ガンダムヒロインズMARK ]Y [無断転載禁止]©bbspink.com

1 : 名無しさん@ピンキー2016/02/13(土) 12:36:34.15 ID:P5MOE7O9
語るも良し!エロパロ書くも良し!
ガンダムの娘ッ子どもで妄想が膨らむ奴は集え!

ガンダム以外の富野作品やGジェネ、ガンダムの世界観を使った二次創作もとりあえず可!
で、SSは随時絶賛募集中!

■前スレ
ガンダムヒロインズ MARK ]X
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1385961055/

■関連スレ
ガンダムビルドファイターズでエロパロ
http://nasu.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1381888018/
133 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:01:08.56 ID:6cnyIs3r
『長々距離レーザー通信、接続状況最終確認――導通及び感明良し』
 地球を取り巻く広大な宇宙空間に、幾重もの中継を経たレーザー通信の回線が繋がる。月の傍らから地球の反対側へ、ラグランジュ点からラグランジュ点へと遠い、遠い距離を隔てて、電気信号が走り抜けていく。
 ノイズ混じりに画面が開いた。高級士官用執務室が映し出される。画面の下端に小さく"Side 7 : Green Noir 2"の表示。
 中央の席に略式軍帽を被った赤い眼鏡の男、そして傍らに髭の参謀将校が立っているのを確かめると、若い女の声が議事を淡々と告げはじめた。
『グリーンノア2の皆様、おはようございます。それではこれより新サイド4宙域における過去一週間の状況に関して、サイド4駐留軍《P-04》基地より、最新の連絡を実施いたします』
 画面が切り替わる。最初に像を結んだのは、宇宙を行く艨艟の静止画像。暗礁宙域を背にしたサラミス改級巡洋艦だ。周囲には地球連邦軍の量産型MS、RGM-79R《ジムU》が数機。画面の片隅に小窓が開いて航路図を示す。
『2月25日。新サイド4駐留艦隊第441戦隊所属の巡洋艦《アバリス》は、同暗礁宙域外縁部を平常通りに哨戒任務中のところ、
 同宙域深部を拠点に活動する大規模ジオン残党組織《ルスラン・フリート》配下と思われるMS小隊に襲撃されました』
 同時に『参考資料』と題された数枚の静止画像が展開する。旧ジオン公国軍の量産型重MS、MS-14A《ゲルググ》三機。それぞれの両肩にはそれぞれ独特のチャイニーズ・キャラクターが一字ずつ。
『奇襲を受けて展開したジムU四機のMS隊を殲滅され、アバリスも轟沈しました。
 同じく近傍宙域で哨戒任務に当たっていた第223戦隊所属の同級巡洋艦《トラキア》がMS隊を緊急発進させながら駆けつけたものの、敵MS隊は捕捉出来ず追撃を断念。
 周辺宙域を捜索し生存者一名を救助した後、トラキアは哨戒任務に復帰しました』
 いくつもの中継点を経たレーザー通信の彼方、オーディエンスの男たちから含み笑いが漏れた。
『ふん。たかがゲルググ三機相手に、MS四機とサラミス一隻が手も足も出ずに丸ごとか。ずいぶんと脆いものだな』
『まあまあ大佐。一般部隊の雑兵など、所詮こんなものでありましょう』
 ブリーフィングを受ける男たちが尊大に声を震わせて鼻で笑う。だがブリーファーの傍らに控える二人の将官は、まったく意に介していない。若い女性士官はプレゼンテーションをただ淡々と進めていく。
『続きまして翌2月26日。《P-04》への航路を取っていた民間貨物船《リバティ115》が、ジオン残党勢力MS隊の襲撃を受けました。このMS隊は25日にアバリスを襲撃したものとは別の部隊です』
 同じく記録映像が展開する。今度はMS-06F《ザクU》、MS-09R《リック・ドム》、MS-21C《ドラッツェ》が各一機ずつ画面に躍る。
 しかしよく見てみれば、どの機体も一年戦争やデラーズ紛争の当時そのままの機体ではないと分かる。肩部サブカメラやスラスター類に、増設強化などの改修部分が確認できた。
 それら改良型のジオンMS群に続いて、こちらは一年戦争当時そのまま――いや、むしろ当時よりも武装を弱体化させたと見える、RGM-79A《ジム》やRB-79《ボール》が姿を現す。
 両者のアイコンが宙域モデル図の中を泳ぎ、接触して交戦を開始した。
『リバティ115からは、同乗の民間警備会社MS隊が展開し応戦開始。同時に救難信号が発信されました』
『民間警備会社? ――ああ。ヴィック・ウェリントンの系列か』
『近傍宙域を航行中の巡洋艦トラキアがこれを傍受し、再び即応。現場へ急行するとともにMS隊を緊急発進させ、リバティ115へ取り付かれる前に交戦開始。
 ジオン残党MS隊を撃破し無力化し、さらに全機の鹵獲に成功しました。が――』
 サラミス改級巡洋艦のアイコンから伸びたジムU四機が、ザクUとリック・ドム、ドラッツェの三機編隊と交戦し、撃破する。だが、そこへ横合いから艦砲射撃の閃光が走った。
『ここで介入してきたのが、環月方面軍所属を名乗る新型戦艦《ジャカルタ》です』
 今までの画像と異なり、不自然なほどに画素の粗い写真が写し出される。
 主推進器を艦体後部両舷で左右に分離させながら搭載した、地球連邦軍系の直線が目立つ意匠の新型宇宙戦艦。
 その左右に伸びた長大なMSカタパルトから出撃してくるのは、RGM-79C《ジム改》に似た、緑色に塗装された胴体部をはじめとする機体全体を重厚化させているジム系MSだった。
 量感を除けばRGM-79CR《ジム改高機動型》のように見えなくもないが、画像が今までのジオン系MSを写したそれと異なり細部が粗いため、厳密な判定は難しい。
134 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:03:38.32 ID:a21J8/VC
 そしてそんな低画質の画像でも、参加者たちの意識を一気に引きつけるには十分だった。
『これが、――《エゥーゴ》めらの新型機か』
 そのとき初めて地球を挟んだ反対側から、低い唸りと忌々しげな重い吐息が漏れた。ブリーファーはそれも無視して、なお淡々と続けていく。
『ジャカルタ艦長はミノフスキー粒子散布と電子戦を並行し、宙域内の無線通信を封鎖。そのうえでジオン残党組織による月でのテロ計画対処を理由に、トラキア隊が鹵獲したMS隊の即時引き渡しを要求してきました。
 しかしトラキア艦長はこれを拒否し、鹵獲機を収容しての離脱を企図。一触即発の緊張が続く中、突如『機体トラブル』を理由にジャカルタMS隊の一部がトラキアMS隊を襲撃しました』
 連邦軍のジムUとエゥーゴの新型ジム、両者が激しく入り乱れる。それでもエゥーゴ機はビームライフルなどの武装は使わず、あくまで体当たりやシールドの打突のみを武器に執拗に絡んでくる。
 その機体のパワーは明らかにジムUを圧倒していた。
『小競り合いとなってトラキア隊は一機が小破するも、反撃でジャカルタ隊の一機を撃墜。
 しかしジャカルタ隊はこの混乱の隙を突いて、鹵獲されたジオン残党MSをパイロットごとすべて奪取することに成功。この段階で両者は離脱し、ジャカルタは暗礁宙域内へ姿を消しました』
『はっ。なんと無様な……!』
 髭をたくわえた中年の参謀少佐が、地球の向こうで低く罵る。やはりそこにも今までにない強い感情が滲んでいた。
『エゥーゴの尻尾を掴む機会を、よくもむざむざと――しかしさっきからたびたび名前の出てくる、このトラキアとかいう艦は何だ?
 ジオン残党ともエゥーゴともろくに戦いもせず、すぐに引き下がってばかりではないか! 敢闘精神がまったく足りておらん――まったく、これだから一般部隊は!』
『続いて日を改め2月28日』
 傍らに座る女性将官に顎で示され、ブリーファーは何か絡もうとしてきた彼を強引に無視して続けた。
『第223戦隊旗艦を務める巡洋艦《マカッサル》と駆逐艦《アルマーズ》が暗礁宙域を哨戒中のところ、民間払い下げのコロンブス級輸送艦らしき不審船を発見』
 画面が切り替わる。新たにサラミス改級駆逐艦に追われるコロンブス級輸送艦、そしてその前方に潜んで待ちかまえていたサラミス改級巡洋艦が現れた。
『不審船は追跡するアルマーズからの停船命令に従わず強行突破を試みたため、戦隊は前方に待ち構えるかたちで布陣したマカッサルからMS隊を展開。これに対し不審船もMS隊を出撃させ、MS戦となりました』
 巡洋艦からRMS-117《ガルバルディβ》二機とRMS-106《ハイザック》四機が出撃し、不審船から来るザクU三機と激突する。
 機体は旧式で数も劣勢のザクU隊は、しかし正面に展開するガルバルディβとハイザックのMS隊を次々に狙撃し、ついには一方的にすべてを撃破してのけた。
『たかがザク相手に……なんと不甲斐ない』
『はっ。新サイド4のMS隊はデブリ掃除のし過ぎで、肝心の戦い方を忘れたのではないのか?』
 冒頭のアバリス隊に続き、またしても旧型機を操るジオン残党軍に手玉に取られる連邦軍部隊に、男たちが呆れきった声を上げる。だが画面に映し出された実機の戦闘記録映像と女の挟んだ解説が、彼らを再び緊張に引き戻す。
『敵MS隊はMSの通常の有効射程を遙かに越える超長距離から、精密狙撃を仕掛けてきました。ここで観測された狙撃距離と命中精度及び射撃速度は、一年戦争時に記録されたアムロ・レイ大尉の数値を大きく上回ります』
『なっ』
『――強力なニュータイプ、だと言うのか……? いや、しかし。よく見ればこのザクの狙撃は機体の手足を掠めるばかりで、まるで直撃出来ておらんではないか。アムロ・レイなら、すべて一撃で仕留めておる』
『た、確かに』
 彼が言うとおり、なぜか映像の中で次々と狙撃を受けても爆散した機体は一つもない。ブリーファーは特にその件について説明しなかった。
 接近戦で六機のMS隊をやはり一機も爆発させずに蹴散らすと、ザクのアイコン群が画面上をサラミス改目掛けて接近していく。
 MS隊すべてを失った巡洋艦がそのまま突破されるかと見えたとき、なんと巡洋艦マカッサルは勇敢にも自ら敵前に立ちふさがって反撃する。
 その対空砲火がザクU隊を阻止し、あまつさえ超長距離狙撃を連発していた一機を中破させてしまった。
『おお……なんと果敢な』
『ほう、なかなかやるではないか。ふん、しかしこんなもので落とされるようでは、大したニュータイプではなかったようだな』
135 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:04:57.93 ID:wABJ/bK8
 巡洋艦はそのまま不審船――敵輸送艦と交戦しながら脇から抜けて離脱するが、そこでジオン残党艦へ追いついた後続の駆逐艦から三機のジムUが肉薄する。
 MS戦が発生したが、ニュータイプと思しきパイロットのザクを失った不審船MS隊に、先ほど見せた神通力じみた戦闘力はもはや無かった。ザクUがまた一機中破する。
『敵MS隊はこの戦闘において、不可解なほど多量の照明弾を発射していました。これは救援要請の信号でもあったらしく、暗礁宙域深部からは多数のジオン残党増援部隊が次々と出現してきます』
 ブリーファーが言うが早いか、画面の端から三機のゲルググが出現し、交戦中のジムUと生き残りのハイザックを一機ずつ撃墜する。さらにコムサイ改級揚陸艇二隻に搭載されて、リック・ドム六機が戦場に到着。
 形勢は逆転した。ジオン残党軍はそのまま圧倒的な戦力差で、戦場に残った駆逐艦一隻と二機のジムUを殲滅していくかに見えた。
『これに対し、我が軍も近傍宙域を航行中の巡洋艦トラキアが照明弾と戦闘光を確認、直ちに反応していました。
 まずトラキアに同行していたP-04駐留部隊所属のMS隊が、パブリク改級哨戒艇で先行し接敵。次いで本隊も到着します』
 RGM-79GS《ジム・コマンド》――いやRGM-79GSR《ゲシュレイ》と表示された機体がもはやMAじみた高速で、ジオンMS隊の脇腹へ横槍を入れるかたちで突きかかる。
 さらにRGC-80SR《ジム・キャノン改》が、ゲシュレイの突撃と巧みに連携した砲撃戦を展開。瞬く間にリック・ドム二機を撃墜し、連邦軍残存戦力は反撃に転じる。
 そして到着したトラキアが混戦のさなかへ艦砲斉射を放つと、リック・ドム隊は一機を残して全滅した。トラキアMS隊のジムU四機が戦線に参加したことで、戦勢は再び逆転したかに見える。
 だがジオン側もさらにMS-18E《ケンプファー》とMS-06FZ《ザク改》、ドラッツェから成る六機編隊が戦闘加入。
 増援第三波でジオン側が盛り返して互角の戦闘が展開されるも、連邦軍はなおもじりじりと押し込み、コムサイ改二隻とゲルググ一機を撃墜する。
『ジオン側も増援部隊の第三波を投入し、戦闘は再び膠着――そしてここで再び、戦艦ジャカルタは現れました』
 戦闘宙域へ侵入してきた戦艦ジャカルタは、露骨に連邦軍部隊を狙う艦砲射撃を放った。続いて多数のMS隊を発進させる。最初の接触で出てきたジム改もどきだけではない。
 今度はどこかリック・ドムに似た――しかし、全く異なる印象を持った重MSが先頭に立って突進してくる。戦場の均衡は一気に崩れた。
『――これもエゥーゴの新型か……? ええい、なぜここだけ画素がこうも粗い……』
『戦艦ジャカルタの介入を受け、この時点で戦闘宙域の残存部隊指揮官となっていたトラキア艦長は、全軍に離脱を下命。ジオン残党軍も同時に離脱を開始しました』
 トラキア隊のジムUとエゥーゴのリック・ドムもどきが急接近し、激突して一対一で火花を散らす。両者はそのまま母艦へ帰投し、その戦闘を最後に二つの艦隊は離れていった。
『最終段階においてトラキアMS隊とジャカルタMS隊による偶発的交戦こそ発生したものの、双方に大きな損害は無し。両者はそのまま接触を断って離脱しました。
 以降、第223戦隊は部隊を再編し、P-04への前進を再開――現時点までの状況報告は以上です』
『ふん、田舎部隊のジムUと互角か』
『しょせんは民兵。このリック・ドムもどきの新型も、大したことはなさそうですな』
 ジオン残党軍MS隊へ守られながら宙域深部へ後退する輸送艦へと、エゥーゴ部隊はまっすぐに接近していく。
 プレゼンテーションはそこで終了した。画面が閉じる。
 代わって大型モニターは再び、映像会議の参加者たちを映し出す。
 地球と月の狭間に浮かぶ、新サイド4のL1暗礁宙域。
 地球を挟んだ月の反対側、サイド7のL3宙域。
 L1――新サイド4復興再開発拠点《P-04》からの参加者は、ブリーファーを除いて二人。
 一人はP-04駐留部隊司令の男性准将。壮年のアジア系で、穏やかな微笑みを浮かべている。
 そこに異質な点があるとするなら、それは異常なまでに筋骨を隆起させた屈強な体格と、その顔面を非人間的なまでに歪める深く大きな傷跡だった。殊に右目の周辺からは肉が大きく抉れ、眼球がほぼ露出していた。
 そしてもう一人はすでに相当な高齢に達した白髪の、ヨーロッパ系の女性准将。肩書きは新サイド4駐留艦隊副司令。姿勢と眼光は確かだが、少なくとも容姿を見る限り、生半可な年齢ではない。
 もはや軍人としての現役など、何十年も前に勇退していて然るべきと見えた。
136 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:07:06.07 ID:w5Du1ADY
 そして、L3――サイド7《グリーン・オアシス2》に築かれた地球連邦軍の新たな軍事拠点から参加するのは、禿頭に独特の赤い眼鏡を掛けた大柄な大佐と、傍らに立つ髭の少佐の二人。
 片や准将二人、片や佐官二人。両者の階級差は明らかだったが、それでもL3の佐官二人は鷹揚な構えを崩すことはない。
 理由は彼らの制服にあった。
 地球連邦軍制服に独自の意匠を加えた濃紺の制服は、ジオン残党組織の掃討を目的として独自の予算と強権を与えられた、地球連邦軍特殊部隊《ティターンズ》のものであった。
 そしてティターンズ所属将兵はその他の地球連邦軍一般部隊の将兵に対し、一から二階級上の扱いを受ける権限を有する。
 つまり、この赤眼鏡を掛けた禿頭の大佐は、その二階級上――准将を超えた少将としての格を有することになるのだ。
 まして彼がそのティターンズにあって、実働部隊における事実上の最高指揮官の地位にあるのであれば、本来の上官たちを歯牙にも掛けないその傲慢さも、実にもっともなことではあった。
「ふん、なるほど。ユン准将、ウォレン准将。貴官らからの情報提供には感謝しよう。
 エゥーゴ艦ジャカルタの追撃部隊には、すでに一個戦隊を手配した。間もなくコンペイトウから出撃する――彼らへの拠点の提供と、道案内をよろしく頼む」
 バスク・オム大佐が鷹揚に呟くと傍らの参謀、ジャマイカン・ダニンガン少佐が端末を操作し、派遣部隊の編成表を表示した。
 旗艦としてティターンズ自慢の新鋭重巡洋艦アレキサンドリア級一隻に、護衛のサラミス改級巡洋艦が二隻と、艦載MSが合計二十四機。ティターンズにおける標準的な戦闘単位である。
 だがそれを見て、凶相のP-04駐留部隊司令――ユン・ソギル准将はほんの少し、困ったように眉を顰めた。
『なあ、バスク君。ティターンズから援軍を寄越してくれる、というのはありがたい。ありがたいが――ちと、数が少なすぎはせんかね?』
『……少ない、とは?』
 バスクの傲慢さなど最初から意にも介していなかったかのように、ソギルは淡々と語りはじめる。
『ふむ。サイド7にあるバスク君のその快適なオフィスからでは、なかなか理解しづらいのかもしれんが。我々の任地である新サイド4は実に混沌としたところでね。
 先ほどの流れでも見てもらったように、この辺りにはジオンの残党がずいぶんと多い。しかも最近その動きはどんどん活発化していて、実は一年戦争の頃より増えているんじゃないかと思うぐらいだよ』
 はっはっは、と愉快そうにソギルは笑った。顔面が表情筋ごと抉り取られている、その右目だけを除いて。
『このジオン残党、ルスラン・フリートとエゥーゴが連携したのなら、その戦力は生半可なものではない。そこへ本格的に攻撃を仕掛けようというのなら、せめて、この十倍――三十隻は寄越していただきたいな?』
『な、何をバカなっ! 三十隻だと!? 新サイド4駐留艦隊の、全戦力の何倍だと思っているのだ!!』
 そこでバスクに代わり、傍らのジャマイカンが口角泡を飛ばして割り込んできた。
 二百機以上のMSを抱える三十隻もの大艦隊となれば、昨今拡大著しいティターンズといえど、おいそれと出せるようなものではないのだ。
 それほどの大戦力を一方面に抽出してしまえば、それこそ各地のエゥーゴとその予備軍を抑えられなくなるだろう。
 やれやれとソギルは溜息混じりに、出来の悪い教え子を相手にするかのように優しく諭す。
『君。暗礁宙域は攻めるに難く、守るに易いのだよ。基本中の基本だ――士官学校で習わなかったのかね?』
『そんなことを言ってはおらん! どんなふざけた丼勘定をすれば、この頭のおかしい戦力要求が出てくるのかと言っている! 山よりでかい猪などおらん。
 何がルスラン・フリートだ、過大評価が過ぎる! ギレン親衛隊を基盤とした最大勢力デラーズ・フリートが潰えた今、地球圏のジオン残党などはもはや風前の灯火よ!』
『そう言われてもな。現に我々の正面には、多数の残党軍が出没しておるのだよ。
 どう少なく見積もっても百機以上もの、大MS部隊を抱えた連中がな――それと新鋭装備のエゥーゴ戦艦が手を結んだというのなら、こちらも相応の勢力で挑まねば、かえって無用の損害を重ねるばかりではないかね』
『そもそも貴様等が自分の作戦区域にジオン残党どもの跳梁を許しておるから、そこをエゥーゴにつけ込まれたのだろう!
 いかなる犠牲を払ってでも、まず貴様等がジオン残党を殲滅して膳立てを整え、そのうえで我らがエゥーゴを叩くのが筋であろうが!!』
137 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:08:10.01 ID:EeU7Yauz
『はて? 私の記憶が確かなら、ティターンズはジオン残党の掃討を目的として設立された組織のはず……。
 誇り高き地球連邦軍のエリートたる貴官らが、ジオン残党の巣窟たるサイド4を我らのごとき一般部隊に長年預けっぱなしにしたまま、今度はジオン残党ではなくエゥーゴとかいう新参者だけを相手にさせよと主張する……。
 何だかこれはずいぶん不思議な話ですな、ウォレン准将?』
 ソギルが飄々と水を向けたのは自身の傍らで、不機嫌そうに座ったままの老婆だった。
 彼女――ヨランダ・ウォレン准将はすべてを馬鹿にしきったような表情のまま、冷たい瞳でモニターの向こうのティターンズ将校二人を一瞥する。薄く乾いた唇を開いた。
『そうじゃな。三十隻など、とうてい話にならん』
『当然だ。我らティターンズは地球連邦軍最高の精鋭、一般部隊などとは格が違う! 厳しい選抜試験を潜り抜けてきたその精鋭部隊の三隻は、一般部隊の三十隻をも凌駕すると知れ!』
 ソギルの非常識な提案が新サイド4側の身内からも却下されたと見て、調子づいたジャマイカンが勢いに乗って畳みかける。
 だが、老婆は眉ひとつ動かさずに言葉を継いだ。
『全軍じゃ』
『――は?』
 言われた意味がまったく理解できず、ジャマイカン・ダニンガンはただその場で瞳を瞬かせた。
『いま地球圏にあるティターンズの宇宙艦隊、一隻残らず全軍寄越せ。もっとも中身がお前らんところの案山子じゃ百隻あっても正直足らんが、まあそこまでの贅沢は言わん。
 弾除けぐらいには使ってやる。ほれ、そこの眼鏡小僧。四の五の言わずにさっさと集めろ。もちろん、お前ら自前の補給艦隊と兵站も込みでな』
『……ティターンズを愚弄するか、……貴様……』
 真正面から罵倒されて、バスクは瞬間的に沸騰した。隣に立つジャマイカンが、あまりの殺気に思わずひっと呻いて立ちすくむ。
 バスク・オムは『暴力』の本質を知り、そして自在に使いこなす男であった。一年戦争以来の地球連邦軍を飲み込んできた混沌の渦中にあって、この男はその才によって身を立て、這い上がってきたと言っていい。
 必要とあらば、バスクはいかに凶悪で非道な暴力の行使にも躊躇しなかった。彼にはそれらを可能とする、人と組織を思うがままに動かす豪腕が備わっている。
 その人並みはずれた野生の嗅覚と行動力に導かれて、今日の彼はいまティターンズ実働部隊の事実上の頂点に登り詰めたのだ。
 そしてP-04の二人は、そんなバスクの怒りをまったく相手にしていなかった。
 ソギルは相変わらずの穏やかな微笑みを浮かべたまま、ヨランダはティターンズの二人を小馬鹿にしきった呆れ顔のまま。
『なにが精鋭じゃ、この阿呆』
 そして救いようのない馬鹿者を見下ろす表情で、ヨランダが冷たく言い捨てた。
「お前んとこの案山子、まとめてあいつらに沈められとろうが」
『――何……?』
『ほれ、お前らが月軌道の哨戒に出しとった117戦隊じゃ』
 ヨランダが目配せするや、モニターが再び切り替わった。月を背にしたアレキサンドリア級重巡洋艦とサラミス改級巡洋艦を映し出す。ティターンズ艦二隻と、一般部隊のサラミス改が一隻の混成だ。日付は2月22日。
『――まさか、あれは』
 はっと息を呑んだジャマイカンをよそに、再び映像が切り替わる。
138 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:09:46.03 ID:qX7fZYuo
 望遠で捉えられた粗い映像。今度は暗礁宙域で、先ほどのアレキサンドリア級とサラミス改級の戦隊が何者かと交戦している。今度の日付は2月25日――巡洋艦アバリスの撃沈と同日。
 冒頭の資料映像でも見えた、ジム改もどきのエゥーゴ機が編隊を組んで迫る。
 その編隊が構えた銃口から弾幕じみた圧倒的なビーム連射が放たれるや、棒立ちで反撃を試みた前衛のRMS-106《ハイザック》があっさりと撃ち負けて次々に被弾、無数の光軸に貫かれてひとたまりもなく爆散した。
 ティターンズMS隊の戦列が、一方的に蹂躙されながら突き崩されていく。
 BR-S85ビームライフルから連射を放って必死に抵抗するRGM-79CR《ジム改高機動型》が、速すぎる敵機の機動へまったく対応できず、コクピットを背後からビームサーベルで串刺しにされた。
 リック・ドムもどきの新型に貫かれ、痙攣したように硬直する。その仇を取ろうとするかのように僚機が駆けつけるが、次の瞬間にはまた別のジム系新型と思しき敵からビームライフルを叩き込まれて爆散した。
 と、暗礁宙域の奥から光芒が煌めく。艦砲射撃の太く力強い光軸の束が、数本まとめてアレキサンドリア級の艦体中央に吸い込まれた。それだけでティターンズが誇る新鋭重巡は、暗闇に膨れ上がる光熱の泡となって消えた。
 瞬く間に旗艦とMS隊のほとんどを失った残りのサラミス改は、必死に急速反転して離脱を試みる。
 だが、エゥーゴは逃さない。
 多数のジム改高機動型やハイザックを縦横無尽に斬り捨てていたリック・ドム擬きの新型機が、足並みの揃わない弾幕の下をあっさり掻い潜って敵艦へ迫る。
 二隻の艦橋を瞬く間にバズーカで爆砕して行き足を止めると、四方八方からエゥーゴのジム隊が放つビームライフルの一斉射撃と艦砲の第二斉射が、サラミス改の二隻をも火球に変えた。
 時間にして、わずか三分足らず。
 たったそれだけの時間で、ティターンズ第117戦隊は完全に消滅した。そして二十機以上のMSと三隻の巡洋艦を沈めていながら、エゥーゴMS隊はほとんど損害を受けていない。
 それは、あまりにも一方的な虐殺だった。
 鮮やかすぎる完勝を収めたエゥーゴMS隊は、次々に母艦へ帰投していく――自らの艦砲でも二隻の敵艦を屠った、戦艦ジャカルタへ向けて。
 記録映像は、そこで終わった。
『お前らが言う《精鋭》とやらの一個戦隊ごとき、ダミー風船より役に立たんわ』
『そ、そんな……117戦隊が……ま、まさか……しかし、……そんな……』
『ん? まさかお前ら、こいつらがジャカルタ一隻に食われとったことすら知らんかったのか? いやぁ、さすがは精鋭ティターンズ。上が有能だと、部下どももマメに報告する優秀なのが揃っていて羨ましいのう』
 数日前に消息を絶った配下の精鋭と自負する戦隊の末路を、予想外の経路から予想外の場所で知らされてジャマイカンは狼狽する。
 邪悪に笑うヨランダの傍らで、ほほう、と大きく唸りながら、どうでもいい世間話のように軽い調子でソギルが訊いた。
『フム。ウォレン准将、この映像はどうやって入手されました? 暗礁宙域の全天をカバーする監視網など、貴方の部隊にもまだ無いはずですが――』
『なあに。ま……蛇の道は蛇よ』
 ――人的諜報網か。
 ヨランダ・ウォレン准将。三十年近く前に地球連邦軍を退役し、そして数年前、齢九十を前にしながら准将の階級で現役復帰した老将。
 もはや連邦軍にも再任前の彼女を知る者は少ないが、当時の噂の片鱗ぐらいはバスクも耳にしていた。
 特殊戦の女帝。
 地球圏の各地でくすぶる反地球連邦の火種を、火種のうちに情け容赦なく探り出しては蹂躙し、跡形もなく踏み潰してきた死の部隊を率いた女。
 情報戦と諜報戦を自在に操り、ジオン公国台頭前夜まで地球圏の『平和』をほの暗い闇の底から支え続けた、地球連邦暗黒面の生ける伝説。
 おそらく彼女は現役復帰後に再建したその情報網で、117戦隊とジャカルタ双方の動向を掴んだ。そこで両者交戦の気配を知るや、配下のMS隊を向かわせたのだ。そして密かに一部始終を撮影させた。
 友軍を救援するためではなく、ただ情報を掴ませるためだけに。
139 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:10:58.81 ID:8nJ5ly6n
 ひらり、とヨランダが記憶媒体をその手にかざす。
『この映像、なあ。なんなら儂の伝手で、宇宙軍の全部隊に回覧させてやってもええのだぞ? 何せ貴重な、エゥーゴの脅威と暴虐を伝える資料じゃからなあ。
 ククク。これを全軍で共有してやれば、さぞ反エゥーゴ感情が盛り上がろうて』
『ぐう、う……っ!』
 きつく歯噛みするバスクを、ヨランダは鼻でせせら笑った。
 地球連邦宇宙軍将兵の大半は、地球至上主義を掲げる現政権とティターンズを快く思ってはいない。
 地球復興に偏重した政策を取る地球連邦政府によって、大半の宇宙軍部隊は十分な予算を供給されていない。今や将兵への給与遅配すら常態化しつつあるのだ。
 そして対照的に優先的な予算配当を受けながら、その特権を享受し濫用するティターンズ将兵は、一般部隊から強烈な反感を集めている。
 そんな状況の中、数で勝ったティターンズ部隊がこれほど無惨にエゥーゴによって殲滅される映像などが公開されようものなら、どうなるか。
 ティターンズの名誉と威信は完全に失墜し、エゥーゴと連邦軍内部の反ティターンズ分子はいよいよもって勢いづくだろう。
『ティターンズ恐るるに足らず』と見れば、今まで様子見していた部隊までもが雪崩を打って一斉にエゥーゴへ参加してくるかもしれない。
 まだ早すぎる。バスクが時間を惜しんで精力的に押し進めてきた数々の施策が実を結び、ティターンズが本当に圧倒的な軍事力を獲得して盤石の支配態勢を確立するまでには、まだもう少しの時間が必要だ。
 今の時点でそうなってしまえば、ティターンズは――そして今度こそ地球圏は、壊れる。
『とはいえ、まあ儂も鬼ではない。お前らもいま抱え込んどる案山子どもを、今の布陣のまま雑魚の水準まで鍛え直す時間が欲しいじゃろう。
 儂らの方も、いちいち案山子のオムツをせっせと換えて回っていられるほど暇でもないしな。それで、じゃ』
 ヨランダの瞳が、不意に昏い光を帯びてバスクを嘗めた。
『お前らが丸め込んどる、《コンペイトウ》のニュータイプ研究所な。あそこの部隊で手を打ってやろう。ずいぶん出来のいい強化人間が二人と、――あるんじゃろ? そこにも新型の《ガンダム》が』
『……《ヘイズル》はガンダムではない』
『似たようなもんじゃろうが。ええから、四の五の言わずにさっさと寄越せ――出し惜しみは為にならんぞ』
 厳重に秘匿していたはずの研究機関の存在と、ティターンズによる取り込み交渉の進捗、そしてその内実を当然のように言い当てられて、もはやバスクはじりじりと後ずさる以外になかった。
 完全に圧倒されたバスクを、嘗めきった強者の圧力でヨランダが押し切る。
『しかしお前ら、本当にそこいらじゅうで余計な墓穴ばっかり掘ってくれとるのう。
 ああ、そうそう。ジャミトフ・ハイマン。あいつな、この前ちょっと茶飲み相手に映像会議で呼び出してやったら、お前が宇宙でやらかしとるポカはロクに知らんかったぞ?』
『――ジャミトフ、大将……?』
 ティターンズ総帥、ジャミトフ・ハイマン大将。
 四年前のデラーズ紛争とコロニー落下『事故』に際し、連邦軍内部でその権力を劇的に拡大してティターンズを築き上げた男。
 自ら地球連邦議会にも議席を持つジャミトフは、今や軍と政府の両面を席巻するほどの絶大な政治力を縦横に振るって、地球からその権勢を支え続けている。
 ジャミトフからティターンズの実働部隊を宇宙で預かるバスクは、今まで数々の『独断専行』を繰り返してきた。中には大きな成果を挙げたものも、露見すれば政治的に致命傷となりかねないものも含まれている。
 そして上官たるジャミトフが必ずしもそれらの行いを肯定していないことは、誰よりもバスク自身が知悉している。
 バスク・オムとジャミトフ・ハイマン――互いの存在を不可欠とする両者は、しかし同時に微妙な緊張状態にあった。
140 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:13:01.83 ID:lv+WHhtU
『あの鷲鼻のクソガキ。多少出世したぐらいで今はずいぶん偉そうにしとるが、士官学校の営庭で儂に蹴飛ばされてゲロと鼻水垂れ流しとった頃から何も変わっとらんなアイツ。
 ロクに部下の面倒も見きれんくせに、青臭いガキの屁理屈ばっかり捏ねくりまわしおって。五十年経って未だにアレでは、やれやれ、地球連邦軍の行く末も暗いわ』
『ウォレン准将。いくら昔の教え子でも、今は大将閣下であられますよ。そのような物言いは、いかがなものかと』
『クソガキは大将閣下でもクソガキじゃ。大体あの鷲鼻小僧、いつになったら菓子折提げて儂のところへ挨拶に来るんじゃ? おい、そこのポンコツ眼鏡。
 いつまでも大恩師様に不義理な真似をさらしとると、キリマンジャロの万年雪に鼻から突き刺して逆さに埋めるぞ――あと仕事はきっちりやれ、とジャミトフの小僧に伝えろ。それからチョビ髭』
『はっ!?』
 ティターンズとバスクを愚弄するどころか、総帥ジャミトフ・ハイマン大将までもをクソガキ呼ばわりし、そのうえ直接のパイプを示唆してのけた老将から、いきなり話を振られてジャマイカンはびくりと背筋を震わせた。
 もはや連邦宇宙軍の全一般部隊に情報がどうの、という話だけでは済まない。この老婆の前で下手をすれば、すべての情報が直接ジャミトフの耳へ入れられてしまうのだ。
『コンペイトウからのニタ研部隊派遣の話は、今後お前が取り仕切って進めろ。部隊は今週じゅうにP-04へ寄越せ。到着が少しでも遅れるようなら、……分かっとるな?』
『そ、そこは、み、見積もりを……見積もりを、出させていただけませんと……』
『儂はお前の意見なぞ聞いておらん。儂が出来ると言うたら、出来るのじゃ。今の仕事が向いておらんようなら……そうじゃな。
 静かで涼しいアステロイドベルトで、石ころの数を数える仕事を手配してやってもええのだぞ? 分かったら、やれ。……分かったな?』
『はっ、……ははぁっ!!』
 完全に傍らのバスクの頭越しで命じられながら、絶大な圧力に耐えきれずにジャマイカンは腰を折った。もはやバスクもそれを制止しようとしない。
『ほほう、噂の人工ニュータイプ部隊ですか? それは心強い援軍ですな』
 きつく歯噛みしながらもヨランダに抑え込まれたままのバスクをよそに、微笑みをまったく崩していないソギルが話を継いだ。
『おう。各地のニタ研はかなりの失敗続きらしいが、コンペイトウの奴はなかなかの仕上がりだと聞いておるぞ。のう、ソギル――これはお前のところの子飼いどもも、うかうかしてはおられんかもしれんなぁ?』
『ははは。新世代の精鋭諸君の足を引っ張ることがないよう、今後とも指導に全力を尽くしましょう』
 傍らのソギルを見るヨランダの瞳にそのとき一瞬、剣呑な殺気が宿った。だがソギルは穏やかに微笑んだまま、モニターの向こうでぎりぎりときつく歯噛みするバスクへと視線を戻す。
『バスク君。先ほどはウォレン准将がいろいろと厳しい言葉も使われたが、どうか気を悪くしないでほしい。
 ティターンズの諸君と我々は、ともに地球連邦の旗の下で、地球圏の安定と平和を願う同志だ。私とて、バスク君の置かれた難しい立場は理解しているつもりなのだよ』
 傲岸不遜の極みからバスクらティターンズを嘲弄してのけた、ヨランダに対する憤怒の情に満ち満ちたバスクの意図を、勝手に読み替えながらソギルが続ける。
『そして君が戦場へ直接率いたわけではないとはいえ、数百人もの部下を失った君の今の気持ちもよく分かるつもりだ。心中を察しよう。彼らの霊の安らかならんことを』
 不意に微笑みを消し、代わってソギルは神妙な表情を浮かべた。
 だが今のバスクは多くの部下を失った悲しみではなく、自分の立場を危うくしかねない脅迫材料をヨランダに握らせてしまった無能な部下たちへの怒りと屈辱に震えている。
 そんなバスクの内心を知ってか知らずか、ソギルは淡々と言葉を継いで尋ねた。
『だが最終的に指揮官たるものが、志半ばで倒れた兵たちに報いる術はひとつだ。……分かるかね?』
『……最終的に敵を完全に打ち破って抵抗の意志を奪い、決定的な不動の勝利を掴み取ることだろう』
『ふうむ。それもある。それもあるが……私の答えは、もっと単純だ』
141 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:16:00.01 ID:l4SvEeUf
『何……?』
 戸惑うバスクを前に、ソギルはふっと破顔した。
『敵を殺し尽くすこと。皆殺しにすること。根絶やしにすること』
 にい、と口角を釣り上げてソギルは笑う。
 バスクはそれだけで、背中にナイフの刃を押し当てられたように硬直する。
 それは間違いようのない、本物の悪魔の笑顔だった。
『戦いの本質とは、これに尽きる。一年戦争の最初の半月で、私はそれを身を以て学んだ。バスク君……私はね、君を本当に高く評価しているのだよ。ほら。サイド1の30バンチ――』
 それは一昨年、『伝染病の蔓延』によって住民全員が死滅したコロニーだ。公式にはそう発表されている。
 そしてティターンズとバスクにとっては、その背後に潜む真実を決して知られてはならない忌み名でもあった。
 その名をたやすく口に出しながら、ソギルは至福の笑みを浮かべている。
『私はああいう、思い切りのいい仕事が出来る指揮官を探していたんだよ。ただ……君にはまだ、迷いが見える。
 慎重になりすぎて、腰が引けてしまっている。せっかくいい素質を持っているのに、勿体ない――それでは、まだ、ダメだ』
 苦笑しながら、すう、とソギルは片手を上げた。
『ダメだよ、君。もっと大勢、殺さなくては』
『…………ひっ……』
 カメラとモニターと七十五万キロメートルの距離を超えて、その手がまっすぐ伸びてくる。
 冷たい手だ。
 生者の温もりを持たない、そして一人のものではあり得ない、信じられないほど大勢の冷たい手。
 それら無数の気配が自らの喉頸に掛けられる感触を、はっきりとバスクは感じた。
 ガタン、と不意にバスクの背後で椅子が音を立てる。無意識のうちにバスクは椅子を引いて数十センチの距離を逃れ、その背を壁に押しつけていたのだ。
 その音が響いたときには、モニターに映るソギルの手は元の位置まで戻っていた。表情も元通りの穏やかな微笑みを浮かべている。
『――バスク君。ティターンズの居心地が悪くなったら、いつでも私のところに来なさい。座り心地のいい椅子を用意して、君をもっと、もっと強くなれるように鍛えてあげよう』
『……か、……考えて、おこう……』
 バスクを誘う悪魔の手招き。ヨランダと女性士官は冷たく乾いた瞳で、それを横から見つめている。
『それとな、バスク君――身辺に気をつけたまえ』
『身辺……?』
 訝しがるバスクに、うむ、とソギルは力強く頷いた。
『エゥーゴはついに戦力を整え、本格的に動きはじめた。新サイド4のジャカルタは陽動、という可能性もある。私がエゥーゴの立場なら――まず最初に君の本拠、グリーンノアを狙う』
『何を馬鹿なッ!!』
 呪いのようだった何ものかが解けたことを確かめるかのように、バスクは力強く立ち上がって猛然と叫んだ。
『グリーンノアの守りは鉄壁だ! ネズミ一匹入り込ませはせん。エゥーゴがどれほどの艦隊を押し立ててこようが、すべて返り討ちにしてくれるわ!』
『ほう、それは頼もしいことだ。私の杞憂であることを祈ろう。しかし、エゥーゴは――案外もう、すぐ近くにまで来ているかもしれんよ』
 にい、とソギルが笑った。
 その凶相の迫力にティターンズの二人が気圧される中、ヨランダが退屈そうに時計を眺めて呟いた。
『さて、……いい時間じゃな。おいチョビ髭。コンペイトウの件、しっかり働けよ』
『は……は、ははっ!!』
『それでは、今回の映像会議を終了いたします。ありがとうございました』
 ヨランダがジャマイカンを睨みつけると、すべてを無言で見守っていたブリーファーの女性士官の言葉を最後に、通信画面は閉じた。
142 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:17:10.96 ID:ijZjWS0z
 モニターが消えたグリーンノア2の執務室には、奇妙な静寂だけが残った。静かに震えるバスクの背中に、ジャマイカンが何か声を掛けようとして果たせず狼狽する。
「た、大佐――ひいっ!」
「ぬううっ!!」
 ジャマイカンの前で唐突に、執務机の天板が陥没した。振り上げられたバスクの豪腕が破壊したのだ。
 バスク・オムの内心はなお、それだけでは収まりきらない激情の渦に満ち満ちていた。
「ルウムの、……亡霊どもがぁ……っ!!」
 これほどまでの屈辱と憤怒は四年前、デラーズ紛争の最終局面でソーラ・レイUの照射を阻止され、北米大陸へのコロニー落着を許した時以来だ。
 あのときの彼は怒りの感情に任せたソーラ・レイUの第二射で、その原因となった敵巨大MAと敵対派閥のMAを、自らの艦隊ごと薙ぎ払った。
 だが、今の彼に同じことは出来ない。屈辱と憤怒の他にもう一つ別の強烈な感情を、彼は深々と刻みつけられている。
 ――恐怖。
 まったく別々の手段で彼に今回の激情をもたらした新サイド4の准将二人は、あまりにも強大すぎた。
 バスク・オムは、暴力を知る男である。
 暴力で他者を屈服させる術に長けていたからこそ、彼は今のこの地位まで登り詰めることが出来た。そして同時にそれゆえ、彼は暴力の臭いに人一倍敏感である。
 あの異常者たちには、いま仕掛けても勝てない――彼に残された野生の本能がそう看破し、彼の軽挙を必死に制止したのだ。
 だが、とバスクは思う。それも長くは続かない。いや、続かせない。
 今後すべての連邦軍MSの新基準となる、RX-178《ガンダムMkU》計画も完成間近。最新技術の最先端として研究成果を挙げ続ける、各地のニタ研も傘下に入りつつある。ジオン共和国との協力態勢も好調だ。
 そしてルナツーとグリプス、ア・バオア・クーを一カ所に集中させて難攻不落の宇宙拠点とする『ゼダンの門』構想も動き始めた。その中核となるべき、グリーンノア2それ自体を用いた最終兵器の建設準備も――。
 あと少し。
 あと少しの時を稼ぐことができれば、ティターンズは地球圏に盤石の安定を築くことが出来るのだ。たかが旧式兵器で武装した辺境部隊など、その時になればどうにでも出来る。
 そして同時に彼らは今の連邦宇宙軍では数少ない、決してエゥーゴには付かないと明言できる勢力の一つでもある。
 そう――あの連中がエゥーゴに付くことだけは、ない。それだけは信用できた。そして現状では、それだけで十分なのだった。
 まずはエゥーゴを潰し、連邦軍全体を呑み込む。ジャミトフも、いずれ――。
 その時までは、ひたすら前に進み続ける。久々に味わわせられたこの怒りは、そのための力とすることにしよう。
「……ビダン大尉を呼べ。グリーンノア1の、ガンダムMkUの現況を知りたい」
「はっ!」
 この激情を忘れるためには、また再び膨大な仕事量の中へと自らを埋没させていくしかない。
 上官が落ち着きを取り戻したのを見るや、ジャマイカンは安堵とともに慌てて執務室を立ち去った。
 血の巡りが止まって白くなるほど、きつく握りしめていた拳をバスクは開く。掌へ食い込んだ爪痕から、赤い血がゆっくりと溢れ出てくる。
「くそがぁっ!!」
 バスクの振り上げた渾身の鉄拳が、今度こそ彼の執務机を完全に破壊した。
143 : フェニックステイル第25話2017/01/03(火) 04:19:28.76 ID:X8UK6lvn
 閉鎖型コロニー、グリーンノア2と開放型のグリーンノア1、そして宇宙要塞ルナツーが形成するサイド7。
 その防空圏内に今、一隻の白い戦闘艦が侵入している。
 かつて一年戦争で活躍した伝説の強襲揚陸艦《ホワイトベース》を思わせつつ、さらに洗練されたシルエットを持つ白亜の新造艦。
 その艦体左右へ張り出したMSカタパルトで前傾姿勢を取っている赤い重MSが、新サイド4からティターンズへと粗い画像で提供された機体と同一のものであることを、まだこの時点で知る者はない。
『クワトロ・バジーナ。リック・ディアス、出る!』
 電磁カタパルトが叩き出す強烈な加速とともに、重厚な巨体に似合わぬ軽快さでその機体は舞い上がった。後方へ付く黒い塗装の同型機二機を従え、彼らの三機編隊はグリーンノア2を目指して無尽の宇宙を進行していく。
 時にU.C.0087、3月2日。
 宇宙世紀の歴史は、この日をグリプス戦役開戦の日として記録している。
144 : フェニックステイル第25話投下終了2017/01/03(火) 04:25:51.92 ID:5O443ogg
今回はここまでです。
昨年は>>129で三次創作まで書いていただき、本当にありがとうございました!
こちらも次回こそエロ場面をお届けいたします。

それでは本年も、引き続きよろしくお願いいたします。
145 : 名無しさん@ピンキー2017/01/04(水) 03:07:52.86 ID:N6E87Lx5
乙です!
いつもありがとうございます!
146 : 名無しさん@ピンキー2017/01/05(木) 05:55:20.64 ID:4CSxxyqN
乙やで〜
今年も楽しみに待っとります
147 : フェニックステイル第26話投下準備2017/01/29(日) 11:47:26.77 ID:qcBib1Lw
フェニックステイル26話の冒頭部分を投下します。
久方ぶりにエロ入りますが、いかんせん内容がだいぶアレなので、許せる方は笑って許してください。
148 : フェニックステイル第26話前編2017/01/29(日) 11:48:21.66 ID:qcBib1Lw
「キャアアアアアアーーーッ!!」
 反地球連邦組織エゥーゴが誇る最新鋭の航宙戦闘艦、アイリッシュ級戦艦《ジャカルタ》。その艦内通路の一角に今、絹を裂くような娘の悲鳴が響きわたっていた。
「い、イヤーッ! け、ケダモノーッ!! ああ、誰か! 犯されてしまいますわ! ひとたまりもなく孕ませられてしまいますわ!! 誰か、誰か助けてくださいましいいい〜〜〜ッ!」
「やかましいわ!! さっきから延々と、エロい雌の身体なんぞ見せつけおって! 戦場で雄を誘う喜びを知りおって!!」
 リフトグリップを頼りに無重力の艦内通路を必死に逃げ惑うのは、柔らかな栗色の髪をポニーテールにまとめた小柄な童顔の美少女が一人。若くみずみずしい四肢を、袖のないエゥーゴ制服でほぼ剥き出しにしている。
 その体躯はまるでジュニアハイかエレメンタリーの学生かと見間違うほどに小さい。しかし同時にその胸元や腰つきは、豊かに成熟した女の肉感を伴っている。
 ノースリーブの脇からちらつく白いブラジャーや、同じく白のサイハイソックスとミニスカートのかすかな隙間から覗く太腿の眩しさが、アンバランスで背徳的な魅力を醸し出していた。
 そして必死に逃げる彼女へと通路内を追いすがるのは、濃緑色の影――ジオン公国軍の一般的なパイロットスーツ。髭をたくわえた禿頭の巨漢が、もはや狂獣じみた異様な光をその双眸に宿らせながら迫っていた。
 速い。
 通路内の壁や天井、リフトグリップまでをも自在に蹴飛ばして三角跳びの要領で迫る巨漢の動きは、まさに彗星がごとし。もはや人間離れした通常の三倍以上の速度で巨漢は迫り、逃げる美少女の背中へと距離を詰めて肉薄する。
「ハッ!?」
 少女が振り向いて背後を確認しようとしたとき、そこに男の姿はない。その瞬間にはもう、男は少女の眼前へ瞬間移動したかのように回り込んでいたのだ。
 敵戦艦のブリッジ前へ迫ったザクのモノアイのごとく、巨漢の眼光が異様に輝く。
「はッ、速いッ!?」
「なんじゃそのエロ制服はっ!? 軍艦の中でパンチラブラチラ見せつけとるような痴女はなぁ!! こうじゃッ!!」
「イヤーーーッ!!」
 禿頭の巨漢がその豪腕を振り上げ、そして不可視の速度で振り下ろした。
 それだけで童顔の美少女がみずみずしい肢体を包んでいた、ノースリーブのエゥーゴ制服は破り裂かれて消し飛ぶ。
 ブラジャーまでもが制服もろとも千切れ飛び、幼い顔立ちや小柄さと不釣り合いにたっぷりと実った乳房が二つ暴れて弾け飛ぶ。少女の肌に残ったエゥーゴ制服と下着の切れ端も、濡れ紙のように素手でことごとく破り捨てられた。
 だが白く柔らかな餅のごとき二つの乳房の頂に、桜色の可憐な乳輪を曝させられても、少女に隠すすべはない。
「ああ……! いやぁ、お願い、離してぇ……!」
 巨漢は制服の切れ端を少女の両手首へ巻き付け、さらに壁面構造物に巻き付けて拘束したのだ。さらに自らの巨体で彼女の両足を押し開きながら、そのまま床へ押しつけた。
 そして裸身に剥かれた少女の眼前に、血管浮き立つグロテスクな黒の肉棒が天突くようにボロンッとそびえ立つ。
「あ、ああ! く、黒い、大きいぃっ――そんなの、入らなっ」
「連邦雌の運命(さだめ)はひとつ……ワシのチンポの、専用鞘じゃあっ!!」
「んほおーーーッ!?」
 あまつさえ何の前戯もなく、ぶぢゅううっ! と男は剛棒直入した。
 特筆すべきはその注挿速度。巨漢は最初からトップギアだった。
 犯されることを覚悟した瞬間、自身の膣を保護すべく本能的に愛液が溢れてはいたが、男が叩き込んだ剛棒の威力はさらに大きく許容量を遙かに超える。
 結合部から激しく鮮血が飛び散るが、少女は最初から単なる苦痛ではなく謎の快楽に導かれていく。
149 : フェニックステイル第26話前編2017/01/29(日) 11:49:30.46 ID:qcBib1Lw
「ああ、あああああ……ッ!? な、なにこれ……っ、しゅぅ……っ、しゅごっ、いいぃ……っッ……」
 少女がこれまでに知るいかなる性の悦びとも異なる、生命の躍動に溢れた壮絶な交合。それはまさしく身食らう蛇のごとき、人が知るべきでない禁じられた果実の味わいだった。
「どや! 身食らう蛇のように、抉りこむ突きッ! これがジオン幻の漢体決戦性器、ヨガルンチンポじゃッ!!」
「そ、そんなぁ……っ、ぜ、前戯もなしで、こんなぁ……ッ……こんなのぉッ……!」
 少女の膣内をその動きは拡張しながら確実に最深部まで抉りこみ、しかも毎回必ず最奥のGスポットを微妙に異なる角度と強さで狙撃していく。性の大量破壊兵器を無差別投入する電撃戦は、まさに一週間戦争のジオン軍のごとし。
 少女の肉体は何の対応も出来ないまま、ただ快楽の波に蹂躙されていくしかない。
「やかましい! 射撃諸元なんぞ送られてくるの待っとったら、会戦なんぞ終わっしまうわ!! 男は黙って直接照準、直接射撃! これで決まりやッ!!」
 言いながら男はさらに加速し、その腰の回転速度を高めていく。パイロットスーツを脱ぎ捨てた男の裸身からは大量の汗が放散され、空気中に一瞬留まっては消えていく。
 巨漢の形を伴った男汗の霧は、あたかも質量を持った残像のように見えた。
「ッ!? こ、腰使いがぁっ、アムゥッ、激し、すぎてぇ……ああんッ! おじさまがぁっ、三人にぃっ、見え、るぅ……ッ!?」
「どうや!! 見たか!! これがワシの三位一体! 一本のチンポで女を三倍ヨガらせる、黒いチンポの三連性! 夜のジェットストリームアタックじゃあああ〜〜〜ッ!!」
「あああああああッ、いいいいい〜〜〜ッ!!」
 回転はさらに高まる。ついにはザクマシンガンの最大連射速度にも匹敵しようかという高回転で、巨漢は少女を犯し続けた。
「フンフンフンフンフンフンッ!!」
「アッ! アッ! アッ!! アアア〜〜〜っっ!!」
 二人の結合部から溢れ出る雌の愛液と雄の先走り汁が溶け合うように混じり合い、膣奥から子宮口へと突き抜けていく熱い衝撃波が少女の性感を、そしてその意志までもをぐずぐずに溶け崩させていく。
「こっ、こわれりゅっ……こわれりゅぅっ、わらくひのおまんこ、おまんここわれりゅううう〜〜〜ッ!」
「なに言うとるっ!! もうお前のオメコはぐっちょんぐっちょんじゃろがぁっ!!」
「身体が……身体が熱い……すごい……嘘、こんな……無理矢理ですのに、どうしてぇ……っ……」
「やかましいわっ!! オーストラリアは今は夏やぞ!! ここがお前のシドニー湾ッ!! これがホンマのコロニー落とし……乾坤一擲、プリ乳ッシュ作戦じゃあ〜〜〜ッッ!!」
「クッ、アウウゥッ、すっ、しゅごっ、いいい〜〜〜ッ――!」
 コロニー落とし。史上最大の大量破壊兵器になぞらえた自称にも決して恥じることのない威力で男が腰を落とせば、宇宙移民の怒りを乗せた極太コロニーが恥丘を超えて子宮を突く。
 そして八年前に地球へ落とされたコロニーが数千万の人間を育んでいたように、いま少女の恥丘へ落とされ続けている肉コロニー棒も、雄から雌への植民者たる数億の精子を送り込む威力を秘めているのだ。
150 : フェニックステイル第26話前編2017/01/29(日) 11:51:04.76 ID:qcBib1Lw
「チンポはこのまま! 雌パイロットの膣内で出さしてもらうッ!!」
「あ、ああ! だめぇ、だめですのぉっ! なかで、膣内で射精されたらっ! わらくひっ、はらんでぇ、こどもがぁぁあ――っ」
「ソロモンの、白き子種汁! 白漏、出るゥッ!!」
「いやあああァ〜〜〜ッッッ!!」
 最後の突きを膣奥で受け止めたその瞬間、少女の脳裏で閃光の嵐が溢れた。
 リズミカルに突き続けるどびゅうううっ、と女の腹の奥から異音が轟く。
 消化用ホースの尖端を押し込んで最大出力で放水したかのような圧力が、少女の下腹で一気に弾けた。
 ジオン伝説のエースパイロットの熟練技に突かれ続けていた子宮口から、ゆうに五十億を超える精子が狩るべき獲物を目掛けてなだれ込んでいく。
 そして極太のペニスに押し開かれた合体部からその周囲へと、大量の白濁液が溢れて飛び散る。その激しい精液の漏れ具合は、まさに魔法王に仕える白き狼が射精したがごとしであった。
「どうや……! ワシの特濃ジオン優良子種汁は、ティッシュの屑になど成らん! 雌の腹で成就するのや!!」
「…………あ、……あ、……う、……あ……っ……」
 最後の一滴までの濃厚な膣内射精を終えた、深い満足感の中で巨漢は叫ぶ。そして犯された少女は、その意識を未知の快楽の中で真っ白に宇宙へ飛ばしたまま、放心とともに見開いた瞳から、つう、と二筋の涙を流している。
 コロニー落としの衝撃は地球の地軸を歪め、自転速度という地球のリズムまでをも狂わせたと言われている。それと同様に巨漢が叩きつけた巨根と性技も少女から生理のリズムを狂わしめて、子宮からその排卵を強制していたのだ。
「…………、あぁ……っ……」
 そして少女はその見開いた虚ろな瞳の奥底で、子宮口を抜いた精子の群れが通常の三倍以上の速度で迫り来て、そして無防備な卵子に次々と結合――受精する瞬間を、確かに『見た』。
 それを認識した瞬間、少女の乳房に急激な変化が生じはじめる。
 可憐な桜色だった乳首に色素が急激に沈着し、どす黒いほどに染まっていく。同時に乳輪に浮かぶ乳腺のひとつひとつから白い液体が染み出していた。
 男のごつく大きな掌が左右の乳房を乱暴に握りつぶすように搾ると、黒い乳輪からは新鮮な母乳が無数の飛沫となって放出された。
 ただ数分の交わりと一度の膣内射精だけで、ジオン残党兵の巨漢がもたらした超絶の交わりは無垢な巨乳美少女の肉体を、一瞬にして妊娠と出産を待つだけの妊婦に作り替えてしまったのだった。
「フム、……ええ乳になったやないか……!」
 巨漢は強引な性交の渇きを癒すように両方の乳首を口に含むと、凄まじい勢いで蓄えられた母乳をあらかた吸い尽くした。乳
 首から唇を離すとその尖端を軽く舌で突つき、さらに大きく勃起してきた乳首から、ぴゅっと母乳が一筋跳ねるのを満足げに見下ろす。
「これでお前はワシのもんや……産めよ、国民! 元気な赤ん坊、産んでもらうでぇ……!」
「……しゅごっ、……いい……ぃ……っ」
 これが一年戦争緒戦からその後の掃討戦までを力強く生き延びてきた、真のジオン残党兵の生命力。
 地球連邦の三十分の一とも言われた国力で五十億人を焼き滅ぼした、地球人類のより良く支配してその再生を導くべき「優良種」。自分は今、その優良種を宿す母となったのだ。
「ジーク、……ジオン……」
 力なく震える唇でそれだけようやく呟くと、少女の意識はどこまでも深い闇の底へと墜ちていった。
151 : フェニックステイル第26話前編投下おわり2017/01/29(日) 11:51:52.80 ID:qcBib1Lw
今回はここまでです。続きは近い内に。
152 : 名無しさん@ピンキー2017/01/29(日) 13:07:26.61 ID:si9u9xmv
乙です!
毎回楽しみに読ませてもらってます!
153 : フェニックステイル第26話後編投下準備2017/05/21(日) 13:11:04.06 ID:BsC3UQfO
区切りが今一つですが、あまり先延ばしするのもなんなので投下します。
154 : フェニックステイル第26話後編2017/05/21(日) 13:12:40.92 ID:BsC3UQfO
「…………」
 禿頭にびっしりと浮かぶ脂汗が、薄暗い照明の下で鈍く光る。
 巨漢の眼前には少女趣味の手書き文字で綴られた、可愛らしい意匠の日記帳。
 震える指でページを繰る端から浮かび上がる、猥雑奇怪な性妄想――その文面の一語一語から漂う言い知れぬ迫力を前に、ジオン残党兵ドッツィ・タールネン少佐は打ちのめされ、ついにその禿頭を抱え込んだ。
「なんや、……これ……」
 ドッツィが巨体を丸めてうなだれているこの場所は、エゥーゴ戦艦《ジャカルタ》居住区の士官個室である。
 つい数時間前、連邦軍巡洋艦《トラキア》MS隊と交戦の末に撃破されたドッツィ率いる三機のMS小隊は、あわや連邦軍による鹵獲寸前のところでジャカルタ隊の介入に助けられた。
 小隊の機体はいずれも手ひどく大破し、反地球連邦組織《エゥーゴ》の擁する新型戦艦ジャカルタへと収容された。
 部下も戦闘で一人が気絶したまま覚醒せず、ドッツィはやむなく残る一人に機体を託し、戦艦ジャカルタ艦長デミトリ・スワロフ中佐との会見に臨んだのだ。
 そこで要求されたのは、ドッツィがいま所属するジオン残党組織《ルスラン・フリート》と彼らエゥーゴの、反ティターンズ闘争における同盟。そしてドッツィに、その交渉のパイプ役だった。
 今や地球圏を席巻する巨大勢力と化した、地球連邦軍特殊部隊《ティターンズ》。ドッツィたちも今までその一部と交戦する機会は何度かあった。
 しかし本格開戦ということになれば今までのように、新サイド4などという見捨てられた辺境暗礁宙域とその周辺ばかりで行動しているものとは違ってくる。
 だが急激に変化していく地球圏の情勢の中、スペースノイドの大勢を基盤として台頭するエゥーゴと結ぶことで得られるだろう、外界とのパイプと新技術は間違いなく魅力だ。
 うまくすれば地球圏の大勢に影響を与え、巨大な権利を手にすることすら出来るかもしれない。
 その判断は無論、組織全体の運命を左右しかねない重大局面である。ドッツィは即答を保留したが、課せられた判断はあまりに重かった。
 スワロフ中佐は返答の保留を受け入れるとともに、ジャカルタにおいてドッツィらに個室を貸し与え、彼ら三人を客分として遇することを約束した。
 そしてドッツィはその個室まで、連邦軍との戦場で彼の機体を確保・曳航した女性パイロット、リアンナ・シェンノート少尉に案内されたのだ。
 案内されたのだ、が。
「ふんふん、ふふ〜ん……」
「…………」
 奥の磨り硝子の向こうに、湯煙を帯びた影が見える。未成熟なローティーン以前の少女のように小柄ながらも、その身長とは裏腹に要所要所へと豊かな量感をたっぷりと蓄えた、トランジスタ・グラマーを感じさせる女体の影。
 そして響く流水音に絡み合いながら、甘く鼻にかかった少女の歌声が届いてくる。
「うふふ。おじさま、本当にいいお湯ですわよ。ご一緒いたしませんこと?」
「ファッ!?」
 彼女が目の前で脱ぎ捨てていったEカップのブラジャーを握りしめながら、ドッツィはビクンとその場に跳ね上がった。
 股間の息子も一緒に跳ね上がっているが、応じられるわけがない。今の彼は組織間の重大交渉を控えた身だ。
155 : フェニックステイル第26話後編2017/05/21(日) 13:14:29.68 ID:BsC3UQfO
「や、やめとく……遠慮さしてもらうわ……。あのな、少尉……それより、ここから、出し……」
「あら、ご一緒しませんの? ふふ。でも、そうですわね……おじさまは汗をかかれたままの方が、残党狩りの七年間を生き抜いてこられた獣の野性を、これから存分に味わえますものね。
 ……うふふ……今夜は思いきり内から外から私を汚して、いちばん奥まで濃厚な、おじさま色に染め上げてくださいましね……」
「…………。……アカン……」
 まったく要領を得ない受け答えに、ドッツィは頭を抱えてふらつく。この境遇で、あの幼さと豊満さを具備した背徳的な美少女と同じシャワー室に入るなど、どう考えても社会的自殺行為以外の何者でもない。
 そしてエゥーゴは間違いなく、その行為の一部始終を録画するだろう。外部組織の女性と肉体関係を持った男など、誰が信用するだろう?
 そうなってしまえばこのあと組織へ戻った後も、ドッツィはエゥーゴの便利な傀儡として動かざるを得なくなる。
「あ、アカン! アカン!! ワシが! ワシとしたことがっ!! 男をハメさせる罠にっ、ハメられてしもうたっ!!」
 気づいたときには遅かった。リアンナはドッツィを部屋へ導き入れるや、即座に内鍵を掛けて閉じこめ、そのままノースリーブの大胆なエゥーゴ制服を一気に脱ぎ捨てたのだ。
 その流れるような一連の動きは、ただ見事な早業と言うほかなかった。
 美少女の汗と体温の気配を残したブラジャーとショーツが無重力の空間を泳いでドッツィの顔面へ掛かると、リアンナは惜しげもなくその美しい裸身を晒してシャワー室へ消えた。
 全裸のリアンナをシャワー室から腕ずくで連れ出してドアを開けさせることも出来ず、ドッツィはただ美少女の下着を握りしめたまま震えるだけである。
 傍目にはもはや単なる変態親父なのだが、その内心には組織と直属の部下たちを憂うるジオン公国軍将校としての高潔な精神と、そして本能には勝てずに勃起する股間のジャイアント・バズがせめぎ合っていた。
 と、ガラスの向こうで流水音が止まった。無重力下のシャワールーム用のマスクを壁に掛け、バスタオルで髪や体を拭きはじめている。間もなくここまで戻ってくるだろう。
「あ、あああああ……! ワシは! ワシはっ……どないすればええのやぁぁぁあああ!!」
 頭を抱えたドッツィは、ついにゴロゴロと床へ転がりはじめた。ブラジャーはまだ握っている。
 このままリアンナの妄想日記に描かれた変態絶倫親父のごとく、開き直って彼女を犯せば良いのだろうか?
 股間のタールネンJr.はその方針を熱烈支持しているが、しかしドッツィには自分を『兄貴』『兄ィ』と慕う二人の部下がいるのだ。己の欲望のために彼らを裏切る真似は出来ない。
 それに、妄想日記に描かれた怪人並みの超人絶倫種付けテクニックで、あの頭のネジが外れた妄想日記を書き上げた彼女を満足させられる自信も、ない。
「うッ……うおおおおおおーーーッ!! イーデン! デティ!! マイ・サン!! ワシは、……ワシは、どないすればええのんやァーーーッ!!」
 みっともなく喚き散らしながら、ドッツィは美少女士官の個室内で激しく上下左右にのたうち回る。ブラジャーとショーツを握りしめたまま。
 巨漢変態中年男性が暴れ狂う、もはや動物園の檻にも等しい魔境と化した室内へと、シャワー室からドアが開く。
「ホアッ!?」
「うふふ……お待たせいたしましたわ、お・じ・さ・ま。さあ、……私を食べてくださいまし……」
 溢れる湯気の中、上気した肌にバスタオル一枚だけを帯びた美少女は、獲物を狙う雌獣の表情で舌をなめずった。
156 : フェニックステイル第26話後編2017/05/21(日) 13:15:23.46 ID:BsC3UQfO
『――兄ィが危ない』
『お、おう……なんや、デティ。いきなりどうした』
 戦艦ジャカルタ、MS格納庫。
 ドッツィからMSの見張りに残されていたデティ・コイヤー軍曹は、自らの愛機MS-21C《ドラッツェ》のコクピット内で慄然と呟いた。
 連邦軍との戦闘で敵機にコクピット・ハッチを強打されたきり気絶していた相棒、MS-09R《リック・ドム》パイロットのイーデン・モタルドゥが目覚めて間もない。
 彼に対する通信越しの状況説明もそこそこに、デティは顔を上げるやそう不意に呟いたのだ。苛立たしげに続ける。
『イーデン、お前には……! お前には、なんも感じられへんかったんか!? 兄ィがいま腹ン底から振り絞った、助けを求める静かな声(サイレント・ヴォイス)が……お前には、なんも聞こえへんかったんか!!』
『いや、……特に、なんも……』
 イーデンは若干引き気味に答えたが、デティはひとり思い詰めた表情のまま、その妄想を加速していく。
『――アイツや……。最初に出てきたエゥーゴの、あのチビのくせに乳と尻だけデカいメスジャリや……兄ィにふざけた色目使いよってからに……!
 アイツは最初から、兄ィの肉体を狙うとったんや! アイツはいま兄ィを暗がりに連れ込んで、身体を貪っとるんや……!!』
『お、おう……さ、さよか……』
 ぶるぶると拳を震わせて力説するデティの瞳は、MS格納庫の外壁を射貫かんばかりに睨みつけ、遙かその先を見通している。彼が人の話を聞きそうな気配は、無い。
『星屑帰りの辻斬りドラッツェ』ことデティ・コイヤー軍曹は細面の、女性――それも美少女と見間違わんばかりの、端整な顔立ちの美少年である。
 色黒で髭面強面のイーデンとはまったく対照的な容貌だったが、しかしデティはどこか独特の『スイッチ』を有しており、それが入ったときの押しの強さは圧倒的だった。こうなるともう誰の言うことも聞かない。
 三人の出会いは三年前、デラーズ・フリートによる連邦軍観艦式への襲撃時に遡る。
 宇宙要塞コンペイトウ周辺の戦闘で被弾損傷し、ドラッツェで漂流していたデティを、宙域周辺で火事場泥棒に勤しんでいたドッツィとイーデンが救助したのだ。
 その後すぐ作戦第二段階へ向けて転進したデラーズ・フリート本隊にデティは復帰できず、以来三年、行き場のない三人は《キャリホルニヤの悪夢》として行動している。
 決して楽な日々ではなかった。草創期のティターンズが主導した残党組織への激しい掃討戦で、三人は幾度となく死線を潜った。そして力を合わせて乗り越える度、戦友の絆を深めていったのだ。
 だがイーデンとドッツィはその三年間で、デティのある特徴に気づいていた。
 ドッツィがたまに女がらみの下卑た冗談を言うと、デティは赤面しながら露骨に機嫌を悪くした。
 またデティは決して人前で肌を見せず、個室以外では共用シャワーも浴びず、不自然なほど薄着になろうともしなかった。
 逆にドッツィやイーデンが鍛えられた肉体を露わに晒していると、彼はひどく居心地悪そうに意味ありげに視線を動かし、やはり赤面しながら席を外してしまうのだ。
 それらの繊細な仕草は戦いの時に彼が見せる、狂獣じみた猛加速でドラッツェを操る戦闘技術とはひどくかけ離れたものだった。
 ともに数々の苦闘を乗り越え、戦友としての絆が日々深まっていく中でもデティのそうした反応は続き、イーデンはある日とうとうドッツィへ疑念とともに問いかけた。
157 : フェニックステイル第26話後編2017/05/21(日) 13:16:09.56 ID:BsC3UQfO
『あのな、兄貴……ワシ思うんやねんけど、……デティな、あいつは、……実は……』
『ええ。ええのや、イーデン』
 重い口調で口を開いたイーデンを、ドッツィはすうっと片手で制した。すべて分かっている、みなまで言うな――そんな調子を言外に強く宿した言葉に、イーデンは静かに震える。
『兄貴は、……兄貴は最初から、分かっとったんか』
『……デラーズ・フリートは男所帯や。ガラハウ中佐みたいな指揮官級はともかく、あそこは昔の公国軍ともまた違う、徹底的な男社会や。
 ――そこでデティが一兵卒として生き残るために、どんだけ自分を殺さなあかんかったか――ワシはそれを思うだけで、胸が詰まる』
『兄貴……!』
 同質的かつ戦闘的な環境に放り込まれた少数者が受ける、異端者としての境遇。
 遠く地球のアフリカに生まれ、地球連邦からの民族独立を求めて一年戦争前に単身ジオン公国へ留学したイーデンは、そうした少数者の辛さを身に染みて理解していた。
『イーデン、ワシはデティのすべてを受け入れるで。ワシらは戦友や。戦争が終わって祖国はワシらを裏切ったが、ワシは戦友を決して裏切らん。あるがままのアイツを、ワシは戦友として尊重する』
『兄ィ、……そこまで……!!』
 ドッツィの吐露した熱い想いに押され、イーデンはこみ上げるものをこらえてきつく拳を握りしめる。ドッツィはフッとニヒルに笑い、そして遠い目で呟いた。
『まあ、……アイツがどうしてもワシを掘りたい、と言うてきたら、……そん時は、……そん時、やな――』
『……お、おう……。せ、せやな……』
 信じて戦場で背中を預ける美少年に寝室で組み敷かれ、半裸で背後から己を貫かれる光景を想像し、二人はぶるり、と背中を震わせた。
 イーデンとしてはドッツィがエゥーゴの女とよろしくやろうが、この状況では特に問題は感じない。むしろ相手から求めてくるのなら、応じてやればよいとも思う。
 エゥーゴの仕掛けたハニートラップという線は捨てきれないにせよ、自分たちが支えるドッツィの度量なら、それも巧みに巻き取り乗り越えていってくれるとイーデンは信じているのだ。
 だからこそ、今のデティが示す反応は過剰に思えて、そして遠い日にドッツィと交わした会話を思い出させもしたのだった。
『イーデン……ワシは行くで。エゥーゴのクソ女の毒牙から、兄ィを守りにな! お前はここでワシらのMSを、しっかり見張っとってくれや』
 そこまで思っていながらも、モニター越しに爛々と光るデティの目は獲物を狙う野獣のそれで、イーデンはきゅっと尻に力を入れて巨躯を縮こまらせてしまうのだった。
(すまん、デティ……やっぱりワシはまだ、お前に掘られる覚悟は出来とらん……!!)
『お、おう……デティ、気ィ付けて行けよ……』
『お前もな。頼むで!』
 言うやドラッツェのコクピットハッチを開き、素早くジャカルタ艦内へ消えていくデティを見送りながら、イーデンは戦友を信じる覚悟を固めきれない己の浅はかさを一人呪った。
「行ってしもたか。……せやけど、兄貴……修羅場になってまうんとちゃうか、……これ……」
158 : フェニックステイル第26話後編投下終了2017/05/21(日) 13:18:31.15 ID:BsC3UQfO
今回は以上です。
これよりpixivとハーメルンに26話の挿絵を多数掲載します。
そちらも合わせてお楽しみいただければと思います。
159 : 名無しさん@ピンキー2017/06/15(木) 19:27:29.76 ID:FNjv/C6/
このスレを私物化してコロニー落としばりに荒廃させた
ISAPのクソ信者どもが全身から血を吹き出して死にますように…
160 : 名無しさん@ピンキー2017/06/15(木) 19:33:41.13 ID:2ln4JpGp
>>158
乙です!
161 : 名無しさん@ピンキー2017/06/17(土) 18:56:30.41 ID:y94ozgDU
>>159
よくわからんが、このスレって荒廃してるの?
とりあえず定期的な投下はあるようだが
162 : 名無しさん@ピンキー2017/06/20(火) 16:49:22.70 ID:hCImE1Ki
現状は投下してくれるのが>>158さんだけの過疎スレ
最近はほぼないけど以前はもっと昔に投下してくれてた
ISAPさんて人を引き合いに出して>>158さんを腐す奴がいただけ
163 : 名無しさん@ピンキー2017/07/22(土) 06:54:45.50 ID:OGTg/epW
髪コキください
ルールカの髪コキください
164 : 名無しさん@ピンキー2017/07/25(火) 06:14:33.22 ID:RAp4laex
https://youtu.be/89dPkOm-t1Y
大阪日本橋オタロード【ガンダム】コスプレ野郎
165 : フェニックステイル第27話投下準備2017/08/13(日) 18:59:20.92 ID:DITG7GxE
フェニックステイル第27話を投下します。
166 : フェニックステイル第26話後編投下終了2017/08/13(日) 19:07:04.66 ID:T9VPRf8x
『兄貴! このドラッツェの奴、まだ生きとるでっ!』
『ほんまかイーデン!』
 闇の戦場。戦死者たちの呼び声が今もさざめく古戦場、かつて宇宙要塞ソロモンと呼ばれた宙域の片隅に光が瞬く。
 外部操作。コクピットハッチ強制開放。
 傷ついた機体でひとり漂流していた自分に差し伸べられた、ジオン軍パイロットスーツの逞しい大きな手。バイザー越しに霞んで見えた、髭をたくわえた力強い笑顔。
『み、味方か……。助けて、くれたんか……?』
『坊主、もう大丈夫やで。機体の方も――、まあ、すぐに誘爆はせえへんやろ。……動けるか?』
 応急手当と応急修理。
 かろうじて動けるようになったMS-21C《ドラッツェ》がMS-06F《ザクU》とMS-09R《リック・ドム》に導かれながら動き出したとき、彼らは遠く離れたソロモンに広がる巨大な核爆発の閃光を見た。
『なんや、あの光!?』
『あ、ああ……! ガトー少佐……さ、作戦の第一段階が……あかん。もう艦隊が、転進してまう……! 今なら……いま行けば……いま行けばまだ、『星の屑』に間に合う!
 フリートの皆と一緒に、連邦に一太刀浴びせられる……! おっちゃん、おおきに! ワシは行くで!!』
『このアホッ!!』
『ぐっ!?』
 急加速しようとした瞬間、鈍い衝撃が傷ついた体にまで突き抜ける。ザクUがドラッツェへ組み付くようにして止めていた。
『お前みたいな死にかけ坊主がっ、そないボロボロな機体と身体で何するつもりや! デラーズの旦那がこのうえ何するつもりか知らんけどなっ、こんだけ派手にやらかしてもうた後や、連邦軍はここから本気で殺しに来るで!
 そないな鉄火場へ、坊主みたいなくたばり損ないが今から行っても、ただ犬死にに行くだけやぞ!!』
『せ、せやけどっ。今……今戦わな、もう連邦は倒せへん! ここで……ここで戦わんかったら……死なへんかったら……ワシは、……ワシは今まで、何のために――』
『覚えとけ坊主ッ!』
 ザクUの両手がドラッツェの両肩を握って止める。モノアイの光がモニター越しに真正面から瞳を射貫いた。
『ええか。死ぬことが戦いなんとちゃう! どんなキツうてもな、苦しゅうてもな――生きることが、最後の瞬間まで生き抜くことが戦いやねん!!
 その戦いの意味が、今の坊主にはまだ分からちゅうんなら……坊主のその命、……ワシが預かるっ!!』
『兄貴! それは!?』
『ええのや! イーデン、ええのや!!』
 言を半ばで制止しようとしたリック・ドムのパイロットを振り切り、ザクUのパイロットは思いをそのまま吐き出していく。
『もうな、ワシは……ワシはもう、沢山やねん。こんな坊主が、わざわざ好んで死にに行くような……そんなんはな、もう、ええねん。三年前に、終わっとるねん……死ぬための戦争は……もう、終まいや』
「――おっちゃん……?」
 自機の両肩を握りしめたザクUのマニピュレーター越しに、接触回線とモノアイカメラに映る装甲板の向こうで、微かに震える嗚咽の影を、そのとき確かに感じた。
 同時に警報が鳴り響く。レーダーが迫る多数の機影を捉える。コンペイトウ方面から、怒濤のごとく押し寄せるMS隊――艦隊を焼き払われ、復讐の怒りに燃える連邦軍MS隊だ。まともに戦えるような数ではない。
「…………」
 今あそこに飛び込めば、確実に死ねるだろう。うまくやれば、一機や二機は道連れに出来るかもしれない。
 その方向へメインスラスターのスロットルを開こうとしたとき、再び衝撃がドラッツェの機体を揺らした。
 ドラッツェに右手はない。整備所要が大きい脚部とともに右前腕部は省略され、40ミリ固定機関砲に置き換えられている。原型機であるザクUF2型同様に残っているのは左手だけで、ザクUがその左手を掴んでいた。力強く。
167 : フェニックステイル第27話2017/08/13(日) 19:09:05.01 ID:T9VPRf8x
『来い! ワシらと! 戦え! 生きるために!! イーデン!!』
『応!!』
 リック・ドムが二門のジャイアント・バズを両肩に構える。迫り来るジム改の編隊を目掛けて、矢継ぎ早に380ミリ砲弾を叩き込んだ。
 すべてを呑むほどの巨大な閃光が爆ぜた。つい今し方、核の炎が要塞外縁と受閲艦隊を焼いたばかりだ。すわ第二の核攻撃か、と連邦軍MS隊が怯んで編隊を乱す。
『やかましいわおんどりゃあ!!』
 先陣を切って突撃したRGM-79N《ジム・カスタム》が、照明弾の閃光の中から頭部を蹴り潰されて吹っ飛んだ。
『今や! 撃ちまくれ!! 退けや雑魚どもおおお!!』
『いでもうたるどごるぁぁぁ!!』
 文字通りにジム・カスタムを蹴散らしながら、ザクUに続いた二機は薄れゆく閃光の中で無茶苦茶に乱射した。
 ジム・カスタムは頭部を潰されながらも、それでも盾でザクUの胴を殴りつけた。だが半端な打突は撃力が足りず、盾の爪部も装甲を破れない。逆にザクU左肩のスパイクアーマーを食らって、機体ごと跳ね飛ばされた。
 隊長機の頭部を潰されて混乱する連邦軍のRGM-79C《ジム改》が90ミリのジム・マシンガンで、これまたデタラメに応射してくる。
 だが三機は一気に敵陣へ突き刺さっていた。連邦軍の応射は数発がジオン機を掠めてその装甲板を穿ったが、それとほぼ同じ弾数が取り囲む友軍機へと突き刺さっていた。それだけで数機が損傷し、後方へ沈んで戦列を離れる。
『アホが見るぅぅぅ、豚のケツぅぅぅぅぅッ!!』
 指揮系統の混乱と同士討ちに怯んだ連邦軍MS隊のただ中を突き抜けて、三機は暗礁宙域を全速力で突破していく。
 編隊にスナイパータイプのジムがいたらしく、数発のビームが機体の真横を追い抜いて掠めた。回避が一瞬遅れれば爆散していただろう。
 ビームの追撃もやがて途切れ、追いすがる熱源も消えた。助かったのか――誰もがそう思いかけたとき、ザクUが不意にガクンと速度を落とした。編隊から脱落していく。
「なっ!?」
『あ、兄貴!?』
『――アカンな、これは。どうも、さっきの打たれ所がアカンかったらしいわ』
 連邦軍が乱戦の中で叩き込んできた、90ミリ弾幕。その一弾が超硬スチールの装甲を破り、機体内部の流体パルス構造を傷つけていたのだ。
『ああ。これは、もう――アカンかもわからんのう』
 コクピットであらゆる緊急対処手段を試しながら言ったその声は、ひどく平板なものに聞こえた。
168 : フェニックステイル第27話2017/08/13(日) 19:09:10.56 ID:T9VPRf8x
 そして同時にザクUから、機銃弾の破孔が火を噴いた。脚部推進材タンク付近。ザクUはそこからパイロットの操縦を無視して最大出力を全開、軌道を大きく捻って明後日の方向へ飛び去っていく。
『兄貴! 脱出してくれ!!』
『いや、これもアカンな……さっき盾でブン殴られたとき、ハッチの装甲が歪んでしもうたんやの』
「そんな――」
『まあ、ええわ。最後の最後に、坊主を一人拾えたしな――ま、こんなもんやろ。ほな、達者でな』
 ドラッツェは、その瞬間にスラスターを開いていた。
 簡易MA級とも言われる巨大な加速力を全開し、制御を失ってネズミ花火のように暴走するザクUへ一気に食らいつく。同時に左腕部の小型ジェネレータが唸り、固定式のビームサーベルを発現させた。
 一撃離脱、光刃一閃。
 ドラッツェのビームサーベルは一刀にして、正確にザクUの胸部装甲を焼き切っていた。そのまま飛び去っていくドラッツェの後ろへ追従し、リック・ドムがその手を開く。
『兄貴、今やッ!!』
『――!』
 ボルト爆砕、座席射出。
 サーベルが切り裂いたギリギリの隙間を縫って、射出座席が吹き飛んだ。相対速度を合わせたリック・ドムがその掌中に収めるや、機体を回してザクUに背中を向ける。
 ついに機体中枢まで火が回ったザクUが爆散したのは、まさにその瞬間だった。
 破片と爆熱がリック・ドムの装甲を叩き、跳ね返っては冷たい宇宙へ拡散していく。
『兄貴……?』
 リック・ドムの十字レールを動いたモノアイが、恐る恐るに自らの掌中を覗き込む。
『――やれやれ、イーデン。どうやらワシは、また死に損ねてしもうたらしいのう』
『兄貴!!』
『いやあ、助かったわ。九死に一生得てしもうた。坊主――いや、もう坊主とは呼ばれへんな。やるやないか。名前、なんちゅうのや』
「……デティ。……デティ・コイヤー軍曹や……」
『そうか、デティ。ようやってくれたの。ワシはドッツィ。ドッツィ・タールネン少佐。人呼んで《キャリホルニヤの悪夢》や。せやけど、階級はええねん。もう、ええねん』
 ドラッツェがリック・ドムと機体を並べる。リック・ドムの誘導に従って彼らの母船を目指しながら、今まで感じたことのない不思議な安らぎを覚えていた。
『デティ。ワシら、もう兄弟やで。桃の畑はあらへんけど、今日からお前も義兄弟言うやつや。イーデン、ええな?』
『おう。なんも異論ないで』
「――兄弟……?」
『せや。これからは、兄弟のために生きる。デラーズ・フリートのデティ・コイヤー軍曹は、今日で戦死や。今日からお前は、キャリホルニヤの悪夢の末弟、デティ・コイヤー軍曹なんやで』
「兄弟、か……」
 次第に爆光と火線の勢いも静まって遠のいていくソロモンと、未だ青い光をたたえる地球を交互に見ながら、デティは解き放たれたようにふっと優しく微笑んでいた。
「……おう。分かったわ、……兄ィ」
169 : フェニックステイル第27話2017/08/13(日) 19:09:32.56 ID:T9VPRf8x
 デティ・コイヤー軍曹のヘルメットは、あの日からずっと同じものを使い続けている。膝の上でバイザーに映りこむ自分の姿も、三年前と同じに見える。
 だが、違うのだ。
 三年前の自分に無く、今の自分にあるもの。
 自分は今から、それを守りに行く。
「イーデン……ワシは行くで。エゥーゴのクソ女の毒牙から、兄ィを守りにな! お前はここでワシらのMSを、しっかり見張っとってくれや」
『お、おう……』
 勢いよく啖呵を切りながら、デティは自身の足下を見下ろした。行動方針は決定した。勢いに任せた激情から、冷静さを取り戻しながら呟く。
「さて、……どうするか、やな」
 連邦軍との戦闘に敗れてから収容されるまでの間に、デティは戦艦ジャカルタの威容をその目に留めていた。ジャカルタはマゼラン級をも上回るであろう大型艦である。極端な省人化が進んだ形跡もない。
 つまり全体の乗員は相当数に達しており、なおかつ誰もが互いに顔見知りというわけではないということになる。
「こいつの出番やな……」
 愛機のリニアシート下からデティが取り出したのは、地球連邦軍の制服一式だった。少し嫌そうな顔でデティはそれを見る。
 万一の潜入工作用に常備していたものだ。ジオン出身者も少なくないとはいえ、それでもやはりエゥーゴは連邦軍系の組織らしい。格納庫内にも連邦軍の制服姿がちらほら見える。これで紛れ込むのは容易だろう。
 艦内へ潜入さえ出来れば勝機はある。
 だが当然ながら、ジオン残党軍のMSパイロットとして損傷機に残された自分たちは注目の的だ。監視も付いているだろう。まさか連邦軍制服のままここから飛び出し、そのまま監視を誤魔化して潜入するわけにも行くまい。
 どこかコクピットの外で着替えて、しかも監視を誤魔化しきれるほどに印象を大きく変える必要がある。
「…………」
 思案の末、デティが次にごそごそとシート下から取り出したのは、長い赤毛のかつら――女性用ウィッグだった。
 先ほど連邦軍制服を取り出したときよりも、さらに嫌そうな顔をしながら、それでもデティは意を決したように顔を上げた。
170 : フェニックステイル第27話2017/08/13(日) 19:09:49.67 ID:T9VPRf8x
 湯煙の中を熱いシャワーが、白い女体のみずみずしい肌に弾け散っては流れ去る。
 湯浴みするのは金髪の美しい娘だ。均整の取れた長身はよく鍛えられて引き締まり、それでいて女体の要所要所には、余りあるほどに豊かな雌の甘みを蓄えている。
 殊にひときわ目を引くのが、胸元でたわわに実る巨大な乳房だ。文字通り男の手にすら余るその巨乳に、いま彼女自身が自らの手を掛けていた。
 女性としては長身である彼女の掌であっても、乳房はさらに大きく重く、とうてい包みきれず両手に余る。
 その白い柔肌の巨大な乳房に、彼女自身の十指が重く沈み込んでいく。
「……んっ、……」
 張りのあるたっぷりの乳肉が歪み、わずかに甘い痛みが乳房の芯から彼女を刺した。だが彼女は構わず、己が双球を握りしめていく。
 彼女の乳房をその見事な大きさよりも際立たせているのは、白肌と鮮烈なコントラストを成す黒褐色の乳輪だった。
 ほんの昨日までみずみずしい桜色をたたえていた左右の頂は、今や黒々とした褐色に染まっていた。あまつさえその全体にぶつぶつと浮き上がった腺の数々が、わずか一夜の情事が彼女にもたらした決定的な肉体の変化を何より雄弁に物語っている。
 それはあたかも胎内に子を宿した、妊婦の乳首のそれだった。
 握力を強めるに従い、黒い乳輪の中にぷつぷつと何か、白い汁が滲み出てくる。
「……んっ、……」
 彼女がさらに掌へ力を込めると、ついには張りつめた果実を握りつぶしたかのように、黒い乳輪から白い母乳が噴き出した。
 堰を切ったように溢れる母乳が、乳輪から迸ってはシャワーに洗い流されていく。自らの乳房を強弱を付けながら何度も握り、尽きることなく溢れる母乳をただひたすらに搾り出しながら、金髪の美女はひとり呟く。
「……ちくしょう」
 彼女の脳裏に蘇るのは、魂にまで焼き付いた二つの光景。
 憎き地球連邦軍の標準的量産MS、RGM-79R《ジムU》。その一機とビームサーベルを抜き払っての格闘戦の最中、彼女をコクピットもろとも貫いたメガ粒子の奔流。
 灼熱の中で塵も残さず蒸発したはずの彼女は、無傷で目覚めた。そしていけ好かない男と思っていたMS隊長と、自ら望んで男女の交わりを果たしたのだ。
 それは彼女にとって鮮烈な恐怖と、そして何よりも屈辱の記憶だった。それ以外の何者であるはずもない。
 だがそれらの瞬間を思うとき、彼女の股間で女陰が甘く疼いて啜り泣くのだ。
 本来であればその圧倒的な物理力で、彼女の肉体と生命を宇宙の塵に還していたはずのメガ粒子の暴威。
 確かに彼女のパイロットスーツを瞬時にすべて焼き尽くした閃光の中で、そして処女を奪われながら膣内で爆ぜるように放たれた大量射精の中で、彼女は確かに絶頂を迎えた。
 倒錯した、究極の快楽。
 あまりに鮮烈なその残滓が、今も彼女の雌を疼かせるのだ。
 対流のない無重力空間でシャワーを循環させる風圧の中で、青い瞳の眦に光る滴も流れ去っていった。魂の奥底から、彼女の搾り出す言葉とともに。
「ちくしょう――」
171 : フェニックステイル投下中断中2017/08/14(月) 01:38:58.61 ID:Ome7d6RV
中途半端な位置での停止、申し訳ありません。
しばらく投稿しない間にまた連投規制が強化されたようで、現状ではお手上げです。
そろそろ2chでのSS投下も潮時なのかもしれません。
172 : フェニックステイル第27話2017/08/14(月) 22:03:09.86 ID:TZ37+qF0
 マイン・ハフナーが目覚めた場所は、戦艦《ジャカルタ》に複数存在する医務室の一つらしかった。戦闘後に艦内へ収容され、そして隊長との情事の後、再び気絶した自分はここへ搬送されたようだ。
 彼女が気づいたとき、すでに室内は無人だった。体調も悪くはないように思えた。どす黒く変色して母乳を滲み出させる乳輪と、飲ませる赤子のあてもない母乳をひたすら作り出しては溜め込むように変わり果ててしまった乳房以外は。
 備え付けのシャワー室で母乳の処理を済ませたマインは、誰かが室内へ用意してくれたらしい衣服を身に付けた。
 下着にはご丁寧にブラジャーもあった。ただしMSパイロットである彼女が常用するスポーツタイプのものではない。妙にパッドの分厚いそれは授乳期の母親向けのそれだったが、あらかじめ測っていたかのようなジャストサイズでマインの乳房を包み込んだ。
 ただし上着として用意されていたのは、意匠が気に食わず、彼女が今まで決して着ようとしなかったノースリーブの女子エゥーゴ制服だ。
 少し嫌そうな顔をした後、他に選択肢がないことを確認してから、やむなく袖を通す。とにかく人前に出られる格好になったマインは部屋から出ようとした。
 医務室のドアを開けた瞬間、目の前に若い女が立っていた。
「おはよう、ハフナー少尉。意外と早いお目覚めね」
「――シャノン……っ」
 視界へいきなり飛び込んできた女の顔を、マインはきっと睨みつけた。
 額できれいに切り揃えた黒い前髪と眼鏡の下の、冷たい知性を宿した青い瞳は鉢合わせに驚いたような様子も見せない。ただ、どこか突き放すような距離感を持ってマインを見つめている。
 単純に上の視点から人を見下すだのといったものともまた違う。マインにとって彼女のそれは、実験動物を見る研究者の無感情な視線に思えた。
 シャノン・ヒュバート少尉は、リアンナ・シェンノート少尉率いる戦艦ジャカルタ第二MS小隊所属の女性パイロットである。そして彼女はMSパイロット資格と同時に医師資格を持ち、戦艦ジャカルタの軍医を兼務するという異色の才媛であった。
 年はマインとそう大きく離れていないはずだ。しかしその感情を他者に感じさせないほどに抑えた仕草が、マインをしてシャノンをいけ好かない女に思わせていた。
 そしてビームサーベルにコクピットごと貫かれながら生還したマインを診断したのも、彼女だった。マインの肩越しに室内の机上を見やり、シャノンはそこに置かれたままの診断書に大げさなため息を吐いてのける。
「『2月26日から三日間は面会謝絶で絶対安静』……私はそう診断書を出しておいたはずだけど?」
「はっ。三日だぁ? おいおい勘弁してくれ、あたしはそんなに寝てたのかよ。道理で体が鈍ってるわけだ。先生どいてくんな、リハビリにちょっくら一汗流してくるよ」
 そう軽口を叩きながら脇を抜けようとしたマインの前を、無言のままでシャノンが塞いだ。面倒くさそうにマインが睨む。
「ハフナー少尉。今日はまだ2月26日よ」
「あたしの三日は早いんだよ」
 二人はそのまま温度の噛み合わない視線で睨み合う。痺れを切らしたマインが次の動きへと移る手前で、シャノンが腕組みしながら身を引いた。
「止めないのか?」
「止めて聞きそうな気配がないもの。私もここで病院送りにされたくはないからね」
「――そうかよ」
 道を開けたまま肩を竦め、くすり、と微笑むシャノンを、マインはいっそう強く睨みつけた。勢いよく床を蹴り、リフトグリップを掴んで身を委ねる。
173 : フェニックステイル第27話2017/08/14(月) 22:04:33.82 ID:TZ37+qF0
 無重力の通路を泳いで流れ去りながら、しかしマインは次に行くべき場所を決めかねていた。
 指揮系統上の上官であるMS隊長、ベリヤ・ロストフ大尉への報告は必要ないだろう。彼とはつい先ほど最低の形で言葉と、そして肉体と欲望を交わしたばかりだ。
 自身の膣奥深くに放たれた、白く粘ついた熱い欲望。それを子宮で受け止めながら達した、精神を狂わせるほどの快楽の極致。その片鱗を思い出してマインは震える。
 ――少なくとも今はまだ、あの男と会いたくない。
 会えば自分がどうなってしまうのか、マインはそのときの自分の姿がまったく想像できなかった。それは彼女に芽生えた、また新たな恐怖だった。
 といって、ティターンズと連邦軍の攻撃で壊滅した故郷の資源衛星から一緒にエゥーゴへ参加した、彼女を『姉御』と慕う二人の舎弟のところへ行くのもはばかられた。
 マインら三人は同じく復讐を誓う同郷の同胞として団結し、ベリヤ率いるジャカルタMS隊主力に対抗心を燃やしていた。
 だが連邦軍ジムUとの一対一の戦いで無様に敗れたうえ、自ら望んでベリヤに犯され、あまつさえ昨日まで処女であった自分が乳房から母乳を噴き出す体にされてしまっているのだ。
 合わせる顔がない。
 今の自分にはどこにも行くべき場所がないことに気づきながら、しかし一カ所に留まることも出来ず、マインはただ人の気配を避けるようにジャカルタの艦内を漂っていく。
 そんな彼女のくすんだ視野に、見慣れない女性士官の姿が不意に飛び込んできたのはそのときだった。
 長い赤髪を泳がせる、地球連邦軍制服の可憐な美少女だ。程良く膨らんで制服の上衣を押し上げる胸元といい、しなやかに伸びた健康的な四肢といい、男たちの視線を集めるには十分以上の魅力を発揮している。
 だが何より強く男たちを魅了するであろうものは、その可憐な仕草だった。
 いかにも自信なさげに伏し目がちな表情、震える睫毛、弱い自らをなんとか守ろうと抱きしめるような腕の動き。
 それらは強い男たちの庇護を必要とする、か弱い女のアイコンをひどく直接的に表現しており、それゆえ目ざとい男たちを惹きつけずにはおかない。
 それらすべてが、現状に直結していた。
「君さ、ホントに可愛いねー。この艦にまだ君みたいな美少女がいるのを見落としてたなんて、俺らもほんとチェック不足だったって言うか、申し訳ないねー」
「あ、あの……っ、こ……困り、ますっ……わ、わたし……今から、行かなきゃ……いけない、ところが――」
「へー、どこ行きたいの? 俺らが連れてったげるよぉ」
「…………」
 マインの視線の先で、その美少女士官に二人の男が絡んでいる。彼らも連邦軍士官制服だが、こちらも見慣れない顔だ。少なくともMS隊の所属ではない。
 二人は彼女の退路を塞ぎながらパーソナルスペースを潰して大きく押し込み、少しでも顔を背けて逃れようとする彼女に、耳元へ息のかかる距離から話しかけている。
「じゃあさ――ちょっと俺らの部屋、寄っていこっか」
「――えっ」
 笑顔のまま、男たちが切り出した言葉。その裏に潜む意味を悟って、少女がさっと青ざめる。咄嗟に逃げようとした彼女の退路を、一人が即座にさっと塞いだ。
「俺らの部屋、すぐそこだから。熱くてクセになるドリンク出してあげるよ。ちょっとだけ、ちょっとだけ休憩していこうよ」
「やっ、やめっ――」
 一人が手首を掴んで拘束し、一人が手際よく部屋のドアを開ける。彼女が恐怖と絶望に涙を浮かべたとき、マインは一歩を踏み出していた。
「おう。お前ら、ドコの者だ?」
「――何?」
「あっ――」
 長身の金髪美女から凄みを乗せて話しかけられ、男たちは明らかに鼻白んだ。目を瞬かせた後、一人が相方に耳打ちする。
「マイン、……マイン・ハフナーだ。第三MS小隊長の」
「じゅ、『十人殺しのマイン』か!? さっきの戦闘で、死にかけてたんじゃ――」
 編成間もないジャカルタ隊にあっても、マインたちの無鉄砲なまでの喧嘩っ早さは広く知れ渡っていたらしい。二人が怯んだところへ間髪入れずに畳みかけた。
「あっ!?」
 マインはぐい、と少女の腕を掴み取るや、自分の方へと奪うように引き寄せる。彼女を抱き寄せながら、ドスの利いた声とともに男たちを睨んだ。
「ウチの者に訳の分からんちょっかいかけてんじゃねぇよ。失せろ」
174 : フェニックステイル第27話2017/08/14(月) 22:05:30.44 ID:TZ37+qF0
「い、嫌だなハフナー少尉、……MS隊の子だったんですか……早く言ってくださいよ」
「知るかよ、阿呆。おい、行くぞ」
「あ、――は、はいっ」
 あっさりとマインの眼光に押し負けて、男たちが道を譲る。少女の手を強引に引きながら角を曲がるとき、彼らの悔しげな舌打ちが遠く聞こえた。
「クソッ。なんだよ、見ない子だなと思ったらMS隊かよ」
「でも、だったら逆に良かったな。だってMS隊の女って、全員『大尉のお手つき』なんだろ。そんなのへうかつに手出しせずに済んで、命拾いだぜ」
「…………」
「……あ、あの――っ」
「――ん?」
 その声も遠ざかって聞こえなくなった頃、少女が上目遣いに見つめているのにマインは気づいた。たどたどしく話しかけてくる。
「た、……助けてくださって、ありがとうございます。は、ハフナー少尉? が、助けてくださらへんかったら、……私、今頃――」
「もう普通に喋っていいぞ。あたしは別にジオンなんざ何とも思ってないからな。そのジオン訛り、無理に消そうとしなくていい」
「あうっ……!」
 必死の演技もマインにたやすく見破られて、少女は涙を浮かべたままきゅっとその場に縮こまる。
「お脳とチンポが直結してる猿でもなけりゃ普通に分かる。お前、さっき収容したジオン残党のパイロットだろ。なんで連邦の制服なんか着て、こんなところをうろついてる?」
「あ、あの、……その、こ、これは――」
「ハッキリ喋れや!!」
「はううぅっ!!」
 はっきりしない仕草で、我慢の限界へたやすく達したマインの拳が壁を叩く。少女は自分が殴られたように縮こまった。
「あたしはなぁ! お前みたいな、いちいちハッキリしない女が一番嫌いなんだよ!!」
「う、うう……堪忍、……堪忍や、お姉さん……ぶたんといて……ぶたんといて……」
「分かったよ。殴らねえから、さっさと言えって。……言えっつってんだろうが!!」
「ひっ――ひいいっ!! あ、あんな……う、うち、実は――」
175 : フェニックステイル第27話2017/08/14(月) 22:06:53.60 ID:TZ37+qF0
「――なるほどな。長年世話になった隊長のオッサンが、ジャカルタの艦内でどうも危ない。そういう虫の知らせがあったと。んで、チビのくせに乳だけデカい栗毛の女が怪しいから、まずはとにかくそいつのところに行きたい。
 それでわざわざ連邦軍に変装したうえ、さらに女装してまでやってきた、と」
「……せ、せや……」
「そうか。……まったく、義理堅いこったな」
 マインが受けた説明をまとめたところ、デティ・コイヤー軍曹と名乗った連邦軍女性士官の正体は、ジオン残党軍の男性パイロットらしい。連邦軍装も女装も、艦内への潜入工作のための偽装だそうだ。
 ただ連邦軍装の方はともかく女装の方は、顔立ちも体格もすべてがあまりに自然すぎて、まったく変装に見えないのだが、本人がここまで必死に言うのだから女装なのだろう。
 とりあえずそういうことにしておける度量の広さがマインにはあった。
「よし。とにかく分かったぜデティ。お前が言ってるのその女ってのは、ジオン残党のむさいおっさんに興味津々な変態マニアのエロ女なんだろ? そんな救えねえ奴、ジャカルタ広しといえど一人しかいねえ。案内してやるよ」
「え、ええの……?」
「おう。任しとけ」
 どうせ他に行くところもないしな。
 言葉の後半を飲み込みながら、マインは目的へ向かって身を翻した。
「こっちだ。来いよ」
「おおきに、……おおきに、姉さん!」
「いいってことよ。気にすんな」
 涙混じりに微笑むデティへさっぱり笑って手を振りながら、ところで今、マインが気にしていることが一つある。
 涙を拭きながら可憐な希望の笑顔を浮かべる、女装美少年コイヤー軍曹の顔面から、マインはそっと視線の高さを下げる。
「…………」
 連邦軍制服上衣の胸元でたゆんと揺れる、二つの膨らみがそこにある。
 上官をしてジャカルタ最大級とまで言わしめた、マインの巨乳に比べれば二周りは小さい。それでも一般的な尺度にすれば、男の掌に包んでもたやすく溢れるだろうその大きさは、見事な実りであるに違いなかった。
 こんな余計な主張をするものさえ胸にぶら下げていなければ、先刻の男二人に捕まることもなかったのでは、とも思えるほどだ。
 ――だが女装ってことは、これも作り物なんだよな。パットか?
「あ、姉さん? ――ひあうぅっ!?」
 だからマインはデティが通路の交差点で止まったとき、背後からその二つの膨らみを両手に大きく握りしめていた。
「…………」
 生っぽい。柔らかい。もちもちの弾力がぎっしり詰まったたっぷりの肉感が、人肌の温もりを添えながら食い込む指を跳ね返してくる。
 制服の下にはブラジャーのたぐいまで身につけているらしい。本格的だなと感心しながら、マインは手を休めることなく二つの膨らみをさらに揉みしだいていく。
 つい先ほど、マインが自らの巨乳から母乳を搾り出していた時の手つきで揉み搾る。本物の乳房なら乳首があるはずの位置を探ると、確かにそこには小指の先ほどの突起を捉えた。
 マインはそこを指先の腹で擦りあげ、摘みあげるようにして指で左右とも責めたてる。耐えかねたように切なげな声を上げながらデティが左右に身をよじった。
「あッ――あ、ああ……っ、あああああ……っ! あ、ふぅ……ッ。あ、あかん……お姉さん、あかん……こ、こんなん……っ、うち、うち、もうあかん……! 堪忍や……堪忍してぇな、……いやぁ、やめてぇ……!」
「ん、……んん? おう、悪い悪い。でもな、これパットだろ? なんでお前が変な声出してんだよ――あ」
 言いながらマインは、自分の巨乳もデティの背中で大きく潰れていたことを思い出す。
 今はこんな見た目でも、彼は男――なるほど、こっちか。
「悪かったな。その偽乳がどういう風になってんのか、ちょっと気になっちまったもんでな。しかしそれ、ずいぶん本格的な質感と感触だな」
 さっと身を離したマインの前で、半ば膝から崩れながらデティは喘いだ。焦点の合わない瞳にいっぱいの涙を溜めて、怯えきったように説明する。
「……せっ、せ、せやろ……? あ、あんな。うちもな、変装用にな、……よそのサイドでそこらじゅう探してやっと、この偽乳パッド見つけてきたんやねんで……?」
「へえ、そんなにか。すげえ情熱だな」
176 : フェニックステイル第27話2017/08/14(月) 22:07:00.64 ID:TZ37+qF0
 真っ赤に赤面して少し涙目になりながら、それでも必死の早口でデティはまくし立てた。だが、デティの胸の膨らみを貪り尽くしたマインは素直に納得してただ頷く。
「そうか、最新技術はすげえな。それ、あたしの本物の乳と大して変わらねえぞ」
 あたしの乳を背中から押しつけただけでここまで興奮するような童貞じみた反応をするようでは、その偽乳も普段はさぞ良からぬ別目的で使っていたのではないかともマインは思ったが、わざわざ口には出さないことにした。黙って認識を書き換える。
 デティ・コイヤーとかいうこのジオン兵は、相当重度の女装マニア(童貞)なのだな。
 世の中にはいろんな人間がいるのだ。そしてこちらに害がない限り、マニアと変態は放置するに限る。
 しかし、となれば事は変態対変態である。こいつならあのリアンナとも、案外いい勝負が出来るのでは無かろうか。残念ながら、自分はそんな戦いには到底ついて行けそうにないが。
 それにしても。
「最近の女装道具ってのは、ずいぶん出来が良いんだなあ」
 どうでもいいことに感心しながら掌をにぎにぎと動かすマインは、きゅっと肩を縮めて胸元と股間を守ろうとするデティを連れて、リアンナの私室方向へと流れていった。
177 : フェニックステイル第27話投下終了2017/08/14(月) 22:07:19.61 ID:TZ37+qF0
今回は以上です。
178 : 名無しさん@ピンキー2017/08/16(水) 12:07:15.90 ID:+2oGhDNz
乙です!
179 : 名無しさん@ピンキー2017/08/18(金) 23:03:32.55 ID:lluI54dB
ルールカかルイスの髪コキください
180 : 名無しさん@ピンキー2017/08/20(日) 18:53:00.25 ID:rFBttAR7
カールルイスなつかしいな
181 : 名無しさん@ピンキー2017/08/20(日) 19:39:38.61 ID:ZXGoec4b
カールルイスで髪コきって物理的に出来るの?
かなり短髪だったような気がするんだが
182 : 名無しさん@ピンキー2017/10/01(日) 07:17:18.54 ID:s4xxSE81
カールルイススレに迷い込んでしまった