―7月3日 午後3時50分―

―風華学園 裏山付近―



翌日から、ミコトは登校する事になった。

舞衣はいくつかの約束事をミコトに言い聞かせ、なるべく普段と同じように過ごすように勧めた。

トイレは何時ものように女子トイレに行く事…体育の時間はスパッツの上から短パンを履く事など…ミコトの股間が他の生徒にバレない

ように、舞衣はしつこい程言い聞かせた。


そして、何とか一日目を乗り越えた…その日の放課後…


「ポチ〜〜〜どこだ〜〜〜?ポチ〜〜〜!」


ここは学園のグランドから少し歩いた場所にある裏山…

木々が生茂り、自然豊かなこの場所で…ミコトは先ほどまで子犬と遊んでいた…

約1ヶ月前に…学園の敷地内で出会い知り合った、雑種の子犬「ポチ」…

ミコトは放課後、そのポチと一緒に遊んで帰る事が日課になっていた。


「うむ…ポチは多分もう家に帰ったんだな。では、ワタシも帰るか…」


再びポチと出会うことが出来なかったミコトは、仕方なく女子寮の自室に戻ることにした。

そしてミコトは女子寮に向けて足早に歩き始めたその時…急な尿意に襲われる…


「うぅ…おしっこ…」


学園内にあるトイレには、まだ遠く…ミコトはバタバタと地団駄を踏むように尿意に耐えた。

舞衣からは「おしっこは絶対女子トイレでしなさい!!」とキツく言い聞かされていたので、ミコトはトイレに向かって走り始めた。