再度、薄暗い部屋―

今は榊と大阪が対峙するような形になって、当時を振り返り、思い出した事を語る。

「既にあの時…智ちゃんの身体は、8〜9割方、「移植済み」な身体だったわけや」
「…当時の医療技術での、限界ギリギリの延命措置だったそうだ」

「主要な臓器のいくつかが潰れてて、移植するには迅速な「犠牲」が必要で―」

「…ほぼ「他人の身体と入れ替わりレベル」の移植がされた、と」
そう言った大阪の片目から、涙一滴。

「っ!…た、確かに知らない方が良かったかも、やわ…正直、キッついわコレ…」

「あの日」から―

ずっと疑問に思ってた、感じてた事の真相を掴んだ大阪は。

「う、ああぁぁあ…!」
榊に殴りかからんとばかりな勢いで近づき、そのまま抱きついて、号泣した。

「う、うち!自身が情けないわ!そんな大変な目にあっとった親友の事に
ろくに気づく事もなく…ずっと普通に、普段通りに!…」

榊は大阪に抱きしめられるまま、彼女の懺悔を聞く。
そして今までその事実を隠してきた、せめてもの償いと、これ以上の不幸、
辛い思いはさせまいとした思い、決意を込め、その頭を優しく撫でた。

「…いいんだ、大阪。お前たちが平和に暮らす時間、日々を、私たちが、裏側から支えたんだから」

「さ、榊さん!…っ、ぐす……」

「な、「ちよちゃん」?」
「ええ。「大阪さん」、どうか泣かないで」


「………え?」