(予想以上にキツいな、これは…)

よみは受験した大学を2つとも落ち、残る最後の1校に望みをかけるしかない、
まさに崖っぷちにいた。

「榊さんはまあ当然として。智や大阪、神楽たちが先に合格した、て報せを知らなきゃ、
もう少しは気楽でいられたかもだが」

(…て、我ながらヤな考え方をしてるな。まるで他人様の不幸(不合格)を願ってるみたいじゃない)

とある日の登校中の通学路で、よみはぼんやりそんな事を思い、今更無意味だが、と
頭で理解していても、せめてもの抵抗、或いは願掛けみたいな気持ちもこめて、
鞄から1冊の参考書を出し、ざっと目を通す。

「と、「赤」か…」
(ち。ここの信号、つかまると長いんだよな。ま、少し読み物でもしようとした
今は、逆に好都合か)

―信号が、切り替わる。

「お?今日はやけに早く変わったな」
よみは、読み物をしていたせいで、見るべき位置の「信号の位置」を見間違えていた。

しかし、普段からこの信号の待ち時間にイラついていた事と、参考書を見ていたせいで
首が少し横を向いてせいもあり。
―まだ(正面)は「赤信号」のままの横断歩道に、よみは歩き出していた。

ブロロロロ…!!

「っ、た〜!」
「はあ…はあ…!」

よみは後ろに倒れていた。

後ろから来た何者かによって強引にひっぱられ、結果そうなっていたのだ。

「な、何すんのよ?!」
「何してんだよ?!」

ハモる勢いで重なる声。

「って、え?!あ、あなたは…ひ、大山、君?……」
「え?!…み、水原さん?!!」