「う、嘘?!……」

環は愕然とした。
あの「バカ雄二」が、私の本気の攻撃を容易くかわしたのだ。
おまけに反撃ま、で?!―
「ぐッ!?」

「ハッハッハ!今この世界じゃ、いかにタマ姉と言えどもオレ様の敵じゃねぇのさぁ!!」
「な、何ですってえぇっ!?」

私は視線に殺意すら込めたが、雄二は依然、余裕綽々といった感じで、なんら怖じ気づく気配もなく
挑発的な態度、言動を続ける。
(…もう、絶ッッ対容赦しないんだからね!大怪我しても後悔するんじゃないわよ!
こんのぉバカ雄二いいッ!!)

しかし―

よくあるRPGの世界で、かつ戦士職が装備するお約束な大剣を無遠慮に振り回すタマ姉の
猛攻は、悉く雄二に当たらず、全て空振りに終わってしまった。

(ま、また?!どうして?…)

「だから言ったろ?敵じゃない、て!クックックッ…!」
「ど、どういう事よ!?」
「なぁに、要するにココは(ゲームの世界)って話さ、姉貴」
いきなり姉貴呼びされ、些かの冷静さを取り戻す環。
「ゲームの世界?それが何だっ…ああッ!?私の今の格好!ま、まさか!?――」

RPG―
と言う単語、ゲームジャンルの事を思い出す環。
(確かにまーりゃん先輩が新作のゲームがなんたら、て言ってて―)
この異世界への旅の始まりは、現実世界側で立ち上げたゲーム機の暴走(爆発)による転移が
そもそもきっかけで。

「じゃ、じゃあこの世界はRPG的な世界で、私の今のステータスって!?…」
「そ。LV1(最弱)さ!!」

絶望―

環の脳裏にその言葉が浮かぶ。