環がこんなRPG、よく知らない世界に来て、その冒険に真面目に付き合う、
それも悪くないかな、と思った理由は。
「な?!今から…(タカ坊)たちとPTを組んで冒険しろ、ですって!?」
「ああ。てか「その為」にこんなふざけたゲームの世界の、茶番劇にでも付き合っても
いいかな、て気になってたんだろ、「姉貴」よ―?」
「―――――!!?」
環の中に戻ったハズの心の余裕に、ビシビシとヒビが入る。
「さあ行ってこいよ。大〜好きなタカ坊のところへ、よ」
これが雄二の「切り札」だった。
(…丸わかり過ぎだから、な)
「だ、だ誰が?!誰を好きって――!」
「タマ姉がタカ坊を、さ」
「!!」
環の顔が、目に見えて真っ赤に染まる。
「が、早くしないと、他のタカ坊狙いな奴等に盗られちまうんじゃね〜かな〜?」
「ッ?!だ、誰よ!それはッ!?」
自然と。
環から悲痛な叫び声が出ていた。
「うん?「このみ」ちゃん、とか」
タマ姉の心の余裕は消えた。
「……うそ…よ…」
「ま、事実か否か確かめる為にも、さっさと行く事をおススメするぜ」
こうして環は、急いでタカ坊たちPTと合流し、現実世界へ戻るまでの冒険をタカ坊と共にして―
「痛!つつ……強く、なったなぁ…タマ姉……がく」
「っとに…(わざとらしい)わね……」
月日が流れ、手のつけられないほど成長していたタマ姉PTたちの一方的な蹂躙劇で
「道具屋・雄二の野望編」は幕を下ろした。