました」
「だってなんかおかしくないですか。僕がきみに提示するならまだしも…」
「あなたは無職・無収入でしょう。
費用負担する私が精査し、あなたが選ぶ事で私へのプレゼントと見なします」
「なんか違うけど、まあ何を言っても無駄か。わかりましたよ」
「婚前旅行は一応済ませましたので、日帰り旅行なるものにチャレンジです!」
こぶしを握り張りきる依子に巧は苦笑いするしかない。

「ふむ。ディナークルーズ、テーマパーク、温泉か。
どれも結構遠いけど、日帰りできるの?」
「時間配分は十分考慮しています。
1つめは初めてのデートで船に乗ったので、あなたがお好きなのかと。
2つめは2回めのデートで中盤は結構楽しそうにされていたので。
3つめは修善寺でずいぶん写真を撮って楽しまれていたようなので…私が行くまでは」
「きみの誕生日なのに、僕の好みに合わせることないよ」
「早起きすることになりますし、モチベーションも必要でしょう」
「まあね。しかし船では死にかけたし、遊園地はいろいろ思い出すとつらい…うう。
…ん?この温泉」
「どうかしましたか」
「ここ、正月にいつも見る映画に出てきたとこだ。
古典や池波正太郎の作品にもゆかりがある…」
「決定ですね」

3月22日、温泉街にて。
「わあ〜ここも写真に撮らないと」
「谷口さん、あの甘味処に入りましょう」
「へえ、地元産抹茶のみつ豆かぁ」
あちこち目移りする巧を依子はにこにこと眺める。
朝、巧にもらったシンプルなデザインのネックレスは、もう胸を飾っている。
恐らく安物ではある。
が、入手方法を尋ねると巧は自分の宝物を売って得たのだと言った。
『クリスマスに買ったやつは母に取られちまいましたからね。
もう僕の聖域に売っていい物なんか、一つとして無い』
巧は愚痴ったが依子は嬉しかった。
0725名無しさん@ピンキー2016/03/12(土) 04:30:57.32ID:Sf71u1ot
2/3
「では次は温泉へ行きましょう。旅館を予約してあります」
「夕方には帰るのに旅館へ行くの?」
「日帰りプランの貸し切り風呂があるので、あなたと一緒に入れるんです」
「えっ、あ、ああそういうことか…え、まさかいわゆる連れ込み宿じゃ…」
「ラブホテルの事ですか?なら違います。それにそういう所は予約ができないんですよ」
依子は目を細めた。
「そうか…藪下さん、よく知ってますね」

旅館の貸し切り露天風呂にて。
「一緒に風呂に入ることはあまりないよね」
「官舎は狭いですからね」
「しかし豪勢な部屋で驚いたよ。
あ〜広い風呂っていいなぁ、離れだから静かだし。湯も柔らかい…」
「PH値8.8の弱アルカリ性単純硫黄泉です。肌に刺激が少なく、飲用も可能です。
宿泊しないので料金も比較的安価です」
「なるほど…ねえ藪下さん。
せっかく広いんですから、こんなにくっつかなくても良いんじゃ…」
依子はいつものデートの時のように巧の隣にぴったりとくっついている。
「お嫌ですか?」
「い、いえ、決してそんなことは」
「では、むしろもっとくっつきましょう。
眼鏡が無いですし湯気のせいで谷口さんの顔もはっきり見えません。
お膝に乗ってもいいですか」
「うん…でも露天風呂で性行為なんてしないよ?」
「わかっています。帰宅してからでいいです」
「は、はは……けど、キスはしたいな」
「はい…」
「誕生日おめでとう」
「もう言っていただきました」
「何回言ったっていいじゃないか…」
「ん…」

「湯あたりする前に上がろうか」
「はい。ではバスタオルを…」
依子は湯から半身を出すと手を伸ばし、バスタオルを取りひらりと体に巻いた。
片手で巧の分も取ろうと再び手を伸ばす。
「あっ、と」
依子は少しバランスを取りそこねる。
「藪下さ…」
そのままでも大丈夫だったはずだが、巧は思わず抱き止めた。
二人して大きく体勢を崩してしまい、バシャン、と水しぶきがあがる。
0726名無しさん@ピンキー2016/03/12(土) 04:33:44.15ID:Sf71u1ot
3/3
「げほっ、ごめん!」
「ぶっ…もう、何するんですか」
バスタオルを巻いたままずぶ濡れになった依子は上げていた髪を下ろし、水滴を振り払う。
「………」
「どうかしましたか、谷口さん…」
依子の体に濡れたタオルがぴったり張りついている。
温泉の薄地のバスタオルが胸のふくらみからへその窪み、その下までも…
はっきりと体の全てのラインを現していた。
巧は額に手を当てかぶりを振る。
「参った。なんて…目の毒だ…」
依子は自分の姿を見て赤くなる。
「こ、婚約者でしょう!目の保養と言ってください!」
「裸体よりはるかにエロティックだよ…駄目だ、めまいがする」
「も、もう上がりましょう」
「前言撤回します…やっぱり、したいです…藪下さん…」

官舎にて。
「やっと布団に入れる…
今日くらいストレッチなんかしなくたって良いじゃないか…疲れた」
二人はお揃いのパジャマで狭いベッドにもぐり込む。
「疲れた日こそするべきです。予定通り帰宅できましたし」
「やはり日帰りは慌ただしいな。楽しかったけどね」
「…谷口さん、素敵な1日をありがとうございました」
「えっ?とんでもない、僕の方こそありがとう。きみの誕生日なのに何もできなくて。
あんなちっぽけなネックレス1つで」
「私は満足です」
「そうですか…なら良かったけど。ふぅ。お休み、藪下さん…」
巧は依子にキスすることもなく、寝息をたて始めた。
依子は枕元に置いていたタブレット端末をそっと手にする。
今日撮ったさまざまな写真。その中のいくつかは、巧が浮かれてカメラのシャッターを押す姿。
「愛する人の幸せそうな姿、というのは何物にも代え難いわ」
依子は微笑むと、端末の電源を落とし、また枕元に置いて目を閉じた。


終わり
0727名無しさん@ピンキー2016/03/12(土) 04:37:07.00ID:Sf71u1ot
>>726の温泉のエロ部分です
巧が少々強引

1/2
「すみません…しないって言ったのに」
巧はうつむき絞り出すように言う。
「な、何も謝る必要はありません。恐らく成人男性として自然な反応で…
あ…あの、とにかく出ましょう…」
どぎまぎとする依子を巧は静かに見ている。
「わかりました」
依子はザブ、と巧が湯から上がる音を背中に聞く。
そして巧を見ないようにして足早に部屋へ向かった。

依子はびしょ濡れのバスタオルを脱いでカゴに入れ、新しい物を体に巻いて部屋の中に入る。
ひたひたと近づく音がして、追いついた巧に後ろからきつく抱きつかれた。
性行為を求める時の、切なさがこもった巧の抱きしめかただ。
巧は熱に浮かされたように何度も息をつき、依子の濡れた髪をかき分けてうなじに口づける。
「ん…」
「…藪下さん」
体をゆっくり自分に向けさせ…巻かれたタオルを押さえる手をほどき、肌をあらわにさせる。
「あっ」
足元にタオルが落ちて依子は軽く息をのんだ。

湯で温まり上気していた二人の頬の赤みが増す。
巧は依子の体を熱く見つめる。けれど依子はその視線に耐えきれない。
「嫌…あまり見ると…恥ずかしいです」
「どうして…さっきまで見せてくれてたでしょ」
「さ、先ほどの場所より自然光が差して明るいですし…そんなに一方向から長時間は…」
「そうですね…明るくて…よく見えます。しなやかで、本当に綺麗だね」
巧は握りしめていた依子の手を離し、その体に触れる。
「しっとりしてる」
肩から乳房を撫で、腰を抱き、顔を下げて乳首を唇に含む。
「ん……」
感じ始めている依子を見て、巧はチュウッと吸い上げる。
「あぁっ、はぁっ」
舌を使い、片方も親指で転がすと依子の膝や腰から力が抜けてきた。
「だめ、もう、立てません…」
依子は今立っている場所が、露天風呂への出入り口のすぐそばの板の間だと気づく。
奥の畳の間へ行くため、巧の腕を逃れようとする。
「あ、あぁっ…!」
体をよじるうち、くちゅりと中に指を入れられて、思わず戸のふちにすがりついた。
依子は巧がほんの少し力を込めただけで押し倒されてしまった。
冷たい床に落ちているさっきのバスタオルの上に…
0728名無しさん@ピンキー2016/03/12(土) 04:58:34.66ID:Sf71u1ot
2/2
「こんな所では…中に入りましょう」
「ここだって中ですよ」
「板の間で固いですし…それに…それに」
「…それに、背徳的だ」
「そ、そうです」
「…駄目ですか、藪下さん…」
「いえ…私は以前あなたに言いました。
たとえ特殊な性的嗜好をお持ちでも、私に可能な限り要望にお応えする所存だと…」
「…ひどい言われようだな。確かに初めてのデートで、そんなこと言ってましたね」
「で、ですから板の間だろうと干し草だろうと私は…」
依子の言葉は巧の唇に止められた。

「ん、うぅんっ」
膝を押し広げられた依子は、深部への巧の舌の侵入にあえぐ。
空が見え、風が入り、まるで屋外にいるような錯覚を起こす。
ここは離れだから人はいない…そうわかっていても、できるだけ声は抑えた。

快楽に痺れる思考回路で、依子は巧の肩越しに遠い木の梢に目をやる。
「…藪下さん、何見ているの…」
「鳥が鳴いて…ああっ、た、谷口さん…すごいです…固くてっ、あっ、あっ」
「僕を感じてください。もっと、僕を…」
「あ、また…また!いってしまう、谷口さん!はぁんっ」

「ね、藪下さん…冷えちゃいますよ。起きて。大丈夫?はい、眼鏡」
「…感謝申し上げます。寝てはいません。あと17分で退去時刻ですね」
依子は横たえていた体を起こす。
「なんか、すみません…無理させてしまったみたいで」
「あなたはシチュエーションに萌えるタイプですからね」
「人を変態みたいに言うなよ。きみだって、凄かったんだから」
「愛ゆえに、ですね」
「…そうだよ」
「谷口さん、なんだか空腹感を覚えませんか。
夕食は自由度を高くするため敢えて予定を入れていませんが、どうしましょう」
「それなら帰りに駅で弁当買おうよ。
さっき、おいしそうなのがあったんです」
「そうですか。では支度をします」
「…立てる?」
「伊達に日ごろ鍛えていません。
激しい性行為にも対応できるような体操を取り入れています」
立ち上がった依子の肩に巧はタオルを掛ける。
「そ、そんな体操あるのか…」
「持久力にも自信がありますよ」
「…さっきは、すぐ力抜けちゃったじゃないか」
「そ、それは…鍛えることができない部位で…」
「ふ、こうなると藪下依子も形無しだなあ…おっとと!」
依子はアヒル口で巧に体当たりした。

終わり
0730名無しさん@ピンキー2016/03/15(火) 18:41:08.47ID:mTSD9TOg
>>729
GJサンクスです
完全なる屋外は難しいのでこうなりました
ほんとあの二人、山小屋ではどうするつもりだったのかと
予定調和ではあるんですけど
0731名無しさん@ピンキー2016/03/16(水) 08:09:43.50ID:1lqkGHfl
エロは夢で少しあり
半同棲 非DTSJ

1/2
おかしいわ。頭痛がする。業務に集中できない。
時計を見ると16時33分。終業時刻まではなんとか…
けれど眉間が熱く、肩甲骨の間に悪寒が走り、体もだるい。
――ガチャ
何の音かと思えば、私の額がキーボードに当たった音だった。
「藪下さ〜ん!大丈夫ですか?」
同僚の声が聞こえる。
「………早退を申請します…」
私は上司に言った。

内科を受診したところ、恐らく疲れからきた単なる発熱、ということで様子を見ることとなった。
私としたことが、体調管理を欠くなんて。
確かに一昨日まで業務は忙しかった。けれど今日はもう落ち着いていたのに…
夕べから今朝まで谷口さんが来ていたけれど、性行為をしたわけでもなく、無理をした覚えもない。
仕方なくタクシーで帰宅し、ベッドに潜って父に電話をかけ、状況を伝える。
「依子。お父さん、行かなくて本当にいいのか?」
「買い置きの水や非常食も十分あるわ…
ただ、こういう事例が今まで私にあったのか聞きたかっただけ…」
「お前が熱だすなんて、本当に久しぶりだよ。ただ、お前はいつも突然倒れるからなぁ」
「…言われてみればそうかも知れないわ…」
「知らないうちに無理を重ねてたんだよ。よく休みなさい。いつでも連絡してくれよ」
「ありがとうお父さん…」
谷口さんにも連絡しておかないと…明日は…来宅は不要って……
そこで意識が途切れてしまった。

目が覚めると朝8時33分だった。不調を自覚してからきっかり16時間。
「いけない…良かった、目が覚めて…」
12時間は寝たと思う。
寒気はなくなったがまだ体の熱さはひかず、布団をはだけていた。
横になったまま、電話で上司に欠勤の旨を連絡する。
谷口さんにもしなくては…
なんとかパジャマを替え、水を飲む。
ぼんやりとベッドで携帯を手にして、彼の番号を呼び出す。谷口さん…
そしてまた意識が遠のく。

…夢を見た。谷口さんと性行為をする夢。
動物のように後ろから激しく突かれる。
普段彼はこの体位をあまり好まない。
『きみの気持ち良さそうな顔が見えないし…野卑な荒っぽい感じがして僕は…』
そんな風に言われた事を思い出す。
でもここは夢の中。
背中から抱き締められ揺り動かされて、彼の手や舌で何ヵ所も同時に責められた。
男性器がいつもと違う角度でこすれて、私はあえぐ。
もっと、こうして。
あなたになら、何をされてもいいのに。
0732名無しさん@ピンキー2016/03/16(水) 08:17:31.47ID:1lqkGHfl
2/2
目が覚めた。洗濯機の回る音が聞こえる。
いくらかすっきりした頭で時計を見ると、14時32分。
「惜しいわ…あと1分で6時間ちょうどだった…」
ベッドの真横でガバッと起きる人影があった。
谷口さん…彼は読みかけの本を手に慌てて立ち上がる。
「や、藪下さん。起きたんだ…はは、良かった良かった。大丈夫?」
私はさっきの淫らな夢を振り払う。
「どうしてこんな時間に?…今日は来宅不要とご連絡するつもりでした」
「きみのお父さんから昼前に電話があって。それ自体めちゃくちゃビックリしたんだけど。
きみが調子悪くしてるから様子を見てきてくれって言われた」
「お父さんったら…」
「どうせ今日は飯作る日だし、と思って早く来たんだ。
驚いたよ。きみがすごい熱で…珍しく部屋も片付いてないし…」
「みっともない姿をお見せして恥ずかしいです」
「何を言って…どうして連絡して来なかったんですか」
谷口さんは私の手を両手で包むように握った。思わずドキッとする。
「しかし藪下さんが寝込むなんて。鬼の霍乱だなぁ」
「なっ…ひどい!」
「冗談ですよ。心配したに決まってる。
うどん買って来たから用意しようか…昨日から食べてないでしょ。
今日はうどんの日じゃないけど、例外的措置だ」
彼は私の前髪をかき上げ、額を合わせてきた。
「谷口さん、キ、キスはしなくていいですよ」
「病床に臥している人に、そんなのしない」
彼は心外そうに言うけれど、私はさっきの夢をまだ引きずっていた。
「だいぶ熱、下がったね。さっきは随分とうなされていた」
谷口さんは私の首に当てていたタオルと保冷剤を取り除く。
「私…何か言ってましたか?」
「別に何も」
谷口さんの目は私を見つめている。
「さ、つゆ作ってあるから、うどんを茹でよう。かき玉子にするよ?」
立ち上がろうとした彼の袖を引く。
「谷口さん…」
彼はなぜか赤くなる。
「な、何ですか」
「あなたに何度かお断りの連絡をしようとしました。
でも、できませんでした…あなたが来ないのが嫌で…」
彼は困ったような嬉しいような顔をする。
「…藪下さん。僕たち、じきに結婚するのにお断り、なんて…そんな遠慮は無しですよ。
実際、きみのお父さんは僕を頼ってくれたじゃないか」
「すみません…」
「早く良くなって。そしたらまた…できるから」
「何をですか?」
「…秘密」
谷口さんはそっと私の手を離し、そそくさとキッチンへ行った。

終わり
0733名無しさん@ピンキー2016/03/17(木) 02:28:38.01ID:ZmjgzZSR
GJ感謝申し上げます!
本当に夢だったのか、それとも…気になりますねw
巧は優しいけど、ベッドでは意外と攻めてたら萌えますねw
0734名無しさん@ピンキー2016/03/17(木) 05:18:45.37ID:rxL+gkuK
>>733
ありがとうございます
読み返したら…ほ、ほんとだ 巧がやってるみたいに読める…
あくまで依子が見たエロい夢のつもりでした
描写力不足恥ずかしいです
ちょっと巧視点追加で書きます!
投下は来週くらいかもしれませんけど
0735名無しさん@ピンキー2016/03/20(日) 01:50:54.05ID:8UvVVSz3
>>731の巧バージョン 長くなりました
エロあり 引き続き妄想設定

1/3
ヒッチコックの作品を見るのは久しぶりだ。
ストーリーは頭に入っているものの、やはり手に汗握る。
この先の展開を思い、画面内の役者の言動を憂う。緊張感が増すシーン…
ピーピーピーピー!
「うぉっ!」
携帯が鳴る。まだ午前11時前だ。こんな昼間に母以外から着信などあり得ない。
しかし母は階下で掃除機をかけている。
「だ、誰だ」
恐る恐る携帯を手に取った。
“藪下俊雄”
「…ああ」
彼女の父親の番号を、以前念のため登録していたのだった。
映画を一時停止にし、電話を受けた。
「もしもし…谷口です」
「あ、巧君か?突然すまんね、依子の父だが」
「はい、いえ」
「ちょっと依子の件できみにお願いしたい事があってねえ…」
「はあ」

「…藪下さんが発熱…」
にわかには信じがたかった。
いつも背すじを伸ばしバイタリティに溢れている彼女が病気になるなんて。
しかしそういう事ならのんびりしてはいられない。
「きみが行ってくれるなら安心だよ〜娘を頼むね」
「はい…」
電話を切り、荷物を取り階段を駆け下りる。
「巧〜半同棲、もう行くの?」
「うん…あ、しまった!映画をつけたままだ。お母さんごめん、オフにしておいて」
母の返事を聞かず玄関を出る。

官舎のドアを開けて驚いた。
靴が揃っておらず、シャツや肌着はカゴから飛び出し、カバンは投げだしてある。
スーツだけはハンガーにかかっていたが、彼女のいつもの几帳面さとは程遠い。
そっとベッドを覗くと、藪下さんは大きく息をついて眠っていた。
いつもと違い寝乱れ、横向きに手足を投げ出し…
「わあ、すごく汗かいて…」
ぐったりした彼女に大いに違和感を抱きながら、汗をふき、あれこれ慣れぬ世話をする。
その間起きる様子は全くなかった。
0736名無しさん@ピンキー2016/03/20(日) 01:52:36.37ID:8UvVVSz3
2/3
一段落し、僕は藪下さんを覗きこんだ。
「大丈夫…?」
ベッドに肘をつき、彼女の熱い肩をほんの少しさする。
「谷口さんっ」
突然、藪下さんがむくりと起き上がって僕を呼んだ。
「えっ?はいっ」
彼女の目はうつろで、あらぬ方を見つめている。
「お願いです…次は後背位で…性行為、してください」
「は?!」
ばたりと倒れ、また寝息をたてている。
「な…何だ今のは」
熱のせいか。
最近の藪下さんは忙しそうで疲れてるかと思って、敢えて誘っていなかったんだが…
「不満…だったのかな…」
だからと言って、今はどうすることも出来ない。
僕は洗濯の終了を待ちながら、彼女のそばで本を読み始めた。
彼女の苦しそうな声は、少しだけ夜の姿態を連想しておかしな気持ちになりそうだ。
しかし、それどころではないのはわかっている。

―数日後
「た…谷口、さん?」
僕は愛撫をやめ、仰向く藪下さんの裸の肩をそっと引いて体を返すよう、うながした。
「きみの背中…見せてください」
「あ、あの、最初から後背位でいいのですか?」
彼女は動揺したように言う。
「うん…そういう事です」
僕も恥ずかしい。
「なぜですか…」
「別にしたこと無いわけじゃないでしょう?今日は、そういう気持ちなんです…」

「ん、あぁっ!」
「藪下、さん…」
前のめりに腰を打ちつけながら、ベッドのそばにある姿見のカバーがずれているのに僕は気づいた。
一瞬ドキリとしたが、細長い鏡に部分的に映るのは藪下さんの肩から上。
この体位では、あんな顔してるんだ…
彼女は目を閉じ快楽に身をゆだね、律動に合わせて揺れる髪は濡れた唇に張り付く。
猫のように体をしならせて…
0737名無しさん@ピンキー2016/03/20(日) 01:54:32.15ID:8UvVVSz3
3/3
そんな姿を見ていたら。
「藪下さん…ああ、とっても、いい…」
僕は彼女の背に体を重ね、手指を感じやすくなった所に這わせて、なお抽送を早めた。
「あっ、もう、もう…谷口さんっ!」
もう、いくんだ…そんなに良かった?
言葉には出さずに耳裏にキスをする…

そのあと。
「…ごめんなさい。あの発熱はきっと僕にも一因があるよ」
「ウイルス性のものではない、と医師の診断が出ています。あなたは無関係です」
「僕がまだまだきみのことをわかっていないせいだ」
藪下さんの欲求を理解せず、発散できるストレスを相乗的に溜めさせてしまったのだろうから。
「違います。第一あなたが私を理解していない事と発熱の因果関係が不明です」
「くどいな。僕のせいだったら」
「断固否定します。いずれにせよ、他人である以上100%の理解は不可能です」
僕はため息をついた。
「…ベッドでケンカしたくないですよ」
「それは否定しません…」
腕枕していた僕は、そのまま藪下さんの方を向き、空いた手で彼女の肩を抱く。
彼女もこちらを向いた。
始めはとても狭く感じたベッドも、二人が吐息の届くこの距離にいる今はそこそこ居心地いい。
「とにかく無理は禁物だ」
「私は、したつもりはありません」
「次からは、きみが無理してたら僕が教えてあげます」
「…そんなことがわかるのですか」
藪下さんは目をまるくして僕を見た。


終わり
0738名無しさん@ピンキー2016/03/20(日) 02:01:54.31ID:KbIJPRSD
続きお待ちしておりました!
感謝申し上げます!
優しいけど獣巧いいですね、萌えましたw
ベッドでは乙女な依子が可愛いです。
ありがとうございました!
0739名無しさん@ピンキー2016/03/21(月) 07:48:06.55ID:OwutMTWU
>>738
ありがとうございます

荒い文章&性的嗜好捏造すみません
最終話までは巧はわりと淡白だと思ってたのに
山小屋でのあのアグレッシブさに参りました
依子も拗ねた感じがすごく可愛かった
しかし公式からの燃料はしばらく望めないし
そろそろ落ち着け自分w
0740名無しさん@ピンキー2016/03/23(水) 06:49:48.08ID:o+d3TCBS
祝一周年
エロあり 半同棲 非DTSJ
いろいろ妄想設定

1/2
「谷口さん、次回のデートは寺社仏閣巡りにしませんか」
依子は情報誌から顔を上げて言った。
「いいですね。たまには足を伸ばして、葛飾柴又なんかどうです。
帝釈天もいいけど、万福寺とかも昔は行ったりしたなぁ」
立ってフィギュアをいじっていた巧は手を止め、積まれた自分の本の上にそれをそっと戻した。
「万福寺…」
「うん、あの辺りは中学生の頃から時々行ってたんです。当然ここ十数年はさっぱりでしたが…」
巧は依子の隣に座る。
「中学生?谷口さんは地元校でしたよね。東京なんて学区外でしょう!」
「ふ、その頃はもちろん母と一緒にですよ。藪下さん、行ったことあるの?」
「行ったかも何も、私がお守りにしている切符の出発駅ですよ」
「そう言えば、なんかありましたね…」
巧はキッチンの壁ぎわを見やる。
「確か私は切符の数字に感激しつつ、
『万福…ということは、福が1万以上1億未満も存在している!』
と思いました」
「ははあ…」
「子どもの頃の話ですよ?」
「フッ、へんてこ…と言うより可愛いですね。いかにも、幼少のきみらしい」
「何度もこの切符を眺めて…
数字の奇跡に巡りあえたのは、この多量の福のお裾分けかも知れないと思い…
それ以来、神仏に参拝した際は感謝の気持ちを忘れず、一貫した内容で願掛けしています」
「何を願ってるの?」
「かなうまでは内緒です」
「フッ…まぁ、かなったら教えてください。
そんな子どもの頃のきみも、知的でチャーミングだったんだろうね」
「…私に尋ねられても答えようがありません」
「もし当時のきみと話をしたら、面白かったんだろうな〜ははは」
「どういう意味ですか!」
依子は詰め寄る。
「すみません。きみをバカにしたわけじゃない。怒らないでください」
顔は笑ったまま巧は言う。
依子はクッと目をむいて巧に顔を近づけた。
「…許しません」
「うっ…」
巧は凍りつく。やや青ざめたその様子を見て、依子はクスリと笑った。居住まいを正して言う。
「私を抱いてください、谷口さん…」
「えっ?だ、だ、抱いてって…その…つまり」
いつもと違う依子の言い回しに巧は慌てる。
「抱いてくださったら、許してあげます」
「…性行為のことだよね?」
「言わずもがな」
「しかし唐突だな。あっ!」
依子が巧の首に抱きついた。
0741名無しさん@ピンキー2016/03/23(水) 06:50:33.84ID:o+d3TCBS
2/2
「あの切符をあなたに見せたから、左手の薬指が腫れた。
そのおかげで、あなたへの気持ちに気づけた。やっぱり、霊験あらたかなお守りでしたね」
「そうか…それじゃ、僕にとっても有り難い物なんだね」
抱きつかれたまま、巧は依子の肩に手を添えて顔を見ようとした。
そのとき、依子は巧の唇に噛みつくように口づけてきた。
あまりの勢いに巧は体を後ろに大きく傾ける。
「ちょっと、藪下さ…」
戸惑いつつも巧は依子の舌を受け入れる。
「ん…ふッ」
「う……」
のし掛かる依子に、肘をついていた巧はゆっくりと背を床に付けた。
まだ続くキス。徐々に恋人握りになる指。腰が重なる。
巧は反応し始めている自分の下腹部を気にした。
よじれば、それが刺激になる。無意識に表情が固まる。
(…下手に動けないよ)
依子はそれがじれったい。
(谷口さん、性行為の時はあんなに切なくもうっとりとした顔をするくせに)
その顔がどうしても見たくなって。
唇を離し、巧を見つめる。
赤い顔をした巧は唇をぬぐい、恥ずかしそうに目をそらす。
「勃起しています、谷口さん」
依子は巧の形をなぞるように手を這わせた。
「うあっ」
巧は眉根を寄せてこらえていたが、やがて堰を切ったように依子の肩を引き、体を入れ替えた。
依子を下にして巧は呼吸を乱す。
「こんな無理やり僕の“雄”の部分を引き出して…ひどいじゃないか」
「じゃあ、抱いてくださらない…と?」
「まったく…そんなわけないでしょう…」
巧は依子のジャージを上げて顔を埋めると、同時にボトムを下着ごとずり下げた。
「きみが望むとおりにするよ。愛こそ全て、だからね…」

二人がどの体位を試しても、最後はやはり向かい合わせに落ち着く。
「藪下さん…」
揺れる前髪に汗をにじませて、巧は甘く依子の名を呼ぶ。
「あっ…あっ…」
横たわる依子はもう声も出ないほどぐったりとしていた。
行き過ぎた快感に時折体をがくがくと震わせ、そんな依子を巧はいとおしげに見つめる。
見つめながらも、自らの絶頂に向かい、駆け上がる。
「僕も…もう…」
「は、はい…あぁんっ…」
依子もうなずきながら、満足げに巧の表情を見ていた。

終わり
0742名無しさん@ピンキー2016/03/23(水) 06:52:56.79ID:o+d3TCBS
依子&巧ラブラブになれー
ワンパタに設定でっち上げすみません
また萌えが高じたら書きに来させてください
0743名無しさん@ピンキー2016/03/31(木) 02:06:35.12ID:QedJ3UCg
エロなし 一応非DTSJ 遊園地デート

1/2
僕は本当は嫌だった。
藪下さんが、またあの遊園地でのデートを企画したんだ。
一年近く経っているが、昨日のことのように思い出せる恥ずかしさ…
「私たちが結婚して子どもが生まれた場合、遊園地に行く機会も増加すると考えられますからね」
「子どもが生まれるどころか、僕らまだ結婚すらしてないのに今行く必要ないでしょ」
「あなたのトラウマの解消にもなります」
「だいたい、きみはちっとも楽しくなさそうだったろ」
「……」
「…わかりましたよ。何時にしますか?」
彼女の無言の圧力には弱い。

当日は僕の心を映したような、あいにくの曇天だった。
「谷口さん、フェイスペイントしますか?」
「いやぁ…あれ、石鹸でもなかなか落ちなかったんで…やめておきます」
「クレンジングクリームで落ちますよ」
「…なるほど。でも遠慮します」
僕はきみにあの顔で、死んじゃえばいい、なんて言われたんだぜ。

そしてあの日のようにジェットコースターに乗ることになった。
「す、すいてますね…藪下さん」
「人数が少ないので、前回よりスピードは落ちますね。
最後尾の方が加速してスリルがありますよ」
「…先頭がいいです。今さら、つり橋理論とかどうでもいいし」

「さあ谷口さん、いよいよ動きだしました…頂点の位置エネルギーは、重さをmとしてっ…!」
「うわっ!うわああ!」

「次はあれに乗りましょう!垂直落下は重力加速度がダイレクトに…」

「あれに乗りましょう!ブランコの向心力は…」

「…谷口さん…大丈夫ですか。申し訳ありません」
「目が回る…」
「私、不可解です。前回はいくら努力しても楽しめなかったのに…今日はこんなに楽しいなんて」
「前回はまだ好きでもない僕と、無理やり楽しもうとしてましたからね…」
「好きでもない…?」
「僕だって、きみとキスもしたこと無かったのに、いきなりあんなプロポーズしてしまって…」
「私は…」
「考えると、僕たち愚かでしたね」
「……」
「あ、やばい…やっぱり雨だ。あの屋根の下へ行きましょう」
0744名無しさん@ピンキー2016/03/31(木) 02:20:44.60ID:QedJ3UCg
「…藪下さん、寒くない?あっちの水族館の方へ行きますか?」
僕は彼女の肩をギュッと抱く。冷えているのか、ちょっと震えているように感じた。
彼女は僕を見る。あの頃と違い、色を宿した情熱的な瞳で。
「谷口さん。キスしましょう」
「えっ…」
驚いたけど、なんとなく予想はできていた。
周りを見回し、人けのない事を確認する。
もう目を閉じている彼女の艶やかな口紅が僕を誘う。
一応僕は帽子を取り、人から見えないよう隠して、藪下さんに口づけた。
「ん…」
彼女は眉根を寄せて深いキスを求めてくる。
固く抱きあい、僕たちは舌と唇で一つになろうとする。
帽子はいつの間にか地面に落としてしまっていた。

どのくらいそうしていたのか…
「藪下さん。雨…やみましたね」
「そのよう…ですね」
彼女はハンカチを取り出して、僕の唇をそっとぬぐってくれた。
「すみません…」
人波が動きだす。僕たちも移動した。
0745名無しさん@ピンキー2016/03/31(木) 02:22:45.70ID:QedJ3UCg
歩くうちに僕が藪下さんにフラッシュモブプロポーズしたあたりに来てしまった。
あの時見ていた人など誰もいないはずなのに、いたたまれない。
今ここでもう一度プロポーズしたりするのも変だし…僕は所在なく、うつむく。
「ああっ、谷口さん…10時の方向をご覧なさい」
「ん?」
周りの少ない客からも、わあっと歓声があがる。
虹だ…
「空気中の水滴がプリズムの役目をして起こる光の屈折現象です…」
「美しい…藪下さん、ほら…二重だ」
「はい。一度の屈折による主虹、外側は二度の屈折による副虹です。色は反転します…」
「あの根元には宝物があるんだよ。僕らもいつか、見つけられるだろうか…」
「虹に根元は存在しませんが、あると仮定して話をすると、やはり主虹の根元でしょうか」
「ん?…うん」
腕を組み直し、彼女の手を握る。腕相撲みたいになってしまうが、そんなことは些末なことだ。
「谷口さん…」
「今日のデート、延長しませんか?もっときみと話がしたい」
「やぶさかではありません」
「…今夜は帰りたくないんだ」
陳腐なセリフだが、ちゃんと、彼女の顔を見て言えた。
「か、帰しません…」
動揺した彼女のセリフについ失笑する。
そこらのくだらないカップルのように、僕らは今は別の意味で愚かだ。
幸せな、愚か者。


終わり
0746名無しさん@ピンキー2016/03/31(木) 02:25:35.81ID:QedJ3UCg
2分割だったんですが、長くて怒られたwので3分割しました
すみません
0747名無しさん@ピンキー2016/04/01(金) 09:25:54.09ID:enr61+g/
>>743の続きっぽく 初々しい感じで さらっと
エロです 非DTSJ

1/2
すっかり準備は整った。
私たちはバスタオルだけを体に巻き、並んでベッドに腰掛ける。
手を恋人握りし、まずキスをした。
浅いキスを何度も繰り返し、指を何度も組み直し、相乗的に性欲を高めていく。

谷口さんに体重をかけられて、自然にベッドに横たわる。
バスタオルなんてとっくにほどけ、欲望があらわになった私たちの体が重なりあい…
私は気になったことを彼に尋ねた。
「挿入時、腰の角度は支障ありませんか。そもそも私は前付き、後ろ付きどちらなんでしょう…」
「な、何言ってんだよ…わかるわけないでしょ。僕は、きみしか知らないんだから」
「そうでした」
「まったく、この前は『私としたことが、性行為の回数のカウントを失念していました!』
なんてパニックになるしさ…」
「だって、週2回以上が目標なら、正確に数えておかないと月末に集計できませんし…」
「僕は忘れる日があったっていいと思うよ。
それより、どうしたらきみが喜ぶかの方が気にかかる…」
話をしながら彼はもぞもぞと動く。
「あっ、あ!谷口さんっ、3箇所いっぺんにされるとっ!はぁんっ…」
「これがいいんだね」
彼は私の両胸の先端部と陰核を、指や舌で優しく…また激しく…繰り返し…
0748名無しさん@ピンキー2016/04/01(金) 09:31:19.92ID:enr61+g/
2/2
「ああっ、少々、時間が長くありませんかっ…あぁん、休止を要請しま…」
お願い、谷口さん。快感で呼吸ができなくなるなんて、知らなかった。
のどから、ヒュウッと息がもれる。
「あっ、ごめんなさい…苦しかった?」
「殺されるかと…思いました…」
「は?そんなわけないだろ!…加減がわからなかっただけで…
ちゃんと言ってくださいよ?インターミッションを入れるから」
「いっ…言いましたっ!なのに…」
「…今度からストップ、って言ってください」
「はい…」

挿入はスムーズに行われた。
「あ、藪下…さん」
谷口さんは、そう言ったきり絶句する。
揺さぶられる体は接合部の中からジンジンと快感がわき起こる。
「んっ、谷口さん…私の中は、いかが…ですかっ?」
「…とても……」
彼は真っ赤な顔をして、それ以上話す余裕はなさそうだった。
はぁ、はぁと息を吐き、薄く目を開けて、時おり歯を食いしばり…
なんだかとても辛そうにも見える。
「苦しくない?…藪下さん…」
彼もそう聞いてきた。
きっと私も同じような様子なのかも。
おかしなものね…気持ちがいいのに、苦しいなんて。
「大丈夫です…谷口さん。もっと、お願いします…」
「…いいの…?」
彼はまた行為に集中しだした。

ちゃんと終了する行為なのに、果てが見えなくて溺れそう。
けれど目の前の優しい体が、今夜もともにゴールに到達してくれると信じて私はすがりつく。

終わり
0749名無しさん@ピンキー2016/04/05(火) 06:53:27.45ID:9tzNfILH
エロなし SP山小屋
もちろんDTSJです 下ネタすみません

1/2
藪下さんのお父さんが、しりとりでもするか、と聞くと彼女は即答した。
「しないわ」
「なんだよ、依子。こういう時は、時間をつぶすのが大変なんだぞ〜。
お父さん、ボーイスカウト入ってたからよく知って…」
「お父さん。来てくれたこと、感謝しているわ。食事代わりに何かを食べて、寝ます」
「おお、そうか。さ、これ非常食だ。水分もとりなさい。巧君も」
「えっ?あ、はい…」
ペットボトルと小箱を受け取りながら、恐る恐る藪下さんを見る。
…こ、怖い!般若の形相だ。お父さんは、気づいてないのか?
僕は横目でチラチラ様子をうかがう。
彼女は水をゆっくりと飲み、ふぅと息を吐くと、穏やかな表情になった。
僕はようやく人心地がついた。

寝袋が2つしかリュックに入らなかったらしく、交代で仮眠することになった。
とりあえず藪下さん達に先に休んでもらい、僕は膝を立てて座った。
お父さんが貸してくれた「特選クイズ300連発ミニブック」とやらを手にする。
こんな本、大げさでなく何十年ぶりだか。
「む、なかなか手ごわいな…答えは…ええっ!ダジャレなのか!卑怯な…」
意外と熱中していたが、ふと我に返った。
いびきをかくお父さんの向こうで、藪下さんも眠っている。
「こんな所でよく寝られるなぁ」
0750名無しさん@ピンキー2016/04/05(火) 06:57:12.65ID:9tzNfILH
2/2
…もし藪下さんのお父さんが来なかったら、僕はどうしていたんだろう。
藪下さんとは、いつもデートで腕を組む。手をつなぐ時もある。
キスだって、したことはある。
でも、さっきのように明確な目的を持って彼女の細い肩を強く抱いたことは、今までなかった。
もちろん押し倒したことなんて…
あの後、お父さんが来なかったら。僕は藪下さんを大いに困らせてしまっていただろう…
自己嫌悪にさいなまれながら、身を乗りだし彼女の髪にほんの少し触れた。
(やっぱり、月がとっても綺麗です…藪下さん)
そして僕はまた座り直した。
「巧君」
「は、は、はいっ!」
「交代するか」
起き出したお父さんの見せた腕時計をのぞくと、いつの間にかかなりの時間が経っていた。

「谷口さん、起床してください」
肩を叩かれて僕は目が覚めた。
「えっ…藪下さん、いつの間に浴衣着て…」
ガバッと飛び起きた。
やばい、久しぶりだ…こんな日に、体が朝特有の浅ましい反応を示している。
…さっき、藪下さんと睦みあう夢を見てしまった。そのせいだろう。
まったく僕と言う奴は…
「昨夜は父と交代で番をしていただき、衷心より感謝申し上げます。出発しますよ」
「はい…」
「ずいぶん前かがみですね」
「あ、あの…腰が痛いんですよ。おかしいなぁ、寝かたが悪かったかな」
「マッサージしましょうか」
「け、結構です!そんなことしたら…」
「は?」
「いえ…少し外で頭を冷やし…いや、口をすすいで来ます…」
「明るくなってきたぞ、二人とも、そろそろ出られるか〜?」
「ちょ、ちょっと待っててください!」


終わり
0751名無しさん@ピンキー2016/04/13(水) 06:47:38.07ID:trvv+Iww
ドラマでさらりと流された新年キスの妄想話
エロ冒頭ちょっぴりだけ

1/3
「ああ、あっ…!」
依子が絶頂を迎えると、巧と繋がる部分は喜びに締まり震える。
自分の下でパジャマも脱ぎきれないまま乱れる依子の姿に、巧も急速に導かれた。

やがて熱を出しきった巧は小さく息をつき、落ち着きを取り戻す。
(今日はどこに…)
行為を終えたあとにはよくキスをする。その場所は、日によって違う。
息を乱す依子の額をそっと押さえ、唇にキスをした。
「ん…」
「…我が事ながら信じられないよ」
「何がですか…?」
「僕がこんなに、ぬけぬけと女性にキスするようになるなんて」
「35年間、しぶとく取ってありましたものね。童貞は言うに及ばず」
「きみと出会う前の僕が知ったら卒倒するな」
「ファーストキスはお互い違う方とでしたが…」
「まあ、そうですけどね」
巧はもう一度唇を軽く触れあわせる。
―――
依子は思い出していた。あのニューイヤーキスのあと。
皆と別れ、帰宅しようとスクーターに乗り、敷地内から車道に出ようと一旦停止したとき。
上から男の声が降ってきた。
「お〜い!そこのサイボーグ!えーと…ゼロゼロ…なんとか!」
ふと声の方を向くと、白髪混じりの見たことのない派手な男が手を振っていた。
見回しても、自分以外誰もいない。
そして、サイボーグ、と声をかけていることから自分のことと依子は判断した。
「私の扮装は003ですが」
「そう、そう!003!ちょっと待て!」
男は外階段をかけ降りて来た。上はパーティー会場らしく、熱狂的な喧騒が聞こえる。
「あんたさあ!もしかして、あの頑固な童貞の009のパートナーだろ?」
「…はい」
「やっぱりそうか〜ちゃんといるんじゃないか、こんな子が!あいつめ」
「谷口さんのお知り合いのかたですか?」
「タニグチ?…ああ、まあ、そんなもんだよ。で?どうだったよ、ニューイヤーキスは」
「驚きました」
「…それだけか?」
「……それだけです」
(鷲尾さんとの口唇の接触は全く予想外だったわ。
あまりにも予想外の事態に遭遇すると、かえって冷静になれるものね)
0752名無しさん@ピンキー2016/04/13(水) 06:49:34.99ID:trvv+Iww
2/3
「なんかこう、パッションとか、ラブ&ピースとかさぁ!無いの?」
「表面的には穏やかで平和的ではありましたから、ピースは存在したと思われます」
「そうか!009のやつ、人待ち顔で外眺めて…
こだわりのファーストキスのお相手をず〜っと待ってやがったんだな!
良かったな、あのラムちゃんがキスしようとしてたんだぜ」
男性は、ま、それもアリだがな、とウィンクした。
―――
「あなたはあの時、ラムちゃんという恐らく有名な女性とキスするとこだったのでしょう?」
「は?ラ、ラムちゃん?!ああ、あの時って、ニューイヤーパーティーかい?」
「やはり図星ですか」
「な、なんでそんなこと知って…いや、彼女とは何も…
たまたま、そこにいて、あっちから勝手に来て…」
しゃべるほどに泥沼にはまりこむ気がして、巧は青ざめた。
「……」
「…聡明なきみなら、あの時の僕にとって何が重要だったかなんて、わかってくれるでしょ?」
「……」
「…し、しかも色々あったけど現在はこうして、きみだけを愛してるっていうのに…」
依子はニッコリと微笑む。
「…な、なんですか」
「あなたの愛情を自覚している上で言いました。お詫びいたします。
…とともに、感謝申し上げます…ふふっ!」
―――
巧も思い返していた。
ファーストキスは大切な想い人と。
見つめあい、歩み寄って、微笑み、ゆっくりと唇を近づけるものだと…
ガラスのように砕けた幻想。
目の前で他の男に奪われた恋人の唇。
(――くだらない!たかがキス。今日び、子どもだってやってる。
祭りの場では、こういうのでいいんだよ。香織だって、軽いノリだったじゃないか。
…だけど、それなら僕は35年間、何を守ってきたんだろう?
彼女に必死に電話して、僕がしたかった事は何だ?)
巧は、呆然と立ち尽くした。
0753名無しさん@ピンキー2016/04/13(水) 06:52:46.92ID:trvv+Iww
3/3
依子が去ったあとも、巧はしばらく動けなかった。
「巧く〜ん!まだここにいたの…大丈夫?なんか…私さぁ…悪かったかな」
「か、香織は気にすることなんか何もないよ、ほんと。ちょっと風に当たってただけだ。
バ、バス停はどっちかな」
巧がまだ香織の気持ちには気づいていなかった頃。
「こんな時間に走ってねぇよ!私のシフトもうちょっとだから、終わったら車で一緒に帰ろうや」
「いや…いい。歩くよ。楽しかった、ありがとう」
「えっ!ここから?その格好で?」
「うん。いいんだ。じゃ、またな」
「ちょっと巧くん!」
巧は香織の声を背に歩き始める。
(今日は特別だ。あそこはマンハッタンだったんだ。治外法権だ。普段のルールは適用されないんだ)
携帯が依子からのメールの着信を告げた。
『帰宅しました。本日はお疲れ様でした。ではまたご連絡します。藪下』
文面を見て巧は微笑むと、
『了解しました。お休みなさい。谷口』
と返信し、また歩きだした。
家に着く頃には足が棒のようになり、少なからず後悔することになる。
―――
「何がおかしいんだよ、まったく失敬だなァきみは…」
そう言いつつ笑顔の巧は、まだ裸のままで依子をもう一度抱きしめた。
「あっ…もうシャワーを浴びないと」
「うん…わかってる。キスだけ。キスだけさせてください…」
「はい…んんっ…ぅ…」
もう二人にとって何度めのキスになるかなど、わからない。
けれど巧はあの時の分を取り戻したいような気持ちになっていた。

終わり
0754名無しさん@ピンキー2016/04/23(土) 01:10:11.19ID:H8gsQJ0d
未婚 エロなし 非DTSJ
2016年1月くらいのイメージ

1/3
場所は、僕の自宅の居間。
時間は、宵の口。
少し前に雨戸を閉めるため外を見た時は、暮れたばかりの空に小雪がちらついていた。

暖房器具の音だけがわずかに響く静まりかえった部屋。
そこに僕と藪下さんは真っ直ぐに立ち、唇を重ねている。
ひじを直角に曲げ、お互いの腕を支えて。
確か子どもの頃、体育で『小さく前へならえ』なんてのがあったなぁ、と一瞬心によぎる。
すっかり力を抜いている彼女の唇は、温かく柔らかい。
深いキスはせず、お互いに甘噛みしてみたり、少し舐めてみたりする。わずかに舌が触れあったりもする。
「んっ…」
そんな声を漏らされると、いつまでも、もてあそんでいたくなる。

「藪下さん…」
彼女の耳に唇をつけてささやくと、その体がかすかに震えた。
「あっ」
「ねえ…キスってこんなに長い時間行うものなんですかね…」
僕の唇から逃れた藪下さんは、ようやく、といった様子でつぶやくように答えた。
「…私にはわかりかねます。あなたのお好きな映画などが参考になるでしょう?」
「ん〜…映画のキスというのは脚本やカメラワークを考慮した、作られたものだからなあ」
「なるほど…実用性は無いのですね」
「しかし、ゆえに、美しいんです。もちろん、作品によって千差万別だけどね。
自然体にこだわる監督もいるけど、例えば構図にこだわるあまり俳優に長時間無理を強いて…」
「…谷口さん」
「…あ、すみません…今しなくてもいい話だ」
0755名無しさん@ピンキー2016/04/23(土) 01:12:24.53ID:H8gsQJ0d
2/3
僕たちはソファに腰かける。
ゆるく背もたれに身を預ける僕と、しゃんと背を伸ばす彼女。
けれど、だんだんと体を傾け、僕の肩に額を寄せる。
僕は彼女のセーターの中に手を入れ、温かい背中を撫でた。指がブラジャーのホックに触れる。
「…あなたの部屋へ行きたいです」
「狭くないですか?ここじゃ嫌?」
「留美さんが帰ってこられる可能性があります。そうなれば対処に困るでしょう」
「母はアイツと会ってる。どうせ例によって泊まりさ」
僕は藪下さんの眼鏡を取り、テーブルに置く。
三つ編みを撫でて首筋にキスをしながら服の中をまさぐり、彼女に覆い被さる。
「あぁっ…」
恥じらう藪下さんを僕はもっと見たい。

ガチャリ。キイ。バタン。
「ただいま〜。あー寒ぅ〜い!巧、雨戸閉めてくれたのね」
「おや?この靴は客人だな」
「依子さんが来てるのよね、スクーターがあったじゃない」
「えっ?そりゃまずいだろ、お前」

…さすが藪下さん。素晴らしい俊敏さだ。
鍵の開く音で僕を跳ねのけ、服を整え立ち上がり新聞を手に取った。
跳ねのけられた僕は、ソファに横たわった形になった。
偶然ひじに当たったリモコンがテレビにクイズ番組を映す。
しかもいいタイミングで数学の問題だ。
何だこの状況は…漫画かよ!

「努さん、留美さん、お邪魔しています」
「依子さん、いらっしゃ〜い!もう巧ったら、だらしないわねぇ。お茶くらい出したの?」
母に悪気はない。けれど、言葉が出てこない。
「おい…ちょっと」
父は母を隣室に呼びつけた。何やら話しているのが途切れ途切れに耳に入る。
「いかんよ……こういう時は…気を利かせて…」
「だって……えぇ?……そうかしら…あっ!ほんとね…ふふ、さすがあなたの息子…」
0756名無しさん@ピンキー2016/04/23(土) 01:16:34.00ID:H8gsQJ0d
3/3
二人が出てくる。
「ねえ、巧。お母さん、お父さんちに忘れ物してきちゃった〜」
「戻るとするよ。すまんな」
「明日のお昼までには帰るわね〜」
バタバタと玄関で靴を履きだす。
「…何なんだよ、あんたら!」
バタン、とまたドアが閉まった。
「くそ!」
僕は鍵もチェーンもかけてやった。

はぁっ、と僕は盛大にため息をついた。
「藪下さん…ごめんなさい」
「誰も悪くはありません。仕方のない事です。
ああ、私とした事が、つい眼鏡をかけ忘れてしまいました」
「ほ…本当だ」
テーブルに鎮座する彼女の眼鏡。
両親はこれを見て察したわけだな。まぁ…中学生でもあるまいし、もう別に構うものか。
眼鏡をかけた藪下さんは、手にしていた新聞のテレビ欄を見てリモコンを取った。
「映画をやっています。興味はおありですか?」
そう言ってチャンネルを変える。
「あっこれ…ちょっと見たかったやつだ。DVD買うほどじゃないし、見ます。いい?」
「どうぞ。私は解きたい数式があるので、ごゆっくり」
「ありがとう」
藪下さんは鞄から鉛筆とノートを出して膝に置き、僕の隣に座った。
彼女には悪いことしたな。この映画が終わったら、酒でも出すかなぁ。
また、いい雰囲気が取り戻せるといいんだが…
僕は、この映画の終盤に濃厚なラブシーンがある事などこの時は知らずに、字幕に目をやった。


終わり
0757名無しさん@ピンキー2016/04/23(土) 01:22:34.42ID:H8gsQJ0d
>>754の続き エロは前戯まで

1/2
この式に代入するべき数字は覚えているわ。
けれど、どうやってこの結論に至ったんだったか…
家に置いてきたもう1冊のノートがあれば早いんだけど。

集中が途切れふと顔を上げる。
目の前のテーブルに、いつの間にかお茶の入ったカップが二つあった。
「…感謝申し上げます」
私は一口飲む。今日のお茶だ。谷口さんはちらっと私を見る。
「この映画は、いつもアクション作品を作る監督が、ラブロマンスに挑戦した意欲作なんです。
二人の繊細な心の移り変わりが…いや、きみは興味がないか」

私はテレビを見る彼の横顔を眺める。椅子に深く座り、ひじ掛けに頬杖をついている。
さっきは、あんなに優しいキスをしていたのに…
谷口さんという人間は雰囲気を失うと性欲が減退してしまうことは、わかってる。
だから気晴らしにと映画をすすめた。でも、私は…

その時。女優のあえぎとキスの音が聞こえた。俳優が牛のように、うなる声も。
テレビ画面に映っているのは映画のラブシーン。
谷口さんは画面を凝視する私をちょっと気にしている。
でも場面はじきに変わり、別れのシーンになる。しばらくすると映画は終わった。
谷口さんは満足げに細く息を吐いてテレビを消した。
「…粗削りな部分はあるが、そこそこ良かったな」
「そうですか」
「私はあなたのやりかたの方が好ましいです」
「はっ?」
「声も谷口さんの方が良いと思います」
「え?」
「映画の性行為の話です」
「…よりによって、そこを拾うのかい」
「演技とはいえ他人のあんな濃密な性行為を目の当たりにして、谷口さんは平気なんですか?」
「んっ?ま、まあ別に本当にしてるわけじゃないですから。
短いし、話の展開上必要なシーンだったし…」
「干し草の初体験シーンなら興奮するのでしょう?」
「…それはもう思い出さなくていいです…」
0758名無しさん@ピンキー2016/04/23(土) 01:25:07.98ID:H8gsQJ0d
2/2
私は彼に聞いた。
「お嫌でなければ私と性行為をしましょう」
「…いつもながら、きみは良くそうハッキリ言えますね」
「恋人同士で官能映画を見てその気になる、という事はあるのでしょう?雑誌で見ました」
谷口さんがフッと笑ってこちらを向く。
「まあね…さっきのは果たしてそれに当たるのかどうか…」
彼は私の目を見、手を握ってきた。
「では谷口さん。確認のために、またキスをしましょう」
「…はい。喜んで」

「したかったよね、藪下さん…」
「あ、ん、あなたは…あなただって…」
結局、彼のベッドに来た。本の壁に囲まれて、身じろぎするとすぐぶつかる。
だから体は、彼の指示どおりに動かす。
何を言われても、その通りに…
「大丈夫ですよ…藪下さん。僕たちだけだから」
彼にしか見せたことのない部分を、今日も開かれる。
視線が注がれ、隠しようもない私の性欲がさらされて。
「こんなにして…ごめんなさい。待ってた?」
「…はいっ…はい…あ、ああんっ、んっ!」
唇で、音をたて吸い付かれる。
彼の舌は私の全てを知っていて、たやすく私の体を快感にしびれさせる…でも…
「…だめっ、こ、このまま絶頂を迎えるのは嫌です。
谷口さんと繋がって、抱き合って、達して。
二重らせん構造を描くように、一つになりたいんです」
彼の頭を押さえて私が言うと、彼はスッと離れ、優しい目で言った。
「……うん。もちろん、いいよ…藪下さんのしたいとおりにするよ?」
谷口さんは、そっと私と繋がる箇所を確認すると、いつものように挿入前に軽く息を吸った。

終わり
0759名無しさん@ピンキー2016/04/23(土) 20:14:36.41ID:H8gsQJ0d
直すの忘れてた

>>757
正「そうですか。私はあなたのやりかたの方が好ましいです」

ですね
ちくわ大明神が現れてしまった
他にもそういうの、結構あるかも知れませんが
まぁ人もいないし大丈夫かな
0760名無しさん@ピンキー2016/04/25(月) 23:40:14.82ID:FfSLOghk
ひっそーりと覗いてますw
巧依熱が未だ止まない...もう1年経つのに
0761名無しさん@ピンキー2016/04/26(火) 09:24:36.73ID:7o3VBdzu
>>760
759です。同じ人がいて良かった

人がいないからなるべく書かないようにしてますが、やっぱり巧依が好きだー
下手ですが多分また投下してしまうでしょう

不器用でラブラブでエロエロな二人が見たいなあ
0763名無しさん@ピンキー2016/04/28(木) 08:33:38.30ID:HapnlmTG
>>762
感謝申し上げます

巧依はすごくキャラが立ってるから、シチュが浮かぶとすぐ書いてしまう
年齢は大人なのにうぶで、エロとのギャップが萌えます
0764名無しさん@ピンキー2016/04/30(土) 07:40:52.03ID:GPqg+Y3Y
久々に来たら新作がいっぱい!感謝申し上げます!
いつも素晴らしい作品ありがとうございます!
私もいまだにデート愛が止まりません
まだ続編の希望を捨てられませんねw
また素晴らしい作品をお待ちしています!
0765名無しさん@ピンキー2016/05/04(水) 00:25:40.91ID:/59rCKAl
未婚 非DTSJ エロは4と5
ラブホネタです 長くてすみません

1
〈依子〉
せっかくのデートだけど、秋の連休の中華街はひどい混雑。私は花火大会を思い出す。
しかも歩きやすいようにとスニーカーで来たのに、誰かに靴ひもを踏まれた。
ほどけてしまったみたい…放置すると危険だわ。
とっさに私は谷口さんと組んでいた腕をほどき、靴ひもを結び直すため雑踏の中でかがんだ。
「あっ、あれっ?藪下さんっ!」

うかつだった。複数の通行人が私の背に当たり、不満の声をぶつけられる。
立ち上がった時は、谷口さんは人波に流され、はぐれてしまっていた。
「いけない…」
すぐに私は彼が見つけやすいよう道の端に寄り、背を伸ばす。
進行方向の遠くに目をやり、長身だけど目立たない彼を懸命に探す。
そうしてしばらくたった時。
「いた…!藪下さん…」
彼の声がしたと同時に、後ろから抱きしめられた。
肩ごしに彼を確認でき、体に巻きつく腕に私はほっとした。
「谷口さん、なぜ逆方向から?」
「きみが急に腕を離すから、急いで引き返したんです…
目立つ服を着てくれてて助かったな」
今日のファッションは動きやすさ重視。
ピンクを基調としたスポーツTシャツにパーカ、ジョギング用スパッツ付きスカートだったから。
待ち合わせ場所では谷口さんに
『まさか、ここまで走って来たの?』
なんて冗談を言われたけれど。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした…谷口さん?」
彼の腕はまだ私を離さない。その手を重ねて握ると、ひどく汗ばみ冷たかった。
「すみません…ちょっと…立ちくらみが…」
「顔色が悪いです。どこかで休みましょう」
青ざめた彼に肩を貸し、歩きだした。
0766名無しさん@ピンキー2016/05/04(水) 00:29:23.61ID:/59rCKAl
2
「…だからってなあ…こんな場所にしなくても」
「一番近くにあった、休めそうな場所がこのラブホテルでした。
幸い部屋も一つだけ空いていましたし」
谷口さんはスポーツドリンクを飲んで少し横になると、比較的早く回復した。

「昨夜から小説を5巻ぶっ通しで読み返しちゃいまして…」
夕食も取らず徹夜で読みふけり、さらに朝食も取らずわずかな仮眠をして寝坊し、そのせいで昼食も取らず。
それでデートに来たなんて!
「スティーブン・キングは一気に読むことにしてるもんですから」
あまりの不摂生に、あきれるわ…
彼はルームサービスのピザをパクパクかじりながら、
「これで“手作りピザ”を名乗るのか?なんてマズさだ!
残念ながら作り手のやる気が全く感じられないね。これならいっそ冷凍にすべきだよ」
なんて言いつつ平らげた。

「ありがとうございます藪下さん。
僕なんかのために、こんないかがわしい所に…すみません。
もう大丈夫です。そろそろ行きましょうか」
「良かったです。しかしご休憩は2時間、という表示がありました。まだ早すぎませんか?」
「えっ?そ、そのご休憩ってのはそういう目的の事でしょ。
ならそれぐらい滞在するかも知れないけど…」
彼のまわりくどい表現には慣れている。
「そういう目的、とは性行為を指しますか」
「…無論です。ここがどこだかわかってますよね。
いずれにせよ僕はこんな所は落ち着かないよ。
…そういう目的なら、きみの部屋か僕の部屋がいい」
目だけこちらを向いて言われ、少しドキリとする。
「では、先ほど見たところ、ここにはジャグジーバスがあったのですが、それは試しても良いですか」
こんな場所でも、マッサージに関しては、やはり興味をそそられてしまうから。
「なるほど、別に構いません」
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