見るからに優しそうで、出会う人は皆つい親切にしてしまう。
朝の街中。近くに駅がある為、足早に通り過ぎるサラリーマンやOLが多い。
彼だけが駅に向かわず、通りの端に立ち、歩く人々を見ていた。
まるで品定めをしているかの様に。
彼の目が一点を見つめる。それは年若いOLだった。
服装の規定が厳しい会社なのか、長い髪は後ろにまとめ、薄化粧で、アクセサリーも付けていない。
にも関わらず、目鼻立ちが整っているせいか、見た者を釘付けにしてしまうくらいの美人。
彼女に決めたのか、彼は足早に近づき話しかけた。
「あのー、すみません。ちょっとお願いがあるのですが」
朝の通勤中に突然人から何かを頼まれる場合、良くてビラ配り、次に良く分からない街頭調査、最悪は宗教の勧誘あたりか。
彼女は明らかに不機嫌そうに顔を向けるも、彼の顔を見た途端に笑みを浮かべる様になった。
彼の圧倒的な優しさのオーラが彼女にも伝染した為だ。
何でもしてあげたい。そんな想いが彼女の胸に自然と浮かぶ。
彼女は親しみを持った声で返事をした。
「はい、何でしょう」
彼は言った。
「キスをして頂けないでしょうか」
「はい、構いませんよ」
それくらいなら、と彼女は彼に顔を近づける。
重ね合う唇。彼が深く求めるので、次第に荒々しい口づけになっていく。
彼の手が左手は胸に、右手はスカートへ伸びていく。彼女は抵抗しなかった。
シャツのボタンを外し、ブラの隙間に手を入れられても、スカートをたくし上げ、尻を揉みしだかれても、彼女は親切心で受け入れる。
後でトイレで身だしなみを整えれば良い程度の事だ。彼が喜ぶ為なら安いものだ。
もちろん通りのど真ん中でそんな行為をしている訳だから、近くを通りかかる人は皆ギョッとする。
しかし、彼の顔が視界に入った途端、まるで微笑ましい光景を見ているかの様な顔をして去っていく。