「俺を、助けようとして戦いになったから気になって……お前、やめろよ!」

「ほお、ガキがいい度胸だな、まずはお前からだ!」

アクバルに襲いかかる男。
咄嗟に少年の前に出るマリナ。
勢いで放ったキックが相手を吹っ飛ばすが、体力の消耗は誤魔化せず、フラフラしている。細い肩を揺らして息をする。
疲労を現すように何滴もの汗が大地に滴り落ちる。

「はぁ、はぁ、負けるわけには……」

(これではアクバルを守りきれない。もっと冷静に……
明鏡止水は……)

疲労と焦燥を無視し、あの原っぱでの戦いを思い出し、再び頭が冴え渡る皇女。
全身に意識を集中させ、頭に幸せな思い出を浮かべる。
今は亡き家族との日々、シーリン達友人との思い出、ファイターに合格した日、喜んでくれる国民の顔。
その全てが彼女を落ち着かせ、穏やかにしてくれる。
そして、身軽さのためにコートを脱ぎ捨てたその体は少しだけ淡い色に輝いていた。
日の光に照らされた麦のような薄い金色……
銀色だったビキニまでも同じ色に変わり輝きを放つ。

「お前……一体……?」

「マリナ、様……?」

他の二人はただ驚き目を見張るしかない。