「はぁ……」
脱衣場の体重計を引っ張り出し、恐る恐る両足を乗せてはそのまま落ち込んでいた腰まで届く長い栗色髪の少女――水原暦は、半ば予想していたとはいえ、残酷な数値を示す針に目線を固定させたまま項垂れていた。
「あぁ〜、やっぱりかぁ〜」
◯◯s。冬の間控えめだった運動量のもたらした結果がこれだった。
「クソ〜、こんな事になるんだったらもっと体を動かすか、しっかりと食事制限してりゃよかったよ」
後悔しても後の祭り、結果が覆ることなどない。
「こうなったらもう多少の無茶もやむを得ない……。 今日……いや たった今から一ヶ月間は肉含む油もの全般とお菓子、それと炭水化物抜きで頑張ろう!」
と、意気込んではみた物の。
―一週間後
「腹へって死にそうだ……」
机に突っ伏した体勢のまま動けなくなってしまった処で、やはり色々無理があったと気付いてしまった。
「よみ〜、あんた大丈夫か〜?」
何かと煩い友人が心配そうに覗いてくる。
「大丈夫じゃねえ……、腹減り過ぎて……」
「だったら無理しないで何か食べろよな〜。いくらダイエットっていっても限度があるじゃん。あんたさぁ、その内木村みたくガリガリになっちまうぞ」
「木村……、木村かぁ……」
ともに指摘されて浮かんだ顔、そして身体。
見事なまでにひょろくてガリガリの、痩せっぽちでメガネをかけた先生の姿だ。