ガンダムヒロインズMARK ]Y [無断転載禁止]©bbspink.com

183名無しさん@ピンキー2017/11/21(火) 03:19:37.38ID:17rFs6Dd
カールルイスそろそろ髪が伸びたかな

184名無しさん@ピンキー2018/01/20(土) 19:09:27.86ID:uUbThqr6
ルー・ルカの髪コキみたい!!

185フェニックステイル第28話投下準備2018/03/01(木) 00:28:54.29ID:pVlbX2Og
お久しぶりです。
連投規制でどこまで投下できるか分かりませんが、ひとまずやってみます。

186フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:31:50.64ID:pVlbX2Og
「さて、――仕上げですね」
 多数のモニター群が一面の壁を埋め尽くす密室。そこに余すところなく映し出されているのは、エゥーゴ戦艦《ジャカルタ》艦内の各所だ。
 通常であればここは、艦内の保安警備要員によって操作されるべき場所に思える。
 しかし今それらのモニターを見つめているのは、ジャカルタ本来の保安警備要員ではない。
 ここにいるのは、思い思いの姿勢を取ったMS隊のパイロットたち――それも、全員が若く美しい女性たちだった。
 そもそもこの部屋自体が正規の《アイリッシュ》級戦艦の規格に含まれておらず、艦内図にも載せられていない。
 ここはジャカルタ乗員の中でもごく一部の限られた者たちだけが存在を知る、言うなれば秘密の小部屋であった。
「あらあら、メイヴ。またリアンナの悪い癖ですか」
 真っ直ぐの豪奢な金髪を靡かせながら呟いて、華やかな影が室内前方をすうっと過ぎる。
 均整の取れた肢体に豊満な甘みを宿した美女は、画面群の一室に蠢く二人の影を眺めて悪戯っぽく微笑んだ。
 二つ連なった画面には、ブラジャーを掴んだままプルプル震える旧ジオン公国軍パイロットスーツ姿の巨漢と、
その磨り硝子のドアひとつ隔てた向こう側で気持ちよさそうにシャワーを浴びる童顔の巨乳美少女が映し出されている。
「――彼女が志願してくれたおかげで、我々は《ルスラン・フリート》と交渉するための『裏口』を容易に入手できます。
 リアンナの奇矯な趣味も、今回ばかりは我々の利にかなうということですよ、ルチア」
 室内後方のコンソールに付いていた、メイヴと呼ばれた褐色の女性が口を開いた。
 その胸元は慎ましやかだが、すらりとした群を抜くほどの長身と、南方系の涼やかな美貌は同じく目を引く。
 メイヴは何の感情を見せることもないまま、ただ画面群をじっと見ている。
 いずれ劣らぬ美女美少女たちの中、輝くばかりの金髪に豊満な女体を併せ持って正面に立つルチアと、黒髪黒肌にすらりとした長身で陰に控えるメイヴ。
 二人の美女はさながら、ジャカルタMS隊に輝く太陽と月である。
 寡黙で感情と存在感を表に出すことは少なくとも、彼女ら一党の背後で必要な動きをことごとく掌握しては細やかにこなすメイヴが、
半ば畏敬を込めて『メイド長』と渾名されているのも、至極もっともな説得力があることだった。
 そしてメイヴが『メイド長』なら、ルチアはたとえ直接にそう呼ばれることはなくとも、間違いなく『第一夫人』だった。
 この一室に集う女たちの間で、その序列は鮮烈に刻みつけられている。
 ジャカルタ軍医を兼務する第二小隊パイロット、シャノン・ヒュバート少尉はそんな二人を視界の隅に留めつつも、画面の中で沈痛な面持ちのまま通路を流れていく戦友、マイン・ハフナー少尉を追っていた。
 マインは二人の舎弟を従えてエゥーゴに参じた、旧ルウム宙域の鉱山衛星出身の荒くれ者だ。
 顔立ちは整ってはいるがとにかく目つきと態度が悪く、それでいていっそ下品なほどに乳房は大きい。
 ルチアの豊満なバストをも上回るそのインパクトで、艦内の男たちから下賤な話題を一身に集めていたのがマインだ。
 もっともそんな軽口が本人の耳に入れば、胸倉を掴み挙げられ、物陰へ連れ込まれて痛い目に遭わされることになっただろうが。
 そんな彼女は先日のMS戦で、自機のコクピットを敵機のビームサーベルに貫かれた。
 機体の誘爆こそ免れたものの、リニアシートを含むコクピット主要部は完全に蒸発。通常であれば金髪の爆乳美女の肉体は、メガ粒子の奔流の中で骨も残さず塵に還っていただろう。
 だが、そうはならなかった。
 マインに秘められたとある特殊な因子の発動が、彼女の肉体と生命を、ガンダリウムγ合金すら蒸発させる超高熱の中で守り抜いたのだ。
 そして、その反動で彼女は発情し――嫌ってさえいた男に自ら懇願して処女を貫かれ、さらに想像を超える快楽の絶頂で、その膣内へと大量の射精を受け止めた。
 シャノンはその情事の一部始終を観察し、記録し、分析していた。何の感情もなく、ただ淡々と――その事後の状況も含めて。それが彼女の使命だからだ。
 そんなシャノンの柳眉が、ぴくりと動く。薄い唇が言葉を紡いだ。
「ん、……あの連邦制服の少尉、――見ない顔ですね」
 マインの行く手でジャカルタの男性士官二人に絡まれていた、長い赤髪の少女だ。連邦軍士官制服を着ている。彼女もまた、この部屋に集った女たちに劣らぬほどの美貌を備えていた。
 マインは男たちから彼女を助けて連れ出し、二人はそのままリフトグリップで流れていく。

187フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:32:22.34ID:pVlbX2Og
「確かにそうですね、シャノン。密航者? ――いや、……」
 言いながら端末を操り、メイヴはMS格納庫を拡大する。満身創痍で収容されたジオン残党MS三機のうち、コクピット内にパイロットを残すのは一機だけになっていた。
 電話を取って現場の整備兵に聞いてみれば、ドラッツェのパイロットがどうも腹の具合を悪くしたという。
 そして少し目を離した間に、マインと謎の少女士官は意気投合したらしかった。二人揃って再びリフトグリップを握り、進路を変えながら移動していく。
 その二人が向かう先に、リアンナの居室はあった。メイヴはひとり得心し、静かに頷く。
「――なるほど。繋がりましたね」
「どうしますか?」
 話の流れを読んだシャノンが、素直にメイヴへ質問を投げる。
 保護したジオン残党兵の少佐を色仕掛けで落とす、などというリアンナの計画は馬鹿馬鹿しくなるような代物ではある。
 だがその手の技能は彼女の十八番でもあり、また古典的なだけに一定の効果は確実に期待できる手段だ。
 ここで邪魔を入れられるのは、決して面白い話ではない。
 さて、どうするか――
 ルチアの口元に不敵な笑みが浮かんでくるのを横目に、シャノンはふっと息を吐いた。

188フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:33:51.49ID:pVlbX2Og
「ふふ、おじさま。いいお湯でしたわ――」
「は、はおっ。はおおおおおーーーッッ!!」
 剥き出しの肩から湯気を溢れさせながら、栗毛の美少女は禿頭の巨漢を狙って迫り来る。
 幼ささえ感じさせる肢体へアンバランスに、そして豊かに実った胸元の果実がふたつ、歩を進めるたびたわわに揺れる。
 白い肌を湯上がりの熱に火照らせながら、無防備な女体にバスタオルひとつ巻き付けて迫り来るリアンナへ、ドッツィは両手を振り回しながら悲痛に叫んだ。
「あ、アカン!! 頼む、服着て! 後生やから!! まず服着てや!! 湯冷めして、風邪っ! 風邪引いてまう!!」
「あら? おじさまの方こそ、殿方の大切な部分が、こんなに大きく熱くなってしまっておりますわよ。
 いけませんわ、お風邪を召されてしまわれたのではなくて? ああん……早く、何とかしませんと……」
 リアンナは蠱惑的な視線を向けつつ、今やノーマルスーツの上からもその存在を確認できるほどに堅く盛り上がったドッツィの巨砲に舌をなめずる。
 互いに息のかかる距離まで追いつめ、そっと手を伸ばしてきた。
「ハオーーーッ!!」
「あぁんっ!?」
 蛇に睨まれた蛙と化したドッツィは、それでもその手を跳ね除けた。声を絞り出しながら、迫る少女を押しとどめる。
「あ、アカン! アカン……こ、こんな、会うたばっかりのオッサンに、いきなり……いきなりは、アカンっ。
 あのな。お、女の子は、もっと、自分を大切にせなアカン……!! せ、せやないと。せやないとな……」
「くすくす。そうでないと、――どうなりますの?」
「……せ、せやない、と――」
 そうリアンナが問うた瞬間、風が揺れた。
 巨獣のごとき身のこなしで跳躍するや、ドッツィは瞬時に少女を壁際へ組み伏していた。巧みに関節を極めて完全に動きを封じ、彼女の死命を制する位置を確保している。
 ドッツィはその耳元から、今までの狼狽具合が嘘のようにドスの利いた声を吹き込んだ。
「世の中、まともな男ばっかやあらへん。――何されてまうか、わからへんのやで」
「あら、あら。うふふ――」
「一年戦争の時分、ワシは地球方面軍におった」
 腹の奥底深くで澱のように溜まった、決して溶け出すことのない何かを搾り出そうとするかのようにドッツィは言った。
「北米や。荒れ果てた戦場で生きる術をなくした地元の女の子が無理に稼ごうとして、荒んだ兵隊にほんまに惨い目に遭わされるところも、嫌っちゅうほどなんべんも見たわ」

189フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:34:38.53ID:pVlbX2Og
 乾いた大地に広がる爆撃の瓦礫。コロニー落としが遙か高空まで巻き上げた塵に覆われ、晴れることのない曇天。
 HLVから荒野に降り立つ軍靴。故郷を遠く離れた地球の重力、コロニーの人工環境とはかけ離れた荒れ狂う天候に戸惑う公国兵たち。
 敵地。
 ゲリラ化した連邦軍の残存部隊と、市民に溶け込む地元民兵の抵抗。突然の狙撃で倒れる戦友、脈絡なく炸裂する仕掛け爆弾で消し飛ぶ車列。見えない敵が神経を苛む。
 自宅も家族も失い、焼け出された少女たちが夜の街頭に立つ。傷ついたジオン兵たちへ向けられる、強ばりを隠しきれない笑顔。兵士たちに誘われ、一人二人と連れ立っては闇に消えていく。
 そして風の冷え切った夜明け頃にもまだ、路傍に姿を留める少女たちがいた。
 ある者は廃屋に高く吊され、またある者は裏路地に捨てられたまま冷たくなって。
 大地へコロニーを落とした侵略者に媚びる売女。もしくは物陰から自分たちをつけ狙い、情報を聞き出すゲリラの一味。
 あるいは、理由など何でも良かったのかもしれない。弱く孤立して狙いやすく、壊して楽しい手頃な獲物でありさえすれば。
 そうして少女たちを殺し続けていた自軍兵士のひとりを、かつてドッツィは追いつめた。銃撃戦の末に横たわった彼の死に顔は、まだ幼くあどけない少年のそれだった。
 戦場という状況の巨大さを前にして、たかが一士官に出来ることなど何もなかった。だからただ、彼はそれを見ていた。その狂気に呑まれぬよう、必死に自分を保ちながら。

190フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:36:22.29ID:pVlbX2Og
「――せやから、な。後生やから、そういうの、やめや」
 無重力ゆえドッツィの巨体に伸し掛かられても、リアンナがその体重そのものに圧されることはない。それでも彼女は必殺の位置を取られたまま、身じろぎひとつも出来ずにいる。
「あら。私、殿方に無体に嬲られるのは、慣れておりましてよ?」
 そしてリアンナは、にっこり微笑んで話し始めた。
「だって私、もとから箱入りの性奴隷でしたもの」
「――は?」
 居室の窓から覗く暗礁宙域。一面に漂うスペース・コロニーのデブリ雲から照り返す月光の下で、リアンナは今までと寸分変わらぬ笑みを浮かべていた。
「宇宙移民から一代でのし上がった、立志伝中の実業家。彼が自身の欲望を満たし、そして権力者たちの欲望までをも抱き込んで己の権勢を拡大するために築いた、最高級の性奉仕に勤める少女たちを箱詰めで育てる学園。物心付いた頃には私、もうそこにおりましたの」

191フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:37:13.96ID:pVlbX2Og
 すえた臭いの広がる、コロニー内の裏通り。ゴミ箱を漁る幼い孤児たち。
 その一人の幼女の腕を、不意に男が高く引きずり上げた。汚れた顔を値踏みするようにまじまじと見て、合格、と呟いてニヤリと笑う。
 彼女が男にそのまま荷物のようにエレカの荷台へ放り込まれても、気にする者は誰もいなかった。そういう場所だった。
『学園』へと拾われてから、少女の生活は一変した。
 清潔な衣服、温かい食事と寝床。まだ両親が生きていたときですら、これほどの贅沢は味わえなかった。
 洗練された知的な女性を育て上げるための、充実した教育。各種の学問、高度な礼儀作法――そして大人たちと密室で肌を合わせて喜ばせるための、様々な技術と実践。
 それらの中でも何より重視されたのは、『先生』の偉大さだった。
『先生』と呼ばれる創業者にして学園創始者がどれほど慈悲深く、学園へ集められた少女たちにとって、心より深く感謝しなければならない絶対の存在であるか。
 幼い心へ無条件に刷り込まれた絶対の忠誠の中で、『先生』から『夕食会』に呼ばれることは少女たちにとって最大の名誉であり幸福であり、彼女たち自身の序列を決定するものだった。
『夕食会』の相手は『先生』本人ではないことも多かったが、『先生』が選んで示した相手を全力で喜ばせることも、また少女たちにとって無上の喜びであるとされていた。
 たとえ夕食会の夜を共にした大人から、どれほどの苦痛と暴力を恐怖とともに刻みつけられるとしても。
 夕食会に連れ出されたまま二度と帰らず、そのまま存在そのものを消される少女たちがいても。
 ここは変だよ――そう言った少女がいた。
 何がきっかけだっただろうか、その頃に仲良くなった少女だ。心の底からは周囲に馴染めなかった少女に、初めて出来た友達。そう。友達、だった。
 大人たちが近くにいない時、彼女はいつも学園の外の世界の話をしていた。決して越えられない学園の壁の向こう、もう戻れない世界の話を。
 そして初めて呼ばれた『夕食会』の後、二人だけになったとき彼女は泣き出し、少女の手を強く掴んでそう言い出したのだ。
 ――逃げよう。
 だが少女は、彼女のその手を握り返せなかった。
 泣いた彼女は、その翌日に姿を消した。
 人づての噂で『再教育』と称して、校舎や寮から遠く離れた建物の一室へ閉じこめられたとも聞いた。学園を囲む森の中で、野犬のように殺されたとも。
 真相は分からないままだ。
 少女の隣にぽっかり空白を残したまま、何事もなかったように、日々は続いていく。
 繰り返される夕食会。全身を這い回る舌と手。打擲。首を締め上げる手。薄れる意識。侵入と汚濁。



「でも、――そんな日々は突然に終わりましたの。あの日。U.C.0079、1月15日――」

192フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:37:51.92ID:pVlbX2Og
 ルウム戦役。
 艦隊戦が始まる前からすべてを呑み込んでいた大混乱の中、本社からの連絡も途絶して、ただ右往左往する学園の教師たち。
 理事長ら学園幹部はお気に入りの少女たちを連れて、とうの昔にコロニーから逃げ出していたらしかった。残されたのはコネも権限のない、見捨てられた大人たち。
 そして教師たちからの指示なしでは自ら避難することすら出来ず、ただ呆然とコロニーの河から見える光の瞬きを見上げることしかできない少女たち。
 そんな箱庭の世界を貫く、巨大な火柱。コロニーの外壁を撃ち抜いたメガ粒子砲の火線だ。吸い出されていく空気に、遠く離れていても学園の木々がざわつき、あざ笑うように窓が鳴る。
 戦闘中にも関わらず破孔を塞ごうと、コロニー公社の作業ポッド群が必死に作業するのも間に合わないまま、艦砲射撃はなおもコロニーへ弾着し続け、その一弾がついに学園の本部校舎を直撃した。
 孤児だった少女をこの学園に拾い上げて衣食住と教育を与え、何度となく性の奉仕を求めて幼い心身を貪り、外の世界での自由を求めた少女たちを厳しく罰してきた大人たちは、灼熱の劫火に焼かれて一瞬にして塵に帰った。
 今までずっと手足を、そして魂までをも戒めていた、見えない枷が燃え尽きたことを少女は知った。
 そして風が激しさを増した空を見上げたとき、少女は破孔の先で宇宙に浮かぶ単眼の巨人を見た。
 肩に負った重厚な砲身を彼女へ向けて身構える、緑色の機体。その力強く神々しいまでの美しさに、ああ、そうか、と少女は悟った。
 やはり『先生』よりも偉大な『神様』は、この世に在るのだ。
 MS-06C《ザクU》はコロニー外壁に開いた破孔を精確に狙い、ザク・バズーカから280mm径の核砲弾を発射した。
 箱庭は消えた。
 同じ軌道でその日同じように燃え尽きた、二十億の人間と同じように。

193フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:38:57.49ID:pVlbX2Og
「ジオンのザクは、私の解放者でしたわ」
 華やかな満面の笑みを浮かべ、リアンナは恍惚と語る。
「ジオン軍はあの腐りきった世界を焼き払って、私を解き放ってくださいましたの。――そうして世界の汚れた半分を焼き滅ぼした後も、おじさまは戦い続けた。
 やがてザビ家の公国が敗れても、連邦が放った無数の追っ手を討ち平らげながら、絶えることのない戦いの中を生き延びてきた……」
 ドッツィに手足を戒められたまま、リアンナは唇に舌をなめずる。獲物を狙う蛇のように。
「あの破壊と殺戮と闘争の中で、極限まで研ぎ澄まされてきた戦士の魂が放つ、溢れんほどの生命力。私は何よりも、それが欲しいんですの。
 金と権力だけが取り柄の、薄っぺらな男たちとは違う――あの戦争に磨き抜かれた本物の『男』だけが持つ力と欲望を、……私のいちばん奥に刻みつけて、……私を完全に、壊してほしいんですの……」
「…………」
「おじさまなら、今の私を壊してくれる。そのためでしたら私、何でもいたしますの。何をされても、構いませんわ……――おじさま?」
「すまんな」
 くすくすと笑うリアンナの四肢を戒める力が、不意に緩んだ。それと同時に、ドッツィの巨体が彼女に重なる。リアンナを力強く抱きしめていた。
 ようやく、始まる――今まで何度となく重ねてきた、しかし待ち望み続けてきた初めての情事を思って微笑みかけたリアンナの耳に、耳慣れない音が聞こえた。
 それは巨漢が全身を震わせて泣きむせぶ、嗚咽だった。
「すまんなあ、――すまんなあ。ワシら大人が、不甲斐ないばっかりに。お嬢ちゃんみたいな子らに、……えろう辛い思いばっかりさせてもうて……」
 言葉を何度も詰まらせながら、ドッツィはリアンナをその腕の中へと抱きすくめる。
「辛かったやろ。怖かったやろ。堪忍な。堪忍してや、……ほんまに、すまんなあ……」
「……おじさま? 嫌ですわ。私、辛いことなんか、何も、……何も――」
 言葉のやりとりは、そこで止まった。
 身動きも出来ないまま、ただドッツィの嗚咽と互いの呼吸と心音を聞くだけの時間が流れる中でリアンナは不意に、その懐かしい感覚に気づいた。
 ずっと遠い昔。まだ彼女が物心つく前に死に別れた――父親の、記憶。
 学園で過ごした日々も、その後の八年間も、一度も得られることのなかったもの。
 啜り泣くドッツィの腕の中、その懐かしく暖かな温もりのなかで、リアンナは戸惑う。巨体を押しのける力もなく、何よりもその意志が出ないことに。
 そんな彼女たちの頭上に、間の抜けた呼び鈴が鳴る。
 最初の一度から少し間を置き、続けて何度も。
 それでも二人がそのまま動けずにいると、異常に強烈な金属質の打撃音が、二人の背後――部屋のドアから響きわたった。

194フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:41:23.94ID:pVlbX2Og
「オラァーーーッ!! 出てこいリアンナァァァーーーッ!!」
 ガゴーン! ガゴーン! と戦艦ジャカルタ居住区の回廊に炸裂する、工事現場のごとき破壊的騒音。
 その正体は長身の金髪爆乳美女が鉄パイプを振り上げて繰り出す、異様に腰の入った強烈無比なフルスイングだ。一撃ごとに火花が飛び散り、頑丈そうなドアが凹む。とんでもない腕力だった。
「居留守ブッこいてんじゃねぇぞオラァ! いるのは分かってんだよ! 観念しやがれ、出てこいリアンナッ!!」
「ご、後生やから止めてっ、止めてや姐さん! なんか、ウチが思ってたんと違う!! こんなん、ポリが! ポリスメンが出てきてまうッ!!」
「じゃかぁしぃッ、何がポリだ! ポリ公で済むならエゥーゴは要らねェんだよ!! あたしは今最高にムカついてんだ!
 オラァ、いつまでも暢気にシカトぶっこいてんじゃねぇぞリアンナァ!!」
「あ、ああ……っ、あああああ、あああああああ〜〜〜!!」
 自信満々の態度で、目指すこの部屋までデティを導いてきたマイン。
 彼女は秘密の合鍵を持っているなり、あるいは巧みに交渉するなり、いずれにせよもっとソフトでスマートな方法を用意しているものとばかりデティは想像していた。
 だが今のデティはあまりに原始的かつ衝撃的な光景を前に、もはや為すすべもなくか弱い乙女となって立ち竦むだけだった。
 到着当初に数回ほど呼び鈴で穏便に呼びかけた後、内側からの反応なしと見るや、マインはどこからともなく取り出した謎の鉄パイプで猛然と破壊工作を開始したのだ。
 デティが止めに入れる暇など、無かった。
(終わった)
 極めて的確に現状を把握しながら、さりとてもはやデティに出来ることは何もなかった。
 下手をすれば、いやしなくとも、もはや現状は既に艦内破壊工作である。こうなれば破壊工作共犯の罪状までは被るとしても、当初の目的であったドッツィの救出だけは完遂するしかない。
 というか本当にもう、それ以外にない。
 ここまで来ればデティとしては運を天に任せて、マインが扉をこじ開けてくれるのを待つほか無いのだった。
 今はただ、せめて艦のMP(ミリポリ)が殺到する前に、ドアが叩き壊されることを祈るのみ――
「ドラアアァーッ、――おおおッ!?」
 その猛然と乱打していたマインが鉄パイプを振り上げたきり、突如として破壊の手を止めた。
 ドアが開いたのだ。
 打撃でフレームが歪んでいたためかドアはレールの途中で止まったが、とにかく人が通るには十分だった。
「あっ、兄ィーーーッ!!」
「ケッ、手こずらせやがってっ」
 デティは思わず叫びながら、それでも咄嗟に室内へ飛び込んでいた。マインも悪態を吐き捨てながらそれを追う。
「――ひッ……きゃっ、きゃあああああーーーっ!!」
「おい、どうしたデティ――おおッ!?」
 そして真っ先に飛び込んだデティは、絹を裂くような悲鳴を上げて立ちすくんだ。瞬時に沸騰するように真っ赤になった顔面の前を両手で隠す。
 追ったマインが何事かと見れば窓の下、全裸のリアンナを禿頭巨漢の中年男性ジオン兵が組み敷いていた。
 どう見ても強制性交罪による現行犯逮捕待ったなしの事案だったが、ドッツィはなぜか赤く泣き腫らした顔をしており、リアンナの方も涙の粒を浮かべたまま、狐に摘まれたような顔で二人の乱入者を見ている。
「あ、あの、ど……どちらさん、ですやろか……?」
 鉄パイプを肩に背負って睨みつけてくる凶暴そうな金髪の長身爆乳美女と、きゃあきゃあと叫びながら赤い長髪を振り乱して恥じらうだけの、見慣れない連邦軍士官の美少女。
 いずれとも面識のないドッツィは、すわ美人局ヤクザの襲撃かと身構えつつも、美しい娘二人の微妙な場違い感と『らしくなさ』に気圧され、リアンナを守るように抱きしめたままその場に竦む。
 そんなドッツィの戸惑いをよそに、リアンナが平然とした口調で問いかけた。
「――あら? マインさん。どうされましたの? ずいぶん乱暴なノックですこと」
「うるせえよ。お前のお目当てのオッサンの子分が、兄貴を助けてくれってうるせえからよ。ちいっと手伝いにきてやったのよ」
「あ……っ、あ、兄ぃ……な、なんも、されとらへん? え、……えっちぃなこと、……まだ、なんも……されとらへん……?」
 マインに紹介されながら、しかしデティはまだ両手を顔の前にかざしたままで、あられもない二人の現状を直視できずにいる。

195フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:42:34.33ID:pVlbX2Og
「え……? お、……おまえ、まさか、デティ、……か……?」
「あ、……あううぅ……っ……」
 ドッツィの目の前に現れた気弱でいっそ儚げな美少女と、命知らずの義兄弟の印象はまったくと言っていいほど一致しない。
 しかしよくよく見てみれば、その顔立ちは確かにデティのような――
「あああああーーーっ!!」
 まじまじと見つめられたデティは内股でもじもじした挙げ句、急に奇声を発して近くのトイレへ飛び込んだ。
 呆気に取られた一同が見守る中、ガタガタと狭い空間で暴れるような騒々しい音がしばらく響き、やがて再びドアが開く。
「フッ、……ハハハハハッ! 待たしたな兄ィ! デティ・コイヤー参上や! 助けに来たでぇッ!!」
 そして勢いよく飛び出てきたのは、ドッツィと同じジオン軍パイロットスーツ姿の美少年――デティ・コイヤー軍曹だった。ビシイッ、とリアンナの顔面を力強く指さして挑発する。
「もう大丈夫やで兄ィ! このワシが来たからには、もはや淫乱ロリ乳クソ雌ビッチ風情の好きにはさせへんで!!」
「おおおおお……? おい、デティ……お前ってこっちの、……こういうのが素なの……?」
 今までの気弱さが嘘のような豹変ぶりにマインは一瞬戸惑ったものの、すぐにただただ感心し、その豊かな胸を持ち上げるように腕組みした。
「ヘッ、やるじゃねぇか……お前、なかなかの役者だな。気に入ったぜ!」
「おう、世話になったわ姐さん!! ほんじゃあの、ビッチ姉ちゃん。うちの兄ィは返してもらうで!」
 二人の闖入者は互いにニヤリと笑い、サムズアップを交わし合う。
 置いていかれたままのドッツィはぐいぐい押し込んでくるデティ相手に、それでも必死に説明を試みようと口を開いた。
「お、おい、デティ。なんかいろいろ誤解しとらへんか? ちゃうねんで。この子はな、シェンノート少尉はな――」
「結構ですわ」
 だがドッツィが試みようとした弁明を、リアンナが横からぴしゃりと断ち切った。にべもない口調で、誰とも視線を合わせずにデティへ続ける。
「残党軍の方ですのね? お望みでしたら、このまま連れ帰ってくださいまし」
「ぬっ……?」
「おい。いいのかよリアンナ?」
 どこか拍子抜けしたように怪訝に睨むデティの脇で、リアンナの執着を知るマインが質しても、彼女の態度は変わらなかった。
「ええ、結構ですわ。興醒めですもの。私――もう、その方には興味ありませんの」
 ドッツィから解放されて立ち上がるや、リアンナは髪をいつものポニーテールにまとめていく。
「しょ、少尉!」
 その裸身をかろうじて隠すバスタオルが剥がれ落ちそうになるのを、ドッツィが慌てて押しつける。
 だがリアンナはそれにも興味なさそうに受け取るだけで、淡々と着替えの下着を取り出しにかかりながら言い捨てた。
「お返ししますわ。お引き取りくださいまし」
「少尉……」
「はっ、そうかよ。そりゃあ良かったな。お前の吠え面が見れただけでも、あたしは今夜の飯がうまいぜ」
 何か言いたげなドッツィをよそに、マインは機嫌良さそうに笑ってみせた。デティの肩をばんと力強く叩く。
「良かったじゃねぇかデティ。お前の大事なおっさんは傷物にされずに済んだってよ」
「おおきにな姐さん! ほな、兄ィ。行くで!」
 リアンナの知己らしいエゥーゴの爆乳美女と親しげに渡り合いながら、デティは未だ状況へ追いつけないままでいるドッツィの手を取った。
「い、いや、行く言うてもなデティ。人様の艦で勝手に、どこ行くいうねん――」

196フェニックステイル第28話2018/03/01(木) 00:43:29.86ID:pVlbX2Og
「あ、あの――」
「ん?」
 そのとき半開きのドアから、室内へと新たに声が掛けられた。
 立っていたのは赤毛を後ろで短く一本に括った、エゥーゴ制服の少女だった。
 リアンナほどではないが小柄で、その胸元は慎ましやか。マインやリアンナのような華やかさには恵まれずとも、素朴な清純さがある可愛らしい少女だった。
 おずおずと小動物のように室内を覗き込んでいる。
「あぁ? なんだケイティ。お前、何しに来た」
「は、ハフナー少尉……」
 マインから苛立たしげにその名を呼ばれて、可憐な少女はひっとその場に立ち竦んだ。それでも勇気を振り絞るように室内へ入ると、ケイティはドッツィへ向き直った。
「ど、ドッツィ・タールネン少佐と、お連れの方でいらっしゃいますね……? 本艦第二MS小隊所属、ケイティ・ブラウン伍長と申します。本艦MS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉より伝言です」
「!」
 その名にマインの肩がぴくん、と跳ねるのも構わず、ケイティは恭しく続けた。
「たいへん申し訳ございません。お部屋の手配に手違いがございました。新しいお部屋をご用意させていただきましたので、そちらにご案内させていただきます」
「さ、さいでっか……え、えらいとこに来てもうて、すまんのう……」
「おう、大儀じゃのう」
 常識人然とした少女を混沌とした状況で迎えて申し訳なさげに答えるドッツィをよそに、デティは腕組みしながらさも偉そうにふんぞり返る。
 そんな二人に苦笑しながらも、ケイティは次に視線をマインへ移した。
「あ、あははははは……それと、――ハフナー少尉。今の体調と、その、ドアの件で……隊長のところまで、私と来ていただけますか」
「――あん?」
 マインは恐ろしげな表情でケイティを睨みつけたが、少女はその圧力をぐっと堪えた。しばらくガンを飛ばしたのち、マインは舌打ちして自身の金髪をくしゃくしゃとかき回した。
「あー……、ちっ。わーったよ。いいぜ、野郎の面ァ拝みに行ってやる。ちょうどスッキリしたとこだしな――あたしもいろいろ言ってやりたいことがある。ありがとよ、デティ」
「姐さん……! なんや、出入りか? 大丈夫なんか! 加勢しよか!?」
「バーカ、要らねえよ」
 マインはさっぱりとケイティへ答えると、肩を回しながら血気盛んに詰め寄る、もはや誰の舎弟なのかもよく分からなくなってきたデティを軽くいなして笑った。
「だがありがとよ、お前のおかげで元気が出たぜ。オッサンもこれに懲りたら、もう悪い女に引っかかんなよ。また後でな!」
「お、おう……」
「で、では皆様、こちらへ……私がご案内いたします。シェンノート少尉、失礼します」
 わいわい騒ぎながら狭いドアから一人ずつ退出していくと、闖入者たちの気配はすぐに遠のいた。
 遠隔操作でドアを閉めきり、再び一人だけになった自室の中で、リアンナはベッドにうずくまりながら、監視カメラの死角で小さく呟く。
「――おじさま」
 ドッツィの匂いと体温がわずかに残るバスタオルを裸身に強く抱きしめながら、リアンナはそっと瞼を閉じた。

197フェニックステイル第28話投下終わり2018/03/01(木) 00:44:36.00ID:pVlbX2Og
今回は以上です。
挿絵の準備完了後、pixivとハーメルンにも投下します。
次回は濡れ場になる予定です。

198名無しさん@ピンキー2018/03/01(木) 21:02:38.23ID:082G7mSI
>>197
乙ガンダム!

[PINK][/PINK 18/30]
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