よみは声を裏返らせて驚く。
「まあ驚くよな、そりゃ。こっちもその連絡を受けた時は素直に信じられなかったし」
「連絡っ…て!」
よみの手首に走る僅かな痛み。
リストカットの跡―
(あ、ああ……あああ…えっ?!)
「っ?!!」
よみは、絶叫したい気持ちに駆られるその直前に、大山に強く抱き締められた。
「…きっと言うのが遅すぎたんだ。もっと俺に、自分に自信があれば、よみに「その不安」を感じさせる事はなかったんだ」
「な、何?いきなり…それにいつまでくっついてるの?ちょっとさすがに恥ずかしいんだけど」
「よみ」
「ん?」
「俺は君が好きだ。他の誰よりも」
―――――。
水原暦の思考する脳は死んだ。
「は、はあああッ?!な、なな何言ってんのアンタ!正気?!」
「大真面目だよ。さすがにこんな事を冗談で言える訳がないだろ」
大山は続ける。
「いろいろ行動を共にすることが多くなってて、環境に甘えすぎてた。
水原からの好意にはそれとなく気がついていたハズだったし、抱えた不安にも
、思い当たる節はあったのにな」
そう言われて、よみは思う。
(―いや「甘えてた」のは、むしろ私の方だろうな…)
「わ、私があなたを…まさを好きだと思ってる、って確信は何時ごろから?」
「正直ハッキリとした時間や日付では言えないな」
「なによ頼りないわね」
「はは、申し訳ない。ただ…今回の「この原因」はよみの榊さんへの「嫉妬」だと思うから」
「――――!!」
よみの心臓が凍りつく。そんな錯覚を覚えた。
(そうだ……榊さんが、彼と……!)