「私が、その状態に……?」

「ただ、誰でもいきなりなれるわけではないわ。もしかしたら……その前段階かも知れないわね……」

「じゃあ、いつもその状態を保っていられれば……」

「そう、だけど決着までに後四日しかないわ。確かに大切な言葉だけど、新しい概念に心を奪われていたらそれこそ元も子もないわ……
言い出した私が言うのも何だけど、忘れて訓練に励みましょう。ただ冷静さだけを心掛けるしかないわ。」

「そうね、ありがとう。シーリン……」

それでも、その言葉はマリナの心を掴んで離さないのを自身が一番わかっていた。
望みと不安を同時に見せる澄んだ水色の瞳……
それは旧友に親愛の微笑みをさせてしまうものだった。

「マリナ、あなたって人は……
……所で何か感じない?」

「何って?」

「この部屋、私達だけじゃないわよ?」

「……!?」

敵の襲撃後なので、立ち上がり構えるマリナ。
シーリンはベッドの脚に触れると諭すように「出てきなさい。」

「な、何?」

「あちゃー、ばれちゃったかー、ハハハ。」

ベッドのやや長い脚と床の間から這うように出てきたのは見覚えのある少年……アクバルだった。
前に孤児院で出会い、コクピットに入りマリナの戦いを目の当たりにしたあの少年……

「アクバル!あなた、いつからそこに……
ずっと、見てたの!?ひどい……」

マリナは立ち上がり、胸と局部を両手で隠す。